JP2024124473A - 化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】化合物を提供する。
【解決手段】式(EDM1)で表される化合物。
式(EDM1)中、RED1は酸無水物基を表し、LpED1は、n+1価の基を表し、上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、炭化水素基と-NRpED1-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-および-CONRpED1-から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた構造の基であり、RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、LpED2は-O-または-S-を表し、PED1は式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、nは1~4の整数を表す。

Description

本発明は、樹脂組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、樹脂および化合物に関する。
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。固体撮像素子には、カラーフィルタなどの顔料を含む膜が用いられている。カラーフィルタなどの色材を含む膜は、顔料と樹脂と溶剤とを含む樹脂組成物などを用いて製造されている。
例えば、特許文献1には、顔料、分散剤、バインダー樹脂、エポキシ化合物、および溶剤を含有する樹脂組成物であって、分散剤が、テトラカルボン酸無水物(b1)及びトリカルボン酸無水物(b2)から選ばれる一種以上の酸無水物(b)中の酸無水物基と水酸基含有化合物(a)中の水酸基とを反応させてなる、カルボキシ基を有するポリエステル部分X1’と、エチレン性不飽和単量体(c)をラジカル重合してなり、かつ熱架橋性官能基を有するビニル重合体部分X2’とを有し、熱架橋性官能基が、水酸基、オキセタン基、t-ブチル基、ブロックイソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である分散剤(X)を含有する樹脂組成物に関する発明が記載されている。
特開2016-170325号公報
顔料と樹脂と溶剤とを含む樹脂組成物においては、顔料の分散性が良好であることが好ましい。顔料の分散性が不十分であると、樹脂組成物中で顔料が凝集して粗大化したり、樹脂組成物の粘度が高くなり易い。また、製造直後の樹脂組成物の粘度は低くても、粘度が経時で増加することもある。
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載された樹脂組成物においても、顔料の分散性は十分ではなく、更なる改善の余地があることが分かった。
よって、本発明の目的は、顔料の分散性に優れた樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、樹脂組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。また、本発明の目的は、樹脂および化合物を提供することにある。
本発明の代表的な実施態様の例を以下に示す。
<1> 顔料を含む色材Aと、
樹脂Bと、
溶剤Cと、を含み、
上記樹脂Bは、式(1)で表される構造を含む樹脂b-1を含む、
樹脂組成物;
式(1)中、Xは4価の連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Lpはn+1価の連結基を表し、
Lpは2価の連結基を表し、
はポリマー鎖を表し、
nは1以上の整数を表す。
<2> 上記式(1)のLpが-O-または-S-である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 上記式(1)のXが芳香族炭化水素環を含む基である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 上記式(1)のXがフッ素原子及び芳香族炭化水素環を含む基である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5> 上記Pが表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、ポリエーテル構造およびポリエステル構造から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6> 上記Pが表すポリマー鎖は、式(P1-1)~式(P1-6)のいずれかで表される繰り返し単位を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物;
式中、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す;
G3は、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子またはヒドロキシメチル基を表す;
G1は、-O-または-NR-を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す;
G1は、単結合またはアリーレン基を表す;
G2は、単結合または2価の連結基を表す;
G4は、水素原子または置換基を表す;
G5は、水素原子またはメチル基を表し、RG6はアリール基を表す。
<7> RG4で示される置換基がエチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基、およびt-ブチル基から選ばれる少なくとも1種である、<6>に記載の樹脂組成物。
<8> 上記式(1)で表される構造が、式(1-1)で表される構造である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物;
式(1-1)中、Xは4価の連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Rp11は置換基を表し、m個のRp11は同一であってもよく、異なっていてもよく、
Lp11はn+1価の連結基を表し、
Lpは2価の連結基を表し、
はポリマー鎖を表し、
nは1以上の整数を表し、
mは0~4の整数を表す。
<9> 上記溶剤Cは、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤およびケトン系溶剤から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10> 上記色材Aは、ジケトピロロピロール顔料およびフタロシアニン顔料から選ばれる少なくとも1種を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<11> 更に重合性モノマーを含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<12> 更に光重合開始剤を含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を用いて得られる膜。
<14> <13>に記載の膜を有する光学フィルタ。
<15> <13>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<16> <13>に記載の膜を有する画像表示装置。
<17> 式(1)で表される構造を含む樹脂;
式(1)中、Xは4価の連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Lpはn+1価の連結基を表し、
Lpは2価の連結基を表し、
はポリマー鎖を表し、
nは1以上の整数を表す。
<18> 式(EDM1)で表される化合物;
式(EDM1)中、RED1は酸無水物基を表し、
LpED1は、n+1価の基を表し、上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、炭化水素基と-NRpED1-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-および-CONRpED1-から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた構造の基であり、
RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
LpED2は-O-または-S-を表し、
ED1は式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
nは1~4の整数を表す;
式(P1-1)~式(P1-4)中、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。
<19> 上記式(EDM1)で表される化合物は、式(EDM2)で表される化合物である、<18>に記載の化合物;
式(EDM2)中、RED12はハロゲン原子、アルキル基、カルボキシ基またはヒドロキシ基を表し、
LpED1aは、n+1価の基を表し、上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基であり、上記連結基は、-NRpED1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-または-CONRpED1であり、
RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
LpED2は-O-または-S-を表し、
ED1は上記式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
rは0~3の整数を表し、
nは1~4の整数を表す。
本発明によれば、顔料の分散性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、樹脂組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。また、樹脂および化合物を提供することができる。
以下、本発明の主要な実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、明示した実施形態に限られるものではない。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線又は放射線が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アリル基は、アリル及びメタリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、近赤外線とは、波長700~2500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は独立した工程だけを指すのではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本明細書において、名称の前、又は名称の後に付記される記号(例えば、Aなど)は、構成要素を区別するために使用する用語であり、構成要素の種類、構成要素の数、及び構成要素の優劣を制限するものではない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、顔料を含む色材Aと、樹脂Bと、溶剤Cと、を含み、上記樹脂Bは、式(1)で表される構造を含む樹脂b-1(以下、特定樹脂ともいう)を含むことを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、顔料の分散性に優れている。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、特定樹脂は、4価の連結基であるXに、アミド基(-C(=O)-NR21-、-C(=O)-NR22-)が結合している構造を有しているため、顔料表面への特定樹脂の吸着が促進され、また、この特定樹脂はポリマー鎖Pを有していることにより、このポリマー鎖Pが立体反発基となって顔料同士の凝集などを抑制でき、その結果、顔料の分散性に優れた樹脂組成物とすることができたと推測される。
また、本発明の樹脂組成物を用いることで、高温でも分解されにくく、高温での加熱処理後も膜収縮が生じにくい耐熱性に優れた膜を形成できる。このため、本発明の樹脂組成物を用いて膜を形成した後、得られた膜に対して高温(例えば300℃以上)の加熱処理を行っても、膜収縮を抑制して、膜上に無機膜などの他の膜などを形成した場合であっても、他の膜にクラックが発生することなどを抑制できる。このため、本発明の樹脂組成物によれば、膜を製造した後の工程のプロセスウインドウを広げることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて、200℃で30分間加熱して厚さ0.60μmの膜を形成した際に、上記膜を窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さは、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
また、上記膜を窒素雰囲気下にて350℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さは、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
また、上記膜を窒素雰囲気下にて400℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さは、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
上記物性は、用いる特定樹脂の種類や含有量を調整する等の方法により達成することができる。
また、本発明の樹脂組成物を用いて、200℃で30分間加熱して厚さ0.60μmの膜を形成した際に、上記膜を窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理したときに、加熱処理後の膜の下記式(A1)で表される吸光度の変化率ΔAは、50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましく、35%以下であることが特に好ましい。
ΔA(%)=|100-(A2/A1)×100| ・・・(A1)
ΔAは、加熱処理後の膜の吸光度の変化率であり、
A1は、加熱処理前の膜の波長400~1100nmの範囲における吸光度の最大値であり、
A2は、加熱処理後の膜の吸光度であって、加熱処理前の膜の波長400~1100nmの範囲における吸光度の最大値を示す波長での吸光度である。
上記物性は、用いる特定樹脂の種類や含有量を調整する等の方法により達成することができる。
また、本発明の樹脂組成物を用い、200℃で30分加熱して厚さ0.60μmの膜を形成した際に、上記膜の波長400~1100nmの範囲における吸光度の最大値を示す波長λ1と、上記膜を窒素雰囲気下にて、300℃で5時間加熱処理した後の膜の吸光度の最大値を示す波長λ2との差の絶対値は、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることが更に好ましい。
上記物性は、用いる特定樹脂の種類や含有量を調整する等の方法により達成することができる。
また、本発明の樹脂組成物を用い、200℃で30分加熱して厚さ0.60μmの膜を形成した際に、上記膜を窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理したとき、加熱処理後の膜の波長400~1100nmの範囲における吸光度の変化率ΔAλの最大値が30%以下であることが好ましく、27%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。なお、吸光度の変化率は、下記式(2)から算出される値である。
ΔAλ=|100-(A2λ/A1λ)×100| ・・・(2)
ΔAλは、加熱処理後の膜の波長λにおける吸光度の変化率であり、
A1λは、加熱処理前の膜の波長λにおける吸光度であり、
A2λは、加熱処理後の膜の波長λにおける吸光度である。
上記物性は、用いる特定樹脂の種類や含有量を調整する等の方法により達成することができる。
本発明の樹脂組成物は、光学フィルタ用の樹脂組成物として好ましく用いられる。光学フィルタとしては、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタなどが挙げられ、カラーフィルタであることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、固体撮像素子用の樹脂組成物として好ましく用いることができ、固体撮像素子に用いられる光学フィルタの画素形成用の樹脂組成物としてより好ましく用いることができる。
カラーフィルタとしては、特定の波長の光を透過させる着色画素を有するフィルタが挙げられ、赤色画素、青色画素、緑色画素、黄色画素、シアン色画素及びマゼンタ色画素から選ばれる少なくとも1種の着色画素を有するフィルタであることが好ましい。カラーフィルタは、有彩色色材を含む樹脂組成物を用いて形成することができる。
近赤外線カットフィルタとしては、極大吸収波長が波長700~1800nmの範囲に存在するフィルタが挙げられる。近赤外線カットフィルタの極大吸収波長は、波長700~1300nmの範囲に存在することが好ましく、波長700~1100nmの範囲に存在することがより好ましい。また、近赤外線カットフィルタの波長400~650nmの全範囲での透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長700~1800nmの範囲の少なくとも1点での透過率は20%以下であることが好ましい。また、近赤外線カットフィルタの極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比である吸光度Amax/吸光度A550は、20~500であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、70~450であることが更に好ましく、100~400であることが特に好ましい。近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収色材を含む樹脂組成物を用いて形成することができる。
近赤外線透過フィルタは、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタである。近赤外線透過フィルタは、可視光の少なくとも一部を遮光し、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタであることが好ましい。近赤外線透過フィルタとしては、波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である分光特性を満たしているフィルタなどが好ましく挙げられる。近赤外線透過フィルタは、以下の(1)~(5)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタであることが好ましい。
(1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(5):波長400~1050nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1200~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
本発明の樹脂組成物が備える分光特性の好ましい一態様としては、樹脂組成物を用いて厚さ5μmの膜を形成した際に、上記膜の厚み方向における光の透過率の波長360~700nmの範囲における最大値が50%以上である分光特性を満たしている態様が挙げられる。このような分光特性を満たしている樹脂組成物は、カラーフィルタの画素形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。具体的には、赤色画素、青色画素、緑色画素、黄色画素、シアン色画素及びマゼンタ色から選ばれる着色画素形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。
