JP2512178B2 - 腐食環境き裂進展試験装置 - Google Patents

腐食環境き裂進展試験装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は腐食割れなどのき裂進展速度を測定する技術
に係り、特に、直流ポテンシヤル法によりオンラインで
き裂長さを測定して、き裂長さの時間変化からき裂進展
速度を計算し、荷重とき裂長さから応力拡大係数を計算
して、き裂進展速度を応力拡大係数との関係を自動的に
求めると共に、その関係と腐食環境との関係を求めるの
に好適な装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、腐食環境中でのき裂進展速度は、き裂進展試験
に用いられるCT試験片の切欠き部の変位を測定するコン
プライアンス法によるか、または、一旦圧力容器の温度
を下げて、炉外にCT試験片を取り出し、その表面を研磨
して金属顕微鏡でき裂長さを測定していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
それらの方法は、き裂長さ測定精度が良くない、或い
は、一回のき裂長さ測定に十時間程度を要するため、非
常に非効率であり、また、測定回数が限られるため、き
裂進展速度の精度が良くないという欠点があつた。
本発明の目的は腐食環境中のCT試験片のき裂長さをオ
ンラインで評価するために、直流ポテンシヤル法により
測定すると共に、き裂進展速度と応力拡大係数との関係
を精度よく、且つ自動的に算出できる装置を提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的はを達成する手段は、水質を制御できる純水
製造装置から加圧加熱装置を通して高温純水を供給され
る圧力容器と、前記圧力容器内にセンサを備えた水質モ
ニタ手段と、前記圧力容器の内に設置されたコンパクト
型の試験片と、前記試験片に荷重を負荷するための治具
の一端を前記圧力容器の外部に設けた荷重検出器を介し
て接続された油圧シリンダと、前記油圧シリンダに連通
接続されたアキュムレータと、前記アキュムレータに連
通接続された油圧ポンプと、前記試験片に電気的に接続
された数組のリード線対と、前記リード線対に電気的に
接続された前記圧力容器の外部に設けた直流電源及び微
小電位差計と、前記荷重検出器と前記微小電位差計から
の検出情報を入力とし、前記数組みのリード線対が設置
される複数カ所の電位差の比を求めてから前記試験片の
き裂長さを求め、前記荷重と前記き裂長さから求めたき
裂の応力拡大係数とき裂進展速度の関係を演算するプロ
グラムが装備された演算手段と、前記演算手段の演算結
果に基づいて前記コンパクト型の試験片の前記複数カ所
の電位差の比から得られたき裂長さの時間、または前記
微小電位差計による電位差測定繰返し数に対する関係、
及び応力拡大係数とき裂進展速度の関係を表示するデイ
スプレイと、それの関係のデータをハードコピーに出力
するプリンタとを備えている腐食環境き裂進展試験装置
である。
〔作用〕
水質モニタ手段で腐食環境条件を確認した上で、アキ
ュムレータからの供給圧でCT試験片の亀裂進展に伴うCT
試験片への荷重変動を抑制しつつ試験条件を安定化さ
せ、圧力容器内の腐食環境条件下のCT試験片の電位差を
リード線でオンラインで測定し、その測定結果並びに荷
重信号を演算手段に入力して、き裂長さ,き裂進展速
度,応力拡大係数を演算するプログラムで演算処理し、
き裂進展速度と応力拡大係数の関係や、き裂進展速度と
腐食環境の関係を自動的に、且つ、安定な試験条件下で
精度良く算出することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を説明する。第1図は本発明
の腐食環境き裂進展試験装置を示すものである。高温純
水中でCT試験片2に引張り荷重を負荷するために環境中
荷重負荷装置1の圧力容器3には、純水製造装置4から
加圧加熱装置6を介して高温高圧の純水が供給される。
純水は制御装置5により溶存酸素濃度などの水質を制御
される加圧加熱装置6でほぼ所定の温度まで加熱される
が、途中の配管で多少温度が低下するため、圧力容器3
