JP2022037482A - 離型フィルム - Google Patents

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Shinichi Maeso
潤 岡田
Jun Okada
基 佐藤
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Abstract

【課題】型追従性、寸法安定性および離型性のバランスに優れた離型フィルムを提供する。【解決手段】本発明の離型フィルムは、少なくとも一方の面を構成する層がシリコーンゴム組成物の硬化物からなり、前記一方の面の表面粗さRzが、0.1~10μmである。【選択図】図1

Description

本発明は、離型フィルムに関する。
従来、光デバイス等の製造方法として、キャビティが形成された型に離型フィルムをキャビティに沿うように配設すると共に、キャビティ内に硬化性組成物を充填し、支持体上に設けられた光素子がキャビティ内の硬化性組成物に挿入されるように、支持体を型に圧接した状態で硬化性組成物を圧縮成形することにより硬化性組成物を一体化する方法が用いられている。この離型フィルムとしては、フッ素樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム及びポリオレフィン樹脂フィルムが用いられている(特許文献1)。
特開2010-245477号公報
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記特許文献1に記載されるような従来のフッ素樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、およびポリオレフィン樹脂フィルムでは、キャビティに沿うように変形するための型追従性と、圧縮成形後の寸法安定性と、硬化した硬化性樹脂組成物、すなわち封止体に対する離型性とのバランスにおいて改善の余地があることが判明した。
なお、上記問題は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に代表される熱硬化性樹脂のプリプレグをプレス硬化させる時に使用する離型フィルム、熱硬化性樹脂の成形用離型フィルム、立体形状を有する製品へ印刷等を施す加飾用転写離型フィルム等でも発生する。
本発明者らは、離型フィルムに用いられる新たな材料を開発する観点から鋭意検討を進めたところ、意外にもシリコーンゴム組成物を用いることで、離型フィルムの型追従性、寸法安定性および離型性を向上させる観点において、有効であることを知見した。
そして、さらに検討を重ねた結果、離型フィルムの表面粗さを制御しつつ、シリコーンゴム組成物を用いることで、型追従性、寸法安定性および離型性のバランスに優れた離型フィルムが実現できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、
少なくとも一方の面を構成する層がシリコーンゴム組成物の硬化物からなり、
前記一方の面の表面粗さRzが、0.1~10μmである、離型フィルムが提供される。
本発明によれば、型追従性、寸法安定性および離型性のバランスに優れた離型フィルムが提供される。
第1実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である 第2実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の離型フィルム10は離型層1を備え、離型層1はシリコーンゴム組成物の硬化物からなる。離型層1の離型面3の表面粗さRzは0.1~10μmである。これにより型追従性、寸法安定性および離型性のバランスに優れた離型フィルム10が得られる。さらに、本実施形態の離型フィルム10は表面形状を任意に制御できる。すなわち、フィルムの表面粗さを制御する事により成形する硬化性組成物の外観を任意に調整する事が可能となる。
本実施形態の離型フィルム10は離型層1からなる。以下、離型層1について説明する。
[離型層]
離型層1の離型面3は、離型フィルム10の使用時において後述する封止樹脂と接する面でなる。離型面3の表面粗さRzは0.1~10μmであり、好ましくは1~7μmであり、より好ましくは1~5μmである。
離型面3の表面粗さRzを上記下限値以上とすることにより、成形時の離型性と型追従性のバランスを良好にできる。一方、離型面3の表面粗さRzを上記上限値以下とすることにより、型追従性、寸法安定性を保持しつつ、離型性を良好にできる。
離型面3の表面粗さの制御方法は、離型フィルムの製造工程においてエンボス加工が施されたロールを用いてフィルムにエンボス模様を転写したり、離型層の材料に粒子を配合する等、公知の方法で調整することができる。
離型層1の表面粗さRzは、JIS B0601:2013に準拠して測定される。
離型層1の厚みは、30μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上400μm以下であることがより好ましく、150μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。
離型層1の厚みを上記下限値以上とすることにより、離型フィルム10の剛性を高め、過度に変形し、シワが発生することを抑制しやすくなる。その結果、型追従性、寸法安定性が得られるようになる。一方、離型層1の厚みを上記上限値以下とすることで、離型フィルム10の剛性を制御し、型追従性と離型性のバランスを良好にできる。
離型層1は、シリコーンゴム組成物を用いてなる。
本実施形態においてシリコーンゴム組成物とは、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を主骨格とするシリコーンの弾性、圧縮性などといったゴム様の特性を有するゴム材料である。本発明者らは、シリコーンゴム組成物の新たな用途として離型フィルムに着目し、シリコーンゴム組成物を利用した新たな離型フィルムを実現した。
以下、本実施形態のシリコーンゴム組成物について説明する。
<<ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)>>
本実施形態のシリコーンゴム組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、シリコーンゴム組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、以下の式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2022037482000002
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば以下の式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2022037482000003