上記の分光特性を備える樹脂組成物は、有彩色色材を含むことが好ましい。例えば、赤色色材と黄色色材を含む樹脂組成物は、赤色画素形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。また、青色色材と紫色色材を含む樹脂組成物は、青色画素形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。また、緑色色材を含む樹脂組成物は、緑色またはシアン色画素形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。樹脂組成物を緑色画素形成用の樹脂組成物として用いる場合には、緑色色材のほかに更に黄色色材を含むことも好ましい。
本発明の樹脂組成物が備える分光特性の別の好ましい一態様としては、波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1500nmにおける吸光度Bとの比であるAmin/Bが5以上である分光特性を満たしている態様が挙げられる。このような分光特性を満たす樹脂組成物は、近赤外線透過フィルタ形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。上記の吸光度の比であるAmin/Bの値は、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。
ここで、波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(λ1)により定義される。
Aλ=-log(Tλ/100) ・・・(λ1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、組成物を用いて製膜した膜の値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法によって組成物を塗布し、ホットプレート等を用いて100℃、120秒間乾燥して得られた膜を用いて測定することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、以下の(Ir1)~(Ir5)のいずれかの分光特性を満たしていることが好ましい。
(Ir1):波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値A1と、波長800~1500nmの範囲における吸光度の最大値B1との比であるA1/B1の値は4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長750nmを超える光を透過させることができる膜を形成することができる。
(Ir2):波長400~750nmの範囲における吸光度の最小値A2と、波長900~1500nmの範囲における吸光度の最大値B2との比であるA2/B2の値は4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える光を透過させることができる膜を形成することができる。
(Ir3):波長400~830nmの範囲における吸光度の最小値A3と、波長1000~1500nmの範囲における吸光度の最大値B3との比であるA3/B3の値は4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~830nmの範囲の光を遮光して、波長950nmを超える光を透過させることができる膜を形成することができる。
(Ir4):波長400~950nmの範囲における吸光度の最小値A4と、波長1100~1500nmの範囲における吸光度の最大値B4との比であるA4/B4の値は4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1050nmを超える光を透過させることができる膜を形成することができる。
(Ir5):波長400~1050nmの範囲における吸光度の最小値A5と、波長1200~1500nmの範囲における吸光度の最大値B5との比であるA5/B5の値は4.5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~1050nmの範囲の光を遮光して、波長1150nmを超える光を透過させることができる膜を形成することができる。
本発明の樹脂組成物は、フォトリソグラフィ法でのパターン形成用の樹脂組成物であることも好ましい。この態様によれば、微細なサイズの画素を容易に形成することができる。このため、固体撮像素子に用いられる光学フィルタの画素形成用の樹脂組成物として特に好ましく用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合含有基を有する成分(例えば、エチレン性不飽和結合含有基を有する樹脂やエチレン性不飽和結合含有基を有するモノマー)と、光重合開始剤とを含有する樹脂組成物は、フォトリソグラフィ法でのパターン形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。フォトリソグラフィ法でのパターン形成用の樹脂組成物は、更にアルカリ可溶性樹脂を含むことも好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ブラックマトリクス形成用の樹脂組成物や遮光膜形成用の樹脂組成物として用いることもできる。
以下、本発明の樹脂組成物に用いられる各成分について説明する。
<色材A>
本発明の樹脂組成物は、色材A(以下、色材と記す)を含有する。色材としては白色色材、黒色色材、有彩色色材、近赤外線吸収色材が挙げられる。なお、本発明において、白色色材には純白色のみならず、白に近い明るい灰色(例えば灰白色、薄灰色など)の色材も含まれる。
色材は、有彩色色材、黒色色材、及び近赤外線吸収色材よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、有彩色色材及び近赤外線吸収色材よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、有彩色色材を含むことが更に好ましく、赤色色材、黄色色材、青色色材及び紫色色材よりなる群から選ばれた少なくとも1種の有彩色色材を含むことが更に好ましい。
また、色材は、有彩色色材及び近赤外線吸収色材を含むことも好ましく、2種以上の有彩色色材と近赤外線吸収色材とを含むことも好ましい。また、2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成していてもよい。また、色材は、黒色色材と近赤外線吸収色材とを含むことも好ましい。これらの態様によれば、本発明の樹脂組成物を、近赤外線透過フィルタ形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成する色材の組み合わせについては、特開2013-077009号公報、特開2014-130338号公報、国際公開第2015/166779号等を参照できる。
本発明の着色組成物に含まれる色材は、顔料を含むものが用いられる。顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよいが、カラーバリエーションの多さ、分散の容易性、安全性等の観点から有機顔料であることが好ましい。また、顔料は、有彩色顔料及び近赤外線吸収顔料から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、有彩色顔料を含むことがより好ましい。
また、顔料は、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ピロロピロール顔料、イソインドリン顔料及びキノフタロン顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましく、フタロシアニン顔料、ジケトピロロピロール顔料及びピロロピロール顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることがより好ましく、フタロシアニン顔料又はジケトピロロピロール顔料を含むものであることが更に好ましい。また、高温(例えば300℃以上)に加熱した後も分光特性が変動しにくい膜を形成しやすいという理由からフタロシアニン顔料は、中心金属を持たないフタロシアニン顔料や、中心金属として、銅又は亜鉛を有するフタロシアニン顔料が好ましい。
顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、樹脂組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
(有彩色色材)
有彩色色材としては、波長400~700nmの範囲に極大吸収波長を有する色材が挙げられる。例えば、黄色色材、オレンジ色色材、赤色色材、緑色色材、紫色色材、青色色材などが挙げられる。耐熱性の観点から有彩色色材は、顔料(有彩色顔料)であることが好ましく、赤色顔料、黄色顔料、及び青色顔料がより好ましく、赤色顔料及び青色顔料が更に好ましい。有彩色顔料の具体例としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),236(アミノケトン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,272,279,291,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系),297(アミノケトン系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63,64(フタロシアニン系),65(フタロシアニン系),66(フタロシアニン系)等(以上、緑色顔料)、
C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
これらの有彩色顔料のうち、高温(例えば300℃以上)に加熱した後も分光特性が変動しにくい膜を形成しやすいという理由から赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド177が好ましい。また、青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16が好ましい。
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物などを用いることもできる。
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載の化合物が挙げられる。
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6607427号公報に記載のキノフタロン化合物、韓国公開特許第10-2014-0034963号公報に記載の化合物、特開2017-095706号公報に記載の化合物、台湾特許出願公開第201920495号公報に記載の化合物、特許第6607427号公報に記載の化合物、特開2020-033521号公報に記載のキノフタロン二量体、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物を用いることもできる。また、これらの化合物を多量体化したものも、色価向上の観点から好ましく用いられる。
式(QP1)中、X~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
式(QP2)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つの臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号に記載の化合物、特許第6525101号に記載の化合物などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族炭化水素環に対して、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が結合した基が導入された芳香族炭化水素基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、式(DPP1)で表される化合物であることが好ましく、式(DPP2)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式中、R11及びR13はそれぞれ独立して置換基を表し、R12及びR14はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、n11及びn13はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、X12及びX14はそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、X12が酸素原子又は硫黄原子の場合は、m12は1を表し、X12が窒素原子の場合は、m12は2を表し、X14が酸素原子又は硫黄原子の場合は、m14は1を表し、X14が窒素原子の場合は、m14は2を表す。R11及びR13が表す置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、スルホキシド基、スルホ基などが好ましい具体例として挙げられる。
各種顔料が有していることが好ましい回折角については、特許第6561862号公報、特許第6413872号公報、特許第6281345号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
有彩色染料としては、ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。また、特開2019-073695号公報に記載のメチン染料、特開2019-073696号公報に記載のメチン染料、特開2019-073697号公報に記載のメチン染料、特開2019-073698号公報に記載のメチン染料を用いることもできる。
有彩色色材は、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、有彩色色材は、2種以上組み合わせて用いる場合、2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を形成していてもよい。そのような組み合わせとしては、例えば以下の(1)~(7)の態様が挙げられる。樹脂組成物中に有彩色色材を2種以上含み、かつ、2種以上の有彩色色材の組み合わせで黒色を呈している場合においては、本発明の樹脂組成物は、近赤外線透過フィルタ形成用の樹脂組成物として好ましく用いることができる。
(1)赤色色材と青色色材とを含有する態様。
(2)赤色色材と青色色材と黄色色材とを含有する態様。
(3)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
(4)赤色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材と緑色色材とを含有する態様。
(5)赤色色材と青色色材と黄色色材と緑色色材とを含有する態様。
(6)赤色色材と青色色材と緑色色材とを含有する態様。
(7)黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
(白色色材)
白色色材としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛などの無機顔料(白色顔料)が挙げられる。白色顔料は、チタン原子を有する粒子が好ましく、酸化チタンがより好ましい。また、白色顔料は、波長589nmの光に対する屈折率が2.10以上の粒子であることが好ましい。前述の屈折率は、2.10~3.00であることが好ましく、2.50~2.75であることがより好ましい。
また、白色顔料は「酸化チタン 物性と応用技術 清野学著 13~45ページ 1991年6月25日発行、技報堂出版発行」に記載の酸化チタンを用いることもできる。
白色顔料は、単一の無機物からなるものだけでなく、他の素材と複合させた粒子を用いてもよい。例えば、内部に空孔や他の素材を有する粒子、コア粒子に無機粒子を多数付着させた粒子、ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコア及びシェル複合粒子を用いることが好ましい。上記ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコア及びシェル複合粒子としては、例えば、特開2015-047520号公報の段落番号0012~0042の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
白色顔料は、中空無機粒子を用いることもできる。中空無機粒子とは、内部に空洞を有する構造の無機粒子であり、外殻に包囲された空洞を有する無機粒子のことを言う。中空無機粒子としては、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-164881号公報などに記載された中空無機粒子が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(黒色色材)
黒色色材としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、無機黒色色材としては、カーボンブラック、チタンブラック、グラファイト等の無機顔料(黒色顔料)が挙げられ、カーボンブラック、チタンブラックが好ましく、チタンブラックがより好ましい。チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子であり、低次酸化チタンや酸窒化チタンが好ましい。チタンブラックは、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラックの表面を被覆することが可能である。また、特開2007-302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。黒色顔料として、カラーインデックス(C.I.)Pigment Black 1,7等が挙げられる。チタンブラックは、個々の粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径のいずれもが小さいことが好ましい。具体的には、平均一次粒子径が10~45nmであることが好ましい。チタンブラックは、分散物として用いることもできる。例えば、チタンブラック粒子とシリカ粒子とを含み、分散物中のSi原子とTi原子との含有比が0.20~0.50の範囲に調整された分散物などが挙げられる。上記分散物については、特開2012-169556号公報の段落0020~0105の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M-C、13R-N、13M-T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
また、有機黒色色材として、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ化合物などが挙げられる。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、特開2017-226821号公報の段落番号0016~0020に記載の化合物、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平01-170601号公報、特開平02-034664号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。
本発明の樹脂組成物に用いられる色材は、上述した黒色色材のみであってもよく、有彩色色材を更に含むものであってもよい。この態様によれば、可視領域での遮光性に優れた膜を形成できる樹脂組成物が得られやすい。色材として黒色色材と有彩色色材とを併用する場合、両者の質量比は、黒色色材:有彩色色材=100:10~300であることが好ましく、100:20~200であることがより好ましい。また、上記黒色色材としては黒色顔料を用いることが好ましく、上記有彩色色材としては有彩色顔料を用いることが好ましい。
黒色色材と有彩色色材の好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(A-1)有機黒色色材と青色色材とを含有する態様。
(A-2)有機黒色色材と青色色材と黄色色材とを含有する態様。
(A-3)有機黒色色材と青色色材と黄色色材と赤色色材とを含有する態様。
