JP2505490Y2 - 被塗物形状認識装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、被塗物の塗装ガンと対
向する正面の形状及び奥行き方向の形状を認識する装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】搬送ラインによつて被塗物を一方向に搬
送するようにして、搬送ラインと直角に水平移動するレ
シプロケータに塗装ガンを上下移動可能に装着した自動
塗装装置においては、塗料の無駄な噴射による塗料コス
トの上昇と環境の悪化を防止するとともに、塗装ガンと
被塗物の対向間隔をほぼ一定に保つて塗膜厚の均一化を
図る必要がある。

【０００３】このために、搬送される被塗物が塗装位置
に達するより前にその被塗物の正面形状及び奥行形状を
検出し、そのデータに基づいて、上下動する塗装ガンか
らの塗料の噴射とその停止を制御するとともにレシプロ
ケータの位置を適宜に移動させることが行われている。

【０００４】かかる塗装装置において被塗物の正面形状
と奥行形状を検出する手段の１つとしては、搬送ライン
の両側に、順次に発光する多数の投光素子を列設した投
光器とその投光器の各投光素子に対向する受光素子を列
設した受光器とを上下方向に向けて対設して正面形状認
識センサを構成するとともに、搬送ラインの上下に、他
の投光器と受光器を搬送方向と直角をなす方向を向けて
対設して奥行形状認識センサを構成した被塗物形状認識
装置が用いられている。この認識装置は、被塗物を搬送
しつつ各投光素子から順次に光を発して、その発せられ
た各光が被塗物に遮られずに受光素子で受光されるか否
かを制御装置で検知する、という作動を繰り返すことに
よつて被塗物の形状を認識するようになつている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】従来の被塗物形状認識
装置は、正面形状認識センサの投光器と受光器が、夫
々、ケーブルによつて制御装置に接続されるとともに、
奥行形状認識センサの投光器と受光器が、夫々、正面形
状認識センサとは別のケーブルによつて制御装置に接続
されていた。

【０００６】このように、従来は、両投光器と両受光器
が、夫々、並列に接続されていたため、その接続用のケ
ーブルの総長が長くなつてコストが高くつくばかりでな
く、ケーブルの配索工事にかかる手数が多いという欠点
があつた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の被塗物形状認識
装置は、上記課題を解決するための手段として、被塗物
の搬送ラインの両側に、順次に発光する多数の投光素子
を列設した投光器とその投光器の各投光素子に対向する
受光素子を列設した受光器とを上下方向に向けて対設し
て正面形状認識センサを構成し、搬送ラインの上下に、
他の投光器と受光器を搬送方向と直角をなす方向を向け
て対設して奥行形状認識センサを構成するとともに、正
面形状認識センサの投光器及び受光器を奥行形状認識セ
ンサの投光器及び受光器と夫々直列に接続し、被塗物の
正面形状と奥行形状とを連続して認識する構成とした。

【０００８】

【作用】本考案は上記構成になり、被塗物の形状認識が
行われる際には、正面形状認識センサの投光器の投光素
子列と奥行形状認識センサの投光器の投光素子列を一連
の投光素子列としてその各投光素子を順次に発光させる
とともに、両受光器の受光素子列を一連の受光素子列と
してその各受光素子における受光がなされたか否かを検
知する、という作動が繰り返される。

【０００９】そして、正面形状認識センサのどの受光素
子が光を受けてどの受光素子が光を受けなかつたのかを
判別することにより正面形状の認識が行われ、奥行形状
認識センサのどの受光素子が光を受けてどの受光素子が
光を受けなかつたのかを判別することにより奥行形状の
認識が行われる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。

【００１１】図において、符号１は、天井２に固設した
コンベア３から垂下したハンガ４に被塗物５を吊り下げ
た状態で一方向に搬送するようにした搬送ラインを示
す。

【００１２】搬送ライン１の側方には、流体圧シリンダ
７の駆動により搬送ライン１に対して接離する方向に往
復移動するレシプロケータ８と、ノズル１０を搬送ライ
ン１に向けた姿勢でレシプロケータ８の駆動により上下
方向に往復移動する塗装ガン９とからなる塗装装置６が
設けられている。

