JP2509485B2 - 鋼板材質予測方法 - Google Patents

鋼板材質予測方法

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JP2509485B2
JP2509485B2 JP3207164A JP20716491A JP2509485B2 JP 2509485 B2 JP2509485 B2 JP 2509485B2 JP 3207164 A JP3207164 A JP 3207164A JP 20716491 A JP20716491 A JP 20716491A JP 2509485 B2 JP2509485 B2 JP 2509485B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製品に対する物理的評
価を行うことなく、厚鋼板などの組織材質を製造段階で
予測できるようにした鋼板材質予測方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】例えば、厚鋼板などのユーザにおいて
は、製品の納入と共に、その材質検査結果を添付するこ
とを要求されている場合がある。この要求に対し、従
来、メーカー側は製品の一部を切り出し、これに対し物
理的な特性測定(引張り強度,靭性など)を行ってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
な人為的な特性測定は、多大な時間を要し、製品の出
荷,納品などに影響を与えている。
【0004】また、現状では、完成品になった後でしか
その材質を知ることができないが、将来的には、製造前
に材質を予測し、要求される材質を精度よく確実に得ら
れる製造条件を設定するような技術の開発が望まれてい
る。
【0005】そこで、本発明の目的は、与えられた条件
に従って、材質予測を自動的に行えるようにした鋼板材
質予測方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、鋼片の厚みと鋼成分、鋳造条件、炉挿入
温度、炉内保持時間等の熱片挿入条件、圧延条件(入側
及び出側の鋼板厚み、パス間時間など)に基づいて圧延
後のγ組織を算出し、この算出結果及び冷却条件(水冷
・空冷領域、冷却帯通板速度など)に基づいて変態後の
金属組織の単位(フェライト粒径、マルテンサイトのラ
スサイズなど)及び組織分率を算出し、この算出結果及
び焼き戻し条件(焼き戻し温度、焼き戻し炉内保持時
間、昇温速度など)に基づいて焼き戻し組織の析出物の
析出状態、残留γの分解状態を算出し、これらによって
鋼板の材質を推定するようにしている。
【0007】
【作用】上記した手段によれば、材質(引張強度,靭性
など)の判定の鍵となるフェライト粒径、組織分率など
を、この各々の算出のために必要となる入力条件から各
工程に対応した前計算を順次実行しながら求めることが
できる。これにより、製造段階で材質予測を行うことが
でき、また、要求される材質仕様を確実に実現可能な製
造条件が設定可能であり、従来のように完成品に対する
検査測定が不要になる。
【0008】
【実施例】図1は本発明による鋼板材質予測方法を示す
演算フローチャートである。また、図2は本発明が適用
される鋼板製造ラインの例を示す設備構成図である。な
お、以下においては、厚鋼板の製造を例に説明する。
【0009】図2に示すように、鋼板の製造設備として
は、まず成分を調整する製鋼工程102、溶鋼を鋳造す
る連続鋳造設備103がある。さらに、連続鋳造された
鋼片の温度を低下させずに、圧延前の加熱炉まで搬送す
る熱片搬送105がある。
【0010】圧延設備は圧延の前にスラブ(例えば、長
さ2〜4m,幅1〜2.5m,厚み250mm前後)を
加熱する加熱炉2,大まかな圧延を行う粗圧延機3,粗
圧延された鋼板を要求板厚に圧延する仕上圧延機4,こ
の仕上圧延機4によって圧延された鋼板に生じた反りを
調整するホットレベラ(HL)5,このホットレベラ5