(A-4)有機黒色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材とを含有する態様。
上記(A-1)の態様において、有機黒色色材と青色色材との質量比は、有機黒色色材:青色色材=100:1~70であることが好ましく、100:5~60であることがより好ましく、100:10~50であることが更に好ましい。
上記(A-2)の態様において、有機黒色色材と青色色材と黄色色材の質量比は、有機黒色色材:青色色材:黄色色材=100:10~90:10~90であることが好ましく、100:15~85:15~80であることがより好ましく、100:20~80:20~70であることが更に好ましい。
上記(A-3)の態様において、有機黒色色材と青色色材と黄色色材と赤色色材との質量比は、有機黒色色材:青色色材:黄色色材:赤色色材=100:20~150:1~60:10~100であることが好ましく、100:30~130:5~50:20~90であることがより好ましく、100:40~120:10~40:30~80であることが更に好ましい。
上記(A-4)の態様において、有機黒色色材と青色色材と黄色色材と紫色色材との質量比は、有機黒色色材:青色色材:黄色色材:紫色色材=100:20~150:1~60:10~100であることが好ましく、100:30~130:5~50:20~90であることがより好ましく、100:40~120:10~40:30~80であることが更に好ましい。
(近赤外線吸収色材)
近赤外線吸収色材は、顔料であることが好ましく、有機顔料であることがより好ましい。また、近赤外線吸収色材は、波長700nmを超え1400nm以下の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。また、近赤外線吸収色材の極大吸収波長は、1200nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、950nm以下であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収色材は、波長550nmにおける吸光度A550と極大吸収波長における吸光度Amaxとの比であるA550/Amaxが0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.03以下であることが更に好ましく、0.02以下であることが特に好ましい。下限は、特に限定はないが、例えば、0.0001以上とすることができ、0.0005以上とすることもできる。上述の吸光度の比が上記範囲であれば、可視光透明性及び近赤外線遮蔽性に優れた近赤外線吸収色材とすることができる。なお、本発明において、近赤外線吸収色材の極大吸収波長及び各波長における吸光度の値は、近赤外線吸収色材を含む樹脂組成物を用いて形成した膜の吸収スペクトルから求めた値である。
近赤外線吸収色材としては、特に限定はないが、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、イミニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物、ジベンゾフラノン化合物、ジチオレン金属錯体等が挙げられる。ピロロピロール化合物としては、特開2009-263614号公報の段落番号0016~0058に記載の化合物、特開2011-068731号公報の段落番号0037~0052に記載の化合物、国際公開第2015/166873号の段落番号0010~0033に記載の化合物などが挙げられる。スクアリリウム化合物としては、特開2011-208101号公報の段落番号0044~0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060~0061に記載の化合物、国際公開第2016/181987号の段落番号0040に記載の化合物、特開2015-176046号公報に記載の化合物、国際公開第2016/190162号の段落番号0072に記載の化合物、特開2016-074649号公報の段落番号0196~0228に記載の化合物、特開2017-067963号公報の段落番号0124に記載の化合物、国際公開第2017/135359号に記載の化合物、特開2017-114956号公報に記載の化合物、特許6197940号公報に記載の化合物、国際公開第2016/120166号に記載の化合物などが挙げられる。シアニン化合物としては、特開2009-108267号公報の段落番号0044~0045に記載の化合物、特開2002-194040号公報の段落番号0026~0030に記載の化合物、特開2015-172004号公報に記載の化合物、特開2015-172102号公報に記載の化合物、特開2008-088426号公報に記載の化合物、国際公開第2016/190162号の段落番号0090に記載の化合物、特開2017-031394号公報に記載の化合物などが挙げられる。クロコニウム化合物としては、特開2017-082029号公報に記載の化合物が挙げられる。イミニウム化合物としては、例えば、特表2008-528706号公報に記載の化合物、特開2012-012399号公報に記載の化合物、特開2007-092060号公報に記載の化合物、国際公開第2018/043564号の段落番号0048~0063に記載の化合物が挙げられる。フタロシアニン化合物としては、特開2012-077153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006-343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013-195480号公報の段落番号0013~0029に記載の化合物、特許第6081771号公報に記載のバナジウムフタロシアニン化合物、国際公開第2020/071470号に記載の化合物が挙げられる。ナフタロシアニン化合物としては、特開2012-077153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられる。ジチオレン金属錯体としては、特許第5733804号公報に記載の化合物が挙げられる。
近赤外線吸収色材としては、また、特開2017-197437号公報に記載のスクアリリウム化合物、特開2017-025311号公報に記載のスクアリリウム化合物、国際公開第2016/154782号に記載のスクアリリウム化合物、特許第5884953号公報に記載のスクアリリウム化合物、特許第6036689号公報に記載のスクアリリウム化合物、特許第5810604号公報に記載のスクアリリウム化合物、国際公開第2017/213047号の段落番号0090~0107に記載のスクアリリウム化合物、特開2018-054760号公報の段落番号0019~0075に記載のピロール環含有化合物、特開2018-040955号公報の段落番号0078~0082に記載のピロール環含有化合物、特開2018-002773号公報の段落番号0043~0069に記載のピロール環含有化合物、特開2018-041047号公報の段落番号0024~0086に記載のアミドα位に芳香環を有するスクアリリウム化合物、特開2017-179131号公報に記載のアミド連結型スクアリリウム化合物、特開2017-141215号公報に記載のピロールビス型スクアリリウム骨格又はクロコニウム骨格を有する化合物、特開2017-082029号公報に記載されたジヒドロカルバゾールビス型のスクアリリウム化合物、特開2017-068120号公報の段落番号0027~0114に記載の非対称型の化合物、特開2017-067963号公報に記載されたピロール環含有化合物(カルバゾール型)、特許第6251530号公報に記載されたフタロシアニン化合物、特開2013-077009号公報、特開2014-130338号公報、国際公開第2015/166779号に記載の色材、又は、これらの文献に記載の色材の組み合わせなどを用いることもできる。
樹脂組成物の全固形分中における色材の含有量は20~90質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、樹脂組成物の全固形分中における顔料の含有量は20~90質量%であることが好ましい。下限は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、色材中における染料の含有量は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、得られる膜を高温に加熱した際の膜厚変化をより効果的に抑制しやすいという理由から染料を実質的に含有しないことも好ましい。本発明の樹脂組成物が染料を実質的に含まない場合、本発明の樹脂組成物の全固形分中における染料の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
<樹脂B>
(特定樹脂(樹脂b-1))
本発明の樹脂組成物は樹脂B(以下、樹脂ともいう)を含む。樹脂組成物に含まれる樹脂は、式(1)で表される構造を含む樹脂b-1(以下、特定樹脂ともいう)を含む。特定樹脂は、本発明の樹脂でもある。
式(1)中、Xは4価の連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Lpはn+1価の連結基を表し、
Lpは2価の連結基を表し、
はポリマー鎖を表し、
nは1以上の整数を表す。
[n]
式(1)において、nは1以上の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
[X
式(1)において、Xが表す4価の連結基としては、炭化水素基を含む基であることが好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
上記炭化水素基を含む基としては、炭化水素基、2以上の炭化水素基を単結合又は連結基で結合した基などが挙げられる。
上記2以上の炭化水素基を連結する連結基としては、-NRX1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRX1CO-、-CONRX1-および-C(CF-が挙げられる。RX1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
が表す4価の連結基は、脂肪族炭化水素環または芳香族炭化水素環を含む基であることが好ましく、芳香族炭化水素環を含む基であることがより好ましい。また、Xが表す4価の連結基は、特定樹脂の溶剤への溶解性を向上できるという理由からフッ素原子またはスルホニル基(-SO-)を含む基であることが好ましい。なかでも、Xが表す4価の連結基は、特定樹脂の溶剤への溶解性に優れ、かつ、耐熱性に優れた膜を形成できるという理由からフッ素原子および芳香族炭化水素環を含む基であることが好ましい。フッ素原子および芳香族炭化水素環を含む基としては、2以上の芳香族炭化水素基を連結基で結合した基であって、上記連結基がフッ素原子を含む連結基である基、又は、2以上の芳香族炭化水素基を単結合又は連結基で結合した基であって、上記芳香族炭化水素基がフッ素原子を含む基で置換された基であることが好ましい。上記フッ素原子を含む連結基としては、-C(CF-等が挙げられる。上記フッ素原子を含む基としては、フッ化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
また、Xが表す4価の連結基は、(D-1)~式(D-3)のいずれかで表される基であることも好ましい。
式(D-1)~式(D-3)中、Cyはそれぞれ独立に、脂肪族炭化水素環を表し、Rd1は直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、Xd1は単結合又は2価の連結基を表し、*~*はそれぞれ、連結手を表す。
式(D-1)~式(D-3)のCyが表す脂肪族炭化水素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、脂肪族炭化水素環は架橋構造を有していてもよい。Cyが表す脂肪族炭化水素環は、単環の脂肪族炭化水素環または架橋構造を有する脂肪族炭化水素環であることが好ましい。
式(D-1)中、*と*、*と*は、脂肪族炭化水素環Cyにおける隣接位に存在することが好ましい。
式(D-2)のRd1は直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。上記脂肪族炭化水素基の炭素数は、2~10であることが好ましく、2~4であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。式(D-2)中、*と*は、脂肪族炭化水素基Rd1における、隣接する炭素原子に1つずつ存在することが好ましい。式(D-2)中、*と*は、脂肪族炭化水素環Cyにおける隣接位に存在することが好ましい。
式(D-3)中、Xd1は単結合又は2価の連結基を表し、単結合、又は、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-NHC(=O)-、若しくは、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基、-O-、-C(=O)-、-S-、又は、-S(=O)-から選択される基であることがより好ましく、-CH-、-O-、-S-、-S(=O)-、-C(CF-、又は、-C(CH-であることが更に好ましい。
また、Xが表す4価の連結基は式(E-1)で表される基であることも好ましい。
式(E-1)中、Arはそれぞれ独立に芳香族炭化水素環を表し、Xe1はフッ素原子を含む2価の連結基を表し、*~*はそれぞれ連結手を表す。
式(E-1)のArが表す芳香族炭化水素環の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましい。Arが表す芳香族炭化水素環はベンゼン環であることが好ましい。
式(E-1)のXe1は、フッ素原子で置換された炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、フッ素原子で置換された炭素数1~5のアルキレン基がより好ましく、-C(CF-、-C(CF)(C)-又は-C(C-が更に好ましく、-C(CF-が特に好ましい。式(D-1)中、*と*、*と*は、芳香環構造Arにおける隣接位に存在することが好ましい。
が表す4価の連結基の具体例としては、式(I-1)~式(I-28)のいずれかで表される構造の基などが挙げられる。
式(I-1)~(I-28)中、X~Xは、単結合又は2価の連結基を表し、Lは-CH=CH-又は-CH-を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R及びRは結合して環構造を形成してもよく、*は式(1)における他の構造との連結手を表す。
~Xが表す2価の連結基としては、-C(Rx)-(Rxは水素原子又は置換基を示す。Rxが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-NR-、フェニレン基、又はこれらの組み合わせが挙げられる、Rxが置換基を示すとき、その具体例としては、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。Rは、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
~Xは、それぞれ独立して、単結合、-SO-又は-C(Rx)-が好ましく、-SO-又は-C(Rx)-がより好ましく、-C(Rx)-が更に好ましい。また、-C(Rx)-は、-C(CH-または-C(CF-が好ましく、-C(CF-がより好ましい。
Lは-CH=CH-であることが好ましい。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
[X
式(1)において、Xは2価の連結基を表す。Xが表す2価の連結基としては、炭化水素基、2以上の炭化水素基を単結合又は連結基で結合した基が挙げられる。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
上記2以上の炭化水素基を連結する連結基としては、-O-、-S-、-C(CH-、-C(CF-、-CO-、-SO-、-SiR-(Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基が好ましい。)、ポリシロキサン基(-Si(R)-(O-Si)-、Rは炭化水素基を表し、炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基が好ましい。nは1以上の整数を表し、1~10が好ましい)等が挙げられる。
が表す2価の連結基は、脂肪族炭化水素環または芳香族炭化水素環を含む基であることが好ましく、芳香族炭化水素環を含む基であることがより好ましい。また、Xが表す2価の連結基は、特定樹脂の溶剤への溶解性を向上できるという理由からフッ素原子またはスルホニル基(-SO-)を含む基であることが好ましい。なかでも、Xが表す2価の連結基は、特定樹脂の溶剤への溶解性に優れ、かつ、耐熱性に優れた膜を形成できるという理由からフッ素原子および芳香族炭化水素環を含む基であることが好ましい。フッ素原子および芳香族炭化水素環を含む基としては、2以上の芳香族炭化水素基を連結基で結合した基であって、上記連結基がフッ素原子を含む連結基である基、又は、2以上の芳香族炭化水素基を単結合又は連結基で結合した基であって、上記芳香族炭化水素基がフッ素原子を含む基で置換された基であることが好ましい。上記フッ素原子を含む連結基としては、-C(CF-等が挙げられる。上記フッ素原子を含む基としては、フッ化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。Xが表す2価の連結基がフッ素原子及び芳香族炭化水素環を含む基である場合、例えば、下記構造の基が好ましい。
上記構造中、*は他の構造との結合部位を表す。
が表す2価の連結基は、ジアミン化合物により誘導される構造の基であることが好ましい。ジアミン化合物としては、例えば、下記化合物が挙げられる。



[R11、R12、R21、R22およびR23
式(1)において、R11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す。
置換基としては、アルキル基、アリール基、複素環基などが挙げられる。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。複素環基は、非芳香族の複素環基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子の種類は窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。複素環基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。上述したアルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、後述する置換基T、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基およびブロックイソシアネート基などが挙げられる。
式(1)において、R11およびR12は水素原子であることが好ましい。また、R21、R22およびR23についても水素原子であることが好ましい。また、一部がカルボン酸塩、アミン塩を形成していてもよい。
[Lp
式(1)において、Lpはn+1価の連結基を表す。n+1価の連結基としては、炭化水素基、-NRp-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpCO-、-CONRp-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。Rpは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
n+1価の連結基としては、式(Lp-1)で表される基、および式(Lp-2)で表される基が挙げられる。
式(Lp-1)中、Rpは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、Lp1aは、炭化水素基、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基を表す。
式(Lp-2)中、Lp1bは、炭化水素基、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基を表す。
