JP2507717Y2 - 歩行型移動農機の立積用掛止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、田植機、施肥機、播種機又はバインダ等の
歩行型移動農機を輸送する時に用いる立積み用掛止装置
に関する。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 従来、この様な歩行型の田植機、施肥機、播種機又は
バインダ等の移動農機には、後方に突出する後端部にグ
リツプが設けられ、基端部が機体側部材に一体的に止着
される左右一対の操向ハンドルが設けられる関係から、
前後方向に長く、このためこれを輸送する場合、運搬車
の荷台に、操向ハンドルが上方を向く倒立姿勢（立積み
姿勢）に積込むことで積込み台数を増やすことが試みら
れている。

この場合に、上方を向く左右操向ハンドル間に亘つて
止金を止着し、該止金にロープを掛けて荷台に緊締状態
にして輸送し、目的地に到着したとき、前記止金にロー
プを掛けてホイスト等の吊り上げ手段により吊り上げて
降ろすようにしており（第４図、第５図参照）、そして
このものについては実公昭57-41197号公報に示されるよ
うに既に提案した。

ところがこのものにおいて、止金の左右操向ハンドル
に対する止着は、Ｕボルト等の部材を用いてハンドル外
周に緊締することで行つていたから、前述の荷造のロー
プの緊締、輸送時の振動、及びホイストによる吊上げ等
の際に止金に負荷が掛るとハンドル突出長さ方向に無理
にずれて移動することがあつて荷役作業がしづらいう
え、該無理な移動によつて操向ハンドルの塗装が剥げた
り、輸送中の止金の移動によりロープが緩み、積崩れし
て農機が損傷する等の問題点があつた。

［問題を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一
掃することができる歩行型移動農機の立積み用掛止装置
を提供することを目的として考案されたものであつて、
後方に突出する後端部にグリツプが設けられ、基端部が
機体側部材に一体的に止着される左右一対の操向ハンド
ルを設けてなる歩行型移動農機において、該歩行型移動
農機を立積みするための止金を、前記左右操向ハンドル
の外周に緊締するようにして止着するにあたり、該止金
には、前記左右操向ハンドルに一体に付設される部材、
または走行ハンドル基端部が止着される前記機体側部材
に係合して止金が操向ハンドルの突出長さ方向に移動す
るのを規制する係止部が形成された連結部材を設けたこ
とを特徴とするものである。

そして本考案は、上記構成とすることにより、左右の
操向ハンドルに止着した止金の操向ハンドル突出長さ方
向のずれを防止できるようにしたものである。

［実施例］ 本考案の一実施例を、小型移動農機の一例である歩行
型田植機の荷造輸送について説明すると、第１図〜第５
図において、歩行型田植機は、機体１の前部にエンジン
が搭載され、ミツシヨンケースの後部からは両側方へ出
力軸が突出しており、該出力軸には、後部に車輪が軸支
されたスイングチエンケース２の前部が装着されてい
る。また機体１の後方には、苗載台３及び植付体等から
なる植付装置５と後述する左右一対の操向ハンドル６が
装着されており、下部にはフロート７が取付けられてい
ること等は何れも従来通りの構成となっている。

扨、前記操向ハンドル６は後方が開いたＵ型をしてお
り、前部の取付座6aが取付ボルト９によりドライブケー
ス８に螺着されることによつて操向ハンドル６は機体１
側部材に一体的に取付けられる構成となつている。そし
て、操向ハンドル６の中間部には、左右操向ハンドル６
を連結する状態で横方向を向く連結パイプ10が一体的に
止着されているが、連結パイプ10の両端部は操向ハンド
ル６を越えて外側方に突出状態になつている。さらに、
操向ハンドル６の後端部にはグリツプ11が取付けられて
いる。

12は、機体１を立積みするために左右の操向ハンドル
６に亘つて設けられる止金であつて、該止金12はＬ型鋼
からなり、左右両端部が左右操向ハンドル６の外側方に
突出するよう長く形成されている。そして止金12は、左
右両端部に止棒13が熔接されていると共に、操向ハンド
ル６対応部位に２個の孔14が穿設されており、これらの
孔に操向ハンドル６の外周を跨ぐ状態のＵボルト15両脚
部を挿通し、該脚部にスプリングワツシヤ16を介してナ
ット17を締着することで左右操向ハンドル６に緊締され
るようになつている。

また、前記止金12には、操向ハンドル６の外側に沿う
状態で前記連結パイプ10と重複する連結部材18が溶接さ
れている。そしてこの重複部位に、前記連結パイプ10が
嵌合状に係合する切欠部20が設けられていて、前記止金
12が操向ハンドル６に緊締された状態で切欠部20に機体
１側部材である連結パイプ10の突出部が嵌合状に係合す
るようになっており、これによつて止金12の操向ハンド
ル６突出長さ方向への移動が規制されるように設定され
ている。

叙述のごとく構成された本考案の実施例において、前
記歩行型田植機を運搬車に積込み輸送する場合では、機
体１を荷台に載せ、従来と同様に架台21の頂点にスイン
グチエーンケース２の前端部を当接して倒立させ、第５
図に示すようにロープ22を荷台側から前記止金12の止棒
13の内側に回し掛けて荷台に緊張止着し、前後方向並列
状に積込まれた機体１の操向ハンドル６に緊締された止
金12同志を、前後方向に長いバー（図示せず）で連結
し、この状態にして輸送することになる。この場合に、
前後左右上下に揺れて止金12に負荷が掛かることになる
が、止金12は操向ハンドル６に緊締されているだけでな
く、止金12に一体的に熔接された連結部材18が横方向の
連結パイプ10両端の突出部に嵌合状に係合して移動規制
されている。この結果、前記揺れがあつても、止金12は
緊締部位が操向ハンドル６の突出長さ方向に無理にずれ
て移動してしまうことがなく、従つて、操向ハンドル６
の前記緊締部位の塗装が剥離したりすることがないうえ
荷役作業が容易になり、しかも、ロープ22が緩むことに
より荷崩れを起こすこともなくなつて機体１が損傷した
りすることがない。

