JP2024068470A - 感光性樹脂組成物の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性樹脂組成物溶液を特定のフィルターを用いて濾過することによる、高純度化された感光性樹脂組成物の提供。【解決手段】感光性樹脂組成物と不純物を含む感光性樹脂組成物溶液中の前記感光性樹脂組成物を精製する方法であって、前記方法が、陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に前記溶液を通過させることによって前記溶液中の前記不純物を吸着除去する工程を含み、前記陰イオン交換材料、前記陽イオン交換材料および前記キレート形成材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介して基材に導入されている材料であり、前記担体が、ワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する、感光性樹脂組成物の精製方法。【選択図】なし

Description

本発明は感光性樹脂組成物溶液中の感光性樹脂組成物を精製するフィルターを用いた感光性樹脂組成物の精製方法に関する。
半導体デバイス製造時のパッケージング工程においては、感光性絶縁膜としてレジストベースポリマーをその希釈剤に溶解したレジストベースポリマー溶液が用いられる。このレジストベースポリマー溶液中に金属イオンや、金属若しくは酸化物に由来する帯電性コロイド物質などの不純物が残存した場合、最終製品や、その製造工程中で予想外の悪影響を及ぼすことがある。
上記不純物は原料由来の不純物、有機反応時に用いられる金属触媒が残存したもの、ポリマー合成時に使用した反応釜由来の不純物である。
一般的に、不純物がアルカリ金属、アルカリ土類金属であれば、陽イオン交換樹脂により多くは除去が可能である。
しかし、多価金属イオンや帯電性酸化物コロイド粒子は、陽イオン交換樹脂では容易に吸着除去することが難しく、これらの除去の目的でキレート樹脂が用いられている(特許文献1、特許文献2を参照。)。
一方で、多価金属イオンや帯電性酸化物コロイド粒子は、イオン強度やイオン半径や粒子径が多種多様である。またキレート樹脂も官能基の種類により金属種の形態にフィットせずに十分な金属吸着能を発揮しない場合があり、対象となるレジストベースポリマー溶液中の不純物を除去するためにはキレート樹脂の細孔が小さすぎたり、デッドエンド型の細孔が不適であった。
国際公開第2015/146307号 特表2008-502470号公報
金属不純物の除去にはスチレン、ジビニルベンゼンの共重合体から成るマイクロポーラス型の担持体を有する、スルホン酸基含有陽イオン交換樹脂を用いることが一般的である。しかし、スルホン酸基含有陽イオン交換樹脂を用いた金属除去方法は、半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性絶縁膜としてポリアミック酸エステルが使用される場合、ポリアミック酸エステルが陽イオン交換樹脂の影響で変性するため、好ましくない。ポリアミック酸エステル溶液を変性させずに金属不純物を除去する方法としてはキレート樹脂を用いた金属不純物除去方法が挙げられるが、キレート樹脂で処理する際は、キレート樹脂とポリアミック酸エステル溶液が効率良く接触できるよう、希薄な溶液状態で処理する必要がある。半導体デバイス製造時のパッケージング工程に用いられる感光性絶縁膜の膜厚は数十μm程度と厚く、感光性絶縁膜組成物の固形分濃度が比較的高いため、粘性が高くなる。このためキレート樹脂を用いた金属除去処理にあっては、効果的にキレート樹脂と感光性絶縁膜組成物を接触させることが難しく、上記の用途においてはキレート樹脂を用いた金属不純物除去処理は適さない。
本発明は、上記の課題を解決し、半導体デバイス製造時のパッケージング工程等に用いられる感光性樹脂組成物溶液中の不純物を特定のフィルターを用いて濾過することで、被精製材料が溶解した組成物中から不純物を除去し、高純度化された精製材料組成物(精製された感光性樹脂組成物ともいえる)を得ようとするものである。
また本発明は、通常の有機溶液における不純物を特定のフィルターを用いて濾過することで、高純度化された精製有機溶液(精製された有機溶液ともいえる)を得ようとするものである。
本発明は以下の態様を含む。
<態様1>
感光性樹脂組成物と不純物を含む感光性樹脂組成物溶液中の前記感光性樹脂組成物を精製する方法であって、前記方法が、
陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に前記溶液を通過させることによって前記溶液中の前記不純物を吸着除去する工程を含み、
前記陰イオン交換材料、前記陽イオン交換材料および前記キレート形成材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介して基材に導入されている材料であり、
前記基材が、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸であり、
前記担体は、前記グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に前記芯材を取り除いて形成されてなるワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する、感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様2>
前記担体のグラフト率が20%以上300%以下である、態様1に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様3>
前記感光性樹脂組成物の不純物除去工程において、粘度が3mPa・s以上100mPa・s以下である、前記溶液を前記ワインドフィルターカートリッジモジュールに透過圧力100kPa以下で透過させる、態様1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様4>
前記感光性樹脂組成物の不純物除去工程の前後で、中空糸型ろ過膜モジュールに前記溶液を通過させる工程をさらに含む、態様1~3の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様5>
前記中空糸型ろ過膜モジュールが、以下の特徴:
・膜材質:ポリエチレン、
・孔径:0.05~0.7μm、
・内表面開口率:25~50%、
・内径:1~5mm、及び
