JP2024061024A - エアーバッグ用基布 - Google Patents

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正樹 茂木
久治 山口
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Abstract

【課題】エアーバッグを製造した際の内圧保持性に優れ、且つ、容易にリサイクル可能なエアーバッグ用基布を提供すること。【解決手段】内袋と外袋とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布であって、前記内袋が、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体であり、前記外袋は織布で形成されており、前記内袋と外袋との間に空隙を有するものであることを特徴とするエアーバッグ用基布。【選択図】図1

Description

本発明は、エアーバッグ用基布に関する。
従来、繊維からなる基布の表面にシリコーンゴム組成物をコーティングし、ゴム硬化被膜を形成したエアーバッグ用基布が提案されている。シリコーンコーティング基布から製造したカーテンエアーバッグはエアーバッグ膨張時にインフレーターガスの洩れを抑制することができる。そのため、内圧保持性に優れており自動車等のエアーバッグとして好適である。
エアーバッグ用基布の製造方法としては、例えば特許文献1に、内圧保持性に優れるシリコーンコーティングエアーバッグ用基布を製造する方法が開示されている。この方法では、まず、分子鎖両末端にヒドロシリル基を持つ架橋剤と側鎖にヒドロシリル基を持つ架橋剤とを組み合わせ、接着助剤としてシランカップリング剤を配合した付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製する。次いで、その組成物を基布にコーティングし、加熱硬化することで、シリコーンコーティングエアーバッグ用基布を製造する。
この方法で製造したエアーバッグ用基布は、基布とシリコーンゴムコーティング層とが前記接着助剤により化学的に強固に結合している。そのため、基布とシリコーンゴムコーティング層とを分離するのは困難で、基布及びシリコーンゴムのリサイクルが難しいという問題がある。
この他にも、ポリアミド、変性ポリエチレンを積層させた多層フィルムを共重合ポリアミド、アンチブロッキング剤、結晶核剤を含む接着層で基布に接着させることで、動摩擦係数が低く、巻きしわの起こりにくいエアーバッグ用基布の製造方法が開示されている(特許文献2)。
この方法で製造されたエアーバッグ用基布は、ポリアミド、変性ポリエチレン、共重合ポリアミド、基布と様々な種類の樹脂を積層させ、接着させる必要がある。この積層体から種類別に樹脂を回収することは容易ではない。
この他に、織布製のアウタバッグと織布製のインナバッグとからなる2重袋構造にすることで、内圧をコントロールし、エアーバッグ展開時に、運転者を安定して受け止めることができるエアーバッグ用基布が開示されている(特許文献3)。
この方法で製造されたエアーバッグ用基布は、フロントエアーバッグであれば十分な気密性を保てるが、数秒~数十秒間膨張することが必要なカーテンエアーバッグやサイドエアーバッグには不適である。
更に、熱可塑性樹脂からなる織布製のアウタバッグと熱可塑性樹脂製のインナバッグとの2重袋構造からなり、インナバッグにベントホールを備えることで、内圧のコントロールが可能なエアーバッグ用基布が開示されている(特許文献4)。
特許文献4に記載の方法で製造されたエアーバッグ用基布は、折り畳んで車内に収納する際に、熱可塑性樹脂同士が密着するため、高温の車内ではブロッキング現象を起こし、エアーバッグの展開を妨げる可能性がある。また、実際にインフレータによりエアーバッグが展開する際には火花が飛び散ることが多く、熱可塑性樹脂製の内袋に火花によって穴が空かないような工夫が必要となる。
特表2013-531695号公報 特開2021-123296号公報 特開2018-122798号公報 特開平9-220995号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、エアーバッグを製造した際の内圧保持性に優れ、且つ、容易にリサイクル可能なエアーバッグ用基布を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明では、内袋と外袋とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布であって、
前記内袋が、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体であり、
前記外袋は織布で形成されており、
前記内袋と外袋との間に空隙を有するものであることを特徴とするエアーバッグ用基布を提供する。
このようなエアーバッグ用基布であれば、気密性が高く、エアーバッグ膨張時にインフレーターガスの洩れを抑制できるため内圧保持性に優れる。また、このようなエアーバッグ用基布であれば、エアーバッグ展開後でも樹脂の種別毎に分別及びリサイクルが容易である。
前記内袋の面積が、外袋の面積に対して50~99%であることが好ましい。
内袋の大きさが50%以上であればエアーバッグ展開時に十分な大きさまで膨張でき、車両衝突時に人体への衝撃緩和の役割を果たすことができる。また、面積が99%以下であれば、内袋を外袋の中に容易に入れることができる。
前記内袋の厚さが20~600μmであることが好ましい。
内袋の厚さが20μm以上であれば十分な内圧保持性を発現し、600μm以下であればエアーバッグ用基布を折り畳んで車内に収納する際に、体積が大きくならず、車内の居住空間を圧迫することもない。