は外部に設けたヒーター7により温度調節器8で所定の
温度に加熱、保持される。複数のCT試験片2は互いに接
続用治具9′により連結され、一端は保持治具9″を介
して圧力容器3に固定され、もう一端は別の保持治具9
を介して圧力容器3の外部に引き出されて、荷重検出器
21に接続され、更に荷重検出器21は油圧シリンダ11のピ
ストンロツドの先端に取付けられる。圧力計15を有する
油圧ポンプ16から油圧シリンダ11への配管13の途中には
ストツプバルブ14とアキユムレータ12を設ける。CT試験
片2に荷重を負荷する場合には、油圧ポンプ16で所定の
圧力、または、荷重に設定した後、ストツプバルブ14を
閉める。しかし、き裂の進展に伴つてCT試験片のき裂開
口量大きくなつて、油圧シリンダ11のピストン位置が移
動すると圧力が下がつてCT試験片に加わる荷重が低下す
るが、アキユムレータ12により圧力が低下しないように
する。このように、荷重負荷時に油圧系システムを用い
ると、従来のカンチレバー式による静荷重負荷方式に比
して機構が簡単で、コンパクトな構造とすることが可能
である。
CT試験片2にスポツト溶接された直流電流供給用及び
電位差測定用のリード線31は、ハーメチツクシール等を
介して圧力容器3の外側に引出し、電位差測定水質監視
装置29に配線する。CT試験片2へのリード線31の配線方
法については後述する。複数の直流電源32,32′から供
給される直流電流はその極性を電流極性切換え装置33に
より間欠的に切換えられて、直流電流供給用リード線31
を介してCT試験片2に供給される。電位差測定用のリー
ド線31′、31″は、マルチプレクサ34により測定される
位置を切り換えられて微小電位差計35に接続されて、電
位差を測定される。測定された電位差はGP−IBインター
フエース39を介してコンピユータ37に転送される。電流
極性切り換え装置33やマルチプレクサ34はインターフエ
ース40を介してコンピユータ37に制御される。
CT試験片2に負荷される荷重は負荷時の圧力計15の指
示値により分かるが、デジタルデータとしてコンピユー
タ37に取り込むため、荷重検出器21の信号はアンプ22を
介して増幅され、AD変換された荷重データはインターフ
エース39または40を介してコンピユータ37に転送され
る。
圧力容器3の水質は純水製造装置4に付属している溶
存酸素濃度計や電気電導度計などにより確認されるが、
高温である圧力容器内では室温とは異なることもあるた
め、CT試験片2の腐食雰囲気を測定するために、圧力容
器3の内部には腐食電位を測定するECPセンサー26を設
置し、水質モニター30と接続して、そのデータはコンピ
ユータ37に転送される。
コンピユータ37では、腐食試験を開始すると、試験時
間データと共に一定時間毎に測定される電位差からCT試
験片2のき裂長さを後述する方法により計算し、同時に
ECPセンサ26の出力から腐食電位を記録する。そしてき
裂進展曲線を求めて、その勾配からき裂進展速度を計算
し、負荷された荷重とき裂長さから計算される応力拡大
係数との関係を求めて、CRT38の画面上に表示したり、
プリンタ36に出力する。
以下に具体的な腐食進展試験装置の機能を示す。第2
図は腐食き裂進展試験全体のフローチヤートである。ス
テツプ(1)でCT試験片の取り付け、純水の温度や水質
の設定、などの初期状態を設定する。ステツプ(2)で
油圧シリンダ16により油圧シリンダ11に高圧を付与して
CT試験片2に荷重を負荷する。ステツプ(3)で試験を
開始すると、ステツプ(4)で試験時間測定用の時計を
スタートさせる。ステツプ(5)でCT試験片2の電位差
を測定し、き裂長さa/Wを計算する。試験中はステツプ
(6)で試験条件としての水質,温度,圧力,荷重等を
チエツクし、もし、異常があれば、ステツプ(7)で警
報を出力してステツプ(8)で試験を中止する。ステツ
プ(6)で試験条件が正常であれば、ステツプ(9)で
測定終了か否かをチエツクして、試験が継続中であれ
ば、ステツプ(10)でき裂長さa/Wが0.9以上であるか否
かをチエツクして、0.9より小さければステツプ(5)
に戻つて、再び、き裂長さ測定のため、電位差を測定す
