JP2513084Y2 - 歩行型単車軸作業車の伝動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、管理機（ガーデントラ
クタ）などのような歩行型単車軸作業車において、走行
部および作業機にエンジンの動力を伝達する伝動装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の歩行型単車軸作業車は、ミッショ
ンケースから延設するフレームにエンジンを横置きに搭
載し、横向きのエンジン出力軸と前記ミッションケース
の入力軸との間をベルト伝動機構で連動連結し、また、
エンジンとは反対側においてミッションケースに装着す
る作業機は、前記入力軸とそれに対して平行に設けられ
る作業機の受動軸との間を動力取出用のベルト伝動機構
で連動連結して駆動するように構成されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の歩行型単車軸作
業車においては、ミッションケースの入力軸に受けた動
力で走行部と作業機が共通に駆動されるから、走行部を
多段又は無段に変速設定される動力でもって駆動するた
めには、それを満足する変速機をミッションケース内に
組み入れねばならなくて、ミッションケース引いては機
全体の前後方向および上下方向のコンパクト性が損なわ
れるうえ、機体の幅方向においては前記ベルト伝動機構
が横に張り出すことも重なって殊にコンパクト性が損な
われることになって操縦取扱面など種々の面に不利が生
ずる問題があった。本考案は、このような問題を解消す
ることを目的として実施したものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案における歩行型単車軸作業車の伝動装置
は、車軸を駆動する走行伝動部を内装したミッションケ
ース本体１０を略直立状に設け、該ミッションケース本
体１０に、機体左右方向に横設する車軸４に対して直交
するＰＴＯ軸３５を機体前後方向にミッションケース本
体１０内を縦断状態に架設し、該ＰＴＯ軸３５の一端部
をミッションケース本体１０の前後方向の一側部に装設
するヒッチ６の囲包空間内に延出させるとともに、ＰＴ
Ｏ軸３５の他方端部を、ミッションケース本体１０の前
後方向の他がわにおいて無段変速部１１を挟んで装設さ
れるエンジン３の出力軸１３に連動連結し、且つ、前記
無段変速部１１の出力軸２９を前記ＰＴＯ軸３５に対し
て上下に位置を異ならせて装設して、該出力軸２９を前
記走行伝動部に連動連結して構成しているものである。
そして、前記無段変速部１１をミッションケース本体１
０に連設される別体の収容箱内に組成し、且つ、前記Ｐ
ＴＯ軸３５を無段変速部１１の入力軸１５に結合し、該
入力軸１５を介してエンジン３の出力軸１３に連動連結
して構成することができる。

【０００５】

【実施例】以下、本考案を歩行型単車軸作業車の一つで
ある管理機に適用した実施例について図面を参照して説
明する。図１は本考案による伝動装置の断面図、図２は
本考案伝動装置の作業機伝動部を抽出拡大して示した断
面図、図３は変速操作機構の操作索の要部を拡大して示
した断面部分図、図４は本考案装置が実施された歩行型
単車軸作業車の全体側面図である。

【０００６】図４において、管理機（歩行型単車軸作業
車１）は、ミッシヨンケース２の前側または後側に装備
されるエンジン３の動力を、ミッシヨンケース２内の伝
動機構から車軸４、４に伝動して、車軸に嵌着された走
行車輪５、５を強制回転駆動するとともに、前記エンジ
ン３とは反対側にあってミッションケース２に連設する
ヒッチ６に着脱自在に装される作業機７に、上記伝動機
構中の作業機伝動部から動力伝達できるように構成され
ている。また、ミッションケース２の上部に設けた基台
８に操縦ハンドル杆９を延出向き変更可能に取り付け
て、ハンドルターン型の管理機に構成されている。

【０００７】図１において、ミッションケース２は、略
直立して設けられる縦長なミッションケース本体１０の
後側に無段変速部１１を、前側にヒッチ６を一体または
一体的に連設して形成され、無段変速部１１の収容箱の
後側にエンジン３を直装するようになっている。そし
て、無段変速部１１の収容箱内にエンジン３の出力軸１
３の前端部が延設されて、収容箱内の無段変速機１４の
入力軸１５に連動されている。

【０００８】実施例の無段変速機１１は、入力軸１５に
嵌着固定される入力円板１６と、入力円板１６から所定
距離隔てた部位において入力軸１５に遊嵌される出力円
板１７と、両円板１６、１７の間に介装される複数の遊
星コーン１８と、遊星コーン１８の円錐面に摩擦係合す
る変速リング１９ならびにそれを入力軸１５の軸心方向
に移動させるシフター２０等から構成され、変速リング
の移動によって、出力円板１７側に取り出される動力の
回転を０から設定された最高速までの間で無段階に変え
られるように構成されている。