を出た厚鋼板1を冷却する冷却装置6,冷却された厚鋼
板を熱処理する熱処理装置(焼き戻し炉など)2002
の各々を備えて構成されている。
【0011】なお、加熱炉2,粗圧延機3,仕上圧延機
4,ホットレベラ5,冷却機6及び熱処理装置2002
の各々には、その駆動を制御し、また稼働中の情報を得
るためにプロセスコンピュータ(以下、プロコンとい
う)が接続されている。また、製鋼工程及び連続鋳造、
造塊工程の駆動を制御し、また稼働中の情報を得るため
にもプロセスコンピュータが接続されている(製鋼プロ
コン101,加熱プロコン7,圧延プロコン8,冷却プ
ロコン9及び熱処理プロコン2001)。これらプロコ
ンは、中央制御室10に設置された上位コンピュータ
(不図示)に接続され、この上位コンピュータは生産計
画に従って製鋼プロコン101,加熱プロコン7,圧延
プロコン8,冷却プロコン9及び熱処理プロコン200
1を管理する。また、製品となった厚鋼板1に対し、機
械試験を行う場合の機械試験システム11が設けられ、
その試験結果は中央制御室10に送られる。
【0012】次に、図1に示す鋼板の材質予測方法につ
いて説明する。図1の処理を実行するには、これを実現
するソフトウェアを作成し、これをコンピュータにロー
ドすればよい。
【0013】本発明による鋼板の材質予測方法は、大別
して鋳造組織モデル,熱片搬送モデル,圧延モデル,熱
処理モデル,及び組織・材質モデルから成る。
【0014】 鋳造モデル107は、成分条件と鋳造条
件をもとに、連続鋳造後の析出物の状態、偏析の状態及
び金属組織の状態を計算するモデルであり、その詳細は
図3に示す通りである。
【0015】熱片搬送モデル108は、鋳造後の鋼片が
圧延前の過熱炉に挿入されるまでの温度履歴を計算する
モデルであり、その詳細は図4に示すとおりである。圧
延モデル110は鋳造モデルおよび熱片搬送モデルで計
算された偏析濃度、析出物状態、金属組織をもとに、圧
延および引続き行われる冷却中の加熱、温度保持、圧
延、変態を通じての元素の析出、元素の拡散、金属組織
の状態を計算するモデルであり、その詳細は図5に示す
とおりである。熱処理モデル1001は、鋳造モデル、
熱片搬送モデル及び圧延モデルで計算された偏析濃度、
析出物状態、金属組織をもとに、熱処理中の加熱、保
持、変態を通じての元素の析出、元素の拡散、金属組織
の状態を計算するモデルであり、その詳細は図6に示す
通りである。
【0016】組織・材質モデル111は、固溶強化、析
出硬化、金属組織単位の大きさの影響を分離して定式化
することで材質を算出するために設けられたモデルであ
り、その詳細は図7に示す通りである。
【0017】次に、各モデルの演算の詳細について図3
〜図11を参照して説明する。
【0018】図3は鋳造モデル107の処理の詳細を示
すフローチャートである。成分115をインプットし、
次に連続鋳造の場合は鋳片厚及び引抜き速度、冷却水量
密度及び引抜き後の経過時間をもとに鋳造温度モデル1
14で計算された温度履歴116をインプットし、計算
に必要な初期状態を設定する(ステップ118)。
【0019】また鋳造後温度低下中に熱片搬送用の保熱
炉または保熱台車に挿入する場合は図4に示す熱片搬送
モデル108で計算された温度履歴116をインプット
し、計算に必要な初期状態を設定する(ステップ11
8)。ついで状態図の計算を行う(ステップ119)。
【0020】また成分条件115は、WT%で示され、
炭素(C),シリコン(Si),マンガン(Mn),燐
(P),硫黄(S),銅(Cu),ニッケル(Ni),
クロム(Cr),モリブデン(Mo),ニオブ(N
b),バナジウム(V),チタン(Ti),タンタル
(Ta),アルミニウム(Al),窒素(N),希土類
元素(Rem),カルシウム(Ca),ボロン(B),
タングステン(W),及び酸素(O)などである。
【0021】次に、析出物の固溶量及び析出物粒径の計
算を行う(ステップ121)。次に状態図よりγ/α変
態が開始したか否かを判定し(ステップ133)、否で
