JP2024075414A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】シワの発生を抑制できる離型フィルムを提供する。【解決手段】本発明の離型フィルム100は、離型面となる第1離型層11(第一樹脂層)と、第1離型層11とは異なる樹脂組成物から形成された中間層20(第二樹脂層)とが積層されたものであって、以下の手順aで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における離型フィルム100の幅方向(TD)の熱寸法変化率Atが2.5%以下であり、かつ、180℃における離型フィルム100の長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと180℃における離型フィルム100の幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分が5.0%以下である。手順a:熱機械分析装置を用いて、離型フィルム100に10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、離型フィルム100の熱寸法変化率を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、離型フィルムに関する。より詳細には、離型フィルム、離型フィルムの製造方法、および離型フィルム用成形材料セットに関する。
離型フィルムは、成型品を製造する際や異なる材料を貼り合わせた積層体を製造する際等に使用される。
例えば、回路が露出したフレキシブルフィルム(以下「回路露出フィルム」とも称する)に接着剤を介してカバーレイフィルム(以下「CLフィルム」とも称する)を加熱プレスにより貼り付けたフレキシブルプリント回路基板(以下「FPC」とも称する)を作製する際に、カバーレイフィルムと、熱板との間に離型フィルムが配置され、熱板とともに加熱プレスされる(例えば、特許文献1)。
また、例えば、半導体装置の製造プロセスにおいて、金型と、成型対象物との間に離型フィルムを配置し、トランスファーモールド成型法やコンプレッションモールド成型法などの成型手法により、半導体素子などの電子部材が搭載された成型対象物を樹脂封止して半導体装置を製造することが知られている(例えば、特許文献2~4)。
特開2015-58691号公報 特開2020-151949号公報 特開2020-19264号公報 特開2016-092272号公報
しかしながら、従来の離型フィルムを用いて得られた成形体の表面には、離型フィルムに生じたシワやゆがみが転写されたり、熱圧着時に離型フィルムの端部がカールすることで密着性が低下する等の問題が生じ、より高水準で外観が良好な成形体を得つつ、離型フィルムのカールを抑制する点で改善の余地があった。
本件発明者は、離型フィルムに生じるシワやカールの要因について鋭意検討を進めたところ、次のような課題があることを判明した。
通常、離型フィルムを使用する際にはまず、下金型のキャビティ凹部の内面に密着させるため、離型フィルムはその内面形状に沿うように変形される。次に、離型フィルムが配置された下金型のキャビティ凹部内に封止用樹脂材料を充填し、上金型に保持した成形対象物とともに、上下方向からクランプして圧縮成形することで、当該成形対象物を樹脂封止する。ここで、かかる圧縮成形の際、下金型は凹部の容積を小さくするように底面が徐々に押し上げられることとなるため、凹部の内面形状に沿うように配置された離型フィルムに余剰分が発生することとなる。
従来、離型フィルムは加熱により徐々に収縮(弾性回復)する性質があることが知られているが、本件発明者は、離型フィルムのTD方向とMD方向との弾性回復のバランスが崩れると離型フィルムにシワやカールが発生しやすくなることを新たに見出した。そして、さらに鋭意検討を重ねた結果、離型フィルムの熱寸法変化率について新たな指標を考案し、かかる指標を制御することが上記のようなシワやカールの発生を抑制するのに効果的であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の離型フィルムに関する技術が提供される。
[1] 離型面となる第一樹脂層と、前記第一樹脂層とは異なる樹脂組成物から形成された第二樹脂層とが積層された離型フィルムであって、
以下の手順aで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分が5.0%以下である、離型フィルム。
手順a:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
[2] [1]に記載の離型フィルムであって、
180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の前記熱寸法変化率Amが、0%以下である、離型フィルム。
[3] [1]または[2]に記載の離型フィルムであって、
以下の手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Bmが0.1%以上である、離型フィルム。
手順b:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
[4] [1]乃至[3]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
以下の手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Btが3.0%以上である、離型フィルム。
手順b:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
[5] [1]乃至[4]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
前記第一樹脂層はシリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびアクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む表面層用樹脂組成物から構成される、離型フィルム。
[6] [1]乃至[5]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
前記離型フィルムの厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として対称構造および/または対称組成である、離型フィルム。
[7] [1]乃至[6]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
前記離型フィルムは、前記第一樹脂層とは反対側の面に、離型面となる第三樹脂層をさらに有する、離型フィルム。
[8] [1]乃至[7]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
前記第二樹脂層は、ポリエステル樹脂を含む第二樹脂層用樹脂組成物から構成される、離型フィルム。
[9] [8]に記載の離型フィルムであって、
前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、およびポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)、共重合ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂(PET/PEI)の中から選ばれる1種または2種以上を含む、離型フィルム。
[10] [8]または[9]に記載の離型フィルムであって、
前記第二樹脂層は、前記第二樹脂層用樹脂組成物から形成されたフィルムが複数積層されてなる、離型フィルム。
[11] [1]乃至[10]いずれか一つに記載の離型フィルムであって、
前記第二樹脂層は延伸フィルムを含む、離型フィルム。
[12] [10]に記載の離型フィルムであって、
前記フィルムは接着剤層を介して積層されてなる、離型フィルム。
[13] [10]または[11]に記載の離型フィルムであって、