式(Lp-1)および式(Lp-2)中、nは1以上の整数を表し、*1は式(1)の-NR23CO-におけるカルボニル炭素との連結手を表し、*2は式(1)のLpとの連結手を表す。
Rpが表すアルキル基、アリール基および複素環基の詳細については、R11、R12、R21、R22およびR23の項で説明した基が挙げられる。
Lp1aおよびLp1bが表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
2以上の炭化水素基を連結する連結基としては、-NRp1b-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRp1bCO-、-CONRp1b-が挙げられる。Rp1bは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
Lpが表すn+1価の連結基は、式(Lp-10)で表される基であることが好ましく、式(Lp-11)で表される基であることがより好ましい。
式(Lp-10)中、Lp11は、単結合またはn+1価の連結基を表し、Rp11は置換基を表し、nは1以上の整数を表し、mは0~4の整数を表し、*1は式(1)の-NR23CO-におけるカルボニル炭素との連結手を表し、*2は式(1)のLpとの連結手を表す。m個のRp11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Lp-11)中、Lp12は、単結合またはn+1価の連結基を表し、Rp11は置換基を表し、nは1以上の整数を表し、mは0~4の整数を表し、*1は式(1)の-NR23CO-におけるカルボニル炭素との連結手を表し、*2は式(1)のLpとの連結手を表す。m個のRp11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(Lp-10)のLp11が表すn+1価の連結基としては、炭化水素基、-NRp12-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRp12CO-、-CONRp12-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。炭化水素基としては上述したものが挙げられる。Rp12は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(Lp-11)のLp12が表すn+1価の連結基は、炭化水素基、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基であることが好ましい。2以上の炭化水素基を連結する連結基としては、-NRp13-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRp13CO-および-CONRp13-が挙げられる。Rp13は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(Lp-10)および式(Lp-11)のRp11が表す置換基としては後述する置換基Tが挙げられ、カルボキシ基、ハロゲン原子またはヒドロキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
式(Lp-10)および式(Lp-11)のnは1以上の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(Lp-10)および式(Lp-11)のmは0~4の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1~3の整数であることがより好ましく、1または2であることが更に好ましい。また、m個のRp11のうち少なくとも1個以上はカルボキシ基であることが好ましい。
[Lp
式(1)において、Lpは2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭化水素基、-NRp21-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRp21CO-、-CONRp21-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。Rp21は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。2価の連結基は、酸素原子または硫黄原子を含む基であることが好ましく、硫黄原子を含む基であることがより好ましく、-S-を含む基であることが更に好ましい。
Lpが表す2価の連結基は、-S-または-O-であることが好ましく、-S-であることがより好ましい。
[P
式(1)において、Pはポリマー鎖を表す。Pの重量平均分子量は500~50000が好ましい。下限は800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。上限は20000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。上記ポリマー鎖の重量平均分子量が上記範囲であればより優れた顔料の分散性が得られやすい。ポリマー鎖の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法で測定することができる。より具体的には、ポリマー鎖の導入に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出することができる。
が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、ポリエーテル構造およびポリエステル構造から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことが好ましく、ポリ(メタ)アクリル構造およびポリスチレン構造から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことがより好ましく、顔料の分散性及び耐熱性の観点からポリ(メタ)アクリル構造の繰り返し単位を含むことが更に好ましい。Pが表すポリマー鎖は、ポリエーテル構造の繰り返し単位またはポリエステル構造の繰り返し単位を含むものであることも好ましい。Pが表すポリマー鎖がポリエーテル構造の繰り返し単位を含む場合、ポリエーテル構造の繰り返し単位の数は9以上であることが好ましい。Pが表すポリマー鎖がポリエステル構造の繰り返し単位を含む場合、ポリエステル構造の繰り返し単位の数は5以上であることが好ましい。
が表すポリマー鎖は、架橋性基を有していてもよい。架橋性基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ブロックイソシアネート基などが挙げられる。なお、本明細書においてブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。ブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。ブロック剤については、特開2017-067930号公報の段落番号0115~0117に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、ブロックイソシアネート基は、90~260℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
が表すポリマー鎖は、3級アルキル基を有していることも好ましい。3級アルキル基としては、t-ブチル基などが挙げられる。
が表すポリマー鎖は、式(P1-1)~式(P1-6)のいずれかで表される繰り返し単位を含むことが好ましく、式(P1-5)または式(P1-6)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましく、式(P1-5)で表される繰り返し単位を含むことが更に好ましい。また、Pが表すポリマー鎖は、式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むものであることも好ましい。Pが表すポリマー鎖が式(P1-4)の繰り返し単位を含む場合、式(P1-4)の繰り返し単位の数は9以上であることが好ましい。Pが表すポリマー鎖が式(P1-1)~式(P1-3)の繰り返し単位を含む場合、これらの構造の繰り返し単位の数は5以上であることが好ましい。
上記式中、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。RG1およびRG2が表すアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であることが更に好ましい。
上記式中、RG3は、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子またはヒドロキシメチル基を表し、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
上記式中、QG1は、-O-または-NR-を表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。QG1は、-O-であることが好ましい。
が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましく、1~5がより一層好ましく、1~3が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
が表す複素環基は、非芳香族の複素環基であってもよく、芳香族複素環基であってもよい。複素環基は、5員環または6員環が好ましい。複素環基を構成するヘテロ原子の種類は窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。複素環基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。
上述したアルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
上記式中、LG1は、単結合またはアリーレン基を表し、単結合であることが好ましい。
上記式中、LG2は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NRLG1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRLG1CO-、-CONRLG1-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられ、アルキレン基またはアリーレン基を含む基であることが好ましい。RLG1は、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。上述したアルキレン基、アリーレンは置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
上記式中、RG4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、複素環チオエーテル基、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基およびブロックイソシアネート基等が挙げられる。RG4は、アルキル基、アリール基、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基およびオキセタニル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基、およびt-ブチル基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記式中、RG5は、水素原子またはメチル基を表し、RG6はアリール基を表す。RG6が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。RG6が表すアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、複素環チオエーテル基、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタニル基およびブロックイソシアネート基等が挙げられる。
が表すポリマー鎖は、2種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。
(置換基T)
アルキル基(好ましくは炭素数1~30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6~30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0~30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1~30のヘテロアリールオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数2~30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1~30のヘテロアリールチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~30のアルキルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~30のアリールスルホニル基)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1~30のヘテロアリールスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30のアルキルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6~30のアリールスルフィニル基)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30のヘテロアリールスルフィニル基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~30のウレイド基)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1~30のリン酸アミド基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、複素環基。これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。さらなる置換基としては、上述した置換基Tで説明した基が挙げられる。
特定樹脂において、上述した式(1)で表される構造は、式(1-1)で表される構造であることが好ましい。
式(1-1)中、Xは4価の連結基を表し、
は2価の連結基を表し、
11、R12、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Rp11は置換基を表し、m個のRp11は同一であってもよく、異なっていてもよく、
Lp11はn+1価の連結基を表し、
Lpは2価の連結基を表し、
はポリマー鎖を表し、
nは1以上の整数を表し、
mは0~4の整数を表す。
式(1-1)のX、X、R11、R12、R21、R22、R23、Lp、Pおよびnは、式(1)のX、X、R11、R12、R21、R22、R23、Lp、Pおよびnと同義である。
式(1-1)のLp11、Rp11およびmは、式(Lp-10)のLp11、Rp11およびmと同義である。
特定樹脂は、上述した式(1)で表される構造のイミド環化構造を含んでいてもよい。
特例樹脂は、更に式(100)で表される構造を含んでいてもよい。この態様によれば、より優れた分散性が得られる。
式(100)中、X101は4+q価の連結基を表し、
102は2価の連結基を表し、
111、R112、R121およびR122は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、
Lp101は2価の連結基を表し、
101はポリマー鎖を表し、
qは1以上の整数を表す。
式(100)のR111、R112、R121、R122およびP101は、式(1)のR11、R12、R21、R22およびPと同義である。
式(100)において、qは1以上の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式(100)のX102が表す2価の連結基としては、式(1)のXで説明した2価の連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
式(100)において、X101が表す4+q価の連結基としては、炭化水素基を含む基であることが好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
上記炭化水素基を含む基としては、炭化水素基、2以上の炭化水素基を単結合又は連結基で結合した基などが挙げられる。
上記2以上の炭化水素基を連結する連結基としては、-NRx101-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRx101CO-、-CONRx101-および-C(CF-が挙げられる。Rx101は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。X101の炭素原子がLp101と結合していることが好ましい。また、X101の窒素原子がLp101と結合していることも好ましい。
101が表す4+q価の連結基としては、顔料への親和性が強くて異物が生じにくいという理由から芳香族炭化水素環を含む基であることが好ましい。芳香族炭化水素環を含む基としては、式(X-1)で表される基が挙げられる。
式(X-1)中、*1は式(100)のP101との連結手を表し、*2は式(100)のX101と結合している-CO-との連結手を表し、RxおよびRxはそれぞれ独立して置換基を表し、m1は0~3の整数を表し、m2は0~3の整数を表し、nは1以上の整数を表し、X100は、2+n価の連結基を表す。
100が表す2+n価の連結基としては、炭化水素基、-NRx101-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRx101CO-、-CONRx101-、-C(CF-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。炭化水素基としては上述したものが挙げられる。Rx101は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
RxおよびRxが表す置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。具体例としては、ハロゲン原子、アルキル基、カルボキシ基などが挙げられる。
m1およびm2はそれぞれ独立して0~2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
式(100)において、Lp101は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭化水素基、-NRL1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRL1CO-、-CONRL1-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。RL1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。2価の連結基は、酸素原子または硫黄原子を含む基であることが好ましく、硫黄原子を含む基であることがより好ましく、-S-を含む基であることが更に好ましい。
Lp101が表す2価の連結基は、式(Lp-101)または式(Lp-201)で表される基であることが好ましく、式(Lp-101)で表される基であることがより好ましい。
式、式(Lp-101)および式(Lp-102)中、Lp111は単結合または2価の連結基を表し、*1は式(100)のX101との連結手であり、*2は式(100)のP101との連結手である。
