JP2024066868A - ポリイミドフィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレキシブルプリント基板の製造工程に特別な変更を行わずに、レーザー加工時に発生するビア内壁のクラックを抑制し、寸法安定性に優れたFPCを提供できる、ポリイミド積層体を提供すること。【解決手段】熱可塑性ポリイミド樹脂層のジアミン由来の構造に、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを15モル%以上含み、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層のテトラカルボン酸二無水物由来の構造に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を15モル%以上含み、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有するポリイミドフィルム積層体により、上記課題を解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルム積層体に関するものである。
近年、スマートフォン、タブレットパソコン、ノートパソコン等を中心としたエレクトロニクス製品の需要拡大に伴い、各種フレキシブルプリント配線板(以下、FPCともいう)の需要が伸びている。中でも接着層として熱可塑性ポリイミドを用いた2層フレキシブルプリント配線板(以下、2層FPCともいう)は、耐熱性、屈曲性に優れることから需要が更に伸びることが期待される。さらに近年、電子機器の軽量化、小型化、薄膜化が進んでおり、FPC配線の微細化の要求が依然として強い。
微細両面FPCや多層FPCを作製する際には、ポリイミド絶縁フィルムの両面に銅箔を貼り合わせた銅張積層板を原材料として使用するのが一般的である。FPC製造では最初に層間の導通を行うための穴を開ける工程がある。穴を通って導通するので、この穴のことをビアと呼ぶ。ビアの内面にメッキをほどこすことで両面を導通させる。ビア形成工程には、ドリルやレーザーで両面の銅箔に貫通孔を開けるスルーホール法と片面の銅箔のみをエッチングし絶縁層をレーザーで除去して片面の銅箔は残すブランインドビアホール法があるが、とくに微細FPCでは面積を有効に使用するためにブランインドビアホール法が高頻度に用いられる。
従来より、このようなビア形成工程では穴あけ後に穴の内部や銅箔表面を清浄にしたり樹脂の残渣を除去したりするために、加熱下でアルカリ性過マンガン酸カリウム水溶液等を用いる湿式デスミア処理が行われる。ポリイミドはアルカリ条件下で加水分解しやすく、レーザー加工した場合には局所的な加熱を受けたことによる残留応力があるため、ビア形成工程でのデスミア処理ではビア内壁にクラックが生じるなどの欠陥が生じやすい。
特許文献1にはレーザー加工とデスミア処理の間に熱処理工程を加えてレーザー加工で生じた残留応力を除去し、欠陥の発生を抑制する方法が報告されている。特許文献2には現像・エッチング処理、レジスト剥離工程で使用するアルカリ溶液への耐性を制御したポリイミドが開示されている。特許文献3では熱可塑性ポリイミド樹脂層及び非熱可塑性ポリイミド樹脂層からなるポリイミドフィルム積層体の非熱可塑性ポリイミド樹脂層の高温における弾性率を下げることでレーザー加工時の残留応力を緩和し、欠陥の発生を抑制する方法が報告されている。
特開2012-186377号公報 特開2017-179148号公報 WO2022-014257
両面FPCのビア形成工程においてレーザー加工後にデスミア処理する際にはビア内壁にクラック欠陥が発生しやすい。ビア内壁のクラックは、積層板の実使用時やその後の工程において進展してメッキ部分を変形させ接続信頼性を低下させる原因となったり、クラック内に薬液が侵入することで絶縁信頼性を低下させる原因になったりするなど品質に悪影響を与える可能性があり、改善の余地があった。
この課題に対して特許文献1の開示されたようなβ緩和温度域で熱処理を施して裂けを抑制する方法が報告されているが、この方法では、別途熱処理の工程が増えるため生産性の低下をもたらす。
また、特許文献2に開示されたような柔軟性ブロック成分と剛直性ブロック成分を含み応力-歪み曲線における10%歪み時応力が180MPa以上であり、 動的粘弾性測定における380℃における貯蔵弾性率が0.6GPa~2.0GPaであり、貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が270℃~340℃であるポリイミドフィルムは、アルカリ環境下でのフィルムの裂けを改善するものであったがビア内壁のクラックに対しては、改善の余地があった。
また、特許文献3に開示されたような熱可塑性ポリイミド樹脂層及び非熱可塑性ポリイミド樹脂層からなるポリイミドフィルム積層体の非熱可塑性ポリイミド樹脂層にジアミン残基として4,4’-ジアミノジフェニルエーテル残基、p-フェニレンジアミン及び20モル%以上35モル%以下の4,4’-ジアミノ2,2’-ジメチルビフェニル残基を含み、380℃における貯蔵弾性率が0.350GPa未満であるポリイミドフィルムはFPCのビア形成工程におけるレーザー加工後のデスミア処理時のビア内壁クラックを抑制するものであったが、380℃の弾性率が0.350GPa未満であるが故、銅貼積層板形成時の温度、圧力による残留歪が大きくなる傾向にあり、寸法安定性に改善の余地があった。
FPCの製造工程に特別な変更をほどこさずに、レーザー加工によるビア形成工程において発生するビア内壁のクラックを抑制し、寸法安定性に優れたFPCを提供することができる、ポリイミド積層体を提供することを課題とする。
レーザー加工後のデスミア処理時に生じるビア内壁のクラックを抑制するためには、レーザー加工時にポリイミドフィルムに生じた応力を緩和させることが重要である。一方で、柔軟骨格を多く含むポリイミドを用いれば応力緩和を容易になるが、貼り合わせる金属よりも線膨張係数が非常に大きくなるため張り合わせ時に反ったりしわが発生したり、また、高温の弾性率を低く設計することでも応力緩和が容易となるが、銅貼積層板の寸法安定性が悪化することへの気づきが本発明の端緒となっている。
発明者らは鋭意検討した結果、熱可塑性ポリイミド樹脂層及び非熱可塑性ポリイミド樹脂層からなるポリイミドフィルム積層体の熱可塑性ポリイミド樹脂層に特定の一次構造をもつポリイミドを採用し、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の機械及び熱特性を一定の範囲にすることで、ポリイミド積層体の線膨張係数を金属と同程度でありながらレーザー加工時の残留応力を緩和しデスミア処理時に生じるビア内壁のクラックを抑制できることを見出した。
すなわち本発明は以下のポリイミドフィルム積層体に関する。
1).非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有するポリイミドフィルム積層体であって、前記熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用される芳香族ジアミンが1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを15モル%以上含み、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を15モル%以上含むことを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
2).前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物からなる群から選ばれることを特徴とする1)に記載のポリイミドフィルム積層体。
3).前記非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用される芳香族ジアミンがパラフェニレンジアミン、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン及び1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群から選ばれることを特徴とする1)または2)に記載のポリイミドフィルム積層体。
4).前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミン、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン及び4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルからなる群から選ばれ、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれることを特徴とする1)~3)のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
5).前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミンを10モル%以上20モル%以下の範囲で含み、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテルを30モル%以上70モル%以下の範囲で含み、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルを15モル%以上60モル%以下の範囲で含み、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を30モル%以上70モル%以下の範囲で含むことを特徴とする4)に記載のポリイミドフィルム積層体。
6).前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミンを70モル%以上95モル%以下の範囲で含み、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを5モル%以上30モル%以下の範囲で含み、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を20モル%以下の範囲で含むことを特徴とする4)に記載のポリイミドフィルム積層体。
7).前記非熱可塑性ポリイミドの引張10%歪時の応力が200MPa以上であること特徴とする1)~6)のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
