JP2501660Y2 - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は消火時間の短縮と悪臭防止を改善しなが
ら、液体燃料燃焼装置の着火性能の向上に関するもので
ある。

［従来の技術］ バーナに燃料と燃焼空気を供給し、電気点火装置に通
電し、燃焼を開始する燃焼装置が知られており、暖房や
加熱機器に使用されている。そして、燃料を供給する方
法については、燃料ポンプを使ったり、高所の油タンク
から落差圧で供給する方法が知られており、最近ではパ
ルス駆動の電磁ポンプがきめ細かく燃料流量の調節がで
きるから、好んで燃料ポンプによる燃料供給が行なわれ
ている。

一方、バーナは消火操作後も高温度を保っており、燃
料パイプのバーナ側の先端部内に燃料が消火後も残って
いると、高温度のバーナの熱によって燃料が少しづつ気
化して悪臭を発生させることがあり、また、低温度で気
化しやすい燃料成分が先に気化すると高粘度成分が燃料
パイプの先端部に残り、タール化して燃料パイプを封鎖
する恐れがある。

この為、最近では燃料ポンプからバーナまでの燃料パ
イプの途中を分岐して燃料排出手段を設け、消火操作時
に燃料ポンプを停止し、その後燃料排出手段を作動して
燃料パイプを空にして、消火時の悪臭防止と消火時間の
短縮を行う構造を備えたものが多くなっている。

［考案が解決しようとする課題］ 油タンクからバーナに至る燃料パイプの途中に燃料ポ
ンプを取付けた構造では、燃料パイプに燃料がない一番
始めの使用時において、燃料ポンプは少しずつ空気を吸
引・吐出し、やがて、吸引側の燃料パイプが燃料で満た
されてから燃料が吐出できるものである。この為、燃料
ポンプの運転開始からバーナへ燃料が送られる迄には長
時間かかり、かつ、大きくバラつくものである。

また、前記したように燃料排出手段を使って燃料パイ
プ中の燃料を排出する機能を持ったものは、通常の消火
操作後においても燃料ポンプの運転開始からバーナへ燃
料が送られるまでの時間が、点火操作のたびに大きくバ
ラつくものである。

一方、液体燃料燃焼装置は燃料ポンプを作動させた
り、送風機を作動させたり、点火装置を作動させたり、
燃焼炎検出装置を作動させる燃焼開始のタイミングはほ
とんど全てタイマーカウントによって行われており、燃
料ポンプの作動から燃料がバーナに流入するまでの時間
がバラつくことは、以降の点火タイミングが狂って点火
ミスを起こしたり、異常燃焼を起こすトラブルを発生さ
せていた。

［課題を解決するための手段］ 上記の課題を解決するためにこの考案は液体燃料を燃
焼するバーナ１と、該バーナ１に取付けた電気点火装置
２と、バーナ１に供給する液体燃料を貯える油タンク３
と、油タンク３とバーナ１とを連結する燃料パイプ５
と、該燃料パイプ５に取付けられ、油タンク３の燃料を
バーナ１へ供給する燃料ポンプ４とを備え、該燃料ポン
プ４からバーナ１までの燃料パイプ５の途中を分岐して
燃料排出手段８を設け、消火操作時に燃料ポンプ４を停
止し、その後燃料排出手段８を作動して、燃料排出手段
８からバーナ１までの燃料パイプ５を空にして、消火時
の悪臭防止と消火時間の短縮を行う燃焼装置において、
燃料排出手段８からバーナ１までの燃料パイプ５に貯油
室６を設け、該貯油室６内に燃料センサー７を取付け、
該燃料センサー７が燃料検出時を点火タイミングの起動
時として、電気点火装置２や燃料ポンプ４や燃焼炎検出
装置12を制御するものである。

［作用］ 始め燃料パイプ５内は空気で満たされているから、燃
料ポンプ４を作動すると先ず空気を吸引・吐出し、油タ
ンク１から燃料ポンプ４に至る管路が液体燃料で満たさ
れて始めてバーナ１に向けて燃料が送り出される。ま
た、消火操作時に燃料排出手段８によって燃料パイプ５
の燃料が排出されるものでは、燃料パイプ５の管壁に付
着して残っている燃料の総量がバラついているので、燃
料ポンプ４が運転開始して燃料がバーナ１に届くまでの
送り出す燃料流量は異なる。

