JP2024068255A - ポリイミド積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、デスミア処理条件を強めた際に発生する層間のクラックをさらに抑制できるポリイミド積層体を提供することにある。【解決手段】非熱可塑性ポリイミドの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を設けたポリイミド積層体であり、非熱可塑性ポリイミド単層の引張試験による弾性率5~12GPa、10%歪み応力190~310MPaおよび線膨張係数5~20ppm/℃であり、前記非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミド間の相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)が5.0 J/cm3以下、かつ前記熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が65ppm/℃以下であることを特徴としたポリイミドフィルム積層体により、上記課題を解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、クラック耐性に優れたポリイミドフィルム積層体に関する。
近年、スマートフォン、ノートパソコン等を中心としたエレクトロニクス製品の需要拡大に伴い、フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC」と記載)の需要が伸びている。中でも、接着層として熱可塑性ポリイミド層を含むポリイミドフィルム積層体を材料とて使用したFPCは、耐熱性、屈曲性に優れることから需要が更に伸びることが期待される。更に、近年では、電子機器の軽量化、小型化、薄膜化が進んでおり、FPC配線の微細化の要求が依然として強い。
微細両面FPCや多層FPCを作製する際には、ポリイミドフィルムの両面に銅箔等の金属箔を貼り合わせた金属張積層板を材料として使用するのが一般的である。FPC製造では最初に層間の導通を行うための穴(以下、「ビア」と記載)を開ける工程がある。ビアの内壁にめっきを施すことで配線板の両面を導通させることができる。ビア形成工程には、ドリルやレーザーで両面の金属箔及び絶縁層(ポリイミド層)に貫通孔を開けるスルーホール法と、一方の面の金属箔及び絶縁層をレーザー等で切削して、もう一方の面の金属箔を残すブラインドビア法があるが、とくに微細FPCでは面積を有効に使用するために、ブラインドビア法が高頻度に用いられる。
従来、このようなビア形成工程では、穴あけ後に穴の内部や金属箔表面を清浄化したり樹脂の残渣を除去したりするために、加熱下においてアルカリ性過マンガン酸カリウム水溶液等で積層板を処理する湿式デスミア処理が行われる。ポリイミドは、アルカリ条件下で加水分解しやすく、レーザー加工した場合には局所的な加熱を受けることにより残留応力が発生し、ビア形成工程後のデスミア処理ではビア内壁にクラック等の欠陥が生じやすい。特許文献1には、複層ポリイミドフィルムの動的粘弾試験における380℃の貯蔵弾性率を0.350MPa未満にし、レーザー加工で生じた残留応力を除去し、欠陥の発生を抑制する方法が記載されている。
国際公開第2022/014257号公報
しかしながら、特許文献1でのデスミア条件は比較的弱いものであり、デスミア処理条件を強めた際の非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層間でのクラック発生率抑制にはさらなる改善の余地があった。本発明はデスミア処理条件を強めた際に発生する層間のクラックを抑制できるポリイミド積層体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記構成により、上記課題を克服できることを見出した。
[1].非熱可塑性ポリイミドの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を設けたポリイミド積層体であり、非熱可塑性ポリイミド単層の引張試験による弾性率5~12GPa、10%歪み応力190~310MPaおよび線膨張係数5~20ppm/℃であり、前記非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミド間の相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)が5.0 J/cm3以下、かつ前記熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が65ppm/℃以下であることを特徴としたポリイミドフィルム積層体。
[2].前記非熱可塑性ポリイミドの製造に使用される芳香族ジアミンが2,2'-ジメチルビフェニル-4,4'-ジアミンを含み、酸二無水物が3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム積層体。
