JP2024062553A - 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法 - Google Patents

歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024062553A
JP2024062553A JP2022170456A JP2022170456A JP2024062553A JP 2024062553 A JP2024062553 A JP 2024062553A JP 2022170456 A JP2022170456 A JP 2022170456A JP 2022170456 A JP2022170456 A JP 2022170456A JP 2024062553 A JP2024062553 A JP 2024062553A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
retention
papermaking
soluble polymer
raw materials
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022170456A
Other languages
English (en)
Inventor
雄樹 高橋
奈穂 三井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hymo Corp
Original Assignee
Hymo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hymo Corp filed Critical Hymo Corp
Priority to JP2022170456A priority Critical patent/JP2024062553A/ja
Publication of JP2024062553A publication Critical patent/JP2024062553A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】抄紙工程における製紙原料の歩留向上を図る歩留向上剤に関するものであり、従来の歩留向上剤に比べ、特に高シェアが掛かる抄造条件においてワイヤー上での製紙原料の歩留向上ができる歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法を提供することを課題とする。【解決手段】本発明における特定の組成を有し無機塩を含有する水溶性高分子の油中水型エマルジョンであり、該油中水型エマルジョンが水分濃縮して得られた水溶性高分子の油中水型エマルジョンを抄紙前の製紙原料に添加することで、上記課題を解決することができる。水溶性高分子0.05質量%水溶液の粘度をB型粘度計にて回転数2.5、5、10、20、50、100rpmで測定、回転数をX、粘度をYとし、回転数ln(X)をX軸、粘度ln(Y)をY軸とする一次関数グラフを作成し得られる傾き値が0.30~0.50の範囲を有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、抄紙工程において製紙原料の歩留向上及び濾水性向上を図る歩留向上剤に関するものであり、詳しくは、抄紙工程において歩留向上剤を用いることにより製紙原料のワイヤー上での歩留向上及び濾水性向上を図る歩留向上剤及びそれを用いた歩留向上方法に関するものである。
塗工原紙、PPC用紙、上質紙、新聞用紙及び板紙等の抄紙工程において、原料パルプ、微細繊維、填料、製紙用薬剤等のワイヤー上での歩留率向上を図るために歩留向上剤、あるいは歩留と同時に濾水改善の機能を重視した濾水性向上剤(あるいは歩留濾水性向上剤)が使用されている。一般的にポリアクリルアミド系(PAM系)ポリマーが歩留向上剤として汎用されているが、抄紙原料事情の悪化による微細分割合の増加や各種製紙用薬剤の多様化、抄紙機の高速化等により歩留効果が低下する傾向にあり、より歩留性能が高い歩留向上剤が要望されている。
そこで、PAM系歩留向上剤の構造や物性について様々な検討がなされている。例えば、引用文献1では、粘度平均分子量が1500万以上のカチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーを添加して歩留を向上させる方法や、引用文献2では、一定条件で測定した電荷内包率が10.0%未満であるカチオン性あるいは両性水溶性高分子からなる歩留向上剤として適用、引用文献3では、カチオン性モノマーと構造修飾剤とを必須単量体として重合させて得られるカチオン性構造修飾ポリマーを歩留向上剤として適用することがそれぞれ開示されている。これらの技術の適用により、一定の効果は認められるものの更なる高い歩留効果、特に高シェアが掛かる抄造条件でも効果を発揮するポリマーの開発が要望されている。
特開2007-100254号公報 特開2015-183333号公報 特開2007-326952号公報
本発明は、抄紙工程における製紙原料の歩留向上を図る歩留向上剤に関するものであり、従来の歩留向上剤に比べて特に高シェアが掛かる抄造条件において濾水性や地合いを低下させることなくワイヤー上での製紙原料の歩留向上ができる歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、抄紙前の製紙原料に、特定の組成を有し無機塩を含有する水溶性高分子の油中水型エマルジョンであり、該油中水型エマルジョンが水分濃縮して得られた水溶性高分子の油中水型エマルジョンを添加することで製紙原料の歩留向上及び濾水性向上を達成することができることを見出したものである。
抄紙前の製紙原料に、本発明における水溶性高分子を添加することで添加率を上げても濾水性や搾水性の低下を招くことなく歩留効果を発揮し、生産性の向上や紙品質の向上を達成することができる。
本発明における水溶性高分子としては、下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体5~50モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0~30モル%及び非イオン性単量体50~95モル%を構成単位とする。
一般式(1)で表されるカチオン性単量体10~40モル%が好ましい。この範囲にあると一定の高分子量のものが得られやすい傾向にあるためである。
一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
Figure 2024062553000003
一般式(2)
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、CSO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOO 、YあるいはYは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
