JP2502691Y2 - 包装用噴霧器のスパウト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、包装用噴霧器のスパウ
トに関するものである。より詳しくは、本考案は、包装
用噴霧器本体を手にもって、スパウトを親指で軽く押す
だけで内容物を噴射させることができる包装用噴霧器の
スパウトに関するものである。本考案に係る包装用噴霧
器のスパウトは、化粧料、殺虫剤、塗料などを充填した
包装用噴霧器のスパウトとして便利なものであり、特
に、バルブ直径の小さな包装用噴霧器に使用するスパウ
トとして好適なものである。

【０００２】

【従来の技術】包装用噴霧器のスパウトは、下方を開放
した継手筒と該継手筒の頂壁上方に立設したノズルとか
らなり、内容物を充填した包装用噴霧器本体に嵌合して
使用されるものである。従来公知の包装用噴霧器のスパ
ウトとしては、包装用噴霧器本体の上部を構成するバル
ブの形態に応じて次の２種類のものがある。

【０００３】その一は、ティルト方式のバルブに取り付
けられるスパウトである（図４参照）。このティルト方
式のバルブに取り付けられるスパウトは、ノズル３に横
方向の力を加えても、包装用噴霧器本体２２に充填した
内容物を噴射させることができるようにしたものである
（以下、「第１公知スパウト」という。）。

【０００４】前記第１公知スパウトは、継手筒１とノズ
ル３とが、継手筒１の頂壁２に設けた連結板８’で仮連
結されており、使用開始時に、ノズル３を押し下げるこ
とによって頂壁２と連結板８’との仮連結部が切断さ
れ、ノズル３下端のステム把持孔１１がステム２０の上
端部に嵌り込むことによってノズル３とステム２０とが
直結させられる。このティルト方式のバルブにおけるス
テム２０は、上方のストレートパイプ状のステム２０の
下方に、両側部に連通孔２６を有する括れ部を介して大
径のラバー受け３１が一体的に設けられているもので、
この括れ部にフランジ状のラバー２７を嵌め込み、この
ラバー２７の外周部を、包装用噴霧器本体２２上端開口
の内部に気密状に設けたステム受け２９の上端部とこの
本体２２上端開口の外部にかしめ固定されたバルブマウ
ンテン２３との間に挟持されると共に、ステム下端の大
径のラバー受け３１の下面とステム受け２９の底面上部
との間にスプリング２８を介して固定されている。 そし
て、前記バルブマウンテン２３の上端内周部とステム２
０との間には隙間２４が設けられ、又、ステム下部の大
径のラバー受け３１の外側壁とステム受け２９の内側壁
との間にも遊びが設けられているので、ステム２０が極
めて傾きやすい構造となっている。

【０００５】他の一は、プッシュダウン方式のバルブに
取り付けられるスパウトである（図５及び図６参照）。
このプッシュダウン方式のバルブに取り付けられるスパ
ウトは、ノズル３を押し下げることによって、包装用噴
霧器本体２２内に充填した内容物を噴射させることがで
きるようにしたものである（以下、「第２公知スパウ
ト」という。）。

【０００６】前記第２公知スパウトは、継手筒１の頂壁
２に、継手筒１とノズル３とを連結する水平な連結板
８”を残して円周に沿う水平状のＣ字型スリット７が設
けられるとともに、連結板８”側のノズル３側面に頂壁
２と平行な押部９が設けられたものである。このプッシ
ュダウン方式のバルブにおけるステム２０は、上方のほ
ぼストレートパイプ状のステム２０の下方に、片側に連
通孔２６を有する括れ部を介して大径のラバー受け３１
が一体的に設けられているもので、この括れ部にフラン
ジ状のラバー２７を嵌め込み、このラバー２７の外周部
を、包装用噴霧器本体２２上端開口の内部に気密状に設
けた筒状のステム受け２９に上端部とこの本体２２上端
開口の外部にかしめ固定されたバルブマウレテン２３と
の間に挟持されると共に、このバルブマウレテン２３の
上端部に立ち上り部２５を設けてその内周部を前記ステ
ム２０が摺動可能なステム挿入孔２４となし、又、前
記、バー受け３１を筒状のステム受け２９の内面に摺動
可能とされているので、ステム２０は上下動のみが可能
な構造となっている。なお、図中３０は継手筒４の外周
上部に設けた段差で、この段差部にキャップ（図示せ
ず）が嵌合される。

