JPH07289252A - チトクロムp450の一原子酸素添加活性の向上方法 - Google Patents

チトクロムp450の一原子酸素添加活性の向上方法

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JPH07289252A
JPH07289252A JP6092316A JP9231694A JPH07289252A JP H07289252 A JPH07289252 A JP H07289252A JP 6092316 A JP6092316 A JP 6092316A JP 9231694 A JP9231694 A JP 9231694A JP H07289252 A JPH07289252 A JP H07289252A
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JP
Japan
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cytochrome
yeast
amino acid
terminal side
acid sequence
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Application number
JP6092316A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Sakaki
利之 榊
Koji Hayashi
浩司 林
Yoshiyasu Yabusaki
義康 薮崎
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】N末端側にチトクロム P450 のアミノ酸配列を
有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP450還元酵素の
アミノ酸配列を有する人工融合酵素とチトクロムb5
を酵母内において同時に存在させることを特徴とするチ
トクロム P450 の一原子酸素添加活性を向上させる方
法、使用されるプラスミドおよび該プラスミドが導入さ
れた酵母菌株。 【効果】本発明、すなわち、N末端側にチトクロム P45
0 のアミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトク
ロムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素
とチトクロムb5 とを酵母内において同時に存在させる
ことにより、チトクロムP450 の一原子酸素添加活性を
著しく高め、有用物質の酸化反応プロセスまたは産業廃
水中の有害物質の酸化的除去等の実用的応用を可能す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チトクロムP-450 の一
原子酸素添加活性の向上方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チトクロムP-450 は、微生物から哺乳動
物にいたるまで、広く生物界に存在するヘム蛋白質であ
り、広範囲の脂溶性化合物を基質として、一原子酸素添
加反応を触媒する。チトクロムP-450 の示すこうした広
範囲な基質特異性は、チトクロムP-450 の分子多様性に
起因する。すなわち、チトクロムP-450 には、多数の分
子種が存在し、各々は基質特異性の幅が広く、しかも重
複しており、広範囲の脂溶性化合物を基質とすることが
できる。しかしながら、多数のチトクロムP-450に電子
を供給する系路は共通であり、肝ミクロソームでは主と
して、フラビンアデニンモノヌクレオチドとフラビンモ
ノヌクレオチドを分子内に補酵素として含有するNADPH-
チトクロム P-450還元酵素がNADPH からの電子を基質を
結合したチトクロムP-450 へ供給する。一般的に肝ミク
ロソームにおけるNADPH-チトクロム P-450還元酵素量は
充分とはいえず、NADPH-チトクロム P-450還元酵素から
チトクロム P-450への電子伝達が一原子酸素添加反応の
律速になるため、チトクロム P-450分子あたりの活性が
低い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チトク
ロムP-450 を利用して、有用物質の酸化反応プロセス、
