JP2500543B2 - キメラp450産生菌株 - Google Patents

キメラp450産生菌株

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JP2500543B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウシ副腎P450 17
αのN末端15アミノ酸からなるシグナル配列をN末端
に有し、501アミノ酸残基からなる成熟型のラット肝
P450 C25 をC末端に有するキメラP450を酵母
内で発現させるプラスミド、該プラスミドを保持する酵
母菌株、該酵母菌株によって生産されるキメラP45
0、及びウシ副腎P450 17 αのN末端15アミノ酸
からなるシグナル配列をN末端に有し、501アミノ酸
残基からなる成熟型のラット肝P450 C25 をC末端
に有するキメラP450遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、本明細書で用いるキメラP450
という言葉は、ミクロソームへの局在化シグナル配列
N末端に有し、成熟型のミトコンドリア型P450をC
末端に有するP450を意味する。P450は微生物か
ら哺乳動物にいたるまで広く生物界に存在するヘムタン
パク質であり、電子伝達系の末端酵素として種々の脂溶
性化合物を基質として1原子酸素添加反応を触媒する。
電子伝達系の末端酵素であるP450は分子種が多様で
あり、それぞれが異なる基質特異性を示すので、非常に
広範囲の脂溶性化合物を水酸化することができる。哺乳
動物のP450依存性電子伝達系はその構成酵素から、
ミクロソーム型とミトコンドリア型に分けられる。前者
では、フラビンアデニンジヌクレオチドとフラビンモノ
ヌクレオチドを分子内に補酵素として含有するNADP
H−チトクロムP450還元酵素(還元酵素)がNAD
PHからの電子をP450へ供給し、後者では、フラビ
ンアデニンジヌクレオチドを補酵素として分子内に含有
するNADPH−フェレドキシン還元酵素、および、非
ヘム鉄を補酵素として分子内に含有するフェレドキシン
がNADPHからの電子をP450へ供給することによ
り、種々の脂溶性基質に対して水酸化反応を触媒する。
【0003】本発明者らはすでに、数種のミクロソーム
型P450及び還元酵素を酵母内で生産させ、それらの
組換え体酵母菌株を用いることにより、工業的に有用な
水酸化反応を行うことに成功した。すなわち、ラット肝
P450c 遺伝子、ウシ副腎P45017α遺伝子やP4
50C21 遺伝子をそれぞれ単離し、これらの遺伝子を含
む発現プラスミドを作製し、これら発現プラスミドで酵
母を形質転換することにより、該酵素を産生する酵母菌
株を得た(特開昭61−56072、特開平1−473
80、特開平2−31680)。これらの酵母菌株はそ
れぞれのP450分子種に依存した1原子酸素添加活性
を示した。また、ラット肝還元酵素遺伝子や酵母還元酵
素遺伝子を単離し、P450還元能を有する該酵素の酵
母内発現に成功した(特開昭62−19085、特開平
2−51525)。さらに、発明者らは、P450と還
元酵素の両酵素を産生する酵母菌株(特開昭62−10
4582)や両酵素の機能を1分子内に併せ持つ新規モ
ノオキシゲナーゼの作出に成功した(特開昭63−44
888、特開平2−23870、特願平1−7125
0)。こうした技術により、本発明者らはこれらP45
0産生酵母菌株を用いて、医薬品として有用なアセトア
ミノフェンやステロイドホルモン中間体の製造を可能に
した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、ミトコンドリア
型P450に関しては、ミトコンドリア型P450分子
種であるラット肝P450C25 依存性の1原子酸素添加
活性を発揮する酵母菌株を創製した(特願2−2582
62)。 しかし、ラット肝P450C25 依存性の1原
子酸素添加活性を発揮する酵母菌株におけるP450
C25 産生量は低く、菌体当たりの活性が低かったため、
本発明者らは、さらに大量にP450C25 を産生する酵
