JP2023056402A - 非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できる非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を備え、上記負極が負極活物質層を有し、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であり、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
近年、非水電解質二次電池の高容量化に向けて、負極の高容量化が求められている。リチウム金属は、現在リチウムイオン二次電池の負極活物質として広く用いられている黒鉛と比較すると活物質質量あたりの放電容量が著しく大きい。すなわち、黒鉛の質量あたりの理論容量は372mAh/gであるが、リチウム金属の質量あたりの理論容量は3860mAh/gとなり、著しく大きい。このため、負極活物質としてリチウム金属を用いた非水電解質二次電池が提案されている(特開2011-124154号公報参照)。
特開2011-124154号公報
上記したように、リチウム金属は、エネルギー密度の高い負極活物質として知られている。しかしながら、負極がリチウム金属を含有する非水電解質蓄電素子においては、充電の際に負極表面でリチウム金属が樹枝状に析出することがある(以下、樹枝状の形態をしたリチウム金属を「デンドライト」という。)。上記デンドライトにより、負極の比表面積が大きくなると共に非水電解質が継続的に還元分解され、分解生成物であるガスが発生しやすくなる。また、上記デンドライトは、続く放電の際に負極表面のリチウム金属がリチウムイオンとして非水電解質へ溶解することによって、負極表面から脱落して電気的に孤立化しやすい。充放電を繰り返すとこのデンドライトの析出と孤立化が繰り返されるために、負極における溶解析出可能なリチウム金属がより局所的に枯渇しやすく、かつ負極の比表面積が大きくなりやすいためによりガスの発生量が大きくなる。
本発明の目的は、高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できる非水電解質蓄電素子を提供することである。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を備え、上記負極が負極活物質層を有し、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記負極活物質層の平均厚さが40μm以上であり、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下である。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できる。
図1は、非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す透視斜視図である。 図2は、非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置の一実施形態を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を備え、上記負極が負極活物質層を有し、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であり、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下である。
当該非水電解質蓄電素子によれば、負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であり、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下であることで、当該非水電解質蓄電素子が高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できる。この理由は定かでは無いが、以下のように推測される。負極活物質層がリチウム金属を含む非水電解質蓄電素子においては、充電の際に負極表面に析出するデンドライトにより、負極の比表面積が大きくなると共に非水電解質が継続的に還元分解され、分解生成物であるガスが発生しやすくなる。また、上記デンドライトは、続く放電の際に負極表面のリチウム金属がリチウムイオンとして非水電解質へ溶解することによって、負極表面から脱落して電気的に孤立化しやすい。充放電を繰り返すとこのデンドライトの析出と孤立化が繰り返されるために、負極における溶解析出可能なリチウム金属がより局所的に枯渇しやすく、かつ負極の比表面積が大きくなりやすいために還元分解される電解液の量が大きくなり、よりガスの発生量が大きくなる。さらに、リチウム金属を含む負極活物質層の厚さが十分でない場合、充放電サイクルに伴ってリチウム金属が局所的に枯渇し、負極基材が露出する部分が生じる可能性がある。上記負極基材にリチウム金属が析出する場合、過電圧が大きくなるために、よりデンドライトとして析出しやすくなってガスの発生量が大きくなる。当該非水電解質蓄電素子においては、負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であることで、デンドライトの析出が抑制されるために、ガスの発生を抑制できる。また、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上であることで、正極の容量が負極の容量に対して小さいことから、負極表面に溶解析出するリチウム金属の量が低減されるため、充放電サイクルに伴うリチウム金属の局所的な枯渇が抑制される結果、ガスの発生を抑制できる。一方、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が7.0以下であることで、正極の容量に対して負極の容量を過剰とならないようにできる。これにより、当該非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。従って、当該非水電解質蓄電素子の高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できると考えられる。ここで、上記「容量」とは、各非水電解質蓄電素子の想定される電気化学反応において、活物質が可逆的に反応することができる最大の電気量のことをいう。
