JP2513320Y2 - 自動車用内燃機関の吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車に搭載した内燃機関におけるエアク
リーナに、大気空気を取り入れるための吸気装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

一般に、内燃機関への大気空気の取り入れは、温度が
出来るだけ低い状態で、且つ、塵埃及び水等を吸入する
ことが出来るだけ少ない状態で、更に、出来るだけ抵抗
の少ない状態で行うことが必要である。

そこで、従来は、例えば実開昭54−177411号公報や実
開昭61−198120号公報等に記載されているように、エン
ジンルームの前面におけるラジエータサポートパネル等
のようにエンジンルームを構成する板金部材に穿設した
大気空気取入れ口に、エアクリーナへの大気空気導入管
の先端を接続することにより、エンジンルームを構成す
る板金部材の外側における大気空気を取り入れるように
している。

しかし、エンジンルームの前面におけるラジエータサ
ポートパネル等のようにエンジンルームを構成する板金
部材は、完全な平面状でない上に、当該板金部材とエア
クリーナとの間における寸法には、可成り大きい誤差を
有するものであるから、エアクリーナへの大気空気導入
管の先端を、前記板金部材における大気空気取入れ口に
接続するには、総て現物合せにしなければならず、多大
の手数を必要とし、組立てに要するコストが可成りアッ
プするのであり、エンジンルームを構成する板金部材に
おける振動系と、エアクリーナへの大気空気導入管にお
ける駆動系とは相違していることにより、前記大気空気
取入れ口に対する大気空気導入管の接続部にきしみ音が
発生すると共に、前記接続部に緩みができ、この緩みの
部分よりエンジンルーム内における暖かい空気、及び水
分等を吸入すると云う不具合が発生するのであった。

また、別の先行技術としての実開昭56−30118号公報
及び実開昭59−60026号公報は、前記大気空気取入れ口
付き板金部材の内面と、大気空気導入管の先端との間
に、その間の隙間を詰めるようにゴム等の軟質弾性体に
てリング状に形成したシール体を介挿することによっ
て、組立てに要する手数の低減、振動伝達の低減を図る
ことを提案しているが、ここに使用しているシール体
は、中空状でなく弾力性が低いから、板金部材の内面と
大気空気導入管の先端との間における大きい寸法誤差を
対応することができず、その間に隙間ができたり、或い
は、前記シール体における過度の圧縮変形により板金部
材と大気空気導入管との間における振動差を吸収できな
いと言う問題が発生するのであった。

本考案は、このように、車体フレームにおける空気取
入れ口付き板金部材と、エアクリーナへの大気空気導入
管の先端との間に、その間の隙間を詰める軟質弾性体製
のシール体を介挿する場合において、前記シール体を特
殊な形状することによって、前記の問題を解消すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、 「エンジンルームの前面におけるラジエータサポートパ
ネル等のようにエンジンルームを構成する板金部材に穿
設した大気空気取入れ口と、該大気空気取入れ口からの
大気空気をエアクリーナに導くための大気空気導入管と
から成り、前記大気空気導入管の先端と、大気空気取入
れ口付き板金部材の内面との間に隙間を形成し、前記大
気空気導入管の先端と、前記大気空気取入れ口付き板金
部材の内面との間に、その間の隙間を詰めるようにゴム
等の軟質弾性体にてリング状に形成したシール体を介挿
して成る吸気装置において、前記ゴム等の軟質弾性体製
のシール体を、前記大気空気導入管の先端に被嵌装着し
た基部と、この基部から径大に拡大するように一体的に
延びるラッパ部と、このラッパ部から内側に向かって適
宜半径の円弧状に湾曲するように一体的に延びるカール
部とで構成して、このカール部の外側面を、前記板金部
材の内面のうち前記大気空気取入れ口の周囲の部分に接
当する。」 〔考案の作用・効果〕 エアクリーナへの大気空気導入管の先端と大気空気取
入れ口付き板金部材の内面との間にその間の隙間を詰め
るように介挿する軟質弾性体製をシール体を、前記のよ
うに、前記大気空気導入管の先端に被嵌装着した基部
と、この基部から径大に拡大するように一体的に延びる
ラッパ部と、このラッパ部から内側に向かって適宜半径
の円弧状に湾曲するように一体的に延びるカール部とで
構成して、このカール部の外側面を、前記板金部材の内
面のうち前記大気空気取入れ口の周囲の部分に接当する
と言う構成にしたことにより、前記シール体におけるカ
ール部を板金部材の内面に対して軸線の方向に押し付け
たとき、シール体におけるラッパ部よりも先に前記カー
ル部が、その弾性に抗して変形し、次いで、前記ラッパ
部が、その弾性に抗して変形することになるから、これ
らの弾性変形によって、前記大気空気導入管の先端と大
気空気取入れ口付き板金部材の内面との間における大き
い寸法誤差を十分に吸収することができると共に、この
シール体におけるカール部を前記板金部材の内面に対し
て各所略等しく圧力で確実に密接することができるので
ある。

