JP2024071969A - 回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】鎖交磁束による永久磁石の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保できる高性能な回転電機を提供する。【解決手段】電動モータは、回転軸線Cr回りに回転自在に設けられたロータ9と、ロータ9の外周を取り囲むステータと、を備える。ロータ9は、回転軸線Crを軸心とするシャフトと、シャフトに嵌合固定されるシャフト固定部37と、シャフト固定部37の外周面37aから径方向外側に突出する複数の突極部35と、周方向で隣り合う2つの突極部35の間にそれぞれ配置された複数の永久磁石33と、を有し、永久磁石33における周方向両側の磁石側面33lは、径方向内側に位置し、突極部35における周方向の側面35aに沿う内側面33cと、内側面33cよりも径方向外側に位置する外側面33dと、を有し、永久磁石33における周方向の中心Cmと永久磁石33における周方向両側の各外側面33dとの間の長さL1,L2がそれぞれ異なる。【選択図】図4

Description

本発明は、回転電機に関する。
回転電機として、例えば電動モータが挙げられる。電動モータは、ステータと、ステータに対して回転軸線回りに回転自在に設けられたロータと、を備える。ステータは、コイルが巻回される複数のティースを備える。周方向で隣り合うティースの間に、それぞれスロットが形成される。これらスロットを介し、各ティースにコイルが巻回される。ロータは、ロータコアと、ロータコアに設けられた界磁用の複数の永久磁石と、を備えたものがある。
ロータの中には、ロータコアの外周面に永久磁石を配置する、いわゆる表面磁石(SPM:Surface Permanent Magnet)型のロータがある。さらに、この種のロータの中には、周方向に並ぶ永久磁石間においてロータコアの径方向外側に突出する突極部が設けられたインセット型のロータがある。突極部は、突出方向をステータのコイルによる鎖交磁束が流れやすい方向とする。また、突極部は、鎖交磁束の磁路の磁気抵抗(リラクタンス)を小さくするようにロータコアを回転させるリラクタンストルクを発生させる。このリラクタンストルクとロータの永久磁石による磁石トルクとの合算トルクによってロータが継続的に回転される。
特開2020-80609号公報
ステータのコイルによる鎖交磁束は、ロータコアの突極に向かって吸引されるように流れやすくなる。これに起因して、永久磁石の端部などにおいて永久磁石の内部に鎖交磁束が侵入され、永久磁石の内部に減磁界を発生させる場合がある。このため、鎖交磁束による永久磁石の減磁を抑制することが望まれている。
そこで、本発明は、鎖交磁束による永久磁石の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保できる高性能な回転電機を提供する。
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様では、回転軸線回りに回転自在に設けられたロータと、前記ロータの外周を取り囲むステータと、を備え、前記ステータは、筒状のバックヨーク部と、前記バックヨーク部の内周面に設けられ、かつ周方向に等間隔で並んで配置された複数のティース部と、を有し、前記ティース部は、前記バックヨーク部の前記内周面から径方向に沿って、かつ径方向内側に突出するティース本体と、前記ティース本体における径方向内側の端部から周方向外側に延びるとともに、前記ロータの外周面に径方向で対向する鍔部と、を有し、前記ロータは、前記回転軸線を軸心とするシャフトと、前記シャフトに嵌合固定されるシャフト固定部と、前記シャフト固定部の外周面から径方向外側に突出する複数の突極部と、周方向で隣り合う2つの前記突極部の間にそれぞれ配置された複数の永久磁石と、を有し、前記永久磁石における周方向両側の磁石側面は、径方向内側に位置し、前記突極部における周方向の側面に沿う内側面と、前記内側面よりも径方向外側に位置する外側面と、を有し、前記永久磁石における周方向の中心と前記永久磁石における周方向両側の各外側面との間の長さがそれぞれ異なっている。
このように構成することで、永久磁石の周方向両側の各外側面のうち、減磁界の影響を受けやすい外側面を突極部から離間させる一方、減磁界の影響を受けにくい外側面において永久磁石の体積を十分確保することができる。突極部から永久磁石の外側面が離間されることで永久磁石に鎖交磁束が通りにくくなる。また、永久磁石の体積が大きいほど永久磁石の有効磁束が多くなる。このため、鎖交磁束による永久磁石の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保でき、回転電機を高性能化できる。
本発明の第2態様では、第1態様の回転電機において、前記ロータは、特定の一方向の回転に用いられるものであり、前記永久磁石における周方向両側の2つの前記外側面のうち、前記一方向の前方に位置する前記外側面を前方外側面とし、前記一方向の後方に位置する前記外側面を後方外側面としたとき、前記永久磁石は、周方向の中心と前記前方外側面との間の長さが、周方向の中心と前記後方外側面との間の長さよりも長い。
鎖交磁束による永久磁石の減磁界は、永久磁石の周方向両側の外側面のうち、回転方向の後方の外側面で減磁界が発生しやすい。回転方向前方で生じる鎖交磁束が突極部に流れ込むからである。このため、上述のように構成することで、鎖交磁束による永久磁石の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保でき、回転電機を確実に高性能化できる。
本発明の第3態様では、第1態様又は第2態様の回転電機において、前記回転軸線を通る径方向と平行な直線を第1直線とし、前記第1直線と平行な直線を第2直線、第3直線、及び第4直線とし、前記ティース本体における周方向の中央と、前記永久磁石における周方向の中央とを、前記第1直線上に配置した状態で、前記第1直線上に配置されている前記ティース部の前記鍔部における前記一方向の後方の端部を通るように前記第2直線を配置するとともに、前記第1直線上に配置されている前記永久磁石に対して前記一方向の後方に位置する前記突極部における前記第2直線側の第1角部を通るように前記第3直線を配置し、前記第2直線と前記第3直線との間の中央に前記第4直線を配置したとき、前記永久磁石の前記後方外側面は、前記第2直線と前記第4直線との間の領域に位置しており、かつ前記鍔部における周方向の両端の間の角度θ1は、前記永久磁石の極弧角θ2よりも小さい。