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を含んでもよい。第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)のビニル基量は、0.1モル%以下でもよい。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)とビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有してもよい。
シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴム組成物の硬化物の引裂強度を高めるとともに、寸法安定性、転写性を制御しやすくなる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、以下の式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2022037482000004
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、以下の平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、以下の式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2022037482000005
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<無機粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム組成物は、ビニル基含有ポリオルガノシロキサン(A)に加え、無機粒子(C)を含んでもよい。
無機粒子(C)としては、特に限定されないが、珪藻土、酸化鉄、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ、溶融シリカ、およびゼオライトからなる群から得られる1種または2種以上を用いてなる粒子が挙げられる。なかでも、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ、溶融シリカ、およびゼオライトからなる群から得られる1種または2種以上が好ましい。
また、シリカの合成方法の違いにより、ヒュームドシリカ(火炎法シリカ)、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられてもよい。
無機粒子(C)は、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであることが好ましく、100~400m/gであることがより好ましい。
また、無機粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであることが好ましく、5~20nm程度であることがより好ましい。
無機粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成される離型層1の硬さや機械的強度を向上し、離型性、型追従性、寸法安定性のバランスを向上しやすくなる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基が無機粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、無機粒子(C)の表面改質を行うことができる。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、無機粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、無機粒子(C)の凝集力が低下(シリカ粒子の場合、シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム組成物中の無機粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、無機粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、無機粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内での無機粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、無機粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、無機粒子(C)による離型層1の機械的強度(例えば、型追従性、寸法安定性など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、無機粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、無機粒子(C)(シリカ粒子の場合)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中に無機粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成される離型層1の低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、以下の式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n (4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、無機粒子(C)(シリカ粒子の場合)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態のシリコーンゴム組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<<水(F)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、無機粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、無機粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム組成物は、上記(A)~(F)成分の他、シリコーンゴム組成物に配合される公知の添加成分を含有していてもよい。公知の添加成分としては例えば、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
なお、シリコーンゴム組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
