JP2024065243A - シマアザミの細胞内水性液体の獲得方法及び該方法を用いて獲得された飲料水 - Google Patents

シマアザミの細胞内水性液体の獲得方法及び該方法を用いて獲得された飲料水 Download PDF

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Abstract

【課題】配合物や熱分解物がない全て天然由来の液体の獲得方法であって、シマアザミの葉茎が有している優れた効能を引き出した液体を提供すること。【解決手段】シマアザミの葉茎を構成する細胞内に存在する細胞内水性液体の獲得方法は、抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌しつつ、シマアザミの葉茎を1mm以上15mm以下に粗粉砕しながら、外部から熱を加えつつ容器100内を減圧して、葉茎を45℃以下に維持し、容器内を、101.3kPa(1気圧)に対し80kPa以上低い圧力に維持し、シマアザミの葉茎を固体と液体とに固液分離する方法である。該獲得方法で得られた細胞内水性液体B;液体Bを含有する、飲料水;免疫機能向上用飲料水;尿酸値改善用飲料水;コレステロール値改善用飲料水;便通改善用飲料水;腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水;睡眠改善用飲料水;二日酔い改善用飲料水も提供する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り (1)Ifia JAPAN 2022展示会兼HFE JAPAN 2022展示会(第27回国際食品素材/添加物展・会議、兼、第20回健康/機能性食品素材展・会議ヘルスフードエキスポ)にて発表 発表日:令和4年5月17日~令和4年5月19日 (2)リーフレットを配布 配布日:令和4年6月1日 (3)リーフレットを配布 配布日:令和4年3月1日 (4)リーフレットを配布 配布日:令和4年5月30日 (5)リーフレットを配布 配布日:令和4年7月7日 (6)リーフレットを配布 配布日:令和4年5月17日 (7)リーフレットを配布とWebでの開示 配布日:令和4年6月1日 (8)出版 出版日:令和4年7月10日 (9)株式会社ジャパン・オーガニック・イールドのウェブサイトにて公開 掲載月:令和4年6月 (10)プレスリリース 配布日:令和4年9月17日
本発明は、シマアザミの葉茎を固液分離するシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法に関するものであり、更に詳しくは、シマアザミの葉茎を固液分離して液相(液体)の方を回収するシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法、及び、該獲得方法で獲得された、免疫機能向上用飲料水、尿酸値改善用飲料水、コレステロール値改善用飲料水、便通改善用飲料水、腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水、睡眠改善用飲料水、二日酔い改善用飲料水、等の飲料水や飲食品に関するものである。
シマアザミを原料とした剤は、種々知られている。
特許文献1には、シマアザミを有効成分として含有する脂肪蓄積抑制剤が記載され、シマアザミに対して溶媒を用いて抽出操作を行うことによって抽出液を得る工程を行うことで該脂肪蓄積抑制剤が製造できるとしている。
特許文献2には、シマアザミから抽出した、歯肉炎治療や煙草の禁煙を目的とした抽出物が記載され、該抽出液を得る方法として、精製水を用いて、70℃~75℃の範囲で煮出す方法が記載されている。
特許文献3には、シマアザミを含有するアディポネクチン分泌促進剤が記載され、長期間服用可能な安全で低毒性の該剤が提供できるとしている。
該剤は、乾燥したもの又は生のままのものから溶媒抽出して得られるとしており、該抽出溶媒として、水、アルコール類、ヘキサン、クロロホルム、エーテル類、エステル類、ケトン類等が記載されている。得られた抽出物は、その後、製剤化し、経口投与又は非経口投与されることが記載されている。
しかしながら、上記公知技術は、何れも、溶媒を用いて抽出していたり、乾燥品から抽出していたりして、シマアザミの葉茎自体を単に固体と液体とに分離して(固液分離して)得た液体ではなかった。
そのため、シマアザミの良い効果が見逃がされていた。
すなわち、上記公知技術では、シマアザミの葉茎自体に含有されている液体、詳しくは、シマアザミの葉茎の細胞内に含有されている「水や水性成分等を含む水性液体(細胞水)」は、使用した「生物由来ではない水等の抽出溶媒」で希釈されているか、又は、溶媒抽出後の該溶媒の除去の段階等で揮発・散逸してしまっている。
また、上記公知技術は、原料の態様(大きさ、粗粉砕しながら、乾燥なし等)、抽出の方法、温度(の上限)、圧力範囲等に着目したものではなかった。
近年、健康増進が叫ばれており、効果が大きい剤や食品、及び、真に自然のままの剤や食品が特に望まれており、そのためには、従来の技術では十分ではなかった。
国際公開第2015/022978号 特開2017-031130号公報 国際公開第2020/017568号
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、外部からの配合物や混入物がない全て生物由来の液体であって、所定の優れた効果を奏する液体の獲得方法を提供することである。
また、シマアザミの葉茎が本来有している効能を最大限引き出した水性液体、剤、飲料水、更には、用途が特定された飲料水や飲食品を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シマアザミの葉茎を、特定の条件で固液分離して得られる液相側である細胞内水性液体が、免疫機能向上、尿酸値改善、コレステロール値改善、便通改善、腸内細菌叢の分布状態改善、睡眠改善、二日酔い改善の効果があることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シマアザミの葉茎を構成する細胞内に存在する細胞内水性液体の獲得方法であって、
抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、
容器内で、撹拌機で撹拌しつつ、粗粉砕手段を用いて該シマアザミの葉茎を1mm以上15mm以下に粗粉砕しながら、
外部から熱を加えつつ減圧器で該容器内を減圧して、該シマアザミの葉茎を45℃以下に維持し、
該減圧器で該容器内を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力に維持し、
該シマアザミの葉茎を固体と液体とに固液分離することによって、該液体を得ることを特徴とするシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を提供するものである。
また、本発明は、前記固液分離中は、前記容器内を、1kPa以上10kPa以下の圧力に維持する前記のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を提供するものである。
また、本発明は、前記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである前記のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を提供するものである。
また、本発明は、前記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、前記撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、容器内のシマアザミの葉茎を、該凸型固定刃と該回転刃で粗破砕しつつ固液分離する前記のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を使用して獲得されるものであることを特徴とするシマアザミの細胞内水性液体を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする飲料水や飲食品を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする免疫機能向上用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記の細胞内水性液体を含有することを特徴とする尿酸値改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とするコレステロール値改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする便通改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする睡眠改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする二日酔い改善用飲料水を提供するものである。
また、本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする飲食品を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、水を含め全て天然由来の成分のみを含有しているので、詳しくは、シマアザミの葉茎の細胞の内に存在する水及び水系成分の全てを含有しているので、シマアザミが本来有している効能を最大限引き出した、極めて効能に優れた水系の液体を提供することができる。
また、実質的に乾燥していないシマアザミの葉茎をそのまま固液分離するので、分離後の液相として、該シマアザミの葉茎が本来内部に有している細胞水のみが得られる。
本明細書等で、「細胞水」とは、細胞内に含有されている、水や水性成分等を含む水性液体(細胞内水)のことを言う。以下、「細胞内に含有される水性液体」を、「細胞内水性液体」、又は、単に「細胞水」と記載することがある。
本発明によって固液分離して得られた細胞水は、シマアザミの葉茎の細胞が有する細胞膜を通過してきた水性液体であることが、得られた細胞水が好適に薬効を示すために好ましい。固液分離に際しては、該細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、葉茎の新鮮な面を露出させながら固液分離することが好ましい。
そうすることで、液体を分離し易くして収率や固液分離速度を上げられることに加えて、本発明の薬効を好適に奏させることができる。
シマアザミを含めた植物が有する(加熱していない)細胞水は、水分子が複数集合したものの構造(水の有する情報、化学構造)が異なっているとも考えられ、通常の蒸留水、井戸水、河川の水、水道水、脱塩水等とは、その性質が異なることを確認している。