上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが60μm以上であることが好ましい。上記負極活物質層の平均厚さが60μm以上であることによって、デンドライトの析出がより抑制されるために、ガスの発生の抑制効果をより高めることができる。
上記「負極活物質層の平均厚さ」は、以下の手順で算出できる。
初めに、非水電解質蓄電素子を、0.1Cの電流で、通常使用時の放電終止電圧まで定電流放電し、放電された状態とする。この放電された状態の非水電解質蓄電素子を解体し、取り出した負極を作用極とし、銅箔を対極とした電池を組み立てる。次に、充放電装置の正極側に作用極を接続し、充放電装置の負極側に対極を接続する。そして、上記電池の電圧が0.5Vとなるまで充電して作用極からリチウム金属を溶解させ、得られる電気量を測定する。上記電気量[mAh]をリチウム金属の理論容量(3860mAh/g)で割り、溶解したリチウム金属の質量を算出する。上記質量をリチウム金属の密度(0.536g/cm)で割り、体積を算出する。上記体積を上記電池における作用極と対極との対向面積で割ることによって算出された値を負極活物質層の平均厚さとする。
セパレータを介して上記正極及び上記負極が積層された電極体を備え、上記電極体が、上記積層された方向に荷重が付与された状態であることが好ましい。上記電極体が、上記積層された方向に荷重が付与された状態であることによって、デンドライトの析出をより抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の構成、蓄電装置の構成、及び非水電解質蓄電素子の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子の構成>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、負極、正極及びセパレータを有する電極体と、非水電解質と、上記電極体及び非水電解質を収容する容器と、を備える。電極体は、通常、複数の負極及び複数の正極がセパレータを介して重ねられた積層型、又は、負極及び正極がセパレータを介して重ねられた状態で巻回された巻回型である。非水電解質は、正極及びセパレータに含まれた状態で存在する。非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。
負極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。また、負極活物質層が導電性を有する場合は負極基材を用いなくてもよい。
中間層は、負極基材と負極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで負極基材と負極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
負極活物質層は、リチウム金属を含む。リチウム金属は、負極活物質として機能する成分である。リチウム金属は、実質的にリチウム元素のみからなる純リチウム金属として存在してもよいし、他の金属元素を含むリチウム合金として存在してもよい。リチウム合金としては、リチウム銀合金、リチウム亜鉛合金、リチウムカルシウム合金、リチウムアルミニウム合金、リチウムマグネシウム合金、リチウムインジウム合金等が挙げられる。リチウム合金は、リチウム以外の複数の金属元素を含んでいてもよい。
負極活物質層は、実質的にリチウム金属のみからなる層であってよい。負極活物質層におけるリチウム金属の含有量は、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、99質量%以上であってよく、100質量%であってよい。負極活物質層におけるリチウム金属の含有量が上記下限以上であることで、二次電池のエネルギー密度をより高めることができる。
負極活物質層は、リチウム金属箔又はリチウム合金箔であってよい。負極活物質層は、無孔質の層(中実の層)であってもよい。負極活物質層は、リチウム金属を所定の形状に切断するか、所定の形状に成形することにより製造できる。
負極活物質層の放電された状態における平均厚さの下限は、40μmであり、50μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。一方、負極活物質層の放電された状態における平均厚さの上限としては、250μmが好ましく、200μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。負極活物質層の放電された状態における平均厚さを上記下限以上又は上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子のガスの発生に対する優れた抑制効果と高いエネルギー密度とを両立することができる。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記負極で例示した構成から選択することができる。
