JP2509769B2 - 多層積層体 - Google Patents

多層積層体

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JP2509769B2
JP2509769B2 JP23525691A JP23525691A JP2509769B2 JP 2509769 B2 JP2509769 B2 JP 2509769B2 JP 23525691 A JP23525691 A JP 23525691A JP 23525691 A JP23525691 A JP 23525691A JP 2509769 B2 JP2509769 B2 JP 2509769B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層積層体に関し、更
に詳しくはガスバリア性能、機械的強度に優れる多層積
層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガスバリア性能を有する樹脂を利
用した多層積層体としては、ポリアミド樹脂,ポリ塩化
ビニリデン共重合体樹脂,オレフィン−酢酸ビニル共重
合体鹸化物樹脂(特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体
鹸化物)などのガスバリア性の高い樹脂を使用したもの
が知られている。これらの中では、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体鹸化物(以下EVOHと略すことがある。)
が、最もガスバリア性や香気成分の保香性に優れるた
め、各種の包装分野において、フィルムやシート,ボト
ル,パウチ,チューブ等の容器として用いられている。
しかし、EVOHはヒートシール性や吸湿によるガスバ
リア性の低下などの問題から、単独では用いられず、そ
の他の熱可塑性樹脂と積層して用いられることが多い。
これらその他の熱可塑性樹脂のうちでは、ポリエステル
樹脂〔特にポリエチレンテレフタレート(以下PETと
略すことがある。)〕が、機械的強度,耐熱性,耐候性
に優れた特性を有しているため、フィルム,ボトルなど
の成形物として広く用いられている。しかしながら、P
ETはガスバリア性に乏しく、PET成形品に充填する
内容物に制限を受けるという問題を有する。この問題を
解決するために、PETにEVOHを積層する方法が考
えられている。しかるに、PETとEVOHとは親和性
が乏しく、多層積層したときに、PETとEVOHの層
間には接着層が必要となる。しかも、延伸ボトルのよう
な製品は積層後に延伸加工等の大きな変形を受けること
が多い。
【0003】これらの層間接着性を改良する方法として
は、例えば、特開昭51−98784号公報に記載のよ
うに、不飽和カルボン酸またはその無水物の成分が0.0
1〜10重量%である変性ポリオレフィン60〜95重
量%に、ムーニー粘度が40〜150のゴム部質を40
〜5重量%配合したものや、特開昭60−13547号
公報に記載のポリアルキレングリコールまたはこれを主
体とするグリコールを含むポリエステル樹脂組成物に、
α−オレフィン/無水マレイン酸共重合体との樹脂混合
物、特開昭60−193648号公報記載のアミド反復
単位を有する重合体とオキシシラン環含有化合物及び酸
あるいは酸無水物基含有化合物及び/またはアミノ化合
物とを含有する組成物、特開昭60−139772号公
報に記載のエステル反復単位を有する重合体オキシシラ
ン環含有化合物及び酸あるいは酸無水物基含有化合物、
特開昭64−20134号公報および特開昭64−20
135号公報に記載のエステル基/アミド基の比率が、
90/10〜10/90(モル比率)であるポリエステ
ル−アミド系接着性樹脂、特開平1−176554号公
報に記載のようにEVOH層にポリアミド−エステル系
熱可塑性樹脂を配合する方法、あるいはRECYCL
E’89 P−207 DAVOS/SWITZERLAND,1989.4.10-
4.13(MAACK BUSINESS SERVICES )記載のようなエチレ
ン−エチルアクリレート−マレイン酸グリシジル三元共
重合体樹脂やコンバーテック1987年11月号P−3
6記載のようにエチレン−エチルアクリレート−無水マ
レイン酸三元共重合体樹脂などが知られている。
【0004】これら従来の方法ではいずれも層間接着強
度に乏しく、容易に剥離する等の問題を有している。こ
のように、PETとEVOH等とを強固に接着し積層す
るものがなく、このため、多層板の断面部が露出する端