本発明の細胞内水性液体は、外部から加えた上記「通常の水」を実質的に含有していない。
植物からの抽出液は、その原料として、(生薬等)乾燥品を使用することが多い。その場合、「乾燥して水分と揮発分を除去した原料」に、外部から通常の水を加えて抽出する(所謂、湯煎をする)。
従って、本発明の細胞内水性液体は、従来の抽出方法において植物を乾燥や保管しているときに揮散・散逸してしまっている「水と水性成分」を、むしろ主成分として含んでいるので、従来の抽出方法で得られたものとは、水の構造・種類や、含有物の成分・組成が全く異なる。
更に、従来の抽出法(溶媒抽出法、水蒸気蒸留法等)では、シマアザミの葉茎に含有されている、細胞内水性液体(細胞水)は、使用した「天然物ではない水等の溶媒」で希釈されているか、又は、抽出後の該溶媒の除去の段階で散逸してしまっている。
本発明の細胞内水性液体、すなわち、シマアザミの葉茎の細胞が内部に有している細胞水には、水と共に「水性成分」が含有されているが、該「水性成分」は、本発明における固液分離方法によって「細胞内水性液体」として、水に溶解して獲得できるものであれば、水と任意の割合で相溶するものには限定されない。
すなわち、一般には「親油性」と言われているものも含まれている可能性はある。シマアザミの葉茎の細胞を直接的に固液分離するので、得られるものが均一な水性液体であれば、細胞内の少量の親油性成分が含有されていてもよい。
本発明の細胞内水性液体には、従来、原料の保管・乾燥の際に揮散してしまっている低沸点物質や水自身が含まれている。また、水では通常は抽出され難い物質等が含まれている可能性がある。
すなわち、本発明の細胞内水性液体と従来の抽出物とは、含有成分が異なり(むしろ、殆どが同じではなく)、従って有効成分も異なる可能性が高い。
本発明の細胞内水性液体は、上記した通り、非天然物質(成分)も、非生物由来物質も、含有されていないことに加えて、細胞内からの散逸物も実質的にないため、細胞水等、植物由来成分の組成をそのまま維持している。そのため、優れた効果・薬効を示したと考えられる。
また、本発明によれば、特に、温度の上限や、圧力範囲や、排気容量(減圧速度)を調整することで、新鮮なシマアザミを変質させずに、従って植物由来ではない反応生成物や分解物を含有させずに又は生成させずに固液分離ができる。
また、特殊な容器内で操作を行い、該容器内のシマアザミの葉茎を粗破砕しつつ固液分離することで、細胞膜の破壊を少なくでき、新鮮な破砕面から、植物内で細胞水に溶解していた有効成分と該細胞水自体を液相として得ることができる。
本発明において、シマアザミの葉茎を特定の条件で固液分離して得られる液相側である細胞内水性液体が、免疫機能向上、尿酸値改善、コレステロール値改善、便通改善、腸内細菌叢の分布状態改善の効果、睡眠改善効果、及び、二日酔い改善効果があることが確かめられた。かかる効果・薬効は、実施例に示す通り、エビデンスを持って確認されたものである。
本発明によれば、ほぼ完全に天然のままの成分(比)の剤や飲食品が得られるため、従来の技術では十分ではなかった、上記効果・薬効が好適に奏され、自然志向に合致し、健康増進に寄与できる。
本発明に使用する固液分離装置の全体の一形態を示す概略図である。 本発明に使用する固液分離装置に具備されている容器、粗粉砕手段、冷却器、回収獲得容器等の一形態を示す概略断面図である。 本発明に使用する固液分離装置に具備されている容器が有する破砕撹拌機の好ましい一形態を示す概略斜視図である。 本発明に使用する装置に具備されている好ましい減圧器である「横噴射型の水エジェクタ」と水タンクと循環ポンプ等の一形態を示す概略側面図である。 本発明に使用する装置に具備されている好ましい減圧器である横噴射型の水エジェクタの一形態を示す概略断面図である。 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=5)の免疫機能の指標であるT細胞数の変化を示すグラフである。 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=5)の免疫機能の指標である「CD8+CD28+T細胞数」の変化を示すグラフである。 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=5)の免疫機能の指標である免疫力スコアの変化を示すグラフである。 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=5)の尿酸値の変化を示すグラフである。 (a)各人の尿酸値の変化を示すグラフ (b)尿酸値の5名(N=5)の平均値の変化を示すグラフ 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=5)のコレステロール値の変化を示すグラフである。 (a)各人のLDLコレステロール値の変化を示すグラフ (b)各人の総コレステロール値の変化を示すグラフ (c)LDLコレステロール値の5名(N=5)の平均値の変化を示すグラフ 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、15日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=56)の便通改善効果を示すグラフである。 (a)普段の排便回数ごとの人数を示すグラフ (b)15日間摂取後の排便回数ごとの人数を示すグラフ (c)15日間摂取後の便通改善効果についての体感(感想)ごとの人数を示すグラフ 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人が継続的に経口摂取したとき(N=10)の腸内細菌叢の分布状況を示すグラフである。 (a)ビフィズス菌を有する人の割合を示すグラフ (b)痩せ菌を有する人の割合を示すグラフ (c)アッカーマンシア菌を有する人の割合を示すグラフ 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人(N=56)が継続的に経口摂取した後の「各効果を体感した人の割合」を示す表である。 本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、28日間、健常人(N=56)が継続的に経口摂取した後の体感を示す図14の表をグラフ化したものである。 (a)朝の目覚めが良くなった人の数 (b)良く眠れるようになった人の数 (c)二日酔いが改善された人の数 (d)体のだるさが改善された人の数
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
[シマアザミの細胞内水性液体の獲得方法]
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、シマアザミの葉茎を構成する細胞内に存在する細胞内水性液体の獲得方法であって、
抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、
容器内で、撹拌機で撹拌しつつ、粗粉砕手段を用いて該シマアザミの葉茎を1mm以上15mm以下に粗粉砕しながら、
外部から熱を加えつつ減圧器で該容器内を減圧して、該シマアザミの葉茎を45℃以下に維持し、
該減圧器で該容器内を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力に維持し、
該シマアザミの葉茎を固体と液体とに固液分離することによって、該液体を得ることを特徴とする。
本発明における「シマアザミの細胞内水性液体」とは、上記方法で製造されるような前記した液体のことを言う。該液体が均一なものであれば、該液体の中には、シマアザミの葉茎に含有されている「水と任意の割合では相溶しない成分(例えば、精油、植物エキス、細胞外小胞体等)」が溶解されていてもよい。また、常温常圧で固体である物質が溶解されていてもよい。
「シマアザミ」は、奄美群島以南の南西諸島や台湾の沿岸部に自生するキク科の多年草であり、キク科アザミ属に属する植物である。
本発明では、原料として、実質的に生のシマアザミの葉茎を使用することが必須であるが、シマアザミの他の部位が、そこに含まれていてもよい。
本発明において、「生の」若しくは「乾燥していない」とは、積極的に乾燥させていない、又は、実質的な乾燥工程を経ていないことを言い、短期間の保管中等に、自然に低沸点成分が僅かに蒸発(揮散)した状態は排除されない(本発明の範囲である)。
<固液分離装置の概要>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法に使用される固液分離装置は、例えば一例を図1に示したように、対象物を45℃以下に維持して固液分離が可能で、かつ、実質的に抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら粗粉砕手段を用いてシマアザミの葉茎を粗粉砕・破砕しながら固液分離することが可能である。
以下、例えば、図2、図3に示したような、撹拌機で撹拌しながら粗粉砕手段を用いて粗粉砕・破砕ができる装置を「破砕撹拌機」と言うことがある。
本発明では、該固液分離装置を用い、上記条件を満たすようにしながら、外部から熱を加えつつ減圧し、45℃以下を維持するように減圧器で容器内を減圧して、シマアザミの葉茎を固液分離することによって液相を獲得する。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法に使用される固液分離装置は、前記能力を有しているものであり、少なくとも、破砕撹拌機、加熱ユニット、及び、気体取出口を有する容器;並びに;減圧器を具備する。
本発明では、実質的に抽出媒体も水蒸気も使用せずに、撹拌機で撹拌しながら、外部から熱を加えつつ減圧して固液分離して、そのうちの液体部分を回収・獲得する。
ここで、上記「抽出媒体」とは、例えば、水;アルコール類等の有機溶媒;二酸化炭素等の超臨界流体・亜臨界流体;等が挙げられる。また、上記水蒸気とは、水蒸気蒸留法で使用する(加熱)水蒸気等のことを言う。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法に使用される固液分離装置は、好ましくは、
固液分離対象であるシマアザミの葉茎を粗粉砕しつつ撹拌する破砕撹拌機110;該葉茎及び容器100内を加熱する加熱ユニット120;及び;減圧下で該葉茎から発生する気体を取り出す気体取出口130;等を有する容器100を具備する。
なお、該固液分離装置は、固液分離後に固体を取り出す固体粉末取出口140をも有する容器100を具備することが好ましい。
また、該固液分離装置は、更に、好ましくは、上記気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200;該容器100内を減圧する減圧器300;及び;該冷却器200で冷却されて液化したシマアザミの細胞内水性液体を回収獲得する回収獲得容器400;を具備している。
