JP2024065934A - 低腐食性溶媒としてのメタノール組成物、ポリアミド組成物の製造方法、ポリアミド組成物、及び粉体 - Google Patents

低腐食性溶媒としてのメタノール組成物、ポリアミド組成物の製造方法、ポリアミド組成物、及び粉体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明によれば、腐食性が低く、ポリアミドを溶解可能な溶媒を提供できる。【解決手段】金属塩化物を5~25%、同金属の水酸化物を0.001~1%及び水を0.001~5%の濃度で含有するメタノール組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、金属腐食性が低く、ポリアミドの溶解性が高い溶媒として用いることができるメタノール組成物、それを用いたポリアミド組成物の製造方法、ポリアミド組成物、及び粉体に関する。
代表的なエンジニアリングプラスチックである、ポリアミド6、ポリアミド66をはじめとしたポリアミドは、耐熱性や良好な力学的特性を持ち、繊維や自動車部品、電気製品部品などに幅広く用いられており、現代社会において代替の効かない材料の一つである。
近年では、省資源、カーボンニュートラルを目的としてプラスチックのリサイクルに関する技術開発がなされているが、ポリアミドも例外ではない。特に、ポリアミドの一つであるポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)は生産量が多く、優先してリサイクルするべきポリアミドの一つである。
リサイクルとしては、マテリアルリサイクルと呼ばれる、一度成形したものを再度ペレット化するものと、ケミカルリサイクルと呼ばれる解重合によりモノマーを再利用するものに大別される。マテリアルリサイクルは成形品に含まれるポリマーの劣化や添加成分がそのままリサイクルポリマーに残るため、品質が安定化しないことが懸念されるものの、化学反応を伴わず、また必要とする副原料も少ないため、投入する資源、エネルギーは少なくて済むことから、用途を固定して循環する場合などはマテリアルリサイクルが選択される。また、ケミカルリサイクルを実施する前にも、工場や市場から回収した加工済み、使用済みポリアミドから添加物、コーティングなどを取り除く場合には、マテリアルリサイクルと同様に清浄なポリアミドを回収する工程を経るため、マテリアルリサイクル技術は、ケミカルリサイクルを行うためにも有用な技術である。
使用済みポリアミドを、その夾雑物を取り除いて清浄な状態にする物理的な方法としては、回収物を破砕後に比重分離する方法などが挙げられる(特許文献1)。この方法は少ないエネルギーで分離はできるものの、エアバッグのコーティングのようにポリアミドと夾雑物が混合、接合、接着などにより、強く結びついている場合には分離することは難しい。また、不要な夾雑物を溶媒により一部、またはすべてを溶解し、除去する方法も存在する。しかし、一般的に夾雑物はポリアミドに添加または塗布されている場合が多く、それらの一部または全部はポリアミドの構造体の内部に存在しており、夾雑物をすべて溶解することは難しい。
別の方法としては、ポリアミドを溶媒で一度溶解し、夾雑物を不溶物として除去したのちに何らかの方法でポリアミドを析出させ、回収するという方法も考えられる。しかし、ポリアミドを溶解する溶媒は、ギ酸、硫酸などの腐食性の高い強酸やHFIPのような入手性の低い溶媒など、工業的に用いる溶媒としては適していないものが多い。工業的に使用しやすい溶媒の使用例としては、エチレングリコールによる溶解回収方法がある(特許文献2)。しかし、この方法では、非常に高温の反応が必要であるため、ポリアミドのグリコリシスの懸念があるとともに、使用した溶媒をシャーベット状の固体からすべて留去・乾燥する必要があるため、反応時の加熱と合わせて多くのエネルギーを必要とすると考えられる。そこで、低温かつ汎用的な原料を用いた方法として塩化カルシウム等の金属塩化物のアルコール溶液による溶解方法も存在する。例えば、シリコーンが塗布されたポリアミドの布を塩化カルシウムのメタノール溶液を用いて処理し、ポリアミドを溶解し、大量の水またはメタノールで希釈して目的のポリアミドを粉末として得る方法が特許文献3に記載されている。