Lp111が表す2価の連結基としては炭化水素基、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した構造の基が挙げられる。連結基としては、-NRL1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRL1CO-、および-CONRL1-が挙げられる。RL1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、水素原子であることが好ましい。
特定樹脂は、上述した式(100)で表される構造のイミド環化構造を含んでいてもよい。
特定樹脂の酸価は10~150mgKOH/gが好ましい。上限は100mgKOH/g以下が好ましく、80mgKOH/g以下がより好ましい。下限は20mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましい。
特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~200000が好ましく、2500~100000がより好ましく、3000~50000が更に好ましい。
特定樹脂は、窒素雰囲気下でのTG/DTA(熱質量測定/示差熱測定)による5%質量減少温度は280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、320℃以上であることがさらに好ましい。上記5%質量減少温度の上限は、特に限定されず、例えば1,000℃以下であればよい。上記5%質量減少温度は、窒素雰囲気下で特定の温度で5時間静置した時の質量減少率が5%となる温度として、公知のTG/DTA測定方法により求められる。
また、特定樹脂は、窒素雰囲気下で300℃、5時間静置したときの質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。上記質量減少率の下限は特に限定されず、0%以上であればよい。
上記質量減少率は、窒素雰囲気下で300℃、5時間静置する前後の特定樹脂における質量の減少の割合として算出される値である。
特定樹脂は、例えば、酸二無水物とジアミン化合物とを反応させてポリアミック酸を合成したのち、ポリアミック酸の末端アミン部位と反応する基と、ポリマー鎖とをそれぞれ有する末端封止剤(末端封止剤マクロモノマー)を反応させて合成することができる。必要に応じて、末端封止剤マクロモノマー以外の末端封止剤(他の末端封止剤)を更に用いてもよい。他の末端封止剤としては、モノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸塩化物、モノカルボン酸ハライド化合物、又はモノカルボン酸活性エステル等が挙げられる。
酸二無水物とジアミン化合物とのモル比は、ジアミン化合物の1モルに対して酸二無水物が0.5~1.5モルであることが好ましく、0.7~1.3モルであることがより好ましく、0.9~1.1モルであることが更に好ましい。また、ジアミン化合物と末端封止剤マクロモノマーとのモル比は、ジアミン化合物1モルに対して末端封止剤マクロモノマーが0.1~2モルであることが好ましく、0.2~1.5モルであることがより好ましく、0.5~1.2モルであることが更に好ましい。
末端封止剤マクロモノマーとしては、式(EDM)で表される化合物が挙げられる。
式(EDM)中、REDは酸無水物基、酸ハロゲン化物基またはイソシアネート基を表し、
LpED1は、n+1価の基を表し、
上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、炭化水素基と-NRpED1-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-および-CONRpED1-から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた構造の基であり、
RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
LpED2は-O-または-S-を表し、
ED1はポリマー鎖を表し、
nは1~4の整数を表す。
式(EDM)のREDが表す酸無水物基は、環状の酸無水物基であることが好ましい。REDが表す酸無水物基は、式(RED1-11)~式(RED1-13)で表される基であることが好ましく、式(RED1-13)で表される基であることがより好ましい。また、酸ハロゲン化物基は式(RED1-21)で表される基であることが好ましい。
上記式中、RED11は水素原子または置換基を表し、RED12は置換基を表し、RED21はハロゲン原子を表し、rは0~3の整数を表し、*はLpED1との連結手を表す。
ED11およびRED12が表す置換基としては、上述した置換基Tが挙げられ、ハロゲン原子、カルボキシ基、アルキル基またはヒドロキシ基であることが好ましく、カルボキシ基であることがより好ましい。
ED21が表すハロゲン原子としては、塩素原子または臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
rは0~2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
式(EDM)のLpED1における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、環状の脂肪族炭化水素基は架橋構造を有していてもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基Tが挙げられる。
式(EDM)のLpED2は-O-または-S-を表し、-S-であることが好ましい。
式(EDM)のPED1が表すポリマー鎖は、式(1)のPが表すポリマー鎖と同義である。
式(EDM)のnは1または2であることが好ましい。
末端封止剤マクロモノマーは、酸無水物基を有する化合物であることが好ましく、式(EDM1)で表される化合物であることがより好ましく、式(EDM2)で表される化合物であることが更に好ましい。式(EDM1)で表される化合物および式(EDM2)で表される化合物は、本発明の化合物である。
式(EDM1)中、RED1は酸無水物基を表し、
LpED1は、n+1価の基を表し、
上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、炭化水素基と-NRpED1-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-および-CONRpED1-から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた構造の基であり、
RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
LpED2は-O-または-S-を表し、
ED1は式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
nは1~4の整数を表す。
式(EDM2)中、RED12はハロゲン原子、アルキル基、カルボキシ基またはヒドロキシ基を表し、
LpED1aは、n+1価の基を表し、
上記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基であり、
上記連結基は、-NRpED1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-または-CONRpED1であり、
RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
LpED2は-O-または-S-を表し、
ED1は式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
rは0~3の整数を表し、
nは1~4の整数を表す。
式(P1-1)~式(P1-4)中、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。
式(EDM1)のRED1が表す酸無水物基は、式(EDM)のREDで説明した酸無水物基と同義である。
式(EDM1)のPED1が表すポリマー鎖の詳細については、式(1)のPが表すポリマー鎖で説明した内容と同様である。
式(EDM1)のLpED1、LpED2およびnは、式(EDM)のLpED1、LpED2およびnと同義である。
式(EDM2)のrは0~3の整数を表し、rは0~2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
式(EDM2)のLpED1aにおける炭化水素基としては、式(EDM)で説明した炭化水素基と同義である。式(EDM2)のLpED1aが表すn+1価の基は炭化水素基であることが好ましい。
式(EDM2)のPED1が表すポリマー鎖の詳細については、式(1)のPが表すポリマー鎖で説明した内容と同様である。
式(EDM2)のLpED2およびnは、式(EDM)のLpED2およびnと同義である。
末端封止剤マクロモノマーの具体例としては後述する実施例に記載の末端封止剤マクロモノマーEDM-1~EDM-40などが挙げられる。
末端封止剤マクロモノマーは、例えば、下記の方法で合成することができる。
(1)ヒドロキシ基を1個、メルカプト基を1個または2個有する連鎖移動剤を用いてラジカル重合性化合物をラジカル重合して得られたマクロモノマーを酸無水物または酸無水物クロリドとエステル化反応させて合成する方法。
(2)メルカプト基を2個有する化合物を、エチレン性不飽和結合含有基を有する酸無水物にエン・チオール反応させたのち、ラクトンを開環重合して合成する方法。
(3)ヒドロキシ基を1個、メルカプト基を1個または2個有する連鎖移動剤を用いてラジカル重合性化合物をラジカル重合して得られたマクロモノマーを、ハロゲン原子を有する酸無水物とカップリング反応させて合成する方法。
(4)酸無水物基を1個と、カルボキシ基または酸ハロゲン化物基とを有する化合物と、末端にヒドロキシ基またはアミノ基を有するポリマーとを反応させて合成する方法。この合成で用いる酸無水物基を1個と、カルボキシ基または酸ハロゲン化物基とを有する化合物としては、高純度かつ高収率でマクロモノマーを合成できるという理由からトリメリット酸無水物およびトリメリット酸無水物クロリドが好ましい。
(5)カルボキシ基を1個、メルカプト基を1個有する連鎖移動剤(たとえば、メルカプトプロピオン酸等)を用いてラジカル重合性化合物をラジカル重合して得られたマクロモノマーを、酸クロリド化して合成する方法。
(6)ヒドロキシ基を1個または2個と、メルカプト基を1個有する化合物(たとえば、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトヘキサノール、メルカプトグリセロール等)を用いてラクトンを開環重合させて得られたマクロモノマーを、イソシアネート基と不飽和結合含有基とを有する化合物にエン・チオール反応させて合成する方法。
末端封止剤マクロモノマーは、塩酸が残存すると、変性や腐食の原因となるため、除くことが好ましい。酸無水物クロリドを原料に用いる場合、塩基存在下で原料を混合した後、生じた塩酸塩を分離して合成することが好ましい。塩基としては有機塩基、無機塩基でもよい。有機塩基の場合、3級アルキルアミン、3級芳香族アミン、複素環式芳香族アミン等が用いられる。たとえば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、4,4-ジメチルアミノピリジン、2-ピコリン、2,6-ルチジン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。分離する方法としては、フィルターを用いてろ過(自然ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過、遠心ろ過)する方法、有機層と水層で分液する方法、遠心分離する方法、吸着(シリカゲルカラム、活性炭等)する方法等があげられる。
(他の樹脂)
本発明の樹脂組成物は、樹脂として上述した特定樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、アルカリ現像性を有する樹脂、又は、分散剤としての樹脂等が挙げられる。また、末端封止剤マクロモノマーの分解物、ジアミンと末端封止剤マクロモノマーの反応生成物など、特定樹脂を合成した時の副生成物を含んでいてもよい。
〔アルカリ現像性を有する樹脂〕
アルカリ現像性を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下がより好ましく、500000以下がさらに好ましい。下限は、4000以上がより好ましく、5000以上がさらに好ましい。
アルカリ現像性を有する樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、(メタ)アクリル樹脂及びポリイミン樹脂が好ましく、(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。また、他の樹脂として、特開2017-206689号公報の段落番号0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落番号0022~0071に記載の樹脂、特開2017-057265号公報に記載の樹脂、特開2017-032685号公報に記載の樹脂、特開2017-075248号公報に記載の樹脂、特開2017-066240号公報に記載の樹脂を用いることもできる。
また、アルカリ現像性を有する樹脂としては、酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。この態様によれば、樹脂組成物の現像性をより向上させることができる。酸基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、活性イミド基、スルホンアミド基などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。また、酸基を有する樹脂としては、エポキシ開環で生じたヒドロキシ基に酸無水物を反応させて酸基を導入した樹脂を用いてもよい。このような樹脂としては、特許6349629号公報に記載された樹脂が挙げられる。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
アルカリ現像性を有する樹脂は、側鎖に酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましく、側鎖に酸基を有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中1~70モル%含むことがより好ましい。側鎖に酸基を有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。側鎖に酸基を有する繰り返し単位の含有量の下限は、2モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましい。
アルカリ現像性を有する樹脂の酸価は、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下が更に好ましく、100mgKOH/g以下が特に好ましい。また、酸基を有する樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が更に好ましい。
アルカリ現像性を有する樹脂は、更にエチレン性不飽和結合含有基を有することも好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、アリル基及び(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和結合含有基を有する樹脂は、側鎖にエチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位を含むことが好ましく、側鎖にエチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~80モル%含むことがより好ましい。側鎖にエチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位の含有量の上限は、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。側鎖にエチレン性不飽和結合含有基を有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましい。
アルカリ現像性を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物及び/又は下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
式(ED1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
式(ED2)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
アルカリ現像性を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
Figure 2024124473000034
式(X)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子又はベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
アルカリ現像性を有する樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
〔分散剤〕
本発明の樹脂組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシ基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、グラフトポリマーであることも好ましい。グラフトポリマーとしては、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094に記載された樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤(ポリイミン樹脂)であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤としては、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166に記載された樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161など)、Lubrizol製のSolsperseシリーズ(例えば、Solsperse 36000など)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、分散剤は、特開2018-150498号公報、特開2017-100116号公報、特開2017-100115号公報、特開2016-108520号公報、特開2016-108519号公報、特開2015-232105号公報に記載の化合物を用いてもよい。
なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
樹脂組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、5~60質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
樹脂組成物の全固形分中における上述した特定樹脂の含有量は、5~60質量%が好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
上述した特定樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して10~80質量部が好ましい。下限は、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。上限は、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物の全固形分から色材を除いた成分中に、特定樹脂を20質量%以上含むことが好ましく、30質量%以上含むことがより好ましく、40質量%以上含むことが更に好ましい。上限は、100質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもでき、85質量%以下とすることもできる。特定樹脂の含有量が上記範囲であれば、耐熱性に優れた膜を形成しやすく、加熱後の膜収縮などをより抑制しやすい。更には、本発明の樹脂組成物を用いて得られる膜の表面に無機膜などを形成した際において、この積層体が高温に晒されても、無機膜にクラックなどが生じることを抑制することもできる。