【０００７】

【考案が解決しようとする問題点】前記第１公知スパウ
トは、上記の通り、ステム２０が極めて傾きやすい構造
となっているので、このステム２０に直結されたノズル
３に、横方向の力が加わると、その力がかなり弱くて
も、フランジ状のラバー２７の内周部すなわち、ステム
括れ部の連通孔２６を塞いでいる部分が下方向に屈曲し
て連通孔２６が開口し、ノズル３の噴射口１０及びステ
ム２０の噴射口２１と包装用噴霧器本体２２の内部とが
連通するので包装用噴霧器本体２２に充填した内容物を
ノズル先端から噴射させることができる。このことは、
弱い力で噴射操作をすることができるという長所である
と同時に、使用者の意思に関係なくノズルに少し触れた
だけでも内容物が噴射してしまうという短所でもある。

【０００８】そのため、前記のような第１公知スパウト
に比べて、噴射操作により強い押し下げ力を要するが、
ノズル３に対し横方向に力が加わっても使用者の意思に
関係なく内容物が噴射してしまうおそれの少ない前記第
２公知スパウトの方が広く使用されているのが現状であ
る。この第２公知スパウトにおいては、バルブ直径が大
きい場合、連結板８”の付根部（支点）からノズル３と
ステム２０上端との接点（作用点）までの距離が長くな
るので、押部９（力点）に力を加えると、支点を中心に
して描く作用点の軌跡がバルブ直径の小さい場合より大
きくなる。そのため、バルブ直径が大きければ大きい
程、支点から力点までの距離が大きくとれるためステム
２０を押し下げるために必要な力は比較的小さくてもよ
いものとなる。

【０００９】ところが、一般にバルブ直径が小さい場合
には、支点から作用点までの距離が短くなるので、支点
を中心にして描く作用点の軌跡が小さくなる。そのた
め、バルブ直径が小さければ小さい程、ステム２０の受
ける力は斜下方向となり、ステム２０を押し下げるため
に必要な力点に加える力が大きくなるという問題点が生
じる。例えば、市販されている直径２５mmのバルブマウ
ンテンをもつ包装用噴霧器（協和産業株式会社製）にお
いて、ステム２０を押し下げるに必要な力点に加える力
は約２．０kgを必要とする。また、ステム２０の受ける
力が斜下方向となると、スパウトのノズル３とバルブの
ステム２０との嵌合部に歪みが生じるので、内容物のス
ムースな噴射を阻害するなどの問題点が生じる。

【００１０】本考案者は、バルブ直径が小さい包装用噴
霧器の需要が増大しつつあるとの現状に鑑み、第２公知
スパウトが持つ前記問題点を解決するために種々の検討
を加えた。その結果、バルブ直径が小さい包装用噴霧器
のスパウトにおいて、支点から作用点までの距離を長く
することができれば、前記問題点を解決できるとの知見
を得、かかる知見に基づき本考案を完成するに至ったの
である。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案はプッシュダウン
方式の包装用噴霧器において、連通板８を、頂壁２の外
周部から側壁にかけて垂直状に延長し、押部９と連結板
下端との距離を大きく することにより連結板を撓みやす
くし、押手に加えた力がステムに対しほぼ垂直方向に加
わるようにして押手によるノズルの操作性を向上させた
ことを特徴とするものである。即ち、本考案に係る包装
用噴霧器のスパウトは、図１、図２に示す通り下方を開
放した継手筒１と該継手筒１の頂壁２上方に立設したノ
ズル３とが一体化された包装用噴霧器のスパウトにおい
て、継手筒１の側壁４の上部に二本の縦スリット５、
５’がその上端部を頂壁２内に少し臨ませるように設け
られ、この頂壁２におけるノズル３の取付基部６の外周
に前記縦スリット５、５’の上端部に連通する水平状の
Ｃ字型スリット７が設けられることによって、継手筒１
とノズル３とが断面倒立Ｌ字状の連結板８で連結されて
いることを特徴とするものである。

【００１２】本考案に係る包装用噴霧器のスパウトは、
従来から用いられているプッシュダウン方式のバルブを
有する包装用噴霧器本体に適用できることは勿論、ティ
ルト方式のバルブを有する包装用噴霧器本体にも適用で
きる。以下、本考案に係る包装用噴霧器のスパウトをプ
ッシュダウン方式のバルブに適用した一実施例につい
て、図１及び図２に基づき詳述する。

