JP2500178B2 - 基材表面の撥水撥油処理方法 - Google Patents

基材表面の撥水撥油処理方法

Info

Publication number
JP2500178B2
JP2500178B2 JP4194266A JP19426692A JP2500178B2 JP 2500178 B2 JP2500178 B2 JP 2500178B2 JP 4194266 A JP4194266 A JP 4194266A JP 19426692 A JP19426692 A JP 19426692A JP 2500178 B2 JP2500178 B2 JP 2500178B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
group
base material
oil
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4194266A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05193056A (ja
Inventor
小川  一文
眞守 曽我
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP4194266A priority Critical patent/JP2500178B2/ja
Priority to KR1019930005596A priority patent/KR960015813B1/ko
Publication of JPH05193056A publication Critical patent/JPH05193056A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2500178B2 publication Critical patent/JP2500178B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基材表面を撥水撥油性
化させる方法に関するものである。さらに詳しくは、金
属やセラミック、ガラス、プラスチック、繊維、紙等の
表面に撥水撥油性の超薄膜を形成して基材表面を撥水撥
油化させる方法に関するものである。
【0002】さらにまた本発明は、撥水撥油性アパレル
用部材に関するものである。さらに詳しくは、スキーウ
ェア、雨具やスポーツウェア、手袋用布、あるいは毛皮
や皮革等で代表される高性能撥水撥油防汚性アパレル用
部材に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、金属、セラミック、ガラス、プラ
スチック、繊維、紙、木材等の表面を撥水撥油化させる
方法として、各種樹脂や塗料を含浸又はコーティングし
たり、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂の
エマルジョンを塗布したり、焼き付ける方法が用いられ
ていた。
【0004】さらにまた、スキーウェア、雨具、スポー
ツウエア、手袋用布、あるいは毛皮や皮革を撥水撥油処
理することは、汚れ防止や雨天対策上重要な課題であ
る。従来、繊維製品などのアパレル用部材については、
通気性をある程度保有したまま、撥水性を付与するに
は、フロロカーボン系のエマルジョン(フッ素樹脂)を
スプレー法などでコートし、微細な穴を有する多孔質性
コーティング膜を設ける方法が提案されている。別の手
段としては、ウレタン樹脂等の樹脂を薄くコーティング
し、微細な穴を有する多孔質性コーティング膜を設ける
方法も提案されている。また別の手段としては、収縮率
の比較的高い細い繊維を高密度に織り、織物の状態で高
温処理して収縮させることも知られている。
【0005】さらにミンク等の天然毛皮については、シ
リコーン化合物やフッ素化合物を含む塗布液を用いてポ
リッシャー加工などが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、塗膜は基材表面に化学結合しておらず耐久性
が悪いという大きな欠点があった。また基材自体が有す
る表面の美観を損ねるという問題点もあった。さらに、
従来の撥水剤をコートする方法では効果が少なく、耐久
性も殆ど無いものであった。また、部材表面に樹脂をコ
ートする方法では、着用時蒸れるなどの欠点があった。
繊維の光沢や肌合さらに通気性を損なうことなく繊維表
面のみ撥水撥油処理する事は、アパレル用部材の改良で
重要な課題であった。
【0007】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、金属やセラミック、ガラス、プラスチック、繊
維、紙、木材等の基材の表面を耐久性の高い超薄膜で被
い撥水撥油化させる方法を提供する。さらに本発明は前
記従来技術の課題を解決するため、着用時の蒸れがな
く、かつ耐久性に優れた撥水撥油性アパレル用部材など
の基材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の基材表面の撥水撥油処理方法は、基材表面
に化学吸着ポリマー膜を形成する方法であって、フッ化
