JP4071616B2 - 耐汗防汚性繊維製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業の属する技術分野】
本発明は、高機能性衣類等の耐汗防汚性繊維製品に関するものである。さらに詳しくは、汗で濡れやすい衣類の脇部の布地繊維の表面に、布地の色調や光沢を損なわない耐汗性被膜を形成した、脇部に汗をかいて濡れたとき局部的に色調が変化するのを防止でき、しかも水蒸気の透過性を確保できる機能の高い耐汗性でかつ通気性および非吸水性の衣類や、襟や袖部の局部的な汚れを防止でき、あるいは襟や袖部の局部的な汚れを取り易くできる衣類等の耐汗防汚性繊維製品に関するものである。
【0002】
本発明において、「繊維製品」とは、布地繊維および/または縫い糸の耐汗防汚処理の対象部分をもつ被服、はきもの、かばん、リュックサックを意味し、被服には衣類のほか帽子、手袋などの付属品が含まれている。「耐汗防汚性繊維製品」とは、耐汗防汚処理がされた製品のことである。
【0003】
【従来の技術】
特許文献1にあるように、少なくともアルコキシシラン系界面活性剤と、活性水素を含まない非水系溶媒と、シラノール縮合触媒を含む混合溶液を、基材表面に接触させ、前記基材表面に前記界面活性剤分子をシロキサン結合を介して共有結合させ、次いで非水系の溶媒で洗浄することにより、基材表面にシロキサン結合を介して共有結合した前記界面活性剤分子よりなる単分子膜状の被膜を形成する基材の表面に撥水性の化学吸着膜を形成する方法は知られている。また、文献2や3あるいは4,5,6にあるように、少なくともクロロシラン系界面活性剤と、活性水素を含まない非水系溶媒を含む混合溶液を、基材表面に接触させ、前記基材表面に前記界面活性剤分子をシロキサン結合を介して共有結合させ、基材表面にシロキサン結合を介して共有結合した前記界面活性剤分子よりなる単分子膜状の被膜を形成する基材の表面に撥水性の化学吸着膜を形成する方法は知られている。
【0004】
しかしながら、カッターシャツ、ブラウス、ワンピース、スポーツウエア、スキーウエア、レインコート、ドレス、ウエディングドレス、呉服、白衣等の衣類や、衣類以外のはきもの、かばん、リュックサック、帽子、手袋等の繊維製品において、局部的にではあっても見た目のムラなどの点で問題のない撥水撥油防汚性の被膜を形成する方法は未だ知られていない。
たとえば衣類脇部は、一般に汗をかいて濡れたとき、局部的に水に濡れたときのように布地の色調が変化する。このような脇部等の局部的な色調変化は、乾けば全く問題ないが、着用時に発生すれば衣類の美観を大幅に損ねる。特に、薄着の夏場やスポーツ時に発生しやすく、デリケートな女性にとっては大問題であった。また、着用時に、襟首や袖口部に汚れが付着し易く、洗濯してもなかなか落ちないという問題があった。しかしながら、このような問題を解決した耐汗性防汚衣類は未だ開発、提供されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−337654
【特許文献2】
特開平5−031441
【特許文献3】
特開平9−031215
【特許文献4】
特開平4−289273
【特許文献5】
特開平5−193056
【特許文献6】
特開平8−224536
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
夏場やスポーツ時に着用している衣類は、汗をかいたとき、汗で濡れた部分が局部的に水に濡れたときのように色調が変化する。このような局部的な色調変化を防止し美観を損なわず、水蒸気透過性でかつ非吸水性の着心地の良い衣類を提供することはアパレル業界では重要な課題である。
また、着用あるいは使用時に、襟首や裾部、袖口部等特定の部分に汚れが付着し難く、たとえ汚れたとしても、洗濯機で洗濯するだけですぐ落ちるよう繊維製品を提供することはアパレル業界では重要な課題である。
さらにまた、ドライクリーニングに耐えるような撥水防汚処理技術の開発は、アパレル業界では重要な課題である。
【0007】
