JP2511721Y2 - 釣 竿 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は釣竿に関し、特にリール
が釣竿の上側に取り付けられるタイプの釣竿の握部の形
状に関する。

【０００２】

【従来の技術】リールが上側に取り付けられるタイプの
釣竿の例として、特開平２−１７７８４０号公報の第５
図に示すものがある。このタイプの釣竿ではリールから
引出されている釣糸は、同じく上側に設けられた釣糸ガ
イドにガイドされて釣竿の上側を通って先端に至る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】然しながら、魚が掛か
る前にはリール脚載置部前方の握部と釣糸との間に充分
なスペースが存在しているが、大きな魚が掛かった場合
等においては釣竿が下方に撓み、そのために釣糸と握部
の上面とが近づき、この握部を握っている手の上側、即
ち、親指やその付け根部分が釣糸に接触することとな
る。掛かった魚とのやりとりに際して釣糸が前後に走っ
ており、その釣糸との接触によって親指が怪我をした
り、スピードのある釣糸との摩擦によって火傷を負った
りする。

【０００４】また、魚が掛かる前にも釣糸の親指への接
触が気になって釣りにおける集中力を欠くという問題も
ある。これらの問題に対しては、従来では親指を釣竿の
側方へずらせた状態で握部を把持し、釣竿の操作がしに
くく、また、力も入りにくいという問題があった。

【０００５】依って本考案は、リール取付部前方を握っ
た手の親指やその付け根部分が釣糸と接触することを防
止する構造の握部を具備する釣竿の提供を目的とする。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記目的に鑑みて本考
案は、上側にリール脚載置部を形成したリール取付部の
前方に握部を形成し、該握部には前記リール脚載置部の
形成されている上側と同じ側であって該握部の前部より
も低い高さに親指載置部を形成していることを特徴とす
る釣竿を提供する。

【０００７】

【作用】握部の前部に対して親指載置部を相対的に低く
形成しているので、この段差内に親指を位置させ、これ
により釣糸の通過位置よりも親指を完全に低い位置とす
るか、又は、ある程度低くして親指のための空間を確保
し、この上をカバーする等の手法が採用可能となる。従
って、釣糸が親指に接触することを防止することができ
る。

【０００８】

【実施例】以下、本考案を添付図面に示す実施例に基づ
いて更に詳細に説明する。図１は本考案に係る釣竿の要
部の側面図、図２は図１の釣竿要部の平面図、図３と図
４は矢視線Ａ−Ａ，Ｂ−Ｂによる横断面図である。ま
ず、これらの図１から図４を参照しながら本考案の第一
実施例につき説明する。

【０００９】元竿１０には、その竿尻に竿尻部品１４
が、またその前方にはリール２２の脚２２Ａを元竿１０
の上側に載置するリール脚載置部１６Ｓを有するリール
取付部１６が設けられており、更にその前に握部１８が
設けられている。またその先方には釣糸ガイド２０が上
向きに取り付けられている。

【００１０】上記リール取付部１６は前部の固定フード
１６Ａと、後部の移動フード１６Ｂと、該移動フード１
６Ｂを固定する締結ナット１６Ｃとを有している。この
リール取付部１６の上側のリール脚載置部１６Ｓにリー
ル２２の脚２２Ａを取り付けて、釣糸ガイド２０に釣糸
２４を通す。

【００１１】一方、上記リール取付部１６の前方の握部
１８はその前部１８Ａが上方に高く形成され、その中央
部１８Ｂの上面１８Ｓが低く平らに形成されている。こ
のためこの握部１８を把持する手の親指とその付け根部
分Ｆ１が釣糸２４の相当下方に位置する。このため、大
きな魚が掛かって釣竿が大きく下方に撓んでも、釣糸２
４は握部１８の前部１８Ａの上面に接触し、これ以上は
下方に下がらない。即ち、親指とその付け根部分Ｆ１は
釣糸２４と接触することがない。

【００１２】この場合本実施例では、握部１８の中央部
１８Ｂの下面１８Ｕをその後方位置ほど下方に下げて傾
斜させている。こうすることによって手で握部１８を把
持した場合に、その手の上側である親指とその付け根部
分Ｆ１がほぼ水平となり、釣竿が撓んだ際に、釣糸２４
が親指のみならず親指の付け根部分にも確実に接触しな
くなる。