この方法はポリアミドを回収する方法として非常に有用であると考えられるが、塩化カルシウムメタノール溶液は非常に腐食性が高く、汎用的な金属、例えば炭素鋼やSUS304、SUS316などのステンレス鋼は容易に腐食してしまう。そのため、塩化カルシウムメタノール溶液を利用したポリアミドの溶解設備等の材質として用いることができず、耐塩素腐食性が高いニッケル系の合金であるALLOY C276などを用いるか、非金属のガラスライニング、ゴムライニング、フッ素ライニング処理などを施した装置を用いる必要がある。材質としての入手性や加工性の面で、汎用的な材質を用いる必要がある。
特許第5841598号公報 特開2018-172618号公報 特許第5110704号公報
本発明の目的は金属腐食性が低く、ポリアミドの溶解性が高い溶媒を提供することである。
塩化カルシウムメタノール溶液等の金属塩化物アルコール溶液による溶解設備の材質等の金属の腐食を抑制する方法を鋭意検討した。塩化カルシウム等の金属塩化物による金属腐食のメカニズムは、塩化物イオンによる不働態の不安定化によるものであり、その抑制のためにpHを上昇させる方法は一般的である。よってpHを上昇させるために、メタノールに可溶な塩基性化合物を添加する方法は容易に考えることができるが、例えば、メタノールに可溶な塩基として水酸化ナトリウムを添加すると、塩化物イオンと水酸化ナトリウムが反応し、生成した塩化ナトリウムはメタノールに溶けないため沈殿する。このような塩化ナトリウムの粒子は、溶媒となじみにくいため、装置の隙間などに残りやすく、局所的な塩化物イオン濃度の上昇を生み、隙間腐食を起こしやすいため忌避すべきである。また、全体としては塩化カルシウム等の金属塩化物の濃度が低下するため、ポリアミドの溶解度も低下してしまう。このような観点で、種々の塩基を検討した結果、水酸化カルシウム等の、金属塩化物の金属と同じ金属の水酸化物(以下、「同金属の水酸化物」という。)を添加した場合に、ポリアミドの溶解性を落とすことなく、腐食性を大幅に低下できることを発見し、発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
金属塩化物を5~25%、同金属の水酸化物を0.001~1%及び水を0.001~5%の濃度で含有するメタノール組成物。
[2]
溶媒としてのメタノール組成物中に溶解したポリアミドをさらに含む、[1]に記載のメタノール組成物。
[3]
前記金属塩化物が、塩化亜鉛であり、前記同金属の水酸化物が、水酸化亜鉛である、[1]または[2]に記載のメタノール組成物。
[4]
前記金属塩化物が、塩化カルシウムであり、前記同金属の水酸化物が、水酸化カルシウムである、[1]または[2]に記載のメタノール組成物。
[5]
原料ポリアミド組成物を溶媒に溶解してポリアミド溶液を得る工程と、得られたポリアミド溶液からポリアミドを分離する工程とを含む、ポリアミド組成物の製造方法であって、原料ポリアミド組成物を溶解する前記溶媒が、[1]または[2]に記載のメタノール組成物である、ポリアミド組成物の製造方法。
[6]
前記ポリアミド組成物が、ポリヘキサメチレンアジパミドを含む、[5]に記載の製造方法。
[7]
[5]に記載の方法で得られる、金属原子を0.001~1000ppm含有し、ハロゲン原子のモル含有量が金属原子のモル含有量に対して2未満である、ポリアミド組成物。
[8]
金属原子を0.001~1000ppm含有し、ハロゲン原子のモル含有量が金属原子のモル含有量に対して1未満である、[7]に記載のポリアミド組成物。
[9]
前記金属原子が、亜鉛原子またはカルシウム原子である、[7]に記載のポリアミド組成物。
[10]
ポリヘキサメチレンアジパミドをさらに含む、[7]に記載のポリアミド組成物。
[11]
[7]に記載のポリアミド組成物を含む粉体。
本発明によれば、腐食性が低く、ポリアミドを溶解可能な溶媒を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本発明は、腐食性が低く、ポリアミド溶解可能な溶媒に関する。
<低腐食性溶媒(メタノール組成物)>
本発明における溶媒は、金属塩化物、同金属の水酸化物及び水を、各々所定の濃度で含有するメタノール組成物である。
本溶媒における金属塩化物の濃度は5~25%であり、10~23%であることが好ましく、15~22%であることがより好ましい。金属塩化物の濃度は、メタノール組成物全体に対する重量濃度として規定する。金属塩化物の濃度が低いほどポリアミドの溶解度が低下する。金属塩化物のメタノールに対する溶解度は25%であり、過剰な金属塩化物は吸湿し、メタノール組成物中の水分を増加させ、結果としてポリアミドの溶解度を低下させる。