または産業廃水中の有害物質の酸化的除去等へ実用的応
用する場合、さらにチトクロムP-450 の一原子酸素添加
反応における活性を高める必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況を鑑み、チトクロムP450の一原子酸素添加反応におけ
る活性を高めるために、鋭意検討を重ねた結果、(1)
単一分子内に電子伝達と基質の酸化の両機能を有するた
めに、チトクロムP450が本来有する一原子酸素添加反応
における活性よりも高い活性を有する人工融合酵素を利
用し、さらに(2)該人工融合酵素とチトクロムb5
を酵母内において同時に存在させることにより、より一
層活性が高められることを見い出し、本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、N末端側にチトクロム P450
のアミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロ
ムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素と
チトクロムb5 とを酵母内において同時に存在させるこ
とにより、前記のチトクロム P450 の一原子酸素添加活
性を向上させる方法、またはN末端側にチトクロム P45
0 のアミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトク
ロムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素
およびチトクロムb5 を酵母内において同時に発現させ
るプラスミドを酵母菌株に導入し、発現させることによ
り、前記のチトクロム P450 の一原子酸素添加活性を向
上させる方法、およびN末端側にチトクロム P450 のア
ミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP4
50還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素および
チトクロムb5 を酵母内において同時に発現させるプラ
スミド、さらに該プラスミドが導入された酵母菌株を提
供するものである。
【0005】本発明において用いられる「N末端側にチ
トクロム P450 のアミノ酸配列を有し、かつC末端側に
NADPH-チトクロムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する
人工融合酵素」とは、N末端側にチトクロム P450 のア
ミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP4
50還元酵素のアミノ酸配列を有することにより、単一分
子内に電子伝達と基質の酸化の両機能が存在する人工融
合酵素で、チトクロムP450が本来有する一原子酸素添加
反応における活性よりも高い活性を有するものである
(以下、人工融合酵素と記す。)。該人工融合酵素にお
いて、そのN末端側に存在するチトクロム P450 は、た
とえば、ヒトの肝臓由来のもの等を用いることができ
る。好ましくはヒト肝チトクロム P450 3A4 等をあげる
ことができる。また、そのC末端側に存在するNADPH-チ
トクロムP450還元酵素は、たとえば、酵母由来のもの等
を用いることができる。
【0006】該人工融合酵素は、たとえば、N末端側に
チトクロム P450 をコードする塩基配列を有する遺伝子
とC末端側にNADPH-チトクロムP450還元酵素をコードす
る塩基配列を有する遺伝子を通常の遺伝子操作方法によ
り接続し、単一の遺伝子とし、チトクロムP450の有する
一原子酵素添加活性およびNADPH-チトクロムP450還元酵
素の有するNADPH からの還元力供給能を同一分子内に有
する人工融合酵素をコードする人工融合酵素遺伝子を構
築し、構築された人工融合酵素遺伝子を酵母内で発現す
るベクターに組み込むことによって発現用プラスミドを
作製し、さらにこの発現用プラスミドを酵母菌株に導入
し、発現させることにより、酵母内に存在させることが
できる。
【0007】チトクロムP450をコードする塩基配列を有
する遺伝子は、たとえば、(1) (a)該遺伝子のmRNAを含
むmRNA画分を調製し、逆転写酵素を用いてcDNAを作製
後、該cDNAをファージベクター及びプラスミドベクター
