JP2024528788A - 新規の難燃剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、難燃剤、この難燃剤を含むプラスチック組成物、ポリリン酸塩に関する。【解決手段】 ポリリン酸塩を含む難燃剤であって、前記ポリリン酸塩は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを有し、前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のうちの1種はメラミンである難燃剤において、前記難燃剤が、メラミンの縮合生成物の少なくとも1種を含むようにする。

Description

本発明は、難燃剤、この難燃剤を含むプラスチック組成物、及び、ポリリン酸塩に関する。
プラスチックに防炎性を付与するために、多数の物質が知られており、それらの物質は単独で使用することも、同様の防炎性又は相乗的な防炎性を付与する更なる物質と組み合わせて使用することもできる。
例えば、そのような用途に1,3,5‐トリアジン化合物のポリリン酸塩を使用することは従来技術から知られている。これらの化合物は、プラスチック押出により、特に(ガラス繊維含有・非含有の)ポリアミドやポリエステルに組み込まれ、通常は射出成形、つまり高温で加工される。
このような1,3,5‐トリアジン化合物のポリリン酸塩としては、特許文献1により、平均縮合度(数平均)が20より高く、リン酸に対するトリアジン化合物の分子比率が1.1未満のものが知られている。
特許文献2には、リンと硫黄と酸素とを含むポリ酸の1,3,5-トリアジン誘導体、並びにそれらの製造方法が記載されている。開示されたトリアジンポリリン酸塩誘導体における1,3,5-トリアジン化合物のリンに対する比率は1.1より高い。
特許文献3にも、1,3,5‐トリアジン化合物のポリリン酸塩が記載されている。この塩は、メラミン、メラム、メレム、メロン、アンメリン、アンメリド、2‐ウレイドメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、及びジアミノフェニルトリアジンからなる群から選択されるトリアジン化合物の1,3,5‐トリアジン含有量が、リン原子1モル当たり1.1~2.0モルである。
従来技術から知られているこれらのポリリン酸塩は、一般に、保護すべき組成物に組み込んだ場合、中程度の難燃効果しか達成しない。また、これらのリン酸塩は時間の経過に伴い材料から移出する傾向がある。これにより、防炎効果が更に下がるだけでなく、その放出は、特に家庭用用途では健康面でのリスクも伴う。更に、押出機を使用する特に250℃を超える温度での製品加工により、難燃剤が分解したり、押し出された材料の表面が粗くなったりする。この影響は、難燃剤がガラス繊維強化プラスチックに組み込まれた際に、特に顕著となる。主となる難燃剤や充填剤に加えて、更なる相乗的な難燃剤、例えばジエチルホスフィン酸アルミニウム等のホスフィン酸塩系の生成物が含まれる場合には、特に加工が困難となる。
国際公開WO00/02869号 欧州特許第0974588号明細書 欧州特許第1095030号明細書
従って、これを考慮して、本発明の目的は、好ましくはハロゲンフリーで、環境に優しく、特にリサイクル可能な、上述のタイプのポリリン酸塩系の難燃剤を提供することであって、該難燃剤は、従来技術で知られている難燃剤と同様の、又はそれよりも優れた防炎特性を有し、更に移出傾向が低いため、特にポリマー材料に対して、耐久性があり無害な防炎を達成することができる。更に、本発明は、たとえ多段階加工や高温であっても、難燃剤を含有するポリマー材料の無制限の加工性を確保することを目的とする。
この目的は、請求項1に記載に難燃剤により達成される。
本発明に係る難燃剤は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを含む少なくとも1種のポリリン酸塩を含み、これらの1,3,5‐トリアジン化合物の1種はメラミンであることを特徴とする。従って、これは1,3,5‐トリアジン化合物のポリリン酸塩である。好ましくは、ポリリン酸塩は、2種以上の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを含む。ポリリン酸塩の「少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオン」は、プロトン化により得られる(1又は複数種の)1,3,5‐トリアジン化合物の対応するカチオンであることが好ましい。一般に、これらは、メラミン、メラム、又はメレム等の、主にアミノ基を含む(1又は複数種の)1,3,5‐トリアジン化合物の対応するアンモニウムイオンである。
本発明によると、難燃剤は、更に、メラミンの縮合生成物の少なくとも1種、すなわち、1種以上の縮合生成物を含む。
メラミンの「縮合生成物」という用語は、2つ以上のメラミン分子の縮合反応により形成された分子を指し、メラミン分子としては、メラム、メレム、又は、メロン等が挙げられる。この用語は、これらの化合物のプロトン化形態、すなわち、プロトン化によって得られる対応するカチオンも包含する。