【０００９】前記シフター２０は、無段変速部１１に摺
動自在に支承されたシフト軸２１に嵌着固定され、ミッ
ションケース本体１０の上部に延出されるシフト軸２１
の端部に設けられた作動金具２２に係合する作動アーム
２３を遠隔操作索２４で作動させることによって軸心方
向に移動されるようになっている。

【００１０】なお、遠隔操作索２４は、前記操縦ハンド
ル杆９の操縦手元部に設置された変速レバー２５に連繋
され、変速レバー２５を回動操作することにより、作動
アーム２３を介してシフト軸２１を軸心方向に移動させ
て変速リング１９の位置を変じることができるようにな
っている。

【００１１】また、遠隔操作索２４の先端側は、前記操
縦ハンドル杆９の転向中心Ｐを通って同心状に延出さ
れ、その操作索２４のインナー２６の先端部に装備する
Ｕ字条の連結金具２７を介して上記作動アーム２３に連
結し、操縦ハンドル杆９の転向に際して操作索２４が捩
じれることがないように工夫されている。

【００１２】そして、無段変速機１４の前記出力円板１
７にはギア２８が設けられ、これにピニオン軸２９に嵌
着された受動ギア３０が常時噛合され、さらに、ピニオ
ン軸２９の先端にはピニオンベベルギアが設けられて、
該ベベルギアがミッションケース本体１０内に収容構成
される走行伝動部の受動ベベルギアに連動連結されてい
る。

【００１３】走行伝動部は、無段変速機の入力軸１５に
対して直交する方向の軸３１、３２及び車軸４、４にギ
ア群を配設して構成されている。軸３１には、前記ピニ
オンベベルギアに常時噛合する一対の受動ベベルギアと
両ベベルギア間に摺動自在に嵌着されるクラッチ体とか
らなる正逆転切換部が装設され、該切換部の前記クラッ
チ体をシフトホーク３３でもって両ベベルギアに択一に
係合されることにより次位の軸３２に正逆転動力を伝達
し、その軸３２から車軸４、４に動力伝達するようにな
っている。

【００１４】なお、車軸４、４には操向クラッチが組入
れられ、各操向クラッチを操作具３４で各別に断続操作
できるようになっている。

【００１５】一方、上記無段変速機１４の入力軸１５の
他端部には機体左右方向に横設する車軸４に対して直交
し、機体前後方向にミッションケース１０内を縦断状態
に架設されたＰＴＯ軸３５が連動連結され、そのＰＴＯ
軸３５がミッションケース１０をよぎってヒッチ６の囲
包空間内に延出され、その延出部分には、クラッチレバ
ー３６により断続操作できるクラッチ３７（図示のもの
は多板クラッチになっている）が装備されて作業機伝動
部３８が構成されている。

【００１６】作業機伝動部３８におけるクラッチ３７の
被動側３９には、作業機における入力部の受動体（図示
省略）に係脱する駆動体４０が軸心方向摺動自在に嵌装
されて、その駆動体４０が押圧バネ４１によって前記受
動体に係合勝手に弾圧付勢されている。

【００１７】

【作用】このように構成された管理機１においては、ミ
ッシヨンケースのヒッチ６に作業機７を取付けるに際
し、作業機７をヒッチ６に所期のように合致させると、
作業機がわの受動体が、ヒッチ６内に位置する作業機伝
動部３８の駆動体４０に係合して作業機がわがＰＴＯ軸
３５に連動連結される。

【００１８】ついで、エンジン３を始動し、クラッチレ
バー３６で作業機伝動部３８のクラッチ３７を接続操作
して作業機稼働状態にするとともに、変速レバー２５を
操作して管理機１を進行させて作業を行なうのである
が、変速レバー２５がニュートラル位置にある場合は、
無段変速機１４の変速リング１９が図１の状態に位置
し、無段変速機１４は無出力状態になっていて車軸４、
４は作動しない。なお、この無出力状態においても、無
段変速機１４の入力軸１５およびそれに連動連結された
ＰＴＯ軸３５は回転しているので、クラッチ３７を接続
操作することにより、機体停止状態のまま作業機７を稼
働することができる。

【００１９】しかして、変速レバー２５をニュートラル
位置から前又は後方に動かせば、走行伝動部が前進又は
後進状態に切り替わるとともに、変速レバー２５の移動
量に応じて変速操作索２４が押し引きされてシフター２
０により変速リング１９が増速方向（図１の右方）に移
動され無段変速が行なわれるのであり、任意に無段変速
設定された速度で管理機１が進行し、その進行中に、Ｐ
ＴＯ軸３５を介して伝達される動力でもって作業機７が
駆動されて所期の作業が行なわれるのである。