このように構成することで、周方向で隣り合う2つの突極部の間の中心と永久磁石の後方外側面との間の長さを無駄に短くすることなく、効果的に、かつ永久磁石の能力を阻害しない範囲で短くできる。
本発明の第4態様では、第1態様から第3態様のいずれか1つの態様の回転電機において、前記第1直線と平行な直線を第5直線、第6直線、及び第7直線とし、前記ティース本体における周方向の中央と、前記永久磁石における周方向の中央とを、前記第1直線上に配置した状態で、前記第1直線上に配置されている前記ティース部の前記鍔部における前記一方向の前方の端部を通るように前記第5直線を配置するとともに、前記第1直線上に配置されている前記永久磁石に対して前記一方向の前方に位置する前記突極部における前記第5直線側の第2角部を通るように前記第6直線を配置し、前記第5直線と前記第6直線との間の中央に前記第7直線を配置したとき、前記永久磁石の前記前方外側面は、前記第6直線と前記第7直線との間の領域に位置している。
このように構成することで、周方向で隣り合う2つの突極部の間の中心と永久磁石の前方外側面との間の長さを、減磁界の影響を受けにくく、かつできる限り永久磁石の体積を確保できる長さとすることができる。
本発明の第5態様では、第1態様から第4態様のいずれか1つの態様の回転電機において、前記永久磁石の前記前方外側面及び前記後方外側面は、前記第1直線と平行である。
このように構成することで、前方外側面と後方外側面とが平行になる。このため、永久磁石を製造しやすくできるとともに、2つの外側面を利用して永久磁石を搬送しやすくできる。
本発明の第6態様では、第1態様から第5態様のいずれか1つの態様の回転電機において、前記永久磁石は、周方向の中心と前記永久磁石における周方向両側の各前記磁石側面との間がそれぞれ別材料で形成されており、前記永久磁石のうち、周方向の中心と前記外側面との間の長さが長い方は、高残留磁束密度の材料により形成されており、前記永久磁石のうち、周方向の中心と前記外側面との間の長さが短い方は、高保持力の材料により形成されており、前記高残留磁束密度の材料は、磁束密度が4200(G)以上であり、前記高保持力の材料は、磁界の強さが3600(Oe)以上である。
このように構成することで、突極部から永久磁石の外側面が離間された方の永久磁石において、より確実に永久磁石の減磁を抑制することができる。また、突極部に永久磁石の外側面が接近している方は、永久磁石の体積増大に加えて残留磁束密度を高くすることにより、より有効磁束を増大させることができる。このため、より確実に回転電機を高性能化できる。
本発明によれば、鎖交磁束による永久磁石の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保できる高性能な回転電機を提供できる。
本発明の実施形態における減速機付きモータの斜視図である。 図1のII-II線に沿う断面図である。 本発明の実施形態におけるステータ及びロータの径方向に沿う断面図である。 図3のロータのうち、紙面の上半分の拡大図である。 図3のV部拡大図である。 図3のVI部拡大図である。 本発明のロータへのステータにおける鎖交磁束の流れを示す説明図である。 本発明の実施形態における永久磁石の有効磁束の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態における永久磁石の減磁率の変化を示すグラフである。 本発明の実施形態の変形例におけるロータの径方向に沿う断面図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<減速機付きモータ>
図1は、減速機付きモータ1の斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
減速機付きモータ1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。
図1、図2に示すように、減速機付きモータ1は、電動モータ2と、電動モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、電動モータ2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備える。
以下の説明において、単に「軸方向」という場合は、電動モータ2のシャフト31における中心軸(電動モータ2の回転軸線Cr)と平行な方向を意味するものとする。単に「周方向」という場合は、シャフト31の周方向(回転方向)を意味するものとする。単に「径方向」という場合は、軸方向及び周方向に直交するシャフト31の径方向を意味するものとする。
<電動モータ>
電動モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に設けられ、ステータ8に対して回転自在に設けられたロータ9と、を備える。電動モータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
<モータケース>
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギアケース40と接合されるように、このギアケース40と一体成形されている。底部10の径方向中央には、ロータ9のシャフト31が挿通される貫通孔10aが形成されている。
第1モータケース6の開口部6aに、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16が形成されているとともに、第2モータケース7の開口部7aに、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部17が形成されている。これら外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間を有するモータケース5を形成している。モータケース5の内部空間に、第1モータケース6及び第2モータケース7に嵌合されるようにステータ8が配置される。
<ステータ>
図3は、ステータ8及びロータ9の径方向に沿う断面図である。