・内表面膜面積:1m以上、
を有する中空糸型ろ過膜モジュールである、態様4に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様6>
前記担体が前記陰イオン交換材料を含み、
前記陰イオン交換基が3級アミノ基及び4級アミノ基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、態様1~5の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様7>
前記担体が前記陽イオン交換材料を含み、
前記陽イオン交換基がスルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、態様1~6の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様8>
前記担体が前記キレート形成材料を含み、
前記キレート形成基がイミノ二酢酸基、イミノ二エタノール基およびポリオール基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、態様1~7の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様9>
一つの担体中に前記陰イオン交換基、前記陽イオン交換基および前記キレート形成基の各々が導入された2種以上のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸を巻回してなる前記担体を使用する、態様1~8の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様10>
前記感光性樹脂組成物溶液が有機溶剤を含有する、態様1~9の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様11>
前記不純物が国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で、第1族乃至第14族の元素であり、
その多価元素イオン、又はそれらの水酸化物若しくは酸化物のコロイド物質である、態様1~10の何れか1態様に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
<態様12>
感光性樹脂組成物の製造方法であって、
陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に感光性樹脂組成物溶液を通過させる工程を含み、
前記陰イオン交換材料、前記陽イオン交換材料および前記キレート形成材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介して基材に導入されている材料であり、
前記基材が、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸であり、
前記担体は、前記グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に前記芯材を取り除いて形成されてなるワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する、感光性樹脂組成物の製造方法。
<態様13>
態様1~11の何れか1態様に記載の方法により処理された感光性樹脂組成物中の不純物の含有量が10mg/L未満である、感光性樹脂組成物。
本発明によれば、特定のフィルターを用いることで、半導体デバイス製造時のパッケージング工程等に用いられる感光性樹脂組成物溶液中の不純物を、当該感光性樹脂組成物溶液の変性なく除去できる。したがって、本発明によれば、感光性樹脂組成物が高い粘性を維持したまま効果的に高純度化された精製材料組成物を得ることが可能となる。
実施の形態に係る方法は、特定のフィルターを用いて感光性樹脂組成物と不純物を含む感光性樹脂組成物溶液中の不純物を除去することで、感光性樹脂組成物を精製する方法である。
[吸着担体]
実施の形態に係る吸着担体(以下、「フィルター」とも称する)は、陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である。これら材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介してモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸である基材に導入されている材料である。
一態様において、担体は、グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に芯材を取り除いて形成されてなる、すなわち、イオン交換基(IEX)を有するワインドフィルターカートリッジモジュール(WFC)の形態を有するものである。イオン交換基を有するグラフト鎖は、グラフト重合を介して基材に導入されている。
したがって、グラフト化モノフィラメント又はマルチフィラメント糸において、イオン交換基を有するグラフト鎖は、基材と共有結合している。例えば、グラフト化モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸は、放射線照射によって活性化された基材と、1種類以上の反応性モノマーと、を、接触させて、基材上にグラフト鎖を形成させて製造される。反応性モノマーの少なくとも1種類は、イオン交換基又はイオン交換基導入前駆体を有する。グラフト化モノフィラメント又はマルチフィラメント糸は、グラフト鎖の形成と同時に、又はグラフト鎖形成の後に、イオン交換基を基材上に導入することにより製造される。
実施の形態に係る担体は、一つの担体中に陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々が導入された2種以上のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸を巻回してなる担体であることが好ましい。
[基材]
実施の形態に係るワインドフィルターカートリッジモジュール(WFC)の基材は、一態様において合成繊維からなる。合成繊維は、通常の円柱形状を有していてよい。合成繊維は、レジストベースポリマーや各種溶媒に溶解しない特性を持ち、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、又はポリエステル等から作られる繊維が好ましく、ポリアミド繊維がより好ましい。