本発明の好ましい実施形態では、本発明に係る難燃剤は、メラミンの縮合生成物のカチオン形態を有し、このカチオンは、好ましくは該ポリリン酸塩のカチオンであり、すなわち、該ポリリン酸塩の前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物の他の1種の1,3,5‐トリアジン化合物である。従って、ポリリン酸塩は、メラミンのカチオンと、メラム等のメラミンの縮合生成物とを少なくとも含む。この場合、難燃剤は、ポリリン酸塩のみからなってもよい。このようなポリリン酸塩は、調整時にメラミンの縮合生成物を付加することにより得ることができる。
他の実施形態においては、難燃剤は、その含有するメラミンの縮合生成物がポリリン酸塩に結合したカチオンの形態である場合、更に他の成分を含んでいてもよい。
しかしながら、縮合生成物は、ポリリン酸塩への追加成分として難燃剤中に存在してもよく、その結果、難燃剤は、ポリリン酸塩とメラミンの縮合生成物の双方と、必要に応じて更なる成分とを含む組成物となる。このような組成物において、縮合生成物は、前記ポリリン酸塩以外の塩の非イオン形態で、及び/又はカチオンとして存在してもよい。
もちろん、難燃剤は、上記の実施形態の組み合わせたものも構成してもよい。すなわち、ポリリン酸塩のカチオンの1種がメラミンの縮合生成物のプロトン化形態であり、難燃剤は、追加成分として、別の塩の非イオン形態で、及び/又はカチオンとして、メラミンの縮合生成物の少なくとも1種を含む。
本発明に係る難燃剤のポリリン酸塩は、以下の一般式によって簡略化して表すことができる。
Figure 2024528788000001
ここで、「Tx」は少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物を表し、「n」は平均縮合度を示す。ポリリン酸塩の鎖末端(上記の構造式では‐H又は‐OHによって形成される)は、1,3,5‐トリアジン化合物によって形成されてもよい。
本発明者らは、メラミンのカチオンとメラミンの縮合生成物の少なくとも1種とを含む本発明に係るポリリン酸塩の組み合わせが、特に顕著な防炎特性を示すことを確認することができた。更に、ポリリン酸塩の移出挙動は、そのような組み合わせによって有利な影響を受け、すなわち、ポリリン酸塩が保護すべき材料、特にポリマー材料から洗い流される程度はかなり少なくなる。
この理論に限定するものではないが、本発明者らは、メラミンの縮合生成物が水素橋結合を介してポリリン酸塩の個々の高分子間を互いに架橋していると推測しており、すなわち、より巨大な超分子凝集体であって、材料からの移出がより著しく困難な凝集体が分子間相互作用により形成されるものと推測している。従って、難燃剤が保護対象のマトリックス材料内に組み込まれる又は当該材料上に塗布された際に、縮合生成物が一種の「超分子架橋剤」として作用することにより、マトリックス材料内又は上での難燃性ポリリン酸塩の固定を強化する。
メラミンの縮合生成物の少なくとも1種は、更にポリリン酸塩を安定化する。例えば、前述のホスフィン酸アルミニウム等の酸性難燃剤との相乗的な組み合わせにおいては、酸塩基交換反応が起こらない。そのため、押出加工で一般的な高温下でも、これらの組み合わせはポリリン酸塩の分解を伴うことなく使用可能である。
一方、純粋なポリリン酸メラミンでは、最初の工程で、メラミンカチオンをより酸性のアルミニウムカチオンに置き換えることができる。その後、該当する場合、メラミンは昇華してホスフィン酸を放出することもある。
更に、縮合メラミン誘導体は分解温度がより著しく高く(600℃を超える)、プラスチック加工中においてメラミン(分解温度は350℃を超える)よりも安定する。
従って、本発明に係る難燃剤は、複数の加工段階にわたる高温での加工中であっても、プラスチックの無制限の加工性を保証する。
防炎プラスチックは、(押出加工、射出成形等の)バリューチェーン内で何度も再形成及び加工がなされるが、プラスチックの物理的特性はまったく変化しないか、ごくわずかしか変化しない。
更に、本発明に係る難燃剤を含むプラスチックは、有毒な及び/又はほぼ非生分解性の難燃剤を不要とすることが可能となり、プラスチックの循環経済を目的としたリサイクルにも非常に適している。
特に好ましくは、メラミンの縮合生成物の少なくとも1種は、ポリリン酸塩のカチオンの1種として難燃剤中に含まれ、言い換えると、前記メラミンの縮合生成物は、前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物の1種であり、そのカチオンが前記ポリリン酸塩に含まれる。
このようなポリリン酸塩は、以下の構造式により表すことができる。
Figure 2024528788000002
ここで、「Tx1」はメラミン、「Tx2」はメラム等のメラミンの縮合生成物である。ポリリン酸塩の鎖末端(上記の構造式では‐H又は‐OHによって形成される)は、1,3,5‐トリアジン化合物によって形成されてもよい。メラムのプロトン化形態の想定される共鳴構造、つまり想定されるTx2+の1種を以下に示す。
Figure 2024528788000003
メレムのプロトン化形態の想定される共鳴構造、つまり想定されるTx2+の1種を以下に示す。
Figure 2024528788000004