本実施形態において、無機粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは40重量部以下でもよい。これにより、離型フィルム10の硬さや引裂強度等の機械的強度を良好にし、離型性、型追従性、寸法安定性のバランスを向上できる。また、無機粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、10重量部以上でもよい。
シランカップリング剤(D)は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、例えば、シランカップリング剤(D)が5重量部以上100重量部以下の割合で含有するのが好ましく、5重量部以上40重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。これにより、無機粒子(C)のシリコーンゴム組成物中における分散性を確実に向上させることができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の含有量は、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)及び無機粒子(C)及びシランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の割合で含有することが好ましく、0.8重量部以上15重量部以下の割合で含有するのがより好ましい。(B)の含有量が上記範囲内であることで、より効果的な硬化反応ができる可能性がある。
白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、無機粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量に対して、本成分中の白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、得られるシリコーンゴム組成物を十分硬化させることができる。白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、得られる離型層1の硬化速度を向上させることができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)と無機粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
また、本実施形態のシリコーンゴム組成物は溶剤(G)を含むペーストであってもよい。
溶剤(G)としては、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで用いられる溶媒は、上記のペースト中の組成成分を均一に溶解ないし分散させることのできる溶媒の中から適宜選択すればよい。
[離型層の製造方法]
次に、本実施形態の離型層1の製造方法について説明する。
本実施形態の離型層1の製造方法としては、上記のシリコーンゴム組成物を調製し、このシリコーンゴム組成物をフィルム状にし、硬化させることにより離型層1を得ることができる。
以下、詳述する。
まず、シリコーンゴム組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、無機粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、無機粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中における無機粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(F)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)と無機粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、無機粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、無機粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40~120℃程度であるのが好ましく、例えば、60~90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130~210℃程度であるのが好ましく、例えば、160~180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3~1.5時間程度であるのが好ましく、0.5~1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7~3.0時間程度であるのが好ましく、1.0~2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、各成分(B)、(E)を混練することで、シリコーンゴム組成物を得る。
なお、この各成分(B)、(E)の混練の際には、予め上記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)とを、上記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(E)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応を進行させることなく、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム組成物中に確実に分散させることができる。
各成分(B)、(E)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1-エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
[3]次に、工程[2]で得られたシリコーンゴム組成物を、溶剤に溶解させることにより、ペースト化してもよい。
[4]次に、シリコーンゴム組成物を、フィルム状に加工し、硬化させることにより離型層1を形成する。
具体的には、シリコーンゴム組成物を押出成形法またはカレンダー成形法、プレス成型法、コーティング等によりフィルム状に成形する。なお、フィルム製膜時にロール等の表面形状を転写・エンボス加工を施してもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、100~250℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
以上のような工程を経ることで、本実施形態のシリコーンゴム組成物を用いた離型層1、すなわち離型フィルム10が得られる。
[離型フィルムの用途・使用方法]
本実施形態の離型フィルム10は、半導体装置の樹脂封止工程において、封止樹脂が供給される型と樹脂封止される半導体装置との間に配置される用途に供される。