一般式(1)で表されるカチオン性単量体として、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピルアクリルアミドの塩化メチルや塩化エチル等の低級アルキル基や塩化ベンジルによる四級化物である。例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物等である。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。一般式(2)で表されるアニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸あるいはそのナトリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、マレイン酸あるいはそのアルカリ金属塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸あるいはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
本発明で使用する非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらの中で(メタ)アクリルアミドが好ましい。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
本発明における水溶性高分子は公知の油中水型エマルジョン重合により製造することができる。カチオン性単量体、アニオン性単量体及び非イオン性単量体から選択される単量体混合物を油中水型エマルジョン重合方法により共重合することによって製造する。
本発明における水溶性高分子は重合時に単量体混合物水溶液に無機塩を共存させる。無機塩は、単量体水溶液中に溶解度の高いものが好ましいが、以下の様なものである。即ち、ナトリウムやカリウムの様なアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、マグネシウムイオン等の陽イオンと、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等の陰イオンとを組み合わせた塩が使用可能である。これら塩類の濃度としては、単量体混合物水溶液の液量に対し0.5~15質量%であり、好ましくは1~10質量%である。
油中水型エマルジョン重合は、特開昭59-130397号公報、特開平10-140496号公報や特開2011-99076号公報等に挙げられる方法に準じて適宜に製造することができる。即ち、カチオン性単量体、アニオン性単量体、及び非イオン性単量体から選択される一種以上を含有する単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させた後、重合する。
又、分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類、ナフテン類、あるいは灯油、軽油、中油等の鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度等の特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物が挙げられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%~50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%~35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB1~15のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。これら界面活性剤の添加率としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5~10質量%であり、好ましくは1~5質量%の範囲である。
単量体の重合濃度は20~60質量%の範囲であり、単量体の組成、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。重合温度としては20~80℃、好ましくは20~60℃の範囲で行なう。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性或いは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、レドックス系、過酸化物系の何れでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2、2’-アゾビスイソブチレート、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2、2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2、2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2、2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’-アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’-アゾビス[2-(5-メチル-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩化水素化物、4、4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)等が挙げられる。又、レドックス系の例としては、t-ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等との組み合わせが挙げられる。更に過酸化物系の例としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルヒドロペルオキシド等を挙げることができる。
本発明における水溶性高分子を製造する際の重合時あるいは重合後、構造変性剤として架橋性単量体を使用することができる。使用する場合は、架橋性単量体を単量体総量に対し、0.00005~0.050質量%の範囲内で存在させる。単量体組成や重合条件により異なるが、0.050質量%を超えると架橋が進行しすぎて水不溶性となるため本発明の用途としては好ましくはない。0.0005~0.050質量%が好ましい。架橋性単量体の例としては、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸-1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N-ビニル(メタ)アクリルアミド、N-メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられ、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミドが好ましい。