また、基材は、モノフィラメント糸であってもよいし、マルチフィラメント糸であってもよいが、マルチフィラメント糸の方が表面積を確保できる点で好ましい。なお、モノフィラメント糸とは、単繊維からなる構造をいう。また、マルチフィラメント糸とは、多数の単繊維を撚り合せた構造をいう。
実施の形態に係る担体に使用する、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸は、1種で使用することもできるが、2種以上で使用することもできる。
実施の形態に係る基材は、グラフト鎖が導入される前のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸である。モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸は、組み紐及び織布などに成型加工して利用できる。
ポリオレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、及びフッ化ビニリデン等のオレフィン単独重合体、該オレフィンの2種以上の共重合体、又は1種若しくは2種以上のオレフィンと、パーハロゲン化オレフィンと、の共重合体等が挙げられる。パーハロゲン化オレフィンの例としては、テトラフルオロエチレン及び/又はクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。これらの中でも、機械的強度に優れ、かつ夾雑物の高い吸着容量が得られる点で、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
ポリアミドの例としては、ナイロン6(ε-カプロラクタムの重縮合体)、ナイロン11(ウンデカンラクタムの重縮合体)、ナイロン12(ラウリルラクタムの重縮合体)、ナイロン66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合体)、ナイロン610(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共縮重合体)、ナイロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロン9T(ノナンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロンM5T(メチルペンタンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体)、ナイロン621(カプロラクタムとラウリルラクタムの共縮重合体)、p-フェニレンジアミンとテレフタル酸の共縮重合体、並びにm-フェニレンジアミンとイソフタル酸の共縮重合体等が挙げられる。
ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
基材に共有結合しているグラフト鎖は、モノマー単位により構成されている。一態様においては、モノマー単位が、イオン交換基又はキレート形成基を有する。イオン交換基は、精製対象や精製条件に応じて、陽イオン(カチオン)交換基(CEX)、陰イオン(アニオン)交換基(AEX)又は、キレート形成基(CHE)から選ばれる。
カチオン交換基は、不純物が除去できれば、強カチオン交換基であってもよく、弱カチオン交換基であってもよい。
強カチオン交換基の例としては、スルホン酸基等が挙げられる。
また、弱カチオン交換基の例としては、カルボン酸基等が挙げられる。
アニオン交換基は、液中で負に帯電したタンパク質等を吸着することができればよく、例えば、特に限定されないが、アニオン交換基の例としては、3級アミノ基であるジエチルアミノ基(DEA、EtN-)及びトリエチレンジアミノ基(TEDA、Et-)、4級アンモニウム基(Q、R+-)、4級アミノエチル基(QAE、R+-(CH-)、ジエチルアミノエチル基(DEAE、EtN-(CH-)、及びジエチルアミノプロピル基(DEAP、EtN-(CH-)等が挙げられる。
ここで、Rは、特に限定されず、同一のNに結合するRが同一又は異なっていてもよく、好適には、アルキル基、フェニル基、アラルキル基等の炭化水素基を表す。4級アンモニウム基としては、例えば、トリメチルアミノ基(トリメチルアンモニウム基、Me+-)等が挙げられる。なお、3級アミノ基及び4級アミノ基は、それぞれ、ジアルキル置換アミノ基及びトリアルキル置換アミノ基ともいう。基材への化学的な固定が容易であり、高い吸着容量が得られるという観点からは、アニオン交換基としてはDEA、TEDA、及びトリメチルアミノ基が好ましく、DEAがより好ましい。
キレート形成基は、特定の金属と錯体を形成して吸着するため、特定の金属(例えば、銅、鉄、ニッケル、ナトリウム、クロムなど)、を吸着することが可能になる。
キレート形成基としては、例えば、分子内に、2つ以上の酸素と、窒素及び/又は硫黄とを有する基が挙げられ、イミノ二酢酸基、イミノ二エタノール基及びポリオール基がより好ましい。
実施の形態に係る担体が陰イオン交換材料を含む場合、陰イオン交換基が3級アミノ基及び4級アミノ基からなる群から選ばれる1つ以上を含むことが好ましく、陰イオン交換基がジエチルアミノ基及びトリメチルアミノ基、トリエチレンジアミノ基からなる群から選ばれる1つ以上を含むことがより好ましい。
実施の形態に係る担体が陽イオン交換材料を含む場合、陽イオン交換基がスルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる1つ以上を含むことが好ましい。
実施の形態に係る担体がキレート形成材料を含む場合、キレート形成基がイミノ二酢酸基、イミノ二エタノール基及びポリオール基からなる群から選ばれる1つ以上を含むことが好ましい。
実施の形態に係る精製方法に使用するイオン交換基(陽イオン交換基若しくは陰イオン交換基又はキレート形成基)は、単独又は、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。例えば、イオン交換基がキレート形成基の場合、一つの種類のキレート形成基を単独又は、複数の種類のキレート形成基を組み合わせて使用してもよい。また、イオン交換材料に用いるイオン交換基は、単独又は複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
典型的な態様において、担体に感光性樹脂組成物溶液を通過させる際、陰イオン交換基、陽イオン交換基及びキレート形成基の順とすることが好ましいが、実施の態様に応じて都度、溶液を通過させるイオン交換基(陽イオン交換基、陰イオン交換基、又は、キレート形成基)の順序を変更することも可能である。