従って、本考案によると、エンジンルームを構成する
板金部材における大気空気取入れ口に対して、エアクリ
ーナへの大気空気導入管を接続することを、現物合せに
する必要がなく、前記板金部材の内面に対して、大気空
気導入管の先端におけるシール部材を押圧することによ
って、至極容易にでき、その接続に要する組立て手数を
大幅に軽減できると共に、接続部におけるきしみ音の発
生、及び接続部よりエンジンルーム内における暖かい空
気及び水等を吸入をすることを確実に防止でき、しか
も、前記板金部材と大気空気導入管との相互間におけ振
動の伝達を略完全に遮断できる効果を有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面について説明すると、図
において符号１は、車体フレーム２のフロントにおける
エンジンルーム３内に搭載した内燃機関を示し、該内燃
機関１への吸入空気は、前記車体フレーム２における右
側のフェンダ４とその内側のフェンダエプロン５との間
における空間部６内に配設した空気導入装置７より取り
入れられたのち、前記エンジンルーム３内に配設したエ
アクリーナ８及び吸気マニホールド９を経て内燃機関１
に導くように構成されている。

前記空気導入装置７は、前記空間部６内の下部に配設
した水抜き孔11付き拡張室10と、該拡張室10から各々上
向きに突出する大気空気導入管12及び出口管13と、前記
大気空気導入管12の途中に接続したレゾネータ14とによ
って構成され、前記出口管13は、前記エアクリーナ８に
接続されている一方、前記大気空気導入管12の上端に
は、前向きに向けて開口部15が設けられ、この開口部15
は、前記エンジンルーム３における前面を構成するラジ
エータサポートパネル16に穿設した大気空気取入れ口17
に連通している。

そして、前記大気空気導入管12の上端における開口部
15と、前記ラジエータサポートパネル16の内面との間
に、適宜寸法（Ｓ）の隙間を設け、この隙間内に、当該
隙間を詰めるようにゴム等の軟質弾性体にてリング状に
形成したシール体18を介挿する。

このシール体18を、前記大気空気導入管12の先端の開
口部15に被嵌装着した基部18aと、この基部18aから肉厚
さを次第に薄くしながら径大に拡大するように一体的に
延びるラッパ部18bと、このラッパ部18bから肉厚さＴを
略同じで内側に向かって適宜半径Ｒの円弧状に湾曲する
ように一体的に延びるカール部19とで構成して、このカ
ール部19の外側面を、前記ラジエータサポートパネル16
の内面のうち前記大気空気取入れ口17の周囲の部分に接
当するように構成する。

シール体18を、このように構成すると、当該シール体
18におけるカール部19をラジエータサポートパネル16の
内面に対して軸線の方向に押し付けたとき、シール体18
におけるラッパ部18bよりも先に前記カール部19が、そ
の弾性に抗して変形し、次いで、前記ラッパ部18bがそ
の弾性に抗して変形することになるから、これらの弾性
変形によって、前記大気空気導入管12の先端と大気空気
取入れ口17付きラジエータサポートパネル16の内面との
間における大きい寸法誤差を十分に吸収することができ
ると共に、このシール体18におけるカール部19を前記ラ
ジエータサポートパネル16の内面に対して各所略等しく
圧力で確実に密接することができるのである。

なお、前記シール体18におけるカール部19の底部に
は、空気の出し入れと、水抜きとを行うための小径の孔
20が穿設されている。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本考案の主要部
を示す図で第４図の要部拡大図、第２図はシール体を接
当する前の状態を示す図、第３図は車体フレームの平面
図、第４図は第３図のIV−IV視拡大断面図、第５図は第
４図のＶ−Ｖ視断面図である。 １……内燃機関、２……車体フレーム、３……エンジン
ルーム、４……フェンダ、５……フェンダエプロン、16
……ラジエータサポートパネル、17……大気空気取入れ
口、８……エアクリーナ、９……吸気マニホールド、10
……拡張室、14……レゾネータ、12……大気空気導入
管、15……大気空気導入管の開口部、18……シール体、
18a……シール体における基端、18b……シール体におけ
るラッパ部、19……シール体におけるカール部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンルームの前面におけるラジエータ
   サポートパネル等のようにエンジンルームを構成する板
   金部材に穿設した大気空気取入れ口と、該大気空気取入
   れ口からの大気空気をエアクリーナに導くための大気空
   気導入管とから成り、前記大気空気導入管の先端と、大
   気空気取入れ口付き板金部材の内面との間に隙間を形成
   し、前記大気空気導入管の先端と、前記大気空気取入れ
   口付き板金部材の内面との間に、その間の隙間を詰める
   ようにゴム等の軟質弾性体にてリング状に形成したシー
   ル体を介挿して成る吸気装置において、前記ゴム等の軟
   質弾性体製のシール体を、前記大気空気導入管の先端に
   被嵌装着した基部と、この基部から径大に拡大するよう
   に一体的に延びるラッパ部と、このラッパ部から内側に
   向かって適宜半径の円弧状に湾曲するように一体的に延
   びるカール部とで構成して、このカール部の外側面を、
   前記板金部材の内面のうち前記大気空気取入れ口の周囲
   の部分に接当することを特徴とする自動車用内燃機関の
   吸気装置。