正極基材は、導電性を有する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択でき、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質としては、当該非水電解質蓄電素子の放電容量および放電電圧を向上させる観点から、これらの中でもα-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の非水溶媒を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
上記正極の容量に対する上記負極の容量の比の下限は、1.1であり、1.5が好ましく、1.7がより好ましい。このように上記正極の容量に対する上記負極の容量の比を上記下限以上とすることで、正極の容量が負極の容量に対して小さいことから、負極表面に溶解析出するリチウム金属の量が低減されるため、充放電サイクルに伴うリチウム金属の局所的な枯渇が抑制される結果、ガスの発生を抑制できる。一方、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比の上限は、7.0であり、6.0が好ましく、5.0がより好ましい。このように上記正極の容量に対する上記負極の容量の比を上記上限以下とすることで、正極の容量に対して負極の容量を過剰とならないようにできる。これにより、当該非水電解質蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
環状カーボネートとしては、FECが好ましい。上記FECは耐酸化性が高く、非水電解質蓄電素子の充放電時に生じうる副反応(非水溶媒等の酸化分解等)の抑制効果が高い。また、FECは比較的貴な電位で還元分解することで、リチウム金属上に速やかに安定な被膜を生成することから、リチウム金属上での継続的な非水電解液の還元分解を抑制することができる。
非水電解液が非水溶媒としてFEC等のフッ素化環状カーボネートを含む場合、上記非水電解液の全非水溶媒におけるフッ素化環状カーボネートの含有量は、10体積%を超えることが好ましい。一方、上記フッ素化環状カーボネートの含有量の上限としては、70体積%が好ましく、50体積%がより好ましい。上記非水電解液に含有されるフッ素化環状カーボネートの含有量が、上記上限以上又は上記下限以下であることで、リチウム金属上で非水電解液が連続的に還元分解されることが抑制され、分解生成物であるガスの発生量が低減される。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMC及びDMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から70:30の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、通常、リチウム塩が用いられる。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒及び電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上6質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上5質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、ガスの発生を抑制するとともに、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
非水電解質には、固体電解質を用いてもよく、非水電解液と固体電解質とを併用してもよい。
固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有し、常温(例えば15℃から25℃)において固体である任意の材料から選択できる。固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び酸窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiI-LiS-P、Li10Ge-P12等が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(電極体への荷重の付与)
電極体は、上記正極及び上記負極が積層された方向(各層の厚さ方向)に荷重を付与された状態であることが好ましい。これにより、デンドライトの析出をより抑制することができる。容器に収容された電極体は、容器の外部から、すなわち容器を介して荷重を付与された状態とすることができる。但し、電極体の一部(例えば、扁平状の巻回型の電極体における一対の曲面部等)は、荷重を付与されていなくてもよい。また、積層型の電極体、及び扁平状の巻回型の電極体の平坦部の一部のみが荷重を付与されていてもよい。
上記電極体への荷重の付与は、例えば容器を外側から加圧する加圧部材等により行うことができる。加圧部材は、容器の形状を拘束する拘束部材であってよい。加圧部材(拘束部材)は、例えば容器を介して電極体を積層方向の両面から挟み込んで荷重を付与するように設けられる。電極体において荷重を付与される面は、直接又は他の部材を介して、容器の内面と接している。このため、容器が加圧されることにより、電極体に荷重が付与される。加圧部材としては、例えば拘束バンド、金属製のフレーム等が挙げられる。例えば金属製のフレームにおいては、ボルト等によって荷重が調整可能に構成されていてよい。また、複数の二次電池(蓄電素子)を、電極体の積層方向に並べて配置し、この積層方向の両端から複数の二次電池を加圧した状態でフレーム等を用いて固定してもよい。