8).前記非熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が8~19ppm/℃8であることを特徴とする1)~7)のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
9).前記非熱可塑性ポリイミドの引張弾性率が5GPa以上であることを特徴とした1)~8)のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
本発明で得られるポリイミド積層体は、フィルムの製造工程に特別な変更をほどこさずに、レーザー加工によるビア形成工程において発生するビア内壁のクラックを抑制し、寸法安定性に優れたフレキシブルプリント基板を提供することができる。
本発明の実施例の判別に用いた光学顕微鏡像の一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。まず、本発明に係るポリイミドフィルム積層体の場合について、その実施の形態の一例に基づき説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」をそれぞれ意味する。
ポリイミドとは、一般式(1)のような構造を有するものをいい、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物(以下、「酸二無水物」と記載する場合がある)との付加重合により得られるポリアミド酸の脱水環化や、ジイソシアネートと酸二無水物との脱炭酸による縮合などによって合成することができる。一般式(1)中のXは4価の有機基、Yは2価の有機基を表す。イミド環を形成する4つのカルボニル基と前記Xで形成される構造をテトラカルボン酸二無水物由来の構造とする。また、出発原料がジイソシアネートの場合であっても、一般式(1)中のN-Y-Nの構造をジアミン由来の構造とする。つまり、ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物由来の構造とジアミン由来の構造を有する。
上述の通りポリイミドは、原料のテトラカルボン酸二無水物やジアミンの構造が決まれば、一義的にポリイミドの構造が決まるため、例えば、「熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族ジアミン由来の構造に、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを含み、熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物由来の構造に、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含み」というような表現を行う。
本発明者らは、レーザー加工により発生した残留応力がアニール熱処理により緩和する知見から、銅張積層板を構成する絶縁層の粘弾性の温度依存性を制御することで特段アニール熱処理を行わずともレーザー加工後の冷却過程で応力緩和が可能ではないかと考えた。
本発明者らは、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有するポリイミドフィルム積層体において銅張積層板形成時の耐熱性を十分に維持するため非熱可塑性ポリイミド樹脂層に耐熱性を、熱可塑性ポリイミド樹脂層に応力緩和特性を付与する分子設計を鋭意検討した。その結果、熱可塑性ポリイミド樹脂層に特定のモノマー群から選択されるモノマーにより構成される一次構造を有することでフィルム製造工程に大きな変更を加えることなく、レーザー加工によるビア形成工程においてビア内壁に生じるクラックを抑制可能であることを見出した。
ポリイミドフィルム積層体は、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有する。本発明における非熱可塑性ポリイミド樹脂層とは、フィルムの状態で金属製の固定枠に固定して450℃、2分間加熱を行った際に、シワが入ったり伸びたりせず、形状を保持しているポリイミドをいう。本発明における熱可塑性ポリイミドとは、前記同様の熱処理を行った際にシワが入ったり伸びたりし、形状を保持しないポリイミドをいう。
本発明のポリイミド積層体は、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有するポリイミドフィルム積層体であって、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層のジアミン由来の構造に、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを含み、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層のテトラカルボン酸二無水物由来の構造に、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする。
本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂層は、動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が300℃以下であるユニット成分を含有することが、応力緩和を効率的に行えるため特に好ましい。具体的には1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(以下TPE-Rと略することもある)と3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと略することもある)、TPE-Rと3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと略することもある)、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下BAPPと略することもある)とBTDA、BAPPとBPDA、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと略することもある)とBTDA及びODAとBPDAなどが挙げられる。望ましくは貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が250℃以下がよくTPE-RとBTDA、TPE-RとBPDA、BAPPとBTDA及びBAPPとBPDAなどが挙げられ、耐アルカリ性の観点からTPE-RとBTDA及びTPE-RとBPDAが最も望ましく、熱可塑性ポリイミド樹脂層には、必須成分として、BTDAとTPE-Rを含む。
本発明における応力緩和特性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂層に含まれる動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が300℃以下であるユニット成分の含有量は、酸二無水物成分とジアミン成分の夫々が、15モル%以上含むことが好ましく20モル%以上が更に好ましく30モル%以上が最も好ましい。
特に、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層のジアミンの由来の構造に、TPE-Rを15モル%以上、及び前記熱可塑性ポリイミド樹脂層のテトラカルボン酸二無水物由来の構造に、BPDAを15モル%以上含むことが好ましく、TPE-RとBPDAの夫々が、20モル%以上が更に好ましく30モル%以上が最も好ましい。
本発明における応力緩和特性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂層は前記動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が300℃以下であるユニット成分を一定量以上含有していれば他のモノマー成分を含有してもよい。ジアミンモノマーとしては耐熱性の観点から芳香族ジアミンが望ましく、具体的にはビフェニル構造を有するジアミンモノマーとして、例えば、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(以下m-TBと略することある)、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメトキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメトキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニルなどを例示することができる。ただし4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニルはヒトに関して発がん性を有することから実際に使用するのは好ましくない。実用するには4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルがとくに好ましい。その他に使用するジアミンモノマーとして例えば、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、3,4´-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4´-ジアミノジフェニルプロパン、4,4´-ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’-ジクロロベンジジン、4,4´-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´-ジアミノジフェニルスルホン、4,4´-ジアミノジフェニルスルホン、4,4´-ジアミノジフェニルエーテル、3,3´-ジアミノジフェニルエーテル、3,4´-ジアミノジフェニルエーテル、1,5-ジアミノナフタレン、4,4´-ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’-ジアミノジフェニルシラン、4,4´-ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4´-ジアミノジフェニルN-メチルアミン、4,4´-ジアミノジフェニル N-フェニルアミン、1,4-ジアミノベンゼン(p-フェニレンジアミン)、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼンが挙げられ、耐熱性を高く保ちながら、ポリマーとしての柔軟性を調整できることから、4,4´-ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを組み合わせて用いることが好ましい。また、熱可塑性を付与するために屈曲性を有するジアミンを含有することが好ましい。屈曲性を有するジアミンの例として、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。