燃料の密度や粘性と空気の密度や粘性、また空気混じ
りの燃料の密度や粘性は大きく異なるから、燃料ポンプ
４から吐出した燃料流量がバーナ１に届くまでに大きく
バラついており、この時間は大きく変動するものであ
る。

この考案では燃料ポンプ４からバーナ１に至る燃料パ
イプ５に貯油室６を設け、該貯油室６に燃料センサー７
を取付けている。該燃料パイプ５の管壁に付着した燃料
は液体燃料燃焼装置の消火後に燃料排出手段８側の燃料
パイプ５と貯油室６に流下して溜っており、次回の点火
操作によって燃料ポンプ４を運転すると、この溜った燃
料が燃料センサー７に真先に届くものである。

従って、この考案では燃料センサー７が燃料検出して
から制御装置のタイムカウントを行うようになってお
り、燃料排出手段８付近に燃料が貯まっていても、点火
時間がバラつくことなく正確に点火できるようになった
ものである。

［実施例］ 図に示す実施例によってこの考案を説明すると、１は
有底筒状で側壁に空気孔をあけたポットで構成するバー
ナ、２はバーナ１内に伸ばして取付けた予熱兼用の電気
点火装置、９は電気点火装置２とは別にバーナ１の底面
外側に取付けた予熱装置、10はバーナ１に燃焼空気を供
給する送風機である。

３は液体燃料を貯える油タンク、５は油タンク３とバ
ーナ１とを連結する燃料パイプ、４は油タンク３の上に
取付けられ、燃料パイプ５の途中に設けた燃料ポンプで
あり、該燃料ポンプ４とバーナ１との間の燃料パイプ５
は、逆Ｗ形に配管して途中に低部が形成され、この配管
の途中の低部を分岐して燃料排出手段８を設けている。

該バーナ１は電気点火装置２及び予熱装置９の両方も
しくはいずれか一方に通電して予熱しており、バーナ１
が燃焼中の温度付近の所定温度もしくは予熱開始から一
定時間経過すると、送風機10と燃料ポンプ４に通電して
バーナ１へ空気と燃料を供給する。そして、予熱された
バーナ１で気化した燃料は電気点火装置２によって着火
燃焼を行なう。

12は炎電流を検出する燃焼炎検出装置であり、燃料ポ
ンプ４に通電後一定時間経過しても炎検出できない時
は、点火不良と判断して液体燃料燃焼装置の運転を止
め、バーナ１内に燃料が溜まらないようにしている。

前記燃料排出手段８は燃料パイプ５の低部と油タンク
３とを連通する戻しパイプ11に取付けた電磁弁で構成し
ており、液体燃料燃焼装置の運転を止めると燃料ポンプ
４が停止し、一定時間だけ燃料排出手段８の弁が開くも
のである。この為、低部からバーナ１の間の燃料は戻し
パイプ11によって油タンク３に流下し、バーナ１内の高
温の燃焼ガスが燃料パイプ５に吸い込まれ、燃料パイプ
５のバーナ１側の管内壁に付着した燃料は乾燥状態とな
る。

従って、消火操作後燃料パイプ５内の燃料がバーナ１
に滴下して消火時間を長くしたり、消火後の高温のバー
ナ１に滴下して悪臭を発生したり、燃料パイプ５の先端
にタールが発生するトラブルは、燃料排出手段８の働き
で防止できた。

更に、燃料排出手段８の弁を開いたままにしておく
と、バーナ１で発生した通気力によって油タンク３内の
空気がバーナ１へ流れ、燃料パイプ５の内壁面に付着し
た燃料が空気流に乗ってバーナ１内に滴下して悪臭の原
因となることがあり、燃料排出手段８は一定時間後に閉
路となる構成が必要である。この為、燃料排出手段８側
の燃料パイプ５内には、管内壁に付着した燃料が貯ま
り、この貯油量は次回の点火時の燃料として使われるか
ら、貯油量の多少によって点火時間がバラつくものであ
る。