前記熱硬化性樹脂がシリコーンゴムであって、JIS K 6251:2017記載の方法で測定した切断時伸びが300%以上であることが好ましい。
切断時伸びが300%以上であれば十分な内圧保持性を発現することができる。
前記シリコーンゴムが、
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、重合度が100~10,000のオルガノポリシロキサンであって、かつ前記アルケニル基量が、0.01~20mol%であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部と、
(B)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ:5~100質量部と、
(C)硬化剤:有効量と
を含むシリコーン樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
このようなシリコーンゴムからなる内袋は、優れた長期貯蔵安定性を示すことができる。
前記(C)成分が、下記(C-1)及び(C-2):
(C-1)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有する25℃で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるヒドロシリル基が、(A)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量と、
(C-2)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)成分の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppmとなる量と
を含むものであってもよい。
(C)成分は、例えば、上記(C-1)成分及び(C-2)成分を含む付加反応硬化剤であり得る。
或いは、前記(C)成分が、
(C-3)有機過酸化物:0.01~10質量部
であってもよい。
(C)成分は、上記(C-3)成分のような過酸化物硬化剤であってもよい。
前記外袋の織布が、ナイロン66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の糸で織られたものであることが好ましく、前記糸の繊度が50~1,000デニールであることが好ましい。
外袋となる織布としては、公知の物を使用することができるが、例えば、ナイロン66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の糸で織られたものとすることができる。また、糸の繊度が50デニール以上であれば十分な強度が得られ、1,000デニール以下であれば十分な柔軟性を有し、折り畳み性も良好である。
以上のように、本発明のエアーバッグ用基布であれば、エアーバッグ膨張時にインフレーターガスの洩れを抑制できるため内圧保持性に優れ、且つ、リサイクルが容易である。
本発明のエアーバッグ用基布の一例を示す概略図である。
上述のように、エアーバッグを製造した際の内圧保持性に優れ、且つ、容易にリサイクル可能なエアーバッグ用基布の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、エアーバッグ用基布を内袋と外袋とからなる2重袋構造とし、内袋を、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体とし、外袋を織布で形成し、内袋と外袋との間に空隙を設けたエアーバック用基布であれば、エアーバッグを製造した際の内圧保持性に優れ、リサイクルが容易なエアーバッグを製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、内袋と外袋とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布であって、
前記内袋が、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体であり、
前記外袋は織布で形成されており、
前記内袋と外袋との間に空隙を有するものであることを特徴とするエアーバッグ用基布である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に、本発明のエアーバッグ用基布の一例を概略的に示す。
図1に示すエアーバック用基布1は、内袋2と外袋3とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布である。
内袋2は、熱硬化性樹脂からなる袋状の成型体である。内袋2は、1つ以上の開口部4を有する。外袋3は織布で形成されている。また、エアーバック用基布1は、内袋2と外袋3との間に、空隙5を有する。
本発明において、袋状の成型体とは、袋状の一体成型体であり、2枚のフィルムの外周縁を貼り合わせ又は接着させて袋状としたものや、1枚のフィルムを折り返して向き合った外周縁を張り合わせ又は接着させて袋状としたものは包含しない。
また、図1では、1つの開口部4のみを示しているが、本発明のエアーバック用基布1は、複数の開口部4を有することもできる。開口部4は、インフレータに接続されるものである。エアーバッグ展開時、インフレータで生じたインフレーターガスが開口部4を通して内袋2内に導入され、内袋2を膨らませることができる。
このようなエアーバッグ用基布1であれば、エアーバッグ膨張時にインフレーターガスの洩れを抑制できるため内圧保持性に優れる。特に、本発明のエアーバック用基布1は、カーテンエアーバッグやサイドエアーバッグなど、内圧を維持することが困難な形状であっても内圧保持性に優れたものとなることができる。
また、このようなエアーバッグ用基布1であれば、エアーバッグ展開後でも、内袋2と外袋3とを樹脂の種別毎に容易に分別することができ、リサイクルも容易である。