母菌株を創製することを目的とした。さらに、ラット肝
P450C25 依存性の1原子酸素添加活性発現にはP4
50 C25 の他、ウシ副腎アドレノドキシン(以下、AD
Xと略す)およびウシ副腎アドレノドキシン還元酵素
(以下、ADRと略す)の2酵素が必要である。そこで
本発明者らは、1ステップの1原子酸素添加活性発現の
バイオリアクターの作出を試みた。
【0005】
【課題を解決するための手段】ラット肝P450C25
は、533アミノ酸からなる前駆体として細胞質で合成
されたのち、ミトコンドリアに輸送される。その際、ミ
トコンドリアのシグナルとして機能するアミノ末端部分
の32アミノ酸が除去され、501アミノ酸からなる成
熟型P450C25(分子量約57kD)がミトコンド
リア膜に局在する。一方、P45017αはウシ副腎ミ
クロソームの酵素で、N末端の疎水性アミノ酸配列がミ
クロソームへの局在化シグナルとして機能する。そこ
で、本発明者らは、本来ミトコンドリアに存在する酵素
をミクロソームに局在化させることにより酵母内での産
生量を上昇させることを目的として、ラット肝P450
c25のミトコンドリア移行シグナル部分をミクロソー
ム膜への挿入のためのシグナルと考えられるウシ副腎P
45017αのN末端15アミノ酸に置換したキメラP
450C25を酵母で発現させるプラスミドを構築し
た。また、キメラP450c25、ADXおよびADR
がミクロソーム膜上で電子伝達系を構築し、モノオキシ
ゲナーゼ活性を発揮することを目的としてキメラP45
c25、成熟型ADXおよび成熟型ADRの3酵素を
同時に発現するプラスミドを構築した。その際、同一の
プロモーター、ターミネーターを用いると酵母の継代培
養中にプラスミド内での組み換えが起こることから、3
酵素を別々のプロモーター、ターミネーターにより発現
させた。
【0006】
【発明の効果】発現された、ほとんどのキメラP450
C25 はミクロソーム画分に存在した。従って、P450
17α由来のN末端15アミノ酸残基が酵母内でミクロソ
ーム膜へのシグナルの役割を果たし、本来はミトコンド
リアの膜蛋白であるP450C2 5 を酵母ミクロソームで
発現させることに成功した。また、キメラP450C25
産生量は菌体当たり約2×105 分子であり、シグナル
の置換によりP450C25 の産生量を約10倍上昇させ
ることができた。さらに、ミクロソーム画分は、ADX
とADRを添加することにより、THC、ビタミン
3 、1α−ヒドロキシビタミンD3 に対し、高い水酸
化活性を示した。特に、1α−ビタミンD3 に対する水
酸化活性は元の501アミノ酸からなる成熟型P450
C25 よりもはるかに高く、15アミノ酸残基の付加がP
450C2 5 の膜における存在状態を変化させ、活性を上
昇させたと思われる。また、キメラP450C25 、AD
XおよびADRの同時発現株はモノオキシゲナーゼ活性
を発揮しているので、本発明者らは、酵母ミクロソーム
膜上でADRからADXを経てキメラP450C25 とい
う電子伝達系を構築することに成功した。従って、この
菌株をステロイド化合物や活性型ビタミンD3 などの水
酸化反応に1ステップで行うことができる簡便なバイオ
リアクターとして利用できる。特に、菌体培養液中に基
質を添加し、一定時間後に有機溶媒等で抽出することに
より容易に反応産物を回収することができるため、バイ
オリアクターとして有用である。
【0007】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明のキメラP450がN末端に有するミクロソームへ
の移行シグナルとしては、ウシ副腎P45017 αの
行シグナルを用いる。さらに、本発明のキメラP450
がC末端に有する成熟型のミトコンドリア型P450と
しては、ラット肝P450C2 用いる。また、本発
明のウシ副腎P45017αおよびラット肝P450
C25をコードするcDNAはすでに公知であり、通常
の操作法でこれを単離することができる。本発明のキメ
ラP450C25を発現する発現プラスミドはウシ副腎
P45017αのN末端アミノ酸配列に相当するcDN