６は燃料パイプ５の低部に取付けた燃料排出手段８か
らバーナ１に至る流路の途中に取付けた貯油室、７は貯
油室６に取付けた燃料センサーであり、実施例の燃料セ
ンサー７は発光部と受光部からなる光検出器を用いてお
り、燃料の有無によって変化する受光量を検出して、燃
料が燃焼センサー７の部分を通過する時を正確に知るこ
とができる。

燃料ポンプ４が正常に液体燃料を吐出する時の流量は
あらかじめ設定でき、空である燃料パイプ５の長さが決
まっておれば燃料がバーナ１に届く時間を正確に予測で
きる。この考案は消火時に燃料パイプ５の管内壁に付着
していた燃料が、燃料排出手段８付近の燃料パイプに溜
まる時、多い時でも貯油室６の一部に溜まるようにすれ
ば、燃料ポンプ４が運転後に貯油室６に取付けた燃料セ
ンサー７の燃料検出信号で、送風機10や電気点火装置２
や燃焼炎検出装置12や燃料ポンプ４の停止の作動タイミ
ングを定めることができるものである。

この為、液体燃料燃焼装置の設置直後で、油タンク３
から燃料ポンプ４までの燃料パイプ５が空の時や、消火
時間短縮や防臭効果を得る為に燃料パイプ５を空にする
時でも、燃料の供給や燃焼空気の供給や点火判断のタイ
ミングがずれることはなくなり、１回の点火操作で確実
に点火できるようになったものである。

［効果の説明］ 以上のようにこの考案では、電気点火装置２や燃焼炎
検出装置12による燃焼開始の為の起動タイミングを、運
転開始操作に関係させずに貯油室６に取付けた燃料セン
サー７の検出信号によって起動させたから、燃料パイプ
５の途中が空になっていても確実に１回の操作で点火・
燃焼が開始できるようになったものであり、点火ミスに
よる悪臭を周囲にまき散らしたり、何回も点火操作をし
なければならないわずらわしさが解消したものである。

特に取扱者が新しく液体燃料燃焼装置を購入し、最初
の点火操作で点火ミスを起こすと、正常な器具にもかか
わらず不良品を購入したと思い込みやすく、誤解が後に
引くことが多かったが、この考案装置によれば確実に点
火でき、取扱者に不信感を与えない実用的な液体燃料燃
焼装置が提供できるようになったものである。

また、最近の消火時間の短縮・消火時の悪臭を防止す
るために、バーナ１に連続する燃料パイプ５を空にする
燃料排出手段８を取付けた液体燃料燃焼装置が多くな
り、この構造の液体燃料燃焼装置はしばしば点火タイミ
ングが狂って点火ミスを繰返すことが多いものである。

この考案では燃料パイプ５に取付けた貯油室６と燃料
センサー７の働きで、消火した液体燃料燃焼装置の再使
用時でも確実に点火できるようになり、初めて消火時間
短縮・消火時の悪臭防止の構造と、点火の確実性を共に
得ることができ、高性能な液体燃料燃焼装置が簡単に実
用化できたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案品の断面図、第２図は要部断面図であ
る。 １……バーナ、２……電気点火装置、３……油タンク、
４……燃料ポンプ、５……燃料パイプ、６……貯油室、
７……燃料センサー、８……燃料排出手段、12……燃焼
炎検出装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】液体燃料を燃焼するバーナ１と、該バーナ
   １に取付けた電気点火装置２と、バーナ１に供給する液
   体燃料を貯える油タンク３と、油タンク３とバーナ１と
   を連結する燃料パイプ５と、該燃料パイプ５に取付けら
   れ、油タンク３の燃料をバーナ１へ供給する燃料ポンプ
   ４とを備え、該燃料ポンプ４からバーナ１までの燃料パ
   イプ５の途中を分岐して燃料排出手段８を設け、消火操
   作時に燃料ポンプ４を停止し、その後燃料排出手段８を
   作動して、燃料排出手段８からバーナ１までの燃料パイ
   プ５を空にして、消火時の悪臭防止と消火時間の短縮を
   行う燃焼装置において、 燃料排出手段８からバーナ１までの燃料パイプ５に貯油
   室６を設け、該貯油室６内に燃料センサー７を取付け、
   該燃料センサー７が燃料検出時を点火タイミングの起動
   時として、電気点火装置２や燃料ポンプ４や燃焼炎検出
   装置12を制御する液体燃料燃焼装置。