JP2501388B2 - コンクリ―ト製開口パネルの取付け構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建物の各所の壁に用いる
コンクリート製開口パネルの取付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】建物の壁を四辺形状のコンクリート製パ
ネルで構成することは多いが、このコンクリート製パネ
ルの一方の側辺を開放して門型の開口部を設ける場合、
開口部の左右に残る狭い幅の脚部分には開口部の形状に
対応して荷重が集中する。従ってこの脚部分がある程度
以上細くなると強度、剛性が不足して不都合である。こ
のため図４に示すように、前記一方の側辺を開放しない
パネル１０１面内に収まる形状の閉鎖型開口部１０２を
設けて配置することが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図４の
ような前記コンクリート製開口パネルに設ける閉鎖型開
口部では外観上に難点が残る。すなわち、開口部のパネ
ル側辺に平行するコンクリート製つなぎ部材が存在し
て、側辺が開放した門型の開口部に比較し解放感の少な
い開口部にしかならない。これを改善する手段として、
図５に示すように、コンクリート製開口パネル１０３
を、横部材１０４と予め補強した構造の左右の縦部材１
０５をコ字状に結合して構成したものがあるが、各部材
の製作、結合、後処理等が煩雑で容易には採用できな
い。本発明は、開口部が開放型開口部の外観を有し、開
口部の左右の脚部分の外観を損なうことなく補強したコ
ンクリート製開口パネルを容易、確実に建物躯体側梁に
連結する取付け構造を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明に係るコンクリー
ト製開口パネルの取付け構造は、四辺形の下方の側辺の
中間部を開放して門型の開口部を設け、断面略Ｌ状の鋼
製の脚連結部材の縦片を下に向け、横片を前記開口部の
左右の脚部分の下端面に接して該脚部分に前記脚連結部
材を装着してなるコンクリート製開口パネルを、建物躯
体側において前記パネル面に平行に配置した梁に取付け
とするコンクリート製開口パネルの取付け構造であっ
て、縦片を上に向け、長手方向を前記梁の長手方向に沿
わせて横片を該梁に装着した断面略Ｌ状の定規部材と、
前記パネル面に沿って上方部分を前記脚連結部材に装着
し下方部分を前記コンクリート製パネルの下方に隣接す
るコンクリート製パネルの上辺に装着した平板ファスナ
と、前記定規部材の縦片に交差する形態に突出した突出
片を備えて前記平板ファスナの面上に座面を重ねて装着
した係止ファスナとからなる取付け金具を用い、前記係
止ファスナの突出片の下辺に前記定規部材の縦片を挿入
する幅の縦溝を設け、かつ、前記取付け金具を前記脚連
結部材と同一高さ以下の関係高さに配置してなる。

【０００５】

【作用】四辺形のコンクリート製パネルの門型の開口部
の左右の脚部分はその下端面に脚連結部材が装着されて
いて脚部分の強度、剛性が非常に高い。そして脚部分の
下端面に装着した脚連結部材を、これよりも下方高さに
配置した取付け金具でもって建物躯体側の梁に取付ける
ことで、脚連結部材及び取付け金具の各部材はいずれも
前記門型の開口部の範囲外にあり、門型の開口部の外観
に影響を及ぼさない。そして、前記取付け金具のうちの
係止ファスナと定規部材との連結は、前者の突出片の縦
溝が後者の上向きの縦片に挿入されることによって行わ
れる。又、前記取付け金具はコンクリート製開口パネル
の下辺とその下方に隣接するコンクリート製パネルの上
辺の建物躯体側梁への取付けを併せて行う。