前記接着剤層は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソシアネート、およびポリウレタンの中から選ばれる1種または2種以上から構成される、離型フィルム。
[14] [12]または[13]に記載の離型フィルムであって、
前記接着剤層の厚みは、0.5~10μmである、離型フィルム。
[15] 離型面となる第一樹脂層と、前記第一樹脂層とは異なる樹脂組成物から形成された第二樹脂層とが積層された離型フィルムを製造する際に用いられる、当該第二樹脂層用の成形材料セットであって、
前記第二樹脂層がフィルムであって、当該フィルムについて、以下の手順cで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Cmと180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctとの差分が5.0%以下である、成形材料セット。
手順c:熱機械分析装置を用いて、当該フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該フィルムの熱寸法変化率を測定する。
本発明によれば、シワおよびカールの発生を抑制できる離型フィルムが提供される。
本実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である。 手順aによる実施例1の離型フィルムのTMA測定結果を示す図である。 手順bによる実施例1の離型フィルムのTMA測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書中、MD方向とはMachine Directionを表し、離型フィルムの使用時の流れ(搬送)方向を意図し、TD方向とは、Transverse Directionを表し、垂直方向を意図する。
本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<離型フィルム>
図1は、本実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の離型フィルム100は、一方の離型面を構成する第1離型層11(第一樹脂層)と、第1離型層11とは異なる樹脂組成物から形成された中間層20(第二樹脂層)と、他方の離型面を構成する第2離型層12(第三樹脂層)とがこの順に積層された構成を備える。また、中間層20は、第1中間層20a、第2中間層20bおよび第1中間層20aがこの順で積層された構成を備える。
(熱寸法変化率)
本実施形態の離型フィルム100は、以下の手順aで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分が5.0%以下である。
手順a:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
本実施形態の離型フィルム100の180℃での熱寸法変化率は、離型フィルム100が使用時に金型内で加熱圧縮されることで熱収縮する挙動を意図する。
ここで、離型フィルム100は成膜時に一方向に送り出されるためMD方向においては熱収縮しやすい傾向がある。そこで、離型フィルム100のTD方向の熱収縮率をMD方向の熱収縮率に近づけることが、シワおよびカールを抑制する点から有効となる。
また、手順aにおいて、荷重を10mNの低張力とすることで離型フィルム100の金型内での使用条件により近くなり、離型フィルム100の熱収縮挙動をより高精度に制御できると考えられる。
そこで、本実施形態の離型フィルム100は、180℃での熱寸法変化率について、幅方向(TD)の熱寸法変化率Atが2.5%以下であり、かつ、長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分が5.0%以下となるように構成されている。これにより、加熱圧縮された際に、離型フィルム100がその長さ方向(MD)と幅方向(TD)でバランスよく熱収縮でき、シワおよびカールが発生することを効果的に抑制できると考えられる。
180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atは、2.5%以下であるが、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
熱寸法変化率Atを上記上限値以下とすることで、使用に際して離型フィルム100がMD方向に沿うようにしてシワが発生することを抑制できる。
また、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分(絶対値)は、5.0%以下であるが、4.8%以下であることが好ましく、4.6%以下であることがより好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましい。
熱寸法変化率Amと熱寸法変化率Atとの差分(絶対値)を上記上限値以下とすることで、離型フィルム100の熱収縮時の異方性を低減し、シワおよびカールが発生することを抑制できる。
また、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amは、0%以下であることが好ましく、-1.0%以下であることが好ましく、-1.5%以下であることがさらに好ましい。
熱寸法変化率Amを上記上限値以下とすることで、離型フィルム100の使用に際し、金型に対して離型フィルム100の余剰分が発生することを抑制し、シワおよびカールの発生を低減できる。
本実施形態の離型フィルム100はさらに、以下の手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Bmが0.1%以上であることが好ましく、0.2%以上であることがより好ましい。熱寸法変化率Bmを上記上限値以下することで、カールを抑制しつつ、離型フィルム100の使用に際し、金型に対する良好な型追従性を保持できる。
手順b:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
また、手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(TD)の熱寸法変化率Btは3.0%以上であることが好ましく、3.2%以上であることがより好ましい。熱寸法変化率Bmを上記下限値以上することで、離型フィルム100の使用に際し、カールを抑制しつつ、金型に対する良好な型追従性を保持できる。
なお、手順bにおいて、荷重を500mNの高張力は離型フィルム100が吸引等により下金型のキャビティ凹部の内面形状に沿うように密着される事等を想定している。高張力時の離型フィルム100の熱収縮挙動を制御することでより良好な型追従性を発現できる。
本実施形態の離型フィルム100が備える上記の熱寸法変化率は、中間層20の原材料の種類の選択や層構成、成膜方法などを適宜組み合わせることで実現することができる。
例えば、成膜方法として、中間層20として延伸フィルムを用いると、未延伸のものに比べて、硬くてコシがあるフィルムとすることができる。また、例えば、オフラインエンボス等による後処理を行うことでフィルムの収縮方向を制御することが挙げられる。また、中間層20を互いに異なる樹脂材料から形成される多層構造としてもよい。
(層構成)
本実施形態の離型フィルム100は、厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として対称構造であり、かつ対称組成である。離型フィルム100の厚み方向で二分したときに、上側の層と、下側の層が面対称である。これにより、離型フィルム100の使用時に表裏を気にせず使用することができる。
対称構造とは、離型フィルム100を厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として上下方向に二分したときに、上層と下層の厚み、離型面の表面粗さ、層構成等といった構造が同じであることを意図する。本実施形態において、離型フィルム100を厚さ方向に垂直な方向の中心面は、中間層20bの厚さ方向の1/2の面となる。離型フィルム100は、第1離型層11と第2離型層12の厚み、各離型面の表面粗さ等の層構成は同じであるため、対称構造である。