【００２０】本考案における歩行型単車軸作業車の伝動
装置は、以上に説明したように構成されているので、以
下に記載されるような効果を奏する。 略直立するミッションケース本体１０の前および後
側部に無段変速部１１とヒッチ６が振り分け状に位置
し、無段変速部に隣接配置されるエンジン３からヒッチ
６部への動力伝達を、機体前後方向にミッションケース
本体１０内を縦断状態に架設されるＰＴＯ軸３５で行な
うようにしているので、それらによって構成されるミッ
ションケース全体が前後、上下、横幅方向の全てにおい
てコンパクトに纒まり、走行伝動部を無段階に変速設定
する動力でもって駆動できるものであるにも拘らず、機
体を小型化し且つ重心位置の低い安定したものに構成す
ることができる。

【００２１】 ヒッチ６部への動力伝達は、無段変速
部１１を経ず且つミッションケース本体１０内の伝動系
を経ないでエンジン出力軸から直接に行なわれ、無段変
速部１１の出力軸２９は、ＰＴＯ軸３５に対し独立して
無段変速設定された動力を走行伝動部に伝達されるの
で、定速運転が必要な作業機７をヒッチ６に装備して作
業する場合でも難なく良好に作業することができ、ま
た、機体を停止したままでＰＴＯ軸３５を稼働して行な
う作業をも良好に行なうことができる。

【００２２】 さらに、無段変速部１１をミッション
ケース本体１０に連設される別体の収容箱内に組成し、
且つ、前記ＰＴＯ軸３５を無段変速部１１の入力軸１５
に結合し、該入力軸１５を介してエンジン３の出力軸１
３に連動連結して構成する場合は、ミッションケース２
全体の組成が容易になり、また、無段変速部１１のメン
テナンスや潤滑等の所作をミッションケース本体１０内
とは別にして適正に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による伝動装置の断面図である。

【図２】本考案伝動装置の作業機伝動部を抽出拡大して
示した断面図である。

【図３】変速操作機構の操作索の要部を拡大して示した
断面部分図である。

【図４】本考案装置が実施された歩行型単車軸作業車の
全体側面図である。

【符号の説明】

２ ミッションケース ３ エンジン ４ 車軸 ６ ヒッチ １０ ミッションケース本体 １１ 無段変速部 １３ エンジンの出力軸 ２９ 無段変速部の出力軸 ３５ ＰＴＯ軸

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車軸（４）を駆動する走行伝動部を内装し
   たミッションケース本体（１０）を略直立状に設け、該
   ミッションケース本体（１０）に、機体左右方向に横設
   する車軸（４）に対して直交するＰＴＯ軸（３５）を機
   体前後方向にミッションケース本体（１０）内を縦断状
   態に架設し、該ＰＴＯ軸（３５）の一端部をミッション
   ケース本体（１０）の前後方向の一側部に装設するヒッ
   チ（６）の囲包空間内に延出させるとともに、ＰＴＯ軸
   （３５）の他方端部を、ミッションケース本体（１０）
   の前後方向の他がわにおいて無段変速部（１１）を挟ん
   で装設されるエンジン（３）の出力軸（１３）に連動連
   結し、且つ、前記無段変速部（１１）の出力軸（２９）
   を前記ＰＴＯ軸（３５）に対して上下に位置を異ならせ
   て装設して、該出力軸（２９）を前記走行伝動部に連動
   連結して構成してある歩行型単車軸作業車の伝動装置。
2. 【請求項２】車軸（４）を駆動する走行伝動部を内装し
   たミッションケース本体（１０）を略直立状に設け、該
   ミッションケース本体（１０）に、機体左右方向に横設
   する車軸（４）に対して直交するＰＴＯ軸（３５）を機
   体前後方向にミッションケース本体（１０）内を縦断状
   態に架設し、該ＰＴＯ軸（３５）の一端部をミッション
   ケース本体（１０）の前後方向の一側部に装設するヒッ
   チ（６）の囲包空間内に延出させるとともに、ＰＴＯ軸
   （３５）の他方端部を、ミッションケース本体（１０）
   の前後方向の他がわにおいて無段変速部（１１）を挟ん
   で装設されるエンジン（３）の出力軸（１３）に連動連
   結し、且つ、前記無段変速部（１１）の出力軸（２９）
   を前記走行伝動部に連動連結して構成される伝動装置で
   あって、無段変速部（１１）がミッションケース本体
   （１０）に連設される別体の収容箱内に組成され、且
   つ、前記ＰＴＯ軸（３５）が無段変速部（１１）の入力
   軸（１５）に結合され、該入力軸（１５）を介してエン
   ジン（３）の出力軸（１３）に連動連結されている歩行
   型単車軸作業車の伝動装置。