あればγ1相になるまで温度が低下したか否かを判定す
る(ステップ122)。否であれば、液相、δ相、γ相
の分率を計算し(ステップ123)、γ相については等
軸晶、柱状晶それぞれの分率を計算する(ステップ12
4)。また合わせて合金元素の相間の分配を計算して
(ステップ126)偏析濃度の計算を行う(ステップ1
27)。この計算をγ1相となる温度まで繰り返す。ス
テップ122でγ1相となる温度以下であると判定され
た場合は、γ粒径の粒成長(ステップ125)及び合金
元素の拡散による偏析濃度の変化(ステップ129)を
計算する。この計算をγ/α変態開始となる温度まで繰
り返す。次にステップ133でγ/α変態開始温度まで
温度が低下したと判定された場合は、変態モデル38に
よりフェライト粒径、各相の組織分率、析出物の状態、
偏析濃度を計算する(ステップ130)。この変態モデ
ルの詳細は図8に示す通りである。
【0022】これらの計算の過程で、鋳片が保熱炉また
は保熱台車に挿入された場合は、その時点の金属組織の
状態、析出物の状態、偏析濃度を初期値として圧延モデ
ルにインプットする。
【0023】図4は熱片搬送モデルの詳細である。鋳片
が保熱炉または保熱台車に挿入された時点でのスラブ厚
と鋳片温度108.1と、加熱炉または保熱台車の雰囲
気温度及び保持時間108.2を熱片搬送温度モデル1
08.3へインプットし、圧延前の加熱炉挿入までの温
度履歴を計算する。
【0024】図8は変態モデル38の処理を詳細に示す
フローチャートである。
【0025】鋼の変態挙動は変態前のγ状態(γ粒径あ
るいは単位体積当たりの粒界面積,残留転移密度,析出
物の固溶・析出状態),冷却速度の影響を受ける。本モ
デルはこれらを33,37,40から入力し、また、ス
ラブ位置による成分変動の影響は偏析の状態128より
入力し、変態の進行及び粒界フェライト,粒内フェライ
ト,パーライト,ベイナイト,マルテンサイトの各組織
分率、さらにフェライトのうち形状が粒状のものについ
ては、その粒径及び分率を計算するものである。この計
算方法は以下の通りである。まず、当該成分における状
態図を計算し(ステップ381)各組織が熱力学的に生
成可能な条件(温度領域)を求める。次に、生成可能と
判断された組織について任意の微小時間内の変態量の増
分(ステップ383)及びフェライトについてはこの間
の生成粒数の増分(ステップ382)を求める。
【0026】また、フェライトが生成する場合には形状
が針状か粒状かの判断を行い、粒状である場合にはステ
ップ382で求めた生成粒数を粒状フェライトの粒数の
増分,ステップ383で求めた変態量の増分を粒状フェ
ライト量の増分とし、針状である場合には変態量の増分
のみを求める(ステップ384)。次に、変態に伴う発
熱等を冷却温度モデルにフィードバックするためにステ
ップ383で得られた変態量に応じた温度変化を計算す
る(ステップ385)。以上の計算を各板厚位置につい
て冷却終了まで繰り返し、変態量及び粒状フェライト粒
状の増分を加算することにより、最終的な組織の各組織
分率,粒状フェライトの分率及びその粒数を求めること
ができる。さらに、板厚方向のm点について計算が終了
した後(ステップ386)に粒状フェライトの粒径を粒
数と分率から求める(ステップ387)。また、ステッ
プ383,385の結果を基にフェライト,パーライ
ト,ベイナイトの各々が生成した平均温度(平均生成温
度)を計算する(ステップ388)。 以上の計算でフ
ェライトを粒状,針状に分離しておく理由は、粒状や針
状の形状が材質に関与することに着目したものであっ
て、材質の予測を高精度に行うことを可能とするためで
ある。また、平均生成温度は生成した温度によって材質
が異なることから必要になるもので、前述の組織,材質
モデル111の硬度算出で用いられるものである。
【0027】図5は圧延モデルの詳細を示すフローチャ
ートである。計算は主として、加熱、保定間の計算、圧
延工程の計算及び圧延終了後の変態の計算からなる。
【0028】鋳造モデルより計算された偏析濃度20.