また、目的地に到達して荷下ろしする場合では、第４
図に示す如く前記止金12の両端にワイヤー、又はロープ
23を掛け、ホイスト等の吊上機25で吊上げることにな
り、この場合においても止金12に負荷が掛ることになる
が、この状態でも止金12は同様に移動規制されていて無
理に移動してしまうことがない。

次に第６図及び第７図（ａ）示す第二実施例について
説明する。このものでは、前記連結パイプ10の突出部に
孔ａを穿設する一方、連結部材18の先端を折曲し、この
折曲部を上記孔ａに嵌挿することで、連結部材18が機体
側部材に係合する構成としたものである。さらにこのも
のでは、第７図（ｂ）に示すように、操向ハンドル６に
孔が穿設されていて、止金12に固定したストツパーピン
ｂが上記孔に嵌挿するようになつている。また、このも
のでは、機体１の吊上げ時にロープ23が接触する止金12
の両端部分に、第６図に示す如く、ゴム等の保護材ｃが
接着されていてロープの損傷が防止されるようになって
おり、この点については後述の実施例でも同様になつて
いる。

次に、第８図〜10図に示す第三実施例について説明す
る。この実施例の連結部材18は、止金12前面に前記取付
ボルト９対向部位に熔接されており、機体１側の端部を
折曲すると共に、該折曲端部に切欠溝が穿設されてい
る。そして、止金12の取付けは、操向ハンドル６を機体
１に止着するための前記取付ボルト９を予め抜き取り、
止金12を前述の実施例と同様に操向ハンドル６にＵボル
ト15とスプリングワツシヤ16にて締着すると共に連結部
材18の折曲端部の切欠溝を取付座6aの孔に重合した後、
前記取付ボルト９を螺着することで止着されるようにな
つており、このようにしても前記各実施例と同様な作用
を得ることができる。

また、第11図〜13図に示す第四実施例において、連結
部材に相当する部材は、止金12に熔接された断面Ｌ型に
折曲された長板状の連繋部材18aであり、該連繋部材18a
の一側面を操向ハンドル６の外周面に当接せしめる構成
のものであるが、このものは、第12図に示すように止金
12と連繋部材18aとを操向ハンドル６に当接する状態で
当てがい、該操向ハンドル６の外周を迂回するＬ型ボル
ト27とナツト28とで緊締することにより止着される構成
になっている。そしてこのものでは、連繋部材18aが操
向ハンドル６の外周面に対して突出方向に長い面で圧接
されるので輸送時または荷下ろし時においてずれ難いと
いう利点があるが、このものでは、前記締着時に連繋部
材18aの端部を連結パイプ10の延出部に当接対向させて
おくことで、荷下ろし時等においての止金12の移動が規
制される。

第14図は前記連繋部材18aに穿設した孔を端部が開口
した長孔14bとした例を示す第五実施例のものである。

［作用効果］ 本考案は、叙述のごとく構成されたものであるから、
歩行型移動農機を輸送するとき、左右の操向ハンドルに
止着される止金は、該止金に設けた連結部材の係止部を
左右操向ハンドルに敷設される部材または操向ハンドル
基端部が止着される機体側部材に係合することで、操向
ハンドルの突出長さ方向に移動するのが規制される。

この結果、移動農機を立積みして運搬するに際し、止
金をロープで連結したり、止金にロープを懸架してホイ
スト等を用いて吊り上げたりするとき、止金が操向ハン
ドルの突出長さ方向に無理移動してずれてしまうことが
防止され、これによつて荷役作業がしやすくなるうえ、
操向ハンドルの塗装が剥げたりロープが緩んで積崩れし
たりすることを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部の斜視図、第２図
は止金の分解斜視図、第３図は同上側面図、第４図は荷
台に積込んだ小型移動農機を吊下げて下ろす状態を示す
正面図、第５図は同上積込み状態を示す側面図、第６図
は第二実施例の止金の全体斜視図、第７図（ａ）は同上
止金要部の側面図、（ｂ）は同上止金の他の要部の側面
図、第８図は第三実施例の要部斜視図、第９図は同上止
金の分解斜視図、第10図は同上要部側面図、第11図は第
四実施例の要部斜視図、第12図は同上止金の平面図、第
13図は同上止金の分解斜視図、第14図は第五実施例の止
金の斜視図である。 １は操作ハンドル、10は連結パイプ、12は止金、18は連
結部材、20は切欠部である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】後方に突出する後端部にグリツプが設けら
   れ、基端部が機体側部材に一体的に止着される左右一対
   の操向ハンドルを設けてなる歩行型移動農機において、
   該歩行型移動農機を立積みするための止金を、前記左右
   操向ハンドルの外周に緊締するようにして止着するにあ
   たり、該止金には、前記左右操向ハンドルに一体に付設
   される部材、または走行ハンドル基端部が止着される前
   記機体側部材に係合して止金が操向ハンドルの突出長さ
   方向に移動するのを規制する係止部が形成された連結部
   材を設けたことを特徴とする歩行型移動農機の立積み用
   掛止装置。