<<投入する原料とその形態>>
固液分離の対象となるシマアザミの葉茎は、植物投入口103から容器100に投入される。投入されるシマアザミの葉茎は、予め裁断しておいてもよいが、該シマアザミの葉茎の細胞を(特に細胞膜を)実質的に破壊しないようにする。なお、全く破壊しないようにする必要はなく、破壊された細胞はあってもよい。
限定はされないが、シマアザミの葉茎は、本発明の前記した効果を発揮させる目的で、すなわち、得られるシマアザミの細胞内水性液体が細胞内物質を含有するように、更には該シマアザミの葉茎に含有される「分離されて液体側に来る実質的に全ての成分」を含有するように、投入前に、該シマアザミの葉茎に対して、乾燥は勿論、加熱、すり潰し、細断及び/又は醗酵を行わないことが好ましい。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体には、シマアザミの葉茎の細胞水が含有され、好ましくはそのままの形態・成分比で含有される。言い換えれば、本発明の獲得方法は、シマアザミに含有されていた細胞水を実質的に全て含有するように固液分離することが好ましい。上記又は下記する固液分離装置を用いると、それが可能である。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法では、シマアザミの葉茎以外の物質を、上記容器内に実質的に投入しないで固液分離することが好ましい。
本発明によれば、外部からその他の物質を投入する必要がなく、投入しないことによって、得られるシマアザミの細胞内水性液体は、シマアザミの葉茎に含有される成分のみからなり、更には、該シマアザミの葉茎(の細胞)に含有される成分の実質的に全てを同一組成で含有させることができる。本発明のシマアザミの細胞内水性液体は、上記のような成分組成であることが好ましい。
<<固液分離する容器>>
本発明の範囲内であれば、図面に示されたものには限定されないが、図1~3に本発明における固液分離装置の容器100の概略図を示す。
容器100は、シマアザミの葉茎を収容し、破砕撹拌機110で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に、加熱ユニット120によって外部から熱を加えつつ減圧して固液分離する容器である。
本発明における破砕撹拌機110は、少なくとも、投入されたシマアザミの葉茎を粗粉砕・破砕しつつ撹拌できるようになっている。
好ましい容器100の形態は、破砕撹拌機110を収容した下部半円筒部101と、その上に形成された上部角形部102とからなる。少なくとも下部半円筒部101の周囲には、容器100の内部に熱を加える蒸気室121がある。
下部半円筒部101の最下部の中央には、固液分離後の固体を取り出す固体粉末取出口140が設けられている。
図1、図2に示すように、上記上部角形部102の上部には、植物投入口103が設けられていると共に、その植物投入口103を塞ぐ植物投入口蓋104が設けられている。
上記上部角形部102の上部には、吸引される蒸気、すなわち、シマアザミの葉茎から発生する気体を取り出す気体取出口130が設けられ、この気体取出口130には、冷却器200につながる気体配管131が接続されている。
<<撹拌しつつ粗粉砕する>>
本発明においては、投入されたシマアザミの葉茎を、撹拌機で撹拌しつつ粗粉砕手段を用いて破砕・撹拌下に固液分離を行う。このようにしながら固液分離することで、有効成分である細胞内物質の熱分解、酸化等による変性を防ぐことができる。
上記破砕・撹拌は、「複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112b」及び「固液分離装置の内面(好ましくは上記下部半円筒部101の下内面)に設けられた複数の凸型固定刃111」を備えた固液分離装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図3は、前記破砕撹拌機110の構成の一例を示す斜視図であり、破砕撹拌機110は、容器100の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器100の端壁105a、105bに回転可能に支持される左右の端板106a、106bと、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字115の形をなす回転刃体112a、112bとによって構成することにより、中心軸を有しない構造(中心軸なしで回転可能の構造)に構成されている。
回転刃体112a、112bをほぼ「く」の字形にすることによって、シマアザミの葉茎を撹拌羽根で粗粉砕(破砕)しながら撹拌し易くすると共に、固液分離完了後は、固体を容器100の内壁から良好に掻き取り、固体粉末取出口140に向けて掻き寄せることによって取り出すことができる。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、上記破砕撹拌機110が2個以上の回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを同方向に回転させることで、上記シマアザミの葉茎を粗粉砕(破砕)しつつ撹拌させることが好ましい。ただし、回転刃体112は1個でもよい。
破砕撹拌機110の回転速度、すなわち、容器100の左右の端壁105a、105bに回転可能に支持されている左右の端板106a、106bの回転速度は、1回転/分以上8回転/分以下が好ましく、2回転/分以上6回転/分以下がより好ましく、4回転/分以上5回転/分以下が特に好ましい。
回転速度が小さ過ぎるときは、粗粉砕(破砕)、撹拌及び/又は固液分離の効率が悪くなる場合、容器100内で破砕されつつあるシマアザミの葉茎に温度ムラが生じる場合等があり、一方、回転速度が大き過ぎるときは、破砕撹拌機110に過剰の負荷がかかる場合、細胞膜に障害を与える場合等がある。
<<<特に好ましい粗粉砕手段>>>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法の特に好ましい態様は、上記容器100の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃111を有すると共に、上記破砕撹拌機110は、1個に複数の回転刃113a、113bを有する回転刃体112a、112bを有し、該回転刃体112a、112bを回転させることによって、容器100内のシマアザミの葉茎を、該凸型固定刃111と該回転刃113a、113bとで破砕しつつ固液分離する。
図3における111は、下部半円筒部101の内面に固着された複数の凸型固定刃であり、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111に対応する箇所には、回転刃体112a、112bにおける凸型固定刃111の部分を通過するための回転刃溝114a、114bが形成され、その溝の両側に、凸型固定刃111との間でシマアザミの葉茎を破砕するための回転刃113a、113bが設けられている。
1個の回転刃体に設けられる回転刃の対数は、容器100、破砕撹拌機110、回転刃体112a、112bの大きさや、固液分離の対象となるシマアザミの葉茎の種類にも依存するが、1個の回転刃体に回転刃が、5対以上20対以下で設けられていることが好ましく、8対以上14対以下が特に好ましい。
1個の回転刃体に設けられた回転刃が少な過ぎると、粗粉砕(破砕)、撹拌及び/又は固液分離の効率が悪くなる場合、蒸発が抑制されて温度が上昇する場合等があり、一方、多過ぎると、過度の破砕と撹拌が行われるために、回転に負荷がかかる場合、細胞水の固液分離速度が上がり過ぎて水の蒸発熱でシマアザミの葉茎の温度が下がる場合等がある。
なお、回転刃体に設けられた回転刃の上記対数は、1個の回転刃溝に1対の回転刃があるとする。例えば、図3では、1個の回転刃体に回転刃溝が10個設けられているので、1個の回転刃体に回転刃は10対設けられていることになる。
<<固液分離中のシマアザミの葉茎のサイズ>>
本発明においては、破砕撹拌機110によって、固液分離中に、投入されたシマアザミの葉茎の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、固液分離中のシマアザミの葉茎のサイズは、好ましくは1mm以上15mm以下、より好ましくは1.3mm以上10mm以下、特に好ましく1.6mm以上5mm以下である。このようなサイズになるように粗粉砕しつつ固液分離することが好ましい。
上記サイズは、粗粉砕されたシマアザミの葉茎の最大差し渡し長さの質量平均値(体積平均値)である。
上記サイズが小さ過ぎると、シマアザミの葉茎の細胞膜を破壊する(破壊する細胞膜の割合が大きくなってしまう)場合があり、一方、上記サイズが大き過ぎると、固液分離に時間がかかり過ぎる等、効率よく固液分離できない場合がある。
容器100には、更に、前記容器100内の真空度を計測する真空計108と温度計109a、109bが設けられている。これらは、固液分離工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、固液分離時のシマアザミの葉茎の温度を間接的に測定するために設けられたものであり、また、固液分離の開始と終了を判定するために設けられている。
本発明における容器100には、シマアザミの葉茎及び容器100内を加熱する加熱ユニット120が設置されている。加熱ユニット120では、蒸気供給装置122によって加熱された水蒸気が、容器100(好ましくは容器100の下部半円筒部101)の周囲に設置された蒸気室121に送り込まれる。
本発明においては、加熱ユニット120による加熱水蒸気の蒸気室への流量によって加熱をコントロールし、「シマアザミの葉茎からの細胞水の蒸発熱」を冷却に利用すべく減圧装置の気体排出量によって冷却をコントロールする。
<<固液分離中のシマアザミの葉茎の温度>>
固液分離中のシマアザミの葉茎の温度は、上記加熱ユニット120によって、該シマアザミの葉茎が有する酵素、微量成分、水(の構造)、細胞外小胞体等を変質又は失活させないように、45℃以下に維持する。特に、固液分離中は、細胞水の蒸発熱でシマアザミの葉茎を冷却し、該加熱ユニット120によって加熱し、温度範囲を10℃以上45℃以下に維持することが好ましい。
固液分離中の該シマアザミの葉茎の温度は、20℃以上40℃以下がより好ましく、25℃以上38℃以下が更に好ましく、30℃以上37℃以下が特に好ましく、33℃以上36℃以下が最も好ましい。
該温度が低過ぎると、商業的規模や工業的規模を考えた場合、蒸発固液分離に時間がかかり過ぎる場合;低い温度における水の蒸気圧の低さに適応した低圧力まで、「商業的規模や工業的規模に十分に対応した気体排出能力の大きさを有しつつ、真空度(減圧度)を上げられる減圧器」が、そもそも存在しない又は極めて大型(コスト大)になる場合;等がある。