更に、本発明のエアーバック用基布1では、内袋2が熱硬化性樹脂からなり、外袋3が織布で形成されているので、車内が高温になってもブロッキング現象が起こるのを防ぐことができる。よって、本発明のエアーバック用基布1を用いて作製したエアーバッグは、インフレーターガスの導入により、スムースに展開することができる。そして、内袋2は熱硬化性樹脂からなるので、火花により穴が空く心配がない。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。なお、本明細書中において、重合度は、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度(重量平均分子量)として求めた値である。
[内袋]
<内袋に使用する熱硬化性樹脂>
本発明のエアーバック用基布の内袋に使用するのは、熱硬化性樹脂であり、特にJIS K 6251:2017に記載の方法で測定した切断時伸びが300%以上であるシリコーンゴムであることが好ましい。切断時伸びが300%以上であれば十分な内圧保持性を発現することができる。
本発明に使用する熱硬化性樹脂は、以下の(A)~(C)成分を含むシリコーン樹脂組成物の硬化物であるシリコーンゴムが好ましい。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、重合度が100~10,000のオルガノポリシロキサンであって、かつ、前記アルケニル基量が、0.01~20mol%であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ:5~100質量部、
(C)硬化剤:有効量。
以下、各成分について詳細に説明する。
[(A)成分]
本発明において、(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、重合度が100~10,000のオルガノポリシロキサンであって、かつ、前記アルケニル基量が、0.01~20mol%であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンである。
上記アルケニル基は、炭素数2~12、好ましくは2~8のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられ、ビニル基、アリル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
上記(A)成分におけるアルケニル基以外の置換基としては、炭素数1~12、好ましくは1~8のアルキル基、炭素数6~12、好ましくは6~8のアリール基、炭素数7~12、好ましくは7~8のアラルキル基から選ばれる基が挙げられる。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。なお、トリフルオロプロピル基のように、これらの炭化水素基の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの中では、メチル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
また、(A)成分中のアルケニル基の量(以下、アルケニル基量とも言う)としては、(A)成分のオルガノポリシロキサンの全置換基の数に対して、0.01~20モル%、特に0.02~10モル%がアルケニル基であることが好ましい。なお、このアルケニル基は、分子鎖末端でケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
なお、後述する(C)硬化剤として付加反応硬化剤(C-1)及び(C-2)を用いる場合は、(A)成分は1分子中に2個以上のアルケニル基を有することが必須となる。
また、(A)成分におけるアルケニル基以外の全置換基中好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくはアルケニル基を除く全ての置換基が、アルキル基、特にはメチル基であることが好ましい。
(A)成分であるオルガノポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、又は一部分岐構造を有する直鎖状であることが好ましい。具体的には、該オルガノポリシロキサンの主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2、Rは、先に列挙した、(A)成分におけるアルケニル基以外の置換基と同じ、以下同様)の繰り返し構造が、ジメチルシロキサン単位のみの繰り返しからなるもの、又はこの主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部として、フェニル基、ビニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等を置換基として有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位を導入したもの等が好適である。
また、分子鎖両末端は、例えば、トリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2)やヒドロキシジメチルシロキシ基等のヒドロキシジオルガノシロキシ基(R (HO)SiO1/2)などで封鎖されていることが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上述したように、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2)又はヒドロキシジオルガノシロキシ基(R (HO)SiO1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状のものを好ましく挙げることができる。特に好ましいものとしては、分子中の置換基(即ち、ケイ素原子に結合する1価炭化水素基)の種類として、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を(共)加水分解縮合することにより、或いは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