部にガスバリア層を覆うように合成樹脂層を固着した多
層容器(特開昭63−125141号公報)が知られて
いる。この方法においても容器の胴部は全く接着してい
ないために、握ったり、落下したりなど応力がかかると
容易に剥離し、著しい場合にはガスバリア層にピンホー
ルを生じ、ガスバリア性が極端に低下するなどの問題が
ある。
【0005】ところで、一般に、ポリビニルアルコール
系樹脂(以下PVAと略すことがある。)は、溶融温度
と熱分解温度が極めて近いため、溶融押出成形が不可能
であった。また、PVA膜は高湿度下では柔軟で強靭で
はあるが、低湿度下では柔軟性を失い脆く破れ易くなる
問題がある。この解決方法としては、α−オレフィンと
酢酸ビニルを共重合し鹸化する方法が知られていた。P
VAは溶融押出成形が出来ないため、例えば、フィルム
を得る方法としては、ポバールP−374:高分子刊行
会(1984年4月25日発行)に開示されているよう
に、PVAを水及びグリコール類のような可塑剤ととも
に溶解し、乾燥ドラム又はベルトの上にスリットを通じ
て流延するか、ロールコーターによって塗布し、ドラム
又はベルトで水分を乾燥し、フィルムを得るキャスティ
ング法、及びPVAに可塑剤と適当量の水を含浸させペ
レットを作り、特殊な溶解、混練り、脱泡機構を有する
押出機で押出成形する方法が知られている。この押出成
形法は、BRITISH POLYMER JOURNAL VOL.20 NO.4,P335(1
988)に記載されているように、PVA溶液を二軸押出機
で連続形成し、水溶液は単軸押出機に導き、温度を均一
化しながら加圧計量し、濾過したのちTダイから押出し
成形する。このようにPVAの成形は、特殊な成形機を
必要とし、ゲル成分の除去のための濾過工程や水溶液の
水分を成膜後、乾燥する工程などを必要とし、非常に煩
雑であった。従って、熱可塑性樹脂のように容易に溶融
成形できることが望まれていた。
【0006】PVAを溶融成形可能にし、脆弱化を防止
する方法としては、例えば、ジプロピレングリコール,
トリエチレングリコール,ジエチレングリコール,グリ
セリン等の可塑剤をPVAに添加し、融点や流動開始温
度を低下させる方法が知られている。この方法について
は、R.K.Tubbs,J.Polymer.Sci,A3,4181(1965) や高分子
化学第26巻P118(1969)等に詳細に記載され
ている。しかし、この方法によると流動開始温度を低下
させるのに有効ではあるものの、ガスバリア性が低下す
るとか、一般に強度が低下し、高温下で水分を吸収して
軟化しやすくなる。一方、低温下では硬くなり脆化する
傾向がある。また、長時間保存すると可塑剤が成形物の
表面にブリードするという問題などがある。
【0007】また、PVAにEVOHを混合し溶融成形
可能とする方法(特開昭49−33945号公報)、炭
素数が5〜30の長鎖α−オレフィン−酢酸ビニル共重
合体の鹸化物(変性PVA)とポリオレフィンを除くポ
リマーとを混合する方法(特開昭49−117536号
公報)、PVAにEVOHを混合し溶融成形可能とする
方法(特開昭49−33945号公報)、変性PVAに
ビスフェノール類を混合する方法(特開昭50−123
151号公報)、PVAにポリオレフィン樹脂をグラフ
トし、このグラフト物とPVA及びポリオレフィン樹脂
を混合し溶融成形可能とする方法(特開昭60−188
488号公報)等が知られている。しかし、これらの方
法は、いずれも溶融成形性に劣り、PET等のポリエス
テル樹脂とEVOHの層間接着性は全く無く、PETと
EVOHの接着樹脂として用いるのは困難で、しかもP
ETに直接積層してもPVA膜のひび割れを生じ、ガス
バリア性の優れたものは得られず、容易に剥離する欠点
を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、層間
剥離がなく、長期保存性に優れしかもガスバリア性能及
び機械的強度に優れた多層積層体を得ることである。
【0009】
【問題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(A)ポリビニルアルコールがポリビニルアルコールと
酢酸ビニルモノマーの合計量に対し10重量%以上存在
する状態で、酢酸ビニルモノマー及びエチレンモノマー
をエマルジョン重合して得られるエチレン含有量1〜5
0重量%のポリビニルアルコール系共重合体樹脂5〜9
5重量%及び(B)ポリビニルアルコール系樹脂95〜
5重量%からなる樹脂組成物層とポリエステル樹脂層と
を含む積層体を温度30℃以上で熱処理してなる多層積