典型的な態様において、基材にグラフト鎖を導入する際、基材は、放射線照射により活性化される。基材にラジカルを生成させるためにはいかなる手段も採用しうるが、基材に電離性放射線を照射すると、基材全体に均一なラジカルが生成するため、好適である。電離性放射線の種類としては、γ線、電子線、β線、及び中性子線等が利用できるが、工業規模での実施には電子線又はγ線が好ましい。電離性放射線は、コバルト60、ストロンチウム90、及びセシウム137等の放射性同位体から、又はX線撮影装置、電子線加速器及び紫外線照射装置等により得られる。
電離性放射線の照射線量は、1kGy以上1000kGy以下が好ましく、より好ましくは2kGy以上200kGy以下、さらに好ましくは5kGy以上50kGy以下である。照射線量が1kGy以上の場合、ラジカルが均一に生成しやすい傾向にある。また、基材の物理的強度の観点から、照射線量が1000kGy以下であるとよい。
電離性放射線の照射によるグラフト重合法には、一般に、基材にラジカルを生成した後、次いでラジカルを反応性モノマーと接触させる前照射法と、基材を反応性モノマーと接触させた状態で基材にラジカルを生成させる同時照射法と、に大別される。実施の形態においては、いかなる方法も適用しうるが、オリゴマーの生成が少ない前照射法が好ましい。ここでいうオリゴマーとは、遊離オリゴマーのことを指す。遊離オリゴマーはグラフト鎖中には取り込まれないため、生成されないことが好ましい。
基材上にグラフト重合される反応性モノマーは、イオン交換基を有する反応性モノマーであってもよいし、「IEX又はCHE導入前駆体」を有する反応性モノマーであってもよい。「IEX又はCHE導入前駆体」を有する反応性モノマーを使用する場合、反応性モノマーを共重合した後、IEX又はCHE導入前駆体をIEX又はCHEに変換する。
ここでいう、「IEX又はCHE導入前駆体」とは、IEX又はCHEを付与しうる官能基のことをいい、例えばエポキシ基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。「IEX又はCHE導入前駆体」を有する反応性モノマーとは、IEX又はCHEを付与しうる官能基を有する反応性モノマーのことをいう。また、「IEX又はCHE導入前駆体」は「IEX又はCHEの前駆体」を含みうる。「IEX又はCHEの前駆体」とは、例えばイオン交換基又はキレート形成基に保護基が付いたものである。「IEX又はCHEの前駆体」を有する反応性モノマーとしては、フェニルビニルスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
強カチオン基を有する反応性モノマーの例としては、スルホン酸基を有するポリマーの構成単位である(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びそれらの金属塩等が挙げられる。
弱カチオン基を有する反応性モノマーの例としては、カルボン酸基を有するポリマーの構成単位であるアクリル酸、2-アクリロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、メタクリル酸、2-メタクリロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、及びそれらの金属塩等が挙げられる。
アニオン基を有する反応性モノマーの例としては、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、及び2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、及びビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
イオン交換基(IEX)導入前駆体を有する反応性モノマーの例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルエーテル、スチレン、クロロメチルスチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、及びビニルベンジル等が挙げられる。
キレート形成基(CHE)導入前駆体を有する反応性モノマーの例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルエーテル及びスチレン等が挙げられる。
イオン交換基導入前駆体を有する反応性モノマーがグリシジルメタクリレートの場合、基材上でグリシジルメタクリレートを重合してグラフト鎖を形成した後、亜硫酸ナトリウムと反応させることにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の一部又は全部をスルホン酸基に変換することができる。
また、基材上でグリシジルメタクリレートを重合してグラフト鎖を形成した後、ジエチルアミンと反応させることにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の一部又は全部をジエチルアミノ基に変換することができる。
さらに、基材上でグリシジルメタクリレートを重合してグラフト鎖を形成した後、イミノ二酢酸二ナトリウムと反応させることにより、グリシジルメタクリレートのエポキシ基の一部又は全部をイミノ二酢酸基に変換することができる。
実施の形態に係る担体のグラフト鎖の結合率(グラフト率)は、吸着容量等の観点から20%以上が好ましく、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。また、力学的に安定な強度を確保するという観点から、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、さらに好ましくは150%以下、特に好ましくは120%以下である。しかし、好適なグラフト率は用いる基材や導入するモノマー単位に依存するため、適宜最適化を行うことが望ましく、上記範囲に限定されない。グラフト率は下記(1)式によって算出される。
グラフト率:dg(%)=(w1-w0)/w0×100 ・・・式(1)
ここで、w0はグラフト鎖が導入される前の基材の質量、w1はグラフト鎖が導入された後の基材、すなわち、吸着担体の質量である。