本発明によれば、デスミア処理条件を強めた際に発生する層間のクラックを抑制できるポリイミド積層体を提供することができる。具体的には、本発明に係るポリイミド積層体によれば、配線板の製造工程において工数を増やすことなく、レーザー加工後のデスミア処理時においてビア内壁のクラックの発生を抑制できる。
本発明に係る実際の判別に用いたクラック発生なしと判断した偏光顕微鏡画像の一例の図である。 本発明に係る実際の判別に用いたクラック発生ありと判断した偏光顕微鏡画像の一例の図である。
本発明の好適な実施形態について詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本発明の積層体は非熱可塑性ポリイミドの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を設けたポリイミド積層体であり、非熱可塑性ポリイミド単層の引張試験による弾性率5~12GPa、10%歪み応力190~310MPaおよび線膨張係数5~20ppm/℃であり、前記非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミド間の相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)が5.0 J/cm3以下、かつ前記熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が65ppm/℃以下であることを特徴としたポリイミドフィルム積層体である。
特許文献1では非熱可塑性ポリイミド層の動的粘弾性試験における残留応力を低下することでホールクラックを抑制することが見いだされている。しかし、デスミア処理条件を強めることで非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層の界面にクラックが発生しやすい傾向にある。FPCメーカーでのビア、めっき加工時のさらなる信頼性向上させるため本発明者らは、鋭意検討した結果、非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層間の溶解度パラメータの差を近づけることで界面相溶性が向上させ、レーザー加工時の界面クラックを抑制できることを見出した。
<ポリイミド積層体の要素>
(非熱可塑性ポリイミド層)
FPCの寸法安定性の観点から線膨張係数(CTE)は5~20ppm/℃が好ましく、8~15ppm/℃がより好ましく、さらに9~12ppm/℃がより好ましい。またFPC基板のハンドリング性、耐久性の観点から、非熱可塑性ポリイミド層の引張試験における引張弾性率は線膨張係数と相関しており 5~12GPaの範囲内が好ましい。また引張試験におけるFPC加工、処理におけるハンドリング性、割れ裂け耐性の観点より引張試験における10%歪み応力は190~310MPaが好ましく、200~280MPaがより好ましく、さらに210~270MPaがより好ましい。
非熱可塑性ポリイミドとは、フィルムの状態で金属製の固定枠に固定して加熱温度450℃の条件で2分間加熱した際に、シワが入ったり伸びたりせず、フィルム形状(平坦な膜形状)を保持しているポリイミドをいう。
非熱可塑性ポリイミド層に使用されるジアミン成分については具体例として、2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、パラフェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ビス(4-アミフェノキシ)ビフェニル、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノ-1,1’-ビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ヒドロキシビフェニル、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。引張特性、線膨張係数の観点からパラフェニレンジアミン(以下PDAと略することもある)、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(以下m-TBと略することもある)を好適使用される。
その中でも、ビフェニル骨格を有するジアミン残基(ビフェニル骨格を有するジアミン由来の残基)を含むことが望ましく、ビフェニル骨格を有するジアミン残基の含有率は、非熱可塑性ポリイミドを構成する全ジアミン残基に対して、20モル%以上であることが好ましく、20モル%~60モル%の範囲で用いることが好ましい。特に、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルを使用することが好ましい。