また、樹脂組成物の全固形分中における色材と上述した特定樹脂の合計の含有量は、25~100質量%が好ましい。下限は、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。上限は、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
樹脂組成物において、上述した他の樹脂の含有量は、上述した特定樹脂の100質量部に対して230質量部以下であることが好ましく、200質量部以下であることがより好ましく、150質量部以下であることが更に好ましい。下限は0質量部であってもよく、5質量部以上とすることもでき、10質量部以上とすることもできる。また、樹脂組成物は上述した他の樹脂を実質的に含まないことも好ましい。この態様によれば、より耐熱性に優れた膜を形成しやすい。他の樹脂を実質的に含まない場合とは、樹脂組成物の全固形分中における他の樹脂の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、0.05質量%以下であることが好ましく、含有しないことがより好ましい。
<溶剤C>
本発明の樹脂組成物は、溶剤C(以下、溶剤という)を含有する。溶剤としては、各成分の溶解性や樹脂組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。溶剤は有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられ、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤およびケトン系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、プロピレングリコールジアセテート、3-メトキシブタノール、メチルエチルケトン、ガンマブチロラクトン、スルホラン、アニソールなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
樹脂組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
<顔料誘導体>
本発明の樹脂組成物は顔料誘導体を含有することが好ましい。顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基、塩基性基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アンスラキノン骨格、キナクリドン骨格、ジオキサジン骨格、ペリノン骨格、ペリレン骨格、チオインジゴ骨格、イソインドリン骨格、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、スレン骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、キノフタロン骨格、イソインドリン骨格及びフタロシアニン骨格が好ましく、アゾ骨格及びベンゾイミダゾロン骨格がより好ましい。顔料誘導体が有する酸基としては、スルホ基、カルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、三級アミノ基がより好ましい。
顔料誘導体としては、可視光透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を用いることもできる。透明顔料誘導体の400~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがさらに好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
顔料誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報、特開2019-109512号公報に記載の化合物が挙げられる。
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対して1~30質量部が好ましく、3~20質量部が更に好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<重合性モノマー>
本発明の樹脂組成物は、重合性モノマーを含有することが好ましい。重合性モノマーは、例えば、ラジカル、酸または熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物、環状エーテル基を有する化合物などが挙げられ、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタン基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物はラジカル重合性モノマーとして好ましく用いることができる。また、環状エーテル基を有する化合物はカチオン重合性モノマーとして好ましく用いることができる。重合性モノマーは、多官能の重合性モノマーであることが好ましい。すなわち、重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合含有基や環状エーテル基などの重合性基を2個以上有するモノマーであることが好ましい。
重合性モノマーの分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
(エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物)
重合性モノマーとして用いられるエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物としては、多官能の化合物であることが好ましい。すなわち、エチレン性不飽和結合含有基を2個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることが更に好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることがより一層好ましい。また、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報、特開2017-194662号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
また、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物は、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する化合物を用いることで、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸基を有する重合性モノマーの市販品としては、アロニックスM-305、M-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性モノマーの好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物であることも好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物は、アルキレンオキシ基を有する化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する化合物は、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を有する化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物は、フルオレン骨格を有する化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適である。また、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物は、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
(環状エーテル基を有する化合物)
重合性モノマーとしても用いられる環状エーテル基を有する化合物としては、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)、オキセタン基を有する化合物(以下、オキセタン化合物ともいう)が挙げられる。エポキシ化合物は、多官能のエポキシ化合物であることが好ましい。すなわち、エポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基の数の上限は、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。また、オキセタン化合物は、多官能のオキセタン化合物であることが好ましい。すなわち、オキセタン化合物は、オキセタン基を2個以上有する化合物であることが好ましい。オキセタン基の数の上限は、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましい。
エポキシ化合物の市販品としては、JER828、JER1007、JER157S70(三菱ケミカル(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011-221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。その他の市販品として、ADEKA RESIN EP-4000S、EP-4003S、EP-4010S、EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-411、EX-421、EX-313、EX-314、EX-321、EX-211、EX-212、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-911、EX-941、EX-920、EX-931、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L、DLC-201、DLC-203、DLC-204、DLC-205、DLC-206、DLC-301、DLC-402、EX-111,EX-121、EX-141、EX-145、EX-146、EX-147、EX-171、EX-192(以上ナガセケムテック製)、YH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、YH-325(以上、新日鐵住金化学(株)製)、セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)、TETRAD-X(三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
オキセタン化合物の市販品としては、OXT-201、OXT-211、OXT-212、OXT-213、OXT-121、OXT-221、OX-SQ TX-100、(以上、東亞合成(株)製)などを用いることができる。
樹脂組成物の全固形分中における重合性モノマーの含有量は0.1~40質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
重合性モノマーとしてエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物を用いる場合、重合性モノマーとしてのエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物の含有量は、上述した特定樹脂100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。下限は、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
重合性モノマーとして環状エーテル基を有する化合物を用いる場合、重合性モノマーとしての環状エーテル基を有する化合物の含有量は、上述した特定樹脂100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。下限は、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
重合性モノマーとしてエチレン性不飽和結合含有基を有する化合物と環状エーテル基を有する化合物とを用いる場合、樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物の100質量部に対して環状エーテル基を有する化合物を10~500質量部含有することが好ましい。下限は、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。上限は、400質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。両者の割合が上記範囲であれば、より耐熱性(クラック抑制と膜収縮抑制)に優れた膜を形成できる。
<光重合開始剤>
本発明の樹脂組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物、イミダゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ビイミダゾール化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物及び3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、ビイミダゾール化合物、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、及び、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111に記載された化合物、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-167313号公報に記載の過酸化物系開始剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ビイミダゾール化合物としては、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、及び2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールなどが挙げられる。α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
また、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
光重合開始剤として、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
光重合開始剤として、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
オキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチルを用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、樹脂組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)及び化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号に記載されているオキシム化合物などが挙げられる。
樹脂組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
<シランカップリング剤>
本発明の樹脂組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本明細書において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
樹脂組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
<硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、樹脂や重合性化合物の反応を促進させたり、硬化温度を下げる目的で、硬化促進剤をさらに含有することができる。硬化促進剤は、メチロール系化合物(例えば特開2015-034963号公報の段落番号0246において、架橋剤として例示されている化合物)、アミン類、ホスホニウム塩、アミジン塩、アミド化合物(以上、例えば特開2013-041165号公報の段落番号0186に記載の硬化剤)、塩基発生剤(例えば、特開2014-055114号公報に記載のイオン性化合物)、シアネート化合物(例えば、特開2012-150180号公報の段落番号0071に記載の化合物)、アルコキシシラン化合物(例えば、特開2011-253054号公報に記載のエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物)、オニウム塩化合物(例えば、特開2015-034963号公報の段落番号0216に酸発生剤として例示されている化合物、特開2009-180949号公報に記載の化合物)などを用いることもできる。
本発明の樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分中0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の樹脂組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。樹脂組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
<界面活性剤>
本発明の樹脂組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。樹脂組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、樹脂組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤、特開2020-008634号公報に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F(以上、株)NEOS製)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090及び段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
樹脂組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。樹脂組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。また、酸化防止剤は、韓国公開特許第10-2019-0059371号公報に記載の化合物を用いることもできる。樹脂組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、増感剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、樹脂組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO、ZrO、Al、SiO等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、顔料などと結合又は配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は、顔料などと結合又は配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。樹脂組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