2、析出物の状態20.3、金属組織20.1をインプ
ットする。さらに、スラブ厚・炉雰囲気温度・時間から
加熱モデル22により算出された温度履歴をインプット
する。これをもとに初期状態モデル20により加熱γ粒
径、析出物の状態を算出し、さらに拡散モデル128に
より偏析濃度を計算する。これらの計算結果26は熱間
加工モデル27にインプットされる。
【0029】熱間モデルの計算結果33及び析出物状態
37、さらに圧延終了後の冷却温度モデルにより算出さ
れた温度履歴40は変態モデル38にインプットされ、
フェライト粒径、各相の組織分率、析出物の状態、偏析
濃度、平均生成温度を計算する。この変態モデルは図8
に示したものと同一である。
【0030】図9は初期状態モデルの詳細を示すフロー
チャートである。偏析濃度25.2、析出物の状態2
5.1、金属組織25.3をインプットする。
【0031】次にスラブ温度・時間情報23または加熱
条件21よりスラブ加熱履歴をインプットし、計算に必
要な定数及び初期値を設定する(ステップ201)。次
いで、状態図の計算を行う(ステップ202)。
【0032】次に、加熱時間が設定値をオーバーしたか
否か判定(ステップ203)し、否であれば析出物の固
溶量及び析出物粒径の計算を行う(ステップ204)。
【0033】この後、設定時間内であればγ粒成長を計
算する。ただし、周知のように鋼材は、温度が高くなる
に伴って結晶構造の変化によってα粒状態あるいはθ
(セメンタイト)からγ粒状態へ変態する。
【0034】そこで、このγ粒の成長状態を、ステップ
202で計算された各状態ごとに異なった手法により計
算する。すなわち、温度に応じてγ単相域のほかγ+α
域、γ+α+θ域の各々についてもγ粒成長の計算を行
うのである(ステップ205)。
【0035】熱間加工モデル27は、再結晶の潜伏期を
定式化することにより、回復と再結晶を明確にし、圧延
中と圧延後の粒径(単位体積当りの粒界面積)や残留転
移密度などのオーステナイト状態を安定的に計算するた
めに設けられている。
【0036】この熱間加工モデル27は、γ粒径析出物
状態、偏析濃度26,圧延温度モデル28に基づく温度
・パス間時間情報29,及び歪モデル30に基づく相当
歪・歪速度情報31とにより、演算結果33(圧延γ粒
径,転移密度,歪み)を演算する。なお、圧延温度モデ
ル28及び歪モデル30は、圧延条件32(入側板厚,
出側板厚,加熱温度,パス間時間,ロール径,ロール回
転数)に基づいて算出される。
【0037】析出モデル35は、核生成と成長を分離
し、さらに個々の析出粒子の成長を考慮することで圧延
中及び圧延後のオーステナイト中における析出物状態を
算出するために設けられている。この析出モデル35に
より析出物状態を求めるに際しては、圧延温度モデル2
8による温度情報34,成分情報36及び熱間加工モデ
ルの演算結果33に基づいて析出元素(例えば、Ti,
Ta,V,Nb)の固溶量,析出量,析出物平均粒径を
演算し、析出物状態37として出力する。
【0038】図10は熱間加工モデル27の処理の詳細
を示すフローチャートである。
【0039】 この処理は、加熱γ粒径26,析出物の
状態26.1,偏析濃度26.2,温度・パス間時間情
報29及び相当歪・歪速度情報31を入力条件として行
われる。鋼板を複数回パスさせて圧延を行った場合、各
パス間において、圧延→回復→再結晶を経る過程で、
位密度が図11のように変化する。このため、各パス毎
に再結晶,回復を計算する必要がある。各パス毎及び圧
延終了後のγ粒径,平均転位密度等の計算は以下のよう
に行う。
【0040】まず、鋼板の内部の状態を知るために、表
面から中心部に向かって一定距離ごとにm個の位置を定
める(ステップ271)。そして、この各々について前
記入力条件に基づき圧延後のγの単位体積当りの粒界面
積を計算する(ステップ272)。
【0041】 圧延の圧下量が大きいと、瞬時的に再結
晶すなわち動的再結晶を生じる。そこで、動的再結晶が
