JP2512840Y2 - コンバインにおけるサイドガイド構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、茎稈の刈取り収穫を行うコンバインにおけ
るサイドガイド構造に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、コンバインにおいては、機体の未刈り地側面
部にサイドガイドを突出するように設けて、未刈り茎稈
が走行機体側へ倒れ込むことを防止するようにしてい
る。ところでこのサイドガイドは、非作業走行時には邪
魔となるので機体側面に沿うよう収納する必要が有る。
そこで従来、前処理部から機体後部に至る前後方向に長
いサイドガイドを取付け、該サイドガイドを、機体未刈
り地側に突出する作用姿勢から上方に揺動させて機体側
面部に沿う収納姿勢に変姿できるよう構成していたが、
このものでは、手扱ぎ作業をする場合にサイドガイドが
邪魔になるという問題が有る。

そこで実開昭60-10435号公報に示される如く前記長い
サイドガイドの後端部を、可撓性部材を介して機体後部
に連結する一方、中間部を左右方向位置調節自在な調節
ロツドに連結し、該調節ロツドの左右移動調節によつ
て、サイドガイドを未刈り地側に突出する作用姿勢と機
体下部側に収納される収納姿勢とに変姿できるようにし
て、収納時においてサイドガイドが手扱ぎ作業の邪魔に
ならないように構成したものがあるが、このものは、機
体が後進する場合に可撓性部材が未刈り茎稈や畦等に接
触して必要以上に変形してしまう惧れもあつて、早期の
うちに破損しやすく信頼性に問題が有る。

これに対して、実開平1-99112号公報に示される如く
サイドガイドを前後ガイドに分割し、そしてその中間部
を左右方向に移動調整できるようにしたものがあるが、
このものは、作用姿勢状態で未刈り茎稈が前後ガイドの
連結部を直接通つて案内される構成になつているため、
どうしても該連結部に茎稈等が絡み付きやすく、この結
果、連結部が固くなつてサイドガイドの円滑収納が損な
われる許りでなく、連結部に未刈り茎稈が引掛つて脱粒
してしまうという問題が有り直ちに採用できるものでは
ない。

［課題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一
掃することができるコンバインにおけるサイドガイド構
造を提供することを目的として創案されたものであつ
て、機体の未刈り地側の部位に、未刈り茎稈の案内をす
るサイドガイドを設けてなるコンバインにおいて、前記
サイドガイドを、前端部が前処理部に左右揺動自在に支
持され、後端部が機体側に左右調節自在に設けた調節ロ
ツドに前後移動自在でかつ左右および上下揺動できるよ
う融通状態で支持される前側ガイドと、前端部が前記調
節ロツドに左右揺動自在に支持され、後端部が機体後部
側に支持される後側ガイドとで形成するにあたり、前側
ガイドの後端部は、後側ガイドの調節ロツド支持位置よ
り未刈り地側を通つて後方に延長し、その延長端を既刈
り地側に湾曲して後側ガイド前端部の上側で交差させ、
かつ前側ガイドの後端部既刈り地側に、前側ガイドと間
隙を存して案内バーを設けて前側ガイドと案内バーとの
間に融通孔を形成する一方、調節ロツド先端部に略逆Ｌ
字形で突出する支持体を設け、該支持体に、前記融通孔
を前後方向移動自在でかつ係脱自在に係止して前側ガイ
ド後端部の調節ロツドへの支持をすると共に、前記前側
ガイドの後方への延長部は、前処理部が最上昇した状態
で後側ガイド前端部に対して側面視で略平行状態で上下
に重なるように設定されていることを特徴とするもので
ある。

そして本考案は、この構成によつて、サイドガイドを
前後ガイドに分割し、これらを機体下部に収納できるよ
うにしたものでありながら、サイドガイドの円滑収納と
脱粒防止とを達成することができるようにしたものであ
る。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図面において、１はコンバインの走行機体であつて、該
走行機体１は、茎稈の刈取りをする前処理部２、該刈取
られた茎稈の脱穀処理をする脱穀部３、脱穀処理された
排稈の結束等を行う後処理部４、クローラ型走行装置５
等の部材装置によつて構成されていることは何れも従来
通りである。

６は機体の未刈り地側面に設けられるサイドガイドで
あつて、該サイドガイド６は前側サイド７と後側サイド
８の二分割型に構成されている。即ち、前側ガイド７
は、中間部が屈曲して略く字形状をしているが、その前
端部は前処理部２のデバイダ９を支持するフレーム10に
ピン軸10aを介して左右揺動自在に支持されている。ま
た前側ガイド７の後端部は、調節ロツド13よりも後方に
延長され、この延長部7aの端部が機体側（既刈地側）に
向けて湾曲し、さらにこの延長部7aを含む状態で案内バ
ー11が機体内側に位置して略平行状に固着され、これに
よつて融通孔12が形成されている。