る。これを繰返して、き裂長さa/Wが0.9になるまで試験
を継続する。
第3図には直流ポテンシヤル法によるCT試験片2のき
裂長さ測定方法を示す。CT試験片2には直流電流供給用
のリード線31が、例えば、スポツト溶接等により切欠き
側の両端付近に取付けられる。このリード線31は圧力容
器3の外に引き出されて、電位差測定水質監視装置29内
に設けられた複数の直流電源32,32′に接続される。供
給される直流電流はその極性を、インターフエース40を
介してコンピユータ37に制御される電流極性切換え装置
33により間欠的に切換えられる。測定される電位差のう
ち、基準電位差測定用のリード線31′はCT試験片のき裂
前方の端面の両端付近に取付け、き裂長さ測定のための
電位差測定用のリード線31″は、切欠きの両側に取付け
る。二カ所の電位差VoとVは、マルチプレクサ34により
測定される位置を切り換えられて微小電位差計35に接続
されて測定される。測定された電位差はGP−IBインター
フエース39を介してコンピユータ37に転送される。この
ように基準電位差Voと電位差Vの両方を測定するのは、
電位差測定値に係るCT試験片2の比抵抗が温度の影響を
受けるため、その影響を打ち消すために電位差を無次元
化するためである。別の理由としては、万一、直流電源
から供給される電流が何等かの原因で変動した場合、そ
の影響を無くすためである。一方、直流電流の極性を切
り換えて電位差を測定するのは、CT試験片2の材質がリ
ード線31′,31″と異なり、CT試験片2に多少とも温度
分布があると、リード線とCT試験片の間に熱起電力が生
じるため、電流の極性を切り換えて電位差の振幅を測定
することにより、熱起電力の影響を排除するためであ
る。また、感度の良い微小電位差計35を使用するとドリ
フトを避けることはできない。その影響を排除するため
にも電流の極性を切り換えて電位差の振幅を測定するこ
とは有効である。なお、リード線31′,31″の取り付け
位置は有限要素法によるCT試験片の電場解析により感度
が最適と判定された場所である。
第4図には電位差測定のフローチヤートを示す。ステ
ツプ(11)で測定回数n=0としてリセツトする。ステ
ツプ(12)で、例えば、+の電流を流したときの電位差
Vo(+)とV(+)を測定する。ステツプ(13)で電流
極性切換え装置33により電流の極性を切換えて、ステツ
プ(14)で−の電流を流したときの電位差Vo(−)とV
(−)を測定する。ステツプ(15)で電流の極性を切り
換えて元の極性に戻す。ステツプ(16)でnに1を加算
して、ステツプ(17)で測定回数が、例えば、所定の回
数十回を超えたかどうかを判定し、まだ十回に達してい
なければステツプ(12)へ戻る。十回に達した場合に
は、ステツプ(18)で電位差測定値が正常であるか否か
の判定を行い、異常があつた場合にはステツプ(19)で
再測定となり、ステツプ(11)へ戻る。
第5図は電位差測定値の判定サブルーチンフローチヤ
ートである。ステツプ(21)で第4図のフローチヤート
に従い電位差が測定されると、ステツプ(22)で電位差
の振幅Vi=((Vo(+)−V(−))/2とVoi=((Vo
(+)−Vo(−))を計算する。ステツプ(23)では電
位差比V/Voi=Vi/Voiを計算する。ステツプ(24)で
は、電位差測定のばらつきを考慮して、電位差比の最大
と最大から二番目の電位差比と、最小と最小から二番目
の電位差比を除外する。そしてステツプ(25)で残りの
六個の電位差比から平均の電位差比V/Vom=Σ(Vi/Vo
i)/6を計算する。ステツプ(26)では電位差比の標準
偏差σを計算して、ステツプ(27)で、例えば、それが
0.005よりも大きければ、測定異常と判定してステツプ
(28)の再測定を経由してステツプ(21)へ戻る。
第6図には有限要素法による電場解析により得られた
き裂長さ判定のマスターカーブを示す。縦軸は電位差比
V/Vo、横軸はCT試験片の板幅Wで正規化したき裂長さa/
Wである。き裂長さa/Wが0.35程度よりも大きくなると、
電位差比V/Voはき裂長さa/Wにほぼ比例して減少する。
そこで、電位差比からき裂長さへの変換はa/W=0.2〜0.