生じているか否かを判定し、生じている場合には転位密
及び再結晶粒径を計算する(ステップ273)。動的
再結晶が完了しない場合には、この後再結晶が生じるま
での時間を計算し、さらに回復による転位密度の減少及
び静的再結晶を計算(再結晶率,再結晶粒径)する(ス
テップ274)。
【0042】また、再結晶が終了している場合には粒成
長を計算し(ステップ275)、さらに結晶粒の平均粒
径及び平均転位密度を算出(ステップ276)する。こ
れを最終パスまで繰返すことにより最終パス情報(板厚
m点のオ−ステナイト粒界面積及びその転位密度)を得
る(ステップ277)。図6は、熱処理モデル1001
の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0043】ここでの熱処理は焼戻しを意味し、冷却ま
での変態組織・析出状態、偏析の状態、熱処理条件の影
響を受ける。まず本モデルは変態モデル38の演算結果
43、析出モデル35の演算結果37及び熱処理の温度
・時間情報1003に基づき、過飽和に固溶した炭素の
析出及び残留オーステナイトの分解量を計算する(ステ
ップ6001)。次いで析出炭化物のセメンタイト化及
び析出物の成長を計算し(ステップ6002、600
3)する。以上の計算が板厚方向のm点について計算が
終了した後(ステップ6004)、最終的な組織情報及
びセメンタイト・析出物のサイズを計算する(ステップ
6005)。
【0044】図7は組織−材質モデル44の処理の詳細
を示すフローチャートである。
【0045】ここでは、鋼板1の材質を表現する降伏
点、引張強さ及び靭性を計算することを目的としてい
る。まず、成分情報36及び熱処理モデルでの演算結果
1006(組織及び炭化物・析出物情報)の各入力条件
に基づいて、フェライト,ベイナイト,パーライト,及
びマルテンサイトの各々の硬さを計算する(ステップ4
41)。
【0046】さらに、同じく熱処理モデル演算結果10
06に基づいて降伏点の計算(ステップ442)を行
い、次いでステップ441による硬度計算値を用いて引
張強さを計算(ステップ443)する。また、熱処理モ
デル演算結果である粒径情報,成分情報及び炭化物・析
出物情報などに基づいて靭性を計算する(ステップ44
4)。以上の処理をm個の点について実行し(ステップ
445)、すべてについて行われた場合には、処理が終
了し、材質予測を行うことができる。この結果は、フロ
ッピーディスクなどの記録媒体に保存されると共に、プ
リンタによって打出される。 <試験例>図12は本発明に供した鋼の化学成分、図1
3は製造条件、図14は粒径・分率などの組織因子及び
材質の実測値と上記予測方法による計算値を示すもので
ある。
【0047】図14より明らかなように、実測値と計算
値とは近似し、極めて高い精度で予測できたことがわか
る。
【0048】このように、高信頼な予測が可能になるこ
とから、将来的には、客先が要求する材質に応じ製品の
製造条件を容易に算出することも可能になる。
【0049】なお、以上の説明においては、厚鋼板のス
ラブ再加熱プロセスを例にしたが、熱延鋼材全般及びそ
のスラブ直送プロセスに本発明は適用することが可能で
ある。
【0050】
【発明の効果】本発明は上記のとおり構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。
【0051】請求項1の鋼板の材質予測方法において
は、連続鋳造によって作られた鋼片を鋳造後の温度が低
下する過程において加熱炉または保熱台車等に挿入して
熱片搬送後、圧延前の加熱炉に挿入し、引き続き圧延、
冷却及び焼き戻しを施して製造される鋼板に対して、前
記鋼片の厚み炉成分情報及び圧延条件に基づいて圧延後
のγ組織を算出し、この算出結果及び冷却条件に基づい
て、変態後の金属組織、偏析の状態、析出物の状態等を
算出し、この算出結果及び焼き戻し条件に基づいて、焼
き戻し後の金属組織、偏析の状態、析出物の状態等を算
出し、これらによって前記鋼板の材質を推定するように