又、重合度を調節するためイソプロピルアルコールを対単量体0.1~5質量%併用、あるいはギ酸ソーダを対単量体0.01~0.5質量%併用すると効果的である。
重合後、得られた油中水型エマルジョンを水分濃縮することによって本発明における水溶性高分子の油中水型エマルジョンを得ることができる。又、重合中に水分濃縮することができる。水分濃縮により重合仕込み時の単量体濃度よりも濃縮後のポリマー濃度(製品濃度)が高くなる。水分を濃縮する条件としては油中水型エマルジョンを減圧及び/又は加熱により行なう。減圧は2~25kPaの範囲、好ましくは3~12kPaの範囲で任意の時間行なう。加熱は水浴温度40~90℃の範囲、好ましくは50~80℃の範囲で任意の時間行なう。製造効率を考慮すると減圧及び加熱による濃縮が好ましい。
濃縮後は、必要に応じて転相剤と呼ばれる親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水に馴染み易くし、中の水溶性高分子が溶解し易くする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9~15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、ポリオキシエチレンアルコールエーテル系等が挙げられる。
本発明における水溶性高分子の物性値について説明する。
本発明における水溶性高分子は、下記方法(1)から算出される傾き値を有する。
方法(1);水溶性高分子0.05質量%水溶液をB型粘度計にて回転数2.5、5、10、20、50、100rpmで粘度(mPa・s、25℃)を測定、回転数ln(X)をX軸、粘度ln(Y)をY軸とする一次関数グラフを作成し、得られる傾き値(絶対値)。ここで、Xは回転数、Yは粘度、ln(X)、ln(Y)は、それぞれの自然対数を表す。尚、水溶性高分子0.05質量%水溶液を作製する際は、純水もしくは蒸留水を使用し、800rpmで30分間攪拌して作製する。又、低い回転数(2.5rpm)から順番に測定する。
傾き値の具体的な求め方は後述の図1(高分子水溶液の回転数と粘度の一次関数グラフ)で示す。尚、粘度測定は1号ローターを使用する。適宜2号ローターを使用する。B型粘度計としては東機産業TVB-10M等が使用される
一般的な歩留向上剤としてのPAM系ポリマーでは、通常、傾きは-(マイナス)であり、傾き値(絶対値)が0.50を超え、0.50を超えて0.80の範囲である。しかし、本発明における油中水型エマルジョンを水分濃縮して得られた水溶性高分子は、前記方法(1)で得られる傾き値が小さく0.30~0.50の範囲を有することが好ましい。
この傾き値が小さいことは、流動場における高分子の変形が小さいこと、即ち強い分岐、架橋構造、分子内及び分子間相互作用を有することを示している。一方傾き値が大きいことは、流動場における高分子の変形が大きいこと、即ち弱い分岐、架橋構造、分子内及び分子間相互作用を有することを意味する。
製紙工程中のせん断は強く、流動場における高分子の変形が大きいと、パルプをつなぎ留める働きが弱くなり、低い歩留まりとなる。一方で流動場における高分子の変形が適度に小さいと、強いせん断条件でもパルプを十分につなぎ留めることができ、高い歩留まりとなる。
油中水型エマルジョンを水分濃縮することで、内部が脱水され、分子内及び分子間相互作用が強くなると推察される。また、塩を添加することでもポリマー間の収縮が起こり、分子内及び分子間相互作用が強くなる。これらは一般的な溶解時間では不可逆な構造変化と考えられる。分子内及び分子間相互作用が適度に強まることで、流動場における変形の小さい高分子が得られる。
しかしながら得られる高分子は微細であり、その構造又は特性により直接特定することは不可能であるか、又はおおよそ実際的ではない。即ち、不可能・非実際的事情を有する。
又、傾き値が0.30より小さいと分子内及び分子間相互作用が過剰に導入されており、高分子の柔軟性が失われ、フロック形成が阻害され、歩留まり性能が低下する傾向にあり好ましくはない。一方で0.50よりも大きいと分子内及び分子間相互作用が少なすぎ、強いせん断に弱い構造となり、歩留まり性能が低下する傾向にあり好ましくはない。
本発明における水溶性高分子は、歩留向上剤として性能を発揮するには一定の分子量が必要である。分子量の指標として固有粘度がある。本発明における水溶性高分子の25℃で測定した1規定食塩水溶液中の固有粘度10~30dL/gが好ましく、11~25dL/gが更に好ましい。固有粘度は、柴山科学機械製作所製自動粘度測定装置SS-120-L1型等の一般的な装置を使用して測定する。
本発明における水溶性高分子は、抄紙前の製紙原料に添加される。通常、製紙工程において上流からパルプ乾燥固形分濃度が2.0質量%以上で移送されてきた製紙原料が抄紙機の直前では白水や清水等によりパルプ乾燥固形分濃度が2.0質量%より低い製紙原料に希釈されている。一般的には0.5~1.5質量%に希釈されており、これらはインレット原料やヘッドボックス原料と呼ばれており、これら原料(以下、インレット原料とする。)に対して歩留向上剤が添加され抄紙される。本発明における歩留向上剤もインレット原料に適用する。
本発明における水溶性高分子の製紙工程における添加場所は、せん断工程であるファンポンプ前後やスクリーン入口、出口が適用される。ファンポンプ前後やスクリーン入口が好ましい。
製紙会社の抄紙マシンでは、1000m/分以上の高速、中には1500m/分を超える場合もある。抄紙速度が速くなると製紙原料に掛かるせん断力が強くなるため、歩留向上剤が添加され凝集、形成したフロックが壊れやすくなる。特に1000m/分以上の高速においてその傾向が大きい。又、歩留向上剤の添加場所がファンポンプ前後や、スクリーン入口ではファンポンプやスクリーンを通過する際に製紙原料にせん断が掛かかることや、抄紙マシンからの距離が離れていることから形成フロックが壊れる傾向にある。そのため高いシェアにおいてもフロックを保持する歩留向上剤が求められており、本発明の油中水型エマルジョンからなる歩留向上剤は高シェアにおいてより効果を発揮する。
本発明における水溶性高分子を使用する紙の種類としては、新聞用紙、上質印刷用紙、中質印刷用紙、グラビア印刷用紙、PPC用紙、塗工原紙、微塗工紙、包装用紙、ライナーや中芯原紙の板紙等が挙げられる。
本発明における水溶性高分子は、水で0.01~1.0質量%に希釈溶解して使用する。溶解する水は、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水等が使用できる。これらが混合されていても差し支えない。希釈溶解液を更に二次希釈、三次希釈しても差し支えない。
水溶性高分子の添加率は、紙料固形分濃度に対して10~1000ppm(ポリマー純分)の範囲である。
本発明における水溶性高分子は、紙力剤、サイズ剤、凝結剤等の製紙用薬品と併用することができる。又、その他の歩留向上剤と併用しても差し支えない。