メラミンの縮合生成物がポリリン酸塩のカチオンの1種である実施形態では、本発明に係る効果は特に顕著である。この理論に限定するものではないが、本発明者らは、この場合、ポリリン酸塩の高分子の少なくとも1つに対する結合が既に存在しており、その結合により、ポリリン酸塩の更なる高分子群による超分子凝集体がより容易に形成可能となり、加工中の安定性が増すものと推測する。
本発明の特に好適な実施形態においては、難燃剤は、ポリリン酸塩のメラミンのカチオンの物質量に対して、最小含有量の縮合生成物の物資量を有する。
難燃剤に含まれるメラミンのカチオンの物質量をXとし、難燃剤に含まれるメラミンの縮合生成物の(例えば、ポリリン酸塩のカチオンとしての)物質量をYとする。その結果、これらの2種の成分の合計はX+Yから得られる。この合計における縮合生成物の物質量の割合は、好ましくは少なくとも0.1%であり、言い換えると、Y/(X+Y)≧0.001となる。
より好ましくは、Yの物質量の割合は、少なくとも1%であり、より好ましくは少なくとも2%であり、特に好ましくは少なくとも3%であり、更により好ましくは少なくとも5%であり、最も好ましくは少なくとも10%である。
好ましくは、Yの物質量の割合は、多くとも50%であり、より好ましくは多くとも20%であり、特に好ましくは多くとも15%であり、更により好ましくは多くとも12%であり、最も好ましくは多くとも10%である。
Yの物質量の割合は、好ましくは0.1~20%の範囲であり、より好ましくは1~15%の範囲であり、更により好ましくは2~12%の範囲であり、最も好ましくは多くとも5~10%の範囲内である。
ポリリン酸塩の平均縮合度nは、好ましくは少なくとも10であり、より好ましくは少なくとも20であり、更により好ましくは少なくとも50であり、最も好ましくは少なくとも100である。縮合度が高い程、その結果、ポリリン酸塩と縮合生成物とがより大きな凝集体を生成し、ポリリン酸塩の移出傾向が更に減少することとなるため、本発明に係る効果を高める。
ポリリン酸塩の平均縮合度nは、既知の手法、例えば、NMR分光法を用いる手法(J.Am.Chem.Soc.78、5715(1956))に従って求めることができる。
平均縮合度は、ポリリン酸塩の平均鎖長と言うこともできる。
メラミンの縮合生成物は、好ましくはメラム、メレム、及び、メロンからなる群よりなる群から選択される。メラムは、その直鎖構造によりポリリン酸塩の高分子間を結合することに特に適しており、それ故に特に好ましい。
ポリリン酸塩を含む難燃剤の10重量%水性スラリーは、25℃のpH値が5以上であることが好ましい。本発明に係る難燃剤の10重量%水性スラリーにおけるpH値は、難燃剤25gと25℃の純水225gを容器中で撹拌し、生成された水性懸濁液のpH値をpH測定器又は指示紙等の従来の手段を使用して測定することにより求められる。特に好ましくは、pH値は、5~10の範囲であり、より好ましくは5~8の範囲であり、最も好ましくは5~7の範囲である。
本発明に係る難燃剤のポリリン酸塩の10重量%水性スラリーは、25℃のpH値が5以上であることが好ましい。特に好ましくは、pH値は、5~10の範囲であり、より好ましくは5~8の範囲であり、最も好ましくは5~7の範囲である。
難燃剤及び/又はポリリン酸塩のpH値が上記範囲にあることにより、保護すべきマトリックス材料及び該材料に含まれる相乗的難燃剤との相互作用が可能な限り低く保たれる。その結果、難燃剤は、様々な異なるマトリックス材料、特にpH感受性のマトリックス材料に使用することが可能となる。
防炎活性、特に加工中の難燃剤の安定性は、ポリリン酸塩のリンの物質量に対する、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物の物質量と縮合生成物の物質量の合計の物質量比率をコントロールすることにより、改善することが可能である。この比率は、関連文献ではM/P比とも呼ばれる。少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物の物質量とメラミンの縮合生成物の物質量の合計には、プロトン化形態、例えばポリリン酸塩に結合したメラミンのプロトン化形態も加味される。
本発明者らは、M/P比が1.3以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下において、保護されたポリマー材料の特に良好な防炎特性及び優れた加工性が得られることを確認することができた。
本発明に係るポリリン酸塩は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを含むことのみを必要とするわけではなく、更なるカチオン、例えばアンモニウムイオンを含むこともできる。しかしながら、防炎効果を最大化するために、カチオンの大部分は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンから形成されることが好ましい。
特に好ましい実施形態においては、ポリリン酸塩のカチオンの物質量における、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンの物質量の割合は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは70%、非常に好ましくは80%以上であり、特に非常に好ましくは90%以上であり、最も好ましくは95%以上である。一実施形態では、ポリリン酸塩は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンのみを含む。