環境規制の観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用が規制されることがある。本発明の樹脂組成物において、上記した化合物の含有率を小さくする場合、パーフルオロアルキルスルホン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルスルホン酸)及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルカルボン酸)及びその塩の含有率は、樹脂組成物の全固形分に対して、0.01ppb~1,000ppbの範囲であることが好ましく、0.05ppb~500ppbの範囲であることがより好ましく、0.1ppb~300ppbの範囲であることが更に好ましい。本発明の樹脂組成物は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まなくてもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩の代替となりうる化合物、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の代替となりうる化合物を用いることで、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まない樹脂組成物を選択してもよい。規制化合物の代替となりうる化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基の炭素数の違いによって規制対象から除外された化合物が挙げられる。ただし、上記した内容は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用を妨げるものではない。本発明の樹脂組成物は、許容される最大の範囲内で、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、テレフタル酸エステルの含有量が、樹脂組成物の全量中、1000質量ppb以下であることを意味し、100質量ppb以下であることがより好ましく、ゼロであることが特に好ましい。
<収容容器>
樹脂組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や樹脂組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、容器内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、樹脂組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
<樹脂組成物の調製方法>
本発明の樹脂組成物は、前述の成分を混合して調製できる。樹脂組成物の調製に際しては、全成分を同時に有機溶剤に溶解及び/又は分散して樹脂組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液又は分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して樹脂組成物を調製してもよい。
また、樹脂組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセス及び分散機は、「分散技術大全集、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また、顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
樹脂組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、樹脂組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NXEY、DFA4201NAEY、DFA4201J006Pなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)及び株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。また樹脂組成物の親疎水性に合わせて、適宜フィルタを選択することができる。
(膜)
本発明の膜は、上述した本発明の樹脂組成物から得られる膜である。本発明の膜は、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタなどの光学フィルタに用いることができる。また、本発明の膜は、ブラックマトリクスや遮光膜などに用いることもできる。
本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
本発明の膜をカラーフィルタとして用いる場合、本発明の膜は、緑色、赤色、青色、シアン色、マゼンタ色または黄色の色相を有することが好ましい。また、本発明の膜は、カラーフィルタの着色画素として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素などが挙げられる。
本発明の膜を近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜の極大吸収波長は、波長700~1800nmの範囲に存在することが好ましく、波長700~1300nmの範囲に存在することがより好ましく、波長700~1100nmの範囲に存在することが更に好ましい。また、膜の波長400~650nmの全範囲での透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、膜の波長700~1800nmの範囲の少なくとも1点での透過率は20%以下であることが好ましい。また、極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比である吸光度Amax/吸光度A550は、20~500であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、70~450であることが更に好ましく、100~400であることが特に好ましい。
本発明の膜を近赤外線透過フィルタとして用いる場合、本発明の膜は、例えば、以下の(i1)~(i5)のいずれかの分光特性を有することが好ましい。
(i1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。このような分光特性を有する膜は、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長750nmを超える光を透過させることができる。
(i2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。このような分光特性を有する膜は、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える光を透過させることができる。
(i3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。このような分光特性を有する膜は、波長400~830nmの範囲の光を遮光して、波長950nmを超える光を透過させることができる。
(i4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。このような分光特性を有する膜は、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1050nmを超える光を透過させることができる。
(i5):波長400~1050nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1200~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。このような分光特性を有する膜は、波長400~1050nmの範囲の光を遮光して、波長1150nmを超える光を透過させることができる。
本発明の膜は、窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さが、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることがより一層好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
また、上記膜を窒素雰囲気下にて350℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さは、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることがより一層好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
また、上記膜を窒素雰囲気下にて400℃で5時間加熱処理した後の膜の厚さは、加熱処理前の膜の厚さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、95%以上であることがより一層好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
<膜の製造方法>
本発明の膜は、上述した本発明の樹脂組成物を支持体上に塗布する工程を経て製造できる。本発明の膜の製造方法においては、更にパターン(画素)を形成する工程を含むことが好ましい。パターン(画素)の形成方法としては、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法が挙げられ、フォトリソグラフィ法が好ましい。
(フォトリソグラフィ法)
まず、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成して膜を製造する場合について説明する。フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の樹脂組成物を用いて支持体上に樹脂組成物層を形成する工程と、樹脂組成物層をパターン状に露光する工程と、樹脂組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、樹脂組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、及び、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
樹脂組成物層を形成する工程では、本発明の樹脂組成物を用いて、支持体上に樹脂組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下地層が設けられていてもよい。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好まい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。下地層の表面接触角が上記範囲であれば、樹脂組成物の塗れ性が良好である。下地層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
樹脂組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、樹脂組成物の塗布方法は、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号に記載された方法を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
支持体上に形成した樹脂組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
次に、樹脂組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、樹脂組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m以上であることが好ましく、100000000W/m以上であることがより好ましく、200000000W/m以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m以下であることが好ましく、800000000W/m以下であることがより好ましく、500000000W/m以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、又は、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、又は、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、又は、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
次に、樹脂組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。樹脂組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の樹脂組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面及び安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の樹脂組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の樹脂組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
(ドライエッチング法)
ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の樹脂組成物を用いて支持体上に樹脂組成物層を形成し、この樹脂組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、上述した本発明の膜を有する。光学フィルタの種類としては、光学フィルタとしては、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタなどが挙げられ、カラーフィルタであることが好ましい。カラーフィルタとしては、カラーフィルタの着色画素として本発明の膜を有することが好ましい。本発明の光学フィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
光学フィルタにおいて本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
光学フィルタに含まれる画素の幅は0.4~10.0μmであることが好ましい。下限は、0.4μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、0.6μm以上であることが更に好ましい。上限は、5.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましく、0.8μm以下であることがより一層好ましい。また、画素のヤング率は0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
光学フィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
光学フィルタにおいては、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した保護層形成用樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiOと、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
保護層形成用樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、保護層形成用樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。保護層形成用樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
光学フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。また、本発明の樹脂組成物は国際公開第2019/102887号に記載された画素構成にも好適に使用することができる。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオード及び転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。また、特開2019-211559号公報のように固体撮像素子の構造内に紫外線吸収層を設けて耐光性を改良してもよい。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。さらに、本発明のカラーフィルタを組み込んだ固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタに加え、更に別のカラーフィルタ、近赤外線カットフィルタ、有機光電変換膜などを組み込んでもよい。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<試料の重量平均分子量(Mw)の測定>
試料の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、以下の条件で測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
<試料の酸価の測定>
試料の酸価は、試料中の固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。試料の酸価は次のようにして測定した。すなわち、測定試料をテトラヒドロフラン/水=9/1(質量比)混合溶媒に溶解し、得られた溶液を、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業製)を用いて、25℃にて、0.1mol/L水酸化カリウム水溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液の力価
w:試料の質量(g)(固形分換算)
<末端封止剤マクロモノマーの合成>
(合成例1-1)末端封止剤マクロモノマーEDM-1の合成例
窒素置換した3つ口フラスコに2-メルカプトエタノールの2.3gとε-カプロラクトンの35g、モノブチルスズオキシドの0.5gを加え90℃で2時間、120℃で6時間加熱攪拌してポリエステル両末端にSH基とOH基を有するポリマーを得た。5℃に冷却したのちアセチルクロリドの0.5g加えさらに2時間撹拌してOH基末端を封止して片末端SH基を有するポリマーを得た。次に2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート(カレンズAOI、昭和電工(株)製)の4.1gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)の0.3gを加えて80℃で2時間加熱攪拌しエンチオール反応を行い、末端封止剤マクロモノマーEDM-1を得た。
(合成例1-2、1-3)末端封止剤マクロモノマーEDM-2、EDM-3の合成例
合成例1-1と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-2、EDM-3を合成した。
(合成例1-4)末端封止剤マクロモノマーEDM-4の合成例
窒素置換した3つ口フラスコにメタクリル酸メチルの181.3gとアクリル酸ブチルの200.2gを加えプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの590gで希釈した。これを窒素雰囲気下で75℃に加温した。次に3-メルカプトプロピオン酸の9.2gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)2.2gを加え窒素雰囲気下75℃で8時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液に塩化チオニルの7.3g加えてさらに75℃で2時間加熱攪拌した。得られた末端封止剤マクロモノマーEDM-4の重量平均分子量は7400であった。
(合成例1-5)末端封止剤マクロモノマーEDM-5の合成例
合成例1-4と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-5を合成した。
(合成例1-6)末端封止剤マクロモノマーEDM-6の合成例