なお、上記オルガノポリシロキサンの重合度は好ましくは100以上、より好ましくは150~100,000、特に好ましくは200~10,000である。重合度が100以上だと得られるシリコーンゴムの強度が十分となり、100,000以下だと粘度が高くなり過ぎず作業性も良好である。
(A)成分は、1種を単独で用いても、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種以上の混合物であってもよい。
[(B)成分]
(B)成分の補強性シリカは、機械的強度の優れたシリコーン樹脂組成物を得るために添加される充填剤であり、この目的のためにはBET吸着法で測定した比表面積が50m/g以上であることが好ましく、より好ましくは100~450m/g、特に好ましくは100~300m/gである。比表面積が50m/g以上であれば、十分な強度のシリコーンゴムが得られる。
このような補強性シリカとしては、例えば、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ)、沈降シリカ(湿式シリカ)等が挙げられ、またこれらの表面をメチルクロロシラン等のオルガノシラン化合物やヘキサメチルジシラザン等のシラザン化合物などで疎水化処理したものも好適に用いられるが、特に煙霧質シリカが好ましい。
(B)成分は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
(B)成分の補強性シリカの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して5~100質量部が好ましく、10~80質量部がより好ましく、15~60質量部が特に好ましい。(B)成分の配合量が5質量部以上なら十分な補強効果が得られ、100質量部以下であれば得られる組成物の粘度が高くなり過ぎず作業性も良好である。
なお、本発明においては、必要に応じて、(B)成分の補強性シリカを前記(A)成分のオルガノポリシロキサン中に均一に分散させることを目的として、分散剤(ウェッター)を任意成分として配合することができる。このウェッターとしては、例えば、ジフェニルシランジオール等のシラノール基(即ち、ケイ素原子結合水酸基)含有シラン化合物や、分子鎖両末端シラノール基封鎖の直鎖状ジメチルシロキサンオリゴマー(例えば、重合度又は分子中のケイ素原子数が2~30個、特には3~20個程度の低重合度ポリマー)等のシラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマー、シラザンなどから選ばれる1種又は2種以上が用いられる。
ウェッターの配合量としては、(A)成分100質量部に対し、0~25質量部とすることが好ましく、より好ましくは3~20質量部の範囲の配合量とすることができる。
[(C)成分]
(C)成分の硬化剤は、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと反応して架橋構造を形成し、シリコーン樹脂組成物を硬化物であるシリコーンゴムとするためのものである。
上記(C)成分は、例えば、(C-1)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有する25℃で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(C-2)ヒドロシリル化反応用触媒との組み合わせである付加反応硬化剤、あるいは、(C-3)有機過酸化物である過酸化物硬化剤から選ばれるものである。以下に詳述する。
[(C-1)成分]
(C-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主に(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
(C-1)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが挙げられるが、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を有する必要があり、通常2~300個、好ましくは3~200個、より好ましくは4~100個のヒドロシリル基を有することが望ましく、25℃で液状のものが使用される。このようなヒドロシリル基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
Figure 2024061024000002
式(1)中、Rは独立して炭素数1~10の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。なお、Rとしてアルケニル基などの脂肪族不飽和結合を有するものは含まない。また、aは0.7~2.1、bは0.001~1.0で、かつa+bが0.8~3.0を満足する正数であり、好ましくは、aは1.0~2.0、bは0.01~1.0で、かつa+bが1.5~2.5を満足する正数である。
このような(C-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:RSiO3/2で示されるシロキサン単位若しくは式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。上記式中のRはアルケニル基以外の1価炭化水素基であり、前記Rと同様の基が例示される。