少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンにおける、メラミンのカチオンの物質量の割合は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更により好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
ポリリン酸塩がメラミンの縮合生成物のカチオンを含む限りにおいて、これらのカチオンの物質量のポリリン酸塩のカチオンの物質量に対する割合は、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、更に好ましくは15%以上であり、最も好ましくは20%以上である。
すでに述べたように、本発明に係るポリリン酸塩は、特に有利な移出挙動及び加工中の高い安定性を特徴とする。本発明に係る難燃剤は、水等の溶媒によっても、難燃剤が組み込まれたマトリックス材料から除去され得ないか、又は極めて少量しか除去されない。この効果は、本発明に係る難燃剤が極めて低い水溶解度を有する場合に特に顕著となる。これは、プラスチック製品、特に屋外エリアや室内の湿気が多い用途では最も重要である。
本発明に係る難燃剤の水溶解度は、好ましくは0.1g/100mL未満であり、より好ましくは0.05g/100mL以下である。ここで、水溶解度は、難燃剤の10重量%水性スラリーを25℃の水で調製し、24時間後に本発明に係る難燃剤がどれだけ水に溶解したかを測定することによって求められる。
本発明に係る難燃剤のポリリン酸塩の水溶解度は、好ましくは0.1g/100mL未満であり、より好ましくは0.05g/100mL以下である。
本発明に係る難燃剤は、その分解温度が例外的に高いことを特徴とする。分解温度は、熱重量分析(TGA:Thermogravimetric Analysis)により求めることができる。
本発明の好ましい実施形態においては、分解温度、すなわち、DSC測定において10K/minの加熱速度で2重量%の乾燥難燃剤の質量損失が起こる温度は、300℃より高く、特に好ましくは320℃より高く、更により好ましくは350℃より高い。
好ましくは、本発明に係る難燃剤のポリリン酸塩の分解温度、すなわちDSC測定において10K/minの加熱速度で2重量%の乾燥難燃剤の質量損失が起こる温度は、300℃より高く、特に好ましくは320℃より高く、更により好ましくは350℃より高い。
好ましい実施形態では、難燃剤は、少なくとも1種の更なる難燃成分を含有し、これは好ましくは窒素塩基、メラミン誘導体、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、有機及び無機ホスフィン酸塩、有機及び無機ホスホン酸塩、並びに前述の誘導体の中から選択される難燃成分であって、好ましくは、ポリリン酸アンモニウム、メラミンでコーティング及び/又はコーティング・架橋されたポリリン酸アンモニウム粒子、メラミン樹脂、メラミン誘導体、シラン、シロキサン、シリコーン、又はポリスチレンの中から選択され、同様に、メラミン、メラム、メレム、メロン、アンメリン、アンメリド、2‐ウレイドメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジアミンフェニルトリアジン、メラミン塩及び付加物、シアヌル酸メラミン、ホウ酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ポリリン酸メラミン、オリゴマー及びポリマーの1,3,5‐トリアジン化合物、及び1,3,5‐トリアジン化合物のポリリン酸塩を含む1,3,5‐トリアジン化合物や、グアニン、リン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン、リン酸エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ホウリン酸塩、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、1,3,5‐トリヒドロキシエチルイソシアヌレート、1,3,5‐トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及び、前述の化合物の誘導体から選択される難燃成分である。好ましい実施形態において、難燃剤は、更なる難燃成分がより良好に分散するための、ワックス、シリコーン、シロキサン、脂肪、又は鉱油を含む。
本発明に係る難燃剤は、更なるポリリン酸塩を含有してもよく、ポリリン酸塩は、好ましくは少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを含む。
更に、本発明の難燃剤には、無機顔料及び充填剤(TiO2、Al23、Ba2SO4等)が含まれていてもよい。特に好ましいのは、レーザー溶接、レーザーマーキング、又はレーザー構造化に使用される無機顔料である。例として挙げられるのは、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅等の銅塩、又は同様の薬剤である。