以下に本発明における歩留向上剤について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1-試料1~4、6、7の製造)
攪拌機、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のナフテン系オイル118.75gにソルビタンモノオレート3.75g及びポリオキシエチレンモノオレート 3.75gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)71.04g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)236.34g、ギ酸ソーダ0.088g(対単量体0.05質量%)、硫酸マグネシウム(RMと略記)20g(対液量4質量%)、純水を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーで乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=15/85(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体混合物水溶液の温度を24~28℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、アゾ系開始剤2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル(富士フィルム和光純薬V-70)0.035g(対単量体0.02質量%)を加え、重合反応を開始させた。27℃で4時間重合させ反応を完結させ、全量500gの油中水型エマルジョンが得られた。
得られた油中水型エマルジョンを減圧対応のフラスコに移し、3.5kPaに減圧した。60℃の水浴で加温を行うことで水分濃縮を行い、ポリマー濃度が45質量%になるまで濃縮を行なった。これを試料1とし、組成、物性を表1に示す。又、単量体組成、添加塩、連鎖移動剤量を変更した他は試料1と同様な重合条件で反応した。これらを試料2~4、6,7とし、組成、物性を表1に示す。
(実施例1-試料5の製造)
試料1と同様にして単量体組成がDMQ/AAM=15/85(モル%)、単量体濃度36質量%のエマルジョン単量体混合物水溶液を全量500g調整した。得られたエマルジョン単量体混合物水溶液の温度を30~32℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、3.5kPaに減圧を行い、レドックス系開始剤の酸化剤t-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)0.007g(対単量体0.004質量%)を加えた。還元剤亜硫酸水素ナトリウム(SHS) 0.011 g(対単量体0.006質量%)を35℃で1時間逐次添加を行うことでポリマー濃度が40質量%になる様に減圧濃縮重合させ反応を完結させ、水分濃縮された油中水型エマルジョンが得られた。これを試料5とし、組成、物性を表1に示す。
(比較例1-試料8、9、10、12、13の製造)
試料1と同様に、攪拌機、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のナフテン系オイル118.75gにソルビタンモノオレート3.75g及びポリオキシエチレンモノオレート 3.75gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)71.04g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)236.34g、ギ酸ソーダ0.18g(対単量体0.1質量%)、硫酸アンモニウム(RAと略記)20g(対液量4質量%)、純水を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーで乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=15/85(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体混合物水溶液の温度を24~28℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、アゾ系開始剤2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2、4-ジメチルバレロニトリル(富士フィルム和光純薬V-70)0.035g(対単量体0.02質量%)を加え、重合反応を開始させた。27℃で4時間重合させ反応を完結させ、全量500gの油中水型エマルジョンが得られた。これを試料8とし、組成、物性を表1に示す。
又、単量体組成、ポリマー濃度(製品濃度)、添加塩、連鎖移動剤量を変更した他は試料8と同様な重合条件で反応した。これらを試料9、10、12、13とした。試料12については、試料1の製造と同様にして水分濃縮を行なった。これらの組成、物性を表1に示す。
(比較例1-試料11、14の製造)
試料1と同様に、攪拌機、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに沸点190℃ないし230℃のナフテン系オイル128.75gにソルビタンモノオレート3.75g及びポリオキシエチレンモノオレート 3.75gを仕込み溶解させた。別に80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMQと略記)101.31g、50質量%アクリルアミド(AAMと略記)237.91g、ギ酸ソーダ0.2g(対単量体0.1質量%)、純水を各々採取し添加した。油と水溶液を混合し、ホモジナイザーで乳化した。この時の単量体組成は、DMQ/AAM=20/80(モル%)である。
得られたエマルジョン単量体混合物水溶液の温度を45~48℃に保ち、窒素置換を30分行なった後、アゾ系開始剤ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート(富士フィルム和光純薬V-601)0.08g(対単量体0.04質量%)、過酸化物系開始剤ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)0.08g(対単量体0.04質量%)を加え、重合反応を開始させた。50℃で4時間重合させ反応を完結させ、全量500gの油中水型エマルジョンが得られた。これを試料11とし、組成、物性を表1に示す。又、単量体組成、ポリマー濃度(製品濃度)、添加塩、連鎖移動剤量を変更した他は試料11と同様な重合条件で反応した。これを試料14とし、組成、物性を表1に示す。
(表1)
Figure 2024062553000004
単量体;DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、AAM:アクリルアミド