炭素基とクロル基又はアルコシキ基を複数個含むシラン
系化学吸着物質を非水系の溶媒に溶解した溶液に、表面
に親水性基を含む基材を浸漬する工程と、前記溶液中よ
り基材を取り出し水分をまったく含まないか実質的に含
まない雰囲気中で乾燥し、前記非水系溶媒を除去する工
程と、前記処理物を空気中に取り出す工程とを含むこと
を特徴とする。
【0009】前記方法においては、フッ化炭素基とクロ
ル基を複数個含むシラン系化学吸着物質として、CF3
−(CF2 n −R−SiXp Cl3-p (ただし、nは
整数、Rはアルキレン基またはシリコン若しくは酸素原
子を含む置換基、または化学結合、XはHまたはアルキ
ル基、アルコキシ基から選ばれる置換基、pは0,1ま
たは2)を用いることが好ましい。
【0010】また前記構成においては、非水系の溶媒と
して炭化水素系またはフッ化炭素系の溶媒を用いること
が好ましい。
【0011】また前記構成においては、基材表面の親水
性基が、水酸基、カルボキシル基、イミノ基、アミノ基
のいずれかであることが好ましい。
【0012】また前記構成においては、基材材料とし
て、表面をプラズマ処理、またはコロナ処理した基材を
用いることが好ましい。
【0013】
【作用】前記構成によれば、撥水撥油性の官能基を多数
含む化学吸着ポリマー膜が−Si−結合を含む共有結合
を介して部材表面に形成されているので、撥水・撥油性
に優れ、かつ耐久性に優れた基材とすることができる。
【0014】すなわち本発明においては、きわめて撥水
撥油性の高いフッ素を多数含んだ超薄膜を化学結合を介
して基材表面に形成できるので、耐久性の高い撥水撥油
処理が行える作用がある。また基材がたとえばアパレル
用繊維の場合は、基材表面には、ナノメーターレベルの
超薄膜が形成されているので、織物や編み物の通気性を
妨げることがなく、着用時の蒸れ感は極めて少ない。ま
た、撥水撥油性の官能基がフッ素であり、かつ共有結合
がシロキサン結合であるという本発明の好ましい構成に
よれば、きわめて撥水撥油性の高いフッ素を多数含んだ
超薄膜を化学結合を介してアパレル用部材表面に形成で
きるので、耐久性の高い撥水撥油処理したアパレル用部
材を供給できる。
【0015】次に本発明方法によれば、フッ化炭素基と
クロル基又はアルコキシ基を複数個含むシラン系化学吸
着物質を非水系の溶媒に溶解した溶液に、表面に親水性
基を含む基材を浸漬した後、前記溶液中より基材を取り
出し水分を殆ど含まない雰囲気中で乾燥し非水系溶媒を
除去すると、前記基材表面に前記シラン系化学吸着物質
の塗膜が形成される。そこでさらに空気中に取り出すと
この塗膜は空気中の水分と脱塩酸反応してポリマー化さ
れる。このとき、塗膜は前記基材表面とも脱塩酸反応し
て共有結合を生じるので、化学結合を介して基材表面に
結合したきわめて撥水撥油性の超薄膜を形成できる。
【0016】なお、フッ化炭素基とクロル基を複数個含
むシラン系化学吸着物質としてCF3 (CF2 7 (C
2 2 SiCl3 、CF3 (CF2 5 (CH2 2
SiCl3 、CF3 CH2 O(CH2 15SiCl3
CF3 (CH2 2 Si(CH3 2 (CH2 15Si
Cl3 、F(CF2 4 (CH2 2 Si(CH3 2
(CH2 9 SiCl3 、CF3 COO(CH2 15
iCl3 などを使用できる。
【0017】また、非水系の溶媒として炭化水素系ある
いはフッ化炭素系の溶媒を用いること毒性が無いので都
合がよい。
【0018】また基材表面の親水性基が、水酸基、カル
ボキシル基、イミノ基、アミノ基のいずれかであると、
前記シラン系化学吸着物質が共有結合しやすい。
【0019】また基材材料として、表面をプラズマ処
理、またはコロナ処理した基材を用いると、当初は反応
性が低い材料であっても化学吸着膜を形成し易くでき
る。
【0020】
【実施例】以下実施例を用いて本発明方法をさらに具体
的に説明する。以下の実施例は、本発明に関する代表的
な撥水撥油処理方法である。
【0021】さらにアパレル用部材を撥水・撥油処理す
る場合の具体例を説明する。フッ化炭素基とクロル基を
複数個含むシラン系化学吸着物質を非水系の溶媒に溶解
した溶液に、表面に水酸基やイミノ基あるいはカルボキ
シル基を含むアパレル用部材を浸漬した後前記溶液中よ
りアパレル用部材を取り出し水分を殆ど含まない雰囲気
中で乾燥し非水系溶媒を除去すると、前記単分子膜表面
に前記シラン系化学吸着物質の塗膜が形成される。そこ
でさらに空気中に取り出すとこの塗膜は空気中の水分と
脱塩酸反応してポリマー化される。このとき、塗膜は前
記アパレル用部材表面とも脱塩酸反応して共有結合を生
じるので、化学結合を介してアパレル用部材表面に結合
したフッ素を多数含むきわめて撥水撥油性の超薄膜を形
成できる。以下具体的実施例を説明する。
【0022】実施例1 まず、加工の終了したガラス基材(金属やセラミック、
プラスチック、繊維等表面に水酸基やイミノ基、カルボ
キシル基などクロロシリル基と脱塩酸反応を生じる官能
基を表面に含むものであればなんでもよい)1を用意し
(図1(a))、洗浄した後、フッ化炭素基と、複数個
のクロル基を持つシラン系化学吸着物質、たとえば CF3 −(CF2 n −R−SiXp Cl3-p (ただし、nは整数、Rはアルキレン基またはシリコン