に挿入して得たcDNAライブラリー 、または(b) 市販の
cDNAライブラリー、から目的とする遺伝子を、(i) その
遺伝子と相同性を有するDNA断片、あるいは(ii)その
遺伝子により産生されるタンパク質を認識する抗体、を
用いるような通常の方法に従いクローニングする方法、
または(2) 上記(1) 記載のcDNAライブラリーからPCR 法
を用いてクローニングする方法、等の通常の方法により
調製することができる。該遺伝子がヒトの肝臓由来のも
のである場合は、市販のヒト肝由来のcDNAライブラリー
からPCR 法を用いて容易に単離することができる。なお
ヒト肝チトクロムP450 3A4の場合には、例えば、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,83,8064-8068(1986)、DNA,7,79-86(1
988) 等に記載される方法に準じて調製できる。一方、N
ADPH-チトクロムP450還元酵素をコードする塩基配列を
有する遺伝子は、たとえば、(1) (a) 該遺伝子のmRNAを
含むmRNA画分を調製し、逆転写酵素を用いてcDNAを作製
後、該cDNAをファージベクター及びプラスミドベクター
に挿入して得たcDNAライブラリー 、または(b) 市販の
cDNAライブラリー、から目的とする遺伝子を、(i) その
遺伝子と相同性を有するDNA断片、あるいは(ii)その
遺伝子により産生されるタンパク質を認識する抗体、を
用いるような通常の方法に従いクローニングする方法、
または(2) 上記(1) 記載のcDNAライブラリーからPCR 法
を用いてクローニングする方法、等の通常の方法により
調製することができる。該遺伝子が酵母由来のものであ
る場合は、たとえば、特開昭62-19085号公報に記載され
る方法等により単離することもできる。
【0008】「チトクロムb5 」は、たとえば、哺乳動
物由来のもの等を用いることができる。好ましくはヒト
由来のもの等をあげることができる。チトクロムb5
コードする塩基配列を有する遺伝子は、たとえば、(1)
(a)該遺伝子のmRNAを含むmRNA画分を調製し、逆転写酵
素を用いてcDNAを作製後、該cDNAをファージベクター及
びプラスミドベクターに挿入して得たcDNAライブラリー
、または(b) 市販のcDNAライブラリー、から目的とす
る遺伝子を、(i) その遺伝子と相同性を有するDNA断
片、あるいは(ii)その遺伝子により産生されるタンパク
質を認識する抗体、を用いるような通常の方法に従いク
ローニングする方法、または(2) 上記(1) 記載のcDNAラ
イブラリーからPCR 法を用いてクローニングする方法、
等の通常の方法により調製することができる。該遺伝子
がヒト由来のものである場合は、市販のヒト肝由来のcD
NAライブラリーからPCR 法を用いて容易に単離すること
ができる。なおヒト肝チトクロムP450b5 の場合には、
例えば、Biochem.Biophys.Res.Commun.156,576-580(198
8)、Biochem.Biophys.Res.Commun.163,18-24(1989)等に
記載される方法に準じて調製できる。このようにして調
製された遺伝子を酵母内で発現するベクターに組み込む
ことによって発現用プラスミドを作製し、さらにこの発
現用プラスミドを酵母菌株に導入し、発現させることに
より、チトクロムb5 を酵母内に存在させることができ
る。
【0009】上記のようにして、N末端側にチトクロム
P450 のアミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-チ
トクロムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合
酵素とチトクロムb5 とを、酵母内において同時に存在
させることができる。さらに好ましくは、上記のように
調製した人工融合酵素を発現させるプラスミドとチトク
ロムb5 を発現させるプラスミドを通常の遺伝子操作方
法により発現ユニットごとに順に接続し、単一のプラス
ミドとし、人工融合酵素とチトクロムb5 とを酵母内に
おいて同時に発現させることができるプラスミドを構築
することができる。また、一つのプロモーターにより両
酵素遺伝子の発現を制御するように新しい一つの発現ユ
ニットとしても構築することができる。たとえば、前記