通常、反応性モノマーは、基材内部の非晶部に入り込んでグラフト重合され、基材内部にもグラフト鎖が形成されると考えられる。しかし、グラフト鎖が吸着する吸着対象分子は、基材内部の非晶部に入れる大きさではない。そのため、基材内部に形成されたグラフト鎖は、吸着対象分子の吸着に利用できない。グラフト重合の開始点を生成する放射線の照射線量は、高いと開始点が多く、低いと開始点が少ない。そのため、同一のグラフト率では、照射線量が低い方が、開始点が少ないので、長いグラフト鎖が形成している。したがって、照射線量を低くすることで、基材上に多くのグラフト鎖が形成され、より多くのグラフト鎖を吸着対象分子の吸着に有効に利用することが可能である。この時の照射線量の目安としては、10~50kGyであることが好ましい。
基材内部に形成されるグラフト鎖は、内部グラフト鎖、或いはポリマールーツと呼ばれる。基材上に形成されるグラフト鎖は、表面グラフト鎖、或いはポリマーブラシと呼ばれる。実施の形態に係る担体において、グラフト鎖全体に占める表面グラフト鎖の割合は、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。表面グラフト鎖の割合は、エポキシ基等のイオン交換基導入前駆体のイオン交換基へのモル転化率と、イオン交換基の吸着対象分子の飽和吸着量と、の関係を示すグラフを作成して現れる変曲点におけるモル転化率と一致する。好ましくは、実施の形態に係る担体において、基材内部に、グラフト鎖が実質的に形成されない。
実施の形態に係るモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸である基材に、IEX又はCHEを有するグラフト鎖を、グラフト重合を介して導入した基材を、芯材に巻回することにより、精製用IEX又はCHEワインドフィルターカートリッジモジュール(IEX-WFC、CHE-WFC)を作製できる。芯材(例えば、円筒状芯材)は、多孔質であってもよい。また、フィラメント糸を円筒状芯材に巻きつけた後、円筒状芯材を抜いてもよい。
実施の形態に係る吸着担体は、グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に芯材を取り除いて形成されてなるワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する。
通常、芯材の直径は30mm程度のものがよく用いられる。巻回体の厚みは、20mm~100mm程度に設定する。より厚い方が不純物を逃さず吸着できるが、厚すぎると液を透過させるときの透過圧力が増える。厚みは20mm以上あれば、最低限の吸着性能は担保でき、100mm以下であれば、さほど透過圧力が大きくならない。
また、WFCの捕捉粒子径は、通常、シリカやラテックスの均質粒子を含む液を透過させ、透過側に検出されるかどうかで測定される。均質粒子の90%以上を捕捉した粒子径を、そのWFCの孔径と定義する。
モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸の糸径により、WFCの孔径をコントロールでき、細い糸を巻回するほど、孔径は小さくなり、太い糸を用いるほど孔径は大きくなる。本実施形態では、WFCの孔径0.5μm以上、500μm以下が好ましく、より好ましくは、1μm以上、150μm以下である。孔径が小さすぎると透過圧力が大きくなり、孔径が大きすぎると動的吸着性能が悪くなる。孔径が0.5μm以上であれば、透過圧力は許容範囲となり、500μm以下であれば、動的吸着性能にも影響を及ぼさない。
感光性樹脂組成物の不純物除去工程において、WFCへ感光性樹脂組成物溶液を透過させるときの透過圧力は、100kPa以下であることが好ましく、50kPa以下であることがより好ましい。さらに好ましくは35kPa以下である。
[感光性樹脂組成物溶液]
感光性樹脂組成物溶液は、不純物を含有するレジストベースポリマー等の感光性樹脂組成物を希釈剤(有機溶剤)に溶解した溶液である。つまり、実施の形態に係る感光性樹脂組成物溶液は、有機溶剤を含有する。
実施の形態に係る感光性樹脂組成物(被精製材料)の成分として用いるレジストベースポリマーは、ポリアミック酸エステル/光ラジカル発生剤系、ポリアミック酸/3級アミン系、ベンゾフェノン骨格型ポリイミド系、光二量化反応型ポリイミド系等のネガ型感光性ポリイミドや、ポリアミック酸/溶解抑止剤系、ポリアミック酸ニトロベンジルエステル系、ポリイミド/ジアゾナフトキノン系等のポジ型感光性ポリイミド等が好適に用いられる。
また、感光性樹脂組成物を溶解する有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、塩化メチレン等の非極性有機溶媒、
非極性有機溶媒に溶解しない場合は、極性有機溶媒として、シクロヘキサノン,メチル-2-n-アミルケトン等のケトン類;3-メトキシブタノール,3-メチル-3-メトキシブタノール,1-メトキシ-2-プロパノール,1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,テトラヒドロフラン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート,プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート,乳酸エチル,ピルビン酸エチル,酢酸ブチル,3-エトキシプロピオン酸エチル,酢酸tert-ブチル,プロピオン酸tert-ブチル,プロピレングリコール-モノ-tert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類、またはN-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等のN、S含有溶媒等が挙げられる。
非極性有機溶媒と極性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合の両者の混合比率は、レジストベースポリマーを溶解し得る比率であり、且つ、溶解後の溶液が水不溶性であるような範囲であれば特に限定されない。極性有機溶媒若しくは、非極性有機溶媒又は、非極性有機溶媒と極性有機溶媒との混合溶媒中のレジストベースポリマーの濃度は3~50重量%が好適であり、より好ましくは5~30重量%である。
実施の形態に係るWFCは、高粘度の感光性樹脂組成物溶液(例えば、レジストベースポリマー溶液)中の感光性樹脂組成物(例えば、レジストベースポリマー)を精製する方法に使用することができる。本明細書での「高粘度」とは、1mPa・s以上を意味する。