酸二無水物成分の具体例としては特に制限されないが、耐熱性等の点から芳香族酸二無水物が好ましい。例えば、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシフタル酸二無水物、3,4’-オキシフタル酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物等が挙げられる。特にピロメリット酸二無水物(以下PMDAと略することもある)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下BPDAと略することもある)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下BTDAと略することもある)から選択される少なくとも2種類から好適に使用される。
テトラカルボン酸二無水物残基は、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/または3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むことが望ましく、それらの含有率は、非熱可塑性ポリイミドを構成する全酸二無水物残基に対して、40モル%以上であることが好ましく、100モル%でも構わない。
(熱可塑性ポリイミド層)
熱可塑性ポリイミド層の65ppm/℃以上で高すぎる場合、非熱可塑性ポリイミド層とのCTE差が大きくなり、レーザー穴あけ後の冷却過程において界面に収縮量の差異が生じ残留応力が発生しやすい。そのため相溶性パラメータが5.0以下で界面の相溶性を向上させたとしてもクラック発生率が高くなる傾向にある。
熱可塑性ポリイミドとは、フィルムの状態で金属製の固定枠に固定して加熱温度450℃の条件で2分間加熱した際に、シワが入ったり伸びたりまたは、フィルム形状を保持していないポリイミドをいう。
熱可塑性ポリイミドフィルムに使用されるジアミンと酸二無水物は、非熱可塑性ポリイミド樹脂層に使用されるそれらと同じものが挙げられるが、熱可塑性ポリイミドフィルムとするためには、屈曲性を有するジアミンと酸二無水物とを反応させることが好ましい。屈曲性を有するジアミンの具体例として、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPPと略することがある)などが挙げられる。
またこれらのジアミンと好適に組合せられる酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物などが挙げられる。
上記ジアミンと酸二無水物の組み合わせの中でも、酸二無水物としては、PMDAを必須成分として含み、さらにBPDA及び/またはBTDAを含むことが好ましく、ジアミンとしては、BAPP及び/またはTPE-Rを含むことが好ましく、これらモノマーの割合は、非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミド間の相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)が5.0 J/cm3以下となるように調整すればよい。
(相溶性パラメータ SP値差)
非熱可塑性ポリイミド層、熱可塑性ポリイミド層の各層のSP値(δ)はFedorsの計算方法によって算出されジアミン成分、酸二無水物各成分の凝集エネルギーEと分子容量Vから次式δ=(E/V)1/2にて計算される。
相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)は非熱可塑性ポリイミド層のSP値δn、と熱可塑性ポリイミド層のSP値δtの差の2乗(δn-δt)2によって計算される。
クラック発生率抑制の観点から各層間の相溶性パラメータの値としては5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下がさらに好ましく、2.0以下が特に好ましい。
(ポリイミド積層体の膜厚構成)
ポリイミドフィルム積層体(各層の合計厚み)は、例えば6μm以上60μm以下である。ポリイミドフィルム積層体の総厚みが薄いほど、得られるFPCの軽量化が容易となり、また得られるFPCの折り曲げ性が向上する。機械的強度を確保しつつFPCの軽量化をより容易とし、かつFPCの折り曲げ性をより向上させるためには、厚みは7μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上25μm以下であることがより好ましい。
金属箔との密着性を確保しつつFPCの薄型化を容易に実現するためには熱可塑性ポリイミド層の厚みとしては1μm以上15μm以下であることが好ましい。ポリイミドフィルム積層体の線膨張係数の調整を容易に行うためには、非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層の厚み比率は、55/45以上95/5以下であることが好ましい。非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層がそれぞれ複数層設けられている場合、上記厚み比率は、それぞれの総厚みの比率である。熱可塑性ポリイミド層の層数が多くなっても、熱可塑性ポリイミド層の総厚みが非熱可塑性ポリイミド層の総厚みを超えないことが好ましい。
<ポリイミド積層体の製造方法及び金属張積層板の製造方法>