一方、13は機体側に左右方向移動調節自在に設けられ
た調節ロツドであつて、該調節ロツド13の先端部（未刈
り地側端部）には略コ字形をした支持体13aの下端部が
一体的に連結されており、これによつて支持体13aは略
逆Ｌ字形で突出しているが、この支持体13aに前記融通
孔12を貫通係止することによつて、前側ガイド７の後端
部は、係脱可能で、かつ前後移動自在で左右および上下
揺動できる融通状態で支持されている。さらに調節ロツ
ド13の先端部には、支持体13aよりも既刈地側に位置し
てピン軸13bが突設されており、このピン軸13bに前記後
側ガイド８の前端部を左右揺動自在に支持しており、こ
れによつて、調節ロツド13による各ガイド７、８の支持
位置は、前側ガイド７の方が後側ガイド８よりも未刈り
地側に位置するよう構成されていると共に、前側ガイド
７の後端部は、調節ロツド13による支持位置よりも後方
に延び、そして調節ロツド13を未刈り地側に突出させた
作用姿勢状態で、前側ガイド湾曲部7aが後側ガイド８の
前端部に対して未刈り地側から既刈地側に向けて上側で
交差するようになつている。尚、後側ガイド８の後端部
は、機体側に設けた挿通リング14に前後移動自在に遊嵌
支持されている。

さらに、前記前処理部２は機体に対してＡ位置を支点
として上下揺動するものであるが、その場合に、前側ガ
イド７の後端部は、支持体13aに対して前後移動しつつ
上下揺動することになるが、前処理部２が最上昇した状
態で最下降した状態において、それぞれ支点Ａを通る前
側ガイド７の法線のなす角度を略二等分した線上に前記
支持体13aが位置する構成になつており、これによつて
前処理部２の上下揺動による前側ガイド７後端部の支持
位置における上下変動を最小限に抑えることができるよ
うに配慮されている。そして前記前処理部２を最上昇さ
せた場合に、第２図Ｂで明らかなように、前側ガイド７
の後方への延長部7aは、後側ガイド８の前端部に対して
側面視で略平行状態で上下に重なるように設定されてい
る。

また、15は前処理部に設けられる穂先搬送体であつ
て、該穂先搬送体15は、駆動スプロケツト16、受動ロー
ラ17、これらが軸承されるケース体18、および駆動スプ
ロケツト16、受動ローラ17間に懸回され複数の爪19を有
したチエーン20等の部材によつて構成されているが、上
記駆動スプロケツト16の歯16aは、その突出する山部が
低めに形成されている。更に、受動ローラ17には、チエ
ーン20のテンシヨン調整が自動的に成されるよう付勢弾
機21a等から構成される自動調整機構21が設けられてい
る。そして、茎稈詰まり等による過負荷が爪19に働いた
場合、自動調整機構21が作動しチエーン20は弛むが、こ
のとき駆動スプロケツト16は歯16aが低く形成されてい
るので簡単にチエーン20が外れて空転するようになつて
おり、これによつて過負荷時における爪19等の変形、破
損を防止できるようになつている。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、サイ
ドガイド６は、前側ガイド７と後側ガイド８の二分割型
に構成されており、そして前述したように調節ロツド13
を機体左右方向に移動せしめることによつて、前側ガイ
ド７および後側ガイド８は、機体下側において、機体未
刈り地側に突出する作用姿勢と機体未刈り地側面に近接
状に沿う収納姿勢とに変姿することとなる。

この様に、本考案が実施されたものにあつては、サイ
ドガイド６を分割型とし、しかも両ガイド７、８の連結
部を、上方に持ち上げて収納すること無く、左右方向に
略水平状に移動させて機体下側に収納できるようにし
て、手扱ぎ作用の際にサイドガイド６が邪魔になること
が無いようにしているが、前記作用姿勢としたとき、前
側ガイド７の後端部は、調節ロツド13による支持位置よ
りも後方に延び、そして後側ガイド８の前端部に対して
機体外方の未刈り地側位置から既刈地側に向けて交差す
る重合構成になる。この結果、サイドガイド６によつて
案内される未刈り茎稈は、両ガイド７、８の重合部にお
いて、未刈り地側に位置する前側ガイド７の後端部から
後側ガイド８の前端部に円滑に継送される。しかもこの
重合部は、前側ガイド７の後端部が後端ほど既刈地側に
寄つて交差しているから、前側ガイド７から後側ガイド
８への茎稈継送経路に未刈り地側に突出するような段差
ができてしまうような不具合が無く、ごく自然に流れる
ような継送経路にできて、未刈り茎稈が絡み付いたりす
ることを回避し、脱粒を防止できると共に、後進時にお
いても支承なく未刈り茎稈の案内ができる。