Aを合成し、成熟型ラット肝P450C25をコードす
るcDNA領域と連結した後、遺伝子を酵母アルコール
脱水素酵素(以下、ADHと略す。)遺伝子のプロモー
ターおよび同ターミネーターを保持する酵母発現ベクタ
ーpAAH5(Methods in Enzymol
ogy,101,partC,p192−201)に挿
入し構築することができる。また、この発現プラスミド
上に成熟型ADRおよび成熟型ADXの発現ユニットを
挿入することにより、3酵素を同時に発現させるための
プラスミドを構築することができる。ただし、プロモー
ターおよびターミネーターはADHに限定されず、酵母
内で効率的に機能するものであればよい。また、3酵素
を同時に発現させるプラスミドのプロモーターおよびタ
ーミネーターは同一でなく、それぞれ異なっているほう
が好ましい。その理由は、継代培養した場合、プラスミ
ド上での組み換えば起こる可能性が低いからである。ま
た、3酵素の発現ユニットへの挿入位置、挿入方向はそ
れぞれ酵素の発現量にほとんど影響を与えない。宿主と
して酵母を用いることが好ましいが、さらに酵母サッカ
ロミセス・セレビシエAH22株が、望ましい。キメラ
P450C25遺伝子を含む発現プラスミドあるいは3
酵素同時発現プラスミドによる宿主酵母の形質転換は、
アルカリ金属(LiCl)を用いる方法、プロトプラス
ト法など公知の方法で行うことができる。本発明により
得られる形質転換酵母の培養は通常のグルコース、窒素
源などを含む培地において通常の培養方法により行うこ
とができる。このようにして得られた形質転換酵母菌体
を培養することによりキメラP450C25を製造する
ことができる。
【0008】
【実施例】以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明
する。しかし、本発明は本実施例にのみ限定されないこ
とはいうまでもない。 実施例1 発現プラスミドpAMS25および3酵素同
時発現プラスミドpRXMS25の構築 以下の実施例で、制限酵素によるDNAの切断、アルカ
リホスファターゼによるDNAの脱リン酸化、DNAリ
ガーゼによるDNAの結合などの反応は、通常20〜2
00μlの反応容積を用いて、これらの酵素類を市販す
るメーカー(例えば、宝酒造(株))が製品に添付した
反応条件で実施した。キメラ体P450c25発現プラ
スミドpAMS25を図1に従い構築した。ラット肝P
450c25発現プラスミドpAC25(特願2−2
58362)を構築した際、得られたプラスミドpUC
25NをPstIで部分消化した後EcoRI消化し、
得られたDNA断片に合成リンカー(配列番号1に示
す。)を挿入し、得られたプラスミドからHindII
I−SacI断片を調製した。一方、pUC25CH
(特願2−258262)からSacI−HindI
II断片を調製し、これら両断片をpUC19のHin
dIII部位に同時に挿入することによりプラスミドp
UMS25を得た。次に、pUMS25から得たHin
dIII断片をベクターpAAH5N(特開平2−51
525)のHindIII部位に挿入することにより発
現プラスミドpAMS25を構築した。
【0009】成熟型ADX(特願平2−136496に
記載)をコードするHindIII 断片をベクターpGA
HN(ベクターpAAH5NのADHプロモーター、タ
ーミネーターのかわりにPGKプロモーター、ターミネ
ーターを含む)のPGKプロモーター、ターミネーター
(特願平2−136496に記載)の間に挿入すること
により発現プラスミドpGXを得た。また、成熟型AD
R(特開昭63−112986に記載)をコードするH
indIII 断片をベクターpPAHN(ベクターpAA
H5NのADHプロモーター、ターミネーターのかわり
にGAPプロモーター、ターミネーター(特開昭63−
112986に記載)を含む)のGAPプロモーター、
ターミネーターの間に挿入することによりpPRを得
た。pPRをNotIで部分消化して得られたDNA断
片とpGXから得られたNotI断片とのリガーゼ反応
を行うことによりADR、ADX同時発現プラスミドp
RX5を得た。次にpRX5をNotIで部分消化し、