なお、表面粗さとは、例えば、JIS B 0601:2013に準拠して測定される最大高さRz及び算術平均粗さRa等が挙げられる。また、本実施形態において「構造が同じ」とは測定値が完全に一致するものに限られず、測定誤差や製造上生じる微差を含む。
対称組成とは、離型フィルム100を厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として上下方向に二分したときに、上層と下層を構成する層構成が同じであり、かつ、各層が同じ材料によって構成されていることを意図する。
本実施形態において、離型フィルム100を厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として上下方向に二分したときに、上層には第1離型層11と中間層20(中間層20aと、中間層20bの半分)、下層には第2離型層12と中間層20(中間層20aと、中間層20bの半分)となる。本実施形態において、第1離型層11と第2離型層12は同じ材料から構成されていることが好ましい。
(厚み)
離型フィルム100の厚みは、5μm以上150μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましく、15μm以上80μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上75μmであることがことさらに好ましい。
以下、本実施形態の離型フィルム100が備える各層の詳細について説明する。
[第1離型層(第一樹脂層)]
本実施形態において第1離型層11は、離型フィルム100の一方の離型面を構成し、離型フィルム100を金型に配置した際に、のちの成型品に接する側の面を構成する樹脂層である。
第1離型層11の厚みは、0.01~50μmであることが好ましく、0.05~30μmであることがより好ましく、0.08~25μmであることがさらに好ましく、0.1~15μmであることがことさらに好ましい。
第1離型層11の厚みを上記下限値以上とすることにより、離型フィルム100に必要な離型性を付与する事が出来る。一方、第1離型層11の厚みを上記上限値以下とすることで、離型フィルム100の剛性を制御し、追従性と離型性のバランスを良好にできる。
また、離型フィルム100の第1離型層11側の面の表面粗さRaは、離型性や成型品の良好な外観の観点から、好ましくは0.01~4μmであり、より好ましくは0.05~3μmであり、さらに好ましくは0.1~2μmである。
表面粗さRaを上記下限値以上とすることにより、成型時の離型性を良好にできる。一方、表面粗さRaを上記上限値以下とすることにより、離型性と成型品の良好な外観とのバランスを良好にできる。
第1離型層11側の面の表面粗さの制御方法は、離型フィルムの製造工程においてエンボス加工が施されたロールを用いてフィルムにエンボス模様を転写したり、第1離型層11を構成する材料に粒子を配合する等、公知の方法で調整することができる。
第1離型層11の表面粗さRaは、JIS B 0601:2013に準拠して測定される。
本実施形態において第1離型層11は、第1樹脂組成物を用いて形成される。
また、第1離型層11は、第1樹脂組成物から構成される延伸または未延伸フィルムであってもよい。延伸または未延伸とするかは、適宜設定することができるが、フィルムの剛性を向上させるときは延伸フィルム、成型性を向上させるときは未延伸フィルムとすることが好ましい。また、延伸は逐次二軸延伸、同時二軸延伸、およびチューブラー延伸等の公知の方法を用いて製造することが出来る。
以下、第1樹脂組成物の詳細について説明する。
第1離型層11は、樹脂として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびアクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含むものである。なかでも、成型品の良好な外観を得つつも、離型フィルム100の作業性を良好にする観点から、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、およびアクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましく、メラミン樹脂、またはアクリル樹脂を含むことがより好ましい。
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂としては特に限定されない。例えば、公知または市販の各種シロキサン系ポリマーなど、2以上のシロキサン結合(-Si-O-)を含むポリシロキサンを用いることができる。
ポリシロキサンとしては、ポリオルガノシルセスキオキサンいわゆるラダーシリコーン、ラダーシリコーン変性アクリル系重合体、ビニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの中から選ばれる1種または2種を含むことが好ましい。
中でも、ラダーシリコーン、ラダーシリコーン変性アクリル系重合体であることが好ましい。ラダーシリコーンおよびラダーシリコーン変性アクリル系重合体は、少なくともSiO3/2(T)単位を有するポリシロキサンであり、梯子型の分子骨格構造を有する。これにより、シロキサン結合の自由な回転が拘束されるため、耐熱性や離型性を得ることができる。
ラダーシリコーンとは、梯子型のオルガノポリシロキサン構造を有するポリシロキサンである。具体的には、以下の式(1)で表される構成単位を有するポリシロキサンである。
Figure 2024075414000002
式(1)中、R及びRは、各々独立に、炭素数1~3のアルキル基、若しくは、置換または未置換のフェニル基を表す。
ラダーシリコーン変性アクリル系重合体とは、上記梯子型のオルガノポリシロキサン構造が導入されたアクリル系重合体である。具体的には、以下の式(2)で表される構成単位を有するアクリル系重合体である。
Figure 2024075414000003
式(2)中、R~Rは、各々独立に、炭素数1~3のアルキル基、もしくは、置換又は未置換のフェニル基を表し、R~Rは、各々独立に、水素原子、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~3のトリアルキルシリル基を表し、R10は、炭素数1~6のアルキレン基を表し、R11は、水素原子、又は炭素数1~3のアルキル基を表す。
なかでも、R~Rは、各々独立に、トリメチルシリル基であることが好ましく、R11は水素原子であることが好ましい。
ラダーシリコーン変性アクリル系重合体中のアクリル骨格は、以下の式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2024075414000004
式(3)中、R12は、炭素数1~3のアルキル基、R13は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数1~10のアルコキシ基である。
なかでも、R12はメチル基であることが好ましい。
ラダーシリコーン変性アクリル系重合体としては、具体的には、ラダーシリコーン変性アクリル系重合体(商品名:SQ100・SQ200、トクシキ株式会社製)等が挙げられる。
(フッ素樹脂)
上記のフッ素系樹脂としては、具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテルなどのモノマーの重合体、または、2種以上のモノマーの共重合体などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メラミン樹脂)
上記のメラミン樹脂は、たとえば、メラミン化合物とホルムアルデヒドを中性または弱アルカリ下において重縮合させて得られる。具体的には、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂等のアルキル化メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂、アルキルエーテル化メラミン等が挙げられる。