しかしながら、従来のフッ素系のオリゴマーを塗布する防水処理技術は、風合や色調に微妙な変化を伴い、脇部や袖口、襟首等を選択的に処理するには、未だ見た目のムラなどの点で問題があった。また、従来の方法では、通気性を損なうという大きな欠点があった。さらに、ドライクリーニング等では、対洗濯耐久性も乏しかった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、布地本来の色合いや弾力性、風合いを損なうことなく、衣類の局部のみ布地繊維の表面がフッ素を含むナノメートルレベルの極薄の被膜で覆われている通気性に優れ、着用時に、襟首や袖口部に汚れが付着し難く、たとえ汚れたとしても、洗濯機で洗濯するだけですぐよごれが落ち、かつ対洗濯耐久性や使用耐久性に優れた衣類等、耐汗防汚性繊維製品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維製品の任意の部分、例えば衣類の脇部、襟部、裾部および/または袖口部の布地繊維および/または縫い糸の表面が選択的にフッ素を含む被膜、具体的にはフッ素を含むアルコキシシラン化合物またはフッ素を含むクロロシラン化合物を反応させて形成された被膜、好ましくは少なくともシロキサン結合を介して該布地繊維表面に結合形成された化学吸着膜で構成されている、または少なくともシロキサン結合を介して該布地繊維および/または縫い糸表面に結合形成された単分子膜で構成されている被膜で覆われていることを特徴とし、さらに好ましくは被膜で覆われている部分が通気性かつ非吸水性であることを特徴とする耐汗防汚性繊維製品を要旨とする。
【0010】
本発明は、繊維製品の任意の部分の布地および/または縫い糸に、選択的にフッ素を含むクロロシラン化合物と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液を相対湿度30%以下の乾燥雰囲気中で塗布する工程と、前記有機溶媒を蒸発させた後水分を含む空気中に取り出す工程を含むことを特徴とする、必要に応じ化学吸着液を塗布する工程の後、塗布部分を有機溶剤で洗浄することを特徴とする衣類等の耐汗防汚性繊維製品の製造方法を要旨とする。
【0011】
本発明は、繊維製品の任意の部分の布地および/または縫い糸に、選択的にフッ素を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液を塗布する工程を含むことを特徴とする、必要に応じ化学吸着液を塗布する工程の後、塗布部分を有機溶剤で洗浄することを特徴とする衣類等の耐汗防汚性繊維製品の製造方法を要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、衣類等、繊維製品の一部分の布地繊維の表面が選択的に防水性の被膜で覆われている撥水(耐汗)防汚製品を提供する。繊維製品には、布地繊維および/または縫い糸の耐汗防汚処理の対象部分をもつ被服、はきもの、かばん、リュックサック、等がある。被服には衣類のほか帽子、手袋などの付属品を含む。衣類等の繊維製品の一部分とは、衣類を着用した時に汗や汚れが付着しやすい脇部や襟首や裾部や袖口部等である。
【0013】
撥水性の被膜は、フッ素を含む被膜であり、具体的にはフッ素を含むアルコキシシラン化合物またはフッ素を含むクロロシラン化合物を反応させて形成された被膜である。このとき、フッ素を含む被膜を、少なくともシロキサン結合を介して脇部や襟首や裾部や袖口部等の布地繊維表面に結合形成された化学吸着膜で構成しておくと、衣類本来の色合いや弾力性、風合いを損なうことなく、対洗濯耐久性や使用耐久性に優れた耐汗防汚性繊維製品を提供できて好ましい。さらに、化学吸着膜を、少なくともシロキサン結合を介して脇部や襟首や裾部や袖口部等布地繊維表面に結合形成された単分子膜で構成しておくと、通気性に優れた耐汗防汚性繊維製品を提供できる。
【0014】
以下、繊維製品の代表として、衣類を例に説明する。例えば、一般に衣類は、木綿、毛、麻、絹、紙、木材などの天然繊維、レーヨン等の化学繊維、及びポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリロニトリル繊維などの合成繊維から選ばれる繊維でできており、これらの繊維は表面に水酸基やイミノ基のような活性水素を持っている。
【0015】
フッ素を含むクロロシラン化合物を用いてフッ素を含む被膜を製造する方法について説明する。
そこで、前記繊維を用いた衣類等の縫製後、乾燥雰囲気中で、フッ化炭素基及びクロロシリル基(−SiCl3−n基、n=1、2、3、Xは官能基)を含む直鎖状の化学吸着剤を有するクロロシラン系化学吸着剤(界面活性剤)と非水系有機溶剤を混合して作成された化学吸着液を、前記衣類の一部分、好ましくは脇部や襟首や袖口部に塗布あるいは接触させて、前記衣類の繊維表面の水酸基やイミノ基と、前記クロロシラン系化合物のクロロシリル基を脱塩酸反応させて化学吸着膜を選択的に衣類の一部分、好ましくは脇部や襟首や袖口部に形成する。このときの乾燥雰囲気として湿度30%以下の雰囲気中で処理する。