(ポリイミド積層体の製造方法)
本発明において多層ポリイミドフィルムを製造する方法としては、複数の流路を有する共押出しダイを使用して複層の樹脂層を同時に形成しても良いし、ポリイミド樹脂層を一旦回収した後、その上に塗工などで新たに樹脂層を形成しても良い。非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層間の相溶性を高め、ホールクラック抑制するためには前者の製造方法の方が好ましい。イミド化には非常に高い温度が必要となるため、ポリイミド以外の樹脂層を設ける場合は、熱分解を抑えるために後者の手段を採った方が好ましい。例えば、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドフィルムを有する多層ポリイミドフィルムを得る場合には、コアとなるポリイミドの前駆体および熱可塑性ポリイミドの前駆体を共押出しダイを使用して支持体上に流延し、iii)以降の工程を実施して得ることができる。なお、塗工により熱可塑性ポリイミドフィルムを設ける場合は、非熱可塑性ポリイミド層の上に熱可塑性ポリイミドの前駆体を塗布し、その後イミド化を行ってもよいし、熱可塑性ポリイミド溶液を塗布・乾燥してもよい。
(ポリアミド酸の製造方法)
ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の製造方法(合成方法)としては、あらゆる公知の方法及びそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ポリアミド酸の製造における重合方法の特徴は、そのモノマーの添加順序にあり、このモノマーの添加順序を制御することにより得られるポリイミドの諸物性を制御することができる。ジアミンとテトラカルボン酸二無水物と用いてポリアミド酸を合成する場合、各ジアミンの物質量と、テトラカルボン酸二無水物の物質量(テトラカルボン酸二無水物を複数種使用する場合は、各テトラカルボン酸二無水物の物質量)とを調整することで、所望のポリアミド酸(ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重合体)を得ることができる。ポリアミド酸から形成されるポリイミド中の各残基の物質量比(モル比)は、例えば、ポリアミド酸の合成に使用する各モノマー(ジアミン及びテトラカルボン酸二無水物)の物質量比と一致する。ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との反応、即ち、ポリアミド酸の合成反応の温度条件は、特に限定されないが、例えば20℃以上150℃以下の範囲である。ポリアミド酸の合成反応の反応時間は、例えば10分以上30時間以下の範囲である。本実施形態においてポリアミド酸の製造には、いかなるモノマーの添加方法を用いてもよい。
代表的なポリアミド酸の製造方法として以下のような方法が挙げられる。ポリアミド酸の製造方法として、例えば、下記の工程(A-a)と工程(A-b)とにより重合する方法(以下、「A重合方法」と記載することがある)が挙げられる。
(A-a):芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族ジアミンが過剰の状態で有機溶媒中において反応させ、両末端にアミノ基を有するプポリマーを得る工程
(A-b):工程(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを追加添加し、更に工程(A-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物とが実質的に等モルとなるように添加して重合する工程。
また、ポリアミド酸の製造方法として、下記の工程(B-a)と工程(B-b)とにより重合する方法(以下、「B重合方法」と記載することがある)も挙げられる。
(B-a):芳香族ジアミンと、芳香族酸二無水物とを、芳香族酸二無水物が過剰の状態で有機溶媒中において反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る工程(B-b):工程(B-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族酸二無水物を追加添加し、更に工程(B-a)で用いたものとは構造の異なる芳香族ジアミンを、全工程における芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物とが実質的に等モルとなるように添加して重合する工程。
任意若しくは特定のジアミン、又は任意若しくは特定の酸二無水物に、特定のジアミン又は特定の酸二無水物が選択的に反応するように添加順序を設定する合成方法(例えば、上述したA重合方法、B重合方法等)を、本明細書ではシーケンス重合と記載する。シーケンス重合により得られた重合体のうち、2種類のセグメントを有する重合体をジブロック共重合体、3種類のセグメントを有する重合体をトリブロック共重合体という。これに対し、ジアミン及び酸二無水物の添加順序を設定しない重合方法(モノマー同士が任意に反応する重合方法)を、本明細書ではランダム重合と記載する。ランダム重合により得られた重合体をランダム共重合体という。