図2、図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が円形となる筒状のバックヨーク部21と、バックヨーク部21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では6つ)のティース部22と、が一体成形されたステータコア20を有している。ステータコア20は、複数の電磁鋼板20pを軸方向に積層することにより形成されている。ステータコア20は、複数の電磁鋼板20pを軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ティース部22は、バックヨーク部21の内周面から径方向に沿って突出するティース本体101と、ティース本体101の径方向内側端から周方向に沿って延びる鍔部102と、が一体成形されたものである。鍔部102は、ティース本体101から周方向両側に延びるように形成されている。周方向で隣り合う鍔部102の間に、スロット19が形成される。
バックヨーク部21の内周面及びティース部22は、絶縁性を有する樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。このインシュレータ23の上から各ティース部22にコイル24が巻回されている。各コイル24は、コントローラ部4からの給電により、ロータ9を回転させるための鎖交磁束を生成する。
<ロータ>
図4は、図3のロータ9のうち、紙面の上半分の拡大図である。
図2から図4に示すように、ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体成形されたシャフト31と、シャフト31に嵌合固定されたロータコア32と、ロータコア32の外周面32aに設けられた4つの永久磁石33と、ロータコア32における軸方向の両端面(シャフト固定部37における軸方向の両端面)32b,32cに設けられたマグネットホルダ38と、永久磁石33やマグネットホルダ38を覆うマグネットカバー39と、を備える。
このように、電動モータ2は、スロット19(ティース部22)の個数が6個、永久磁石33の個数が4個であり、いわゆる4極6スロットの電動モータ2である。換言すれば、電動モータ2において、永久磁石33の磁極数とスロット19(ティース部22)の数との比は、2:3である。
図3において、ロータ9は、シャフト31の軸心(回転軸線Cr)回りに時計回り、反時計回りに回転可能であるが、本実施形態の電動モータ2は、ロータ9を特定の一方に回転させて用いる。本実施形態においてロータ9の特定の一方向とは、図3における時計回り方向(図3における矢印D参照)である。以下、ロータ9の特定の一方向の回転を、ロータ9の回転方向Dという。
<ロータコア>
ロータコア32は、複数の電磁鋼板32pを軸方向に積層することにより形成されている。ロータコア32は、複数の電磁鋼板32pを軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータコア32は、シャフト31の軸心(回転軸線Cr)を径方向中心とする円柱状のシャフト固定部37と、シャフト固定部37の外周面37aから径方向外側に向かって突出形成された4つの突極部35と、が一体成形されたものである。シャフト固定部37の外周面37aが、ロータコア32の外周面32aである。
シャフト固定部37の径方向中央には、軸方向に貫通するシャフト挿通孔37bが形成されている。シャフト挿通孔37bに、シャフト31が圧入されている。シャフト挿通孔37bに対してシャフト31を挿入とし、接着剤等を用いてシャフト31にロータコア32を固定してもよい。シャフト挿通孔37bには、径方向外側に向かって延びる4つの逃げ溝37cが形成されている。
各逃げ溝37cは、シャフト固定部37を軸方向に貫通するように形成されており、シャフト挿通孔37bに連通されている。各逃げ溝37cは、周方向に等間隔で配置されている。逃げ溝37cにおける径方向の外側端37dは、半円状に形成されている。逃げ溝37cの周方向で対向する両側面37eは、平行となるように平坦に形成されている。つまり、逃げ溝37cは、周方向の幅寸法が径方向で均一になるように形成されている。各逃げ溝37cは、シャフト挿通孔37bへのシャフト31の圧入強度を調整する役割を有するとともに、マグネットホルダ38の位置決めを行う役割を有する。
4つの突極部35は、周方向に等間隔で配置されている。各突極部35は、径方向で各逃げ溝37cと同一直線上に配置されている。換言すれば、各突極部35は、対応する逃げ溝37cと径方向で対向している。
突極部35は、ロータコア32の軸方向全体に延びるように形成されている。突極部35は、周方向で対向する両側面35aが平行となるように形成されている。つまり、突極部35は、周方向の幅寸法が径方向で均一になるように形成されている。
突極部35における径方向の外側端部35bには、1つの溝部91が軸方向全体に渡って形成されている。溝部91は、外側端部35bのうちの周方向中央に配置されている。
溝部91は、径方向内側に向かうに従って周方向の溝幅が徐々に狭くなるように、V溝状に形成されている。この溝部91の周方向両側の角部には、丸面取り部35cが形成されている。丸面取り部35cの径方向最外側端部が、突極部35における径方向の外側端部35bとなる。
このように形成されたロータコア32の外周面32a(シャフト固定部37の外周面37a)で、かつ周方向で隣り合う2つの突極部35の間は、それぞれ磁石収納部36として構成される。
<永久磁石>
各磁石収納部36の全体にそれぞれ永久磁石33が配置され、例えば接着剤等によりロータコア32に固定される。
永久磁石33は、瓦状に形成されている。より具体的には、永久磁石33において、径方向外側の外周面33aの円弧中心Coの位置、及び径方向内側の内周面33bの円弧中心Ciの位置は一致している。これら円弧中心Co,Ciは、回転軸線Crよりも径方向で対応する永久磁石33寄りにずれている。このため、永久磁石33の外周面33aは、周方向の中心Cmから周方向両側に向かうにしたがって、漸次ティース部22の鍔部102から離間する。永久磁石33の外周面33aのうち径方向最外側を通る円の直径と、突極部35における径方向の外側端部35bを通る円の直径とは同一である。
永久磁石33の内周面33bは、シャフト固定部37の外周面37a(ロータコア32の外周面32a)に当接されている。永久磁石33における周方向両側の磁石側面33lは、径方向内側に位置する内側面33cと、内側面33cよりも径方向外側に位置する外側面33dと、を有する。内側面33cは、突極部35の側面35aに沿うように形成されている。換言すれば、内側面33cと突極部35の側面35aとは、ほぼ平行である。内側面33cと内周面33bとは、円弧面33eを介して滑らかに連結されている。