26,a/W=0.26〜0.36,a/W=0.36〜0.9の範囲でそれぞれ
直線近似式により行うものとした。
第7図にき裂長さ判定のフローチヤートを示す。ステ
ツプ(31)で電位差比V/Voを読み込む。ステツプ(32)
で初期判定として、電位差比の測定エラーチエツクをV/
Vo<5.689であるか否かで判断する。V/Vo>5.689であれ
ば、a/W<0.2となり、存在し得ないき裂長さとなるので
ステツプ(33)で再測定と判定されてステツプ(11)へ
戻る。V/Vo<5.689であれば、一応正常な測定値とな
り、次のステツプ(34)でV/Vo>5.623であればa/W=0.
2〜0.26と判定されて、ステツプ(35)で a/W=5.3718−0.9091V/Vo によりき裂長さa/Wに変換される。次に、ステツプ(3
6)で生のき裂長さaに直される。ステツプ(34)でV/V
o<5.623であれば、次にステツプ(37)でV/Vo>5.225
であればa/W=0.26〜0.36と判定されて、ステツプ(3
8)で a/W=1.6729−0.2513V/Vo によりき裂長さa/Wに変換される。ステツプ(37)でV/V
o<5.225であれば、次に、ステツプ(39)でV/Vo>2.16
9であればa/W=0.36〜0.9と判定されて、ステツプ(4
0)で a/W=1.2831−0.1767V/Vo によりき裂長さa/Wに変換される。ステツプ(39)でV/V
o<2.169であればa/W>0.9となるので、試験は終了とな
る。
一連のき裂進展試験が終了すると、次のデータ処理が
必要となる。第1図に示した腐食試験機は、全て、コン
ピユータ37により制御され、データ処理も可能である。
そこで、き裂進展曲線の作成,き裂進展速度の計算など
の機能を持たせた。第8図にはき裂進展曲線を示す。縦
軸はき裂長さ、横軸は試験時間である。き裂は試験時間
と共に徐々に進展し、き裂が長くなるにつれて段々進展
速度は早くなる。コンピユータ37では、第9図に示した
ようなフローチヤートに従つて、内蔵の時計と電位差測
定から得られたき裂長さのデータより、ステツプ(41)
で第8図のようなき裂進展曲線をCRT38の画面上に表示
する。同時にステツプ(42)でき裂長さaと試験時間t
より a=A0+A1t+A2t2+A3t3+ …(1) のようなn次式によりき裂進展曲線を最小自乗法により
近似する。次に、ステツプ(43)でき裂長さaと試験時
間tより t=B0+B1a+B2a2+B3a3+ …(2) のようなn次式によりき裂進展曲線の逆関数を最小自乗
法により近似する。ステツプ(44)ではき裂進展曲線を
微分して da/dt=A1+2A2t+3A3t2+ …(3) き裂進展速度の評価式を作成する。ステツプ(45)で
き裂長さの増分Δa毎のき裂長さa(i)を a(i)=ao+n・Δa …(4) によりもとめ、それを(2)式に代入して、a(i)に
対応するt(i)を計算する。ここでaoは初期き裂寸法
であり、通常、0.1mm程度である。nは整数である。ス
テツプ(46)では、得られたt(i)を(3)式に代入
してき裂進展速度da/dt(i)を計算する。次に、ステ
ツプ(47)でき裂長さa(i)と荷重検出器21により測
定された荷重からa(i)に対する応力拡大係数K
(i)を計算する。以上の操作により応力拡大係数K
(i)とき裂進展速度da/dt(i)の関連データが収集
されたので、ステツプ(48)では第10図に示すようなK
(i)とda/dt(i)の関係の図をCRT38の画面上に作
成,表示する。ステツプ(49)ではK(i)とda/dt
(i)の関係を、 da/dt=C・Km …(5) のようなParis則で近似するため、近似する範囲をKに
ついては、 Kmin≦K≦Kmax da/dtについては、 da/dtmin≦da/dt≦da/dtmin のように設定する。通常は10-6mm/c≦da/dt≦10-2mm/c
のような範囲で近似する。近似範囲が指定されると、ス
テツプ(50)で最小自乗法により(5)式のように近似
し、係数Cと指数mを求める。ステツプ(51)ではステ
ツプ(48)で作成したKとda/dtの関係の図面上に近似
曲線を描くと共に、近似式を表示する。ステツプ(52)
では試験時間t(i)、き裂長さa(i),応力拡大係