本実施形態において、フレキシブル金属張積層板の特性を維持しつつ、フィルムの裂けの抑制に有効なポリイミドを得るための重合方法としては、シーケンス重合が好ましい。上述した重合方法により得られるポリアミド酸の重量平均分子量は、10,000以上1,000,000以下の範囲であることが好ましく、20,000以上500,000以下の範囲であることがより好ましく、30,000以上200,000以下の範囲であることが更に好ましい。重量平均分子量が10,000以上であれば、ポリアミド酸を塗布膜とすることが容易となる。一方、重量平均分子量が1,000,000以下であると、溶媒に対して十分な溶解性を示すため、後述するポリアミド酸溶液を用いて表面が平滑で厚みが均一な塗布膜が得られる。ここで用いている重量平均分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリエチレンオキシド換算値のことをいう。
ポリイミドを得る際、ポリアミド酸と有機溶媒とを含むポリアミド酸溶液からポリイミドを得る方法を採用してもよい。ポリアミド酸溶液に使用可能な有機溶媒としては、例えば、テトラメチル尿素、N,N-ジメチルエチルウレアのようなウレア系溶媒;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド系溶媒;ジフェニルスルホン、テトラメチルスルホンのようなスルホン系溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と記載することがある)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化アルキル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;シクロペンタノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、p-クレゾールメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられる。通常これらの溶媒を単独で用いるが、必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いてもよい。
上述した重合方法でポリアミド酸を得た場合、反応溶液(反応後の溶液)自体を、ポリイミドを得るためのポリアミド酸溶液としてもよい。この場合、ポリアミド酸溶液中の有機溶媒は、上記重合方法において反応に使用した有機溶媒である。また、反応溶液から溶媒を除去して得られた固体のポリアミド酸を、有機溶媒に溶解してポリアミド酸溶液を調製してもよい。ポリアミド酸溶液には、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、シリコーン、増感剤等の添加剤が添加されていてもよい。また、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的で、ポリアミド酸溶液にフィラーを添加することもできる。フィラーとしては、いかなるものを用いてもよいが、好ましい例としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母等からなるフィラーが挙げられる。ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の濃度は、特に限定されず、ポリアミド酸溶液全量に対して、例えば5重量%以上35重量%以下であり、好ましくは8重量%以上30重量%以下である。ポリアミド酸の濃度が5重量%以上35重量%以下である場合、適当な分子量と溶液粘度が得られる。
(金属張積層板の製造方法)
上述の方法で得られたポリイミドフィルム積層体を用いて金属張積層板を製造する際は、上述したように、ポリイミドフィルム積層体の少なくとも片面に金属箔を貼り合わせる。金属箔は、特に限定されるものではなく、あらゆる金属箔を用いることができる。例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、及びこれら金属の合金等を材料とする金属箔が好適に用いられる。また、一般的な金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔が多用されるが、本実施形態においても、銅箔が好ましく用いられる。また、金属箔は、目的に応じて表面処理等を施して、表面粗さ等を調整したものを使用できる。更に、金属箔の表面には、防錆層、耐熱層、接着層等が形成されていてもよい。金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
(金属張積層板の加工)