【0016】
必要に応じ化学吸着液を塗布する工程の後、塗布部分を有機溶剤で洗浄することを特徴とする。
溶媒蒸発後さらに有湿度30%以下の雰囲気中で有機溶剤で過剰の化学吸着剤を洗浄除去すると、繊維表面に共有結合した単分子膜を形成できる。なお、このとき、有機溶剤を用いて洗浄する工程を省けば、単分子膜でない化学吸着膜を形成できる。
【0017】
つぎにフッ素を含むアルコキシシラン化合物を用いてフッ素を含む被膜を製造する方法について説明する。
アルコキシシリル基〔−Si(OA)3−n基、n=1、2、3、Xは官能基、Aはアルキル基〕とフッ化炭素基を含む直鎖状のアルコキシシリル系化学吸着剤(界面活性剤)と非水系有機溶剤とシラノール縮合触媒の混合物を混合して作成された化学吸着液を、前記衣類の一部分、好ましくは脇部や襟首や袖口部に接触させて、前記衣類の繊維表面の水酸基やイミノ基と、前記アルコキシシリル系化学吸着剤のアルコキシシリル基を脱アルコール反応させて化学吸着膜を選択的に衣類の一部分、好ましくは脇部や襟首や裾部や袖口部に形成する。
【0018】
なお、前記アルコキシシラン系の化学吸着剤は、非水系溶媒に溶解して乾燥雰囲気下で用いるのが好ましいが、湿度45%を超える空気中でも使用可能である。さらに、そのまま有機溶媒を蒸発させて、繊維表面に共有結合した化学吸着膜(単分子膜ではない)を形成しても良いが、塗布後、空気中で有機溶剤で過剰の化学吸着液を洗浄除去すると、繊維表面に共有結合した単分子膜を形成できる。また、上記シラノール縮合触媒は、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が水を含まないので都合がよい。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートが水を含まず且つ活性が高いので都合が良い。
【0019】
【作用】
前記2つの構成によれば、それぞれきわめて薄い数百〜数十ナノメータレベルの膜厚のフッ化炭素系化学吸着膜を、衣類の汗で濡れやすい部分である脇部や襟首や袖口部の繊維や縫い糸表面に選択的に結合形成できるため、脇部や襟首や袖口部に部分的に処理しても色調や光沢ムラが発生しない。また、処理部分での風合や通気性も確保され、非吸水性となる。さらに、全体を処理したものに比べ着用時ほとんど違和感がない。
【0020】
さらに、化学結合したフッ化炭素系単分子膜は数ナノメートルの膜厚であり、処理された繊維の風合いは全く損なわれない。また、きわめて撥油性に優れており、このように処理された部分は、たとえ汗や油脂(いわゆる垢)が付着しても洗濯機による丸洗いのみで容易に除去できる作用がある。また、このフッ化炭素系被膜は繊維表面に共有結合しているためドライクリーニングにもよく耐え、対洗濯耐久性にも優れている。
なお、繊維製品の場合、あらかじめ布地で要所を撥水防汚処理してから縫製しても良いが、縫製後選択的に処理する方法では、縫い目の糸も同時に処理できて好都合である。
【0021】
【実施例】
本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0022】
本発明に関する衣類として、例えばブルーのカッターシャツ、ブラウス、ワンピース、ドレス、ウエディングドレス、スキーウエア、レインコート、スポーツウエア、白衣、スーツ、呉服などがあるが、以下に、代表例として木綿とポリエステルを混紡したブルーのカッターシャツおよび木綿製のピンクのブラウスを取り上げ順に説明する。
【0023】
参考例1
まず、縫製加工の終了した木綿繊維とポリエステル繊維を混紡(木綿:ポリエステル重量比=60:40)したカッターシャツ1を用意し(図1)、よく乾燥した。次に、フッ化炭素基及びクロロシリル基を含む化学吸着剤、例えばCF(CF27(CH22SiCl3を1重量%程度の濃度で非水系溶媒:アフルード(旭ガラス製、フッ素系溶媒)に溶かして化学吸着溶液(以下吸着溶液という)とした。この吸着溶液を、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以下が好ましかった。)で前記カッターシャツの両脇部2と襟部3と両袖口4に塗布し、溶媒を蒸発させると、布地および縫い糸の木綿繊維5表面は水酸基6が多数含まれているので(図2(a))、前記化学吸着剤のSiCl基と前記木綿の水酸基が反応し、脱塩酸反応が生じ木綿繊維表面全面に亘り、下記式(化1)に示す結合が生成さる。そこで、未反応の化学吸着剤をトルエン溶媒(繊維を痛めず、未反応の化学吸着剤を溶解できるものならどのような溶媒でも使用可能である)で洗浄除去すると、フッ素を含む化学吸着単分子膜7が木綿繊維の表面被うように化学結合した状態で約1ナノメータの膜厚で形成された。