もしくは酸素原子を含む置換基、または化学結合、Xは
Hまたはアルキル基、アルコキシ基等の置換基、pは
0,1または2)で表わされる物質、例えばCF3 (C
2 7 (CH2 2 SiCl3 をフッ化炭素系溶媒
(例えば旭ガラス製:アフルード)に1wt%溶解した溶
液に10分程度浸漬し、その後有機溶剤で洗浄すること
なく、そのまま水分をほとんど含まない(好ましくは相
対湿度5%以下)雰囲気中で溶媒を蒸発させ乾燥させる
と、表面に残ったフッ化炭素基と複数個のクロル基を持
つシラン系化学吸着物質で200オングストローム(2
0nm)程度の膜厚で塗膜2が形成される。このとき、
一部のシラン系化学吸着物質は、基材表面の水酸基3と
脱塩酸反応してシロキサン結合(−SiO−)4を生
じ、基材表面に固定される(図1(b))。そこでさら
に基材を水分を含む(相対湿度30%程度以上)雰囲気
中に移すと、この塗膜内の固定されたフッ化炭素基とク
ロロシリル基を含む物質の残ったクロロシリル基は空気
中の水分と脱塩酸反応してポリマー化される。この様に
して作成された塗膜はフッ素を多数含みシロキサン結合
4で基材表面に結合されるため、きわめて撥水撥油性の
高い超薄膜5が基材表面に形成される(図1(c))。
【0023】なお、この超薄膜は基材とシロキサン結合
を介して共有結合しており、こすっても洗浄しても剥が
れることが無かった。また水に対する濡れ角度を計ると
約150度であった。
【0024】実施例2 加工の終了したナイロン−ABS樹脂(ポリマーアロ
イ)基材11を用意し(図2(a))、洗浄した後、フ
ッ化炭素基と複数個のクロル基を持つシラン系化学吸着
物質、例えば、CF3 (CF2 5 (CH2 2 SiC
3 を炭化水素系溶媒(ノルマルヘキサン)に1wt%溶
解した溶液に20分程度浸漬し、その後有機溶剤で洗浄
することなく、そのまま水分をほとんど含まない(好ま
しくは相対湿度5%以下)雰囲気中で溶媒を蒸発させ乾
燥させると、表面に残った前記シラン系化学吸着物質で
100オングストローム(10nm)程度の膜厚で塗膜
12が形成される。このとき、一部の前記クロロシラン
系化学吸着物質は、基材表面のイミノ基13と脱塩酸反
応してシロキサン結合(−SiO−)14を生じ、基材
表面に固定される(図2(b))。そこで、さらに基材
を水分を含む(相対湿度30%程度以上)雰囲気中に移
すと、この塗膜および固定された前記クロロシラン系化
学吸着物質の残ったクロロシリル基は空気中の水分と脱
塩酸反応してポリマー化される。この様にして作成され
た塗膜は、フッ素を多数含み−SiN<結合14で基材
表面に結合されるため、きわめて撥水撥油性の高い超薄
膜15が基材表面に形成される(図2(c))。
【0025】なお、この超薄膜は基材と−SiN<結合
を介して共有結合しており、こすっても洗浄しても剥が
れることが無かった。水に対する濡れ角度も130度と
非常に高かった。
【0026】なお上記実施例では、クロロシラン系化学
吸着物質として、CF3 (CF2 7 (CH2 2 Si
Cl3 、CF3 (CF2 5 (CH2 2 SiCl3
用いたが、これ以外に、CF3 CH2 O(CH2 15
iCl3 、CF3 (CH2 2 Si(CH3 2 (CH
2 15SiCl3 、F(CF2 4 (CH2 2 Si
(CH3 2 (CH2 9 SiCl3 、CF3 COO
(CH2 15SiCl3 等が利用できた。
【0027】また、あらかじめ表面を10〜0.1ミク
ロン程度粗面処理しておいた基材を用いると、実施例1
及び2において撥水角度はそれぞれ約160度および1
70度のものが得られた。
【0028】実施例3 まず、加工の終了したレインコート用木綿製布(繊維等
表面に水酸基やイミノ基、カルボキシル基などクロロシ
リル基と脱塩酸反応を生じる官能基を表面に含むもので
あれば毛皮や皮革等なんでもよい)を用意し(図1
(a))、洗浄した後、フッ化炭素基とクロロシリル基
を複数個持つ下記一般式 CF3 −(CF2 n −R−SiXp Cl3-p (ただし、nは整数、Rはアルキレン基またはシリコン
もしくは酸素原子を含む置換基、または化学結合、Xは
Hまたはアルキル基、アルコキシ基等の置換基、pは
0,1または2)で表わされる物質で処理する。処理に
当たっては非水系溶媒に稀釈して用いる。
【0029】前記一般式で示されるシラン系化学吸着物
質の具体的化合物としては、例えば、CF3 (CF2
7 (CH2 2 SiCl3 がある。この化合物をフッ化
炭素系溶媒(例えば旭ガラス製:アフルード)に1wt%
溶解した溶液に10分程度浸漬し、その後有機溶剤で洗
浄することなく、そのまま水分をほとんど含まない(好
ましくは相対湿度5%以下)雰囲気中で溶媒を蒸発させ
乾燥させると、木綿繊維1表面に残ったシラン系化学吸
着物質で約200オングストローム(20nm)程度の
膜厚で塗膜2が形成される。このとき、一部の前記シラ
ン系化学吸着物質は、綿繊維表面の水酸基3と脱塩酸反
応してシロキサン結合(−SiO−)4を生じ、繊維表
面に固定される(図1(b))。そこでさらに綿製布を
水分を含む(相対湿度30%程度以上)雰囲気中に移す