【００１３】

【実施例】 包装用噴霧器本体２２の上部には、中央にス
テム挿入孔２４を有するバルブマウンテン２３が嵌めら
れており、前記ステム挿入孔２４の口部周辺には立ち上
がり部２５が設けられ、前記ステム挿入孔２４にステム
２０が挿入されている。ステム２０の括れ部に連通孔２
６が設けられており、不使用時には、この連通孔２６は
フランジ状のラバー２７の内側面で閉塞されており、使
用時に、このラバー２７が下方向に屈曲されることによ
って連通孔２６が開口されるようになっている。ステム
２０の下半部はスプリング２８を介してステム受け２９
に保持されている。なお、図中３０は継手筒１の側壁４
の上部に設けた段差を示し、この段差３０に容器キャッ
プ（図示せず）が嵌合される。上記包装用噴霧器本体２
２の構成は図６に示した従来のものと同じである。

【００１４】このような構成の包装用噴霧器本体２２上
端のバルブマウンテン２３に、本考案に係る包装用噴霧
器のスパウトを被せ、継手筒１とバルブマウンテン２
３、ステム把持孔１１とステム２０とをそれぞれ嵌合す
る。本考案に係る包装用噴霧器のスパウトの特徴的な構
成は、継手筒１の側壁４の上部に二本の縦スリット５、
５’がその上端部を頂壁２内に少し臨ませるように設け
られ、頂壁２におけるノズル３の取付基部６の外周に前
記縦スリット５、５’の上端部に連通する水平状のＣ字
型スリット７が設けられることによって、継手筒１とノ
ズル３とが断面倒立Ｌ字状の連結板８にて連結されてい
ることにある。この特徴的な構成を備えておれば、後述
する本考案の作用効果を得ることができる。

【００１５】使用に際して、押部９を下方に押すと、ス
テム把持孔１１に把持されたステム２０が押し下げられ
る。その結果、ステム２０の括れ部に嵌まっているラバ
ー２７の内側面が下方向に屈曲され、ラバー２７で閉塞
されていた連通孔２６が開口され、ノズル３の噴射口１
０及びステム２０の噴射口２１と包装用噴霧器本体２２
の内部とが連通し、包装用噴霧器本体２２に充填された
内容物が、ノズル３の噴射口１０から噴射される。

【００１６】本考案において、前記のような特徴的な構
成を備えておれば、次のような実施態様を採ることもで
きる。本考案における押部９は、頂壁２上に設けられて
いることが必須であるが、第２公知スパウトのように、
押部９が真上を向いていると、包装用噴霧器本体２２を
持った手の人差指又は親指の腹を押部９表面と平行にな
るようにしなければならないので、噴射操作性に欠ける
ことになる。

【００１７】そこで、この操作性を良くするためには、
連結板８側のノズル３側面に、図に示すような連結板８
側からノズル３の側面に向けて斜め上向きの押部９をノ
ズル３と一体的に形成すればよい。バルブ直径が小さい
包装用噴霧器に適用した第２公知スパウトでは、支点と
作用点との距離が短いので、押部９を斜め上向きにすれ
ば、力点により多くの力を必要とする。しかし、本考案
に係る包装用噴霧器のスパウトでは、連結板８を断面倒
立Ｌ字状にして支点と作用点との間の距離を長くし、こ
の連結板８を撓みやすくすると共に支点を中心として描
く作用点の軌跡を大きく垂直に近いものとすることがで
きるので、押部９を斜め上向きにしても、軽い力でノズ
ル３を押し下げることができる。

【００１８】しかし、連結板８の幅が広すぎると屈曲し
にくくなるので、ノズル３の押し下げに強い力が必要と
なる。一方、連結板８の幅が狭すぎると折れやすくな
る。従って、連結板８の幅を決定するに際しては、この
両面を考慮しなければならず、スパウトの材質や連結板
８の厚み等により異なるが、通常１．５mm〜２０mmの範
囲、特に好ましくは２．０mm〜１２mmの範囲で適宜選択
して決定すればよい。