一方、該温度が高過ぎると、該シマアザミの葉茎が有する細胞内物質を変質・分解・失活させてしまう場合、該シマアザミの葉茎の細胞の細胞膜に障害を与えてしまい該細胞膜を正常に通過した細胞水が得られない場合等がある。
上記温度範囲であると、シマアザミの葉茎の細胞水が有する、成分組成・純度、極微量成分、低沸点成分、不安定物質、水(の構造)等を、変質も分解もさせずに得ることができる。
固液分離中のシマアザミの葉茎の温度(範囲)は、本発明の効果を得るために極めて重要であり、たとえ投入するシマアザミの葉茎が個体として死んでいたとしても、通常の植物が正常にその生命を維持できる、又は、細胞が死なない上記温度範囲(特に温度上限)が望ましい。
容器100に設けられた温度計109a、109bは、破砕撹拌機110を含む容器100の熱伝導等を利用して、固液分離中のシマアザミの葉茎の温度が十分正確に測定できるようになっており、細胞水の蒸発熱で急速に冷却されそうになっても、逆に、上記加熱ユニット120によって急速に加熱されそうになっても、固液分離中のシマアザミの葉茎の温度は十分安定するようになっている。
減圧器300については後述するが、減圧器300の気体排出能力を、「内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上」とすることによって、加熱ユニット120によってシマアザミの葉茎が急速に加熱されそうになっても、細胞水の蒸発熱で該シマアザミの葉茎の温度を十分な速度で下げることができるようになっている。
本発明においては、細胞水の蒸発熱によって、該シマアザミの葉茎の温度を前記温度の上限以下に維持するように、該容器100内を減圧しつつ固液分離する。
該減圧器300としては、水の蒸発熱による冷却によって、前記したシマアザミの葉茎の温度範囲を好適に維持するため、上記の気体排出能力を有する水エジェクタ301(特に好ましくは水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301)が用いられることが好ましい。
<<シマアザミの葉茎の質量と容器の体積>>
1回の固液分離で使用するシマアザミの葉茎の質量は、使用する容器の体積に依存するので特に限定はないが、200g以上1500kg以下が好ましく、500g以上1000kg以下がより好ましく、1kg以上500kg以下が特に好ましい。
該質量が小さ過ぎると、バッチを繰り返して固液分離することになるので、コストアップになり商業的に使用できなくなる。また、本発明における前記した又は後記する特殊な固液分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合がある。すなわち、本発明における「固液分離中の圧力」、減圧器種類、気体排出能力、蒸発熱を冷却に利用すること、等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。本発明は、シマアザミの葉茎の量が上記下限以上の時に特にその効果を奏する。上記下限は、本発明の固液分離条件が有効に働く(初めて意味を持つ)ようになる点から重要である。
一方、1回の固液分離で使用するシマアザミの葉茎の質量が大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような、減圧器300が存在しない場合;特に、シマアザミの葉茎の昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価となる場合;等がある。
容器100の実質体積は特に限定はないが、実質体積の範囲は、本発明における細胞水の蒸発による固液分離の条件が有効に効くか否かの点から重要である。シマアザミの葉茎の最大投入容量(L)として、すなわち投入できるシマアザミの葉茎の嵩(L)として、2L以上5000L以下が好ましく、4L以上2000L以下が好ましく、10L以上1000L以下が特に好ましい。なお、シマアザミの葉茎の最大投入容量(L)は、前記した容器100の下部半円筒部101の体積にほぼ等しいことが好ましい。
容器100の実質体積又は下部半円筒部101の体積が小さ過ぎると、1回の処理量が少なくなり過ぎてコストアップになり、商業的に使用できなくなる場合等がある。
一方、大き過ぎると、本発明の前記効果を発揮できるような減圧器300がそもそも存在しない場合;具体的には、特に、シマアザミの葉茎の昇温を水の蒸発熱で抑制できるだけの気体排出能力と減圧度を有する減圧器300が存在しないか又は極めて高価となる場合;容器100の筐体に減圧負荷がかかり過ぎる場合;等がある。
<<<容器体積と葉茎の質量との比:V[L]/M[kg]>>>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法においては、上記容器の体積をV[L]とし、該容器に投入されるシマアザミの葉茎の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定することが好ましく、2.2倍以上3.5倍以下がより好ましく、2.5倍以上3.0倍以下が特に好ましい。
V[L]/M[kg]の値が小さ過ぎると、破砕、撹拌等を良好に実行できない場合がある。
一方、V[L]/M[kg]の値が大き過ぎると、大きな容器100が無駄になる場合;容器100が大き過ぎて、減圧器300の気体排出能力が十分に発揮できず、その結果、蒸発熱によるシマアザミの葉茎の冷却ができず、該シマアザミの葉茎の温度が前記温度範囲の上限を超えてしまう場合;等がある。
本発明における容器100には、シマアザミの葉茎から発生する気体を取り出す気体取出口130が設置されている。気体取出口130の近傍も、十分な熱伝導等で前記温度範囲に維持して、気体取出口130の近傍で水滴が生じないようにする(結露させないようにする)ことが好ましい。
<<固液分離中のシマアザミの葉茎の冷却>>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法における固液分離装置には、例えば図1に示したように、容器100の工程的に後段に、気体取出口130から取り出された気体を冷却する冷却器200が具備されている。
該冷却器200の冷却媒体としては、「0℃以上であり、上記容器100の気体取出口130から取り出された気体の温度より5℃以上低い(特に好ましくは7℃以上低い)温度」の水を用いることが、冷却して液化する効率の点から好ましい。
冷却媒体である水の温度が高過ぎると、固液分離気体の一部が液化されず収率が落ちる場合がある。このような冷却器200としては、公知のものが用いられ得る。
<<気体排出能力>>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法における固液分離装置には、例えば図1に示したように、冷却器200の後ろに、容器100内を減圧する減圧器300が具備されている。
該減圧器300としては、水の蒸発熱による吸熱で、該シマアザミの葉茎の温度が45℃を超えないように、又は、所定の好ましい温度を超えないように、内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する減圧器300を用いることが好ましい。
容器100の内容積が大きければ、より大きい気体排出能力を有する減圧器300を用いる必要がある。容器100の内容積に比較して、小さい気体排出能力しか有さない減圧器300を用いると(容器100の内容積に応じて気体排出能力を大きくしていかないと)、水の蒸発熱でシマアザミの葉茎を冷却することができ難くなり、該シマアザミの葉茎が昇温してしまう場合がある。
内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力が好ましく、常圧体積22m/時間以上300m/時間以下がより好ましく、常圧体積25m/時間以上200m/時間以下が更に好ましく、常圧体積27m/時間以上150m/時間以下が特に好ましい。
減圧器300の気体排出能力が小さ過ぎると、固液分離効率が落ちる場合、水の蒸発熱によるシマアザミの葉茎の過昇温防止効果が得られ難くなって、該シマアザミの葉茎の温度が上がり過ぎる場合等がある。
減圧器300の気体排出能力が大き過ぎると、そもそも下記する減圧度を達成しつつ、このような大きな気体排出能力を有する減圧器300が存在しない又は極めて高価若しくは極めて大型となる場合がある。
図1に一例を示したように、水タンク303に水(好ましくは、予め水チリングユニットで冷却した水)を貯め、水循環ポンプ302で加圧した水を送液し、水エジェクタ301において該加圧水を噴出させることにより減圧することが好ましい。流動液体は静止液体より圧力が低い性質(ベルヌーイの定理)を用いて減圧して気体を排出する。
<<固液分離中の容器内の圧力>>
本発明においては、上記固液分離を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力に維持しつつ行う。
減圧器300による減圧度は、固液分離中は、該容器内の圧力を1kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-100.3kPa]以上10kPa[1気圧(101.3kPa)に対して、-91.3kPa]以下に維持することがより好ましい。
更に好ましくは1.3kPa(1気圧に対して、-100kPa)以上9kPa(1気圧に対して、-92.3kPa)以下であり、特に好ましくは2kPa(1気圧に対して、-99.3kPa)以上8.6kPa(1気圧に対して、-92.7kPa)以下であり、特に好ましくは3.3kPa(1気圧に対して、-98kPa)以上8.3kPa(1気圧に対して、-93kPa)以下である。
減圧度が低過ぎると(圧力が高過ぎると)、水の蒸発熱によるシマアザミの葉茎の冷却が期待できずに、シマアザミの葉茎の温度が高くなり過ぎる場合、固液分離に時間がかかり過ぎる場合等があり、その結果、細胞に含まれる酵素等の細胞内物質が失活する場合がある。また、細胞膜を通過して細胞水を水蒸気として固液分離できない場合がある。
一方、減圧度が高過ぎると(圧力が低過ぎると)、下記する「該圧力における水の沸点」と「シマアザミの葉茎の前記温度範囲」との関係で、そこまで低圧力にする必要がない場合があり、また、そもそも前記した気体排出能力を有した上に、そこまで減圧度を上げられる減圧器300が存在しない又は極めて大型で極めて高価になる場合等がある。
減圧器300による容器内圧力(減圧度)は、固液分離中は、固液分離対象であるシマアザミの葉茎の温度における水の蒸気圧の0.1倍以上1倍以下が好ましく、0.2倍以上0.99倍以下がより好ましく、0.4倍以上0.95倍以下が更に好ましく、0.6倍以上0.9倍以下が特に好ましい。
容器内圧力が上記下限以上であると、過度の蒸発熱によるシマアザミの葉茎や細胞水の冷却がない。一方、容器内圧力が上記上限以下であると、商業的規模で十分な気体排出能力を有することを条件で、そのような圧力を実現できる減圧器が商業的規模で存在可能であり、また、細胞水が穏やかに沸騰して細胞膜を破損しない。