無機塩;添加率(質量%):対単量体混合物水溶液液量
RM:硫酸マグネシウム、RA:硫酸アンモニウム、
SC:塩化ナトリウム
重合開始剤、連鎖移動剤;添加率(ppm):対単量体
固有粘度;水溶性高分子の25℃において測定した1規定食塩水溶液中の固有粘度。
(実施試験例1)
(歩留率測定試験)
叩解度347mLに調製したLBKPを清水希釈後、軽質炭酸カルシウムを添加、pH調整し、調整紙料として試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(多重織りワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度8416ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を1981ppm対紙料固形分濃度、pH9.2、電気伝導度18.4mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度512NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-11.0meq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、硫酸バンド1質量%添加、攪拌回転数800rpmで20秒攪拌した後、表1の試料2の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して400ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1500rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。又、表1の実施例1の他の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表2に示す。
ブリット式ダイナミックジャーテスターの設定攪拌回転数1500rpmは、製紙会社の抄紙マシンや抄紙条件によって様々であるが、少なくとも抄紙速度1000m/分以上の高速抄紙のせん断力に匹敵する攪拌回転数である。
(比較試験例1)実施試験例1と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表2に示す。
(表2)
Figure 2024062553000005
当試料はカチオン性単量体の含有量が15モル%の方が20モル%よりも有効な紙料であり、同モル組成同士の比較では実施例の方が高い歩留率を示した。
(実施試験例2)
(歩留率測定試験)
叩解度346mLに調製したLBKPを清水希釈後、軽質炭酸カルシウムを添加、pH調整し、調整紙料として試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(200メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度6116ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を2772ppm対紙料固形分濃度、pH9.3、電気伝導度18.1mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度96NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-6μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、硫酸バンドを1質量%添加(対紙料固形分)、攪拌回転数800rpmで10秒攪拌した後、カチオン化澱粉を0.4質量%添加、表1の試料2の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して200ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数800rpmで10秒攪拌後(スクリーン出口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表3に示す。
(比較試験例2)実施試験例2と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表3に示す。
(表3)
Figure 2024062553000006
(実施試験例3)
(歩留率測定試験)
新聞用紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(200メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度13052ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を4978ppm対紙料固形分濃度、pH7.7、電気伝導度95.2mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度29NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量30.6μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、表1の試料1の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して170ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1000rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表4に示す。
(比較試験例3)実施試験例3と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表4に示す。
(表4)
Figure 2024062553000007
(実施試験例4)
(歩留率測定試験)
上質紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(多重織りワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度3933ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を306ppm対紙料固形分濃度、pH7.9、電気伝導度40.7mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度7NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-9.0μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、表1の試料3の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して100ppmあるいは150ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1000rpmで20秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、市販アニオン性歩留向上剤試料A[アクリルアミド/アクリル酸(70/30モル%)共重合体、塩水液中分散重合液、固有粘度19.2dL/g]を100ppm添加、1000rpmで10秒攪拌後(スクリーン出口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表5に示す。