【０００６】

【実施例】図１は本発明のコンクリート製開口パネルの
取付け構造の一実施例を示す一部破断面を含む分解斜視
図、図２は同じく縦断面図、図３は同じく正面図であ
る。図中、１はコンクリート製開口パネル、１１はパネ
ル、１２は下方の側辺、１３は開口部、１４ａ，１４ｂ
は脚部分、１５は下端面、２は脚連結部材、２１は縦
片、２２は横片、３は梁、４は取付け金具、５は定規部
材、５１は縦片、６は平板ファスナ、７は係止ファス
ナ、７１は座面、７２は突出片、７３は縦溝である。本
実施例のコンクリート製開口パネル１は図１に示すよう
に、縦長四辺形のコンクリート製のパネル１１の面内に
下方の側辺１２の中間部を開放して、門型であるアーチ
状の開口部１３を設けたものである。開口部１３の左右
には脚部分１４ａ，１４ｂが残るが、これら脚部分１４
ａ，１４ｂの下端面１５を断面略Ｌ状の鋼製部材として
等辺山形鋼を用いた脚連結部材２で連結する。脚連結部
材２は縦片２１を下向きにし、横片２２を下端面１５に
当て装着するが、図２に示すようにパネル１１の裏面側
に寄せて装着し、下向きの縦片２１の両端部分にネジ付
金物２３を取付ける。

【０００７】以上のようなコンクリート製開口パネル１
を建物躯体に取付けるための取付け構造は、前者の脚連
結部材２と、後者においてパネル１１面に平行して配置
したＨ形鋼による梁３との間を取付け金具４で結合する
ものであり、図２、図３に示すように、下側に配置する
コンクリート製パネル８の上辺部の吊り下げ型取付けも
一組の取付け金具４で共通して同時に行う。取付け金具
４は定規部材５、平板ファスナ６、及び係止ファスナ７
で構成し、脚連結部材２の高さ以下に配置する。定規部
材５は断面略Ｌ状の鋼製部材として等辺山形鋼を用い、
横に隣接するコンクリート製開口パネル用の取付け金具
にも対応できる長さとしたものを梁３の長手方向に沿わ
せ、縦片５１を上向きとして梁３の上面に横片５２を置
き、特にコンクリート製開口パネル１と梁３との設定通
りの間隔に対応する縦片５１の配置位置を正確に位置決
めして溶接固定する。

【０００８】平板ファスナ６は四辺形状の鋼板で、上方
のコンクリート製開口パネル１の前記脚連結部材２のネ
ジ付金物２３に対する取付けボルト６１挿入用に横長と
した上貫通穴６２を上方部分に設け、下側に配置するコ
ンクリート製パネル８の上辺位置に対する取付けボルト
６３挿入用に縦長とした下貫通穴６４を下方部分に設け
る。係止ファスナ７は断面略工状の部材の一方の外側面
を座面７１として平板ファスナ６に重ねるが、中央面を
突出片７２として前記定規部材５の縦片５１に交差する
ようにその形状を決める。この突出片７２の下辺側の交
差位置に縦片５１を挿入する縦溝７３を設け、前記座面
７１には平板ファスナ６の下貫通穴６４に一致した貫通
穴７４を明ける。

【０００９】以上のように構成した取付け構造によるコ
ンクリート製開口パネル１の取付けは次のように施工す
る。すなわち、梁３に定規部材５を前記のように位置決
め、溶接固定した後に、下方のコンクリート製パネル８
の上辺に平板ファスナ６と係止ファスナ７を重ねて、取
付けボルト６３で仮固定する。この状態のコンクリート
製パネル８を吊り上げて持ち込み、係止ファスナ７の縦
溝７３を定規部材５の縦片５１に合わせて降下し、所定
高さに正確に調整して取付けボルト６３を設定トルクで
締め付け固定する。この下方側のコンクリート製パネル
８の取付け後、上方側の前記コンクリート製開口パネル
１を吊り込み、その上辺を予め準備した上辺側の同一構
造の取付け金具により上方階の梁に前記と同様、正確に
高さ調整して取付けるが、これと同時に下辺側の脚連結
部材２を平板ファスナ６に横ずれ調整の上、取付けボル
ト６１で所定のトルクによる締め付け固定とする。更
に、取付け金具４の各部分及びこれらに接する各ボル
ト、ワッシャ等の相互間を点付溶接し、固定と緩み止め
を行う。