特に好ましくは、本発明に係る難燃剤は、ホスフィン酸塩、ジエチルホスフィン酸アルミニウム等のジホスフィン酸塩、ホウ酸亜鉛、及びリン酸亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
好ましい実施形態では、難燃剤におけるポリリン酸塩と少なくとも1種の更なる難燃成分との比率は、1:18~1:4であり、より好ましくは1:9~1:2であり、更により好ましくは1:6~1:1.5であり、特に好ましくは1:4~1:1.25である。
特に好ましくは、本発明に係る難燃剤は、ハロゲンフリーである。ここでの「ハロゲンフリー」という用語は、難燃剤の重量におけるハロゲンの重量割合が1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下であり、特に好ましくは0.2重量%以下であり、最も好ましくは0.1重量%以下であることを意味する。
本発明の好ましい実施形態において、難燃剤のポリリン酸塩はハロゲンフリーであり、すなわち、そのハロゲン含有量が1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、最も好ましくは0.1重量%以下である。
本発明は、また、プラスチックマトリックスと、本発明に係る難燃剤とを含有するプラスチック組成物に関する。本発明における意味において、「マトリックス」という用語は、任意の材料を含み、特に、本発明に係る難燃剤を組み込むことができる、又は、本発明に係る難燃剤をコーティングとして塗布することができる、任意のプラスチック又は任意のプラスチック混合物を含む。「プラスチック」という用語は、50重量%以上、好ましくは、70重量%以上の高分子から成る材料を含むと理解される。
「高分子」という用語は、同一又は類似の構造単位、すなわち、構成繰り返し単位(IUPAC.Compendium of Chemical Terminology、2nd ed.(the“Gold Book”)、A.D.McNaught、A.Wilkinson、Blackwell Scientific Publications、Oxford(1997)、S.J.Chalk.ISBN0‐9678550‐9‐8)の1つ又は複数から構築される分子を指す。このような高分子は、10を超える繰り返し単位、好ましくは15を超える繰り返し単位を有する。モル質量は、好ましくは少なくとも3,000g/モル、より好ましくは少なくとも5,000g/モル、更により好ましくは少なくとも7,000g/モル、最も好ましくは少なくとも10,000g/モルである。
本発明に係る、好ましくはハロゲンフリーの難燃剤を含有するプラスチックは、使用後に循環に戻してリサイクルするのに非常に適している。ハロゲンがまったく含まれていない場合、又はハロゲンがほんの少ししか含まれていない場合に特にそうである。
本発明に係る難燃剤は、特に押出法におけるプラスチック組成物の製造に有利に使用できることが明らかにされている。本発明に係る難燃剤は、異なるプラスチックマトリックスに加工特性に大きな影響を与えることなく、これらの方法で容易に組み込むことができる。本発明に係る難燃剤を使用する場合、加工後のプラスチックマトリックスの熱的及び機械的特性もほとんど影響を受けない。
難燃剤が使用可能なプラスチックマトリックスは、好ましくは、充填及び非充填のビニルポリマー、オレフィンコポリマー、オレフィン系の熱可塑性エラストマー、オレフィン系の架橋熱可塑性エラストマー、ポリウレタン、充填及び非充填のポリエステル及びコポリエステル、スチレンブロックコポリマー、充填及び非充填ポリアミド及びコポリアミド、コポリカーボン、及びポリ(メタ)アクリレートの中から選択される。ポリメタクリレート及びポリアクリレートでの使用が特に好ましく、ポリメチルメタクリレートでの使用が最も好ましい。この点に関し、本発明に係る難燃剤の添加により透明なポリメタクリレート又はポリアクリレートが得られることは特に有利である。
しかしながら、原則的に、本発明に係る難燃剤は、全てのプラスチックマトリックスに使用することができる。これら難燃剤は、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、SEES、SEPS、SEEPS、MBS等のスチレンブロック共重合体、ポリウレタン(PU)の特に硬質及び軟質PUフォーム、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリロニトリルスチレンアクリルエステル(ASA)、ポリカーボネート、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン酸塩、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレア、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、シリコーン、ポリシロキサン、フェノール樹脂、ポリ(イミド)、ビスマレイミドトリアジン、熱可塑性エラストマー(TPEs)、熱可塑性ウレタン系エラストマー(TPU‐U)、熱可塑性ポリウレタン、コポリマー、ゴム、及び/又は前述のポリマーの混合物に適している。