なかでもメチル化メラミンに由来する構成単位を含むメチル化メラミン樹脂であるのが好ましい。メチル化メラミン樹脂は、メトキシメチル基(-CHOCH)を少なくとも1つ有するものであり、平均重合度は1.1~10である。
(エポキシ樹脂)
上記のエポキシ樹脂としては、その分子量、分子構造に関係なく、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を使用することが可能である。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂;N,N,N’,N’-テトラグリシジルメタキシレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類や、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物から選択される一種または二種以上を含むことができる。
(フェノール樹脂)
上記のフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびアクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、およびメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびアクリルアミド等のモノマーから構成される樹脂である。アクリル系樹脂の構成モノマーとしては、これらの例示のうち1種または2種以上のモノマーを含む。また、アクリル系樹脂の構成モノマーとしては、これらの例示以外のモノマーをさらに含んでもよい。また、これらのモノマーの誘導体であってもよい。
第1樹脂組成物は、上述した樹脂の他に、離型フィルム100の特性を損なわない範囲でその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては限定されないが、粒子、カップリング剤、酸触媒、溶媒、帯電防止剤、レベリング剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。以下、代表成分について説明する。
(粒子)
第1樹脂組成物は粒子を含んでもよい。これにより、第1離型層11の成膜方法によらずに、離型フィルム100の表面粗さを簡便に制御できる。すなわち、第1離型層11が延伸フィルムである場合、離型フィルム100の第1離型層11側の面にエンボス加工を施すことが困難になるが、第1離型層11が粒子を含むことで、第1離型層11が延伸フィルムであっても未延伸フィルムであっても、表面粗さを制御することができる。また、離型フィルム100の第1離型層11側の面を粗化処理しようとした場合と比較して、粒子の粒径、含有量によって、簡便に、表面粗さを大きくすることができる。
第1樹脂組成物に含まれる粒子としては、例えば、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上の有機粒子および/または無機粒子を含むものが挙げられる。本実施形態の第1離型層11は、これら粒子を1種又は2種以上を含むことができる。
上記の無機粒子としては、たとえば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、およびガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、およびシリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、およびハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、および亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、およびホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、および窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、およびチタン酸バリウムなどのチタン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機粒子は、第1離型層11への密着性を高める観点から、表面処理が施されていることがよい。表面処理としては、第1離型層11を構成する有機材料に応じて適宜選択されるが、例えば、第1離型層11にメラミン樹脂が含まれる場合は、アミン、エポキシ、およびイソシアネート等の官能基を有するカップリング剤を用いることが挙げられる。カップリング剤については、後述する。
第1離型層11が粒子を含む場合その含有量は、第1離型層11全量に対して10~50質量%であることが好ましく、15~45質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることがさらに好ましい。
粒子の含有量を上記下限値以上とすることにより、面の表面粗さを高くすることができ、良好な離型性、取扱い性が得られるようになる。
一方、粒子の含有量を上記上限値以下とすることにより、成膜性を良好に保持できる。
なお、離型フィルム100を用いて得られる成型品への光沢を付与する場合は、粒子の含有量は、0質量%であってもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、加水分解性基を有することができる。加水分解性基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基が無機粒子の表面の水酸基と脱水縮合反応することで、無機粒子の表面改質を行うことができる。
また、シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、及びアミノ基等の反応性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シランカップリング剤により表面改質された無機粒子が、第1離型層11中の樹脂と反応できるようになり、その結果、無機粒子が第1離型層11から脱落することを抑制できる。
(溶媒)
第1樹脂組成物は、第1離型層11の製造方法に応じて、例えば、溶媒を含んでもよい。溶媒を含む場合、第1樹脂組成物を溶媒に溶解し、塗工することで第1離型層11を作製することができる。
溶媒としては限定されず、具体的には、水、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、およびテトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、およびベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、および1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、およびN,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、およびジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類;エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[第2離型層(第三樹脂層)]
本実施形態において第2離型層12は、第1離型層11とは反対側の面であって、離型フィルム100の他方の離型面となる。また、第2離型層12は、離型フィルム100を金型に配置した際に、金型に接する側の面を構成する樹脂層である。
第2離型層12の厚みは、0.01~50μmであることが好ましく、0.05~30μmであることがより好ましく、0.08~25μmであることがさらに好ましく、0.1~15μmであることがことさらに好ましい。
第2離型層12の厚みを上記下限値以上とすることにより、シワを抑制でき、剛性を高めて貼りつき性を良好にできる。一方、第2離型層12の厚みを上記上限値以下とすることで、離型フィルム100の柔軟性を向上し、良好な型追従性を得られやすくなる。
第2離型層12の厚みは、第1離型層11と同じであってもよく、異なるものであってもよいが、対称構造/対称組成を構成する点から、同じであることが好ましい。