【0024】
【化1】
Figure 0004071616
【0025】
この処理部は、未処理部分と比べても色合いや肌触りは変わらなかったが、水滴が玉となって転げ落ちる程度の撥水撥油性となった(図2(b))。
つぎに同様の方法で、このカッターシャツの右側脇部分のみを選択的に処理したカッターシャツを着用し、脇に汗をかき、脇部分が汗で濡れるまで炎天下で激しく運動した。このとき、上記処理をしなかった左側は、脇部分が濡れて色合いがダークブルーになったが、処理した側は、非吸水性となりブルーのままで色調や光沢に変化は見られなかった。また、処理した側は通気性も保たれており、水蒸気は繊維の隙間を透過するので、汗による不快感も処理してない側と同程度あるいはそれ以下であった。
【0026】
なお、この化学吸着膜はきわめて強固に化学結合しているので1000回洗濯してもまた、30回のドライクリーニングを行っても処理効果に劣化は殆ど見られなかつた。
【0027】
上記参考例では縫製後のカッターシャツを例に示したが、縫製前に脇部や襟首部、袖口部になる部分の布を処理しておいても、縫い糸部分を除けば同様の効果が得られることは言うまでもない。また、化学吸着剤の濃度を0.5〜3%程度にしておくと、トルエン溶媒で洗浄除去する工程を省き、有機溶媒を蒸発させるだけでも、実用上、色調や光沢、風合いに問題がない(ムラが認められない)レベルのシャツを製造できた。
【0028】
実施例
まず、縫製加工の終了した木綿繊維のピンクのブラウス8を用意し、よく乾燥した。次に、フッ化炭素基及びアルコキシシリル基を含む化学吸着剤として、例えば、CF(CF(CHSi(Si(OC)を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナート;市販品では、日東化成(株)のネオスタンu−220等がある)を1重量%となるようそれぞれ秤量調整し、あらかじめ混合物としたものをシリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に2重量%程度の濃度(好ましくい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)に溶かして化学吸着液とした。この吸着液を、普通の空気中で(相対湿度47%)で前記カッターシャツと同様に脇部と襟部と袖ロに塗布し、1時間反応させた後、溶媒を蒸発させた。このとき、布地の木綿繊維表面は水酸基9が多数含まれているので、前記化学吸着剤のSi(OC)基と前記木綿の水酸基がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱COH)反応し、さらに、繊維表面の未反応の同化学吸着剤も空気中の水分と脱アルコール反応して、木綿繊維表面全面に亘り表面と化学結合したポリマー状のフッ素を含む化学吸着膜10が約15〜100ナノメートルの膜厚で形成された(図3)。
なお、溶媒を完全に蒸発させる前に、有機溶剤で洗浄すると実施例1と同様に、ナノメートルレベルの膜厚の化学吸着単分子膜を形成できた。
【0029】
この処理部も参考例1と同様に、被膜がナノメートルレベルの膜厚で極めて薄いため、色合い、肌触りはほとんど変わらなかったが、水滴が玉となって転げ落ちる程度の撥水撥油性となった。
また、着心地や着用時の汗に対する変色や違和感も参考例1と同様に見られなかった。
この方法の特徴は、参考例1に比べ、乾燥雰囲気を必要としないことであり、量産性に優れている。また、脱塩酸反応ではなく、脱アルコール反応であるため、生地を全く傷めない。
【0030】
なお、上記参考例、実施例では、フッ化炭素系界面活性剤としてCF(CF(CHSiClやCF(CF(CHSi(OCを用いたが、上記のもの以外にも下記(1)〜(12)などが利用できた。
(1) CFCHO(CH)15SiCl
(2) CF(CH)Si(CH)(CH)15SiCl
(3) F(CF)(CH)Si(CH)(CH)SiCl