本発明に係る難燃剤は、特に高温で加工される、例えば、ポリアミド又はポリエステルといったプラスチックマトリックスにおける使用に特に適しており、PA6.6又はPA6における使用、若しくは、ポリアミド4.6、半芳香族ポリアミド、及びポリアミド12等の高温ポリアミドにおける使用が特に好ましい。本発明に係る難燃剤は熱安定性が高いため、そのようなプラスチックにも使用することができる。特にガラス繊維強化PA6、PA66であるガラス繊維強化された工業用プラスチック、それらのガラス繊維強化混合物、及びガラス繊維強化PBTでの使用が特に好ましい。
好ましい実施形態では、プラスチックマトリックスは、充填又は非充填、及び/又は、強化されたポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、及びポリカーボネートの中から選択される。充填プラスチックマトリックスとは、1種以上の充填剤を含むプラスチックマトリックスを意味すると解され、特に、そのような充填剤は、特にアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物及び水酸化アルミニウムである金属水酸化物;特にナノ複合材料、ベントナイト、アルカリ土類金属ケイ酸塩及びアルカリ金属ケイ酸塩等のフィロケイ酸塩及び官能化フィロケイ酸塩であるケイ酸塩;特に炭酸カルシウムである炭酸塩;並びに、タルク、クレー、マイカ、シリカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、ガラス粒子及びガラスビーズ、木粉、セルロース粉末、煤、グラファイト、ベーマイト及び染料からなる群から選択される。
列挙した充填剤の全ては、当業者に既知の充填剤の従来の形態及びサイズの状態でよく、ナノスケールの形態、すなわち、約1~約200nmの範囲の平均直径を有する粒子でもよく、プラスチック組成物において使用できる。
プラスチック組成物を強化し、その機械的安定性を高めるために、ガラス繊維を充填剤として添加することが好ましい。
好ましい実施形態では、難燃剤は、難燃剤を含むプラスチック組成物の総重量に対して1~40重量%、好ましくは1~30重量%、特に好ましくは1~25重量%の量で導入される。
これらの量比率とすると、良好な防炎効果をもたらすと同時に、加工中及び使用中の両方における、プラスチックマトリックスの特性、特に機械的特性及び熱的寸法安定性に関する特性の大幅な変化を防ぐ。
難燃剤は、様々な方法で、保護すべきマトリックス材料、特に、プラスチックマトリックス材料に導入することができる。まず第一に、難燃剤は、成形プロセスにおいて組み入れることができる。例えば、プラスチックマトリックス材料が押出加工される場合、難燃剤は、押出プロセスにおいて、例えば、容易に投入可能な粉末ブレンドとして、顆粒として、又はマスターバッチにより供給することができる。本発明における意味において、マスターバッチは、顆粒又は粉末の形態のポリマー材料であり、難燃剤、及び、場合により更なる添加剤をそれぞれ最終用途における濃度よりも高い濃度で含有するポリマー材料である。プラスチック組成物を調整するために、マスターバッチ又は様々なマスターバッチは、マスターバッチが含む難燃剤は含まないプラスチックマトリックス材料と、最終製品における難燃剤の濃度が所望のものとなるような量又は比率で組み合わされる。ペースト状、粉末状、又は液体状の様々な物質の添加と比較して、マスターバッチには、高レベルの加工安全性を保証し、加工及び投入に非常に適しているという利点がある。押出加工を通じて、難燃剤は、プラスチックマトリックス内に均等に分散される。
ポリマー材料への組成物の導入は、適切な分析技術、特にNMR分光法又はIR分光法によって確認することができる。
本発明はまた、請求項1~10、好ましくは請求項2~10に定義されるポリリン酸塩に関し、特に、少なくとも2種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを含むポリリン酸塩に関し、前記少なくとも2種の1,3,5‐トリアジン化合物のうちの1種がメラミンであり、前記少なくとも2種の1,3,5‐トリアジン化合物の他の1種はメラミンの縮合生成物、好ましくはメラムである。
本発明はまた、好ましくはメラミンのカチオンを含むポリリン酸塩の防炎効果、並びに/若しくは、安定性及び/又は加工性を高めるためのメラミンの縮合生成物の使用に関する。
本発明はまた、材料、特にプラスチック材料、好ましくは熱可塑性プラスチック材料に防炎性を付与するための本発明に係る難燃剤の使用に関する。
本発明はまた、本発明に係る難燃剤のコーティング材料としての使用にも関し、好ましくは木材、金属又はプラスチックマトリックス材料用のコーティング材料としての使用に関する。特に、いわゆる天然繊維強化プラスチック、好ましくは木材‐プラスチック複合材料、すなわち、木材繊維とプラスチックで作られた複合材料のための使用が好ましい。コーティングとは、形状のない材料の粘着層を被加工物の表面に塗布するDIN8580に準拠した方法を意味すると解される。