金属塩化物及び同金属の水酸化物を構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛(即ち、金属塩化物が、塩化亜鉛であり、同金属の水酸化物が、水酸化亜鉛である)及びカルシウム(即ち、金属塩化物が、塩化カルシウムであり、同金属の水酸化物が、水酸化カルシウムである)が挙げられ、カルシウムが好ましい。
溶媒の調製に用いる金属塩化物としては、無水物であることが好ましいが、ポリアミドの溶解度を維持できる範囲で水和物を用いてもよい。
本発明における溶媒は、金属塩化物による腐食を低下する塩基として、同金属の水酸化物を含有する。本発明における溶媒が同金属の水酸化物を含有することで、金属塩化物メタノール溶液のポリアミドの溶解度を低下させることなく、金属腐食性を低減できる。
同金属の水酸化物の濃度は、0.001~1%であり、0.001~0.1%であることが好ましく、0.001~0.01%であることがより好ましい。同金属の水酸化物の濃度は、同金属の水酸化物のメタノール組成物全体に対する重量濃度して規定する。同金属の水酸化物はメタノールに完全に溶解する必要はなく、一部が溶解していなくてもよい。
<ポリアミド含有溶液>
また、メタノール組成物は、溶媒としてのメタノール組成物中に溶解したポリアミドをさらに含む、ポリアミド含有溶液であってもよい。このようなポリアミド含有溶液は、腐蝕性を低下させることができる。
<ポリアミド>
本発明におけるポリアミドには、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物を重縮合したものや、環状ラクタムを開環重合したもののような、アミド結合により重合したポリマーを称する。
ジアミン化合物については特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタンジアミン、p-フェニレンジアミンなどが挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
環状ラクタムとしては特に限定されないが、ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ラウリルラクタムなどが挙げられる。
ジアミン化合物、ジカルボン酸化合物及び環状ラクタム化合物の組合せについては、特に限定されず、それぞれの種類についても複数の種類の化合物を併用しても構わない。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸からなるポリヘキサメチレンアジパミドは溶解性が高いため、適している。
ポリアミドとしては特に限定されないが、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I等の脂肪族ポリアミドを含むものが挙げられるが、脂肪族ポリアミドを含むものが好ましく、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)を含むものが最も好ましい。
<ポリアミド組成物の製造方法>
以下に、本発明の低腐食性溶媒を用いたポリアミド組成物の製造方法について詳細に説明するが、以下の説明は、ポリアミド組成物の製造方法を制限するものではない。
<工程1 ポリアミドの溶解工程>
工程1は、ポリアミドの原料となる原料ポリアミド組成物を溶解する工程である。
原料ポリアミド組成物を溶解する溶媒については、上記低腐食性溶媒を用いる。
溶解する場合の温度は特に限定されないが、40~90℃であることが好ましく、40~60℃以下であることがより好ましい。40℃未満では溶解が遅くなり、90℃を超えると沸点より高い温度となり、腐食性や分解性の観点から好ましくない。
溶解はバッチ式、連続式のいずれでも構わない。
バッチ式の場合、攪拌の有無については特に限定されないが、攪拌することが好ましい。攪拌することでポリアミド固体の溶解速度が向上する。
連続式の場合、固体に対して連続的に溶媒を流通させても構わないし、溶液を循環させても構わない。使用する溶媒を低減できるため、循環させた方が好ましい。
容器の形状については特に限定されず、槽型や循環型などいずれの形状を用いても構わない。