永久磁石33の内側面33cが、突極部35の側面35aに沿うように形成されていることから、周方向で隣り合う2つの突極部35の間の中心Cpの位置と、永久磁石33における周方向の中心Cmの位置とは、一致する。永久磁石33における周方向の中心Cmとは、永久磁石33における周方向両側の内側面33cの間の中心をいう。
図4上では、各中心Cp,Cmを永久磁石33の外周面33a上に記したが、各中心Cp,Cmと回転軸線Crとを通る径方向と平行な第1直線S1上は、各中心Cp,Cmが位置される箇所となる。
また、各中心Cp,Cmの位置が一致するとしたが、ロータコア32や永久磁石33の製造誤差等により周方向で隣り合う突極部35間で永久磁石33がガタツク場合もある。このような場合、各中心Cp,Cmがずれる場合もある。この際、第1直線S1は、永久磁石33における周方向の中心Cmと回転軸線Crとを通る直線を第1直線S1というものとする。
電動モータ2は4極6スロットであることから、ティース部22の鍔部102における周方向の両端の間の角度θ1は、永久磁石33の極弧角θ2よりも小さい。
ティース部22の鍔部102における周方向の両端の間の角度θ1とは、回転軸線Crと鍔部102における周方向の両端とを通る2つの直線Sfの間の角度をいう。
外側面33dは、内側面33cとの内接続部33fから径方向外側に向かうに従って突極部35の側面35aから漸次周方向に離間するように斜めで、かつ平坦に形成されている。1つの永久磁石33において、周方向両側の外側面33dは、永久磁石33における周方向の中心Cmと回転軸線Crとを通る第1直線S1と平行である。このため、2つの外側面33d同士も平行である。
ここで、1つの永久磁石33の2つの外側面33dのうち、ロータ9の回転方向Dにおける前方に位置する外側面33dを前方外側面33dfとし、ロータ9の回転方向Dにおける後方に位置する外側面33dを後方外側面33drとする。このとき、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の長さL1は、第1直線S1と後方外側面33drとの間の長さL2よりも長い。例えば長さL1と長さL2との比は、
L1:L2=1:1.03~1.36 ・・・(1)
を満たす。
以下、前方外側面33df及び後方外側面33drの詳細位置について説明する。
まず、図5に基づいて、後方外側面33drの詳細位置について説明する。
図5は、図3のV部拡大図である。図5では、説明を分かりやすくするために、ステータ8のインシュレータ23及びコイル24の図示を省略している(以下の図6,7も同様)。
図5に示すように、後方外側面33drの詳細位置を説明する前提として、ステータコア20の位置は、ティース部22(ティース本体101)の周方向の中心Ctが第1直線S1上に位置しているものとする(以下の前方外側面33dfについても同様)。第1直線S1に平行な3つの直線S2,S3,S4を、それぞれ第2直線S2、第3直線S3、第4直線S4とする。
このような前提のもと、第2直線S2は、第1直線S1上に配置されているティース部22の鍔部102におけるロータ9の回転方向Dの後方の端部を通るように配置されている。
第3直線S3は、第1直線S1上に配置されている永久磁石33に対してロータ9の回転方向Dの後方に位置する突極部35の2つの丸面取り部35cのうち、第2直線S2側の丸面取り部35cを通るように配置されている。
より詳しくは、第3直線S3は、対応する丸面取り部35cのうち、径方向で最外側の端部(以下、丸面取り部35cの頂点35eという)を通るように配置されている。この丸面取り部35cの頂点35eは、請求項における第1角部に相当する。
第4直線S4は、第2直線S2と第3直線S3との間の中央に配置されている。
このような構成のもと、後方外側面33drは、第2直線S2と第4直線S4との間の第1領域A1に位置している。
次に、図6に基づいて、前方外側面33dfの詳細位置について説明する。
図6は、図3のVI部拡大図である。
図6に示すように、第1直線S1に平行な3つの直線S5,S6,S7を、それぞれ第5直線S5、第6直線S6、第7直線S7とする。
このような前提のもと、第5直線S5は、第1直線S1上に配置されているティース部22の鍔部102におけるロータ9の回転方向Dの前方の端部を通るように配置されている。
第6直線S6は、第1直線S1上に配置されている永久磁石33に対してロータ9の回転方向Dの前方に位置する突極部35の2つの丸面取り部35cのうち、第5直線S5側の丸面取り部35cを通るように配置されている。
より詳しくは、第6直線S6は、対応する丸面取り部35cの頂点35fを通るように配置されている。この丸面取り部35cの頂点35fは、請求項における第2角部に相当する。
第7直線S7は、第5直線S5と第6直線S6との間の中央に配置されている。
このような構成のもと、前方外側面33dfは、第6直線S6と第7直線S7との間の第2領域A2に位置している。
永久磁石33は、着磁(磁界)の配向が径方向(厚み方向)に沿ってパラレル配向となるように着磁されていることが望ましい。各永久磁石33は、周方向に磁極が互い違いになるように配置されている。このため、ロータコア32の突極部35は、磁極の境界(極境界)に位置している。
永久磁石33としては、例えば、フェライトボンド磁石が用いられる。しかしながら、これに限られるものではなく、永久磁石33として、フェライトボンド磁石に代わってフェライト焼結磁石、ネオジムボンド磁石、ネオジム焼結磁石等を適用することも可能である。
<減速部>
図1、図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギアケース40と、ギアケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備える。ギアケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギアケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギアケース40は、ウォーム減速機構41を収容するギア収容部42を有する。ギアケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギア収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