層体を提供するものである。本発明の多層積層体では、
直接PET等のポリエステル樹脂層に積層する場合、
(A)ポリビニルアルコール系共重合体樹脂と(B)ポ
リビニルアルコール系樹脂とからなる樹脂組成物を使用
することにより、特別な接着層を必要とせず、しかもガ
スバリア性能に優れた多層積層体を得ることができる。
すなわち、接着性機能とガスバリア機能を兼ね備えてい
るため、従来の多層積層体より積層数が少なく済むので
経済的である。
【0010】本発明を構成するポリビニルアルコール樹
脂組成物層のうち(A)成分であるポリビニルアルコー
ル系共重合体樹脂については、例えば、特開昭60−9
6637号公報及び特開昭63−108016号公報等
に記載されている方法等により製造することができる。
このポリビニルアルコール系共重合体樹脂の製造法の一
例を挙げれば、平均重合度20〜5,000のポリビニル
アルコールの存在下で、公知の触媒を用いて酢酸ビニル
モノマー及びエチレンモノマーと共重合することにより
得られる。この際に使用するポリビニルアルコールは任
意の加水分解度のものでよいが、好ましくは平均鹸化度
が50〜99%のもの、特に平均鹸化度が80〜99%
のものがより好ましい。とりわけ、平均鹸化度70〜9
9%,平均重合度100〜3,000のものが好適であ
り、更に平均鹸化度78〜99%,平均重合度300〜
2,500のものが最適である。酢酸ビニルモノマーとエ
チレンモノマーとの共重合反応中、水性エマルジョン中
に存在しているポリビニルアルコールの量は、酢酸ビニ
ルモノマーおよびポリビニルアルコールの合計量に対し
10重量%以上必要である。
【0011】上記の方法により製造されるポリビニルア
ルコール系共重合体中のエチレン含有量は、1〜50重
量%であり、好ましくは10〜45重量%である。エチ
レン含有量が50重量%を超えると、PVAとの相溶性
が劣り本発明の目的には適さない。また、1重量%未満
では、溶融成形性が劣るため使用できない。そして、酢
酸ビニル単位の含有量については、特に制限はないが1
〜89重量%がよい。1重量%未満では溶融成形性が悪
く、また89重量%を超えるとガスバリア性能が悪くな
る。このポリビニルアルコール系共重合体樹脂には、エ
チレンモノマーに代えて以下のモノマーを共重合する
か、酢酸ビニルモノマー,エチレンモノマーの他にさら
にエチレンレン性不飽和結合を有するモノマーを共重合
することが出来る。これらのモノマーの一例としては、
アクリル酸,メタアクリル酸,クロトン酸,マレイン
酸,フマール酸,イタコン酸などの不飽和酸あるいはそ
のアルキルエステル、アクリルアミド,メタクリルアミ
ド,N−メチロールアクリルアミド等の不飽和カルボン
酸アミド,スチレン,アクリロニトリルあるいはアクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル,メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル,メタクタル酸グリシジル等の官能基モノマ
ー、さらにはプロピレン,ブテン,デセン,オクタデセ
ン等のα−オレフィン、プロピオン酸ビニル,ピバリン
酸ビニル,ラウリン酸ビニル,バーサチック酸ビニル等
のビニルエステル類、塩化ビニル,フッ化ビニル等を挙
げることができる。
【0012】一方、本発明を構成するポリビニルアルコ
ール系樹脂組成物層のうち(B)成分であるポリビニル
アルコール系樹脂(PVA)とは、ポリ酢酸ビニルの部
分又は完全鹸化物あるいはその変性ポリビニルアルコー
ル樹脂をいう。ポリ酢酸ビニルの重合方法としては、塊
状重合,溶液重合,乳化重合,懸濁重合がある。これら
のうち、塊状重合は重合時の粘度の上昇、重合器へのポ
リマーの付着、重合熱の除去が困難などの問題があり、
好ましくない。一方、乳化重合は、乳化重合した液をそ
のまま接着剤及び塗料などの原料として用いられるが、
ポリ酢酸ビニルの製造方法としてはあまり用いられてい
ない。また、懸濁重合は、製造条件などの調節が難しい
などの問題点がある。従って、以下に述べる溶液重合
が、一般にポリ酢酸ビニルの製造方法として用いられ
る。この溶液重合は、酢酸ビニルモノマーをメタノー
ル,エタノール,酢酸メチルなどの溶媒で希釈し、触媒
を添加して重合を行い、重合熱を溶媒の蒸発熱で除去す
る方法が採られている。溶液重合は粘度が低いので攪拌
が容易となり、重合熱除去も容易となる。これらの重合
は、通常、熱で分解する開始剤を使用する方法によって
行われる。ここで、熱で分解する開始剤としては、過酸