<<<好ましい減圧器である水エジェクタ>>>
上記減圧器300は、水を噴射することによって減圧を達成する水エジェクタ301であることが前記理由から好ましく、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301であることが、高い減圧度と共に高い気体排出能力を有するために特に好ましい。すなわち、減圧度と気体排出能力の両立ができ、前記本発明の効果を奏し易い点から好ましい。水循環ポンプ302を有して横噴射型であると、特に気体排出能力を上げ易い。
減圧器には、一般的に、ロータリーポンプ、オイル拡散ポンプ、水銀拡散ポンプ、差動ポンプ等がある。例えば、ロータリーポンプでは約1Pa(10-2mmHg)、オイル拡散ポンプでは約0.1mPa(10-6mmHg)という何れも高真空度は達成できるものの気体排出能力が極めて低い。一方、一般的なエジェクタでは、通常は10kPaより高い圧力にしかならない場合が多い。
上記気体排出能力と減圧度(真空度)の両立は、「水エジェクタ301」で好適に達成でき、特に、水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタを用いることによって、好適に両立が可能である。
前記した高い気体排出能力の数値は、かかる水エジェクタで達成できるとは言っても汎用的な数値ではない。前記した高い気体排出能力の数値は、(例えば好ましい態様を下記する)水エジェクタを有する減圧器の構造(特に、吸引孔、水位、消音器等);噴射する水の温度;噴射速度;噴射ノズル径;単位時間当たりの噴射量;噴射距離等を調整して得る。
本発明においては、上記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタであることが、固液分離中の容器内の圧力や気体排気能力等の点から好ましい。
本発明における特に好ましい「横噴射型の水エジェクタ」の態様を図4と図5に示す。 図4に、水エジェクタ301を横方向に設置して水タンク303に接続する形態を示し、図5に、水エジェクタ301とそれに連結される消音器12の概略を示す。
図4と図5に示した「横噴射型の水エジェクタ」は、水を受ける筒形の水入口片1と、該水入口片1の下流側に設けられ、該水入口片1から流入する水と吸引ガスとを混合する主管スロート6と、該主管スロート6の下流側端部に接続して設けられ、内径が末広がり形状をなすパイプからなる出力片7を有している。
更に要すれば、円筒形状をなし、該出力片7の下流側端部に設けられ、水と吸引ガスとの混合物を流す消音器12と、該消音器12に取付けられ、水が流出する際に該消音器12内に空気を取り入れて、該消音器12内の気圧の急変を防止する吸気管11とを備えていることが好ましい。
また、上記した水エジェクタ301においては、水入口片1と主管スロート6と出力片7とを収容する外被管8を備え、該外被管8に、細胞水と酵素の気体を供給する吸引管3を取付け、該外被管8を消音器12に接続し、主管スロート6は、水入口片1の終端部に連接して設けられ複数個のガス吸引孔4を有する円筒形パイプからなる。
また、前記水タンク303からの水を吸込んで水入口片1より吐出する水循環ポンプ302、前記水入口片1、前記主管スロート6、前記出力片7、及び、前記消音器12を含む循環路を、前記水タンク302内の水位17より低く設定してあることが好ましい。
該水入口片1よりも直径の太い主管スロート6が入口片1に接続されている。該主管スロート6の形状は単純なパイプ形状である。
該主管スロート6の入口部には、パイプ管壁を貫通する複数個の吸引孔4が開けられており、該吸引孔4は、吸引管3を通じ真空引き(減圧)する際に、吸込みガス(細胞水と酵素の気体)を主管スロート6内に吸引するためのものである。
主管スロート6の終端付近には、直径が主管スロート6より太いパイプ状の出方片7が連結されている。該出口片7は、出口方向に向かって末広がり状に広がる内部形状を有している。また、水入口片1、主管スロート6、及び、出口片7を被覆する外被管8が、外側に円筒状に接続されている。これら1~8で示す部材により、水エジェクタ301が構成される。
12は消音器であり、図5のように、該消音器12の内径は、水エジェクタ301の出力片7の出口の内径より太いパイプ形状を有する。
図5に示す水エジェクタ入口片1には、図4に示す水循環ポンプ302からの吐出配管15を、入口側フランジ2を介して接続されている。
真空引き機能は、吸引管3だけを通じて行うように、中空円形状の仕切板5が設けられている。該仕切板5の内側部は、主管スロート6の外側部に固着され、該仕切板5の外周部は、外被管8に固着され十分な気密性が保たれるようになっている。
本発明における減圧器300の好ましい態様は、図4に示すように、水エジェクタの極めて高い気体排出能力を図るために、消音器12を漬ける水を溜めた水タンク303を備え、水エジェクタ301で使用された水は、一旦、水タンク303に蓄えられる構造になっている。水タンク303の水は、冷却水で20℃以下に冷却されることが好ましい(図1)。
水エジェクタ301は、その終端の出力側フランジ9を使い、該水タンク303の外側より固着されている。
水タンク303内では、水エジェクタ301と消音器12は、水タンク303の内部で連結されている。消音器12は、水平部12aとその先端で直角に下方に曲げた垂直部12bとを有し、終端12cからは、吸引ガスが混合された水が水タンク303内の水中に流出する構成となっている。
また、水循環ポンプ302に接続されている戻り配管14を通じて、水が循環して再利用される構造となっている。戻り配管14、水循環ポンプ302、吐出配管15、水エジェクタ301、及び、消音器12からなる循環路は、水タンク303内の水位17より低く設定されている。
消音器12における水エジェクタ301の連接部近くに、空気を取入れる吸気管11が設けられている。
本発明における好ましい水エジェクタ301は、図4、図5に示したように、主管スロート6に吸引孔4が設けられている。それによって、管同士の隙間からガスを吸込む従来の水エジェクタと比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
また、本発明の好ましい水エジェクタ301とそれに連結される消音器12は、図4のように、水の循環路が水タンク303の水位17より低く、横向き水平に使用設置することが可能となり、該「水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタ」は、従来のエジェクタや水エジェクタの減圧器と比べて、前記したような高い(大きい)気体排出能力を有するようになる。
<<温度、圧力、時間>>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、45℃以下という比較的低温での水の蒸気圧を勘案しても、該蒸気圧に対し必要以上に容器100内の圧力(減圧度)を低くすることに拘らず、その分を気体排出能力の向上に振り向けて、対象となるシマアザミの葉茎を細胞水の蒸発熱で冷却することで達成できた。また、そのように条件設定することで、商業的工業的規模のシマアザミの葉茎の量(処理量)でも、十分な圧力(減圧度)と十分な気体排出能力を有する減圧器300が存在し得る。
シマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、減圧器300として、該シマアザミの葉茎が有する細胞内物質を失活させないために、細胞水等の水の蒸発熱で該シマアザミの葉茎の温度が45℃を超えないように(好ましくは前記した上限温度を超えないように)、内容積が1mの容器を用いた場合に換算して、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタ301を用い、該水エジェクタ301によって、該容器内の圧力を10kPa以下に維持して該シマアザミの葉茎を固液分離することが好ましい。
主たる固液分離(固液分離初期から、容器に投入した固液分離対象のシマアザミの葉茎の90質量%が固液分離されるまで)に要する時間は、投入量にもより特に限定はされないが、1時間以上24時間以下が好ましく、3時間以上20時間以下がより好ましく、4時間以上16時間以下が特に好ましい。
時間が短過ぎる場合は、蒸発熱による冷却ができないで昇温する場合、そもそも本格生産規模で、45℃以下(好ましくは前記温度以下)と言う比較的低温で、短時間で細胞水を蒸発させるだけの減圧器がない又は極めて大型になる場合等がある。
一方、時間が長過ぎる場合は、時間が無駄でコストアップになる場合;本発明における前記又は後記した特殊な固液分離条件(容器内圧力、気体排出能力等)や、装置(回転刃体112を有する粉砕撹拌機110、減圧器300等)を適用する意味が薄れる場合;等がある。すなわち、本発明における、固液分離中の圧力、減圧器種類、気体排出能力、「蒸発熱を冷却に利用すること」等の(好ましい)要件・特徴が生かされない場合がある。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、例えば図1、図2に示したように、上記冷却器200で冷却されて液化した液体(液相)を回収して、シマアザミの細胞内水性液体を、回収獲得容器400にためることが好ましい。
<好ましい具体的な獲得方法>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法は、下記に限定はされないが、具体的には例えば下記のように行われる。
まず、固液分離作業開始に当り、冷却水供給装置に冷却水を充填し、冷却器200に冷却水を循環させる。次いで、シマアザミの葉茎を植物投入口103から容器100内に投入して植物投入口蓋104を閉じる。
そして、破砕撹拌機110は、図2、3の矢印の回転方向に回転させ、容器100内のシマアザミの葉茎を撹拌しながら、回転刃113a、113bと凸型固定刃111との間でシマアザミの葉茎を破砕する。
かかる破砕撹拌機110によって破砕することで、細胞膜を殆ど破壊せず、また破砕しながら固液分離することで、細胞水等の細胞内物質の「変性」や「散逸による減量」を防ぐことができる。
上記撹拌・破砕と同時に、蒸気供給装置から蒸気室121内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。容器100に加えられた熱は、シマアザミの葉茎に伝達され、シマアザミの葉茎が破砕撹拌機110によって撹拌されることにより、固液分離が促進されると共に温度等が均一になる。この固液分離は、シマアザミの葉茎が、回転刃113a、113bと凸型固定刃111とによって破砕されて小さくなることによって更に促進され均一になる。
