JP2024113061A - 非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】短絡発生に対する抑制効果が高い非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、負極活物質層を有する負極と、正極活物質層を有する正極と、非水溶媒を含有する非水電解質と、上記負極活物質層及び上記正極活物質層間に介在するセパレータと、上記セパレータ及び上記負極活物質層間に介在する第1無機粒子層とを備え、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記非水溶媒がフッ素化カーボネートを含む非水電解質蓄電素子である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
近年、非水電解質二次電池の高容量化に向けて、負極の高容量化が求められている。リチウム金属は、現在リチウムイオン二次電池の負極活物質として広く用いられている黒鉛と比較すると活物質質量あたりの放電容量が著しく大きい。このため、負極活物質としてリチウム金属を用いた非水電解質二次電池が提案されている(特開2011-124154号公報参照)。
特開2011-124154号公報
しかしながら、負極活物質にリチウム金属が用いられた非水電解質蓄電素子においては、充電の際に負極表面でリチウム金属が樹枝状に析出することがある(以下、樹枝状の形態をしたリチウム金属を「デンドライト」という。)。このデンドライトが成長すると、セパレータを貫通して正極と接触し、短絡を引き起こすおそれがある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、短絡発生に対する抑制効果が高い非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一側面は、負極活物質層を有する負極と、正極活物質層を有する正極と、非水溶媒を含有する非水電解質と、上記負極活物質層及び上記正極活物質層間に介在するセパレータと、上記セパレータ及び上記負極活物質層間に介在する第1無機粒子層とを備え、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記非水溶媒がフッ素化カーボネートを含む非水電解質蓄電素子である。
本発明によれば、短絡発生に対する抑制効果が高い非水電解質蓄電素子を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を示す外観斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、負極活物質層を有する負極と、正極活物質層を有する正極と、非水溶媒を含有する非水電解質と、上記負極活物質層及び上記正極活物質層間に介在するセパレータと、上記セパレータ及び上記負極活物質層間に介在する第1無機粒子層とを備え、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記非水溶媒がフッ素化カーボネートを含む。
当該非水電解質蓄電素子によれば、短絡発生に対する抑制効果が高い。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。当該非水電解質蓄電素子の非水電解質が、非水溶媒としてフッ素化カーボネートを含むことで、負極活物質層表面において、フッ素化カーボネートの還元分解生成物であるフッ化リチウムの含有率が高い被膜が形成される。このフッ化リチウムの含有率が高い被膜は均一かつ安定であり、電流分布が均一に維持されるので、デンドライトの形成が抑制される。また、負極活物質層がリチウム金属を含み、上記負極活物質層及び上記セパレータ間に第1無機粒子層が介在することで、リチウム金属の体積変化に起因する圧迫によるセパレータの細孔の閉塞に対する耐性が高まる。このため、リチウム金属とセパレータとの界面における電流分布が均一に維持されるので、デンドライトの形成が抑制される。このように、当該非水電解質蓄電素子はデンドライトの形成に対する抑制効果に優れる結果、短絡発生に対する抑制効果が高い。
上記フッ素化カーボネートがフッ素化環状カーボネートを含むことが好ましい。上記フッ素化カーボネートがフッ素化環状カーボネートを含むことで、当該非水電解質蓄電素子のデンドライトの形成に対する抑制効果をより高めることができる。
上記非水溶媒における上記フッ素化環状カーボネートの含有量が10体積%以上50体積%以下であることが好ましい。上記非水溶媒における上記フッ素化環状カーボネートの含有量が上記範囲であることで、当該非水電解質蓄電素子のデンドライトの形成に対する抑制効果をより高めることができる。
上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することが好ましい。上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することで、長期の充放電サイクル時の正極活物質層表面における非水電解質の分解生成物によるセパレータの目詰まりなどが、多孔質の第2無機粒子層によって抑制される。その結果、正極とセパレータとの界面における電流分布が均一に維持されると考えられる。従って、上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することで、短絡の発生に対する抑制効果をより向上できる。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子について詳説する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、負極と、正極と、非水電解質とを備える。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属ケース、樹脂ケース等を用いる
ことができる。
[負極]
負極は、負極基材と、上記負極基材の少なくとも一方の面に直接又は間接に積層される負極活物質層とを備える。負極は、負極基材と負極活物質層との間に配される中間層を備えていてもよい。
(負極基材)