また、離型フィルム100の第2離型層12側の面の表面粗さRaは、離型性や成型品の良好な外観の観点から、好ましくは0.01~4μmであり、より好ましくは0.05~3μmであり、さらに好ましくは0.1~2μmである。
表面粗さRaを上記下限値以上とすることにより、成型時の離型性を良好にできる。一方、表面粗さRaを上記上限値以下とすることにより、離型性と成型品の良好な外観とのバランスを良好にできる。
第2離型層12側の面の表面粗さの制御方法は、第1離型層11と同様の方法を用いることができる。
また、第2離型層12は、第2樹脂組成物から構成される延伸または未延伸フィルムであってもよい。延伸または未延伸とするかは、適宜設定することができるが、フィルムの剛性を向上させるときは延伸フィルム、成型性を向上させるときは未延伸フィルムとすることが好ましい。また、延伸は逐次二軸延伸、同時二軸延伸、およびチューブラー延伸等の公知の方法を用いて製造することが出来る。
以下、第2樹脂組成物の詳細について説明する。
第2樹脂組成物としては、上記の第1樹脂組成物で挙げられたものと同様の材料を挙げることができる。また、第2樹脂組成物は、第1樹脂組成物と同じであっても互いに異なるものであってもよいが、離型フィルム100を対称構造/対称組成とする点から、第2樹脂組成物は、第1樹脂組成物と同じ材料・組成であることが好ましい。
[中間層(第二樹脂層)]
中間層20は、第1離型層11とは異なる樹脂組成物から形成されたものである。
本実施形態においては、中間層20は、離型フィルム100の離型面を構成する第1離型層11と第2離型層12の間に位置する樹脂層である。
また、図1に示すように、中間層20は、第1中間層20a、第2中間層20bおよび第1中間層20aがこの順で積層された構成を備える。
中間層20の厚みは、20~100μmであることが好ましく、20~70μmであることがより好ましく、25~50μmであることがさらに好ましい。
また、第1中間層20aおよび第2中間層20bの厚みは、5~50μmであることが好ましく、7~40μmであることがより好ましく、10~30μmであることがさらに好ましい。
本実施形態の中間層20はポリエステル樹脂を含む中間層用樹脂組成物から構成される。
以下、中間層用樹脂組成物の詳細について説明する。
(ポリエステル樹脂)
上記のポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)、および共重合ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂(PET/PEI)の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、共重合ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂(PET/PEI)中から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
中間層用樹脂組成物は、ポリエステル樹脂以外に、離型フィルム100の特性を損なわない範囲でその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては限定されないが、ポリオレフィンおよびポリアミド等の熱可塑性樹脂、粒子、カップリング剤、酸触媒、溶媒、帯電防止剤、レベリング剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の他が挙げられる。
(ポリオレフィン樹脂)
上記のポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン、およびブテン等のα-オレフィンに由来する構造単位を有する樹脂であり、公知のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、および線上低密度ポリエチレン(mLLPE)などのポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);ポリビニルアルコール(PVA);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA);エチレン-アクリル酸共重合体(EAA);エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA);エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA);エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA);アイオノマー樹脂;エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、環状オレフィン樹脂(COP)などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ポリアミド樹脂)
上記のポリアミド樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等が挙げられる。脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6-6,6共重合体、ポリアミド11、およびポリアミド12などが挙げられる。芳香族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド61、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6、およびポリアミド12/6Tなどが挙げられる。
(粒子)
粒子としては、上記の第1樹脂組成物で挙げた粒子と同様のものを用いることができる。なかでも、耐熱変性性を得る点から、無機粒子であることが好ましい。この場合、粒子の含有量は、中間層用樹脂組成物全量に対して、1~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
中間層20は、中間層用樹脂組成物を用いてフィルム状に形成されたものであることが好ましい。フィルムの形成方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、押出、インフレーション、カレンダーリング等の公知の方法を適用することができる。
また、中間層20は、延伸フィルム、または未延伸フィルムから構成されてもよく、いずれにするかは適宜設定することができる。例えば、フィルムの剛性を向上させるときは延伸フィルム、成型性を向上させるときは未延伸フィルムとすることが好ましい。また、延伸は逐次二軸延伸、同時二軸延伸、およびチューブラー延伸等の公知の方法を用いて製造することが出来る。
本実施形態の中間層20は、上記の中間層用樹脂組成物を用いて得られたフィルム同士が接着剤層を介して積層されている。
接着剤層としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソシアネート、ポリウレタンの中から選ばれる1種または2種以上から構成されることが好ましい。また、接着剤層の厚みは、特に限定されないが、例えば、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~8μmである。
第1中間層20a、第2中間層20bは、互いに異なる中間層用樹脂組成物により構成されることが好ましい。これにより、離型フィルム100の熱寸法変化率At、および熱寸法変化率Amを高度に制御しやすくなる。
たとえば、第1中間層20aの中間層用樹脂組成物がポリエステル樹脂としてPBTを含む場合は、第2中間層20bの中間層用樹脂組成物はポリエステル樹脂としてPETを含むことが好適である。また、たとえば、第1中間層20aの中間層用樹脂組成物がポリエステル樹脂としてPETを含む場合は、第2中間層20bの中間層用樹脂組成物はポリエステル樹脂としてPBTを含むことが好適である。また、第1中間層20aまたは第1中間層20bの中間層用樹脂組成物として、PETおよびPET以外のポリエステル共重合体を含む樹脂を用いてもよい。