したので、製造段階で材質予測を行うことができ、ま
た、要求される材質仕様を確実に実現可能な製造条件が
設定可能であり、従来のように完成品に対する検査測定
が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鋼板材質予測方法を示す演算フロ
ーチャートである。
【図2】本発明が適用される鋼板製造ラインの概要を示
す設備構成図である。
【図3】鋳造モデルの詳細を示すフローチャートであ
る。
【図4】熱片搬送モデルの詳細を示すフローチャートで
ある。
【図5】圧延モデル詳細を示すフローチャートである。
【図6】熱処理モデルの詳細を示すフローチャートであ
る。
【図7】組織−材質モデルの処理の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図8】変態モデルの処理の詳細を示すフローチャート
である。
【図9】初期状態モデルの処理の詳細を示すフローチャ
ートである。
【図10】熱間加工モデルの処理の詳細を示すフローチ
ャートである。
【図11】 圧延時の転位密度変化を示す特性図であ
る。
【図12】本発明に供した鋼の化学成分を示した図であ
る。
【図13】本発明に供した鋼の製造条件を示した図であ
る。
【図14】本発明に供した鋼の粒径・分率などの組織因
子及び材質の実測値と上記予測方法による計算値を示す
ものである。
【符号の説明】
1 厚鋼板 2 加熱炉 3 粗圧延機 4 仕上圧延機 6 冷却装置 7 加熱プロセスコンピュータ 8 圧延プロセスコンピュータ 9 冷却プロセスコンピュータ 10 中央制御室 20 初期状態モデル 21 加熱条件 27 熱間加工モデル 32 圧延条件 38 変態モデル 42 冷却条件 101 製鋼分塊プロセスコンピュータ 107 鋳造モデル 108 熱片搬送モデル 111 組織−材質モデル 1001 熱処理モデル 2001 熱処理プロセスコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下村 慎一 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式会社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平4−369003(JP,A) 特開 平4−361158(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造によってつくられた鋼片を、加
    熱炉に挿入し熱間圧延温度域まで温度調節をした後に、
    圧延、冷却及び焼き戻しを施して製造される鋼板に対
    し、前記鋼片の成分、製造条件に基づいて鋼板の金属組
    織、析出物の析出状態、偏析の濃度を予測し、さらに鋼
    板の材質を推定する鋼板の材質予測方法において、圧延
    に先立つ加熱前の上記鋼材の金属組織、析出物の析出状
    態、偏析の濃度を、成分条件と鋳造条件をもとに連続鋳
    造後の鋼片が圧延前の加熱炉に挿入されるまでの析出物
    の状態、偏析の状態及び金属組織の状態を計算するモデ
    ルである鋳造モデル107、鋳造後の鋼片が圧延前の加
    熱炉に挿入されるまでの温度履歴を計算するモデルであ
    る熱片搬送モデル108で演算し、さらに圧延及び冷却
    に引き続く焼き戻し後の上記鋼材の金属組織、析出物の
    析出状態、偏析の濃度を、成分条件、冷却後の金属組
    織、析出物の析出状態、偏析の濃度及び焼き戻し条件を
    もとに計算するモデルである熱処理モデル1001で演
    算することを特徴とする鋼板材質予測方法。
JP3207164A 1991-07-25 1991-07-25 鋼板材質予測方法 Expired - Lifetime JP2509485B2 (ja)

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