pAMS25より得たNotI断片(3.7kb)を連
結することによりキメラP450C25 、ADXおよびA
DR同時発現プラスミドpRXMS25を得た。
【0010】実施例2 発現プラスミドによる酵母の形
質転換 サッカロミセス・セレビシエAH22(ATCC 38
626)を、5mlのYPD培地(1%酵母エキス、2
%ポリペプトン、2%グルコース)中で30℃、18時
間培養したのち、1mlの酵母培養液を遠心分離し、集
菌した。菌体を、0.2M LiCl溶液1mlで洗浄
したのち、1M LiCl溶液20μlに懸濁した。こ
れに、70%ポリエチレングリコール4000溶液30
μl、発現プラスミドpAMS25溶液10μl(約1
μgDNA)を添加して、充分に混合したのち、30℃
で1時間インキュベートした。ついで、140μlの水
を加えSD合成培地プレート(2%グルコース、0.6
7%酵母窒素源アミノ酸不含、20μg/mlヒスチジ
ン、2%寒天)上にまき、30℃で3日間インキュベー
トすることにより、プラスミドを保持する形質転換体を
得た。
【0011】実施例3 キメラP450C25の生産 実施例3で得たAH22/pAMS25株、AH22/
pRXMS25株およびコントロールAH22/pAA
H5株を合成培地(8% グルコース、5.4% 酵母
窒素源アミノ酸不含、160μg/ml ヒスチジン)
300mlでそれぞれ約2×10細胞/mlまで培養
し、集菌後100mM リン酸カリウム(pH7.0)
で洗浄したのち、同緩衝液2mlに懸濁した。2本のキ
ュベットに菌懸濁液を1mlずつ分注し、サンプル側キ
ュベットに一酸化炭素を吹き込んだのち、両キュベット
にジチオナイト5〜10mgを添加した。よく攪拌した
のち400〜500nmの差スペクトルを測定し、Δε
(450nm−490nm)=91mM−1cm−1
もとにしてヘム含有P450量を算出した。その結果、
AH22/pAMS25および、AH22/pRXMS
25株は、それぞれ菌体あたり2×10分子および1
×10分子のヘム含有P450を産生することが判明
した。それに対して、コントロールAH22/pAAH
5株ではヘム含有P450の産生は認められなかった。
【0012】実施例4 酵母のミクロソーム画分におけ
るビタミンD3 、1α−ヒドロキシビタミンD3 25位
水酸化活性およびTHC27位水酸化活性の測定 AH22/pAMS25株菌体から調製したミクロソー
ム画分を用いて、活性を測定した。形質転換酵母菌株か
らの細胞分画は以下の方法に従った。形質転換体の約2
×107 菌体/ml培養液から約4×1010菌体分を集
菌し、ザイモリアーゼ溶液(10mM トリス−塩酸
(pH7.5)、2.0Mソルビトール、0.1mM
ジチオスレイトール、0.1mM EDTA、0.3m
g/mlザイモリアーゼ100T)に懸濁し、30℃で
1時間インキュベートしてスフェロプラストを調製し
た。これをソニケーションバッファー(10mM トリ
ス−塩酸(pH7.5)、0.65M ソルビトール、
0.1mM ジチオスレイトール、0.1mM EDT
A、1μg/ml ロイペプチン、1μg/ml ペプ
スタチン)に懸濁し、テフロンホモジナイザーでホモジ
ナイズすることにより菌体を破砕した。
【0013】3000×g、5分間の遠心分離により、
沈澱1を取り除き、上清1’を得た。沈澱1をソニケー
ションバッファーに懸濁し再度ホモジナイズしたのち、
3000×g、5分間遠心分離し沈澱1(未破砕菌体・
核画分)および上清1”を得た。上清1’および1”を
併せて上清1とし、10,000×g、20分間遠心分
離し、沈澱2(ミトコンドリア画分)と上清2を得た。
上清2をさらに120,000×g、70分間遠心分離
し、沈澱3(ミクロソーム画分)と上清3(細胞質画
分)に分けた。各画分の還元型CO結合差スペクトルを
測定したところ、約80%のキメラP450C25がミ
クロソーム画分に存在したため、ミクロソーム画分を用
いて活性を測定した。以下に示す反応系(2ml)のう
ちNADPH以外を混合し、37℃で5分間インキュベ
ートした後、NADPHを添加し、反応を開始した。1