(比較試験例4)実施試験例4と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表5に示す。
(表5)
Figure 2024062553000008
(実施試験例5)
(歩留率測定試験)
塗工原紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(30メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度8493ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を3836ppm対紙料固形分濃度、pH8.0、電気伝導度78.1mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度57NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量65.1μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、表1の試料4の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して150ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1000rpmで20秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、市販アニオン性歩留向上剤試料A[アクリルアミド/アクリル酸(70/30モル%)共重合体、塩水液中分散重合液、固有粘度19.2dL/g]を110ppm添加、1000rpmで10秒攪拌後(スクリーン出口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表6に示す。
(比較試験例5)実施試験例5と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表6に示す。
(表6)
Figure 2024062553000009
(実施試験例6)
(歩留率測定試験)
微塗工紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(200メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度5890ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を922ppm対紙料固形分濃度、pH7.9、電気伝導度46.1mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度4NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-4.0μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、表1の試料4の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して80ppmあるいは240ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1000rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表7に示す。
(比較試験例6)実施試験例6と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表7に示す。
(表7)
Figure 2024062553000010
(実施試験例7)
(歩留率測定試験)
微塗工紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(200メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度6448ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を2937ppm対紙料固形分濃度、pH7.5、電気伝導度66.6mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度 5NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-7.0μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、市販カチオン化澱粉を0.25質量%添加(対紙料固形分)、攪拌回転数1500rpmで20秒攪拌した後、表1の試料2の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して250ppmあるいは450ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1500rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。又、表1の実施例1の他の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表8に示す。
(比較試験例7)実施試験例7と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表8に示す。
(表8)
Figure 2024062553000011
(実施試験例8)
(歩留率測定試験)
微塗工紙抄造インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(200メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度6315ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を2894ppm対紙料固形分濃度、pH8.3、電気伝導度32.8mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度20NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量-6.0μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、市販カチオン澱粉を1.0質量%添加(対紙料固形分)、攪拌回転数1500rpmで20秒攪拌した後、表1の試料3の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して250ppmあるいは350ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1500rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表9に示す。