酸二無水物モノマーとしては耐熱性等の点から芳香族酸二無水物が好ましい。
例えば、ピロメリット酸二無水物(以下PMDAと略することもある)、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシフタル酸二無水物、3,4’-オキシフタル酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物等が挙げられる。
本発明における動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の変曲点が示す温度が300℃以下であるユニット成分以外の成分として、耐熱性の調整がし易いことから、ピロメリット酸二無水物を用いることが好ましい。
(非熱可塑性ポリイミド樹脂層の線膨張係数)
本発明の非熱可塑性ポリイミド樹脂層の線膨張係数は、5~19ppmであり、好ましくは6~15ppm更に好ましくは、7~12ppm/℃である。その範囲であれば熱可塑性ポリイミド樹脂層との積層体にした際に、積層体としての線膨張係数を銅箔に近い14~22ppm/℃に、望ましくは更に銅箔に近い16~20ppm/℃にコントロール可能である。
(非熱可塑性ポリイミド樹脂層の弾性率及び10%歪応力)
本発明の非熱可塑性ポリイミド樹脂層のASTM D882にしたがって引張特性を測定した際の引張弾性率は5GPa以上13GPa以下が好ましく、6GPa以上12GPa以下が更に好ましく、6GPa以上11GPa以下が最も好ましい。10%歪時の応力は200MPa以上350MPa以下が好ましく、200MPa以上320MPa以下が更に好ましい。引張弾性率が5GPa未満もしくは10%歪時の応力が200MPa未満の場合、ポリイミドフィルム積層体としての剛性が低く、連続的なFPCの加工工程においてフィルムがり裂ける原因となる。また引張弾性率が13GPaより大きいもしくは10%歪時の応力が350MPaより大きい場合、分子鎖のパッキングの程度が過度に高い凝集構造が形成され、本用途における非熱可塑性ポリイミド樹脂層の適切な線膨張係数範囲外となる。
(非熱可塑性ポリイミド樹脂層)
非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成する非熱可塑性ポリイミドの製造に使用するジアミンと酸二無水物には、熱可塑性ポリイミド樹脂層に使用されるそれらと同じものが挙げられる。本発明の非熱可塑性ポリイミド樹脂層の弾性率及び10%歪応力を満たすモノマー構成としては特に制限するものではないが、非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成するジアミンモノマー成分100%のうち、ビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマーの総量が20モル%以上含まれかつ、非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成するジアミンモノマー成分と酸二無水物モノマー総量200%のうちビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマー及びビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直な酸二無水物モノマー総量が100モル%以上180モル%未満であることが好ましい。非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成するジアミンモノマー成分100%のうち、ビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマーの総量が30モル%以上であることがより好ましく、35モル%以上含まれていることが最も好ましい。非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成するジアミンモノマー成分と酸二無水物モノマー総量200%のうちビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマー及び酸二無水物モノマー総量が100モル%以上170モル%未満が更に好ましく、100モル%以上160モル%未満が最も好ましい。
非熱可塑ポリイミド層は、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層のジアミンの由来の構造に、パラフェニレンジアミン(以下PDAと略することもある)、ODA、m-TB、BAPP及びTPE-Rからなる群から選ばれる1種以上のジアミンを含み、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層のテトラカルボン酸二無水物由来の構造に、PMDA、BPDA及びBTDAからなる群から選ばれる1種以上の酸二無水物を含むことが、供給安定性、剛直構造モノマーと柔軟構造モノマーの組み合わせによる機械特性や線膨張係数の設計のし易さの観点で好ましく、PDA、ODA、BAPP及びm-TBからなる群から選ばれる1種以上のジアミンを含み、PMDA、BPDA及びBTDAからなる群から選ばれる1種以上の酸二無水物を含むことが更に好ましい。
(ポリアミド酸の製造)
本発明におけるポリアミド酸の製造方法としては、あらゆる公知の方法およびそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の製造における重合方法の特徴は、そのモノマーの添加順序にあり、このモノマーの添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。従い、本発明においてポリアミド酸の製造にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として以下のような方法が挙げられる。
例えば、下記の工程(A-a)~(A-b):
(A-a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族ジアミンが過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る工程、(A-b)工程(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを追加添加する工程。更に、工程(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、によって製造することができる。
または、下記の工程(B-a)~(B-b):(B-a)芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族酸二無水物が過剰の状態で有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る工程、(B-b)工程(B-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二を無水物を追加添加する工程
。更に、工程(B-a)工程で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物が実質的に等モルとなるように添加して重合する工程、を経ることによってポリアミド酸を得ることも可能である。
任意のジアミンもしくは酸二無水物に、特定のジアミンもしくは酸二無水物が選択的に結合するように添加順序を設定する合成方法(例えば工程(A-a)~(A-b)、および(B-a)~(B-b))を本発明ではシーケンス重合と呼ぶ。シーケンス重合により得られたポリマーのうち、ブロック成分が二つの場合をジブロック共重合体、3つの場合をトリブロック共重合体と呼ぶ。これに対し、結合するジアミンと酸二無水物を投入順序で選択しない合成方法を本発明ではランダム重合と呼ぶ。ランダム重合により得られたポリマーをランダム共重合体と呼ぶ。
本発明において、フレキシブル金属張積層板として特性を維持しつつ、フィルムの裂けの抑制に有効なポリイミド樹脂を得るための好ましい重合方法としては、ランダム重合よりもシーケンス重合が好ましい。
(ポリアミド酸の固形分濃度)
本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムとなるポリアミド酸の固形分濃度は特に限定されず、通常5重量%~35重量%、好ましくは10重量%~30重量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得る。
(ポリアミド酸の組成物)
本発明の非熱可塑性ポリアミド酸(以下、非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸を便宜上、非熱可塑ポリアミド酸を記載することもある。)には、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
(ポリイミドフィルムの製造方法)
本発明におけるポリイミドフィルムを得る方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、以下の工程
i)有機溶剤中で芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて非熱可塑性ポリアミド酸溶液を得る工程、
ii)上記非熱可塑性ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープをダイスから支持体上に流延して、樹脂層(液膜ともいうことがある)を形成する工程、
iii)樹脂層を支持体上で加熱して自己支持性を持ったゲルフィルムとした後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、