0、30分後、反応液0.5mlを分取し、5mlのベ
ンゼンを添加し、遠心分離により得られたベンゼン層を
乾固し、以下に示した条件下でHPLCにより分析し
た。
【0014】 [反応系] 1.ミクロソーム画分:AH22/pAMS25株(0.8 nmol キメラ体P450C25 /5 .3 mg 蛋白質を含む) AH22/pAAH5株 (5.3 mg 蛋白質を含む) 2.ウシ副腎アドレノドキシン還元酵素 0.8 nmol 3.アドレノドキシン 8.0 nmol 4.基質 終濃度 200 μM 5.NADPH 終濃度 1.0 〜2.0 mM 6.Tris-HCl (pH 7.8) 100.0 mM 7.EDTA 0.5 〜1.0 mM [HPLC分析条件] カラム :μBondapakC18(φ 4 × 300 mm) 検出 :A265 (ヒ゛タミン D3, 1 α-ヒト゛ロキシヒ゛タミンD3), 放射性検出器 (3H-THC) 流速 :1.0 ml/min 温度 :50 ℃ 溶出条件 0〜 5分 80 % 5〜15分 80 % 〜 100 %の直線濃度勾配 15〜25分 100 %
【0015】ビタミンD3 、および1α−ヒドロキシビ
タミンD3 を基質とした場合、AH22/pAMS25
株ミクロソーム画分において、25位水酸化物の産生が
認められた。コントロールAH22/pAAH5株では
25位水酸化物への変換は認められず、AH22/pA
MS25株における25位水酸化活性がキメラ体P45
C25 に依存することが示唆された。ADR,ADX無
添加の場合、活性を示さないことから、ミクロソーム膜
に存在するNADPH−P450還元酵素からは電子が
伝達されないことがわかった。また、NADPH無添加
では活性を示さず、NADPH、ADX、ADR添加時
に形成されるNADPH→ADR→ADX→キメラ体P
450C25 という電子伝達系の構築にともなって、モノ
オキシゲナーゼ活性が発揮されたと思われる。
【0016】反応時間10分において算出された代謝回
転速度は7.4mol/molP450/minであ
り、AH22/pAC25株(特願2−258262)
のミトコンドリア画分において得られた代謝回転速度
0.14mol/molP450/minに比べて約5
0倍高いことがわかった。また、ビタミンDに対する
25位水酸化活性は0.28mol/molP450/
minであった。〔H〕−THCを基質とした場合、
AH22/pAMS25株ミクロソーム画分は、THC
27位水酸化体(TeHC)への変換が検出された。コ
ントロールAH22/pAAH5株では活性が認められ
ず、AH22/pAMS25株における活性がキメラP
450C25に依存することが示唆された。反応時間1
0分において算出されたTHCに対する代謝回転速度は
23mol/molP450/minであった。
【0017】実施例5 3者同時発現株AH22/pR
XMS25株におけるTHC27位水酸化活性の測定 AH22/pRXMS25株の培養液 (1.6 × 107菌体
/ml)に終濃度10μMになるように[ 3H]−THCを
添加し、14時間後の培養液1mlを分取し、ジクロロ
メタン2mlにより抽出し、ジクロロメタン層を乾固し
た後80μlのアセトニトリルに溶解し、そのうち50
μlをHPLCにより実施例4に記述した条件で分析し
た。但し、検出は放射活性検出装置(パッカード社 T
RACE7140)を用いた。その結果、添加した基質
THCの19%がTeHCに変換したことが分かった。
この変換はコントロールAH22/pAAH5株には見
られなかったことから、AH22/pRXMS25株に
おいてキメラP450C25、ADXおよびADRが酵母
細胞内で電子伝達系を構成し、モノオキシゲナーゼ活性
を発揮したことが分かった。
【0018】本発明により提供される形質転換酵母は分
子内にヘムを含有するキメラP450C25を産生す
る。キメラP450C25は酵母のミクロソーム膜に局
在し、ウシ副腎ADXおよびADRの添加によりビタミ
ンDおよび1α−ヒドロキシビタミンDに対して2
5位水酸化活性を示し、THCに対し27位水酸化活性
を示した。本来、ラット肝P450C25はミトコンド