実施の形態に係る感光性樹脂組成物溶液の粘度は、一態様において、5mPa・s以上、又は3mPa・s以上、又は1mPa・s以上であってよく、一態様において、100mPa・s以下、又は50mPa・s以下、又は10mPa・s以下であってよい。
一態様において、実施の形態に係るWFCは、粘度が3mPa・s以上100mPa・s以下である、感光性樹脂組成物溶液を透過圧力100kPa以下で透過させることが好ましい。実施の形態に係るWFCは、このような高粘度の溶液であっても、不純物(特に、金属不純物)の除去が安定的に実施できる。
実施の形態に係る溶液の粘度は、B型粘度計(DVNext:製品名、英弘精機株式会社製)により、測定することができる。
実施の形態に係るWFCは、感光性樹脂組成物が金属不純物としてNa、K、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、Pb等の金属、その金属イオン、金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド、非金属の不純物として、シリカ等を含む場合、感光性樹脂組成物の精製に使用することができる。
実施の形態に係るWFCは、感光性樹脂組成物がポリアミック酸エステルを含むレジストベースポリマーの場合にも、感光性樹脂組成物の精製に使用することができる。
感光性樹脂組成物の精製は、溶液から不純物の少なくとも一部を吸着すること、溶液から感光性樹脂組成物の少なくとも一部を回収すること、又はこれらの組み合わせにより達成してよい。
実施の形態に係る精製方法は、陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に、感光性樹脂組成物と不純物を含む溶液を通過させることによって溶液中から不純物を吸着除去する工程(不純物除去工程)を含み、任意に、分子ふるいによる膜ろ過工程を含む。膜ろ過工程は、好ましくは不純物除去工程の前、若しくは不純物除去工程の後で行ってもよく、又は不純物除去工程の前及び後両方で行ってもよい。
一態様において、不純物除去工程では、溶液を、陰イオン交換材料、陽イオン交換材料及びキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上の吸着担体に通過させればよい。すなわち、不純物除去工程は、単独の担体で実施してもよく、又は、2つ以上の担体で実施してもよい。なお、溶液を通過させる担体の順序は特に制限されず、実施の形態に応じて変更できる。
溶液中の金属不純物は、アルカリ金属やアルカリ土類金属以外の金属が主な除去対象であるがこれに限定されない。例えば多価金属元素、そのイオン、その水酸化物コロイド、その酸化物コロイドが吸着除去される対象である。
それら金属不純物は、国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期であり、且つ第1族乃至第14族の多価金属元素、多価金属元素イオン、又はそれらの金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイド物質である。多価金属元素は触媒として0価金属を用い、それがイオン化することなく、生成物中に金属として残存する場合がある。
これらの金属不純物はイオン性のものと微粒子状のものが存在し、イオン性の金属不純物はカチオン交換基に吸着しやすいが、不純物以外の必要なイオン成分まで吸着する場合がある。またカチオン交換基と接触すると変性するレジストベースポリマーも存在する。その場合、キレート形成基を用いることで、金属不純物のみ、吸着除去することができる。
また、溶液中の不純物がシリカコロイド等の非金属の不純物を含む場合、マイナスに帯電していることが多いため、それらの除去のためにAEX-WFCが好適に用いられる。
本実施形態の方法は、感光性樹脂組成物の不純物除去工程の前及び/又は後に、中空糸型ろ過膜モジュールに感光性樹脂組成物溶液を通過させる工程(膜ろ過工程)をさらに含む。
中空糸型ろ過膜モジュールのろ過膜の孔径は0.01μm以上、20μm以下が好ましい。
実施の形態に係る中空糸型ろ過膜モジュールは、以下の特徴を有することが好ましい。
ろ過膜は孔径0.05~0.7μmの分離膜がより好ましい。
ろ過膜は、3次元網目構造であることが好ましく、膜材質はポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリエチレン(PE)などが好ましい。
また、ろ過膜の内表面開口率は好ましくは25%以上、好ましくは50%以下である。このような膜を採用することで、クロスフローろ過が効率的に行え、また分離膜への非特異的吸着を抑制することができる。
さらに、内径1~5mmのろ過膜であれば、クロスフロー流の透過圧力が低く、好適に使用できる。
加えて、精製効率の観点から、ろ過膜の内表面膜面積は1m以上であることが好ましい。
[感光性樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る製造方法は、陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である本実施形態の吸着担体(フィルター)に感光性樹脂組成物溶液を通過させる工程を含み、任意に、膜ろ過工程を含む。
また、本実施形態の吸着担体に関する説明は、前記同様である。
特に、感光性樹脂組成物がポリアミック酸エステルを含むレジストベースポリマーの場合、一般的な金属除去法として、マイクロポーラス型のスルホン酸イオン交換樹脂を使用する方法が考えられるが、スルホン酸イオン交換樹脂は、ポリアミック酸エステルの変性を引き起こす傾向がある。一方、本実施形態の吸着担体は、吸着機能基がグラフト鎖として導入されたものであるため、イオン交換樹脂を用いる場合におけるポリアミック酸エステルの変性という従来の問題が生じにくい。また本実施形態の吸着担体は、高粘度の被精製材料に適用可能であるため、キレート形成材料を用いる場合にポリアミック酸エステルを希薄溶液にする必要があるという従来の問題が生じにくい。
感光性樹脂組成物が金属不純物としてNa、K、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、Pb等の金属、その金属イオン、金属水酸化物若しくは金属酸化物のコロイドを含む場合、本実施形態の不純物除去工程において、これら不純物を低減させることができる。非金属の不純物としては、シリカが挙げられるが、この場合も本実施形態のWFCが適用できる。
被精製材料には、原材料として用いる物質に天然物として本来含まれている不純物、高純度化処理を行ったが、なおも残存する不純物、その原材料を合成する時に触媒として用いた金属不純物などが含まれている。