と、この繊維表面に塗膜および固定された前記シラン系
化学吸着物質の残ったクロロシリル基は、空気中の水分
と脱塩酸反応してポリマー化される。この様にして作成
された塗膜は、フッ素を多数含みシロキサン結合4で綿
繊維表面に結合されるため、きわめて撥水撥油性の高い
超薄膜5が木綿繊維表面に形成される(図1(c))。
【0030】なお、CF3 (CF2 7 (CH2 2
iCl3 をアフルードに溶解した溶液に、等モル濃度で
ピリジン(クロロシリル基と反応せず、水分を含まない
アルカリなら何でもよい)を添加しておくと、木綿製布
を劣化させずに処理が行えた。この理由は、木綿繊維の
水酸基(−OH基)またはカルボキシル基と、前記CF
3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 のクロロシリル
基(−Cl基)との反応によって脱塩酸が起こるが、こ
の塩酸によって木綿は酸劣化するものと思われる。しか
しながら、ピリジンを相当量加えておくと、脱塩酸はピ
リジンによって中和し、木綿繊維を傷めないからと思わ
れる。
【0031】このようにして得られたフッ素を含む超薄
膜は綿繊維とシロキサン結合を介して共有結合してお
り、こすっても洗浄しても剥がれることが無かった。ま
たこのようにして撥水撥油処理された綿製布の水に対す
る濡れ角度を計ると約170度であった。
【0032】実施例4 加工の終了したナイロン繊維11を用意し(図2
(a))、洗浄した後、フッ化炭素基とクロル基を複数
個持つシラン系化学吸着物質、例えば、CF3 (C
2 5 (CH2 2 SiCl3 をフッ化炭素系溶媒
(ノルマルヘキサン)に1wt%溶解した溶液に20分程
度浸漬し、その後有機溶剤で洗浄することなく、そのま
ま水分をほとんど含まない(好ましくは相対湿度5%以
下)雰囲気中で溶媒を蒸発させ乾燥させると、表面に残
った前記シラン系化学吸着物質で100オングストロー
ム(10nm)程度の膜厚で塗膜12が形成される。こ
のとき、一部のフッ化炭素基とクロロシリル基を含む物
質は、繊維表面のイミノ基13と脱塩酸反応して−Si
N<結合14を生じ、繊維基材表面に固定される(図2
(b))。そこでさらに繊維を水分を含む(相対湿度3
0%程度以上)空気雰囲気中に移すと、この塗膜および
固定されたフッ化炭素基とクロロシリル基を含む物質の
残ったクロロシリル基は空気中の水分と脱塩酸反応して
ポリマー化される。この様にして作成された塗膜は、フ
ッ素を多数含み−SiN<結合14で繊維表面に結合さ
れるため、きわめて撥水撥油性の高い超薄膜15が繊維
表面に形成される(図2(c))。
【0033】なお、この超薄膜は繊維と−SiN<結合
を介して共有結合しており、こすっても洗浄しても剥が
れることが無かった。このようにして撥水撥油処理され
たナイロン繊維を布に織りあげた後、水に対する濡れ角
度を測定すると、約170度と非常に高かった。
【0034】なお、上記実施例ではフッ化炭素基とクロ
ロシリル基を含む物質として、 CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3 、 CF3 (CF2 5 (CH2 2 SiCl3 を用いたが、これ以外に下記の物質等も利用できた。
【0035】 CF3 CH2 O(CH2 15SiCl3 CF3 (CH2 2 Si(CH3 2 (CH2 15SiCl3 F(CF2 4 (CH2 2 Si(CH3 2 (CH2 9 SiCl3 CF3 COO(CH2 15SiCl3
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の方法を用い
ると、フッ化炭素基を含むシラン系化学吸着物質を非水
系の溶媒に溶解した溶液に、表面に水酸基やイミノ基等
の官能基を含む基材を浸漬した後、前記溶液中より基材
を取り出し水分を殆ど含まない雰囲気中で乾燥し非水系
溶媒を除去すると、前記単分子膜表面に前記シラン系化
学吸着物質の塗膜が形成される。そこでさらに空気中に
さらすとこの塗膜は空気中の水分と脱塩酸反応してポリ
マー化される。このとき塗膜はフッ素を多数含み空気中
の水分や基材表面の水酸基やイミノ基あるいはカルボキ
シル基と反応して、−SiO−または−SiN<結合を
介して基材表面に化学結合した状態で形成される。この
結果、きわめて撥水撥油効果の高い超薄膜を化学結合を
介して基材表面に形成できるので、耐久性の高い撥水撥
油処理をきわめて簡単に行える効果がある。
【0037】また本発明を用いると、きわめて撥水撥油
効果の高い超薄膜を共有結合を介して基材表面に形成で
きるので、耐久性の高い撥水撥油処理したアパレル用部
材を低コストで提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び3の実施例である基材の撥水
撥油処理方法を説明するためにもちいた工程断面図であ
る。
【図2】本発明の第2及び4の実施例である基材の撥水
撥油処理方法を説明するためにもちいた工程断面図であ
る。
【符号の説明】
1,11 基材 2,12 塗膜 3 水酸基 13 イミノ基 4 シロキサン結合 14 −SiN<結合 5、15 撥水撥油性超薄膜