ギアケース40の底壁40cには、円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものである。軸受ボス49には、内周面に図示しない滑り軸受が設けられている。軸受ボス49の先端内周縁には、図示しないOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
ギア収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、電動モータ2のシャフト31と同軸上に配置されている。ウォーム軸44は、両端がギアケース40に設けられた軸受46,47によって回転自在に支持されている。ウォーム軸44の電動モータ2側の端部は、軸受46を介してギアケース40の開口部43に至るまで突出している。この突出したウォーム軸44の端部と電動モータ2のシャフト31との端部が接合され、ウォーム軸44とシャフト31とが一体化されている。ウォーム軸44とシャフト31は、1つの母材からウォーム軸部分とシャフト部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45には、このウォームホイール45の径方向中央に出力軸48が設けられている。出力軸48は、ウォームホイール45の回転軸線方向と同軸上に配置されている。出力軸48は、ギアケース40の軸受ボス49を介してギアケース40の外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、図示しない電装品と接続されるスプライン48aが形成されている。
ウォームホイール45の径方向中央には、出力軸48が突出されている側とは反対側に、図示しないセンサマグネットが設けられている。センサマグネットは、ウォームホイール45の回転位置を検出する回転位置検出部60の一方を構成している。回転位置検出部60の他方を構成する磁気検出素子61は、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)でウォームホイール45と対向配置されているコントローラ部4に設けられている。
<コントローラ部>
電動モータ2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギアケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を有している。コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
コントローラ基板62は、いわゆるエポキシ基板に複数の導電性のパターン(不図示)が形成されたものである。コントローラ基板62には、電動モータ2のステータコア20から引き出されたコイル24の端末部が接続されているとともに、カバー63に設けられたコネクタ11の端子(不図示)が電気的に接続されている。
コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する電流を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)が実装されている。コントローラ基板62には、このコントローラ基板62に印加される電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
このように構成されたコントローラ基板62を覆うカバー63は、樹脂により形成されている。カバー63は、若干外側に膨出するように形成されている。カバー63の内面側は、コントローラ基板62等を収容するコントローラ収容部56として構成される。
カバー63の外周部に、コネクタ11が一体成形されている。コネクタ11は、図示しない外部電源から延びるコネクタが嵌着される。コネクタ11の端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
カバー63の開口縁には、ギアケース40の側壁40bの端部と嵌め合わされる嵌合部81が突出形成されている。嵌合部81は、カバー63の開口縁に沿う2つの壁81a,81bにより構成されている。これら2つの壁81a,81bの間に、ギアケース40の側壁40bの端部が挿入(嵌め合い)される。これにより、ギアケース40とカバー63との間にラビリンス部83が形成される。ラビリンス部83によって、ギアケース40とカバー63との間から塵埃や水が浸入してしまうことが防止される。ギアケース40とカバー63との固定は、図示しないボルトを締結することにより行われる。
<減速機付きモータの動作>
次に、減速機付きモータ1の動作について説明する。
減速機付きモータ1は、コネクタ11を介してコントローラ基板62に供給された電力が、図示しないパワーモジュールを介して電動モータ2の各コイル24に選択的に供給される。すると、ステータ8(ティース部22)に所定の鎖交磁束が形成され、この鎖交磁束とロータ9の永久磁石33により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力や反発力が生じる。このような磁気的な吸引力や反発力による磁石トルクや後述するリラクタンストルクにより、ロータ9が継続的に回転する。
ロータ9が回転すると、シャフト31と一体化されているウォーム軸44が回転し、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45が回転する。そして、ウォームホイール45に連結されている出力軸48が回転し、所望の電装品(例えば、車両に搭載されるワイパ駆動装置)が駆動する。
コントローラ基板62に実装されている磁気検出素子61によって検出されたウォームホイール45の回転位置検出結果は、信号として図示しない外部機器に出力される。図示しない外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、図示しないパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングが制御され、電動モータ2の駆動制御が行われる。パワーモジュールの駆動信号の出力や電動モータ2の駆動制御は、コントローラ部4で行われていてもよい。
<ロータの作用>
次に、図7に基づいて、ロータ9の作用について説明する。
図7は、ロータ9へのステータ8における鎖交磁束Jの流れを示す説明図である。