溶解時間については特に限定されないが、5分~100時間であることが好ましい。
溶媒に対するポリアミドの濃度については特に限定されないが、5~15%であることが好ましく、7~13%であることがより好ましい。5%未満では必要な溶媒が多くなりすぎてしまい、15%を超えると粘度が高くなって溶解時間の長時間化、操作性の悪化が起こる。
溶解に用いる原料となる原料ポリアミド組成物は、ポリアミドのみで構成されていても、他の樹脂、金属などの不純物が混合、付着、塗布されている状態でも構わない。ポリアミド以外の不純物が共存する場合、ポリアミドとそれらの不純物を分離する工程が必要になる。分離の方法については特に限定されないが、ポリアミドを溶解した状態で、不純物が不要であればろ過、遠心分離、沈降分離などの方法で分離できる。ポリアミドと共に溶媒に溶解してしまう場合には、溶解状態での抽出分離、膜分離、電気透析などによる分離、または後述の析出工程でポリアミドを析出させた後に洗浄するなどの方法が考えられる。
<工程2 希釈工程>
工程2は、任意で行われる工程であり、工程1で溶媒に溶解したポリアミドをメタノールで希釈する工程である。
ポリアミド溶液を希釈する方法について詳細に記述する。
メタノールによる希釈率は1.5~5倍が好ましい。本明細書における希釈率とは、溶解時のポリアミド溶液の重量で、希釈後のポリアミド溶液の重量を割った数値と定義される。この時、希釈後のポリアミド溶液に析出があったとしても析出物を含んだ重量を希釈後のポリアミド溶液重量とする。希釈率が1.5より小さい場合には、ポリアミドの析出量が少なく十分に粒子が成長しないため粒径が小さくなる。希釈率が5倍よりも大きいと希釈時の析出が起こりやすく粒度分布が広くなる。
メタノールで希釈する際の温度は特に限定されないが40~90℃が好ましい。40℃より低い温度で希釈した場合、希釈時の析出が起こりやすい。90℃を超える温度で希釈すると液面付近でのメタノールの揮発・凝縮による不均一な析出が起きやすく、粒度分布が制御しにくい。
メタノールの希釈速度については特に限定されず、希釈時に急激な濃度、温度変化が起きてポリアミドの析出が起こらない速度での添加が好ましい。
希釈に用いるメタノールの温度については特に限定されないが、15~90℃であることが好ましい。15℃未満では希釈時に局所的な析出が起こりやすく、90℃以上ではメタノールの沸点よりも高いため、加圧状態での処理をする必要がある。
希釈に用いるメタノールの含水量は特に限定されないが、0.005~1%であることが好ましい。含水量が多くなると、水溶液の方がポリアミドの溶解性が低いため、急激に析出してしまう。
希釈の方法については特に限定されず。バッチ式、連続式のいずれでも構わない。
バッチ式の場合、攪拌については特に限定されないが、攪拌することが好ましい。攪拌することで温度、濃度が均一となる。
容器の形状については特に限定されず、槽型や循環型などいずれの形状を用いても構わない。
<工程3 分離工程(冷却析出工程)>
工程3は、ポリアミド溶液からポリアミドを分離する工程である。ポリアミドを分離は、例えば、ポリアミド溶液の冷却によるポリアミドの析出及び析出した固体ポリアミドのポリアミド溶液からの固液分離によって行ってもよい。
冷却の方法については特に限定されず。バッチ式、連続式のいずれでも構わない。
バッチ式の場合、攪拌の有無については特に限定されないが、攪拌することが好ましい。攪拌することで温度、濃度が均一となる。攪拌に用いる機器、方法によって、攪拌による粒子の破壊、せん断が起こりにくい条件で攪拌することが好ましい。
冷却速度は特に限定されないが、10~100℃/Hrが好ましく、20~50℃/Hrがより好ましい。10℃/Hr未満では時間が長くかかり、100℃/Hrを超える冷却速度では、急激な析出により粒径が小さくなる。冷却速度を変えることで粒径を制御することができる。
冷却時の温度については特に限定されないが、希釈時の温度よりも10℃以上低いことが好ましい。温度差が10℃よりも小さいと、析出が少なく、粒子が成長しにくい。
析出した固体は、固液分離により回収することが好ましい。
固液分離の方法については特に限定されないが、ろ過、遠心分離、沈降分離などが挙げられる。いずれの方法についても、バッチ式、連続式でも構わない。
固液分離で得られた固体については、溶媒で洗浄を行うことが好ましい。洗浄溶媒については特に限定されないが、析出時の液体部分の組成の溶液や良溶媒、金属塩化物などを溶解することができる溶媒を用いることが好ましい。