iv)更に加熱して、残ったアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させ非熱可塑性ポリイミドフィルムを得る工程、を含むことが好ましい。
ii)以降の工程においては、熱イミド化法と化学イミド化法に大別される。熱イミド化法は、脱水閉環剤等を使用せず、ポリアミド酸溶液を製膜ドープとして支持体に流延、加熱だけでイミド化を進める方法である。一方の化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、イミド化促進剤として脱水閉環剤及び触媒の少なくともいずれかを添加したものを製膜ドープとして使用し、イミド化を促進する方法である。どちらの方法を用いても構わないが、化学イミド化法の方が生産性に優れる。
脱水閉環剤としては、無水酢酸に代表される酸無水物が好適に用いられ得る。触媒としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等の三級アミンが好適に用いられ得る。
製膜ドープを流延する支持体としては、ガラス板、アルミ箔、エンドレスステンレスベルト、ステンレスドラム等が好適に用いられ得る。最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて加熱条件を設定し、部分的にイミド化または乾燥の少なくとも一方を行った後、支持体から剥離してポリアミド酸フィルム(以下、ゲルフィルムという)を得る。
上記ゲルフィルムの端部を固定して硬化時の収縮を回避して加熱処理し、ゲルフィルムから、水、残留溶媒、イミド化促進剤、脱水閉環剤等を除去し、そして残ったアミド酸を完全にイミド化して、ポリイミドを含有するフィルムが得られる。加熱条件については、最終的に得られるフィルムの厚み、生産速度に応じて適宜設定すれば良い。
(ポリイミドフィルム積層体の製造)
本発明のポリイミドフィルム積層体は、前記非熱可塑性ポリイミドフィルムを用いて、その少なくとも片面に、熱可塑性のポリイミド樹脂層を積層したポリイミドフィルム積層体であり、ポリイミドフィルム積層体を製造する方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、共押出しダイを使用して、本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸および接着層となりうる熱可塑性ポリアミド酸を含む複層の樹脂層を同時に形成しても良い。
また本発明の非熱可塑性ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミド酸を合成し、それを用いてフィルム化して得られたポリイミドフィルムを一旦回収した後、その上に塗工などで新たに熱可塑性ポリアミド酸を含む樹脂層を形成しても良い。イミド化には非常に高い温度が必要となるため、ポリイミド以外の樹脂層を設ける場合は、熱分解を抑えるために後者の手段を採る方が好ましい。なお、塗工により熱可塑性ポリイミド樹脂層を設ける場合は、熱可塑性ポリアミド酸を塗布し、その後イミド化を行ってもよいし、熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成することができる熱可塑性ポリイミド溶液を塗布・乾燥してもよい。ポリイミドフィルム積層体の最表面に、コロナ処理やプラズマ処理のような種々の表面処理を行うことも可能である。
本発明のポリイミドフィルム積層体全体の厚みは6μm~60μmであることが好ましい。その範囲内でも厚みが薄い方が、FPCとしての軽量化に貢献し、また折り曲げ性が向上するので好ましく、例えば、7μm~30μmがより好ましく、10μm~25μmがさらに好ましい。
また、ポリイミドフィルム積層体の反りを抑制するため、非熱可塑性ポリイミド層の両面が熱可塑性ポリイミド層であることが好ましい。非熱可塑性ポリイミド層の片面のみ熱可塑性ポリイミド層を形成した場合、熱可塑性ポリイミド層のイミド化反応を進行させた場合、非対称構造となるため、フィルムが反ってしまうことがあった。非熱可塑性ポリイミド層の両面の熱可塑性ポリイミド層の厚みは、1~15μmが好ましく、両面の厚みの差は、厚い熱可塑性ポリイミド層の厚みを基準にし、もう一方の厚みが40%以上、100%以下であれば、フィルム形状として問題は無い。
多層ポリイミドフィルムの非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層の厚み比率は、多層ポリイミドフィルムの線膨張係数を制御する面で55/45~95/5が好ましい。この比率は、非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層が複数層になっても、それぞれの総厚みの比率であり、熱可塑性ポリイミド層の層数が多くなっても、非熱可塑性ポリイミド層の厚みを超えないことが好ましい。
(フレキシブル金属張積層体)
ポリイミドフィルム積層体の少なくとも片面に金属箔を貼り合わせることより、フレキシブル金属張積層板を製造することが可能である。フレキシブル金属張積層板を製造する方法も特に制限されず、種々の公知の方法を適用できる。例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することも好ましい。
金属箔上に熱可塑性ポリアミド酸溶液または非熱可塑性ポリアミド酸溶液の少なくともいずれか一方の溶液を含有する多層の有機溶剤溶液をキャストする手段も用いることが出来る。金属箔上にポリアミド酸を含有する有機溶剤溶液をキャストする手段については特に限定されず、ダイコーターやコンマコーター(登録商標)、リバースコーター、ナイフコーターなどの従来公知の手段を使用できる。本発明における熱可塑性ポリイミド樹脂層と非熱可塑性ポリイミドフィルムを含む場合などポリイミド樹脂層を複層設ける場合、もしくはポリイミド以外の樹脂層も設ける場合は、上記キャスト、加熱工程を複数回繰り返すか、共押出しや連続キャストによりキャスト層を複層形成して一度に加熱する手段が好適に用いられうる。この手段では、イミド化が完了すると同時に、フレキシブル金属張積層体が得られる。樹脂層の両面に金属箔を設ける場合、加熱加圧により反対側の樹脂層面に金属箔を貼り合わせれば良い。
金属箔は、特に限定されるものではなく、あらゆる金属箔を用いることができる。例えば、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、およびこれら金属の合金などを好適に用いることができる。また、一般的な金属張積層板では、圧延銅、電解銅といった銅が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。
また、金属箔は、目的に応じて表面処理、表面粗さ等種々特性を有したものを選択できる。さらに、上記金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
(レーザー加工によるビア形成工程)
銅張積層板を原料としてレーザー加工によりビアを形成する場合、加工したい部位にレーザーを照射することで、基板を切削し、穴を開けることができる。基板を貫通させてスルーホール(TH)を形成したり、上面の銅箔を除去した後にポリイミド樹脂のみを除去しブランインドビアホール(BVH)を形成したりすることできる。BVHの形成の際には表面の銅箔を除去し、続けてレーザーの出力を落として樹脂層を除去することで安定して盲管を形成することができる。
レーザーの種類としては公知のものを用いることができる。、UV-YAGレーザーやエキシマ―レーザーなどの短波長レーザーは樹脂に対しても銅に対しても非常に高い吸収率を示し加工が可能であるため好ましい。なおTHに関しては直接ドリルを用いて貫通孔を開ける方法も広く用いられている。
デスミア処理は公知の方法を適用することができ、アルカリ水溶液や有機溶媒を含む溶液からなる膨潤工程、過マンガン酸ナトリウムや過マンガン酸カリウム等のアルカリ水溶液からなる粗化工程、及び中和工程とからなる湿式デスミア処理を用いることができる。
本発明のポリイミド積層体で低減されるビア内壁のクラックは、デスミア処理後にベースフィルムの穴の内壁に発生するものであることを確認している。とくにTHよりもBVH形成時に発生しやすい。レーザー加工後にエッチング等で銅箔を除去し観察してもクラックは発生しない。また銅箔を除去した状態でデスミア処理するとクラックは生じない。さらにデスミア処理における膨潤時間、粗化時間を長時間化するとクラックが発生しやすくなる。
デスミア処理後に穴の内側をめっきしてビアとなる。パラジウムを形成した後、そのパラジウムを核として無電解銅めっきを樹脂上に析出させることにより、無電解銅めっき層を形成する。無電解銅めっきのみで所望の厚みのめっき層を形成しても良いし、無電解銅めっき層を薄付けした後、電解銅めっきにより所望の厚みのめっき層を形成しても良い。
(ホールクラックテスト:クラックの定量化と発生箇所の形態観察)
ビア内壁に発生したクラックは、通常はFPC製造後に外観検査などで検出される。しかし、この方法のみで評価を実施するのは大きなコストと時間を要する。本発明者らは、材料となる長尺フレキシブル金属張積層板から試験片を切り出して、ビア形成工程のレーザー加工からデスミア処理まで実施した段階で穴の内壁に発生するクラック、すなわちホールクラックが抑制された材料を用いれば、FPC製造工程においてもクラックが発生が抑制されることを見出した。ホールクラックテストを実施することで、材料の評価を簡便に行うことができる。デスミア処理後の試験片の銅箔をエッチングで除去し、クロスニコル下での偏光顕微鏡観察により、ビア内壁に生じたクラックの有無の確認することができる。ビア内壁にクラックが生じた場合に光漏れとして検出されることを電子顕微鏡観察との組み合わせで確認した。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例における非熱可塑性ポリイミドの動的粘弾性、線膨張係数、引張特性、10%歪み時応力の求め方、およびホールクラックテストの方法は次の通りである。
(動的粘弾性)
貯蔵弾性率は、SIIナノテクノロジー社製 DM6100により空気雰囲気下において動的粘弾性を測定し、測定温度との相関をプロットして変曲点温度及び380℃における貯蔵弾性率を読み取った。
サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離;20mm