(C-1)成分の配合量は、(A)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、(C-1)成分中に含まれるヒドロシリル基が1~10モル、好ましくは1.2~9モル、より好ましくは1.5~8モルとなる量である。(A)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モルに対して、(C-1)成分中に含まれるヒドロシリル基が1モル以上であれば、組成物が十分に硬化することができ、10モル以下であれば、得られるシリコーンゴム硬化物の耐熱性が良好となる。
(C-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(C-2)成分]
(C-2)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、主に(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基と(C-1)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進するものである。このヒドロシリル化反応用触媒は、特に限定されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属;塩化白金酸;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸と、オレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられ、好ましくは白金族金属化合物である。
(C-2)成分の配合量は、触媒としての有効量であればよいが、(A)~(C-1)成分の合計量に対して、触媒金属元素の質量換算で、好ましくは1~500ppm、より好ましくは10~100ppmである。この範囲内であれば、硬化反応が速やかに進行し、硬化物の耐熱性が低下することもない。
(C-2)成分の付加反応触媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
[(C-3)成分]
(C-3)成分の有機過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、更に好ましくは0.1~3質量部である。配合量が0.01質量部以上であれば、十分に硬化が進行し、10質量部以下であれば、有機過酸化物の分解残渣によるシリコーンゴム硬化物の黄変も起こらない。
なお、(A)成分に、(C-1)及び(C-2)成分と(C-3)成分とを、それぞれ上記配合量の範囲内で組み合せて配合した、付加反応硬化と有機過酸化物硬化とを併用した共加硫型のシリコーン樹脂組成物とすることもできる。
[その他の成分]
本発明で用いることができるシリコーン樹脂組成物には、前記(A)~(C)成分以外にも、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
・反応制御剤
反応制御剤は、(C-2)成分のヒドロシリル化反応用触媒に対して硬化抑制効果を有する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。その具体例としては、トリフェニルホスフィンなどのリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどの窒素含有化合物;硫黄含有化合物;1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3-ブチン-1-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-トリデシン-3-オール等のアセチレンアルコール類等のアセチレン系化合物;1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンや1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有シロキサン;ハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸誘導体などが挙げられる。
反応制御剤による硬化抑制効果の度合いは、その反応制御剤の化学構造によって異なるため、反応制御剤の添加量は、使用する反応制御剤の各々について、最適な量に調整することが好ましい。最適な量の反応制御剤を添加することにより、組成物は室温での長期貯蔵安定性及び硬化性に優れたものとなる。
・非補強性充填剤
(B)成分のシリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ケイ藻土、タルク、カオリナイト、ガラス繊維等の充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダーなどが挙げられる。
・その他の成分
その他にも、例えば、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、1分子中に1個のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子もケイ素原子結合アルケニル基も他の官能性基も含有しない無官能性のオルガノポリシロキサン(いわゆるジメチルシリコーンオイル)、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤などを配合することができる。
<内袋作製用シリコーン樹脂組成物の調製>
上記(A)~(C)成分の他、必要に応じて配合されるその他の成分を攪拌機や二本ロールなどで均一に混合することにより、シリコーン樹脂組成物を調製することができる。
<内袋の製造方法>
