JP2502663Y2 - 塗装用レシプロケ―タ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンベヤにより順次に
搬送されて来る被塗物の前面でスプレイガンを上下に往
復運動させつつ塗料を噴出して自動塗装を行うのに用い
る塗装用レシプロケータに関する。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】従来、
自動塗装装置として、コンベヤにより被塗物を水平方向
に搬送する一方、そのコンベヤの近傍に立設したレシプ
ロケータによりスプレイガンを上下に往復運動させつつ
塗料を噴出して順次に塗装を施すようにしたものが知ら
れている。この場合、被塗物の塗装面に対するスプレイ
ガンの走行経路、すなわち塗料の噴出経路はジグザグの
経路となる。

【０００３】ところで、このような自動塗装装置により
縦方向の寸法が長い被塗物に塗装する場合、１つの方法
として、被塗物の寸法に対応した長いストロークのレシ
プロケータを用いて、１個のスプレイガンを被塗物の上
下全長にわたつて往復運動させることが考えられるが、
１ストローク移動するのに時間が掛かるために、上記し
たジグザグの経路の間が広く空いて塗りむらができやす
い。

【０００４】したがつて従来は、被塗物の塗装面の上半
分と下半分に夫々対応する、ストロークの短い２台のレ
シプロケータを用いて、上下別々に塗装する方法が採ら
れている。しかしながらこの方法は、塗料の噴出経路の
間を狭めることができて上記した塗りむらの問題が解消
できる反面、上部塗装域の下端と下部塗装域の上端が重
なる部分で膜厚が厚くなるといつた新たな問題が生ず
る。これを解消するには、上方側のスプレイガンのスト
ロークの下端と、下方側のスプレイガンのストロークの
上端の一定長さにおいて、夫々塗料の噴出を停止制御す
るのが有効であるが、２台のレシプロケータにおいて別
々に制御する必要があるために制御系統が複雑となり、
両方を正確に対応させて制御することも困難であつた。
また、２台のレシプロケータを用いるのであるから、設
置エリアを大きく取らなければならない欠点もあつた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案の塗装用レシプロ
ケータは、叙上の点に鑑み案出されたものであつて、一
対のスプロケツトの間に上下方向の走行可能に掛け渡し
た無端チエーンを２組上下に連設し、各無端チエーンの
駆動側のスプロケツトを共通の駆動源に連結して、各無
端チエーンに各別に連結された２個の可動部材を上下二
段において同一のストロークで往復運動させる構成と
し、その各可動部材にスプレイガンを取り付けた構成と
した。

【０００６】

【考案の作用及び効果】本考案は上記構成になり、上下
の無端チエーンを共通の駆動源により走行させると、上
下二段に設けられたスプレイガンが、夫々、被塗物の塗
装面の上半分と下半分に対応した位置で上下方向に同一
ストロークで往復運動しつつ塗料を噴出して塗装が施さ
れる。

【０００７】すなわち、本考案のレシプロケータによれ
ば、上下のスプレイガンが夫々短いストロークで往復運
動することから、塗装面上に形成されるジグザグの塗料
噴出経路の間が狭くでき、長いストロークを取つた場合
のような間の空き過ぎに起因した塗りむらの発生が確実
に防止される。しかも、レシプロケータは１台設置する
だけで良いから、設置エリアも縮小できる。

【０００８】また、両方のスプレイガンが共通の駆動源
によつて駆動されるようになつていて、例えば、駆動軸
の回転数等によりスプレイガンの位置を検出して塗料の
噴出と停止を制御しようする場合に１つの制御系統で済
み、構成が簡単にできるのはもちろんのこと、正確な制
御を期すことができる効果がある。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１及び図２に基
づいて説明する。

【００１０】図において、Ｘは、縦方向に長い寸法を持
つ被塗物であつて、ハンガ１で吊り下げられてコンベヤ
２により水平方向に搬送されるようになつている。

【００１１】塗装位置におけるコンベヤ２の側方には、
本考案に係るレシプロケータ３が設置されている。この
レシプロケータ３には、上方位置の被動スプロケツト５
と中央位置の駆動スプロケツト６との間に上部無端チエ
ーン１０ａが、また、上記の駆動スプロケツト６の駆動
軸７と同軸上に固定された駆動スプロケツト８と、下方
位置の被動スプロケツト９との間に下部無端チエーン１
０ｂが、夫々掛け渡されている。上記の駆動軸７はモー
タ１２の出力軸と伝動チエーン１３により連結され、モ
ータ１２の回転により両無端チエーン１０ａ、１０ｂが
同時に同一方向に循環走行するようになつている。