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に化学吸着ポリマー膜を形成す
    る方法であって、フッ化炭素基とクロル基又はアルコキ
    シ基を複数個含むシラン系化学吸着物質を非水系の溶媒
    に溶解した溶液に、表面に親水性基を含む基材を浸漬す
    る工程と、前記溶液中より基材を取り出し水分をまった
    く含まないか実質的に含まない雰囲気中で乾燥し、前記
    非水系溶媒を除去する工程と、前記処理物を空気中に取
    り出す工程とを含むことを特徴とする基材表面の撥水撥
    油処理方法。
  2. 【請求項2】 フッ化炭素基とクロル基を複数個含むシ
    ラン系化学吸着物質として、 CF3 −(CF2 n −R−SiXp Cl3-p (ただし、nは整数、Rはアルキレン基またはシリコン
    若しくは酸素原子を含む置換基、または化学結合、Xは
    Hまたはアルキル基、アルコキシ基から選ばれる置換
    基、pは0,1または2)を用いる請求項記載の基材
    表面の撥水撥油処理方法。
  3. 【請求項3】 非水系の溶媒として炭化水素系またはフ
    ッ化炭素系の溶媒を用いる請求項記載の基材表面の撥
    水撥油処理方法。
  4. 【請求項4】 基材表面の親水性基が、水酸基、カルボ
    キシル基、イミノ基、アミノ基のいずれかである請求項
    記載の基材表面の撥水撥油処理方法。
  5. 【請求項5】 基材材料として、表面をプラズマ処理、
    またはコロナ処理した基材を用いる請求項記載の基材
    表面の撥水撥油処理方法。
JP4194266A 1991-07-26 1992-07-21 基材表面の撥水撥油処理方法 Expired - Lifetime JP2500178B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4194266A JP2500178B2 (ja) 1991-07-26 1992-07-21 基材表面の撥水撥油処理方法
KR1019930005596A KR960015813B1 (ko) 1992-07-21 1993-04-02 발수발유처리방법 및 이것을 사용한 어패럴용부재