金属張積層板を材料としてレーザー加工によりビアを形成する場合、加工したい部位にレーザーを照射することで、金属張積層板を切削し、穴を開けることができる。金属張積層板を貫通させてスルーホールを形成したり、上面の金属箔の一部を除去した後で露出したポリイミド層のみを除去することにより、ブラインドビアを形成したりすることができる。ブラインドビアの形成の際には、上面の金属箔をレーザーで除去し、続けてレーザーの出力を落としてポリイミド層を除去することで安定してブラインドビアを形成することができる。
レーザーとしては公知の種類を採用することができる。UV-YAGレーザーやエキシマレーザー等の短波長レーザーは、樹脂に対しても金属に対しても非常に高い吸収率を示すため好ましい。なお、スルーホールの形成に関しては、直接ドリルを用いて貫通孔を開ける方法も広く用いられている。レーザー加工後のデスミア処理方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、アルカリ水溶液や有機溶媒を含む溶液を用いた膨潤工程、過マンガン酸ナトリウムや過マンガン酸カリウム等を含むアルカリ水溶液を用いた粗化工程、及び中和工程を備える湿式デスミア処理方法が挙げられる。
両面金属張積層板の場合、デスミア処理後の穴の内壁をめっきして、金属張積層板の両面を導通させる。めっき方法の一例としては、穴の内壁にパラジウムを付着させた後、そのパラジウムを核として無電解銅めっき層を内壁面に形成する方法が挙げられる。この場合、無電解銅めっきのみで所望の厚みのめっき層を形成してもよいし、無電解銅めっき層を薄付けした後、電解銅めっきにより所望の厚みのめっき層を形成してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例および比較例におけるポリイミドのSP値計算、線膨張係数、引張試験、ホールクラック発生率の評価方法は次の通りである。
<評価>
(SP値計算)
Fedors法による計算にて算出しており、δ=(E/V)1/2で計算される。
δ:SP値
E:凝集エネルギー(J/mol)
V:分子容量(cm3/mol)
ポリイミドの酸無水物成分とジアミン成分それぞれの凝集エネルギーと分子容量の計算結果を表1に示す。各成分の凝集エネルギーの和を分子容量の和から各ポリイミド層のSP値を算出した。
(線膨張係数)
熱分析装置(日立ハイテクサイエンス社製「TMA/SS6100」)を用いて、窒素雰囲気下においてポリイミドフィルムを、-10℃から400℃まで昇温させた後、-10℃まで冷却し、更に再度400℃まで昇温させて、2回目の昇温時の100℃から200℃における歪み量から線膨張係数を求めた。測定条件を以下に示す。
サンプル(ポリイミドフィルム)のサイズ:幅3mm、長さ10mm
荷重:1g
昇温速度:10℃/分
(引張試験)
引張弾性率の測定データから10%歪み時応力は求められる。引張弾性率はASTM D882に準じて行った。測定には、島津製作所製のAUTOGRAPH AGS-Jを使用し、23℃、55%RHの環境下で測定した。
サンプル測定範囲;15mm
つかみ具間距離;100mm
引張速度;200mm/min
(ホールクラックテスト)
後述する実施例及び比較例で得られた複層ポリイミドフィルムの両面に厚み12μmの電解銅箔(三井金属鉱業社製「3EC-M3S-HTE」)を配し、更にそれぞれの電解銅箔の外表面に保護フィルム(カネカ社製「アピカル(登録商標)125NPI」、厚み:125μm)を配した状態で、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件でラミネートを行い、フレキシブル銅張積層板を得た。次いで、得られたフレキシブル銅張積層板を、5.0cm×20.0cmの長方形状に切り取り、加工用サンプルを得た。次いで、UV-YAGレーザーを用いて、表2に記載のレーザー加工条件で、加工用サンプルに直径75μmの大きさのブラインドビア(縦10×横10=100個、間隔:1mm)を形成した。
次いで、レーザー加工後のサンプルを表3に示す条件でデスミア処理した後、銅箔をエッチングで除去し、評価用サンプルを得た。なお、デスミア処理に用いた薬液の製造元は、いずれもマクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン株式会社であった。また、膨潤工程と粗化工程の間、粗化工程と中和工程の間、及び中和工程後には、水洗工程を実施した。
そして、得られた評価用サンプルについて、クロスニコル下にて倍率200倍で偏光顕微鏡観察し、クラックの有無を判別した。具体的には、穴部の周囲に光漏れが発生している状態を「クラックが発生している」と判断し、100個の穴部について観察した後、クラックが発生した穴部の比率(クラック発生率)を百分率で求めた。図1~図2に、実際の判別に用いた偏光顕微鏡画像の一例を示す。図1は、穴部の周囲に光漏れが発生していないため、クラックが発生していない穴部の例である。図2は、穴部の周囲に光漏れが発生しているため、クラックが発生している穴部の例である。なお、光漏れの程度が弱くクラックの有無を判別できない穴部については、穴部断面を電子顕微鏡により観察し、クラックの有無を判別した。