測定温度範囲;0℃~440℃
昇温速度;3℃/min
歪み振幅;10μm
測定周波数;1Hz,5Hz,10Hz
最小張力/圧縮力;100mN
張力/圧縮ゲイン;1.5
力振幅初期値;100mN
(線膨張係数)
線膨張係数の測定は、SIIナノテクノロジー社製TMA/SS6100を用いて窒素雰囲気下において-10℃から400℃まで一旦昇温させた後、-10℃まで冷却し、さらに再度400℃まで昇温させて、2回目の昇温時の100℃から200℃における線熱膨張率から平均値として計算した。
サンプル形状;幅3mm、長さ10mm
荷重;3g(29.4mN)
昇温速度;10℃/min
(引張特性、10%歪み時応力、塑性変形領域の傾き)
引張弾性率の測定データから10%歪み時応力は求められる。引張弾性率はASTM D882に準じて行った。測定には、島津製作所製のAUTOGRAPH AGS-Jを使用し、23℃、55%RHの環境下で測定した。
サンプル測定範囲;15mm
つかみ具間距離;100mm
引張速度;200mm/min
(ホールクラックテスト)
実施例および比較例で得られたポリイミドフィルム積層体の両面に12μm電解銅箔(3EC-M3S-HTE、三井金属製)を配し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製、厚み125μm)を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板とした。5.0cm×20.0cm角の大きさにフレキシブル金属張積層板を切り取り、UV-YAGレーザーを用いて直径75μmの大きさのブラインドビアホールを表1のプロセスでレーザー加工した。条件ごとに1mm間隔で縦10個ずつ10列のパターンを形成した(各100個)。レーザー加工後にデスミア処理を表2のプロセスで行った。
銅箔をエッチングで除去した後、クロスニコル下にて倍率200倍で偏光顕微鏡観察した。ホール部を光漏れしたものをクラックと見なした。光漏れの程度が弱く判断がつかないものは、ホール断面を切削し電子顕微鏡等のより高倍率の観察を行いクラックか否かを判別し分類した。図1に実際の判別に用いた光学顕微鏡像の一例を示す。100個観察した後、クラックの生じた比率を百分率で求めた。
(非熱可塑性ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の合成)
(合成例1)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を326.01g、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(以下、m-TBともいう)を23.83g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)35.09gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、1.09gのBTDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例2)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを322.63g、p-フェニレンジアミン(以下、PDAともいう)を15.08g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを43.58gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、1.35gのBTDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例3)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.94g、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)を9.19g、m-TBを13.92g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA19.02gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)9.01gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、PDAを2.13gを加え、続いて、PMDA5.87gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.86gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例4)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.53g、ODAを17.70g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう)18.01gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA4.00gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、m-TB5.77g、PDAを2.21gを加え、続いて、PMDA11.42gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.89gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例5)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.61g、PDAを12.85g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA22.64gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA0.88gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後BTDA10.88gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、BAPPともいう)を6.65gを加え、続いて、BTDA5.22gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.88gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例6)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.76g、ODAを14.67g、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(以下TPE-Rともいう)を3.89g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA17.64gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA3.92gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、m-TB5.66g、PDAを2.16gを加え、続いて、PMDA11.19gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.87gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例7)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを325.80g、ODAを15.21g、m-TBを8.06g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを35.62gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、1.10gのBTDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例8)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを327.90g、ODAを28.72g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDAを30.34gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.94gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例9)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを331.95g、BAPPを39.18g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDAを20.19gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.62gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例10)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを325.69g、ODAを23.00g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを35.89gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、1.11gのBTDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例11)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを329.80g、BAPPを33.61g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを25.59gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.79gのBTDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例12)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.85g、ODAを17.21g、m-TBを5.61g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA19.17gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA9.08gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、PDAを2.14gを加え、続いて、PMDA5.91gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.87gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例13)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.84g、m-TBを25.27g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを31.13gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA2.02gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後、TPE-Rを3.86gを加え、続いて、PMDA2.89gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.87gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例14)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを328.24g、m-TBを29.59g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDAを29.49gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.91gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が2500ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
合成例1~14の重合処方、重合方法を表3に示す。
(熱可塑性ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の合成)
(合成例15)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.56g、m-TBを1.06g、TPE-Rを27.77g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA20.62gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA5.90gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.66gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例16)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.73g、m-TBを1.04g、TPE-Rを24.33g、BAPPを4.02g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA20.19gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA5.77gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.64gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例17)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.27g、m-TBを1.10g、TPE-Rを22.67g、ODAを4.15g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA21.32gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA6.10gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.68gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例18)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.46g、m-TBを1.08g、TPE-Rを19.22g、ODAを4.06g、BAPPを4.16g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA20.86gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA5.96gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.66gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例19)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.44g、m-TBを1.08g、TPE-Rを28.15g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA17.92gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA8.19gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.66gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例20)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.32g、m-TBを1.09g、TPE-Rを28.55g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA15.14gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA10.55gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.67gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例21)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.75g、m-TBを2.08g、TPE-Rを14.28g、BAPPを16.07g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA8.64gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA14.30gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.64gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例22)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.08g、m-TBを1.99g、TPE-Rを8.23g、BAPPを23.14g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA8.29gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA13.73gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.61gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例23)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.46g、ODAを6.08g、TPE-Rを5.91g、BAPPを20.78g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA4.47gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA18.10gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.66gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例24)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.48g、m-TBを1.89g、TPE-Rを2.60g、BAPPを29.28g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA8.62gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA13.03gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.58gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例25)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.73g、m-TBを3.66g、TPE-Rを2.52g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA7.50gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後BAPP24.76gを加え、続いて、BTDA11.94g、PMDA5.07gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.56gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例26)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを332.09g、BAPPを38.48g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA4.14gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後PMDA16.77gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.61gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例27)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを335.58g、m-TBを8.48g、BAPPを24.60g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA4.41gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA17.86gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.65gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例28)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.75g、BAPPを35.29g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA7.59gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA12.56gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.56gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例29)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.52g、m-TBを1.88g、BAPPを32.76g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA7.83gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA12.96gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.58gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例30)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.92g、BAPPを34.48g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA12.36gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後PMDA8.61gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.55gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例31)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.70g、m-TBを1.84g、BAPPを31.99g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA12.74gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA8.87gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.57gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例32)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.22g、m-TBを5.87g、BAPPを26.50g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA13.57gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA9.45gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.60gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例33)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを337.07g、BAPPを33.71g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA16.91gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA4.84gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.54gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例34)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.87g、m-TBを1.80g、BAPPを31.25g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA17.42gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA4.98gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.55gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例35)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.41g、m-TBを5.73g、BAPPを25.85g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDA18.53gを徐々に添加した。BPDAが溶解したことを目視で確認後、PMDA5.30gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.59gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例36)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを337.06g、BAPPを33.77g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA13.25gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA8.43gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.54gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例37)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.52g、m-TBを5.65g、BAPPを25.48g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA17.14gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA7.16gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.58gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例38)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを337.07g、m-TBを1.74g、BAPPを30.35g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA18.53gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA4.84gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.54gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例39)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.86g、m-TBを3.59g、BAPPを27.79g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA19.08gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA4.98gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.55gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例40)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.64g、BAPPを25.06g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、PMDA5.14gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後、BTDA11.24gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。その後m-TB5.55gを加え、続いて、BTDA8.43gを添加し、30分間撹拌した。最後に、0.57gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