の人工融合酵素遺伝子とチトクロムb5 遺伝子を特開平
2-211880号公報等に記載されるADH プロモーターとター
ミネーターを保有する酵母発現ベクターpAAH5NのHind I
II部位に挿入することにより構築する方法等をあげるこ
とができる。また必要に応じてpAAH5NベクターのHind I
II部位をNotI部位等の別な制限酵素用の部位に交換した
ベクターを利用して構築する方法もあげられる。
【0010】なお、酵母内で発現させるためのプロモー
ターとしては、通常の酵母発現系において用いられるプ
ロモーターであれば特に制限されるものではないが、た
とえば酵母アルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター
(以下、ADH プロモーターと記す。)、グリセルアルデ
ヒド−3リン酸脱水素酵素 (以下、GAPDH プロモーター
と記す。) 、フォスフォグリセリン酸キナーゼ (以下、
PGK プロモーターと記す。) 等をあげることができる。
ADH プロモーターは、たとえば酵母ADH1プロモーターお
よび同ターミネーターを保持する酵母発現ベクターpAAH
5 〔WashingtonResearch Fundation から入手可能、Amm
erer ら、Method in Enzymology、101part (p.192-20
1)〕から通常の遺伝子操作方法により調製することがで
きる。酵母ADH1プロモーターは、Washington Research
Fundation の米国特許出願第299,733 (1981/9/31) に含
まれており、米国において、工業的、商業目的で使用す
る場合は、権利者からの権利許諾を必要とする。
【0011】こうして得られた「人工融合酵素とチトク
ロムb5 とを酵母内において同時に発現させるプラスミ
ド」(以下、同時発現用プラスミドと記す。)を、たと
えばアルカリ金属(LiCl)を用いる方法、プロトプラスト
法等の通常の方法によって酵母菌株に導入する。
【0012】このようにして得られた同時発現用プラス
ミド導入酵母菌株の培養は、通常の培養方法により行う
ことができる。
【0013】本発明において用いられる酵母菌株として
は、たとえばサッカロミセス・セレビシェー (Saccharo
myces cerevisiae) 等があげることができる。好ましく
はサッカロミセス・セレビシェーAH22株 (ATCC38626)、
サッカロミセス・セレビシェーSHY 3株、サッカロミセ
ス・セレビシェーNA87-11A株等をあげられる。
【0014】以下、実施例についてさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるもの
ではない。
【0015】実施例1 ヒト肝チトクロムP450 3A4遺伝
子の取得および酵母内発現プラスミドの構築 ヒト肝由来のcDNAライブラリー (Clontech社) から図1
に示したプライマーを用いて約0.6kbと約0.9kbの2つ
のDNA断片を増幅した。得られた約0.6kbのDNA断
片は、SacIで切断してpUC118ベクターにサブクローンし
た。その後、EcoRI で切断、平滑化し、XbaIリンカーを
導入したものに、XbaI、SacIで切断した0.9kbのDNA
断片を組み込み、2つのDNA断片を連結させた。この
プラスミドをSphIで切断後、平滑化し、XbaIリンカーを
導入したものからXbaI断片を切り出し、pUCANXベクター
(市販されるpUC19 ベクターが有するEcoRI 部位とHin
dIII部位をそれぞれNotI部位に改変し、形成されたNotI
部位とNotI部位の間にpAAH5Nから調製したNotI断片を組
み込んで得たベクターであるpUCAN ベクターのHindIII
部位をXbaI部位に交換することによって作製されたプラ
スミド)のXbaI部位に挿入した。これをNotIで切り出
し、同様にNotI処理した前記のpAAH5N、及びpAHRR (pA
AH5Nから調製したNotI断片と特開平2-211880号公報等に
記載される酵母還元酵素遺伝子を保有するプラスミド)
に挿入し、後述の人工融合酵素遺伝子を含むプラスミド
の構築および比較試験のために用いるヒト肝チトクロム
P450 3A4酵母内発現用プラスミドp3A4、及びヒト肝チト
クロムP450 3A4と酵母NADPH-チトクロムP450還元酵素と