ポリアミド酸の合成に用いた、ジアミン及び酸二無水物の略号を下記に記載する。
(ジアミン)
PDA:パラフェニレンジアミン
ODA:4,4’―ジアミノジフェニルエーテル
m-TB:2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル
BAPP:2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}プロパン
TPE-R:1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
(酸二無水物)
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
ODPA:4,4’-オキシジフタル酸二無水物
<合成例1:非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液>
容量2Lのガラス製フラスコに326.01gのジメチルフォルムアミド(以下DMF)と23.83gのm-TBとを入れた後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコに35.09gのBTDAを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後、更にフラスコ内容物を30分間攪拌した。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら、予め調製しておいたBTDA溶液(溶媒:DMF、BTDAの溶解量:1.09g、BTDAの濃度:7.2重量%)をフラスコに添加した。BTDA溶液をフラスコに添加する際は、フラスコ内容物の粘度が急激に上昇しないように徐々に添加した。そして、フラスコ内容物の温度23℃での粘度が2000ポイズに達した時点でPMDA溶液の添加及びフラスコ内容物の攪拌を止めて、非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液である溶液P1を得た。
<非熱可塑性ポリイミドの評価>
上記非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液である溶液P1に無水酢酸、イソキノリン、DMF((無水酢酸/イソキノリン比率は ポリアミド酸末端モル対比3.00/0.74となるように調整)からなるイミド化促進剤を重量比40%で添加し、連続的に撹拌し、アルミ箔上に流延した。この樹脂膜を110℃×150秒加熱した後、自己支持性のゲル膜をアルミ箔から引き剥がしてピン枠上に4辺固定し、250℃×17秒、350℃×70秒で乾燥、イミド化させ厚み17μmの非熱可塑性ポリイミドフィルムを作製した。非熱可塑性ポリイミドフィルムの物性を評価し、その結果を表4に記載した。表4の銅張積層板適用性は、非熱可塑性ポリイミド単層の引張試験による弾性率5~12GPa、10%歪み応力190~310MPaおよび線膨張係数5~20ppm/℃に合致したものを〇、合致しないものを×とした。
<合成例2~4合成比較例1~8:非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液>
合成例1と同様に、表4のモノマーの割合(モル%)で、各モノマーを反応させ、非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液(P2~P12)を合成した。P3、4、10に関してはシーケンス重合にて行い、ジアミン成分、酸二無水物成分の順で1stシーケンス反応後に2ndシーケンスを添加しポリアミド酸溶液を合成した。2ndシーケンスの酸無水物成分の投入の順番はBTDA/またはBPDA添加後にPMDAを添加し合成した。合成例1と同様に非熱可塑性ポリイミドフィルムを作製し、その評価結果を表4に記載した。
<合成例5:熱可塑性ポリイミド用ポリアミド酸溶液>
容量2Lのガラス製フラスコに335.84gのDMFと26.83gのTPE-R、m-TBを1.03g入れた後、フラスコ内容物を攪拌しながらフラスコに21.82gのBTDAを徐々に添加した。BTDAが溶解したことを目視で確認後さらに60分フラスコ内容物を撹拌した。撹拌後、フラスコに5.70gのPMDAを徐々に添加した。PMDAが溶解したことを目視で確認後、更にフラスコ内容物を30分間攪拌した。次いで、フラスコ内容物を攪拌しながら、予め調製しておいたPMDA溶液(溶媒:DMF、PMDAの溶解量:0.63g、PMDAの濃度:7.2重量%)をフラスコに添加した。PMDA溶液をフラスコに添加する際は、フラスコ内容物の粘度が急激に上昇しないように徐々に添加した。そして、フラスコ内容物の温度23℃での粘度が2000ポイズに達した時点でPMDA溶液の添加及びフラスコ内容物の攪拌を止めて、熱可塑性ポリアミド酸溶液である溶液 W1を得た。
<合成例6~27:熱可塑性ポリイミド用ポリアミド酸溶液>