図7に示すように、ロータ9は、ロータコア32の外周面32aに、永久磁石33を配置した、いわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)方式のロータである。このため、d軸方向のインダクタンス値が小さくなる。
これに加え、ロータ9は、周方向で隣り合う永久磁石33間に突極部35が設けられている。このため、ステータ8の鎖交磁束Jが突極部35に流れる。この鎖交磁束Jは、1つの突極部35からシャフト固定部37を介して周方向で隣の突極部35へと流れる。この結果、ステータ8の鎖交磁束J1によるq軸方向のインダクタンス値は、突極部35が無い場合と比較して大きくなる。このように、d軸方向とq軸方向とのリラクタンストルクの差も利用してロータ9が回転される。リラクタンストルクは、鎖交磁束Jの磁路の磁気抵抗(リラクタンス)を小さくするようにロータ9を回転させる。したがって、突極部35には、ロータ9の回転方向Dの前方に位置する鍔部102で発生している鎖交磁束Jが流れ込みやすい。
この際、対応する突極部35におけるロータ9の回転方向Dの前方に位置する永久磁石33の後方外側面33dr付近に鎖交磁束Jが流れやすい。
後方外側面33drは、第2直線S2と第4直線S4との間の第1領域A1に位置している(図5参照)。つまり、後方外側面33drは、突極部35へと流れ込む鎖交磁束Jの影響を受けにくくなるように突極部35の側面35aから離間している。このため、永久磁石33内での減磁界の発生を抑制でき、鎖交磁束Jによる永久磁石33の減磁を抑制できる。
一方、永久磁石33の前方外側面33df側は、後方外側面33dr側と比較して鎖交磁束Jによって永久磁石33内に減磁界が発生しにくい。この分、前方外側面33dfは、第6直線S6と第7直線S7との間の第2領域A2に位置している。このため、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の長さL1は、第1直線S1と後方外側面33drとの間の長さL2よりも長い。この結果、永久磁石33は、第1直線S1と後方外側面33drとの間の有効磁束に対し、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の有効磁束が多くなる。
図8は、縦軸を永久磁石33の有効磁束[μWb]とし、横軸を永久磁石33における周方向の幅としたときの有効磁束の変化を示すグラフである。
図8に示すように、永久磁石33の周方向の幅が大きいほど永久磁石33の体積が増大するので、有効磁束も増大することが確認できる。
図9は、縦軸を永久磁石33の減磁率[%]とし、横軸を永久磁石33における周方向の幅としたときの減磁率の変化を示すグラフである。
図9に示すように、永久磁石33の周方向の幅が小さいほど永久磁石33の体積も減少するので、減磁率、つまり鎖交磁束Jによる影響も小さくなることが確認できる。
このように、上述の実施形態では、周方向で隣り合う2つの突極部35の間の中心Cpと永久磁石33における周方向両側の各外側面33dとの間の長さL1,L2がそれぞれ異なっている。このため、永久磁石33の周方向両側の各外側面33dのうち、減磁界の影響を受けやすい後方外側面33drを突極部35から離間させる一方、減磁界の影響を受けにくい前方外側面33dfにおいて永久磁石33の体積を十分確保することができる。よって、鎖交磁束Jによる永久磁石33の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保でき、電動モータ2を高性能化できる。
また、ロータ9の回転方向Dの方向に応じて中心Cpと永久磁石33における周方向両側の各外側面33dとの間の長さL1,L2を決定している。すなわち、1つの永久磁石33の2つの外側面33dのうち、ロータ9の回転方向Dにおける前方に位置する外側面33dを前方外側面33dfとし、ロータ9の回転方向Dにおける後方に位置する外側面33dを後方外側面33drとする。このとき、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の長さL1は、第1直線S1と後方外側面33drとの間の長さL2よりも長い。このため、鎖交磁束Jによる永久磁石33の減磁を回避しつつ、磁石トルクを十分確保でき、電動モータ2を確実に高性能化できる。
より詳しくは、ティース部22の鍔部102における周方向の両端の間の角度θ1は、永久磁石33の極弧角θ2よりも小さい条件において、後方外側面33drを、第2直線S2と第4直線S4との間の第1領域A1に位置させている。このため、周方向で隣り合う2つの突極部35の間の中心Cpと永久磁石33の後方外側面33drとの間の長さL2を無駄に短くすることなく、効果的に、かつ永久磁石33の能力を阻害しない範囲で短くできる。
また、ティース部22の鍔部102における周方向の両端の間の角度θ1は、永久磁石33の極弧角θ2よりも小さい条件において、前方外側面33dfを、第6直線S6と第7直線S7との間の第2領域A2に位置させている。このため、周方向で隣り合う2つの突極部35の間の中心Cpと永久磁石33の前方外側面33dfとの間の長さL1を、減磁界の影響を受けにくく、かつできる限り永久磁石33の体積を確保できる長さとすることができる。
1つの永久磁石33において、周方向両側の外側面33d(後方外側面33dr、前方外側面33df)は、永久磁石33における周方向の中心Cmと回転軸線Crとを通る直線S1と平行である。このため、2つの外側面33d同士も平行である。よって、永久磁石33を製造しやすくできるとともに、2つの外側面33dを利用して永久磁石33を搬送しやすくできる。
電動モータ2を高性能化できるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」、及び目標12「持続可能な方法で生産し、責任をもって消費する」に貢献することが可能となる。
[変形例]
次に、図10に基づいて、変形例について説明する。
図10は、変形例におけるロータ9の径方向に沿う断面図である。
図10に示すように、永久磁石33は、第1直線S1を挟んで両側の材料がそれぞれ別材料であってもよい。