以上、離型フィルム100について説明したが、本発明の離型フィルムはこれに限られず、様々な構成を採用することができる。
例えば、離型フィルム100は離型層を両面に備える例について説明したが、離型層は離型フィルムの一方の面のみに配置されてもよい。
また、離型フィルム100は中間層20が三層構造である例について説明したが、中間層は単層、または四層以上の多層構造であってもよい。また、中間層20が多層構造である場合、いずれも同じ樹脂組成物から形成されたものであってもよく、異なる樹脂組成物から形成されたものであってもよいが、異なる樹脂組成物から形成される場合は、中間層の層構造は対称構造/対称組成であることが好ましい。また、異なる樹脂組成物は、少なくとも2種以上であればよく、中間層の中に互いに同じ樹脂組成物から形成される層が2以上としてもよい。
<離型フィルムの製造方法>
次に、本実施形態の離型フィルム100の製造方法について説明する。
離型フィルム100の製造方法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法、インフレーション押出法、Tダイ押出法等の公知の方法を用いて製造することができる。または、上記のように、各層をフィルム状に形成したのちに、公知の方法で、各フィルムを積層して離型フィルム100としてもよい。
厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として対称構造および/または対称組成の離型フィルム100とする場合、例えば、以下の(i)、(ii)に示す方法が挙げられる。
(i)フィルム状の中間層20を準備し、一方の面上に第1離型層11を構成する第1樹脂組成物の塗工液(ワニスまたはペースト)を塗工し、硬化して第1離型層11を形成した積層体を2つ用意する。得られた2つの積層体を、フィルム状の中間層20が対向するように重ね合わせ、接着層等を介して接合し、離型フィルム100とする。この場合、一方の第1離型層11が、第2離型層12となる。
(ii)フィルム状の第1離型層11、第2離型層12、および中間層20を別々に準備し、第1離型層11、中間層20、及び第2離型層12の順に積層し、ラミネート加工等や接着層等を介して接合し、離型フィルム100する。
第1離型層11、第2離型層12および中間層20を別々に形成する場合、いずれも押出成型法、カレンダー成型法、プレス成型法、または塗布法等の公知の方法を用い、フィルムを得ることができる。また、得られた各フィルムは、必要に応じて、延伸処理を施すことができる。
また、上記の塗布法を用いる場合は、例えば、第1離型層11を構成する第1樹脂組成物を任意の混練装置により、均一に混合して、塗工液(ワニスまたはペースト)を調製し、これを中間層20上に塗工することで中間層20と第1離型層11との積層構造を得ることができる。
混練する際の温度は、樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、ロール設定温度として、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。また、混練時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
つぎに、得られた塗工液を、被塗工面に塗工して、塗工膜を形成する。
塗工方法は特に限定されず、各種公知の手段による。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等が挙げられる。なお、ロールツーロール方式で、第1離型層11、第2離型層12、中間層20のうちいずれかをロールに巻き取ったり送り出したりしながら、積層構造を形成する場合は、巻き取りや送り出しによる張力をできるだけ低減することが好ましい。また、塗工量は、硬化後の重量が好ましくは0.01~10g/m、より好ましくは0.05~5g/mである。
各塗工膜は、その後、硬化されることにより、所望のフィルムとすることができる。硬化条件としては、たとえば、90~170℃で30秒~5分で硬化する。
<離型フィルムの用途・使用方法>
本実施形態の離型フィルム100は、半導体装置の樹脂封止工程において、封止樹脂が供給される型と樹脂封止される半導体装置との間に配置される用途に供される。すなわち、いわゆる、モールド成形用離型フィルムであってもよく、他の用途であってもよい。他の用途としては、例えば、回路が露出したフレキシブルフィルム(以下「回路露出フィルム」とも称する)に接着剤を介してカバーレイフィルム(以下「CLフィルム」とも称する)を加熱プレスにより接着してフレキシブルプリント回路基板(以下「FPC」とも称する)を作製する際に、カバーフィルムと金型との間に配置される用途が挙げられる。また、例えば、CFRP等の熱硬化性樹脂のプリプレグを硬化させる時の離型フィルム、熱硬化性樹脂の成形用離型フィルム、立体形状を有する製品へ印刷等を施す加飾用転写離型フィルム等としても使用できる。
以下、離型フィルム100を用いた樹脂封止半導体装置の製造方法の一例について説明する。
樹脂封止半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(工程1)半導体装置の準備工程
(工程2)離型フィルムの設置工程
(工程3)封止樹脂の供給工程
(工程4)硬化工程
(工程5)成形体の脱型工程
以下各工程についての詳細を説明する。
(工程1)半導体装置の準備工程
半導体装置は、支持体に設けられた回路配線上の電極パッドと、半導体素子に設けられた電極と、を電気的に接続したものである。
半導体素子としては、発光素子や受光素子などの光素子が例示される。発光素子としては、LEDチップ(発光ダイオード)が例示され、受光素子としては、イメージセンサが例示される。
また、支持体は、円形状或いは多角形状等の任意の形状で形成された基板である。支持体としては、セラミックス基板、シリコーン基板、金属基板、エポキシ樹脂及びBTレジン等のリジット基板、又は、ポリイミド樹脂及びポリエチレン基板等のフレキシブル基板が例示される。
(工程2)離型フィルムの設置工程
離型フィルム100を、封止樹脂が供給されるためのキャビティ凹部を有する下金型に配置する。このとき離型フィルム100の第1離型層11の離型面が表側、すなわち後に供給される封止樹脂と接するように配置する。
また、離型フィルム100は、下金型のキャビティ凹部内およびキャビティ凹部を囲む平面部の表面に沿って配設される。このとき、キャビティ凹部を囲む平面部には、離型フィルム100が下金型のキャビティ凹部の形状に追従させるための吸引口が設けられている。かかる吸引口から、吸引装置などを用いて離型フィルム100と型との間の空間にある空気・水分・ガス等を吸引排出して、真空吸着する。さらに、離型フィルム100を型にしっかりと固定するために、封止樹脂注入領域の外周部、離型フィルム100全体の外周部、又は、型全体の外周部に対応する位置に配されたチャック機構によって、離型フィルム100を挟持してもよい。
型としては、公知の金型及び樹脂性金型が例示される。
(工程3)封止樹脂の供給工程
次に、型の凹部であって、離型フィルム100が配置された領域に封止樹脂を供給する。供給方法は公知の方法を用いることができる。また、封止樹脂は、公知の樹脂を用いることができるが、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン変形エポキシ系樹脂等の1種またはこれらの混合物、ならびにこれらの前駆体などが挙げられる。
本実施形態において、離型フィルム100をコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)に適用する場合、封止樹脂の形状は、タブレット状、顆粒状、封粒状またはシート状に加工されたものであることが好ましい。
型内において、封止樹脂は所定温度に加熱され、流動状態となっている。
(工程4)硬化工程
次に、成形対象物が落下しないよう、当該成形対象物の外縁を保持するための突起状の固定具が設けられた上金型に、成形対象物となる半導体装置を取り付け、半導体装置の半導体素子が設けられた面を下金型に対向させ、封止樹脂が凹部に供給された型に対して、圧接する。このとき、上金型の固定具は、下金型の溝部に嵌合し、半導体素子が封止樹脂によって覆われる。続けて封止樹脂を、加熱加圧することによって、硬化し、成形体を得る。