の酵母内同時発現用プラスミドp3A4R を作製した (図2
参照) 。
【0016】実施例2 人工融合酵素遺伝子を含む酵母
内発現プラスミドの構築 図3にしたがってプラスミドを構築した。上記のプラス
ミドp3A4を鋳型とし、図1に示したプライマーを用いて
XbaI-XhoI 断片(DNA断片1)を得た。一方、酵母NA
DPH-P450還元酵素遺伝子を含むプラスミドpBYR717(H)
(特開平2-451)をPvuII で消化し、これに下記の塩基配
列からなるXhoIリンカー CAGCTCGAGCTG GTCGAGCTCGAC を挿入し、PvuII 部位をXhoI部位に変えた(pBYR717(X
H))。つぎに、これをXhoIとHindIII で同時消化し、P45
0還元酵素のコーディング領域を含む約2.1kb のDNA
断片を得た。この約2.1kb のXhoI-HindIII断片を市販の
ベクターBlue Script(+)のXhoI、HindIII 部位に挿入し
た後、制限酵素XhoIおよびXbaIで同時消化し、断片(D
NA断片2)を得た。これら両DNA断片(DNA断片
1および2)を同時に、ベクターpUCAN のXbaI部位に挿
入することにより得られたプラスミドを制限酵素NotIに
より消化して約5.6kbのDNA断片を得た。このDNA
断片とベクターpAAH5N (特開平2-211880) から得た約1
0.5kbのNotI断片を連結することにより目的とする人工
融合酵素遺伝子を含む酵母内発現プラスミドpF3A4 を得
た。なお、該人工融合酵素は1156アミノ酸残基から成
り、その構造はN末端からヒト肝チトクロムP450 3A4を
コードする全アミノ酸配列(503残基) 、リンカーに由来
する配列 (Ala-Arg-Ala)、酵母NADPH-チトクロムP450還
元酵素N末端42番目からC末端と続いている。
【0017】実施例3 ヒト由来のチトクロムb5 遺伝
子の取得および酵母内発現プラスミドの構築 ヒト肝由来のcDNAライブラリー (Clontech社) から図4
に示したプライマーを用いて約0.5kbのDNA断片を増
幅した。得られた約0.5kbのDNA断片を、XbaIで消化
した後、pUCAベクター(pUC19 が有するEcoRI 部位をHi
ndIII 部位に改変し、形成されたHindIII とHindIII 部
位の間のクローニングサイトを下記のクローニングサイ
ト: に交換することにより作製されたサブクローン用のプラ
スミド:)のXbaI-HincII 部位に挿入した。得られたD
NA断片をHindIII で切断し、ベクターpAAH5N (特開平
2-211880) のHindIII 部位に挿入することにより、ヒト
由来のチトクロムb5 遺伝子を含む酵母内発現プラスミ
ドpAB5を作製した (図5参照) 。なお、ヒト由来のチト
クロムb5 をコードする塩基配列は Biochem. Biophys.
Res. Commun. 163,18-24(1989) 記載のcDNAの塩基
配列と同一であった。
【0018】実施例4 人工融合酵素とチトクロムb5
の酵母内同時発現プラスミドの構築 図6にしたがってプラスミドを構築した。実施例1で得
られたプラスミドpF3A4 を制限酵素NotIで部分消化し、
これに実施例3で作製したプラスミドpAB5から調製した
約2.5kbのNotI断片を挿入することにより目的とする人
工融合酵素とチトクロムb5 の酵母内同時発現プラスミ
ドpF3B5 を得た。
【0019】実施例5 人工融合酵素とチトクロムb5
の酵母内同時発現プラスミドpF3b5 の酵母内への導入 1.0mlのYPD 培地 (1%酵母エキス、2%ポリペプト
ン、2%グルコース)にサッカロミセス・セレビシェー
AH22株を植菌し、30℃で18時間振盪した後、遠心分離
(5000×g、10分間)により集菌した。得られた菌体を
1.0mlの0.2M LiCl溶液に懸濁した後、再度遠心分離
(5000×g、10分間)し、得られたペレットに20μlの1
M LiCl 溶液、30μlの70%ポリエチレングリコール400
0 (和光純薬工業社)溶液、約1.0μgの実施例1、実
施例2および実施例4において得られた各種の酵母内発
現プラスミドをおのおの単独で含む10μlの溶液を添加
した。これを十分に混合した後、30℃で1時間インキュ
ベートし、さらに140 μlの滅菌水を加えて撹拌した。
この溶液をSD合成培地プレート〔2.0%グルコース、0.