その際、蒸気室121内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調整したり、減圧器300である水エジェクタ301に供給する水の量・圧力・噴射速度等を調整して気体排出能力や容器内の圧力を適切に設定したりして、シマアザミの葉茎の温度を45℃以下(更には、上記した(より)好ましい範囲)に維持する。
水循環ポンプ302を有する横噴射型の水エジェクタ301等の減圧器300で吸引することにより、容器100内の気体、すなわち、固液分離液の蒸気及び空気を、気体配管131を通じて吸引し、容器100内のシマアザミの葉茎に含まれている「揮発成分である細胞内物質」と細胞水の蒸発を開始させる。その際、減圧器300で吸引する量や吸引力を調節して、固液分離時の圧力(減圧度)を、前記した好ましい範囲にする。
容器100内のシマアザミの葉茎に含まれる「揮発成分である細胞内物質の蒸気」及び「細胞水の主成分である水の蒸気」(水蒸気)は、気体配管131を通して吸引され、冷却器200に導入され液化されて、回収液となって回収獲得容器400内に溜まる。
<抽出法等の他の方法との相異>
前記した通り、固液分離方法や抽出方法としては、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法、フリーズドライ法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、シマアザミの葉茎と媒体を(通常は60℃以上に)加熱するため、酵素を含め細胞内物質(有効成分)が変性・熱分解する、散逸する等で、細胞内物質(有効成分)をそのまま含むものが十分に得られない。なお、シマアザミの葉茎が45℃より高くなると、酵素等の細胞内物質が失活する。
また、水蒸気蒸留法では、抽出に用いた水蒸気が液化した水が細胞水に混合することで、全て天然由来の抽出液ではなくなるし、抽出残渣物にも外部からの水や該水由来物が混入することになる。
また、溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い、抽出溶媒が抽出液中に残留する、その溶媒を除去する際に有効成分である細胞内物質も除去されてしまう。また、溶媒を使用することが必須であるため、植物由来の細胞水を得ることが難しい。
更に、抽出液の収量も一般には少ない。また、抽出溶媒として水を用いる場合、抽出のために加えた水が残留するので、全て天然由来であるとは言えない。
圧搾法でも、抽出溶媒として用いた油性成分が抽出液中に残留し、また、その油性成分を完全に除去することが不可能である。また、抽出溶媒を使用するため、シマアザミの葉茎に由来する水溶性の細胞内物質を得ることが難しい。
抽出溶媒を使用しない圧搾法は、採取するときに沸点が100℃より高い油(例えば、ごま油、つばき油等)を通常は用いるが、水性液を採取する場合や揮発性物質を採取する場合は、収率が著しく落ちるため使用できない。
超臨界抽出法では、高圧を要するので高価な設備を必要とする、媒体由来の極微量の不純物が混入する等の問題点がある。
また、フリーズドライ法では、水が氷になるのでその際に、細胞膜が破壊される、水分子集合体の構造が崩れる等のため、本発明のシマアザミの細胞内水性液体が得られない。
また、シマアザミの葉茎を「粗粉砕(破砕)と撹拌をしつつではなく加熱・減圧」して固液分離する方法では、サイズが大きいシマアザミの葉茎の組織や細胞の中に含まれている種々の成分を効率的に獲得できない。
逆に、シマアザミの葉茎を粗粉砕(破砕)と撹拌をしつつではなく、一旦、粗粉砕(破砕)をした後に固液分離する方法では、細胞水や細胞内物質(有効成分)が揮散し、効率的に又は全量の「シマアザミの細胞内水性液体」を獲得できない。
[シマアザミの細胞内水性液体]
本発明は、上記のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を使用して製造されるものであることを特徴とするシマアザミの細胞内水性液体でもある。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体は、後記する種々の用途に用いられる。
<不可能・非実際的事情の存在>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体は、水分子集合体の構造に特徴がある可能性があり、また、極めて多くの成分が含有されているところ、それらの成分を同定すること、それらの含有割合を求めること、該水分子集合体の化学構造を求めること、それらの成分から本発明の効果を奏する有効成分を特定すること、有効成分の成分含有比を求めること等は、不可能であるか又はおよそ実際的でない(「不可能・非実際的事情」がある)。
従って、本発明におけるシマアザミの細胞内水性液体については、獲得方法で特定する以外に方法がない。
<シマアザミの細胞内水性液体の用途>
本発明のシマアザミの細胞内水性液体は、種々の製剤形態(剤型)、食品形態、化粧料形態等で使用できるが、液体の形態のままで利用されることが好ましい。シマアザミの細胞内水性液体に含まれる水や水性液体をそのままの形態で含有していることが好ましいからである。
従って、本発明は、シマアザミの葉茎の細胞内水性液体を含有することを特徴とする「飲料水等の飲食品」でもある。
本発明の飲料水等には、細胞水(細胞内水溶液)に加えて、細胞外小胞体を含んでいることも好ましい。
更に、該「飲料水等の飲食品」には、「シマアザミの細胞内水性液体」以外に、通常「飲料水等の飲食品」に含有されている可食性物質が含有されていてもよい。ただし、前記した本発明の優れた効果を発揮させるために、該可食性物質は、極力少なくすることが好ましく、含有しないことが特に好ましい。
上記可食性物質には、他の天然水、精製水、水道水等の水も含まれる。本発明のシマアザミの細胞内水性液体は、細胞水であることや、水自体の有する情報等にも特徴があるため、最終的な使用形態(剤型、食品形態)においても、該水をそのまま含有することが特に好ましい。
前記理由から、本発明は、シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲食品であることが好ましく、シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水であることがより好ましく、シマアザミの細胞内水性液体からなる飲料水であることが特に好ましい。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体、飲料水、用途限定された飲用水、該飲用水を原料として調製された飲食品・健康食品・剤・医薬品等は、人のみならず、ペット、家畜、養殖動物、愛玩動物、野生動物、水族館や動物園の動物、等にも摂取される(適用される)。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を含有する飲食品、健康食品、剤、医薬品等を調製する場合、その調製過程で、本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を使用したならば、該液体は飲むことができるのであるから、原料として用いた該液体は「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」に該当する。言い換えれば、該飲料水は、上記した、飲食品、健康食品、剤、医薬品等を調製する際の原料として用いることができる。また、原料として上記飲食品等に含有される「シマアザミの細胞内水性液体」は、常に「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」であるとも言える。該飲料水が後記する用途に限定されていても同様である。
<<免疫機能向上用飲料水>>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする免疫機能向上用飲料水でもある。
本発明の免疫機能向上用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して免疫機能向上効果があることは、実施例にも記載した通り、T細胞数、CD4/CD8細胞比、ナイーブ細胞数、ナイーブ/メモリーT細胞比、B細胞数、NK細胞数、T細胞増殖係数、及び、「CD8+CD28+T細胞数」を測定・算出することによって確かめられている(評価例1、図6~8)。
更に、上記したリンパ球等の免疫に関する各種指標を測定・算出し、経口摂取前後の免疫力の変化を、免疫力スコア及び免疫力グレードの変化として測定・算出・確認した。
その結果として、免疫力スコア及び免疫力グレードともに飲用後に改善が見られた(図8)。
<尿酸値改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする尿酸値改善用飲料水でもある。
本発明の尿酸値改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して尿酸値改善効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に5名の健常人で測定することによって確かめられている(評価例2、図9)。
<コレステロール値改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とするコレステロール値改善用飲料水でもある。
本発明のコレステロール値改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対してLDLコレステロール値、及び、総コレステロール値を減少させる効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に5名の健常人で測定することによって確かめられている(評価例3、図10)。
<便通改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする便通改善用飲料水でもある。
本発明の便通改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して便通改善効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に56名の健常人にアンケート調査をすることによって確かめられている(評価例4、6、7、図11、13)。
<腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水でもある。
本発明の腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して腸内細菌叢の分布状況を改善させる効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に10名の健常人で、複数種類の菌に関して測定・調査することによって確かめられている(評価例5、図12)。