リア内膜に存在するタンパク質であるが、ミトコンドリ
アへの輸送シグナルを除去し、ミクロソーム型のウシ副
P45017αのN末端15アミノ酸残基(ミクロソ
ーム膜へのシグナルとして機能する)を付加することに
より、酵母細胞内局在性をミトコンドリアからミクロソ
ームへ変換することができた。このような膜酵素の局在
性の変換はこれまでに例がない。ウシ副腎P45017
αのN末端15アミノ酸残基は疎水性が高く、ミクロソ
ーム膜へのシグナルの役割を果たしていると考えられる
が、シグナルとしての特殊性はなく、他のミクロソーム
膜タンパク質のシグナルとの代替も可能である。
【0019】シグナルの置換に基づく膜酵素の局在性を
ミトコンドリアからミクロソームへ変化させることによ
り、酵母菌体あたりのP450C25産生量は約10倍
に、またP450分子あたりの1α−ヒドロキシビタミ
ンD25位水酸化活性を約50倍に上昇させることが
できた。したがって、菌体あたりの1α−ヒドロキシビ
タミンD25位水酸化能は約500倍に上昇したこと
になる。キメラP450C25をバイオリアクターとし
て用いることにより、カルシウムの代謝調節、細胞分化
促進や細胞性免疫機能を調節に重要な役割を果たし、骨
粗そう症、慢性腎不全、ビタミンD抵抗性クル病などの
治療に有効である1α,25−ジヒドロキシビタミンD
を製造することが可能である。
【0020】また、キメラP450C25、ADXおよ
びADRの同時発現株菌体をバイオリアクターとして用
いることは現在行われている活性型ビタミンDの複雑
な化学合成法を単純化するのに有効な手段であると考え
られる。一方、大量に産生されるキメラP450C25
は容易に精製することができ、これに対する抗体を脳腱
黄色腫症の診断薬として利用することができる。
【0021】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発現プラスミドpAMS25の構築工
程の説明図である。制限酵素切断部位は、E:EcoR
I,Nc:NcoI,S:SacI,H:HindIII,
P:PstI,N:NotIを示す。
【図2】発現プラスミドpRXMS25の構築工程の説
明図である。制限酵素切断部位は、H:HindIII 、
N:NotIを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/02 (C12N 9/02 C12R 1:865) C12R 1:865)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウシ副腎P45017αのN末端15アミ
    ノ酸からなるシグナル配列をN末端に有し、501アミ
    ノ酸残基からなる成熟型のラット肝P450C25をC
    末端に有するキメラP450を酵母内で発現させるプラ
    スミド
  2. 【請求項2】下の制限酵素地図て表されるpAMS25
  3. 【請求項3】請求項1記載のプラスミドを保持する酵母
    菌株
  4. 【請求項4】請求項2記載のpAMS25を保持する酵
    母菌株
  5. 【請求項5】請求項2記載のpAMS25を保持するサ
    ッカロミセス・セレビシエAH22
  6. 【請求項6】ウシ副腎P45017αのN末端15アミ
    ノ酸からなるシグナル配列をN末端に有し、501アミ
    ノ酸残基からなる成熟型のラット肝P450C25をC
    末端に有するキメラP450
  7. 【請求項7】請求項3記載の酵母菌株により生産される
    キメラP450
  8. 【請求項8】請求項4記載の酵母菌株により生産される
    キメラP450
  9. 【請求項9】請求項5記載の酵母菌株により生産される
    キメラP450
  10. 【請求項10】ウシ副腎P45017αのN末端15ア
    ミノ酸からなるシグナル配列をN末端に有し、501ア
    ミノ酸残基からなる成熟型のラット肝P450C25
    C末端に有するキメラP450遺伝子
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