Figure 2024528788000005
測定方法
UL94試験
測定毎に、5つの試験片をクランプに垂直に取付け、その自由端をブンゼンバーナー炎に保持した。各試験片の下に配置したコットンボールを用いて燃料時間及び燃焼部分の落下を評価した。UL(Underwriter Laboratories)の規格UL94の仕様に従って、実験及びブンゼンバーナーの高さ2cm炎による接炎を正確に実施した。
結果として、防火クラスV‐0からV‐2の分類が得られる。これに関し、V‐0とは、試験した5つの試験片の合計燃焼時間が50秒未満であり、試験片の落下、焼鈍又は燃焼成分によってコットンボールが点火しなかったことを意味する。分類V‐1は、試験した5つの試験片の合計燃焼時間が50秒を超えたが、250秒未満であり、コットンボールが点火しなかったことを意味する。V‐2は、試験した5つの試験片の合計燃焼時間が250秒未満であり、5つの試験のうち少なくとも1つで試験片の成分の落下によりコットンボールが点火したことを意味する。略語NCは「分類不可」の略であり、250秒を超える合計燃焼時間が測定されたことを意味する。分類不能の多くの場合、試験片は完全に燃焼した。
熱重量分析
熱重量分析(TGA)は、同時熱重量測定‐示差走査熱量測定(STA/TG‐DSC:Simultaneous Thermogravimetry-Dynamic Differential Calorimetry)の装置(モデルSTA409 PC/3/H Luxx、Netzsch Geratebau GmbH社製)を使用して、窒素雰囲気下30℃~500℃の範囲で、10K/minの加熱速度で行った。試料の当初の重量は12~15mgであった。ソフトウェアNETZSCH Proteusを使用してTGA曲線を評価した。
pH値測定、導電率測定
pH値を欧州ISO787‐9に従って測定した。このため、本発明に係る難燃剤の10重量%懸濁液を、蒸留水(温度25℃)中で撹拌により調製した。各場合において、相等のバッチを2つ製造したが、測定されたpH値の差は0.3単位を超えることはなかった。pH値/導電率複合センサー(メトラー・トレド社製、SevenMulti S470 Excellence)を測定に使用し、上記の懸濁液の導電率もpH値と同時に測定できるようにした。
結合した1,3,5‐トリアジン化合物の測定
ポリリン酸塩に結合した各1,3,5-トリアジン化合物のイオン形態、すなわち、メラミン及びその同族体の含有量の測定は、HPLC-UVを用いて実施した。このため、まず、試料の対応する化合物の遊離部分を測定し、次に濃リン酸による加水分解後の全体部分を測定した。結合した1,3,5‐トリアジン化合物の含有量は、その差から求められる。加水分解を行うために、20~30mg(±0.1mg)のサンプルを100mlビーカー内の化学天秤に置き、85%リン酸で50.00gまで満たし、100℃で30分間保持した。物質は、2つの異なるカラム相、つまり「逆相」と「強カチオン交換体」におけるHPLC保持時間を測定することにより、波長230nmのUV範囲で同定した(以下の表を参照)。
Figure 2024528788000006
加工性、防炎結果の評価
加工性は、二軸押出機による押出中に、PA6に従来の加工剤と共に組み込むことによって測定した。粒径約3×1×1mmの顆粒を、Thermo Fisher Scientific社製の二軸押出機Model Process11を使用して、PA6の通常の押出条件下で製造した。押出プロセスは、約5kg/時間の処理量、300rpmのスクリュー速度、押出ゾーンを約280℃の温度として実行した。加工性を、特に発生する恐れのある不均一性及び気泡形成を含めて、顕微鏡検査によって評価した。その後のホットプレスにより、以下の表に示す防炎特性を備えたUL94準拠の複数の試験片が得られた。ジエチルホスフィン酸アルミニウムExolite OP1230の相乗的防炎混合物と本発明に係る難燃剤(重量比2:1)の重量割合はそれぞれ19%であった。
M/P比率の決定
M/P比を計算するための総リン含有量と窒素含有量は、以下に記載するように測定した。総リン含有量は、測光P25測定によって測定した。このため、マイクロ波システム内の密閉酸分解(65%硝酸)を用いて、最大出力1,000ワットで合計30分間、試料を加水分解した。測光測定は、試薬ブランク値に対して430nmで実行した。窒素の測定は滴定法により行った。このため、試料内でアンモニウムとして結合している窒素を、有機マトリックスの破壊により試料から分離した。酸化的な酸分解は、密閉分解装置(Turbosogを含む加熱バンク)内で沸騰させながら、濃硫酸を使用して実行される。このプロセスにおいて、有機物質が酸化的に破壊され、濃硫酸の還元によって生成されるSO2が除去される。アルカリ溶液を添加すると、窒素が、水蒸気の揮発性形態に変換され、選択的に蒸留除去されて、その容積が測定される。放出された量は、H2SO4による滴定によって測定される。
調製例
本発明に係る実施例I
撹拌機を備えた100リットルの反応器に50リットルの純水を満たした。その水に対し、19.9kgのオルトリン酸(85重量%H3PO4)を室温で撹拌しながら加えた。次に、絶えず撹拌しながら、20kgのメラミンと7.18kgのメラムを50℃でゆっくり加えた。添加後、温度を上昇することにより、混合物中の残留水分含量が0.1重量%以下になるまで過剰な水を蒸発した。次いで、得られたリン酸塩を310℃の温度に加熱することによりポリリン酸塩を形成する反応を起こした。