67%窒素源アミノ酸不含(Nitrogen base w/o amino ac
ids, Difco製) 、20μg/mlヒスチジン2.0%寒天〕上に
蒔き、30℃で3日間インキュベートし、上記の酵母内発
現プラスミドを保有する形質転換酵母菌株を選択した。
このようにして、酵母内でヒト肝チトクロムP450 3A4を
単独で発現させる酵母菌体(比較区)、酵母内でヒト肝
チトクロムP450 3A4と酵母NADPH-チトクロムP450還元酵
素とを同時に発現させる酵母菌体(比較区)、酵母内で
人工融合酵素を単独で発現させる酵母菌体(比較区)、
および酵母内で人工融合酵素とチトクロムb5 とを同時
に発現させる酵母菌体(本発明区)を作製した。
【0020】実施例6 酵母内で発現した人工融合酵素
の定量 酵母内で人工融合酵素とチトクロムb5 とを同時に発現
させる酵母菌体(本発明区)の培養液(SD合成培地、菌
体濃度1.5×107 菌体/ml) 200mlを集菌し、10mlの100m
M リン酸カリウム緩衝液 (pH7.0)に懸濁した後、遠心
分離 (5000×g、10分間)した。得られたペレットを新
たに2.0mlの100mM リン酸カリウム緩衝液 (pH7.0)に
懸濁し、2本のキュベットに1.0mlずつ分注した。サン
プル側のキュベットに一酸化炭素を吹き込んだ後、両キ
ュベット内にジチオナイト5−10mgを添加し、撹拌した
ち400-500nm の差スペクトルを測定し、人工融合酵素濃
度を算出した。菌体あたりの人工融合酵素の発現量は約
9×104 分子であった。
【0021】実施例7 酵母ミクロソーム画分の調製 実施例5によって作製された各種の酵母菌株おのおのの
培養液(SD合成培地、菌体濃度約1.0×108 菌体/ml)3.
81を集菌し、得られた菌体を400ml の緩衝液A(10mM T
ris-HCl(pH7.5), 2M ソルビトール, 0.1mM DTT, 0.2
mM EDTA)に懸濁した後、160mg のザイモリエイス 100,0
00(Zymolyase 100T;生化学工業社))を加え、30℃で60分
間インキュベートした。遠心分離 (5000×g、10分間)
して得られたスフェロプラストを100ml の緩衝液Aに懸
濁した後、再び遠心分離 (5000×g、10分間)した。同
じ遠心分離操作をもう一度繰り返してスフェロプラスト
の洗浄を行った後、スフェロプラストを200ml の緩衝液
(10mM Tris-HCl (pH 7.5),0.65M ソルビトール, 0.1
mM DTT) に懸濁し、該懸濁液を超音波破砕 (50w,5分
間)した。遠心分離 (10,000×g、20分間)して得られ
た上清をさらに超遠心分離 (125,000 ×g、70分間)し
て、沈澱を回収した。該沈澱に0.1M のリン酸カリウム
緩衝液 (pH7.4) を10ml添加し、懸濁することにより、
ミクロソーム画分を得た。
【0022】実施例8 各種の酵母内発現プラスミドを
保有する形質転換酵母菌株(生菌体)におけるテストス
テロン水酸化活性の測定 実施例5によって作製された各種の酵母菌株〔チトクロ
ムP450単独発現菌体(比較区)、チトクロムP450 3A4と
NADPH-チトクロムP450還元酵素の同時発現菌体(比較
区)、人工融合酵素単独発現菌体(比較区)、および人
工融合酵素とチトクロムb5 の同時発現菌体(本発明
区)およびコントロール菌株の5種〕おのおのの培養液
(SD合成培地、菌体濃度約5.0×106 菌体/ml)5mlにテ
ストステロンを終濃度0.10mMになるように添加し、30℃
で24時間インキュベートした後、該反応液に10mlのジク
ロロメタンを加え、よく撹拌した後、遠心分離(5000 ×
g、10分間)した。分離した層からジクロロメタン層を
回収し、該回収物をHPLCにより分析した。以下に分析条
件を示す。 1.カラム:μBondapak C18 (φ4x300mm 、ウォータ
ーズ社) 2.溶出条件:アセトニトリル20%−70%水溶液 直線濃度勾配/25分 3.流 速:1.5ml/min 4.検 出:254nm における吸光度 その結果、コントロール菌株以外においてテストステロ
ン水酸化物が検出されたものの、チトクロムP450単独発
現菌体(比較区)、チトクロムP450 3A4とNADPH-チトク
ロムP450還元酵素の同時発現菌体(比較区)ではきわめ
て低レベルなものであった。一方、人工融合酵素とチト
クロムb5 の同時発現菌株(本発明区)における人工融
合酵素分子あたりの活性は、チトクロムP450 3A4とNADP
H-チトクロムP450還元酵素の同時発現菌体(比較区)に
おけるチトクロムP450分子当たりの活性の約300 倍もの
値を示し、または人工融合酵素単独発現菌体(比較区)
における人工融合酵素分子当たりの活性の約10倍の値を
示すことが判明した。