なお、封止樹脂が硬化性樹脂の前駆体である場合は、加熱及び活性エネルギー線照射によって硬化してもよい。上記の活性エネルギー線としては、放射線、紫外線、可視光線及び電子線が例示される。
(工程5)成形体の脱型工程
その後、成形体を型から外す。成形体の脱型工程は、離型フィルム100と型との間に空気・水分・ガス等を供給することにより、離型フィルム100が型から剥がされると共に、成形体が脱型される。これと同時またはのちに、離型フィルム100は成形体から離型する。
支持体に設けられた半導体素子が1つの場合、この成形体が樹脂封止半導体装置となる。
これにより、外観が良好な半導体装置が得られる。
<離型フィルム製造用の成形材料セット>
本実施形態の離型フィルム100製造用の成形材料セットは、一方の離型面を構成する第1離型層11(第一樹脂層)と、第1離型層11とは異なる樹脂組成物から形成された中間層20(第二樹脂層)とが積層された離型フィルム100を製造する際に用いられる、中間層20用の成形材料セットであり、中間層20がフィルムであって、当該フィルムについて、以下の手順cで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Cmと180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctとの差分が5.0%以下である。
手順c:熱機械分析装置を用いて、当該フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該フィルムの熱寸法変化率を測定する。
本実施形態の成形材料セットを用いて離型フィルム100を製造することで離型フィルム100にシワが発生することを抑制できる。
中間層20としては、上記離型フィルム100において説明したものと同様の構成、材料、製法等とすることができる。
本実施形態の成形材料セットは、離型フィルム100の中間層20を形成するための材料を少なくとも含むものであり、さらに、第1離型層11を形成するための材料を含むものであってもよい。
離型フィルム100の製造方法は、上述した製造方法と同様の方法とすることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(1)離型層の原料
・メラミン系離型剤:荒川化学工業製、アラコート、RL3021(主剤)/RA2000(硬化剤))(固形分量10質量%、溶剤:IPA)
・アクリル系離型剤:トクシキ製、SQ100(主剤)/UAX-615(硬化剤))(固形分量10質量%、溶剤:酢酸エチル)
・シリコーン系離型剤:自社配合(固形分量20質量%、溶剤:トルエン)
(2)中間層の原料
・OPBT-1:二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(ボブレット(登録商標)ST、興人フィルム&ケミカルズ製)
・OPBT-2:二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(タフスター(登録商標)ST、東洋製)
・OPET-1:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡製)
・OPET-2:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ティアファイン(登録商標)フィルム、東洋紡製、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル共重合体を含む)
・OPET-3:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(テフレックス(登録商標)フィルム、東洋紡製)
・OPET-4:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー(登録商標)フィルム、東レ製)
・CPBT:未延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(ESRM、大倉工業社製)
・ラミネート用接着剤:TM593(主剤)、CAT-10L(硬化剤)、東洋モートン製(固形分量25質量%、溶剤:酢酸エチル)
(3)離型フィルムの作成
以下のようにして、実施例および比較例の各離型フィルムを作製した。
<実施例1>
表1に示す構成となるようにして、離型フィルムを作製した。
まず、中間層aとして、OPET-1(12μm厚)上に、離型層用原料として調製したメラミン系離型剤をバーコーターを用いて塗工し、120℃、1分で硬化させ、中間層a上に離型層を備える積層体を作成した。次いで、得られた2つの積層体の裏面(中間層a側の面)にラミネート接着剤を塗布し、中間層bとしてOPBT-2(20μm厚)を介在させるようにして2つの積層体と重ね合わせ、加圧接着した。その後50℃48hrエージング処理を行い、さらに、作製した離型フィルムをオフラインエンボス装置を用いて加熱・加圧処理を行い、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムの各層の厚みを表1に示す。接着剤層の厚みは約2μmであった。
<実施例2>
表1に示すように、離型層のメラミン系離型剤をアクリル系離型剤に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
<実施例3>
表1に示すように、中間層aのOPET-1(12μm厚)をOPBT-1(15μm厚)に変更し、中間層bのOPBT-2をOPET-1(12μm厚)に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
<実施例4>
表1に示すように、中間層bのOPBT-2(20μm厚)を、OPET-2(13μm厚)に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
<実施例5>
表1に示すように、中間層bのOPBT-2(20μm厚)を、OPET-3(14μm厚)に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
<実施例6>
表1に示すように、中間層bのOPBT-2(20μm厚)を、OPET-2(13μm厚)に変更し、離型層としてメラミン系離型剤をシリコーン系離型剤に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
<比較例1>
表1に示す構成となるようにして、離型フィルムを作製した。
まず、中間層aとして、OPBT-1(25μm厚)上に、離型層用原料として調製したメラミン系離型剤をバーコーターを用いて塗工し、120℃、1分で硬化させ、中間層a上に離型層を備える積層体を作成した。次いで、得られた2つの積層体同士を、中間層a側が対向するようにして重ね合わせ、ラミネート用接着剤を用いて加圧接着し、その後50℃48hrエージング処理を行い、さらに、作製した離型フィルムをオフラインエンボス装置を用いて加熱・加圧処理を行い、離型フィルムを得た。
得られた離型フィルムの各層の厚みを表1に示す。接着剤層の厚みは2μmであった。
<比較例2>
表1に示すように、中間層aのOPET-1(12μm厚)を、OPET-4(4μm厚)に変更し、中間層bのOPBT-2(20μm厚)を、CPBT(35μm厚)に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを作成した。
(4)各種の物性の測定
得られた離型フィルム等を用いて、以下の測定・評価を行った。結果を表2に示す。
・熱寸法変化率の測定
(手順a)
得られた離型フィルムのTD方向、MD方向それぞれについて、熱機械分析装置(TMA7100(日立ハイテクサイエンス社製))を用いて、当該離型フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、180℃における当該離型フィルムの熱寸法変化率Aをそれぞれ測定した。