洗浄溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール及び水が好ましい。
洗浄方法については特に限定されず、バッチ洗浄する方法、ろ過器または遠心分離装置等の固液分離装置の中に固体を入れた状態で水を流して連続洗浄する方法及びそれらを組み合わせた方法などが挙げられる。
洗浄後のポリアミドは、加熱及び/又は減圧により洗浄溶媒を留去して乾燥固体とすることでポリアミド組成物を得ることができる。
本発明のポリアミド組成物の製造方法では、ポリアミド組成物を、粉体(粉末ポリアミド組成物)として得てもよい。
<ポリアミド組成物>
本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物は、ポリアミドとして、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I等の脂肪族ポリアミドを含むものが挙げられるが、脂肪族ポリアミドを含むものが好ましく、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)を含むものが最も好ましい。本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物は、金属原子及びハロゲン原子を含有してもよい。金属原子は、本発明の製造方法に用いた低腐食性溶媒(メタノール組成物)が含有する金属塩化物及び/又は同金属の水酸化物に由来する金属原子であり、例えば、亜鉛原子及びカルシウム原子が挙げられ、カルシウム原子が好ましい。本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物の金属原子含有量は、0.001~1000ppmであることが好ましく、0.001~700ppmであることがより好ましく、0.001~500ppmであることがさらに好ましい。本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物中のハロゲン原子のモル含有量は、金属原子のモル含有量に対して2未満であることが好ましく、1未満であることがより好ましく、0.5未満であることがさらに好ましい。本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物は、粉体の形態であってもよい。
<ポリアミド組成物の用途>
本発明の製造方法で得られるポリアミド組成物は、ポリアミド繊維の材料として用いることができる。ポリアミド繊維を紡糸することによって、再生繊維を得ることができる。本実施形態の再生繊維を織ることによって、再生織布を得ることができる。本実施形態の再生織布は、再生エアバッグ用ポリアミド基布に用いることができる。
<ポリアミド繊維の紡糸>
溶融紡糸における紡糸温度は290℃以上310℃以下であることが好ましい。紡糸温度を310℃以下に設定することで、ポリアミドの熱分解が抑えられるため好ましく、より好ましくは300℃以下であり、さらに好ましくは295℃以下である。一方で、紡糸温度が290℃以上であることでポリアミドが十分な溶融流動性を示し、吐出孔間の吐出量が均一化され、高倍率延伸が可能となるため好ましい。
溶融紡糸工程における滞留時間(ポリアミド樹脂が溶融され、紡糸口金から吐出されるまでの時間)は短いほど好ましい。滞留時間は30分以下であることが好ましく、15分以下であることがより好ましく、0.5分以上7分以下であることがさらに好ましい。溶融温度においてポリマー中のシクロペンタノン類が増加するため、短時間であることが好ましい。
高温、高湿の環境下での熱安定性のためには、ポリアミドに対して銅濃度が1~500ppmとなるように銅化合物を添加するのが好ましく、より好ましくは30~500ppmである。そうすることで、本発明品が高温、高湿の環境下に長時間置かれたり、オゾンが多く含まれる環境下に長期間暴露されたとしても、機械的性能の低下が極めて有効に抑制される。前記銅含有率が30ppm未満では耐熱強度保持率が低下し、500ppmを超える添加量では強度が低下する。