そのうえ、前側ガイド７の後端部には、内側に案内バ
ー11を一体的に固着して融通孔12を形成し、調節ロツド
13側に設けた支持体13aを遊嵌して支持されるものであ
るため、前側ガイド７の未刈り地側縁は、突起が無く平
滑なものとなり、これによつて未刈り茎稈を引掛りのな
い滑らかな状態で案内できて、脱粒等の不具合をより一
層無くすることができるという利点が有る。

しかも、前側ガイド７の延長部7aは、前処理部２を最
上昇した状態で後側ガイド８の前端部に対して側面視で
略平行状態で上下に重なるように設定されているため、
延長部7aの先端が前述したように後側ガイド８に上側か
ら交差する構成にしながら、前記前処理部２を最上昇し
たとき、支持体13の案内バー11係止位置が上方に変位し
てしまうことがなく、これによつて、案内バー11の突出
量は低いものでよいことになつて、サイドガイド６の上
方において既刈り地側に凭れる茎稈に対する抵抗も小さ
くできる。

さらに、この支持体13は、逆Ｌ字形をしていて融通孔
12に係脱自在に係止するから、前側ガイド７を交換した
い場合に、その交換作業が容易である。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたもので
あるから、サイドガイドを前後ガイドの分割型とし、し
かもこれらを調節ロツドの左右移動によつて収納姿勢と
作用姿勢とに変姿できるようにして、手扱ぎ作業の際に
サイドガイドを低位置に収納して邪魔にならないように
したものであるが、未刈り地側に突出する作用姿勢とし
た場合に、前側ガイドは、延長部が後側ガイドの調節ロ
ツド連結位置より未刈り地側を通り、その延長端が湾曲
して後側ガイドの前端部に交差する重合構成になる。

この結果、前側ガイドから後側ガイドへの茎稈継送経
路に、未刈り地側に急に突出するような段差ができてし
まうことを回避できて、自然に流れる継送経路になり、
案内される未刈り茎稈が絡み付いたりすることの回避に
有効である。

しかも、前側ガイドの延長部は、前処理部を最上昇し
た状態で後側ガイド前端部に対して側面視で略平行状態
で上下に重なるように設定されているため、延長部先端
が後側ガイドに上側から交差する構成にしながら、前記
前処理部を最上昇したとき、支持体の案内バー係止位置
が上方に変位してしまうことがなく、これによつて、案
内バー突出量を低いものにできて、サイドガイド上方に
おいて既刈り地側に凭れる茎稈に対する抵抗も小さなも
のになる。

さらに、この支持体は、逆Ｌ字形をしていて融通孔に
係脱自在に係止するから、前側ガイドを交換したい場合
に、その交換作業が容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係るコンバインにおけるサイドガイド
構造の実施例を示すものであつて、第１図はコンバイン
の斜視図、第２図Ａ、Ｂはサイドガイド部の平面図、側
面図、第３図は調節ロツド先端部の要部斜視図、第４図
Ａ、Ｂは前側ガイドの平面図、側面図、第５図Ａ、Ｂは
後側ガイドの平面図、一部側面図、第６図Ａ、Ｂは穂先
搬送体の内部平面図、断面図、Ｃは駆動スプロケツトの
平面図である。 図中、１は走行機体、２は前処理、６はサイドガイド、
７は前側ロツド、7aは湾曲部、８は後側ロツド、12は融
通孔、13は調節ロツド、13aは支持体、13bはピン軸であ
る。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体の未刈り地側の部位に、未刈り茎稈の
   案内をするサイドガイドを設けてなるコンバインにおい
   て、前記サイドガイドを、前端部が前処理部に左右揺動
   自在に支持され、後端部が機体側に左右調節自在に設け
   た調節ロツドに前後移動自在でかつ左右および上下揺動
   できるよう融通状態で支持される前側ガイドと、前端部
   が前記調節ロツドに左右揺動自在に支持され、後端部が
   機体後部側に支持される後側ガイドとで形成するにあた
   り、前側ガイドの後端部は、後側ガイドの調節ロツド支
   持位置より未刈り地側を通つて後方に延長し、その延長
   端を既刈り地側に湾曲して後側ガイド前端部の上側で交
   差させ、かつ前側ガイドの後端部既刈り地側に、前側ガ
   イドと間隙を存して案内バーを設けて前側ガイドと案内
   バーとの間に融通孔を形成する一方、調節ロツド先端部
   に略逆Ｌ字形で突出する支持体を設け、該支持体に、前
   記融通孔を前後方向移動自在でかつ係脱自在に係止して
   前側ガイド後端部の調節ロツドへの支持をすると共に、
   前記前側ガイドの後方への延長部は、前処理部が最上昇
   した状態で後側ガイド前端部に対して側面視で略平行状
   態で上下に重なるように設定されていることを特徴とす
   るコンバインにおけるサイドガイド構造。