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。なお、「導電性」を有するとは、JIS-H0505(1975)に準拠して測定される体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が1×10Ω・cm超であることを意味する。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、非水電解質二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。「基材の平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。
(負極活物質層)
上記負極活物質層は、負極活物質としてリチウム金属を含む。負極活物質がリチウム金属を含むことで活物質質量あたりの放電容量を向上できる。上記リチウム金属には、リチウム単体の他、リチウム合金が含まれる。リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムマグネシウム合金、リチウムインジウム合金等が挙げられる。リチウム金属を含む負極活物質層は、箔状のリチウム金属を所定の形状に切断するか、圧延、蒸着等により所定の形状に成形することにより製造できる。
さらに、負極活物質層は、Na、K、Ca、Fe、Mg、Si、N等の元素を含有してもよい。
上記負極活物質に占めるリチウム金属の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限は、100質量%であってよい。
[正極]
正極は、正極基材と、正極活物質層とを有する。上記正極活物質層は、正極活物質を含有する。上記正極活物質層は、上記正極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H4000(2014)に規定されるA1085、A3
003等が例示できる。
正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質としては、例えば、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1-x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β≦1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極活物質層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解質二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
上記バインダーとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。正極活物質層におけるバインダーの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。
上記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。負極と同様、中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒及びこの非水溶媒に溶解している電解質塩を含有する。上記非水溶媒は、フッ素化カーボネートを含む。なお、上記非水電解質は、液体に限定されるものではない。すなわち、上記非水電解質は、液体状のものだけに限定されず、固体状やゲル状のもの等も含む。
(非水溶媒)
上記非水溶媒は、フッ素化カーボネートを含む。上記非水溶媒は、フッ素化カーボネートを含むことで、負極活物質層表面において、フッ素化カーボネートの還元分解生成物であるフッ化リチウムの含有率が高い被膜が形成される。このフッ化リチウムの含有率が高い被膜は均一かつ安定であり、電流分布が均一に維持されるので、デンドライトの形成が抑制される。フッ素化カーボネートとは、カーボネートが有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された化合物をいう。フッ素化カーボネートは、1種又は2種以上を用いることができる。上記フッ素化カーボネートとしては、フッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カーボネートが挙げられる。
上記フッ素化環状カーボネートとしては、例えばフルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート等のフッ素化エチレンカーボネート、フルオロメチルエチレンカーボネート等のフッ素化プロピレンカーボネート、トリフルオロエチルエチレンカーボネート等のフッ素化ブチレンカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも、フッ素化エチレンカーボネートが好ましく、フルオロエチレンカーボネートがより好ましい。上記フルオロエチレンカーボネートは耐酸化性が高く、非水電解質蓄電素子の充放電時に生じうる副反応(非水溶媒等の酸化分解等)の抑制効果が高い。また、フルオロエチレンカーボネートは比較的貴な電位で還元分解することで、リチウム金属上に速やかに安定な被膜を生成することから、リチウム金属上での継続的な非水電解質の還元分解を抑制することができる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、例えばトリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート(FDEC)等が挙げられる。
上記フッ素化カーボネートがフッ素化環状カーボネートを含むことが好ましい。上記フッ素化カーボネートがフッ素化環状カーボネートを含むことで、当該非水電解質蓄電素子のデンドライトの形成に対する抑制効果をより高めることができる。また、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。フッ素化鎖状カーボネートを用いることで、非水電解質の粘度を低く抑えることができる。フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとを併用する場合、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとの体積比率(フッ素化環状カーボネート:フッ素化鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から80:20の範囲が好ましく、20:80から70:30の範囲がより好ましく、30:70から60:40の範囲がさらに好ましく、40:60から50:50の範囲がよりさらに好ましいこともある。