以下、離型フィルム10を用いた樹脂封止半導体装置の製造方法の一例について説明する。ただし、離型フィルム10の使用方法は、これに限られない。例えば、CFRP等の熱硬化性樹脂のプリプレグを硬化させる時の離型フィルム、熱硬化性樹脂の成形用離型フィルム、立体形状を有する製品へ印刷等を施す加飾用転写離型フィルム等としても使用できる。
樹脂封止半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(工程1)半導体装置の準備工程
(工程2)離型フィルムの設置工程
(工程3)封止樹脂の供給工程
(工程4)硬化工程
(工程5)成形体の脱型工程
以下各工程についての詳細を説明する。
(工程1)半導体装置の準備工程
半導体装置は、支持体に設けられた回路配線上の電極パッドと、半導体素子に設けられた電極と、を電気的に接続したものである。
半導体素子としては、発光素子や受光素子などの光素子が例示される。発光素子としては、LEDチップ(発光ダイオード)が例示され、受光素子としては、イメージセンサが例示される。
また、支持体は、円形状或いは多角形状等の任意の形状で形成された基板である。支持体としては、セラミックス基板、シリコーン基板、金属基板、エポキシ樹脂及びBTレジン等のリジット基板、又は、ポリイミド樹脂及びポリエチレン基板等のフレキシブル基板が例示される。
(工程2)離型フィルムの設置工程
離型フィルム10を、封止樹脂が供給されるための凹部を有する型に配置する。このとき離型フィルム10の離型面3が表側、すなわち後に供給される封止樹脂と接するように配置する。
また、離型フィルム10は、型の凹部内および凹部を囲む平面部の表面に沿って配設されてもよい。このとき、離型フィルム10が型の凹部の形状に追従するように、吸引装置などを用いて離型フィルム10と型との間の空間にある空気・水分・ガス等を吸引排出して、真空吸着することが好ましい。さらに、離型フィルム10を型にしっかりと固定するために、封止樹脂注入領域の外周部、離型フィルム10全体の外周部、又は、型全体の外周部に対応する位置に配されたチャック機構によって、離型フィルム10を挟持してもよい。
型としては、公知の金型及び樹脂性金型が例示される。
(工程3)封止樹脂の供給工程
次に、型の凹部であって、離型フィルム10が配置された領域に封止樹脂を供給する。供給方法は公知の方法を用いることができる。また、封止樹脂は、公知の樹脂を用いることができるが、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン変形エポキシ系樹脂等の1種またはこれらの混合物、ならびにこれらの前駆体などが挙げられる。
本実施形態において、離型フィルム10をコンプレッションモールド成形法(圧縮成形法)に適用する場合、封止樹脂の形状は、タブレット状、顆粒状、封粒状またはシート状に加工されたものであることが好ましい。
型内において、封止樹脂は所定温度に加熱され、流動状態となっている。
(工程4)硬化工程
次に、準備した半導体装置の半導体素子が設けられた面を、封止樹脂が凹部に供給された型に対して、圧接する。これにより、半導体素子が封止樹脂によって覆われる。続けて封止樹脂を、加熱加圧することによって、硬化し、成形体を得る。
なお、封止樹脂が硬化性樹脂の前駆体である場合は、加熱及び活性エネルギー線照射によって硬化してもよい。上記の活性エネルギー線としては、放射線、紫外線、可視光線及び電子線が例示される。
(工程5)成形体の脱型工程
その後、成形体を型から外す。成形体の脱型工程は、離型フィルム10と型との間に空気・水分・ガス等を供給することにより、離型フィルム10が型から剥がされると共に、成形体が脱型される。これと同時またはのちに、離型フィルム10は成形体から離型する。
支持体に設けられた半導体素子が1つの場合、この成形体が樹脂封止半導体装置となる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、離型フィルム10が離型層1からなるものについて説明したが、第2実施形態では、離型フィルム11が離型層1および基材層2が積層した構成を備える例について説明する。以下、第1実施形態と同様の構成、作用効果についての説明は省略する。
図2は、第2実施形態の離型フィルムの断面を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の離型フィルム11は、基材層2と、基材層2の上に積層された離型層1を備える。
離型フィルム11の厚みは、25μm以上150μm以下であることが好ましく、35μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
[基材層]
基材層2は、離型フィルム11に適度な剛性を付与する観点から用いられる。
基材層2の厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましく、9μm以上35μm以下であることがより好ましく、12μm以上25μm以下であることがさらに好ましい。
基材層2の厚みを上記前記下限値以上とすることにより、離型フィルム11の剛性を高め、過度に変形し、シワが発生することを抑制しやすくなる。その結果、型追従性、寸法安定性が得られるようになる。一方、基材層2の厚みを上記上限値以下とすることで、離型フィルム11の剛性を制御し、型追従性と離型性のバランスを良好にできる。
基材層2の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリ4-メチル1-ペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリプロピレン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂(PHT)および、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等が挙げられる。
上記ポリアミド樹脂としては、例えば、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等が挙げられる。脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6-6,6共重合体、ポリアミド11、ポリアミド12などが挙げられる。芳香族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド61、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6、ポリアミド12/6Tなどが挙げられる。
中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。
また、基材層2として、延伸フィルムを使用してもよく、延伸は逐次二軸延伸、同時二軸延伸、およびチューブラー延伸等の公知の方法を用いて製造することが出来る。