合成例7と同様に、表5のモノマーの割合(モル%)で、各モノマーを反応させ、熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液(W2~W23)を合成した。W10、22、23に関してはジアミン成分、酸二無水物成分の順で1stシーケンス反応後に2ndシーケンスを添加しポリアミド酸溶液を合成した。
(実施例1)
合成例3で得られた非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液(P1)に、無水酢酸、イソキノリン、DMF(無水酢酸/イソキノリン比率は、ポリアミド酸末端モル対比2.00/0.74となるように調整)からなるイミド化促進剤をポリアミド酸溶液に対して重量比40%で添加し、連続的に撹拌し、合成例21で得られた熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液(W17)を熱可塑/非熱可塑/熱可塑=60μm/330μm/40μmとなるようにアルミ箔上に流延した。この樹脂膜を120℃×200秒で加熱した後、自己支持性のゲル膜をアルミ箔から引き剥がしてピン枠上に4辺固定し、250℃×17秒、350℃×70秒で乾燥、イミド化させ厚み25μmのポリイミドフィルムを得た。
(実施例2~14、比較例1~15)
実施例1と同様に、表6の非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液と熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液組み合わせで、厚み25μmのポリイミドフィルムを得た。
<評価結果>
(非熱可塑性ポリイミド層)
非熱可塑性ポリイミド層として合成例1~4を用いた場合、熱可塑/非熱可塑/熱可塑複層ポリイミドにした際に、フィルムの機械強度とCTEとのバランスが取れておりFPC用のポリイミドフィルムとして最適である。合成比較例1~8を用いた場合、熱可塑/非熱可塑/熱可塑の複層ポリイミド層にした際の全体のCTEが低い/または高くなってしまい寸法安定が悪化してしまうため不適である。また熱可塑性ポリイミド層の厚みを調整することにより全体のCTEの調整をしたとしても機械強度のバランスが取れないため銅箔積層板として用いるには不適である。
(熱可塑/非熱可塑/熱可塑ポリイミド積層体)
非熱可塑性ポリイミド層としては合成例1~4で合成したの非熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液(P1~P4)と合成例5~27で作製した熱可塑性ポリイミド用のポリアミド酸溶液を用いて、熱可塑/非熱可塑/熱可塑3層フィルムを作製し、ホールクラック発生率と、SP値差の影響について調べた。
実施例1~14にて非熱可塑性/熱可塑性を様々組み合わせた時、非熱可塑/熱可塑間のSP値差が5J/cm以下では発生率が50%以下と減少していくことが明らかになった。また比較例1~12、15にてSP値差が5J/cm以上であるとホールクラック発生率が60%以上と増加傾向にあることが明らかになった。この結果は非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層のSP値差を縮めることで界面の相溶性が向上し、機械的強度が向上していると考えられる。しかし、比較例13、14においてはSP値差が5J以下であるのにかかわらず、ホールクラック発生率が100%と大きくなっている。非熱可塑/熱可塑のCTE差が大きくなることでレーザーによる穴あけ後の冷却時の残留応力が増加し、デスミア処理によってフィルム強度が低下した際に残留応力に耐えられずクラックとして表れていると考えられる。これらの結果よりホールクラックの抑制のためには熱可塑性/非熱可塑性のCTE差を広げすぎず、SP値差を少なくしていくことにより抑制できることが明らかになった。

Claims (2)

  1. 非熱可塑性ポリイミドの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を設けたポリイミド積層体であり、非熱可塑性ポリイミド単層の引張試験による弾性率5~12GPa、10%歪み応力190~310MPaおよび線膨張係数5~20ppm/℃であり、前記非熱可塑性ポリイミドと熱可塑性ポリイミド間の相溶性パラメーター(SP値差の2乗値)が5.0 J/cm3以下、かつ前記熱可塑性ポリイミドの線膨張係数が65ppm/℃以下であることを特徴としたポリイミドフィルム積層体。
  2. 前記非熱可塑性ポリイミドの製造に使用される芳香族ジアミンが2,2'-ジメチルビフェニル-4,4'-ジアミンを含み、酸二無水物が3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物および/または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むことを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム積層体。
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