<睡眠改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする睡眠改善用飲料水でもある。
本発明の睡眠改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して睡眠を改善させる効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に56名の健常人に対するアンケート調査によって確かめられている(評価例6、7、8、図13、図14)。
<二日酔い改善用飲料水>
本発明は、前記のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする二日酔い改善用飲料水でもある。
本発明の二日酔い改善用飲料水は、飲食品、健康食品、剤、医薬品等の原料としても好適に使用される。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体を含有する飲料水」を、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して二日酔いを改善させる効果があることは、実施例にも記載した通り、実際に56名の健常人に対するアンケート調査によって確かめられている(評価例6、7、8、図13、図14)。
<作用・原理>
植物から特定の成分を取り出すときには、生物的・生化学的活性の保持、非耐熱性物質の保持、酵素変質の抑制、低沸点物質(高蒸気圧物質)、香味成分の保持、分解物を含めたコンタミ防止、等が重要であるが、従来法では、何れも、低沸点物質、水、水性成分、香り等が揮散し易く、逆に、抽出溶媒が残留したり、熱分解物質が生成したりしていた。
しかし、本発明における、植物の部位を単に固体と液体とに固液分離する方法では、細胞水(細胞内水性液体)が低温を維持しつつ分離できるため(分離するため)、植物細胞にストレスを与えず、該細胞水の組成・活性が保持されたまま固液分離ができる。
シマアザミの葉茎の生体内の細胞水は、人の細胞浸透液に似通っているため、シマアザミの細胞内水性液体(細胞水)は、ヒトにおいても浸透性や親和性が極めて高いと考えられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
固液分離の対象として、奄美群島の徳之島に自生するシマアザミの葉茎を使用した。該シマアザミの葉茎は、乾燥していない生のものを用いた。
該シマアザミの葉茎を、まず、最長の差し渡し長さ約1cm~約5cmに切って得られた嵩が約10L(約4kg)を、図1~3に示した容器100(投入容量10L、容器の体積(内容積)0.02m)に投入し、図3に示したような回転刃体112a、112bを有する破砕撹拌機110によって、回転刃体を4回転/分で回転させ、破砕しながら固液分離した。
その際、該破砕撹拌機110(1.5kW)によって、少なくとも主たる固液分離中は、シマアザミの葉茎の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、該シマアザミの葉茎を撹拌しつつ約2mm~約6mmに粗粉砕(破砕)した。
蒸気量28~140kg/hrの加熱ユニット120で加熱すると共に、水エジェクタ301で真空引きし、水の蒸発熱でシマアザミの葉茎の温度を35℃±2℃に保った。水エジェクタ301の水温と、冷却器200の冷却水の水温は、共に10℃±2℃に保った。
使用した水エジェクタ301は、横噴射型の水エジェクタ(3.7kW)であり、引かれる方がオープンの場合、常圧体積20m/時間以上の気体排出能力を有する水エジェクタであった。
容器100内の圧力は、固液分離中は、3.3kPa(1気圧に対して、-98.0kPa)以上6.3kPa(1気圧に対して、-95.0kPa)以下に常に保った。主たる固液分離時間は5時間であった。
固液分離して得た液体を回収獲得容器400に回収した後、液体取出しバルブ405を開いて、水相(水層)取出し口404から抜き出し、シマアザミの細胞内水性液体を獲得した。
原料のシマアザミの葉茎と得られたシマアザミの細胞内水性液体は、容器内でも、冷却・回収時でも、抜き出し・獲得時でも、常に35℃±2℃を保った。
得られたシマアザミの細胞内水性液体は、水を加えて約50~80℃に加熱して、該水に抽出した液や、水蒸気蒸留法で得た液とは、全く異なった香りがした。成分組成が異なっているものと推認された。また、常に35℃±2℃を保ったので、細胞内水性液体(細胞水)、酵素等の細胞内物質や細胞外小胞体等が失活・分解・変質しないで、細胞内の液体組成(天然のままの組成)が維持されていた。
製造例2
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体をそのまま使用して、シマアザミの細胞内水性液体からなる飲料水を調製した。
比較製造例1
原料として製造例1と同一のものを用い、製造例1の方法に代えて、水蒸気蒸留法で、常法に従って水溶液を得た。
すなわち、嵩として10Lのシマアザミ葉茎に対して、約100Lの水を用い、1時間かけて水蒸気蒸留を行った。その後、過剰の水を減圧留去して水溶液(1)を得た。
しかし、シマアザミ葉茎中の成分は、熱分解されて水蒸気中には抽出されず、更に、溶媒である水の留去と共に留去・揮散されてしまったため、製造例1、2と同様の性能を持つ液体を獲得することは出来なかった。
比較製造例2
原料として製造例1と同一のものを用い、製造例1の方法に代えて、熱水抽出法で、常法に従って水溶液を得た。
すなわち、嵩として10Lのシマアザミの葉茎を50Lの溶媒として用いた精製水に浸漬し、約80℃で30分加熱し、その後、濾過して水溶液(2)を得た。
しかし、シマアザミ葉茎中の成分は、熱分解したものがある上に、細胞内水性液体は、殆どが葉茎から抽出されることなく、水溶液に浸潤・溶出したものは、わずか10質量%以下であったため、製造法1と同様の性能を持つ液体を獲得することは出来なかった。
比較製造例3
原料として製造例1と同一のものを用い、製造例1の方法に代えて、エタノール抽出法で、常法に従って水溶液を得た。
すなわち、嵩として10Lのシマアザミの葉茎を、20Lの40質量%濃度のエタノール/水に浸漬し、エタノールの沸点で1時間加熱して成分を抽出し、その後、エタノール/水を留去し、濾過して水溶液(3)を得た。
しかし、シマアザミ葉茎中の成分は、溶媒であるエタノール/水に、浸潤・溶出しないものがあり、シマアザミ葉茎に留まった。また、溶媒であるエタノール/水の留去と共に留去・揮散されてしまったため、製造例1、2と同様の性能を持つ液体を獲得することは出来なかった。また、得られた水溶液中には、微量のエタノールが残存した。
比較製造例4
原料としてシマアザミの葉茎の乾燥品を用いた以外は、比較製造例1と同様にして水溶液(4)を得た。
しかし、乾燥段階で細胞水や有効成分が散逸(揮散)してしまっているので、得られた水溶液の成分(組成)は、当然に、製造例1で得られた液体の成分(組成)とは全く異なる成分組成であった。
評価例1
<免疫機能向上効果の測定>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女5名(A、B、C、D、E)の健常人に、28日間にわたり、1日に10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
飲んでもらう前後で、各人から血液を採取し、常法に従って、T細胞数、CD4/CD8細胞比、ナイーブ細胞数、ナイーブ/メモリーT細胞比、B細胞数、NK細胞数、T細胞増殖係数、及び、「CD8+CD28+T細胞数」を、それぞれ測定・算出した。
飲む前後のT細胞数の変化を、評価した5名ごとに図6に示す。飲んだ後に、D以外の4名(A、B、C、E)でT細胞数が増加していた。
5名の平均でも、明らかにT細胞数が増加していた(図6)。
飲む前後の「CD8+CD28+T細胞数」の変化を、評価した5名ごとに図7に示す。飲んだ後に、B以外の4名(A、C、D、E)で「CD8+CD28+T細胞数」が増加していた。Bでは、飲む前後でほぼ同一であった。
5名の平均でも、明らかに該値が増加していた(図7)。
上記免疫に関する8種類の測定値に関し、測定した5名の平均値を、免疫力スコアとして図8に記載した。
8種の値が全て、飲んだ後に増加していた(図8)。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して免疫機能向上効果があることが分かった。
評価例2
<尿酸値改善効果の測定>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女5名(A、B、C、D、E)の健常人に、28日間にわたり、1日に10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
飲んでもらう前後で、各人から血液を採取し、常法に従って尿酸値を測定した。
図9(a)に、各人の尿酸値の飲む前後の変化を示し、図9(b)に尿酸値の平均値の飲む前後の変化を示す。
飲んだ後に、B以外の4名(A、C、D、E)で、尿酸値が減少していた(図9(a))。また、5名の平均値でも、飲んだ後に、明らかに尿酸値が減少していた(図9(b))。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して尿酸値改善効果があることが分かった。
評価例3
<コレステロール値改善効果の測定>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女5名(A、B、C、D、E)の健常人に、28日間にわたり、1日に10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
飲んでもらう前後で、各人から血液を採取し、常法に従って、LDLコレステロール値と総コレステロール値を測定・算出した。
図10(a)に、各人のLDLコレステロール値の、飲む前後での変化を示し、図10(b)に、各人の総コレステロール値の、飲む前後での変化を示す。
また、図10(c)に、LDLコレステロール値の5名の平均値の変化を示す。
飲んだ後に、D以外の4名(A、B、C、E)で、LDLコレステロール値と総コレステロール値が、何れも減少していた(図10(a)(b))。Dでは、飲む前後でほぼ同一であった。
また、5名の平均値でも、飲んだ後に、明らかにLDLコレステロール値が減少していた(図10(c))。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対してコレステロール値改善効果があることが分かった。
評価例4
<便通改善効果の測定>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女56名の健常人に、15日間にわたり1日あたり20mLを毎日飲んでもらった。15日以内に300mLを飲んでもらった。
飲んでもらう前後で、「普段の排便回数」、「飲用後の排便回数」、「お通じが良くなったか」を、アンケート調査した。結果を図11に示す。