(合成例41)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを336.76g、m-TBを5.47g、BAPPを24.66g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDA22.13gを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後PMDA3.18gを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後30分間攪拌を行った。最後に、0.56gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調整し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加して、23℃での粘度が200ポイズに達した時点で添加、撹拌をやめ、ポリイミド前駆体を得た。
合成例15~41の重合処方、重合方法を表4に示す。
(非熱可塑性ポリイミドフィルムの作製)
(実施例1)
無水酢酸/イソキノリン/DMFで構成される硬化剤を表5に従い調液し、合成例1で得られたポリイミド前駆体60gに硬化剤24gを添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を110℃×150秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×17秒、350℃×70秒で乾燥・イミド化させて厚み17.0μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムを金属製の固定枠に固定し、450℃で2分間加熱したところ形態を保持し、非熱可塑性であることを確認出来た。得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム特性を表6に示す。
(実施例2~6、比較例1~8)
合成例1で得られたポリイミド前駆体を合成例2~14に変更する以外は、実施例1と同様に実施した。このフィルムを金属製の固定枠に固定し、450℃で2分間加熱したところ形態を保持し、非熱可塑性であることが確認出来た。得られた非熱可塑性ポリイミドフィルムのフィルム特性を表6に示す。
実施例1~6、比較例1~8の表6の結果から明らかなように、本発明における非熱可塑性ポリイミド樹脂層は、構成するジアミンモノマー成分100%のうち、ビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマーの総量が20モル%以上含まれかつ、非熱可塑性ポリイミド樹脂層を構成するジアミンモノマー成分と酸二無水物モノマー総量200%のうちビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直なジアミンモノマー及びビフェニル構造またはフェニル構造もつ剛直な酸二無水物モノマー総量が100モル%以上180モル%未満とすることで、銅貼積層板に好適な特性となりかつ後述する本発明の熱可塑性ポリイミド層と組合せてレーザー加工時のクラックの発生を抑制し得るポリイミドフィルム積層体とすることができる。
(ポリイミドフィルム積層体の作製)
(実施例7)
無水酢酸/イソキノリン/DMFで構成される硬化剤を表7に従い調液し、合成例3で得られたポリイミド前駆体60gに硬化剤24gを添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いて合成例15で得られたポリイミド前駆体/合成例3で得られたポリイミド前駆体と硬化剤の混合物/合成例15で得られたポリイミド前駆体の順にアルミ箔上へ積層流延塗布し3層構造の前駆体を得た。
この樹脂膜を120℃×200秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属製の固定枠に固定し、250℃×17秒、350℃×70秒で乾燥・イミド化させて熱可塑性ポリイミド樹脂層/非可塑性ポリイミド樹脂層/熱可塑性ポリイミド樹脂層が各々厚み4.0μm/17.0μm/4.0μmのポリイミドフィルム積層体を得た。このポリイミドフィルム積層体のホールクラックテスト結果を表7に示す。
(実施例8~15、比較例9~26)
合成例15で得られたポリイミド前駆体を合成例16~23に変更する以外は、実施例7と同様に実施した。このポリイミドフィルム積層体のホールクラックテスト結果を表7に示す。
(実施例16~17、比較例27)
合成例3で得られたポリイミド前駆体を合成例4に、合成例15で得られたポリイミド前駆体を合成例15、20及び26に変更する以外は、実施例7と同様に実施した。このポリイミドフィルム積層体のホールクラックテスト結果を表7に示す。
(実施例18~19、比較例28)
合成例3で得られたポリイミド前駆体を合成例5に、合成例15で得られたポリイミド前駆体を合成例15、20及び33に変更する以外は、実施例7と同様に実施した。このポリイミドフィルム積層体のホールクラックテスト結果を表7に示す。
実施例7~19、比較例9~28の結果から明らかなように、本発明の非熱可塑性ポリイミド樹脂層と本発明の熱可塑性ポリイミド樹脂層を積層したポリイミドフィルム積層体は、フレキシブルプリント基板の製造においてポリイミドフィルム積層体にレーザーを用いてビアを形成しポリイミドフィルム積層体の両側を電気的に接続させる工程において発生するビア内壁へのクラックの発生を抑制する。

Claims (9)

  1. 非熱可塑性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を有するポリイミドフィルム積層体であって、前記熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用される芳香族ジアミンが1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを15モル%以上含み、前記熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物を15モル%以上含むことを特徴とするポリイミドフィルム積層体。
  2. 前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用される芳香族テトラカルボン酸二無水物が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。
  3. 前記非熱可塑性ポリイミドフィルムの製造に使用される芳香族ジアミンがパラフェニレンジアミン、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン及び1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。
  4. 前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミン、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン及び4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルからなる群から選ばれ、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム積層体。
  5. 前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミンを10モル%以上20モル%以下の範囲で含み、4,4‘-ジアミノジフェニルエーテルを30モル%以上70モル%以下の範囲で含み、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニルを15モル%以上60モル%以下の範囲で含み、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を30モル%以上70モル%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項4に記載のポリイミドフィルム積層体。
  6. 前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるジアミンがパラフェニレンジアミンを70モル%以上95モル%以下の範囲で含み、2,2-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを5モル%以上30モル%以下の範囲で含み、前記非熱可塑性ポリイミド樹脂層の製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物がピロメリット酸二無水物を20モル%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項4に記載のポリイミドフィルム積層体。
  7. 前記非熱可塑性ポリイミドの引張10%歪時の応力が200MPa以上であること特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
  8. 前記非熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が8~19ppm/℃であることを特徴とした請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
  9. 前記非熱可塑性ポリイミドの引張弾性率が5GPa以上であることを特徴とした請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルム積層体。
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