窒素置換した3つ口フラスコにメタクリル酸メチルの181.3gとアクリル酸ブチルの200.2gを加えプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの590gで希釈した。これを窒素雰囲気下で75℃に加温した。次に6-メルカプトヘキサノールの19.9gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)の2.2gを加え窒素雰囲気下75℃で8時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液にピロメリット酸無水物の37.3g加えてさらに75℃で2時間加熱攪拌した。未反応のピロメリット酸無水物を不溶物としてろ過して除去した。得られた末端封止剤マクロモノマーEDM-6の重量平均分子量は2400であった。
(合成例1-7)末端封止剤マクロモノマーEDM-7の合成例
合成例1-6と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-7を合成した。
(合成例1-8)末端封止剤マクロモノマーEDM-8の合成例
窒素置換した3つ口フラスコに6-メルカプトヘキサノールの6.1g、ε-カプロラクトンの35g、モノブチルスズオキシドの0.5gを加え90℃で2時間、120℃で6時間加熱攪拌してポリエステル両末端にSH基とOH基を有するポリマーを得た。5℃に冷却したのちアセチルクロリドの0.5g加えさらに2時間攪拌してOH末端を封止して片末端SHを有するポリマーを得た。次にイタコン酸無水物の5.5gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)の0.3gを加えて80℃で2時間加熱攪拌しエン・チオール反応を行い、末端封止剤マクロモノマーEDM-8を得た。
(合成例1-9~1-15)末端封止剤マクロモノマーEDM-9~EDM-15の合成例
合成例1-8と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-9~EDM-15を合成した。
(合成例1-16)末端封止剤マクロモノマーEDM-16の合成例
窒素置換した3つ口フラスコにメタクリル酸メチルの281.3gとアクリル酸ブチルの100.2gを加えプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの590gで希釈した。これを窒素雰囲気下で75℃に加温した。次に連鎖移動剤(AAA-1)の13.9gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)の2.5gを加え窒素雰囲気下75℃で8時間加熱攪拌した。得られた末端封止剤マクロモノマーEDM-16の重量平均分子量は7400であった。
(合成例1-17~1-20)末端封止剤マクロモノマーEDM-17~EDM-20の合成例
合成例1-16と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-17~EDM-20を合成した。
(合成例1-21)末端封止剤マクロモノマーEDM-21の合成例
窒素置換した3つ口フラスコにメタクリル酸メチルの151.3gとアクリル酸ブチルの230.2gを加えプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの590gで希釈した。これを窒素雰囲気下で75℃に加温した。次に6-メルカプトヘキサノールの20.9gと重合開始剤(V-601、富士フイルム和光純薬(株)製)の2.0gを加え窒素雰囲気下75℃で8時間加熱攪拌した。得られた末端ヒドロキシ基のポリマー溶液を5℃に冷却し、無水トリメリット酸クロリドの32.1gを加え、ピリジンの15.3gを6時間かけて滴下した。さらに室温で24時間攪拌し、不溶物をろ過して除去した。得られた末端封止剤マクロモノマーEDM-21の重量平均分子量は7800であった。
(合成例1-22~1-40)末端封止剤マクロモノマーEDM-22~EDM-40の合成例
合成例1-21と同様の方法で、末端封止剤マクロモノマーEDM-22~EDM-40を合成した。
末端封止剤マクロモノマーEDM-1~EDM-40の構造および重量平均分子量(Mw)を以下に示す。なお、Polyにおいて、EDM-1~EDM-3、EDM-8~EDM-15、EDM-27~EDM-29の繰り返し単位に付記した数値は繰り返し単位の数を表し、EDM-4、EDM-6、EDM-16、EDM-19~EDM-21EDM-24~EDM-26、EDM-30、EDM-33~EDM-36、EDM-39、EDM-40の繰り返し単位に付記した数値は繰り返し単位のモル比を表す。また、Polyに記載した構造が式(1)のPである。



<樹脂の合成例>
(合成例2-1)樹脂B-1の合成
窒素置換した3つ口フラスコに1,3-フェニレンジアミン(ジアミンDA-1:東京化成製)の3.3gを加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの10gを加えて40℃に加温した。これにピロメリット酸無水物(酸二無水物AA-1:東京化成製)2.2gを加えて40℃で6時間加熱攪拌して両末端にアミノ基を有するアミック酸プレポリマーを得た。このプレポリマー溶液に末端封止剤マクロモノマーEDM-1の19g(固形分換算)加え40℃で2時間加熱攪拌することで樹脂B-1の30%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。得られた樹脂B-1の重量平均分子量は20600、酸価は55mgKOH/gであった。
(合成例2-2~2-93)樹脂B-2~B-93の合成
酸二無水物、ジアミン、末端封止剤マクロモノマー、末端封止剤を、下記表に記載の種類および仕込み量に変更した以外は合成例2-1と同様の方法で、樹脂B-2~B-93を合成した。各樹脂の重量平均分子量(Mw)および酸価を下記表に合わせて記す。
末端封止剤マクロモノマーEDM-1~EDM-40は、それぞれ上述した構造の化合物である。また、酸二無水物AA-1~AA-8、ジアミンDA-1~DA-7および末端封止剤ED-1~ED-3は、それぞれ以下に示す構造の化合物である。
<分散液の製造>
下記表に記載の原料を混合した混合液を、ビーズミル(0.3mm径のジルコニアビーズを使用)を用いて3時間混合及び分散した後さらに減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000MPaの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返して各分散液を得た。
上記表に記載の数値の単位は質量部である。上記表に示した原料のうち、略語で示した原料の詳細は以下の通りである。
〔色材〕
PR264 : C.I.ピグメントレッド264(赤色顔料、ジケトピロロピロール顔料)
PR254 : C.I.ピグメントレッド254(赤色顔料、ジケトピロロピロール顔料)
PR179 : C.I.ピグメントレッド179
PB15:6 : C.I.ピグメントブルー15:6(青色顔料、フタロシアニン顔料)
PB16 : C.I.ピグメントブルー16(青色顔料、フタロシアニン顔料)
PG7 : C.I.ピグメントグリーン7
PG36 : C.I.ピグメントグリーン36
PG58 : C.I.ピグメントグリーン58
PY129 : C.I.ピグメントイエロー129
PY185 : C.I.ピグメントイエロー185
PY215 : C.I.ピグメントイエロー215
PV23 : C.I.ピグメントバイオレット23
IRGAPHORE: Irgaphor Black S 0100 CF(BASF社製、下記構造の化合物、ラクタム顔料)
PBk32: C.I.ピグメントブラック32(下記構造の化合物、ペリレン顔料)
〔顔料誘導体〕
誘導体1:下記構造の化合物
誘導体2:下記構造の化合物
〔樹脂(分散剤)〕
(特定樹脂)
B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、B-9、B-10、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-16、B-17、B-18、B-19、B-20、B-21、B-22、B-23、B-24、B-25、B-26、B-27、B-28、B-29、B-30、B-31、B-32、B-33、B-46、B-47、B-48、B-49、B-50、B-51、B-52、B-53、B-54、B-55、B-56、B-58、B-59、B-60、B-61、B-62、B-63、B-65、B-67、B-69、B-71、B-73、B-74、B-75、B-77、B-78、B-79、B-80、B-81、B-82、B-83、B-84、B-85、B-86、B-90、B-91、B-92、B-93:上述した樹脂
(比較樹脂)
cB-1:下記構造の樹脂(重量平均分子量は10885、酸価は74mgKOH/gである。「Polym」の記載は、「Polym」で示す構造の繰り返し単位が添え字の数値の数で結合した構造のポリマー鎖が硫黄原子(S)に結合していることを示している。)
〔溶剤〕
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
C-3:シクロヘキサノン
<樹脂組成物の製造>
下記表に記載の原料を混合して実施例および比較例の樹脂組成物を調製した。
上記表に記載の原料のうち、略語で示した原料の詳細は以下の通りである。
〔分散液〕
分散液R1~R26、B1~B25、G1~G27、Bk1~Bk20、CR1、CB1、CG1、CBk1~3:上述した分散液
〔樹脂〕
Ba-1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量11000)
Ba-2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量15000)
Ba-3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。xとyとzの合計値は50である。Mw=15000)
Bb-1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量13000)
〔重合性モノマー〕
D-1:アクリレート化合物(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)
D-2:エポキシ化合物(TETRAD-X、三菱ガス化学(株)製、N,N,N‘,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン)
D-3:オキセタン化合物(OXT-221、東亞合成(株)製、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン)
D-4:オキセタン化合物(OX-SQ TX-100、東亞合成(株)製)
〔光重合開始剤〕
E-1:Omnirad 379EG(IGM Resins B.V.社製、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン)
E-2:Irgacure OXE01(BASF社製、オキシム化合物)
E-3:下記構造の化合物
〔溶剤〕
C-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
C-3:シクロヘキサノン
<評価>
[分散性の評価]
(保存安定性)
各実施例及び比較例において、それぞれ樹脂組成物の粘度(mPa・s)を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定した。上記測定後、樹脂組成物を45℃、遮光、3日間の条件にて静置し、再度粘度(mPa・s)を測定した。上記静置前後での粘度差(ΔVis)から下記評価基準に従って保存安定性を評価した。粘度差(ΔVis)の数値が小さいほど、樹脂組成物の保存安定性が良好であり、顔料の分散性が良好であるといえる。上記粘度測定は、いずれも、温湿度を22±5℃、60±20%に管理した実験室で、樹脂組成物の温度を25℃に調整した状態で測定した。
-評価基準-
A:ΔVisが0.5mPa・s以下であった。
B:ΔVisが0.5mPa・sを超え、1.0mPa・s以下であった。
C:ΔVisが1.0mPa・sを超え、2.0mPa・s以下であった。
D:ΔVisが2.0mPa・sを超え、2.5mPa・s以下であった。
E:ΔVisが2.5mPa・sを超えた。
(粒子径)
JIS8826:2005に準じた動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所社製、LB-500)を用いて、上記で得られた樹脂組成物を20mlサンプル瓶に分取し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより固形分濃度が0.2質量%になるように希釈調整した。温度25℃で2mlの測定用石英セルを使用して、上記希釈液のデータ取り込みを50回行い、得られた個数基準の算術平均の顔料の粒子径(数平均粒子径)を求めた。顔料の数平均粒子径の値が小さいほど顔料の分散性が良好であるといえる。
-評価基準-
A:顔料の数平均粒子径が0.05μm以下であった。
B:顔料の数平均粒子径が0.05μmを超え、0.10μm以下であった。
C:顔料の数平均粒子径が0.10μmを超え、0.20μm以下であった。
D:顔料の数平均粒子径が0.20μmを超え、0.50μm以下であった。
E:顔料の数平均粒子径が0.50μmを超えた。
〔膜収縮率の評価〕
各実施例及び比較例において、それぞれ樹脂組成物をガラス基板上にスピンコートで塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒乾燥(プリベーク)した後に、オーブンを用いて200℃で30分加熱(ポストベーク)して厚さ0.60μmの膜を製造した。膜厚は、膜の一部を削ってガラス基板表面を露出し、ガラス基板表面と塗布膜の段差(塗布膜の膜厚)を触針式段差計(DektakXT、BRUKER社製)を用いて測定した。次いで、得られた膜を窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した。加熱処理後の膜の膜厚を同様にして測定し、下記式より膜収縮率を求め、下記評価基準に従って膜収縮率を評価した。下記T及びTは、いずれも、温湿度を22±5℃、60±20%に管理した実験室で、基板温度を25℃に温度調整を施した状態で測定した。膜収縮率が小さいほど、膜収縮が抑制されており、好ましい結果であるといえる。
膜収縮率(%)=(1-(T/T))×100
:製造直後の膜の膜厚(=0.60μm)
:窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した後の膜厚
-評価基準-
A:膜収縮率が1%以下であった。
B:膜収縮率が1%を超え5%以下であった。
C:膜収縮率が5%を超え10%以下であった。
D:膜収縮率が10%を超え30%以下であった。
E:膜収縮率が30%を超えた。
〔クラックの評価〕
各実施例及び比較例において、それぞれ樹脂組成物をガラス基板上にスピンコートで塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒乾燥(プリベーク)した後に、オーブンを用いて200℃で30分加熱(ポストベーク)して厚さ0.60μmの膜を製造した。次いで、得られた膜の表面に、スパッタ法によりSiOを200nm積層して無機膜を形成した。この無機膜が表面に形成された膜を、窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した。加熱処理後の無機膜の表面を光学顕微鏡で観察し、1cm当たりのクラックの個数をカウントして、下記評価基準に従ってクラックの有無を評価した。
-評価基準-
A:1cm当たりのクラックの個数が0個であった。
B:1cm当たりのクラックの個数が1~10個であった。
C:1cm当たりのクラックの個数が11~50個であった。
D:1cm当たりのクラックの個数が51個~100個であった。
E:1cm当たりのクラックの個数が101個以上であった。
実施例の樹脂組成物を用いた場合、比較例の樹脂組成物を用いた場合と比較して、いずれも保存安定性および粒子径の評価が優れており、顔料の分散性に優れていた。更には、実施例の樹脂組成物を用いた場合、比較例の樹脂組成物を用いた場合と比較して、いずれも膜収縮率が小さく、クラックの発生が抑制されていた。このため、比較例の樹脂組成物と比較して、膜を製造した後の工程におけるプロセスウインドウの拡大を図ることが可能であるといえる。
(実施例1000:フォトリソグラフィ法でのパターン形成)
シリコンウエハ上に、実施例1の樹脂組成物をスピンコートで塗布し、ホットプレートを用いて100℃で120秒乾燥(プリベーク)した後に、オーブンを用いて200℃で30分加熱(ポストベーク)して厚さ0.60μmの樹脂組成物層を形成した。次いで、この樹脂組成物層に対して、一辺1.1μmの正方形状の非マスク部が4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon(株)製)を使用して波長365nmの光を500mJ/cmの露光量で照射して露光した。次いで、露光後の樹脂組成物層が形成されているシリコンウエハを、スピン・シャワー現像機(DW-30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、現像液(CD-2000、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用い、23℃で60秒間パドル現像した。次いで、シリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥してパターン(画素)を形成した。
作製した画素付きシリコンウエハを2分割し、一方を窒素雰囲気下にて300℃で5時間加熱処理した(以下、一方を300℃加熱処理前基板、他方を300℃加熱処理後基板とする)。300℃加熱処理前基板、及び、300℃加熱処理後基板に形成されている画素の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で評価したところ、300℃加熱処理後基板に形成されている画素の高さ(厚さ)は、300℃加熱処理前基板に形成されている画素の高さ(厚さ)の97%であった。

Claims (2)

  1. 式(EDM1)で表される化合物;
    式(EDM1)中、RED1は酸無水物基を表し、
    LpED1は、n+1価の基を表し、前記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、炭化水素基と-NRpED1-、-N<、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-および-CONRpED1-から選ばれる少なくとも1種の基とを組み合わせた構造の基であり、
    RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
    LpED2は-O-または-S-を表し、
    ED1は式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
    nは1~4の整数を表す;
    式(P1-1)~式(P1-4)中、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。
  2. 前記式(EDM1)で表される化合物は、式(EDM2)で表される化合物である、請求項1に記載の化合物;
    式(EDM2)中、RED12はハロゲン原子、アルキル基、カルボキシ基またはヒドロキシ基を表し、
    LpED1aは、n+1価の基を表し、前記n+1価の基は、炭化水素基であるか、または、2以上の炭化水素基を単結合または連結基で結合した基であり、前記連結基は、-NRpED1-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NRpED1CO-または-CONRpED1であり、
    RpED1は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、
    LpED2は-O-または-S-を表し、
    ED1は前記式(P1-1)~式(P1-4)のいずれかで表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表し、
    rは0~3の整数を表し、
    nは1~4の整数を表す。
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