銅化合物としては、その種類を特に制限するものではなく、例えば、酢酸銅などの有機銅塩、あるいは塩化第一銅、塩化第二銅などのハロゲン化銅などを好ましく用いることができる。銅化合物は、金属ハロゲン化合物と併用することがより好ましい。金属ハロゲン化合物としては、例えば、沃化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。本実施形態における好ましい組合せは、沃化第一銅と沃化カリウム、及び酢酸銅と沃化カリウムである。尚、ポリアミド中の銅含有量は、原子吸光法や比色法などにより測定することができる。
以下に制限されないが、安定剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤等を添加してもよい。添加量は適切な量を選択すればよいが、ポリアミドに対して1~1000ppm添加することができる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いてもよい。
また、溶融紡糸工程において、溶融部には1軸又は2軸のエクストルーダーが用いられることが好ましい。このエクストルーダーによってポリアミド樹脂に適度な圧力を加えながらポリマー配管、ギヤポンプ、紡糸パックへ導くことができる。
また、紡糸口金から吐出される前の段階で、金属繊維不織布フィルターや、サンド等によってポリアミド樹脂を濾過することで、紡糸操業が安定化するため好ましい。
紡糸口金における口金孔の形状は製造するフィラメントを構成する単繊維の断面形状に応じて選択すればよい。紡糸口金からの紡出糸を冷却風にて固化し、工程油剤を付与し、引取った後、延伸し、熱処理することで本発明に用いるポリアミド繊維を得る。
ポリアミド繊維の油剤付着率は0.5~1.5wt%であることが好ましい。油剤付着率が1.5wt%以下であれば、べたつき(タック性)によって緯糸が飛走し難いということがほとんどなく、また、交絡による単糸集束以上に単糸集束が良すぎて見掛け断面積が減ることにより緯糸搬送媒体である空気や水が緯糸搬送力を失ってゆくことがなく、製織安定性が良好である。一方、油剤付着率が0.5wt%以上であれば、適切な摩擦低減効果によりスムーズに緯糸供給されるため、製織停台なく生産性に優れる。
<ポリアミド基布>
製織において、織機は、ウォータージェット織機、エアジェット織機、レピア織機などを用いることができる。エアバッグ用基布は、高密度織物であり、整経工程及び製織工程においては、経糸張力を高めて、工程通過性よく製造することが好ましい。製織で経糸張力を高めに設定し、効果的な筬打ち条件を作ることで高密度織物が形成される。
製織された織物は、精練工程でポリアミド繊維の工程油剤を洗い落とすことができる。
精練工程は、温水や加圧熱水などを選択でき、処理工程は1段階でも、2段階以上の多段階処理でもよい。また従来公知の精練剤を付与して精練を施すことも好ましい。
織物は熱セット工程で熱固定することが好ましい。熱セット温度は110℃以上200℃以下が好ましく、熱セット時間は0.1分以上30分以下の範囲で適宜選択すればよい。そして熱セット工程で織物収縮力が所定の力に保持される様に緊張させながら乾燥することが好ましい。織物を熱固定すれば、引き続く樹脂塗布工程の工程性の安定化が図れる。
精練工程後の織物は熱セット工程の前に、必要に応じて乾燥処理を施してもよい。乾燥温度は80℃以上130℃以下の範囲であることが好ましく、100℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、処理時間は0.1分以上30分以下で適宜選択することが好ましい。乾燥は織物を弛緩状態で行ってもよいし、緊張状態で行ってもよい。
ポリアミド基布は、熱セット工程を経て、ノンコート基布に用いることもできるが、シリコンやウレタンなどのコート剤を塗工したり、薄膜のフィルムなどを熱ラミネートしても良い。
織物表面にコーティングする方法としては、織物を樹脂溶液槽に浸漬させた後、余分な樹脂をマングル、バキューム、さらにはコーティングナイフ等を用いて形成・均一化する方法、コンマコーターなどのバーコーティング法、スプレー装置やフォーミング装置を用いて樹脂を吹き付ける方法などが採用できる。これらの内、樹脂を均一に、かつ、少なく塗布するという観点からは、ナイフコーティングする方法が好ましい。
塗工量は、5g/m以上100g/m以下であり、より好ましくは10g/m以上70g/m以下であり、一層好ましくは15g/m以上30g/m以下である、5g/m以上の塗布量で、必要とする気密性が得られる。一方で、100g/m以下の塗布量で、コート織物が柔軟性を有し、収納性が良く、バッグ全体の重量が抑えられる。