数K(i)とき裂進展速度da/dt(i)のリストをプリ
ンタ36に出力する。勿論、CRT画面に表示されたき裂進
展曲線やKとda/dtの関係はプリンタ38にハードコピー
がとれるようにする。
第11図にはき裂長さ測定装置の一例を示す。定電圧直
流電源51はシステム全体の駆動用である。定電圧直流電
源52から供給される定電圧の電流はフローテイング定電
流回路53により、安定化定電流となる。電流の極性は極
性切換え装置54により一定間隔毎に切換えられて、入出
力ポート55の電流端子56に供給される。この電流端子と
圧力容器3のCT試験片2はリード線31で接続される。電
位差測定用のリード線31′,32″は電位差端子57と接続
され、マルチプレクサ58により測定する端子を切り換え
られて、直流アンプ59で電位差は測定される。電位差は
A/Dコンバータ60によりA/D変換されて、バスバツフア61
を通つてコンピユータ62に転送される。コンピユータ62
の周辺にはCRTまたは液晶デイスプレイ63,プリンタ64,
フロツピイデイスクドライブ65などが接続され、データ
処理や、データ格納,画面表示などに使用される。
第12図には別の実施例を示す。電位差の測定方法とし
ては、第3図の方法と基本的には同じであるが、測定精
度を良くするため、同じような電位差測定位置で複数の
電位差を測定して、その平均の電位差比を求めることに
よりリード線31′,31″の取り付け誤差を補償しようと
するものである。即ち、基準電位差Vo,電位差V共に、C
T試験片2の取り付け位置において、板厚の中央、及
び、例えば、板中心と端面との中間の三カ所にリード線
をスポツト溶接して、電位差を測定し、互いの電位差比
からき裂長さを評価するものである。第13図にそのフロ
ーチヤートを示す。ステツプ(61)で電位差V(1),V
(2),V(3),Vo(1),Vo(2),Vo(3)を測定
し、ステツプ(62)でそれぞれの基準電位差について電
位差比の平均V/Vo(1),V/Vo(2),V/Vo(3)を計算
する。そしてステツプ(63)で、三カ所の測定位置の平
均の電位差比V/Voを求め、ステツプ(64)で第6図のよ
うな電位差比V/Voとき裂長さa/Wの関係のマスターカー
ブによりき裂長さを判定する。
第14図には別の実施例を示す。直流電流はCT試験片2
の切欠き側の両端付近から印加し、基準電位差は切欠き
と平行な上下二面の電位差を測定する。その位置は、W
=50mmのCT試験片の場合には切欠きと反対側の面から30
〜35mmの付近が最適である。第14図には32.5mmの位置で
の電位差を基準電位差として求めた電位差比V/Voとき裂
長さa/Wのマスターカーブである。得られた電位差比V/V
oからき裂長さa/Wへの変換に当たつては、第7図に示し
たものと同様にa/W=0.2〜0.26,a/W=0.26〜0.36,a/W=
0.36〜0.9の範囲でそれぞれ直線近似式により行うもの
とした。第3図の測定方法は、比抵抗の大きい材料の場
合には感度,精度が良いが、第14図の測定方法は比抵抗
の大きい材料の場合に精度が良い。
第15図には別の実施例を示す。CT試験片の試験片の切
欠き側の両端にスポツト溶接されたリード線から極性を
切換えながら直流電流を印加して、切欠きを挾む位置で
測定された電位差Vと、切欠きと反対側の両端にスポツ
ト溶接されたリード線から極性を切換えながら直流電流
を印加して測定された切欠きを挾む位置の電位差Voの比
からき裂長さを測定することものである。従つて、この
方法を具現化するためには直流電源32から供給された電
流は電流極性切換え装置33でその極性を切換えられ、更
に、電流用のマルチプレクサ41により、CT試験片への電
流供給先を切り換えられるようになつている。第16図に
は第15図の測定方法のための電位差測定システムを示
す。定電圧直流電源52から供給される定電圧の電流はフ
ローテイイング定電流回路53により、安定化定電流とな
る。電流の極性は極性切換え装置54により一定間隔毎に
切換えられ、更に、電流用マルチプレクサ66により電流
の供給先を切り換えられて、入出力ポート55の電流端子
56に供給される。この電流端子と圧力容器3のCT試験片
2はリード線31で接続される。電位差測定用のリード線
31′は電位差端子57と接続され、直流アンプ59で電位差