(4) F(CF)(CF)Si(CH)(CH)SiCl
(5) CFCOO(CH)15SiCl
(6) CF(CF)(CH)SiCl
(7) CFCHO(CH)15Si(OC)
(8) CF(CH)Si(CH)(CH)15Si(OC)
(9) F(CF)(CH)Si(CH)(CH)Si(OC)
(10) F(CF)(CF)Si(CH)(CH)Si(OC)
(11) CFCOO(CH)15Si(OC)
(12) CF(CF)(CH)Si(OC)
また、シラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が水を含まないので都合が良いが、具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートが利用できた。
なお、上記参考例と実施例では、局部的な処理の例を示したが、レインコートやスキーウエア等は、全体で処理した方がよいことはいうまでもない。
また、上記参考例と実施例では、布地繊維および/または縫い糸の耐汗防汚処理の対象部分をもつ衣類を例として説明したが、本発明は、衣類以外のはきもの、かばん、リュックサック、帽子、手袋等、縫い目を有する布地で製作された繊維製品全てに適用できることは言うまでもない。さらにまた、布地の段階で要所要所を処理しておいても良いことは言うまでない。
【0031】
比較例1
一般に市販されているスプレー式フッ素系撥水剤(アサヒガード)を脇部や襟首部、袖口部に選択的に吹きつけ、撥水処理を行った。
この場合、衣類の色調や光沢、風合いが目立たないくらい薄く塗布すると、撥水性が悪く、汗を吸って布地の色調が変化し、耐汗性はほとんど無かった。また、1回のドライクリーニングにも全く耐えられなかった。
一方、布地が完全に撥水処理液で濡れる程度までかなり厚く塗布すると、塗布部分で衣類の色調や光沢が損なわれ、特に、塗布部分と未塗布部分で風合いにムラができてしまった。また、1回のドライクリーニングでかなり撥水性が劣化した。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、きわめて薄いナノメータレベルの膜厚のフッ化炭素系化学吸着膜を、衣類等の繊維製品の要所要所に選択的に形成できるため、脇部や襟首部、袖口部等に部分的に処理しても処理部と未処理部で色調や光沢ムラが発生しない。また、着用時汗をかいて脇の下が濡れても、繊維は全く濡れず色調変化は生じず、かつ処理部分での風合や通気性も確保される。また、襟首部、裾部、袖口部の汚れも手もみ洗いを必要とせず洗濯機のみで簡単に落ちる。さらに、全体を処理したものに比べ着用時ほとんど違和感がないという極めて高機能の衣類等の耐汗防汚性繊維製品を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な例であるカッターシャツの図である。
【図2】本発明の第一の実施例の木綿繊維表面を分子レベルまで拡大した断面概念図である。
【図3】本発明の第二の実施例の木綿繊維表面を分子レベルまで拡大した断面概念図である。
【符号の説明】
1 ブルーのカッターシャツ
2 脇部
3 衿首
4 袖口
5 木綿繊維
6 水酸基
7 フッ素系化学吸着単分子膜
8 ピンクのブラウス
9 水酸基
10 ポリマー状のフッ素を含む化学吸着膜

Claims (4)

  1. 繊維製品である衣類の脇部、襟部、裾部および/または袖口部表面が数百〜数十ナノメートルの膜厚のフッ素を含む単層構成の化学吸着膜で覆われていることを特徴とする耐汗防汚性繊維製品。
  2. フッ素を含む単層構成の化学吸着膜が、フッ素を含むアルコキシシラン化合物反応させて形成された被膜であることを特徴とする請求項1の耐汗防汚性繊維製品。
  3. フッ素を含む単層構成の化学吸着膜が、少なくともシロキサン結合を介して上記脇部、襟部、裾部および/または袖口部の布地繊維および/または縫い糸表面に結合形成された膜で構成されている請求項1または2の耐汗防汚性繊維製品。
  4. 繊維製品である衣類の脇部、襟部、裾部および/または袖口部に、普通の空気中で、フッ素を含むアルコキシシラン化合物とシラノール縮合触媒と非水系の有機溶媒を混合して作成した化学吸着液を塗布して数百〜数十ナノメートルの膜厚のフッ素を含む単層構成の化学吸着膜を形成する工程を含むことを特徴とする耐汗防汚性繊維製品の製造方法。
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