図2に、手順aによる実施例1の離型フィルムのTMA測定結果を示した。
(手順b)
得られた離型フィルムのTD方向、MD方向それぞれについて、熱機械分析装置(TMA7100(日立ハイテクサイエンス社製))を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、180℃における当該離型フィルムの熱寸法変化率Bをそれぞれ測定した。
図3に、手順bによる実施例1の離型フィルムのTMA測定結果を示した。
(5)離型フィルムの評価
得られた離型フィルムを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[型追従性]
上記手順において、離型フィルムを真空引きによって金型に追従させたときの金型と離型フィルムとの間の空気だまりの程度について以下の基準で評価した。
◎;空気溜まりが不発生
〇;微小な空気溜まりはあるが、実用上問題なし
△;微小な空気溜まりがあり、フィルム吸着の真空度が低下していた
×;空気溜まりが大きく追従不良が発生(又は評価不能)
[離型性]
上記手順において、成形後の離型フィルムから硬化物を離型した時の離型挙動、及び硬化物の状態(ズレ、撓みなど)から以下の基準で評価した。
〇;離型性、成形体共に問題無し
△;離型時に成形体のズレや撓みがあるが、実用上問題なし
×;離型不能、又は成形体に大きなズレや撓みが発生していた
[成形性]
上記手順において、成形後の離型フィルムから硬化物を離型した後の硬化物の外観状態(シワなど)について以下の基準で評価した。
〇;シワ、変形が無く問題無し
△;若干のシワがあるが、実用上問題なし
×;大きなシワが発生・転写していた
[カール性]
上記手順において、熱圧着時の離型フィルムとカール挙動について以下の基準で評価した。
〇;カールの発生が無く、試験片と綺麗に密着していた
△;微小なカールが発生し、離型フィルムのカール部の試験片と離型フィルム間での噛み込みが発生したが、密着に関して実用上の問題は無かった
×;離型フィルムのカール部の試験片と離型フィルム間で噛み込みが発生し、試験片と離型フィルム間の密着を阻害した
Figure 2024075414000005
11 第1離型層
12 第2離型層
20 中間層
20a 中間層
20b 中間層
100 離型フィルム

Claims (15)

  1. 離型面となる第一樹脂層と、前記第一樹脂層とは異なる樹脂組成物から形成された第二樹脂層とが積層された離型フィルムであって、
    以下の手順aで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Amと180℃における当該離型フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Atとの差分が5.0%以下である、離型フィルム。
    手順a:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
  2. 請求項1に記載の離型フィルムであって、
    180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の前記熱寸法変化率Amが、0%以下である、離型フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    以下の手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Bmが0.1%以上である、離型フィルム。
    手順b:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
  4. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    以下の手順bで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該離型フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Btが3.0%以上である、離型フィルム。
    手順b:熱機械分析装置を用いて、当該離型フィルムに500mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該離型フィルムの熱寸法変化率を測定する。
  5. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    前記第一樹脂層はシリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびアクリル樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む表面層用樹脂組成物から構成される、離型フィルム。
  6. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    前記離型フィルムの厚さ方向に垂直な方向の中心面を基準として対称構造および/または対称組成である、離型フィルム。
  7. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    前記離型フィルムは、前記第一樹脂層とは反対側の面に、離型面となる第三樹脂層をさらに有する、離型フィルム。
  8. 請求項1または2に記載の離型フィルムであって、
    前記第二樹脂層は、ポリエステル樹脂を含む第二樹脂層用樹脂組成物から構成される、離型フィルム。
  9. 請求項8に記載の離型フィルムであって、
    前記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール樹脂(PETG)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、およびポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)、共重合ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート樹脂(PET/PEI)の中から選ばれる1種または2種以上を含む、離型フィルム。
  10. 請求項8に記載の離型フィルムであって、
    前記第二樹脂層は、前記第二樹脂層用樹脂組成物から形成されたフィルムが複数積層されてなる、離型フィルム。
  11. 請求項8に記載の離型フィルムであって、
    前記第二樹脂層は延伸フィルムを含む、離型フィルム。
  12. 請求項10に記載の離型フィルムであって、
    前記フィルムは接着剤層を介して積層されてなる、離型フィルム。
  13. 請求項12に記載の離型フィルムであって、
    前記接着剤層は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイソシアネート、およびポリウレタンの中から選ばれる1種または2種以上から構成される、離型フィルム。
  14. 請求項12に記載の離型フィルムであって、
    前記接着剤層の厚みは、0.5~10μmである、離型フィルム。
  15. 離型面となる第一樹脂層と、前記第一樹脂層とは異なる樹脂組成物から形成された第二樹脂層とが積層された離型フィルムを製造する際に用いられる、当該第二樹脂層用の成形材料セットであって、
    前記第二樹脂層がフィルムであって、当該フィルムについて、以下の手順cで熱寸法変化率を測定したとき、180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctが2.5%以下であり、かつ、180℃における当該フィルムの長さ方向(MD)の熱寸法変化率Cmと180℃における当該フィルムの幅方向(TD)の熱寸法変化率Ctとの差分が5.0%以下である、成形材料セット。
    手順c:熱機械分析装置を用いて、当該フィルムに10mNの荷重をかけた状態で、20℃から210℃まで5℃/分の昇温速度で昇温して、当該フィルムの熱寸法変化率を測定する。
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