具体的には、永久磁石33のうち、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の領域Abは、高残留磁束密度(高Br)の材料により形成されている。第1直線S1と前方外側面33dfとの間の領域Abとは、換言すれば第1直線S1と外側面33dとの間の長さが長い方(L1)の外側面33dと、第1直線S1との間の領域をいう。高残留磁束密度とは、外部からの電流により永久磁石33の磁力が飽和状態になった時、電流を止めた際に永久磁石33に残る磁束密度をいう。残留磁束密度の値が高い程、永久磁石33の磁力が強い。変形例における高残留磁束密度の材料とは、例えば、磁束密度が4200[G](又は0.42[T])以上の材料をいう。
永久磁石33のうち、第1直線S1と後方外側面33drとの間の領域Ahは、高保持力(高Hcj)の材料により形成されている。第1直線S1と後方外側面33drとの間の領域Ahとは、換言すれば第1直線S1と外側面33dとの間の長さが短い方(L2)の外側面33dと、第1直線S1との間の領域をいう。高保持力とは、永久磁石33における磁化方向とは反対方向の外部磁場に耐える強さ、又は温度などの外部環境へ対する抵抗力をいう。永久磁石33は、保磁力の値が高い程、外部からの影響に強い。変形例における高保持力の材料とは、例えば、磁界の強さが3600[Oe]以上の材料をいう。
1つの永久磁石33において、各領域Ab,Ahの磁化方向は同一である。すなわち、変形例におけるロータ9の磁極数は前述の実施形態におけるロータ9の磁極数と同様に、4極である。
このように、減磁界の影響を受けやすい第1直線S1と後方外側面33drとの間の領域Ahを高保持力の材料により形成することで、より確実に永久磁石33の減磁を抑制することができる。また、減磁界の影響を受けにくい第1直線S1と前方外側面33dfとの間の領域Abを高残留磁束密度の材料により形成することで、よりロータ9の有効磁束を増大させることができる。このため、さらに確実に電動モータ2を高性能化できる。
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、減速機付きモータ1は、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、減速機付きモータ1は、ワイパー装置以外にも、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものや、その他のさまざまな用途に使用することができる。
上述の実施形態では、回転電機としての電動モータ2に、ロータ9の構成を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな回転電機にロータ9の構成を採用できる。例えば電動モータ2に代わって発電機にロータ9の構成を採用することも可能である。
上述の実施形態では、突極部35は、周方向の幅寸法が径方向で均一になるように形成されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば突極部35を径方向外側に向かうに従って先細りに形成してもよい。
上述の実施形態では、電動モータ2は、スロット19(ティース部22)の個数が6個、永久磁石33の個数が4個であり、いわゆる4極6スロットの電動モータ2である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではない。電動モータ2は、ティース部22の鍔部102における周方向の両端の間の角度θ1が、永久磁石33の極弧角θ2よりも小さくなる構成であればよい。電動モータ2において、永久磁石33の磁極数とスロット19(ティース部22)の数との比が、2:3であることが望ましい。
上述の実施形態では、1つの永久磁石33において、周方向両側の外側面33dは、永久磁石33における周方向の中心Cmと回転軸線Crとを通る直線S1と平行である場合について説明した。2つの外側面33d同士も平行である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、2つの外側面33dは平行でなくてもよい。後方外側面33drは、第2直線S2と第4直線S4との間の第1領域A1にあればよい。前方外側面33dfは、第6直線S6と第7直線S7との間の第2領域A2にあればよい。
上述の実施形態では、永久磁石33において、径方向外側の外周面33aの円弧中心Coの位置、及び径方向内側の内周面33bの円弧中心Ciの位置は一致している場合について説明した。これら円弧中心Co,Ciは、回転軸線Crよりも径方向で対応する永久磁石33寄りにずれている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、円弧中心Co,Ciの位置は、回転軸線Crと一致していてもよい。また、各円弧中心Co,Ciの位置が一致していなくてもよい。
上述の実施形態では、1つの永久磁石33の2つの外側面33dのうち、ロータ9の回転方向Dにおける前方に位置する外側面33dを前方外側面33dfとし、ロータ9の回転方向Dにおける後方に位置する外側面33dを後方外側面33drとし、第1直線S1と前方外側面33dfとの間の長さL1を、第1直線S1と後方外側面33drとの間の長さL2よりも長くした場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、長さL1と長さL2とがそれぞれ異なっていればよい。長さL1と長さL2とを異ならせることにより、永久磁石33のうち、第1直線S1を挟んで両側の有効磁束が変化するので、ロータ9としての利用のバリエーションを増大させることができる。例えば、長さL1,L2が異なることにより、両方向に回転する電動モータ2の出力の特性に差を設けることができる。このため、回転方向により高出力と低出力の使い分けができる。したがって、例えば電動モータ2を用いた原動機において、前進方向を高出力とする一方、後退方向を低出力とする、などのように使い分けることができる。よって、電動モータ2をより有効に利用することができる。