【００１３】レシプロケータ８の位置は、塗装ガン９と
搬送される被塗物５との間の対向間隔が一定に保たれる
ようにするために、被塗物５の奥行形状に基づいて制御
されるようになつている。また、塗装ガン９からの塗料
の噴射とその停止は、塗料が被塗物５に塗着されずに無
駄に噴射されるのを回避するために、被塗物５の正面形
状に基づいて制御されるようになつている。

【００１４】これらの制御を行う制御装置１２には、被
塗物５の正面形状及び奥行形状を認識するための被塗物
形状認識装置１５が接続されている。以下、その構造に
ついて説明する。

【００１５】被塗物形状認識装置１５は、搬送ライン１
の搬送方向において塗装装置６よりも後方の位置に設け
られており、正面形状認識センサ１６Ａと奥行形状認識
センサ１６Ｂとから構成されている。

【００１６】正面形状認識センサ１６Ａは、搬送ライン
１の両側に配置された投光器１７と受光器１８とからな
る。投光器１７は、細長いケース１９内に多数個の投光
素子２０を投光方向が互いに平行となる向きにして等間
隔で一列に配置した構造になり、各投光素子２０が端か
ら順に発光するようになつている。搬送ライン１の一方
の側においては、３個の投光器１７ａ、１７ｂ、１７ｃ
が、投光素子２０の投光方向を水平に搬送ライン１側に
向けて上下方向に一列に並んだ状態でブラケツト２１を
介すことにより支柱２２に支持されている。これらの３
個の投光器１７ａ、１７ｂ、１７ｃはケーブル２３、２
３によつて直列に接続されている。

【００１７】受光器１８は、細長いケース２４内に、投
光器１７の投光素子２０と同じ間隔で多数個の受光素子
２５を一列に配置した構造になり、搬送ライン１の反対
の側においては、３個の受光器１８ａ、１８ｂ、１８ｃ
が、各受光素子２５を投光器１７ａ、１７ｂ、１７ｃの
各投光素子２０と対向させて上下方向に一列に並んだ状
態でブラケツト２６を介すことにより支柱２７に支持さ
れている。これらの３個の受光器１８ａ、１８ｂ、１８
ｃはケーブル２８、２８によつて直列に接続されてい
る。

【００１８】奥行形状認識センサ１６Ｂは、正面形状認
識センサ１６Ａの投光器１７と同じ構造になる１個の投
光器１７ｄと、同じく正面形状認識センサ１６Ａの受光
器１８と同じ構造になる１個の受光器１８ｄとから構成
されている。投光器１７ｄは、その投光素子２０の列を
水平かつ搬送ライン１と直角に向けるとともに投光素子
２０の投光方向を上に向けた姿勢で、搬送される被塗物
５よりも低く、かつ、搬送ライン１の中心よりも被塗物
５の正面寄りにずれた位置に床面２９のブラケツト３０
によつて支持されている。受光器１８ｄは、その受光素
子２５を投光器１７ｄの投光素子２０と対向させるよう
に水平かつ搬送ライン１と直角な姿勢で、ブラケツト３
１を介して天井面２に支持されている。

【００１９】奥行形状認識センサ１６Ｂの投光器１７ｄ
と正面形状認識センサ１６Ａの最も上に位置する投光器
１７ａとはケーブル３３によつて接続され、正面形状認
識センサ１６Ａの最も下に位置する投光器１７ｃと制御
装置１２とはケーブル３４によつて接続されている。こ
れにより、制御装置１２に対して４個の投光器１７ｃ、
１７ｂ、１７ａ、１７ｄが順に直列に接続されることと
なり、これらの投光器１７ａ、１７ｂ、１７ｃ、１７ｄ
の投光素子２０が一連の投光素子列を構成して、１７
ｄ、１７ａ、１７ｂ、１７ｃの順に発光するようになつ
ている。