上記電極体が積層方向に荷重を付与された状態における電極体にかかる圧力の下限としては、0.1MPaが好ましく、0.2MPaがより好ましい。上記下限以上の圧力で電極体に荷重を付与することで、デンドライトの析出をより抑制することができる。上記電極体にかかる圧力の上限としては、例えば5MPaであってよく、3MPa、2MPa又は1MPaであってもよい。上記上限以下の圧力で電極体に荷重を付与することで、正極と負極との間隔が狭くなり過ぎることに起因する短絡の発生をより抑制することができる。
上記電極体にかかる圧力は、以下の方法により測定された値とする。
まず、蓄電素子を0.2Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電した後、エックス線CT装置に設置する。電極体の積層方向(図1におけるY方向)に平行な方向に沿ってスキャニングし、電極体の積層方向と直交する面(図1におけるXZ平面)の少なくとも一部が容器の内面に直接的又は間接的に接しているかどうかを確認する。電極体の積層方向と直交する面が容器の内面に直接的又は間接的に接していない場合、電極体にかかる圧力は0MPaとする。電極体の積層方向と直交する面が容器の内面に直接的又は間接的に接している場合は、上記電極体のエックス線透過画像を撮像し、電極体の積層方向における最大厚さを測定する。蓄電素子を解体して電極体を取り出し、電極体の積層方向と直交する面にプローブが接する方向となるようにオートグラフに設置する。オートグラフにより、電極体の積層方向と直交する面に徐々に荷重を加え、エックス線透過画像から測定した電極体の積層方向における最大厚さまで電極体を圧縮する。このとき、オートグラフで測定される荷重を、電極体へ付与された荷重とする。この電極体へ付与された荷重を、容器と電極体との接触面の面積で除した値を電極体にかかる圧力とする。なお、通常、容器によって電極体の対向する一対の面に対して荷重が付与されるが、この一対の面の一方の面のみの面積を荷重が付与されている面の面積とする。
本実施形態の非水電解質蓄電素子の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての非水電解質蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の非水電解質蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)を備える蓄電装置として搭載することができる。この場合、蓄電装置に含まれる少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の非水電解質蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の非水電解質蓄電素子1の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の非水電解質蓄電素子の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体及び非水電解質を容器に収容することと、を備える。電極体を準備することは、正極及び負極を準備することと、セパレータを介して正極及び負極を重ねる又は巻回することにより電極体を形成することとを備える。
非水電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。当該製造方法によって得られる非水電解質蓄電素子を構成するその他の各要素についての詳細は上述したとおりである。
<その他の実施形態>
尚、本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、非水電解質蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池として用いられる場合について説明したが、非水電解質蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質として、α―NaFeO型結晶構造を有し、Li1+αMe1-α(Meは遷移金属)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いた。ここで、LiとMeのモル比Li/Meは1.33であり、Meは、Ni及びMnからなり、Ni:Mn=1:2のモル比で含んでいるものであった。
N-メチルピロリドン(NMP)を分散媒とし、上記正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、及びバインダであるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を固形分として92.5:4.5:3.0の質量比率で含有する正極合剤ペーストを作製した。正極基材である厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に、上記正極合剤ペーストを塗布し、乾燥し、プレス後、切断し、幅40mm、長さ30mmの矩形状に正極活物質層が配置された正極を作製した。正極活物質層の塗布量は2.6g/100cmであり、正極質量は0.33gであり、正極容量は75mAhであった。上記正極は、120℃で14時間以上減圧乾燥して用いた。