【００１０】以上に述べた本実施例のコンクリート製開
口パネル１自体、開口部１３の左右の脚部分１４ａ，１
４ｂを脚連結部材２で連結していて強度、剛性が非常に
高く、脚部分１４ａ，１４ｂを細くしてもねじれや曲げ
が格段に少なく、折損事態もなく安全である。従って開
口部１３を下方の側辺１２に接して設定でき、形態を自
由に決めることが可能で好ましい外観を得られ、この外
観は取付け金具４で邪魔されることがない。つまり、取
付け金具４はコンクリート製開口パネル１の下方の側辺
１２の下方位置に置かれ、この場合の床配置工事に合わ
せて隠蔽処理が簡単になされるからである。そしてコン
クリート製開口パネル１を取付け後の外側面には、隣接
するコンクリート製パネルとの突き合わせ箇所の目地し
か見えない。又、このコンクリート製開口パネル１の取
付けは上辺部を吊って正確に調整後に固定するため、下
辺部には垂直荷重が加わらず、脚部分１４ａ，１４ｂに
無理をせず非常に好ましい。又、このコンクリート製開
口パネル１の取付けは上下辺を同一形態の取付け金具４
で行え、部材管理上好都合であり、梁３に対する位置決
めも定規部材５に係止ファスナ７の縦溝７３の挿入で正
確に行え、非常に容易、迅速にできる。

【００１１】本発明のコンクリート製開口パネルの取付
け構造は前記実施例以外にも種々の応用が可能である。
例えば、外壁以外に屋内の間仕切壁にも同様に適用する
ことができ、用途が広い。

【００１２】

【発明の効果】本発明に係るコンクリート製開口パネル
の取付け構造によれば、開放型開口部、すなわち下方の
側辺を開放した門型の開口部の外観を有し、開口部左右
の脚部分の外観も損なうことなしに補強したコンクリー
ト製開口パネルの前記外観を変化させず、容易、確実に
建物躯体側梁に連結することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるコンクリート製開口パ
ネル及びその取付け構造の一部破断面を含む分解斜視図
である。

【図２】図１の組立状況を示す縦断面図である。

【図３】図１の組立状況を示す正面図である

【図４】従来のコンクリート製開口パネルの平面図であ
る。

【図５】従来のコンクリート製開口パネルの別の実施例
の平面図である。

【符号の説明】

１ コンクリート製開口パネル ２ 脚連結部
材 ３ 梁 ４ 取付け金
具 ５ 定規部材 ６ 平板ファ
スナ ７ 係止ファスナ １１ パネル １２ 下方の側辺 １３ 開口部 １４ａ，１４ｂ 脚部分 １５ 下端面 ２１ 縦片 ２２ 横片 ５１ 縦片 ７１ 座面 ７２ 突出片 ７３ 縦溝

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 四辺形のパネルの下方の側辺の中間部を
   開放して門型の開口部を設け、断面略Ｌ状の鋼製の脚連
   結部材の縦片を下に向け、横片を前記開口部の左右の脚
   部分の下端面に接して該脚部分に前記脚連結部材を装着
   してなるコンクリート製開口パネルを、建物躯体側にお
   いて前記パネル面に沿って配置した梁に取付けとするコ
   ンクリート製開口パネルの取付け構造であって、 縦片を上に向け、長手方向を前記梁の長手方向に沿わせ
   て横片を該梁に装着した断面略Ｌ状の定規部材と、前記
   パネル面に沿って上方部分を前記脚連結部材に装着し下
   方部分を前記コンクリート製パネルの下方に隣接するコ
   ンクリート製パネルの上辺に装着した平板ファスナと、
   前記定規部材の縦片に交差する形態に突出した突出片を
   備えて前記平板ファスナの面上に座面を重ねて装着した
   係止ファスナとからなる取付け金具を用い、前記係止フ
   ァスナの突出片の下辺に前記定規部材の縦片を挿入する
   幅の縦溝を設け、かつ、前記取付け金具を前記脚連結部
   材と同一高さ以下の関係高さに配置してなることを特徴
   とするコンクリート製開口パネルの取付け構造。