図11(a)と図11(b)を比較すると、明らかに、排便の回数が増加していた。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して便通改善効果があることが分かった。
評価例5
<腸内細菌叢の分布状態改善効果の測定>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女10名の健常人に、28日間にわたり1日あたり10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
飲んでもらう前後で、腸内細菌叢の遺伝子、及び、代謝物の内容を、検査キット(ウンログ株式会社製の「キンログ」)で測定・確認し、飲むことによる腸内細菌叢への影響を求めた。
腸内細菌叢の構成細菌である、ビフィズス菌、痩せ菌、アッカーマンシア菌について、飲用前後で、それらの菌を有する人の割合を測定・算出した。
結果を、図12に示す。
所謂善玉菌である、ビフィズス菌、痩せ菌、アッカーマンシア菌の何れについても、飲用後に、それらの菌を有する人の割合が増加していた(図12(a)(b)(c))。
特に、ビフィズス菌(図12(a))、及び、アッカーマンシア菌(図12(c))が、極めて顕著に増加することが確認された。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して腸内細菌叢の分布状態改善効果があることが分かった。
評価例6
<腸内環境改善効果、便通改善効果、疲れ難さ改善(だるさ改善)効果、寝付き・目覚め改善等の睡眠改善効果、二日酔い改善効果、肝機能改善効果、味についての体感結果>
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」を、男女56名の健常人に、28日間にわたり1日あたり10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
28日間、健常人(N=56)が継続的に経口摂取した後にアンケート調査した。56人のアンケート結果(飲んだ後の(体感の)感想)を以下に示す。
<<便通改善、腸内環境改善>>
腸内環境が改善し、お腹のゴロゴロ感がなくなった。
2、3日に1回の便通だったのが、1日1回になった。
便の色が薄く感じるようになった。
朝と夜に便意を感じるようになった。
飲用後お通じが早目になった。
<<疲れ難さ改善>>
長距離を歩いても、疲れ難くなった。
<<睡眠改善>>
朝の目覚めが良くなった。
連日忙しい日が続いても早朝すっきり起きることができた。
<<二日酔い改善>>
お酒を飲んだ翌日、すっきりしている気がした。
二日酔いをしなくなった。
悪酔いしなかった。
お酒を飲んだ翌日、むかむか感がなくなった。
お酒を飲んだ翌日の倦怠感がなかった。
飲酒時、顔が赤くならなくなった。
お酒を飲んでいる方が体が軽い感じがして、また飲みたくなるような気がした。
<<肝機能改善>>
血液検査結果で、肝機能改善がみられた。
<<味についての感想>>
味にちょっと癖があるが、それが美味しいと感じた。
評価例7
<アンケート結果の主な5項目の体感割合(%)>
上記アンケート結果を基に、主な5項目について、「体感した」、「少し体感した」、「通常と同じであった」について、定量的にそれらの割合を算出した。
結果を図13に示す。
5項目の全てで32%以上の人で、該効果について体感が認められた。
また、5項目の平均では、42%の人で、該効果について体感が認められた。
評価例8
<睡眠改善、二日酔い改善、体のだるさ改善>
製造例1で得られたシマアザミの細胞内水性液体(製造例2で得られた飲用水と同一)を、男女56名の健常人に、28日間にわたり1日あたり10mL~30mLを毎日飲んでもらった。
飲んだ前後で、睡眠改善効果、二日酔い改善効果、体のだるさ改善効果を、棒グラフにまとめた。結果を図14に示す。
図14から、「1.体感した」、「2、少し体感した」が16~21人いて、効果があることが分かった。
本発明の「シマアザミの細胞内水性液体」は、飲料水として飲むことによって(経口摂取によって)、ヒトに対して、睡眠改善効果、二日酔い改善効果、体のだるさ改善効果があることが分かった。
評価例9
比較製造例1~4で得られた抽出液(1)~(4)について、評価例1~7と同様に評価したが、何れの抽出液も、上記した何れの効果も得られなかった。
比較製造例1、2、3の抽出液(1)(2)(3)については、有効成分が、抽出中や抽出溶媒・媒体の除去中に、熱分解や変質や散逸(揮散)したか、そもそも(固液)分離ができなかったと考えられた。
また、比較製造例4の抽出液(4)は、当然に本発明のシマアザミの細胞内水性液体とは、全く異なる組成なので(成分の重複すらないので)、そのため、何れの効果をも奏さなかったと考えられた。
本発明のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法で得られたシマアザミの細胞内水性液体は、今までの抽出方法による抽出物とは、水分子の集合体をも含めた成分(組成)を異にしていると考えられ、また、実質的に完全に植物由来のものであり、また、固液分離工程において細胞内物質を分解させるような熱をかけず、固液分離溶媒も使用しないので、今までにない性能を示し、効果が極めて優れている。
従って、本発明は、一般食品、健康食品、医薬品等の製造分野等において、広く実施・利用されるものである。
1 水入口片
2 入口側フランジ
3 吸引管
4 吸引孔
5 仕切板
6 主管スロート
7 出方片
8 外被管
9 出力側フランジ
10 フランジ
11 吸気管
12 消音器
12a 水平部
12b 垂直部
12c 終端
14 戻り配管
15 吐出配管
17 水タンク水位
18 オーバーフロー通風口
100 容器
101 下部半円筒部
102 上部角形部
103 植物投入口
104 植物投入口蓋
105a 端壁
105b 端壁
106a 端板
106b 端板
107 傾斜面
108 真空計
109a 温度計
109b 温度計
110 破砕撹拌機
111 凸型固定刃
112a 回転刃体
112b 回転刃体
113a 回転刃
113b 回転刃
114a 回転刃溝
114b 回転刃溝
115a 「く」の字
115b 「く」の字
120 加熱ユニット(蒸気室121+蒸気供給装置122)
121 蒸気室
122 蒸気供給装置
130 気体取出口
131 気体配管
140 固体粉末取出口
200 冷却器
300 減圧器
301 水エジェクタ
302 水循環ポンプ
303 水タンク
400 回収獲得容器
401 水相(水層、シマアザミの細胞内水性液体)
404 水相(水層、シマアザミの細胞内水性液体)取出し口
405 液体取出しバルブ
B シマアザミの細胞内水性液体
R 回転方向

Claims (17)

  1. シマアザミの葉茎を構成する細胞内に存在する細胞内水性液体の獲得方法であって、
    抽出媒体も加熱水蒸気も使用せずに、
    容器内で、撹拌機で撹拌しつつ、粗粉砕手段を用いて該シマアザミの葉茎を1mm以上15mm以下に粗粉砕しながら、
    外部から熱を加えつつ減圧器で該容器内を減圧して、該シマアザミの葉茎を45℃以下に維持し、
    該減圧器で該容器内を、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力に維持し、
    該シマアザミの葉茎を固体と液体とに固液分離することによって、該液体を得ることを特徴とするシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  2. 前記シマアザミの葉茎が乾燥させていないものである請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  3. 前記固液分離中は、前記容器内を、1kPa以上10kPa以下の圧力に維持する請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  4. 前記減圧器が、水循環ポンプを有する横噴射型の水エジェクタである請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  5. 前記容器の体積をV[L]とし、該容器に投入されるシマアザミの葉茎の質量をM[kg]とするときに、V[L]をM[kg]の2倍以上5倍以下に設定する請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  6. 前記容器の下部が円筒状になっており、その内壁に複数の凸型固定刃を有すると共に、前記撹拌機は、1個に複数の回転刃を有する回転刃体を有し、該回転刃体を回転させることによって、容器内のシマアザミの葉茎を、該凸型固定刃と該回転刃で粗破砕しつつ固液分離する請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  7. 前記シマアザミの葉茎を、固液分離中に、該シマアザミの葉茎の細胞が有する細胞膜を実質的に破壊しないように、1mm以上15mm以下に粗破砕する請求項1に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のシマアザミの細胞内水性液体の獲得方法を使用して獲得されるものであることを特徴とするシマアザミの細胞内水性液体。
  9. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする飲料水。
  10. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする免疫機能向上用飲料水。
  11. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする尿酸値改善用飲料水。
  12. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とするコレステロール値改善用飲料水。
  13. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする便通改善用飲料水。
  14. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする腸内細菌叢の分布状態改善用飲料水。
  15. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする睡眠改善用飲料水。
  16. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする二日酔い改善用飲料水。
  17. 請求項8に記載のシマアザミの細胞内水性液体を含有することを特徴とする飲食品。


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