【００１３】この場合、握部１８の上面１８Ｓに対して
竿管１２が露出しているため、把持する手の親指とその
付け根部分Ｆ１の下面によって露出した竿管１２に直接
接触するため、魚信を確実に捉えることができる。

【００１４】図５は上記第一実施例における断面図であ
る図３の部分の他の実施例を示すものであり、竿管１２
の上面が平らに形成されている。これは、握部１８の中
央部１８Ｂの上面１８Ｓをその前部１８Ａに対して一段
低くしても、それだけでは親指とその付け根部分Ｆ１を
釣糸２４との接触から保護することが充分にできない場
合に採用される本考案の変形例である。

【００１５】このように本考案の図１から図５までに示
す２つの実施例は、リール２２の脚２２Ａを載置するリ
ール取付部１６と該握部１８の前部１８Ａとの間におい
て、そのリール２２から引出される釣糸２４の高さ位置
と握部１８の前部１８Ａの上面高さ位置よりも低い位置
であって、把持する手の親指とその付け根部分Ｆ１が釣
糸１４と接触しない高さに握部１８の親指載置部１８Ｓ
を形成する構成の一例であり、その他種々の変形例が考
えられる。

【００１６】以上の実施例のように、握部の上面を平に
形成しただけの釣竿は、実開昭６３−１０７１６７号公
報と実開平３−１０２８４５号公報に開示されている。
前者は、糸送り操作に際して指で釣糸を押さえるために
握部の上面を平らに形成したものである。また後者は握
部の把持状態を心地よくする工夫からである。何れにし
ても握部の前部よりも低くしたものではなく、本考案と
は無関係である。

【００１７】また、図６は更に他の変形例であって、握
部１８の前部１８Ａと後部１８Ｃとの間である中央部１
８Ｂの親指載置部１８Ｓの上方を覆うようにカバー部材
２６を設けている。これにより親指とその付け根部分Ｆ
１の入る空間を区画形成し、釣竿の撓み具合によって釣
糸２４がカバー部材２６に接触しても、親指とその付け
根部分Ｆ１に接触することは防止される。従って、釣り
人は釣糸２４の接触の不安から完全に開放されるため、
釣りに集中することができる。しかし、釣糸２４が上記
カバー部材２６に接触する可能性があるため、その接触
によって釣糸２４が損傷を受けることのないように、該
カバー部材２６の上面部は角を無くし、かつ、滑らかに
形成しておくことが望ましい。また、このカバー部材２
６は取外し可能に形成してもよく、更には、親指載置部
１８Ｓの上方の一部を覆うよう構成してもよい。

【００１８】以上の他、リール２２に対して最も近い位
置にある釣糸ガイド２０を、その高さや釣竿の長手方向
における前後位置を調節することで指と釣糸との接触を
防止することもできる。例えば、図１に二点鎖線２０Ａ
で示すように、握部１８の前部１８Ａの上面に釣糸ガイ
ドを設けてもよい。

【００１９】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように本考案に
よれば、リール取付部の前方に位置する握部の上面に親
指載置部を該握部の前部よりも低く形成しているので、
釣糸が親指やその付け根部分に接触しない。寸法的に完
全に接触しないようにできない場合には、その親指載置
部の上部にカバー部材を設けることで接触防止が可能と
なる。従って、手に傷を負わせることがなく、安心して
釣りに専念できる。また、従来のように握部を手で把持
する時に、親指を釣竿の側方にずらせる必要性もなく、
ポンピング等の際に充分な力を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案に係る釣竿の要部の側面図であ
る。

【図２】図２は図１の釣竿要部の平面図である。

【図３】図３は図１の矢視線Ａ−Ａによる横断面図であ
る。

【図４】図４は図１の矢視線Ｂ−Ｂによる横断面図であ
る。

【図５】図５は本考案の第二実施例として、図３に代わ
る横断面図である。

【図６】図６は本考案に係る第三の実施例としての要部
側面図である。

【符号の説明】

１０ 元竿 １２ 竿管 １６ リール取付部 １６Ｓ リール脚載置部 １８ 握部 １８Ａ 握部の前部 １８Ｓ 握部の親指載置部 ２２ リール ２４ 釣糸 ２６ カバー部材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上側にリール脚載置部を形成したリール
   取付部の前方に握部を形成し、該握部には前記リール脚
   載置部の形成されている上側と同じ側であって、該握部
   の前部よりも低い高さに親指載置部を形成していること
   を特徴とする釣竿。