本発明に係る実施例II
撹拌機を備えた100リットルの反応器に50リットルの純水を満たした。その水に対し、16.2kgのオルトリン酸(85重量%H3PO4)を室温で撹拌しながら加えた。次に、絶えず撹拌しながら、20kgのメラミンと1.37kgのメラムを50℃でゆっくり加えた。添加後、温度を上昇することにより、混合物中の残留水分含量が0.1重量%以下になるまで過剰な水を蒸発した。次いで、得られたリン酸塩を310℃の温度に加熱することによりポリリン酸塩を形成する反応を起こした。
比較例
撹拌機を備えた100リットルの反応器に50リットルの純水を満たした。その水に対し、17.4kgのオルトリン酸(85重量%H3PO4)を室温で撹拌しながら加えた。次に、絶えず撹拌しながら、20kgのメラミンを50℃でゆっくり加えた。添加後、温度を上昇することにより、混合物中の残留水分含量が0.1重量%以下になるまで過剰な水を蒸発した。次いで、得られたリン酸塩を310℃の温度に加熱することによりポリリン酸塩を形成する反応を起こした。
得られた難燃剤は、以下の物質特性を有する。
Figure 2024528788000007

Claims (13)

  1. ポリリン酸塩を含む難燃剤であって、
    前記ポリリン酸塩は、少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンを有し、
    前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のうちの1種はメラミンである難燃剤において、
    前記難燃剤は、メラミンの縮合生成物の少なくとも1種を含むことを特徴とする難燃剤。
  2. 前記メラミンの縮合生成物の少なくとも1種は、前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のうちの1種であり、そのカチオンが前記ポリリン酸塩に含まれることを特徴とする請求項1に記載の難燃剤。
  3. 前記難燃剤におけるメラミンのカチオンの物質量をX、前記メラミンの縮合生成物の少なくとも1種の物質量をYとすると、
    物質量の合計X+YにおけるYの割合は、1%以上であり、好ましくは2%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃剤。
  4. 前記ポリリン酸塩の平均縮合度nは、10~500であり、好ましくは20~250であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の難燃剤。
  5. 前記メラミンの縮合生成物の少なくとも1種は、好ましくは、メラム、メレム、及び、メロンからなる群から選択され、好ましくはメラムであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の難燃剤。
  6. 前記難燃剤及び/又は前記ポリリン酸塩の10重量%スラリーの25℃の水中におけるpH値は5以上であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の難燃剤。
  7. 前記難燃剤において、リンに対する前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物の物質量と前記メラミンの縮合生成物の少なくとも1種の物質量の合計の物質量比率は1.3以下であり、好ましくは1.1以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の難燃剤。
  8. 前記少なくとも1種の1,3,5‐トリアジン化合物のカチオンが、前記ポリリン酸塩のカチオンの全体割合の90%以上を占めることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の難燃剤。
  9. 前記難燃剤及び/又は前記ポリリン酸塩の水溶解度は0.1g/100ml以下であり、好ましくは0.07g/100ml以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の難燃剤。
  10. 前記難燃剤及び/又は前記ポリリン酸塩の分解温度は320℃より高いことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の難燃剤。
  11. 追加成分として、ホスフィン酸塩、ジエチルホスフィン酸アルミニウム等のジホスフィン酸塩、ホウ酸亜鉛、及びリン酸亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の難燃剤。
  12. プラスチックマトリックスと、請求項1~11のいずれか一項に定義された難燃剤とを備えるプラスチック組成物。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に定義されたポリリン酸塩。
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