【００２０】また、奥行形状認識センサ１６Ｂの受光器
１８ｄと正面形状認識センサ１６Ａの最も上に位置する
受光器１８ａとはケーブル３５によつて接続され、正面
形状認識センサ１６Ａの最も下に位置する受光器１８ｃ
と制御装置１２とはケーブル３６によつて接続されてお
り、これにより、制御装置１２に対して４個の受光器１
８ｃ、１８ｂ、１８ａ、１８ｄが順に直列に接続され
て、その受光素子２５が一連の受光素子列を構成して１
８ｄ、１８ａ、１８ｂ、１８ｃの順に受光の検知が行わ
れるようになつている。

【００２１】本実施例は上記構成になり、以下、被塗物
５の形状認識の作動について説明する。

【００２２】被塗物５を搬送しつつ、制御装置１２から
の作動信号により、奥行形状認識センサ１６Ｂの投光器
１７ｄの図１における右端に位置する投光素子２０から
始めてその左側に位置するものの順に各投光素子２０を
１個ずつ発光させ、この投光器１７ｄに続けて正面形状
認識センサ１６Ａの最上位置の投光器１７ａの最上端に
位置する投光素子２０を発光させ、その下に位置するも
のの順に各投光素子２０を１個ずつ発光させて、最後に
最下位置の投光器１７ｃの最下端に位置する投光素子２
０を発光させる、という作動を何度も繰り返す。

【００２３】この間、制御装置１２においては、投光素
子２０から発せられた光が被塗物５に遮られずに受光素
子２５によつて受光されるか否かを検知し、どの受光素
子２５が受光し、どの受光素子２５が受光しなかつたの
かを判別する。正面形状認識センサ１６Ａの受光素子２
５についての判別結果によつて被塗物５の正面形状が認
識され、奥行形状認識センサ１６Ｂの受光素子２５につ
いての判別結果によつて被塗物５の奥行形状が認識され
る。

【００２４】そして、被塗物５が塗装ガン９と対応する
塗装位置に達すると、認識した形状に基づいてレシプロ
ケータ８の位置と塗装ガン９からの塗料噴射が制御され
つつ、塗装が行われる。

【００２５】

【考案の効果】本考案の被塗物形状認識装置は、正面形
状認識センサの投光器と奥行形状認識センサの投光器、
及び、正面形状認識センサの受光器と奥行形状認識セン
サの受光器を、夫々、直列に接続したから、両投光器と
両受光器を夫々並列に接続した従来装置に比べて、接続
用のケーブルの総長が短くなつてコストを低く抑えるこ
とができるとともに、ケーブルの配索工事にかかる手数
が少なくて済むという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の一部切欠正面図である。

【図２】本考案の一実施例の一部切欠平面図である。

【符号の説明】

１：搬送ライン ５：被塗物 １６Ａ：正面形状認識セ
ンサ １６Ｂ：奥行形状認識センサ １７ａ、１７ｂ、
１７ｃ、１７ｄ：投光器 １８ａ、１８ｂ、１８ｃ、１
８ｄ：受光器 ２０：投光素子 ２５：受光素子

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被塗物の搬送ラインの両側に、順次に発
   光する多数の投光素子を列設した投光器と該投光器の各
   投光素子に対向する受光素子を列設した受光器とを上下
   方向に向けて対設して正面形状認識センサを構成し、前
   記搬送ラインの上下に、他の投光器と受光器を搬送方向
   と直角をなす方向を向けて対設して奥行形状認識センサ
   を構成するとともに、前記正面形状認識センサの投光器
   及び受光器を前記奥行形状認識センサの投光器及び受光
   器と夫々直列に接続し、被塗物の正面形状と奥行形状と
   を連続して認識する構成としたことを特徴とする被塗物
   形状認識装置。