化ベンゾイル(BPO),アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)等が通常用いられている。その他、紫外線
による重合、γ線などの放射線による重合、Redox
触媒による低温重合がある。しかし、これらの方法は未
だ工業的規模では用いられていない。このように重合さ
れたポリ酢酸ビニルをアルカリ触媒や酸触媒を用い鹸化
反応を行うことによって本発明の(B)成分であるポリ
ビニルアルコール系樹脂(PVA)を得ることができ
る。
【0013】また、変性ポリビニルアルコール樹脂と
は、以下に述べる共重合物の部分又は完全鹸化物をい
う。例えば、酢酸ビニルと炭素数4〜18のオレフィン
との共重合物、酢酸ビニルとカルボン酸ビニル(バーサ
チック酸ビニル,ステアリン酸ビニル等)との共重合
物、酢酸ビニルとアルキルビニルエーテル(ラウリルビ
ニルエーテル,メチルビニルエーテル等)との共重合
物、酢酸ビニルと(メタ)アクリレート(メチルメタア
クリレ−ト等)との共重合物、酢酸ビニルとアクリルア
ミド(アクリルアミド;メタクリルアミド;N,N−ジ
メチルアクリルアミド等)との共重合体、酢酸ビニルと
不飽和カルボン酸又はこれらの無水物もしくはエステル
(アクリル酸,クロトン酸,マレイン酸,フマール酸,
イタコン酸等)との共重合体、酢酸ビニルとスルホン酸
モノマー(ビニルスルホン酸,アクリスルホン酸等)と
の共重合体、酢酸ビニルとカチオン性モノマー(ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート,ビニルイミダゾール,
ビニルピリジン,ビニルサクシイミド等)との共重合
体、酢酸ビニルとその他のモノマー(ビニレンカーボネ
ート,アリルアルコール,アリルアセテート等)との共
重合体などである。
【0014】このようにして得られるポリビニルアルコ
ール系樹脂(PVA)は、ビニルアルコール単位及び酢
酸ビニル単位とからなるものであり、その重合度は特に
制限はなく用途等に応じて適宜選択すればよいが、通常
50〜2,500のものが良い。とりわけ、溶融流動性及
び機械的強度等を考慮すると重合度200〜1,800の
ものが好ましい。一方、鹸化度については、50モル%
以上が良く、ガスバリア性能及び溶融流動性を考慮する
と鹸化度70〜99.5モル%のものが好ましい。鹸化度
50モル%未満では機械的強度に劣り、一方、99.5モ
ル%を超えると溶融流動性に劣る。
【0015】本発明に用いるポリビニルアルコール系樹
脂組成物層における(A)成分であるポリビニルアルコ
ール系共重合体樹脂と(B)成分であるポリビニルアル
コール系樹脂(PVA)との配合割合は、ポリビニルア
ルコール系共重合体樹脂5〜95重量%、PVA95〜
5重量%であり、好ましくはポリビニルアルコール系共
重合体樹脂15〜85重量%、PVA85〜15重量%
である。なぜなら、ポリビニルアルコール系共重合体樹
脂が5重量%未満になるとPET等のポリエステル樹脂
との接着性能が損なわれ好ましくない。一方、95重量
%を超えるとガスバリア性が低下し好ましくない。な
お、接着樹脂として用いる場合、ポリビニルアルコール
系樹脂組成物層の溶融指数(MFR, JIS−K675
8により荷重2.16kg, 温度230℃)は、特に制限さ
れるものではなく、成形法に応じて適宜選定すればよい
が、押出成形にあたっては0.1〜50g/10分の範囲
が適当である。
【0016】本発明者らは、PETの多層積層体の問題
に関してさらに研究を重ねた結果、(A),(B)成分
よりなるポリビニルアルコール系樹脂組成物を、PET
に代表されるポリエステル樹脂とEVOHに代表される
オレフィン−酢酸ビニル共重合体鹸化物樹脂との接着層
として用いた場合、この樹脂組成物が接着層の機能とガ
スバリア性の機能を兼ね備えているため、経済的で層間
接着強度に優れかつガスバリア性に優れた多層積層体の
得られることを見出した。
【0017】ここで、本発明を構成するポリエステル樹
脂は、テレフタル酸,フタル酸,イソフタル酸;2,6
−ナフタリンジカルボン酸;1,5−ナフタリンジカル
ボン酸,メチルテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
セバシン酸,アジピン酸,アゼライン酸,コハク酸等の
脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸,ヘキ
サヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸等のジカ
ルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、例えば、低
級アルキルエステル、酸無水物等とエチレングリコー
ル,プロピレングリコール,テトラメチレングリコー
ル,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチレングリコ
ール;1,7−ヘプタンジオール,ネオペンチルグリコ
ール等の脂肪族アルキレングリコール、ジエチレングリ
コール,トリエチレングリコール,テトラエチレングリ
コール,ジプロピレングリコール,ジブチレングリコー
ル等のアルキレンオキシドグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンメタノール等の脂環族グリコール等のグリコー
ル及びそのエステル形成性誘導体とから合成されるもの
である。
【0018】また、オレフィン−酢酸ビニル共重合体鹸
化物樹脂は、各種オレフィン、例えば、エチレン,プロ
ピレン,ブテン−1等のオレフィンと酢酸ビニルとの共
重合体の部分或は完全鹸化物である。例えば、エチレン
−酢酸ビニル共重合体鹸化物,プロピレン−酢酸ビニル
共重合体の鹸化物などがある。とりわけ重合の容易なこ
とからエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVO
H)が好ましい。EVOHとしては各種のものがある
が、エチレン含有量15〜60モル%及び鹸化度90モ
ル%以上の組成を有するものが好適に用いられる。エチ
レン含有量が15モル%未満では溶融成形性が低下し、
また、酢酸ビニル成分の鹸化度が90モル%未満ではガ
スバリア性が低下する場合がある。特に、好ましくはエ
チレン含有量25〜50モル%、鹸化度96モル%以上
のEVOHが挙げられる。なお、エチレンと酢酸ビニル
(またはそれを鹸化したビニルアルコール)以外に、ア
クリル酸,メタクリル酸,クロトン酸,マレイン酸など
の不飽和酸或はそのアルキルエステル、さらにはプロピ
レン,ブテン,α−デセン,α−オクタデセンなどのα
−オレフィン等をコモノマーとして少量含んでいても差
し支えない。
【0019】本発明の多層積層体は、公知の溶融成形法
及びコーティング法によりフィルム,シート,チュー
ブ,ボトルなどに成形できる。例えば、このような積層
方法としては、共押出成形法(フィードブロック,マル
チマニホールド法)共射出成形法、共押出パイプ成形法
及びポリビニルアルコール系共重合体樹脂とポリビニル
アルコール系樹脂からなる樹脂組成物をドクターナイフ
やグラビアロールを備えたコーターによってコーティン
グするコーティング成形法等各種の方法がある。このよ
うにして得られた多層積層体は、さらに真空成形機,圧
空成形機,延伸ブロー成形機等を用いて再加熱し、延伸
操作を加える方法、あるいは前述の多層積層体を一軸あ
るいは二軸延伸機を用いて加熱延伸操作を施すことがで
きる。そして、積層形態としては、ポリエステル樹脂層
/ポリビニルアルコール系樹脂組成物層/ポリエステル
樹脂層,ポリエステル樹脂層/ポリビニルアルコール系
樹脂組成物層/オレフィン−酢酸ビニル共重合体鹸化物
樹脂層,ポリエステル樹脂層/ポリビニルアルコール系
樹脂組成物層/ポリエチレン樹脂層,ポリエステル樹脂
層/ポリビニルアルコール系樹脂組成物層/ポリプロピ
レン樹脂層,ポリエステル樹脂層/ポリビニルアルコー
ル系樹脂組成物層/ポリスチレン樹脂層等任意に選択す
ることができる。
【0020】また、ポリエステル樹脂と(A)成分と
(B)成分とからなる樹脂組成物との多層積層体は、3
0℃以上の温度で熱処理をすることにより、剥離ができ
ない程度に強固に接着することができる。熱処理温度が
30℃未満の場合では、用途によっては充分な層間接着
強度が得られないことがある。特に、スクイズ性が要求
されるような用途を考慮すると、好ましくは温度40℃
以上で多層積層体におけるポリエステル樹脂やその他の
熱可塑性樹脂が変形するまでの温度範囲で熱処理をする
ことができる。
【0021】本発明の多層積層体には、必要に応じて以
下のその他の熱可塑性樹脂を積層することができる。そ
の他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂,ポリ
プロピレン樹脂,エチレンと炭素数が3〜12のα−オ
レフィンの共重合体,アイオノマー樹脂等のポリオレフ
ィン樹脂、ポリスチレン樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポ
リカーボネート樹脂,ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂
がある。ここで、エチレンと炭素数が3〜12のα−オ
レフィンの共重合体とは、エチレン−ブテン−1共重合
体,エチレン−4メチルペンテン−1共重合体,エチレ
ン−ヘキセン−1共重合体及びエチレン−プロピレンゴ
ムなどをブレンドした変性ポリプロピレン,変性ポリブ
テン,変性ポリ−4メチルペンテン,或は上述のポリオ
レフィン系ポリマーに不飽和カルボン酸又はその無水物
を有機過酸化物のもとにグラフト或は他のモノマー(例
えば、メチルメタアクリレート,エチルアクリレート
等)とともに共重合したものも対象として含まれる。
【0022】
【作用】溶融押出成形できないポリビニルアルコール系
樹脂(B)に、ポリビニルアルコール系共重合体樹脂
(A)を配合した樹脂組成物をポリエステル樹脂に積層
した場合、またはポリエステル樹脂とオレフィン−酢酸
ビニル鹸化物樹脂との接着層として積層した場合、ガス
バリア性能、機械的強度に優れ、かつ両者間の層間接着
強度に優れる原因は定かでないが、両者の混合によって
ポリエステル樹脂に対して何らかの相互作用が起こり効
果的に接着させることができるものと思われる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により、更
に詳しく説明する。 実施例1〜18及び比較例1〜10 (ポリビニルアルコール系共重合体樹脂の調製)内容量
30リットルのオートクレーブを使用し、重合度50
0、鹸化度88%の部分鹸化ポリビニルアルコール樹脂
である(株)クラレ製PVA205を用い、触媒である
過硫酸アンモニウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムを追添
しながら、酢酸ビニル濃度およびエチレンガスの圧力を
変更してエマルジョン重合を行ない第1表に示す組成の
ポリビニルアルコール系共重合体樹脂を得た。重合した
エマルジョンの固形分濃度は約20〜60重量%であっ
た。
【0024】
【表1】
【0025】(エマルジョンの乾燥)このエマルジョン
を−20℃で20時間放置して凍結析出しポリマ−を得
た。得られたポリマーは、次に凍結粉砕、凍結乾燥後、
温度80℃で真空乾燥した。なお、ポリマーのエチレン
成分の割合はアルカリ鹸化法によって求めた。
【0026】(ポリビニルアルコール系共重合体樹脂と
ポリビニルアルコール系樹脂との混合)神戸製鋼所KT
X二軸押出機を用い、温度220℃でポリビニルアルコ
ール系共重合体樹脂とポリビニルアルコール系樹脂を混
合し、第2表に示す樹脂組成物を得た。
【0027】
【表2】
【0028】(多層積層体の作製)このようにして得た
樹脂組成物を多層キャストフィルム成形機を用い、PE
T/樹脂組成物/PETの2種3層構成で、厚さが各々
20/20/20μmのフィルムを得た。次いで、これ
ら多層積層体を温度20℃で4日間,40℃で3日間,
60℃で1日間熱処理した。なお、PET樹脂はオルト
クロロフェノール溶液100ミリリットル当り0.5gの
濃度で25℃の相対粘度が0.7のものを用いた。また、
酸素透過量の測定については、温度20℃,4日間熱処
理したものについて実施した。
【0029】実施例19,20 エチレン含有量が約29モル%のEVOHである日本合
成化学社製ソアノールDTを用いるとともに、第2表に
示す樹脂組成物を用いて、PET/樹脂組成物/EVO
Hの3種3層構成で厚さが20/20/20μmのフィ
ルムを得た。次いで、20℃で2日間熱処理した。 比較例11,12 接着性樹脂層として、上記樹脂組成物に代えてエチレン
−エチルアクリレート−グリシジルメタアクリレート三
元共重合体樹脂であるNORSOLOR社製LOTAD
ER AX8660を用いた以外は、上記実施例と同様
にし、比較例11とした。また、押出機を用いて、酢酸
ビニル含有量が10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重
合体鹸化物樹脂に無水マレイン酸を約1.6重量%溶融グ
ラフト変性したものを、接着性樹脂層として用い、比較
例12とした。
【0030】実施例21〜23及び比較例13〜15 (ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製)ポリビニ
ルアルコール系共重合体樹脂エマルジョンにポリビニル
アルコール(ゴーセノールGL03,重合度300,鹸
化度86.5〜89モル%,日本合成化学製)を70℃の
水溶液に加熱溶解し、23℃において2,700cps ,ポ