上記非水溶媒は、フッ素化カーボネート以外の有機溶媒を含有してもよい。他の有機溶媒としては、例えばフッ素化鎖状カーボネート以外の鎖状カーボネート、フッ素化環状カーボネート以外の環状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、ラクトン、ニトリル、スルホン、サルファイト等を挙げることができる。
上記フッ素化鎖状カーボネート以外の鎖状カーボネートとしては、例えばジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができる。上記フッ素化環状カーボネート以外の環状カーボネートとしては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができる。
上記エステルとしては、例えば3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチル、酢酸-2,2,2-トリフルオロエチル、リン酸トリス(2,2-ジフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)等を挙げることができる。
上記エーテルとしては、例えば1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、メチルヘプタフルオロプロピルエーテル、メチルノナフルオロブチルエーテル等を挙げることができる。
フッ素化カーボネート以外の有機溶媒としては、非水電解質の粘度を低く抑えることができる観点から、フッ素化鎖状カーボネート以外の鎖状カーボネートが好ましい。
上記非水溶媒における上記フッ素化カーボネートの含有量の下限としては、10体積%が好ましく、30体積%がより好ましい。上記フッ素化カーボネートの含有量の上限としては、100体積%が好ましく、50体積%がより好ましい。上記非水溶媒における上記フッ素化カーボネートの含有量が上記範囲であることで、当該非水電解質蓄電素子のデンドライトの形成に対する抑制効果をより高めることができる。
上記非水溶媒における上記フッ素化環状カーボネートの含有量の下限としては、10体積%が好ましく、20体積%がより好ましい。上記フッ素化環状カーボネートの含有量の上限としては、50体積%が好ましく、40体積%がより好ましい。上記非水溶媒における上記フッ素化環状カーボネートの含有量が上記範囲であることで、当該非水電解質蓄電素子のデンドライトの形成に対する抑制効果をより高めることができる。また、リチウム金属上で非水電解質が連続的に還元分解されることが抑制され、分解生成物であるガスの発生量が低減される。
上記非水溶媒におけるフッ素化溶媒の含有量の下限としては、50体積%が好ましく、70体積%がより好ましく、90体積%がさらに好ましく、99体積%がさらに好ましい。全非水溶媒におけるフッ素化溶媒の含有量は100体積%であることが特に好ましい。非水溶媒を実質的にフッ素化溶媒のみから構成することで、非水電解質の耐酸化性をより高めることなどができる。なお、フッ素化溶媒とは、フッ素化カーボネート(フッ素化鎖状カーボネート及びフッ素化環状カーボネート)を含み、フッ素化エステル、フッ素化エーテル等、分子内にフッ素原子を有する非水溶媒をいう。
(電解質塩)
上記電解質塩としては、一般的な非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
上記非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.1mol dm-3が好ましく、0.3mol dm-3がより好ましく、0.5mol dm-3がさらに好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、3mol dm-3が好ましく、2mol dm-3がより好ましい。
(その他の添加剤等)
上記非水電解質は、本発明の効果を阻害しない限り、その他の添加剤を含有していてもよい。上記その他の添加剤としては、一般的な非水電解質に含有される各種添加剤を挙げることができる。上記その他の添加剤としては、例えばビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解質に含まれる添加剤の含有量は、非水電解質全体に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上7質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又は充放電サイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
上記非水電解質は、通常、上記非水溶媒に、上記電解質塩等の各成分を添加し、溶解させることにより得ることができる。
[セパレータ]
セパレータは、上記負極活物質層及び上記正極活物質層間に介在する。セパレータの形態としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられ、多孔質樹脂フィルムが好ましい。セパレータの材料は、通常、樹脂である。セパレータの材料となる樹脂としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータとして、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
セパレータの平均厚さとしては、例えば3μm以上50μm以下が好ましく、6μm以上25μm以下がより好ましい。セパレータの平均厚さが上記下限以上であることで、短絡の発生をより抑制することができる。一方、セパレータの平均厚さが上記上限以下であることで、非水電解質蓄電素子の高エネルギー密度化を図ることができる。なお、セパレータの平均厚さは、任意の10カ所で測定した厚さの平均値とする。
[無機粒子層]
第1無機粒子層は、上記セパレータ及び上記負極活物質層間に介在する。第1無機粒子層は無機粒子を含む多孔質の層である。第1無機粒子層はバインダー等のその他の成分が含有されていてもよい。第1無機粒子層の形態としては、第1無機粒子層が上記セパレータの表面に一体的に形成されていてもよく、第1無機粒子層が負極活物質層の表面上に形成されていてもよい。上記負極活物質層及び上記セパレータ間に第1無機粒子層が介在することで、リチウム金属の体積変化に起因する圧迫によるセパレータの細孔の閉塞に対する耐性が高まる。このため、リチウム金属とセパレータとの界面における電流分布が均一に維持されるので、デンドライトの形成が抑制される。このように、当該非水電解質蓄電素子はデンドライトの形成に対する抑制効果に優れる結果、短絡発生に対する抑制効果が高い。