【００１２】各無端チエーン１０ａ、１０ｂには、図示
しない昇降案内に沿つて昇降可能な可動部材１４ａ、１
４ｂが夫々連結されており、無端チエーン１０ａ、１０
ｂが循環走行すると、上部可動部材１４ａは、上方位置
においてストロークＬ₁ で往復運動し、下部可動部材１
４ｂは、その下方の少し重なつた位置で同じストローク
Ｌ₂ で往復運動するようになつている。なお、各可動部
材１４ａ、１４ｂは同一の位相を取つて往復運動すると
ともに、被塗物Ｘは、その縦方向の中心が、上記のスト
ロークＬ₁とＬ₂とが重なつた部分の中心と一致するよう
にして吊り下げられている。各可動部材１４ａ、１４ｂ
には、夫々数本ずつを並列した上部スプレイガン１５ａ
と、下部スプレイガン１５ｂとが取り付けられている。

【００１３】また、このレシプロケータ３には、無端チ
エーン１０ａ、１０ｂの駆動軸７と連結されて、その回
転数によりスプレイガン１５ａ、１５ｂの位置を検出す
るエンコーダ１７が装備されており、スプレイガン１５
ａ、１５ｂからの塗料の噴出と停止を制御する図示しな
い制御装置に接続されている。

【００１４】本実施例はこのような構造になり、被塗物
Ｘがレシプロケータ３の前面に搬送されて来ると、上下
のスプレイガン１５ａ、１５ｂは、被塗物Ｘに対して、
図２に示すように、同じ位相のジグザグの経路Ａ、Ｂで
走行しつつ塗料を噴出し、塗装面の上半分と下半分が別
々に塗装される。すなわち、各スプレイガン１５ａ、１
５ｂは、被塗物Ｘの縦の長さの略半分の小さなストロー
クで往復運動するから、被塗物Ｘの長さ全体を取つた大
きなストロークで往復運動させた場合に比べてジグザグ
の経路の間隔が狭く抑えられ、間隔の空き過ぎに起因し
た塗りむらができることがない。

【００１５】なお、このように上下二段に分けて塗装す
ると、塗料の噴出域が重なる被塗物Ｘの中央部分Ｓにお
いて、塗料の塗り過ぎとなるのであるが、上記したエン
コーダ１７からのスプレイガン１５ａ、１５ｂの位置信
号を利用して、各スプレイガン１５ａ、１５ｂのストロ
ークの上端と下端の一定長さで塗料の噴出を停止し、す
なわち、ジグザグの経路Ａ、Ｂのうちの鎖線に示す部分
での塗料の噴出を停止して、塗料噴出域を領域Ｈ₁、Ｈ₂
に限定すると、中央の領域Ｓにおける塗料の塗り過ぎが
解消され、併せて、被塗物Ｘの上端や下端からはみ出し
て噴出される塗料の量を少なく抑えて、塗料を節約する
ことができる。

【００１６】また、上記のように、各スプレイガン１５
ａ、１５ｂのストロークの上端と下端とで正確に塗料の
噴出を停止制御し得ることを利用し、例えば、図３に示
すように被塗物Ｙ、Ｙを二段掛けした場合に、上下の塗
料噴出域を図４に示す領域Ｈ₃、Ｈ₄に限定することによ
つて、塗料むらが無く、しかも塗装面に対応した無駄の
無い塗装を施すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の概略構成図である。

【図２】その塗料噴出経路の説明図である。

【図３】塗装態様を異にした他の実施例の説明図であ
る。

【図４】その塗料噴出経路の説明図である。

【符号の説明】

Ｘ、Ｙ：被塗物 ２：コンベヤ ３：レシプロケータ
５、６、８、９：スプロケツト ７：駆動軸 １０ａ、
１０ｂ：無端チエーン １２：モータ １４ａ、１４
ｂ：可動部材 １５ａ、１５ｂ：スプレイガン

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被塗物を水平方向に搬送するコンベヤの
   近傍に立設されて被塗物の前面でスプレイガンを上下に
   往復運動させるのに用いる塗装用レシプロケータであつ
   て、一対のスプロケツトの間に上下方向の走行可能に掛
   け渡した無端チエーンを２組上下に連設し、該各無端チ
   エーンの駆動側の前記スプロケツトを共通の駆動源に連
   結して、前記各無端チエーンに各別に連結された２個の
   可動部材を上下二段において同一のストロークで往復運
   動させる構成とし、該各可動部材に前記スプレイガンを
   取り付けたことを特徴とする塗装用レシプロケータ。