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-187695 1991-07-26
JP18769391 1991-07-26
JP18769591 1991-07-26
JP3-187693 1991-07-26
JP4194266A JP2500178B2 (ja) 1991-07-26 1992-07-21 基材表面の撥水撥油処理方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7287170A Division JP2886814B2 (ja) 1991-07-26 1995-11-06 撥水撥油性基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05193056A JPH05193056A (ja) 1993-08-03
JP2500178B2 true JP2500178B2 (ja) 1996-05-29

Family

ID=27325932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4194266A Expired - Lifetime JP2500178B2 (ja) 1991-07-26 1992-07-21 基材表面の撥水撥油処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2500178B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999025487A1 (fr) * 1997-11-18 1999-05-27 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Procede de production d'un film monomoleculaire de chimisorption, procedes de production de films d'alignement de cristaux liquides et ecrans d'affichage comprenant le film de chimisorption
JP5001015B2 (ja) * 2006-09-28 2012-08-15 富士フイルム株式会社 非特異吸着を抑制した表面を有する生化学用器具
WO2009104235A1 (ja) 2008-02-18 2009-08-27 Ogawa Kazufumi 金型とその製造方法及びそれを用いて作製した成型品
CN112851140B (zh) * 2021-01-22 2022-09-23 昆山国显光电有限公司 玻璃盖板制作方法、玻璃盖板及显示模组

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS559652A (en) * 1978-07-05 1980-01-23 Dainichi Nippon Cables Ltd Water repellent

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
応用物理学会「1990年(平成2年)春季第37回応用物理学関係連合講演会予稿集第3分冊」(1990年3月28日)第1048頁

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05193056A (ja) 1993-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5571622A (en) Water- and oil repellent substrate and method of treatment
US5500250A (en) Chemically adsorbed film and method of manufacturing the same
EP0508136A2 (en) Surface-treated apparel material
US5629088A (en) Hydrophilic substrate and method of manufacturing the same
JPH04221630A (ja) 透光性基体の製造方法
JP2500178B2 (ja) 基材表面の撥水撥油処理方法
EP0498339B1 (en) Object comprising an ornament and thereon a monomolecular film
JP4565102B2 (ja) 撥水撥油防汚性アパレル製品の製造方法
JP2886814B2 (ja) 撥水撥油性基材
JP5358769B2 (ja) 撥水撥油防汚性アパレル製品とその製造方法
JPH0818336B2 (ja) 成形用部材およびその製造方法
KR960015813B1 (ko) 발수발유처리방법 및 이것을 사용한 어패럴용부재
JP2820167B2 (ja) 防水防汚性アパレル用部材
JP4071616B2 (ja) 耐汗防汚性繊維製品
JP4061187B2 (ja) 撥水防汚性毛皮・皮革製品
JP2500816B2 (ja) 化学吸着膜の製造方法
JP3311784B2 (ja) 親水性基材及びその製造方法
JPH0791402B2 (ja) 高分子組成物の製造方法
JP2015074781A (ja) 撥水撥油性複合材料の製造方法、及び撥水撥油性複合材料
JP3579655B2 (ja) 防汚性の疎水性コーティングを有する透明基体及びその製法
JP2996536B2 (ja) 水 着
JP2898426B2 (ja) スポーツ用品
Ferrero et al. Sol-gel process for surface modification of leather
JP2690876B2 (ja) 透光性基体
JP3424879B2 (ja) シロキサン系薄膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080301

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090301

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100301

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110301

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130301

Year of fee payment: 17

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130301

Year of fee payment: 17