<エアバッグ>
エアバッグは、運転席、助手席、サイド(インフレータブルカーテンを含む)、後部席など通常使用されているエアバッグの中から適宜選定すればよく、エアバッグの袋体の裁断形状も、円形、長円形、楕円形、矩形、多角形、あるいはこれらの組合せなど、いずれでもよく、要望される展開形状を満足するものであればよい。
縫目形状としては、単一直線又は複数の並列直線、ジグザグ状、直線とジクザグの併用、直線と斜線、などがある。縫い方も、本縫い、二重環縫い、など通常使用されているもので良く、縫いピッチも20~60回/10cmの範囲から選定すれば良い。又、縫糸太さも、420d~3000dの中から選定すれば良く、糸の材質も、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン系繊維、アラミド系繊維、ガラス繊維などの市販の縫糸を用いることができる。
以上のように、本発明は、エンジニアリングプラスチックとして有用なポリアミドを溶解、析出させて粉末のポリアミドを製造することにも用いることができる、腐食性が低いポリアミドを溶解可能な溶媒を提供することができる。
以下、本発明の実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
撹拌子を入れた2000mLガラス瓶に、塩化カルシウム無水物200g、水酸化カルシウム20mg、メタノール800gを添加し、3hr攪拌してメタノール組成部を得た。ガラス瓶の中にSUS316のメッシュを投入し、室温で100hr浸漬した。上清は無色透明のままだった。
[比較例1]
撹拌子を入れた2000mLガラス瓶に、塩化カルシウム無水物200g、メタノール800gを添加し、3hr攪拌してメタノール組成部を得た。ガラス瓶の中にSUS316のメッシュを投入し、室温で100hr浸漬した。上清は黄色に着色していた。
[比較例2]
撹拌子を入れた2000mLガラス瓶に、塩化カルシウム無水物200g、水酸化ナトリウム20mg、メタノール800gを添加し、3hr攪拌してメタノール組成部を得た。内部には塩化ナトリウムの小片が散らばっていた。ガラス瓶の中にSUS316のメッシュを投入し、室温で100hr浸漬した。上清は着色していなかったものの、メッシュの交差部位に塩化ナトリウムの微粒子が生じ、金属表面が変色していた。
本発明によれば、腐食性が低く、ポリアミドを溶解可能な溶媒を提供できる。

Claims (11)

  1. 金属塩化物を5~25%、同金属の水酸化物を0.001~1%及び水を0.001~5%の濃度で含有するメタノール組成物。
  2. 溶媒としてのメタノール組成物中に溶解したポリアミドをさらに含む、請求項1に記載のメタノール組成物。
  3. 前記金属塩化物が、塩化亜鉛であり、前記同金属の水酸化物が、水酸化亜鉛である、請求項1または2に記載のメタノール組成物。
  4. 前記金属塩化物が、塩化カルシウムであり、前記同金属の水酸化物が、水酸化カルシウムである、請求項1または2に記載のメタノール組成物。
  5. 原料ポリアミド組成物を溶媒に溶解してポリアミド溶液を得る工程と、得られたポリアミド溶液からポリアミドを分離する工程とを含む、ポリアミド組成物の製造方法であって、原料ポリアミド組成物を溶解する前記溶媒が、請求項1または2に記載のメタノール組成物である、ポリアミド組成物の製造方法。
  6. 前記ポリアミド組成物が、ポリヘキサメチレンアジパミドを含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項5に記載の方法で得られる、金属原子を0.001~500ppm含有し、ハロゲン原子のモル含有量が金属原子のモル含有量に対して2未満である、ポリアミド組成物。
  8. 金属原子を0.001~500ppm含有し、ハロゲン原子のモル含有量が金属原子のモル含有量に対して1未満である、請求項7に記載のポリアミド組成物。
  9. 前記金属原子が、亜鉛原子またはカルシウム原子である、請求項7に記載のポリアミド組成物。
  10. ポリヘキサメチレンアジパミドをさらに含む、請求項7に記載のポリアミド組成物。
  11. 請求項7に記載のポリアミド組成物を含む粉体。
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