リマー濃度30重量%の水溶液を混合した。この混合エ
マルジョン中のポリビニルアルコールおよびポリビニル
アルコール基の総量がポリビニルアルコールとポリビニ
ルアルコール基と酢酸ビニルの合計量に対して60重量
%になるようにした。なお、比較例13についてはポリ
ビニルアルコール水溶液を混合せず、ポリビニルアルコ
ール系共重合体樹脂エマルジョンのみを用いた。
【0031】(ポリビニルアルコール系エマルジョンと
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の混合およびポリエ
ステルフィルムへのコーティング)上記のように調製し
た混合物液を厚み50μmのポリエステルフィルムに混
合物液の厚さが20μmとなるようにコーティングし、
次いで、所定温度で4日間熱処理した。
【0032】比較例16 厚さ50μmのポリエステルフィルムにポリビニルアル
コール系水溶液のみを厚さが20μmとなるようにコー
ティングし、実施例11と同様に乾燥した。層間接着強
度のみを測定したところ、層間接着強度が50g /15
mm幅以下で容易に剥離した。 比較例17 ポリエステル系ドライラミネート接着剤である武田薬品
工業(株)製AD−335AEを厚さが5μmとなるよ
うに厚さが50μmのポリエステルフィルムにコーティ
ングし、80℃で3日間乾燥した。接着強度を測定した
ところ、860g /15mm幅であった。
【0033】(層間接着強度及び酸素ガスバリア性の評
価)実施例及び比較例で得られた多層積層体の性能評価
として、層間接着強度は、東洋精機製引張試験機を用
い、剥離速度300mm/min で測定した。また、酸素透
過量は、上記のフィルムについて、モダンコントロール
社製OXTRAN−10/50Aを用い測定した。各実
施例及び比較例で得られた多層積層体について、層間接
着強度および酸素透過量を測定した結果を第3〜6表に
示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の多層積層体
は、溶融成形法やコーティング法等により得ることがで
き、層間接着強度及びガスバリア性が優れたものであ
る。したがって、本発明の多層積層体は、食品包装材
料,医薬品包装材料,化粧品包装材料あるいはガスバリ
ア性を要求される容器などに有効に使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 昭夫 兵庫県竜野市揖保町揖保中251の1 昭 和高分子株式会社大阪研究所内 (72)発明者 張 為衆 兵庫県竜野市揖保町揖保中251の1 昭 和高分子株式会社大阪研究所内 (56)参考文献 特開 平2−182451(JP,A) 特開 平3−161334(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリビニルアルコールがポリビニ
    ルアルコールと酢酸ビニルモノマーの合計量に対し10
    重量%以上存在する状態で、酢酸ビニルモノマー及びエ
    チレンモノマーをエマルジョン重合して得られるエチレ
    ン含有量1〜50重量%のポリビニルアルコール系共重
    合体樹脂5〜95重量%及び(B)ポリビニルアルコー
    ル系樹脂95〜5重量%からなる樹脂組成物層とポリエ
    ステル樹脂層とを含む積層体を温度30℃以上で熱処理
    してなる多層積層体。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂層/ポリビニルアルコ
    ール系樹脂組成物層/ポリエステル樹脂層の層構成から
    なる請求項1記載の多層積層体。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂層とオレフィン−酢酸
    ビニル共重合体鹸化物樹脂層とを含有する多層積層体に
    おいて、接着層が請求項1のポリビニルアルコール系樹
    脂組成物層である多層積層体。
  4. 【請求項4】 (B)成分のポリビニルアルコール系樹
    脂が、ビニルアルコール単位及び酢酸ビニル単位とから
    なりかつ重合度50〜2,500,鹸化度50モル%以上
    である請求項1〜3のいずれかに記載の多層積層体。
  5. 【請求項5】 オレフィン−酢酸ビニル共重合体鹸化物
    樹脂が、エチレン単位含有量15〜60モル%及び鹸化
    度90%以上である請求項3記載の多層積層体。
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