(負極の作製)
負極基材として、幅42mm、長さ32mm、平均厚さ8μmの銅箔を用いた。上記銅箔の片面に、負極活物質層として、平均厚さ60μmのリチウム金属版を積層した。負極質量は0.13gであった。
また、上記負極を作用極とし、銅箔を対極とした電池を組み立て、上記「負極活物質層の平均厚さ」の算出手順に記載した方法により測定した上記正極と対向する幅40mm、長さ30mmの範囲の負極容量は148mAhであった。したがって、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比は2.0であった。また、上記「負極活物質層の平均厚さ」の算出手順に記載した方法により算出した負極活物質層の平均厚さは60μmであり、上記リチウム金属板の平均厚さと一致することを確認した。
(セパレータ)
厚さ21μmのポリプロピレン製微孔膜をセパレータとして用いた。
(非水電解質の調製)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)及びジメチルカーボネート(DMC)を30:70の体積比で混合した混合溶媒にLiPFを1mol/dmの濃度で溶解させた溶液を作製した。その後、添加剤として1,3-プロペンスルトンを上記溶液に対して2質量%溶解させることによって非水電解質を得た。
(非水電解質蓄電素子の組み立て)
上記正極と負極とを上記セパレータを介して重ねることによって、単層積層型の電極体を得た。この電極体を金属樹脂複合フィルム製の容器に収納し、非水電解質を注入して封口した。電極体にかかる荷重が0.3MPaとなるように容器の両面から加圧部材で加圧した状態として、実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
また、以下のようにして得られた非水電解質蓄電素子の体積を測定した。25℃にて、イオン交換水500mlを入れたビーカーの質量W1を記録した。次に、測定対象の非水電解質蓄電素子を吊るした状態で上記イオン交換水中に浸漬させた。このとき、上記非水電解質蓄電素子全体が上記イオン交換水中に浸漬し、かつ、上記非水電解質蓄電素子が上記ビーカーの底面や側面に接触しないように位置を調整した。このときの質量W2を記録した。上記質量の差分(W2-W1)を25℃の水の密度で除することによって非水電解質蓄電素子の体積を求め、組み立て後の体積とした。
[実施例2から実施例6、比較例1から比較例7、比較例11及び比較例12]
負極活物質層の平均厚さ、負極質量、負極容量、正極活物質層の塗布量、正極質量、正極容量、及び正極の容量に対する上記負極の容量の比を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2から実施例6、比較例1から比較例7、比較例11及び比較例12の非水電解質蓄電素子を得た。
[比較例8から比較例10]
負極が負極活物質層を有さず、負極質量、正極活物質層の塗布量、正極質量、正極容量、及び正極の容量に対する上記負極の容量の比を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8から比較例10の非水電解質蓄電素子を得た。なお、比較例8から比較例10では、実施例1において負極基材として用いた平均厚さ8μmの銅箔を負極として用いた。
[参考例1及び参考例2]
負極活物質として、黒鉛を用いた。質量比で、黒鉛:スチレンブタジエンゴム:カルボキシメチルセルロース=96.7:2.1:1.2の割合(固形分換算)で含み、水を分散媒とする負極合剤ペーストを作製した。この負極合剤ペーストを、参考例1においては負極活物質層の塗布量が単位面積あたり6.2mg/cmとなるように、また、参考例2においては負極活物質層の塗布量が単位面積あたり9.2mg/cmとなるように、負極基材としての帯状の銅箔の片面に塗布し、乾燥した。これをローラープレス機により加圧して負極活物質層を成型した後、100℃で14時間減圧乾燥し、切断し、幅42mm、長さ32mmの矩形状に負極活物質層が配置された負極を作製した。このようにして得た負極を用い、負極活物質層の平均厚さ、負極質量、負極容量、正極活物質層の塗布量、正極質量、正極容量、及び正極の容量に対する上記負極の容量の比を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1及び参考例2の非水電解質蓄電素子を得た。なお、参考例1及び参考例2における負極活物質層の平均厚さは、任意の5箇所の厚さを測定し、得られた測定値を平均した値である。
参考例1及び参考例2の負極容量は次のように求めた。上記負極を作用極とし、リチウム金属極を対極として、非水電解質蓄電素子を得た。この非水電解質蓄電素子を25℃で0.02Vまで放電電流0.1Cで定電流放電したのちに、0.02Vで定電圧放電した。放電の終了条件は、放電電流が0.05Cとなるまでとした。放電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で1.00Vまで充電電流0.1Cで定電流充電した。この試験で得られた充電容量を負極容量とした。
[評価]
(初回充放電)
得られた実施例1から実施例6、比較例1から比較例12の各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初回充放電を行った。25℃で4.60Vまで充電電流0.1Cで定電流充電したのちに、4.60Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で2.00Vまで放電電流0.1Cで定電流放電した。
(初期容量確認試験)