上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することが好ましい。第2無機粒子層は、上記第1無機粒子層と同様の構成を有する。また、第2無機粒子層の形態としては、第2無機粒子層が上記セパレータの表面に一体的に形成されていてもよく、第2無機粒子層が正極活物質層の表面上に形成されていてもよい。上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することで、長期の充放電サイクル時の正極活物質層表面における非水電解質の分解生成物によるセパレータの目詰まりなどが、多孔質の第2無機粒子層によって抑制される。その結果、正極とセパレータとの界面における電流分布が均一に維持されると考えられる。従って、上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有することで、短絡の発生に対する抑制効果をより向上できる。
無機粒子を構成する材料の具体的種類としては、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機粒子としては、軽量化の観点からこれらの中でもより密度の低いものが好ましい。無機粒子として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記無機粒子層における無機粒子の含有量としては、50質量%以上100質量%以下が好ましく、60質量%以上99質量%以下がより好ましく、70質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。
上記無機粒子層がバインダーを含有する場合、上記無機粒子層におけるバインダーの含有量としては、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
上記無機粒子の平均粒径の上限としては、10μmが好ましく、8μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。上記平均粒径の下限としては特に限定されないが、例えば5nm又は50nmであってよく、500nmであってもよい。また、上記無機粒子は、小粒径のほうが大粒径と比較して無機層の面積あたりの細孔の数が増加することで電流分布がより均一となることから、本発明の効果をより奏することができる。ここで、「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
無機粒子層のバインダーとしては、上記正極活物質層のバインダーと同様のものを用いることができる。
無機粒子層の平均厚さとしては、例えば2μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上6μm以下がより好ましい。無機粒子層の平均厚さが上記下限以上であることで、短絡の発生をより抑制することができる。一方、無機粒子層の平均厚さが上記上限以下であることで、高いエネルギー密度を維持することができる。なお、無機粒子層の平均厚さは、任意の10カ所で測定した厚さの平均値とする。
セパレータ及び無機粒子層全体の平均厚さとしては、例えば5μm以上60μm以下が好ましく、9μm以上30μm以下がより好ましい。セパレータ及び無機粒子層全体の平均厚さが上記下限以上であることで、短絡の発生をより抑制することができる。一方、セパレータ及び無機粒子層全体の平均厚さが上記上限以下であることで、非水電解質蓄電素子の高エネルギー密度化を図ることができる。なお、セパレータ及び無機粒子層全体の平均厚さは、任意の10カ所で測定した厚さの平均値とする。
[非水電解質蓄電素子の具体的構成]
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、パウチフィルム型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に非水電解質蓄電素子1として、角型の非水電解質二次電池を一例として示す。なお、同図は、ケース内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型のケース3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
[非水電解質蓄電素子の製造方法]
本実施に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば電極体を準備する工程と、非水電解質を準備する工程と、電極体及び非水電解質をケースに収容する工程と、を備える。電極体を準備する工程は、正極及び負極を準備する工程と、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより電極体を形成する工程を備える。
上記非水電解質をケースに収容する工程では、公知の方法から適宜選択できる。例えば、液状の非水電解質(「電解液」ともいう)を用いる場合、ケースに形成された注入口から電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。当該製造方法によって得られる非水電解質蓄電素子を構成する各要素についての詳細は上述したとおりである。
[その他の実施形態]
なお、本発明に係る非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン非水電解質二次電池が挙げられる。
本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。また、本発明の非水電解質蓄電素子(セル)を単数又は複数個用いることにより蓄電ユニットを構成することができ、さらにこの蓄電ユニットを用いて蓄電装置を構成することができる。上記蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いることができる。さらに、上記蓄電装置は、エンジン始動用電源装置、補機用電源装置、無停電電源装置(UPS)等の種々の電源装置に用いることができる。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合させた蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質として、α―NaFeO型結晶構造を有し、Li1+αMe1-α(Meは遷移金属)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いた。ここで、LiとMeのモル比Li/Meは1.33であり、Meは、Ni及びMnからなり、Ni:Mn=1:2のモル比で含んでいるものであった。