[離型フィルムの製造方法]
離型フィルム11の形成方法としては、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法、等公知の方法を用いて製造することができる。基材層2の表面に、ペースト状に調製したシリコーンゴム組成物を塗工することで、基材層2の上に離型層1を形成してもよい。
第2実施形態の離型フィルム11においては、例えば、離型層1と基材層2とを、別々に製造してからラミネーター等により接合してもよい。また、離型層1と基材層2をそのまま接合してもよいし、接着層を介して接合してもよい。
基材層2を製造する方法としては限定されず、具体的には、インフレーション押出法、Tダイ押出法などが挙げられる。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態で記載したシリコーンゴム組成物、ペースト、およびシリコーンゴム組成物のフィルム状硬化物を使用することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(1)原料
表1に示す実施例および比較例で用いた原料成分を以下に示す。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
・低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1):合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でR(末端)のみがビニル基である構造)
・高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2):合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(式(1-1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B))
・モメンティブ社製:「TC-25D」
(無機粒子(C))
・シリカ粒子(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
・シランカップリング剤(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
・シランカップリング剤(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
・モメンティブ社製:「TC-25A」
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)の合成]
以下の式(5)にしたがって、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、低ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を得た(Mn=2.2×10、Mw=4.8×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
Figure 2022037482000006
[合成スキーム2:高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)の合成]
上記(A1-1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1-1)の合成工程と同様にすることで、以下の式(6)のように、高ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)を合成した。(Mn=2.3×10、Mw=5.0×10)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
Figure 2022037482000007
(2)シリコーンゴム組成物の調製
次のようにしてシリコーンゴム組成物を調製した。
まず、以下の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物に無機粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、無機粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、以下の表1に示す割合で、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)(TC-25D)および白金または白金化合物(E)(TC-25A)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム組成物を得た。
Figure 2022037482000008
(3)離型層(離型フィルム)の作成、準備
<実施例1>
[離型層のみを備える離型フィルムの作成]
上記(2)で調製したシリコーンゴム組成物を、160℃、20MPaで20分間プレスし、厚さ300μmのフィルム状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化し、離型層からなる離型フィルムを作成した。また、かかる手順において、シリコーンゴム組成物をプレスする際に金型表面の凹凸を転写させることによって、凹凸加工を行った。
得られた離型フィルムの離型層の厚みは300μm、離型層の離型面の表面粗さRzは3μmであった。
<実施例2>
[基材層を備える離型フィルムの作成]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡社製、東洋紡エステル(登録商標)フィルム、12μm厚)を基材層とし、基材層上に上記(2)で調製したシリコーンゴム組成物からなるペースト(固形分量25質量%、溶剤デカン)を、バーコーターを用いて塗工し、180℃、120分で硬化させ、基材層上に離型層を備える離型フィルムを得た。
また、かかる手順において、シリコーンゴム組成物からなるペーストを乾燥させた後にマットフィルムを挟み込むことにより、離型層の表面に凹凸加工を行った。
得られた離型フィルムの離型層の厚みは38μm、離型層の離型面の表面粗さRzは2μmであった。
<比較例1>
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET:東洋紡社製、東洋紡エステル(登録商標)フィルム)50μm厚を準備した。
<比較例2>
ポリメチルペンテン(三井化学製、TPX RT31)を押出成形法を用いて50μm厚のフィルムを作製した。
(4)測定・評価
得られた離型フィルムを用いて、以下の測定・評価を行った。結果を表2に示す。
(i)離型層の離型面の表面粗さRzの測定
JIS B0601:2013に準拠して測定した。
(ii)型追従性、寸法安定性、離型性の評価