被精製材料を液体に溶解した被精製材料溶液には、被精製材料に由来する不純物がその溶液中に数ppm~数百ppm含有されており、本実施形態を適用することで、その溶液中の金属不純物を数ppm~1000ppm以下、好ましくは数ppm~数百ppm以下、より好ましくは数ppm~数十ppm以下に低減することができる。
一態様において、被精製材料が感光性樹脂組成物である場合、被精製材料に由来する金属不純物は、その組成物中に100mg/L~500mg/L含有されている。
本実施形態を適用することで、感光性樹脂組成物中の金属不純物の含有量を10mg/L~80mg/L未満、好ましくは1mg/L~10mg/L未満、より好ましくは0.001mg/L~1mg/L未満に低減することができる。
本実施形態の方法により処理された本実施形態の感光性樹脂組成物は、金属等の不純物の含有量が10mg/L未満であることが好ましい。
本実施形態では被精製材料を溶解する液体(有機溶剤)を、予め精製した液体(又は前処理液体と称する)とすることができる。前処理液体を用いることで被精製材料溶液(精製前の組成物溶液)とした場合に、より効率的に高純度で不純物が低減された精製材料溶液(精製後の組成物溶液)が得られる。
不純物が低減された精製材料溶液は、その精製材料溶液から溶媒を除去し不純物が低減された精製材料を得ることが可能である。また、不純物が低減された精製材料溶液をそのまま精製材料が含有された組成物溶液とすることもできる。
精製に使用するフィルターの孔径としては、より小さいほうが金属不純物を除去する効率が高いため好ましいが、小さすぎる場合は濾過不良となるため、被精製材料溶液の粘度を考慮すると10μm~0.2μmが好ましく、1μm~0.2μmがより好ましい。
一態様において、被精製材料が感光性樹脂組成物である場合、被精製材料を溶解する液体(すなわち溶剤)としては、前記同様の溶剤が挙げられる。
本実施形態におけるフィルターを用いた不純物除去方法は、被精製材料溶液;レジストベースポリマーを前述した有機溶媒に溶解した感光性樹脂組成物溶液に適用することもできる。また、本実施形態に係る不純物除去方法は、感光性樹脂組成物溶液に各種添加剤を添加してから適用することもでき、実施の態様に応じて適当な段階で適用することができる。
添加剤としては、例えば、光酸発生剤、溶解抑止剤等が挙げられる。
以下に、実施の形態を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、これらは実施の形態を何ら限定するものではない。
(a)以下に示す方法で、吸着担体(ワインドフィルターカートリッジモジュール)を作製した。
(1)グリシジルメタクリレート(GMA)の放射線グラフト重合
直径約35μmのナイロン繊維にガンマ線を20kGy照射した。次に予め窒素バブリングにより脱酸素したグリシジルメタクリレート/メタノール(=1/9重量比)のモノマー溶液に浸漬し、45℃で6時間反応させた。反応終了後の繊維をジメチルホルムアミド溶液に浸漬し、さらにメタノールに浸漬して洗浄した。乾燥後の重量を測定することにより、質量増加率(グラフト率)は104%であった。
(2)ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(VBTAC)の放射線グラフト重合(VBTAC/NVP-AEX)
直径約14μmのナイロン繊維にガンマ線を20kGy照射した。次に予め窒素バブリングにより脱酸素したVBTAC/N-ビニルピロリドン/純水(=1/1/8重量比)のモノマー溶液に浸漬し、45℃で6時間反応させた。反応終了後の繊維をジメチルホルムアミド溶液に浸漬し、さらにメタノールに浸漬して洗浄した。乾燥後の重量を測定することにより、質量増加率(グラフト率)は40%であった。
質量増加率から計算するとトリメチルアミノ基導入量は、0.8mmol/gであった。
(3)GMAグラフト繊維へのスルホン酸基の導入(CEX)
(1)で得られたGMAグラフト繊維を、タウリン溶液(濃度:50質量%、溶媒:ジオキサン/水=1/1、pH:13)に40℃で15時間浸漬し、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基にカチオン交換基としてのスルホン酸基を導入後、メタノールで十分に洗浄した。
質量増加率から、スルホン酸基導入量を計算すると1.6mmol/gであった。
(4)GMAグラフト繊維へのキレート形成基の導入(CHE)
(1)で得られたGMAグラフト繊維を、イミノ二酢酸二ナトリウム溶液(濃度:0.5M、溶媒:イソプロピルアルコール/水=1/1)に50℃で15時間浸漬し、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基にキレート形成基としてのイミノ二酢酸基を導入後、メタノールで十分に洗浄した。
質量増加率から、CHE導入量を計算すると1.5mmol/gであった。
(5)ワインドフィルターカートリッジモジュール(WFC)の作製
(2)~(4)で得られたそれぞれの官能基が入ったグラフト繊維(担体)をポリプロピレン製の直径30mm、長さ250mmの芯材に、厚みが20mmになるまで巻回させてから芯材を除き、VBTAC/NVP-AEX、CEXおよびCHEが導入されたワインドフィルターカートリッジモジュール(WFC)をそれぞれ作製した。
(6)作製したWFCの孔径の測定
作製したWFCにユニフォームラテックス:PM010UM(粒子径:10μm、Magsphere社)の均質粒子を0.1%含む水溶液を透過させ、透過側で検出されるかどうかを確認したところ、100%阻止することを確認した。一方、PM005UM(粒子径:5μm、Magsphere社)の均質粒子を同様に透過させると、10%の阻止率であった。この結果から、作製したWFCの孔径を10μmと判断した。
・感光性樹脂組成物溶液の作製
レジストベースポリマーとして感光性樹脂組成物(製品名;PW-3000、東レ株式会社製)を、N-メチルピロリドンに溶解させ、組成物溶液を調製した。その後、孔径10μmのポリプロピレン製マイクロフィルターを用いて濾過して、ポジ型感光性樹脂組成物溶液(ポリアミック酸エステル溶液)を調製した。ここに、Na標準液、Cr標準液及びFe標準液(いずれも富士フイルム和光純薬製)を用いて、溶液中のNa、Cr及びFeの初期メタル含有量がそれぞれ、120、250及び300mg/Lになるように調整した。
なお、WFC通過前の被精製材料溶液;感光性樹脂組成物溶液に含まれる金属不純物の含有量(初期メタル含有量)は、ICP-MS7500(アジレントテクノロジー製)を用いて測定し、固形分換算したメタル含有量の分析値から算出した。