【0023】
【発明の効果】本発明、すなわち、N末端側にチトクロ
ム P450 のアミノ酸配列を有し、かつC末端側にNADPH-
チトクロムP450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融
合酵素とチトクロムb5 とを酵母内において同時に存在
させることにより、チトクロムP450 の一原子酸素添加
活性を著しく高め、有用物質の酸化反応プロセスまたは
産業廃水中の有害物質の酸化的除去等の実用的応用を可
能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト肝チトクロムP450 3A4遺伝子クローニング
用プライマーを示す図である。
【図2】ヒト肝チトクロムP450 3A4酵母内発現プラスミ
ドp3A4、及びヒト肝チトクロムP450 3A4と酵母NADPH-チ
トクロムP450還元酵素との同時発現プラスミドp3A4R の
構築方法を示す図である。
【図3】人工融合酵素遺伝子を含む酵母内発現プラスミ
ドpF3A4 の構築方法を示す図である。
【図4】ヒト由来のチトクロムb5 遺伝子クローニング
用プライマーを示す図である。
【図5】ヒト由来のチトクロムb5 酵母内発現プラスミ
ドpAB5の構築方法を示す図である。
【図6】人工融合酵素とチトクロムb5 の酵母内発現プ
ラスミドpF3B5 の構築方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865) (C12N 1/19 C12R 1:865)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N末端側にチトクロム P450 のアミノ酸配
    列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP450還元酵
    素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素とチトクロムb
    5 とを酵母内において同時に存在させることを特徴とす
    るチトクロム P450 の一原子酸素添加活性を向上させる
    方法。
  2. 【請求項2】N末端側にヒト肝チトクロム P450 のアミ
    ノ酸配列を有し、かつC末端側に酵母NADPH-チトクロム
    P450還元酵素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素と哺
    乳動物由来のチトクロムb5 とを酵母内において同時に
    存在させることを特徴とするチトクロム P450 の一原子
    酸素添加活性を向上させる方法。
  3. 【請求項3】N末端側にチトクロム P450 のアミノ酸配
    列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP450還元酵
    素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素およびチトクロ
    ムb 5 を酵母内において同時に発現させるプラスミドを
    酵母菌株に導入し、発現させることを特徴とするチトク
    ロム P450 の一原子酸素添加活性を向上させる方法。
  4. 【請求項4】N末端側にチトクロム P450 をコードする
    塩基配列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP450
    還元酵素をコードする塩基配列を有する人工融合酵素遺
    伝子およびチトクロムb5 をコードする塩基配列を有す
    る遺伝子を含有するプラスミドを酵母菌株に導入し、発
    現させることを特徴とするチトクロム P450 の一原子酸
    素添加活性を向上させる方法。
  5. 【請求項5】N末端側にチトクロム P450 のアミノ酸配
    列を有し、かつC末端側にNADPH-チトクロムP450還元酵
    素のアミノ酸配列を有する人工融合酵素およびチトクロ
    ムb 5 を酵母内において同時に発現させるプラスミド。
  6. 【請求項6】請求項4記載のプラスミドが導入された酵
    母菌株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000065061A3 (de) * 1999-04-24 2001-03-15 Max Delbrueck Centrum Nukleinsäure-sequenzen aus candida hefen, die cytochrom b5-polypeptide kodieren
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