JP2501321B2 - ギヤツプ付鉄心形リアクトル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明はギャップ付鉄心形リアクトルに関するもの
で、特に単相三脚鉄心の鉄心締付構造の改良に関する。

（従来の技術） 分路リアクトル等に用いられるリアクトルは従来一般
にギャップ付鉄心形リアクトルが用いられている。この
ギャップ付鉄心形リアクトルは、けい素鋼帯を積層して
形成した複数個のブロック鉄心を複数個の磁気的ギャッ
プを介して積み重ねて鉄心脚を構成し、その上、下に同
じくけい素鋼帯を積層して形成したヨーク鉄心を配置
し、前記鉄心脚に巻線を巻装して構成される。ギャップ
部分には一般に絶縁物でできたギャップ部材が介在され
る。このように構成されたギャップ付鉄心形リアクトル
では、ギャップを通過する磁束によるギャップ上、下の
ブロック鉄心間に磁気吸引力が作用し、これによる振動
による騒音が発生する。このためギャップを介してヨー
ク鉄心、鉄心脚を一体的に強固に締付けることが必要に
なる。

従来の単相三脚鉄心形の鉄心締付構造は、締付スタッ
ドにより単にヨーク鉄心を介して鉄心脚を上、下方向に
締付固定していた。

（発明が解決しようとする問題点） この従来の締付構造であると、締付スタッドによる締
付力は一体となったヨーク鉄心を介して鉄心脚及び側脚
に加わる構造となっているので組立誤差、ヨーク鉄心抜
板の微妙な曲がり等により鉄心脚とヨーク鉄心間に隙間
が生じたり、または鉄心脚の高さが側脚よりも低かった
りすると、鉄心脚が適切に締付けられず振動、騒音が増
加する恐れがあった。

一般にギャップ付鉄心形リアクトルの場合、巻線を巻
いた鉄心脚はけい素鋼帯とセラミックスとの組合せであ
り、側脚はけい素鋼帯のみで構成されており、両者間に
は熱膨脹に差がある。

従って、運転中に加熱された場合、ヨーク鉄心が一体
であると側脚の伸びの方が大きく、ヨーク鉄心が湾曲さ
れ、磁気歪や騒音が急増する。

本発明は以上の点に鑑みて、締付スタッドによる締付
力が鉄心脚に均一に加わるようにし、振動、騒音の低減
を計ると共に、運転中に加熱されて鉄心脚と側脚との間
に生じる熱膨張による差を吸収してヨーク鉄心の湾曲を
防止するギャップ付鉄心形リアクトルを提供することを
目的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本発明のギャップ付鉄心形リアクトルは、複数のブロ
ック鉄心を磁気的なギャップを介して積み重ねて鉄心脚
を構成し、この鉄心脚の周囲に巻線を巻装し、前記鉄心
脚及びその両側に配置された側脚の上、下にけい素鋼板
を積層して形成されたヨーク鉄心を介して鉄心脚を締め
付けるようにした単相三脚鉄心形のギャップ付鉄心形リ
アクトルにおいて、上部のヨーク鉄心の鉄心脚と側脚と
の間にそれぞれ分割部を設けるとともに、この分割部を
鉄心脚側と側脚側のヨーク鉄心が相対的に移動可能にラ
ップジョイント結合するように形成したことを特徴とす
る。

（作用） これによって、鉄心脚と上部ヨーク鉄心との間に組
立、製作誤差等により隙間が生じたり、又は側脚で突っ
ぱる恐れがある場合でも分割されたヨーク鉄心の相対的
な移動によりその誤差を吸収し、締付力が鉄心脚に均一
に加わるようになる。

また、運転中に加熱された場合に鉄心脚と側脚との間
に熱膨張による差が生じても、この差が吸収されるの
で、ヨーク鉄心の湾曲を防止できる。

（実施例） 以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図においてけい素鋼板を積層して形成した複数個
のブロック鉄心1aを例えば絶縁物等による磁気的ギャッ
プ２を介して積み重ねて鉄心脚１を構成し、その周りに
巻線３を巻装している。この鉄心脚１の上、下にはこれ
を挟むように帯状けい素鋼板を積層して形成したヨーク
鉄心4,5が配置され、ヨーク鉄心4,5の両端は側脚６と磁
気的に結合している。このヨーク鉄心の内上部のヨーク
鉄心５は鉄心脚１と左右の側脚６との間でそれぞれ分割
されて鉄心脚１の対応するように単位ヨーク鉄心5aが形
成されている。この単位ヨーク鉄心5aの分割部７は第２
図に示すようにラップジョイントにより結合され、磁気
的には結合されているが鉄心脚１の締付け方向には相対
的に移動が可能となっている。そして鉄心脚１を挿通し
て配置された締付スタッド８を上、下方向に締付けるこ
とにより締付板９及び単位ヨーク鉄心5aを介して締付力
が鉄心脚１に加わる構成となっている。

このような構成であると、鉄心脚１の締付けを行う
際、組立、製作上の誤差等により鉄心脚１とヨーク鉄心
５との間に隙間が生じたり、鉄心脚１の高さが側脚６よ
りも低くて鉄心脚１を締付けると側脚６とヨーク鉄心５
との結合部で突っ張って締付力が鉄心脚１に適切に加わ
らない恐れがある場合でも上部ヨーク鉄心５が単位ヨー
ク鉄心5aに分割されているので単位ヨーク鉄心5aのみが
相対的に移動して締付力を適切に鉄心脚１に加えること
ができる。さらに、鉄心脚１と側脚６との間でヨーク鉄
心５をラップジョイントすることで、運転時における加
熱による熱膨張の差を吸収し、ヨーク鉄心の湾曲を防止
することができる。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明によれば単相鉄心の鉄心脚の
上、下に配置されたヨーク鉄心の内、上部ヨーク鉄心の
鉄心脚と側脚との間にそれぞれ分割部を設け、この分割
部を鉄心脚側と側脚側のヨーク鉄心が相対的に移動可能
にラップジョイント結合し、上部ヨーク鉄心の鉄心脚側
が短くなるようにしたので、鉄心脚への締付に際して上
部ヨーク鉄心が平行度に優れ、締付力が鉄心脚に均一に
加わり、締付けが容易になり、また側脚の高さに工作上
のバラツキがあっても無関係である。さらに、運転中に
鉄心脚と側脚との熱膨張に差が生じても、上部のヨーク
鉄心の分割部より側脚側のヨーク鉄心が上方へ移動して
熱膨張を吸収するので、騒音、振動の発生を未然に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正面図、第２図は同要
部拡大図である。 1a…ブロック鉄心、２…磁気的ギャップ、３…巻線、4,
5…ヨーク鉄心、5a…単位ヨーク鉄心、６…側脚、７…
分割部、８…締付スタッド。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のブロック鉄心を磁気的なギャップを
   介して積み重ねて鉄心脚を構成し、この鉄心脚の周囲に
   巻線を巻装し、前記鉄心脚及びその両側に配置された側
   脚の上、下にけい素鋼板を積層して形成されたヨーク鉄
   心を介して鉄心脚を締め付けるようにした単相三脚鉄心
   形のギャップ付鉄心形リアクトルにおいて、上部のヨー
   ク鉄心の鉄心脚と側脚との間にそれぞれ分割部を設ける
   とともに、この分割部を鉄心脚側と側脚側のヨーク鉄心
   が相対的に移動可能にラップジョイント結合するように
   形成したことを特徴とするギャップ付鉄心形リアクト
   ル。