また、WFC通過前の感光性樹脂組成物溶液の粘度をB型粘度計(DVNext:製品名、英弘精機株式会社製)を使用して測定したところ、5mPa・sであった。
<実施例1>吸着担体による金属不純物除去工程
前記作製した被精製材料溶液;ポジ型感光性樹脂組成物溶液の全量を上記AEX-WFC、CEX-WFC、CHE-WFCの順に通過させた。通過時の圧力はいずれも10kPaとした。通過後の精製溶液中の金属不純物の含有量(通過後メタル含有量)をICP-MS7500(アジレントテクノロジー製)を用いて測定し、固形分換算した通過後メタル含有量の分析値を算出した。
<比較例1>濾過による金属不純物除去工程
前記作製した被精製材料溶液;ポジ型感光性樹脂組成物溶液をロキテクノ社 孔径10μmポリプロピレン(PP)メンブレンフィルターで濾過を行った。濾過時の圧力はそれぞれ300kPaであった。組成物溶液を100g濾過した時点での精製溶液中の金属不純物の含有量(通過後メタル含有量)をICP-MS7500(アジレントテクノロジー製)を用いて測定し、固形分換算した通過後メタル含有量の分析値を算出した。
単位:mg/L

Claims (13)

  1. 感光性樹脂組成物と不純物を含む感光性樹脂組成物溶液中の前記感光性樹脂組成物を精製する方法であって、前記方法が、
    陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に前記溶液を通過させることによって前記溶液中の前記不純物を吸着除去する工程を含み、
    前記陰イオン交換材料、前記陽イオン交換材料および前記キレート形成材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介して基材に導入されている材料であり、
    前記基材が、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸であり、
    前記担体は、前記グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に前記芯材を取り除いて形成されてなるワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する、感光性樹脂組成物の精製方法。
  2. 前記担体のグラフト率が20%以上300%以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  3. 前記感光性樹脂組成物の不純物除去工程において、粘度が3mPa・s以上100mPa・s以下である、前記溶液を前記ワインドフィルターカートリッジモジュールに透過圧力100kPa以下で透過させる、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  4. 前記感光性樹脂組成物の不純物除去工程の前後で、中空糸型ろ過膜モジュールに前記溶液を通過させる工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  5. 前記中空糸型ろ過膜モジュールが、以下の特徴:
    ・膜材質:ポリエチレン、
    ・孔径:0.05~0.7μm、
    ・内表面開口率:25~50%、
    ・内径:1~5mm、及び
    ・内表面膜面積:1m以上、
    を有する中空糸型ろ過膜モジュールである、請求項4に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  6. 前記担体が前記陰イオン交換材料を含み、
    前記陰イオン交換基が3級アミノ基及び4級アミノ基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  7. 前記担体が前記陽イオン交換材料を含み、
    前記陽イオン交換基がスルホン酸基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  8. 前記担体が前記キレート形成材料を含み、
    前記キレート形成基がイミノ二酢酸基、イミノ二エタノール基およびポリオール基からなる群から選ばれる1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  9. 一つの担体中に前記陰イオン交換基、前記陽イオン交換基および前記キレート形成基の各々が導入された2種以上のモノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸を巻回してなる前記担体を使用する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  10. 前記感光性樹脂組成物溶液が有機溶剤を含有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  11. 前記不純物が国際純正応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)が定めた表示法に従う周期表の第2周期乃至第6周期で、第1族乃至第14族の元素であり、
    その多価元素イオン、又はそれらの水酸化物若しくは酸化物のコロイド物質である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物の精製方法。
  12. 感光性樹脂組成物の製造方法であって、
    陰イオン交換材料、陽イオン交換材料およびキレート形成材料からなる群から選ばれる1つ以上である吸着担体に感光性樹脂組成物溶液を通過させる工程を含み、
    前記陰イオン交換材料、前記陽イオン交換材料および前記キレート形成材料の各々は、陰イオン交換基、陽イオン交換基およびキレート形成基の各々の吸着機能基を有するグラフト鎖がグラフト重合を介して基材に導入されている材料であり、
    前記基材が、モノフィラメント糸又はマルチフィラメント糸であり、
    前記担体は、前記グラフト鎖が導入された基材を芯材に巻回し、任意に前記芯材を取り除いて形成されてなるワインドフィルターカートリッジモジュールの形態を有する、感光性樹脂組成物の製造方法。
  13. 請求項1又は2に記載の方法により処理された感光性樹脂組成物中の不純物の含有量が10mg/L未満である、感光性樹脂組成物。
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