(比較試験例8)実施試験例8と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表9に示す。
(表9)
Figure 2024062553000012
(実施試験例9)
(歩留率測定試験)
新聞用紙抄造調整インレット原料を試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(30メッシュワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度9836ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を2503ppm対紙料固形分濃度、pH7.7、電気伝導度74.5mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度24NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量9μmeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、表1の試料3の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して300ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数1200rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表10に示す。
(比較試験例9)実施試験例9と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表10に示す。
(表10)
Figure 2024062553000013
(実施試験例10)
(歩留率測定試験)
叩解度300mLに調製した段ボール古紙を清水希釈後、軽質炭酸カルシウムを添加、pH調整し、調整紙料として試験に用いた。試験では、総歩留率及び灰分歩留率の測定を目的としてブリット式ダイナミックジャーテスターを用いた(多重織りワイヤー使用)。調整紙料の物性値は、固形分濃度4980ppm、軽質炭酸カルシウム等Ash分を582ppm対紙料固形分濃度、pH7.6、電気伝導度21.5mS/mであった。調整紙料のWhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度57NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量43.8μeq/L(ミューテック社製PCD-05型を使用)であった。
調整紙料を所定量採取し、硫酸バンドを4質量%添加(対紙料固形分)、攪拌回転数600rpmで60秒攪拌した後、表1の試料5の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して200ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数600rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、濾液を一定時間採取しADVANTEC No.2濾紙にて濾過後、SSを測定、総歩留率を求めた。その濾紙を525℃にて2時間灰化し、灰分歩留率を測定した。これらの結果を表11に示す。
(比較試験例10)実施試験例10と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表11に示す。
(表11)
Figure 2024062553000014
本発明における歩留向上剤試料を添加した実施試験例では、本発明における範囲外の歩留向上剤試料を添加した比較試験例に比べて高い歩留効果を示した。各種抄造原料、抄造条件に対して本発明における油中水型エマルジョンを水分濃縮して得られた水溶性高分子の油中水型エマルジョンが歩留向上剤として有効であることが確認できた。特にブリット式ダイナミックジャーテスターの攪拌回転数1500rpmに設定した場合やスクリーン入口添加想定でも比較試験例に対して高い歩留効果を示した。攪拌回転数1500rpmは、製紙会社の抄紙マシンや抄紙条件によって様々であるが、少なくとも抄紙速度1000m/分以上の高速抄紙のせん断力に匹敵する攪拌回転数であり、高速抄紙や強いせん断力が掛かる抄造条件に有効であることが判明した。
(実施試験例11)
(濾水性能評価試験)
動的濾水性試験機DDA(Dynamic Drainage Analyzer、PulpEye社)による濾水性能評価を実施した。段ボールを離解、叩解度290mLに調製した紙料を紙料固形分1質量%になる様に清水希釈後、pH調整を行い調製インレット紙料として試験に用いた。
調製インレット紙料の物性値は、pH8.1、電気伝導度18.5mS/mであった。調製インレット紙料のSZP-11.8mV、WhatmanNo.41濾紙濾過液の濁度81NTU(HACH社製2100P型を使用)、カチオン要求量22.0μeq/L(BTG社製PCD-05型を使用)であった。
調製インレット紙料の所定量を底部にワイヤーの付いたDDA攪拌槽に投入した。攪拌回転数600rpmで5秒攪拌後、硫酸バンド2質量%添加、600rpmで20秒攪拌、市販の両性澱粉2質量%添加(対紙料固形分)、600rpmで40秒攪拌、一液目として表1の試料1の0.1質量%水溶液を紙料固形分に対して500ppm添加(ポリマー純分)、攪拌回転数600rpmで30秒攪拌後(スクリーン入口添加想定)、300mBarの減圧下で紙料を吸引し、ワイヤー上にシートを形成した時点の濾水時間及びシート含水率を測定した。又、表1の実施例1の他の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表12に示す。
(比較試験例11)実施試験例11と同じ製紙原料を用い、表1の比較例1の試料を用いて同様な試験を実施した。これらの結果を表12に示す。
(表12)
Figure 2024062553000015
本発明における歩留向上剤試料を添加した実施試験例11では比較試験例11に比べて濾水時間が短く、シート含水率が低いことが分かり濾水性、搾水性が優れることが分かった。このことから濾水、搾水性を低下させることなく歩留効果を上げることができることを意味する。