【００１９】なお、直径が約２５mm以下の小さいバルブ
マウンテンをもつ包装用噴霧器に本考案に係るスパウト
を適用する場合において、ノズル３が頂壁２の中心に位
置すると、人差指又は親指の押部９への接触面積が少な
くなるので、噴射操作性が悪くなる。このような問題を
解決するためには、図１〜図３に示すように、ノズル３
の噴射口１０を、ステム２０の噴射口２１に対し連結板
８とは反対方向に偏位させておけばよい。また、ノズル
３が図１及び図２に示すように上方向を向いていると、
使い勝手が悪い場合も生じる。このような問題点を解決
するためには、図３に示すように、ノズル３を連結板８
とは反対方向に９０度屈曲させたり、その中間角度に傾
けておけばよい。

【００２０】さらに、スパウトの材質として可撓性の乏
しい樹脂を選択した場合には、力点に力を加えたとき
に、支点を中心に描く作用点の軌跡は支点とは反対側に
若干斜下方向となる。しかし、スパウトの材質として、
例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの可
撓性のある樹脂を選択した場合には、力点に力を加えた
ときに連結板８が撓むので、支点を中心に描く作用点の
軌跡が垂直方向に補正されることになり、力点に要する
力はより少なくてよい。

【００２１】

【作用】本考案に係る包装用噴霧器のスパウトは、継手
筒１とノズル３とを連結する連結板８が断面倒立Ｌ字状
であるので、水平な短い連結板８”である第２公知スパ
ウトに比べて、支点（連結板の根部）から作用点（ノズ
ルとステムとの接点）までの距離が長くなる。このため
連結板８が撓みやすくなり、押部９を斜め下向きに押し
ても連結板８の撓みによりステム２０を垂直に押し下げ
ることができる。

【００２２】

【考案の効果】本考案に係る包装用噴霧器のスパウト
は、以上の構成、作用よりなるので、次の効果を奏す
る。ノズル直径が小さくても、支点（連結板の根部）か
ら作用点（ノズルとステムとの接点）までの距離が長い
ので、支点を中心にして描く作用点の軌跡は大きくな
る。従って、力点（押部）に力を加えると、ノズルは垂
直方向に近い状態で押し下げられるので、押部に加える
力が小さくても、ステムを簡単に押し下げることができ
る。例えば、直径２５mmバルブマウンテンをもつ包装用
噴霧器において、押部を図のように斜め上向きにした場
合の力点に要する力は約０．７kgと従来品の１／３に過
ぎず、押部を上向きにした場合でも、力点に要する力は
約１．５kgであった。

【００２３】また、ノズルが垂直方向に近い状態で押し
下げられるので、ステムとノズルとの嵌合部に歪みが生
じることがない。従って、包装用噴霧器本体内の内容物
はスムースに噴射される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る包装用噴霧器のスパウトの斜視図
である。

【図２】本考案に係る包装用噴霧器のスパウトを包装用
噴霧器本体に嵌合した状態の要部中央縦断面図である。

【図３】本考案に係る包装用噴霧器のスパウトの他の実
施例の中央縦断面図である。

【図４】第１公知スパウトを包装用噴霧器本体に嵌合し
た状態の要部中央縦断面図である。

【図５】第２公知スパウトの斜視図である。

【図６】第２公知スパウトを包装用噴霧器本体に嵌合し
た状態の要部中央縦断面図である。

【符号の説明】

１ 継手筒 ２ 頂壁 ３ ノズル ４ 側壁 ５ 縦スリット ５’ 縦スリット ６ 取付基部 ７ Ｃ字型スリット ８ 連結板 ９ 押部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下方を開放した継手筒１と該継手筒１の
   頂壁２上方に立設したノズル３とが一体化された包装用
   噴霧器のスパウトにおいて、継手筒１の側壁４の上部に
   二本の縦スリット５、５’がその上端部を頂壁２内に少
   し臨ませるように設けられ、この頂壁２におけるノズル
   ３の取付基部６の外周に前記縦スリット５、５’の上端
   部に連通する水平状のＣ字型スリット７が設けられるこ
   とによって、継手筒１とノズル３とが断面倒立Ｌ字状の
   連結板８で連結されていることを特徴とする包装用噴霧
   器のスパウト。
2. 【請求項２】 連結板８側のノズル３側面に、斜め上向
   きの押部９がノズル３と一体的に形成された請求項１に
   記載の包装用噴霧器のスパウト。