初回充放電後、実施例1から実施例6、比較例1から比較例12の各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期容量確認試験を行った。25℃で4.60Vまで充電電流0.1Cで定電流充電したのちに、4.60Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で2.00Vまで放電電流0.1Cで定電流放電した。この試験で得られた放電容量を「初期放電容量」とした。また、実施例1から実施例6、比較例1から比較例12の正極容量は上記初期放電容量と一致することを確認した。
また、負極活物質として黒鉛を用いた参考例1及び参考例2の非水電解質蓄電素子については、25℃で4.50Vまで充電電流0.1Cで定電流充電したのちに、4.50Vで定電圧充電した以外は上記と同様に、初回充放電及び初期容量確認試験を行った。
(充放電サイクル試験)
次に、以下の充放電サイクル試験を行った。実施例1から実施例6、比較例1から比較例12の各非水電解質蓄電素子については、25℃で4.60Vまで充電電流0.2Cで定電流充電したのちに、4.60Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で2.00Vまで放電電流0.1Cで定電流放電を行い、その後、10分間の休止期間を設けた。この充放電を50サイクル実施した。
また、負極活物質として黒鉛を用いた参考例1及び参考例2の非水電解質蓄電素子については、上記充放電サイクル試験の充電を、25℃で4.50Vまで充電電流0.2Cで定電流充電したのちに、4.50Vで定電圧充電した以外は、上記と同様とした。
(充放電サイクル後のガスの発生量)
充放電サイクル後のガスの発生量は、下記の手順で測定した。充放電サイクル試験後の各非水電解質蓄電素子について、実施例1の電池の組み立てにおいて記載した手法で体積を求めた。充放電サイクル試験後の体積から組み立て後の体積を引いた体積を充放電サイクル後のガスの発生量とした。
(エネルギー密度の測定)
各非水電解質蓄電素子について、以下の方法にてエネルギー密度を求めた。まず、非水電解質蓄電素子を組み立て前の負極の質量及び正極の質量を測定した。次に、初期容量確認試験における放電で得られた放電中間電圧と初期放電容量とを乗ずることによって、放電エネルギー(Wh)を算出した。この放電エネルギーを負極の質量と正極の質量との合計の質量で除することによって、エネルギー密度(Wh/kg)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2023056402000001
上記表1に示されるように、上記負極活物質層がリチウム金属を含み、上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であり、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下である実施例1から実施例6に係る非水電解質蓄電素子は、高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生に対する抑制効果が高いことが確認された。
これに対し、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1未満である比較例1から比較例3、比較例8から比較例10、及び比較例12に係る非水電解質蓄電素子は、ガスの発生に対する抑制効果が劣っていた。また、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が7.0を超える比較例4から比較例7、及び上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下であるが、負極活物質層の平均厚さが40μm未満の比較例11は、エネルギー密度が低かった。
一方、負極活物質として黒鉛を用いた参考例1及び参考例2においては、上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下であるか否かにかかわらず、ガスの発生量が小さくなり、エネルギー密度が負極活物質としてリチウム金属を含む実施例と比較して低かった。このことから、本願発明の効果は、負極活物質としてリチウム金属を含有する負極に対して選択的に効果を奏する特有の効果であることがわかる。
以上の結果、当該非水電解質蓄電素子は、高いエネルギー密度を有するとともに、ガスの発生を抑制できることが示された。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (3)

  1. 正極、負極及び非水電解質を備え、
    上記負極が負極活物質層を有し、
    上記負極活物質層がリチウム金属を含み、
    上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが40μm以上であり、
    上記正極の容量に対する上記負極の容量の比が1.1以上7.0以下である非水電解質蓄電素子。
  2. 上記負極活物質層の放電された状態における平均厚さが60μm以上である請求項1に記載の非水電解質蓄電素子。
  3. セパレータを介して上記正極及び上記負極が積層された電極体を備え、
    上記電極体が、上記積層された方向に荷重が付与された状態である請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子。
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