(高分子水溶液の回転数と粘度の一次関数グラフ)水溶性高分子が有する傾き値について具体的な求め方を示したものである。表1の試料1の0.05質量%水溶液をB型粘度計にて回転数2.5、5、10、20、50、100rpmで粘度(mPa・s、25℃)を測定し、それぞれの回転数で、粘度93、69、53、40、29、24mPa・sが求められた。回転数をX、粘度をYとし、それぞれの自然対数をln(X)、ln(Y)とする一次関数グラフを作成した。一次関数グラフから傾き値0.37(≒0.3701)(絶対値)が得られ、本発明における水溶性高分子の傾き値の範囲を有する。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体5~50モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0~30モル%、非イオン性単量体50~95モル%及び無機塩を単量体混合物水溶液の液量に対し0.5~15質量%含有する単量体混合物水溶液を、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合して製造した水溶性高分子の油中水型エマルジョンであり、該油中水型エマルジョンが水分濃縮して得られた水溶性高分子の油中水型エマルジョンからなる歩留向上剤。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、Rは炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X は陰イオンをそれぞれ表わす。
    Figure 2024062553000017
    一般式(2)
    は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO 、CSO 、CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素またはCOO 、YあるいはYは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記水分濃縮して得られた水溶性高分子の25℃で測定した1規定食塩水溶液中の固有粘度が10~30dL/gであることを特徴とする請求項1に記載の歩留向上剤。
  3. 前記水分濃縮して得られた水溶性高分子が、下記方法(1)から算出される傾き値(絶対値)0.30~0.50の範囲を有することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の歩留向上剤。
    方法(1);水溶性高分子0.05質量%水溶液をB型粘度計にて回転数2.5、5、10、20、50、100rpmで粘度(mPa・s、25℃)を測定、回転数ln(X)をX軸、粘度ln(Y)をY軸とする一次関数グラフを作成し、得られる傾き値(絶対値)。尚、Xは回転数、Yは粘度、ln(X)、ln(Y)は、それぞれの自然対数を表す。
  4. 前記請求項1あるいは2に記載の歩留向上剤を抄紙前の製紙原料に添加し、抄紙することを特徴とする製紙原料の歩留向上方法。






















JP2022170456A 2022-10-25 2022-10-25 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法 Pending JP2024062553A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022170456A JP2024062553A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022170456A JP2024062553A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024062553A true JP2024062553A (ja) 2024-05-10

Family

ID=90971142

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022170456A Pending JP2024062553A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024062553A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3204554B1 (en) Method of increasing paper bulk strength by using a diallylamine acryamide copolymer in a size press formulation containing starch
JP6354417B2 (ja) 紙力増強剤、それにより得られる紙及び紙の製造方法
JP4901756B2 (ja) 陽イオン性ポリマー分散液、前記分散液の調製方法およびその使用
JP2010159387A (ja) 粉末状イオン性水溶性高分子およびその用途
EP3204553A1 (en) Method of increasing paper strength
JP2007023146A (ja) イオン性微粒子およびその用途
JPH02222404A (ja) N―ビニルアミドの加水分解されたポリマーの安定な油中水型エマルジョンの製法、このエマルジョン並びにこのエマルジョンからなる、紙及び紙製品を製造するための脱水剤、保留剤及び凝集剤
JP4942415B2 (ja) 抄紙方法
JP5382708B2 (ja) ピッチ低減方法
JP3712190B2 (ja) 紙の製造方法
JP2008080256A (ja) 安定なエマルジョン組成物および汚泥脱水方法
JP5995534B2 (ja) 凝集処理剤および排水処理方法
JP6308585B2 (ja) 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法
JP2011099076A (ja) 製紙用薬剤及びそれを用いた抄紙方法
JP2024062553A (ja) 歩留向上剤及びそれを用いた製紙原料の歩留向上方法
JP2008025054A (ja) 抄紙用薬剤
JP6179982B2 (ja) アニオン性水溶性重合体によるピッチ低減方法
JP2006182816A (ja) 架橋型水溶性重合体分散液及びそれを用いた抄紙方法
JP5709257B2 (ja) 汚泥処理剤および汚泥脱水処理方法
JP6362133B2 (ja) 水溶性重合体からなる分散液を用いた抄紙方法
JP5506259B2 (ja) 搾水性向上方法
JP7300082B2 (ja) アニオン性歩留向上剤及びそれを用いた抄紙方法
JP5614832B2 (ja) 中性新聞用紙の抄紙方法
WO2024089994A1 (ja) 油中水滴型エマルジョン紙力増強剤
JP2022028126A (ja) アニオン性歩留向上剤及びそれを用いた歩留向上方法