N-メチルピロリドン(NMP)を分散媒とし、上記正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、及びバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を94:4.5:1.5の質量比率で含有する正極ペーストを作製した。正極基材である平均厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に、上記正極ペーストを塗布し、乾燥し、プレス後、切断し、幅30mm、長さ40mmの矩形状に正極活物質層が配置された正極を作製した。
(負極の作製)
負極基材である平均厚さ10μmの銅箔の片面に、負極活物質層として平均厚さ60μmのリチウム金属箔(リチウム金属100質量%)を積層し、プレス後、幅32mm、長さ42mmの矩形状に切断することで、負極を作製した。
(非水電解質の調製)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)及び2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)を30:70の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/dmの濃度で溶解させ、非水電解質とした。
(セパレータ及び無機粒子層)
セパレータとしては、ポリオレフィン系樹脂のみからなる平均厚さ15μmのものを用いた。また、第1無機粒子層及び第2無機粒子層はそれぞれ上記セパレータの表面に一体的に形成し、第1無機粒子層がセパレータ及び負極活物質層間に介在し、第2無機粒子層がセパレータ及び正極活物質層間に介在するように配置した。第1無機粒子層及び第2無機粒子層は、それぞれ平均厚さ6μmであり、無機粒子とバインダーとを質量比で95:5となるように含有させた。無機粒子としては、アルミノケイ酸塩を用いた。
(非水電解質蓄電素子の作製)
上記セパレータ及び無機粒子層を介して、上記正極と上記負極とを積層することにより電極体を作製した。この電極体をケースに収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
[実施例2から実施例6及び比較例1から比較例4]
無機粒子層の構成及び非水電解質の非水溶媒の組成を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2から実施例6及び比較例1から比較例4の非水電解質蓄電素子を得た。
(初期充放電)
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。25℃において、充電電流0.1C、充電終止電圧4.6Vとして定電流定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.02Cとなるまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流0.1C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。この充放電を2サイクル行った。
(充放電サイクル試験)
次いで、以下の充放電サイクル試験を行った。25℃において、充電電流0.2C、充電終止電圧4.6Vとして定電流定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。その後、10分間の休止期間を設けた。その後、放電電流0.1C、放電終止電圧2.0Vとして定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。この充放電のサイクルを繰り返し、短絡が生じるまでのサイクル数を記録した。結果を表1に示す。なお、「-」は該当する成分を含まないことを意味する。
Figure 2024113061000001
表1に示されるように、セパレータ及び負極活物質層間に介在する第1無機粒子層を備え、非水溶媒がフッ素化カーボネートを含む実施例1から実施例6の非水電解質蓄電素子においては、短絡が生じるまでのサイクル数が50回を超え、短絡の発生が十分に抑制された結果となった。また、上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有する実施例1及び実施例3から実施例6は、セパレータ及び負極活物質層間に介在する第1無機粒子層のみを備える実施例2よりも短絡の発生に対する抑制効果がより高い結果となった。
一方、セパレータ及び負極活物質層間に介在する第1無機粒子層を備えていない比較例1、比較例3及び比較例4、並びに上記第1無機粒子層を備えているが非水溶媒がフッ素化カーボネートを含まない比較例2は、短絡の発生に対する抑制効果が低い結果となった。
以上の結果、当該非水電解質蓄電素子は、短絡の発生に対する抑制効果が高いことが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 ケース
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (4)

  1. 負極活物質層を有する負極と、
    正極活物質層を有する正極と、
    非水溶媒を含有する非水電解質と、
    上記負極活物質層及び上記正極活物質層間に介在するセパレータと、
    上記セパレータ及び上記負極活物質層間に介在する第1無機粒子層と
    を備え、
    上記負極活物質層がリチウム金属を含み、
    上記非水溶媒がフッ素化カーボネートを含む非水電解質蓄電素子。
  2. 上記フッ素化カーボネートがフッ素化環状カーボネートを含む請求項1に記載の非水電解質蓄電素子。
  3. 上記非水溶媒における上記フッ素化環状カーボネートの含有量が10体積%以上50体積%以下である請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。
  4. 上記セパレータ及び上記正極活物質層間に介在する第2無機粒子層をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の非水電解質蓄電素子。
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