まず、封止用の樹脂として、以下の熱硬化性樹脂組成物のタブレットを作製した。
(原料)
・エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC-3000)
・エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6677)
・硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(日本化薬社製、GPH-65)
・硬化剤2:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910-20)
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、TPP)
・無機充填材:溶融球状シリカ(電気化学工業社製、FB-950FC)
・着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、MA-600)
・カップリング剤:N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM-573)
・離型剤:カルナバワックス(日興ファイン社製、ニッコウカルナバ)
(手順)
上述したエポキシ樹脂1を4.5質量部、エポキシ樹脂2を4.5質量部、硬化剤1を2.8質量部、硬化剤2を2.8質量部、硬化促進剤を0.4質量部、無機充填材を84.2質量部、着色剤を0.2質量部、カップリング剤を0.4質量部、離型剤を0.2質量部準備した。次いで、各原料成分を常温でミキサーを用いて混合した後、45℃及び90℃の2本ロールで加熱しながらロール混練し、混練物を得た。次いで、前記混練物を冷却した後、これを粉砕し、粉砕物を得た。次いで、粉砕物を打錠成形することで、タブレット形状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
次に、各離型フィルムを用いて、以下のような手順で熱硬化性樹脂組成物の硬化(樹脂封止)を行った。
まず、トランスファーモールド成形及びコンプレッションモールド成形のハイブリッド成形用成形機として、アサヒエンジニアリング社製のCOSMO-TFlex Seriesを用いた。
まず、実施例および比較例各離型フィルムを成型機が備える金型の内に配置し、金型内部空間を真空引きすることにより、該離型フィルムを金型に追従させた。
次に、熱硬化性樹脂組成物のタブレットを所定の位置に配置した。その後、成型機が備える金型をクランプ圧力300kg/cmの条件で締めてから、溶融させた状態にある上記熱硬化性樹脂組成物を射出圧力80kg/cmの条件で成型機が備える金型の内部空間に流し込んだ。次いで、金型のキャビティを移動させることで、熱硬化性樹脂組成物を6kg/cmの圧力で加圧しながら175℃で2分間成形した。その後、上型と下型とを開くことにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物と離型フィルムとを離型した。
[型追従性]
上記手順において、離型フィルムを真空引きによって金型に追従させたときの金型の四隅と離型フィルムとの間の空気だまりの程度について以下の基準で評価した。
◎;空気溜まりが不発生
〇;微小な空気溜まりはあるが、実用上問題なし
△;微小な空気溜まりがあり、フィルム吸着の真空度が低下していた
×;空気溜まりが大きく追従不良が発生(又は評価不能)
[寸法安定性]
上記手順において、成形後の離型フィルムから硬化物を離型した後の硬化物の外観状態(シワなど)について以下の基準で評価した。
〇;シワ、変形が無く問題無し
△;若干のシワがあるが、実用上問題なし
×;大きなシワ、成形不良が発生していた
[離型性]
上記手順において、成形後の離型フィルムから硬化物を離型した時の離型挙動、及び硬化物の状態(ズレ、撓みなど)から以下の基準で評価した。
〇;離型、硬化物共に問題無し
△;離型時に硬化物のズレや撓みがあるが、実用上問題なし
×;離型不能、又は硬化物に大きなシワが転写していた
Figure 2022037482000009
1 離型層
2 基材層
3 離型面
10 離型フィルム
11 離型フィルム

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の面を構成する層がシリコーンゴム組成物の硬化物からなり、
    前記一方の面の表面粗さRzが、0.1~10μmである、離型フィルム。
  2. 前記シリコーンゴム組成物が、ビニル基含有ポリオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記シリコーンゴム組成物が、無機粒子を含む、請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 前記無機粒子の含有量が、前記ビニル基含有ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、10~60重量部である、請求項3に記載の離型フィルム。
  5. 前記無機粒子が、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ、溶融シリカ、およびゼオライトからなる群から得られる1種または2種以上を用いてなる粒子である、請求項3または4に記載の離型フィルム。
  6. 前記シリコーンゴム組成物が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含む、請求項1乃至5いずれか一項に記載の離型フィルム。
  7. 当該離型フィルムは、前記シリコーンゴム組成物の硬化物からなる層から構成される、請求項1乃至6いずれか一項に記載の離型フィルム。
  8. 当該離型フィルムは、基材層と、前記シリコーンゴム組成物の硬化物からなる層とが積層した構成を備える、請求項1乃至7いずれか一項に記載の離型フィルム。
  9. 前記基材層は、ポリエステル樹脂、ポリ4-メチル1-ペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリプロピレン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項8に記載の離型フィルム。
  10. 前記離型フィルムは、半導体装置の樹脂封止工程において、封止樹脂が供給される型と樹脂封止される半導体装置との間に配置される用途に供される、請求項1乃至9いずれか一項に記載の離型フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023234140A1 (ja) * 2022-05-30 2023-12-07 東洋紡株式会社 シリコーン離型ポリエステルフィルム、及びその製造方法

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