は測定される。電位差はA/Dコンバータ60によりA/D変換
されて、バスバツフア61を通つてコンピユータ62に転送
される。
〔発明の効果〕
本発明によれば、試験環境である腐食環境をモニタ
し、荷重条件を変動させること無く安定化して、試験条
件の変動を無くし、且つCT試験片から得られる電位差の
比をもって無次元かして温度影響を省いているから、腐
食環境下のき裂進展速度を自動的に、且つ、精度良く求
めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は高温腐食環境中き裂進展試験装置のブロツク
図、第2図は腐食試験全体のフローチヤート、第3図は
き裂長さ測定のための電位差測定システムのブロツク
図、第4図は電位差測定のフローチヤート、第5図は電
位差測定値の異常判定のためのフローチヤート、第6図
は電位差比とき裂長さの関係の特性図、第7図はき裂長
さ判定のフローチヤート、第8図はき裂進展説明図、第
9図はき裂進展速度の計算及び図表作成のフローチヤー
ト、第10図はき裂進展速度と応力拡大係数の関係の説明
図、第11図は電位差測定システムのブロツク図、第12図
はCT試験片の電位差測定のリード線の配置図、第13図は
電位差測定のフローチヤート、第14図は電位差比とき裂
長さの関係の特性図、第15図はき裂長さ測定のための電
位差測定システムのブロツク図、第16図は電位差測定シ
ステムのブロツク図である。 1……環境中荷重負荷装置、2……CT試験片、3……圧
力容器、4……純水製造装置、5……純水製造装置制御
装置、6……加圧加熱装置、7……ヒータ、11……油圧
シリンダ、12……アキユムレータ、13……油圧配管、14
……ストツプバルブ、15……圧力計、16……油圧ポン
プ、21……ロードセル、22……ロードアンプ、26……水
質センサー、29……電位差測定水質監視システム、30…
…水質モニター、32……直流電源、33……電流極性切り
換え装置、34……マルチプレクサ、35……微小電位差
計、36……プリンタ、37……コンピユータ、38……CR
T、40……インターフエース、41……GP−IBインターフ
エース、51……直流電源、53……フローテイング定電流
回路、58……マルチプレクサ、59……直流アンプ、60…
…A/Dコンバータ、61……バスバツフア、62……コンピ
ユータ、63……表示装置、64……プリンタ、65……フロ
ツピイデイスクドライブ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水質を制御できる純水製造装置から加圧加
    熱装置を通して高温純水を供給される圧力容器と、前記
    圧力容器内にセンサを備えた水質モニタ手段と、前記圧
    力容器の内に設置されたコンパクト型の試験片と、前記
    試験片に荷重を負荷するための治具の一端を前記圧力容
    器の外部に設けた荷重検出器を介して接続された油圧シ
    リンダと、前記油圧シリンダに連通接続されたアキュム
    レータと、前記アキュムレータに連通接続された油圧ポ
    ンプと、前記試験片に電気的に接続された数組のリード
    線対と、前記リード線対に電気的に接続された前記圧力
    容器の外部に設けた直流電源及び微小電位差計と、前記
    荷重検出器と前記微小電位差計からの検出情報を入力と
    し、前記数組みのリード線対が設置される複数カ所の電
    位差の比を求めてから前記試験片のき裂長さを求め、前
    記荷重と前記き裂長さから求めたき裂の応力拡大係数と
    き裂進展速度の関係を演算するプログラムが装備された
    演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて前記コ
    ンパクト型の試験片の前記複数カ所の電位差の比から得
    られたき裂長さの時間、または前記微小電位差計による
    電位差測定繰返し数に対する関係、及び応力拡大係数と
    き裂進展速度の関係を表示するデイスプレイと、それの
    関係のデータをハードコピーに出力するプリンタとを備
    えている腐食環境き裂進展試験装置。
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