1…減速機付きモータ、2…電動モータ(回転電機)、3…減速部、4…コントローラ部、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7a…開口部、8…ステータ、9…ロータ、10…底部、10a…貫通孔、11…コネクタ、16…外フランジ部、17…外フランジ部、19…スロット、20…ステータコア、20p…電磁鋼板、21…バックヨーク部、22…ティース部、23…インシュレータ、24…コイル、31…シャフト、32…ロータコア、32a…外周面、32b…端面、32c…端面、32p…電磁鋼板、33…永久磁石、33a…外周面、33b…内周面、33c…内側面、33d…外側面、33df…前方外側面、33dr…後方外側面、33e…円弧面、33f…内接続部、33l…磁石側面、35…突極部、35a…側面、35b…外側端部、35c…丸面取り部、35e…頂点(第1角部)、35f…頂点(第2角部)、36…磁石収納部、37…シャフト固定部、37a…外周面、37b…シャフト挿通孔、37c…溝、37d…外側端、37e…側面、38…マグネットホルダ、39…マグネットカバー、40…ギアケース、40a…開口部、40b…側壁、40c…底壁、41…ウォーム減速機構、42…ギア収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46…軸受、47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、52…リブ、56…コントローラ収容部、60…回転位置検出部、61…磁気検出素子、62…コントローラ基板、63…カバー、81…嵌合部、81a…壁、81b…壁、83…ラビリンス部、91…溝部、101…ティース本体、102…鍔部、A1…第1領域、A2…第2領域、Ab…領域、Ah…領域、Cr…回転軸線、Ci…円弧中心、Co…円弧中心、Cm…中心、Cp…中心、Ct…中心、D…回転方向、J…鎖交磁束、L1…長さ、L2…長さ、S1…第1直線、S2…第2直線、S3…第3直線、S4…第4直線、S5…第5直線、S6…第6直線、S7…第7直線、Sf…直線、θ1…角度、θ2…極弧角

Claims (6)

  1. 回転軸線回りに回転自在に設けられたロータと、
    前記ロータの外周を取り囲むステータと、
    を備え、
    前記ステータは、
    筒状のバックヨーク部と、
    前記バックヨーク部の内周面に設けられ、かつ周方向に等間隔で並んで配置された複数のティース部と、
    を有し、
    前記ティース部は、
    前記バックヨーク部の前記内周面から径方向に沿って、かつ径方向内側に突出するティース本体と、
    前記ティース本体における径方向内側の端部から周方向外側に延びるとともに、前記ロータの外周面に径方向で対向する鍔部と、
    を有し、
    前記ロータは、
    前記回転軸線を軸心とするシャフトと、
    前記シャフトに嵌合固定されるシャフト固定部と、
    前記シャフト固定部の外周面から径方向外側に突出する複数の突極部と、
    周方向で隣り合う2つの前記突極部の間にそれぞれ配置された複数の永久磁石と、
    を有し、
    前記永久磁石における周方向両側の磁石側面は、
    径方向内側に位置し、前記突極部における周方向の側面に沿う内側面と、
    前記内側面よりも径方向外側に位置する外側面と、
    を有し、
    前記永久磁石における周方向の中心と前記永久磁石における周方向両側の各外側面との間の長さがそれぞれ異なっている、
    ことを特徴とする回転電機。
  2. 前記ロータは、特定の一方向の回転に用いられるものであり、
    前記永久磁石における周方向両側の2つの前記外側面のうち、前記一方向の前方に位置する前記外側面を前方外側面とし、前記一方向の後方に位置する前記外側面を後方外側面としたとき、
    前記永久磁石は、周方向の中心と前記前方外側面との間の長さが、周方向の中心と前記後方外側面との間の長さよりも長い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記回転軸線を通る径方向と平行な直線を第1直線とし、
    前記第1直線と平行な直線を第2直線、第3直線、及び第4直線とし、
    前記ティース本体における周方向の中央と、前記永久磁石における周方向の中央とを、前記第1直線上に配置した状態で、前記第1直線上に配置されている前記ティース部の前記鍔部における前記一方向の後方の端部を通るように前記第2直線を配置するとともに、前記第1直線上に配置されている前記永久磁石に対して前記一方向の後方に位置する前記突極部における前記第2直線側の第1角部を通るように前記第3直線を配置し、前記第2直線と前記第3直線との間の中央に前記第4直線を配置したとき、前記永久磁石の前記後方外側面は、前記第2直線と前記第4直線との間の領域に位置しており、かつ
    前記鍔部における周方向の両端の間の角度θ1は、前記永久磁石の極弧角θ2よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記回転軸線を通る径方向と平行な直線を第1直線とし、
    前記第1直線と平行な直線を第5直線、第6直線、及び第7直線とし、
    前記ティース本体における周方向の中央と、前記永久磁石における周方向の中央とを、前記第1直線上に配置した状態で、前記第1直線上に配置されている前記ティース部の前記鍔部における前記一方向の前方の端部を通るように前記第5直線を配置するとともに、前記第1直線上に配置されている前記永久磁石に対して前記一方向の前方に位置する前記突極部における前記第5直線側の第2角部を通るように前記第6直線を配置し、前記第5直線と前記第6直線との間の中央に前記第7直線を配置したとき、前記永久磁石の前記前方外側面は、前記第6直線と前記第7直線との間の領域に位置しており、かつ
    前記鍔部における周方向の両端の間の角度θ1は、前記永久磁石の極弧角θ2よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
  5. 前記永久磁石の前記前方外側面及び前記後方外側面は、前記第1直線と平行である、
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の回転電機。
  6. 前記永久磁石は、周方向の中心と前記永久磁石における周方向両側の各前記磁石側面との間がそれぞれ別材料で形成されており、
    前記永久磁石のうち、周方向の中心と前記外側面との間の長さが長い方は、高残留磁束密度の材料により形成されており、
    前記永久磁石のうち、周方向の中心と前記外側面との間の長さが短い方は、高保持力の材料により形成されており、
    前記高残留磁束密度の材料は、磁束密度が4200(G)以上であり、
    前記高保持力の材料は、磁界の強さが3600(Oe)以上である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
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