内袋2の製造方法としては、例えば、金型成型、カレンダー成型、射出成型、注型成型、トランスファー成型、ディップ成型、コーティングによる成型等の公知の方法を利用することができるが、複数の熱硬化性樹脂シートを縫製したり、接着剤を使用したりして内袋構造を形成するのではなく、1つの一体物である成型体として製造する。具体的な製造方法としては、例えば未硬化の熱硬化性樹脂を金型の厚さの半分まで部出しし、その上に中子として離型性のフィルムなどを配置する。更にその上に熱硬化性樹脂を部出ししてから高温のプレス等で硬化させる。その後、開口部となる場所をカッター等で切り取り、そこから中子である離型性フィルムを取り除くことで、袋構造を有する熱硬化性樹脂製の内袋2を製造することができる。
上記内袋2の厚さ(膜厚)は20~600μmであることが好ましく、より好ましくは40~400μmであり、更に好ましくは60~300μmである。内袋の厚さが20μm以上であれば十分な内圧保持性を発現し、600μm以下であればエアーバッグ用基布を折り畳んで車内に収納する際に、体積が大きくならず、車内の居住空間を圧迫することもない。
<織布製の外袋>
本発明において、外袋3となる織布としては、公知のものを使用することができ、その具体例としては、ナイロン66、ナイロン6、アラミド繊維などの各種ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられるが、特にナイロン66又はPETであることが好ましい。
外袋3の織布を構成する糸の繊度は50~1,000デニールであることが好ましく、100~800デニールがより好ましく、150~500デニールであることが好ましい。糸の繊度が50デニール以上であれば十分な強度が得られ、1,000デニール以下であれば十分な柔軟性を有し、折り畳み性も良好である。
<内袋と外袋の面積比>
内袋2の面積は外袋3の面積に対して50~99%であることが好ましい。内袋2の大きさが外袋3に対して50%以上であれば、エアーバッグ展開時に十分な大きさまで膨張でき、車両衝突時に人体への衝撃緩和の役割を果たすことができる。また、内袋2の面積が外袋3に対して99%以下であれば、内袋2を外袋3の中に容易に入れることができる。
本発明における袋の面積とは、ガスをはらんでいない状態の袋を平坦な台に広げて置いた際に測定できる最大の面積とする。
<エアーバッグ用基布の製造方法>
製造した1つ以上の開口部4を有する袋状の熱硬化性樹脂の成型体を内袋2として、その外側に織布製であり1つ以上の開口部を有する外袋3を、開口部分を合わせながら取り付けることで、本発明のエアーバッグ用基布1を製造することができる。外袋3の取り付け方としては、外袋3の開口部から内袋2を折り畳みながら入れる方法や、2枚の平織の織物で内袋2を挟み、内袋2の形状に沿って周りを縫製することで外袋3を形成する方法等がある。このとき、内袋2と外袋3とから2重構造を形成する際に接着剤等は使用せず、内袋2と外袋3との間に空隙を持たせることで、エアーバッグ展開後でも内袋2と外袋3の分離が容易となる。
<エアーバッグ用基布のリサイクル>
本願の2重袋構造を持つエアーバッグ用基布1は内袋2と外袋3とを接着剤等で接着していないため、エアーバッグ展開後でも内袋2と外袋3との分離は容易である。両者を分離したいときは、外袋3の開口部から内袋2を引き出しても良いし、外袋3に切り込みを入れて内袋2を引き出しても良い。このように分離した織布と熱硬化性樹脂は他の材質を含まないため、然るべき方法で容易にリサイクルできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明について具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。また、各熱硬化性樹脂の切断時伸びは165℃/10分のプレスキュアによって作製した2mm厚のシートをJIS K 6251:2017記載の方法で測定した結果である。
[調製例1]
以下の成分を準備した。
・両末端がジメチルビニル単位で封鎖されたメチルビニルシロキサン単位とジメチルビニルシロキシ単位との共重合体であり、重合度が約6,000、ビニル基量が0.025mol%であるオルガノポリシロキサン生ゴム((A-1)成分)50質量部、
・両末端がジメチルビニル単位で封鎖されたメチルビニルシロキサン単位とジメチルビニルシロキシ単位との共重合体であり、重合度が約6,000、ビニル基量が0.15mol%であるオルガノポリシロキサン生ゴム((A-2)成分)50質量部、
・BET法比表面積が200m/gのヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)((B)成分)25質量部、
・ウェッターとして、両末端シラノール基を有し、重合度4、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン5質量部、
・ビニルトリメトキシシラン0.15質量部、
・ジメチルジメトキシシラン0.5質量部、及び
・ヘキサメチルジシラザン0.01質量部。
これらの成分を添加し、170℃で2時間、ニーダーで加熱混合して、ベースコンパウンドを調製した。
[調製例2]
調製例1で調製したベースコンパウンド100質量部に対し、硬化剤として2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン((C-3)成分)0.13質量部を二本ロールにて添加し、均一に混合して生ゴム状のシリコーン樹脂組成物A(切断時伸び500%)を得た。
[実施例1]
調製例2で調製したシリコーン樹脂組成物Aを厚さ300μmで部出しし、500mm×500mmで厚さ0.7mmの枠型にセットした。その上に、外袋と同じ形状で、外袋の内法よりも0.5mm小さい、厚さ125μmのPETフィルムを置き、更にその上に厚さ300μmで部出ししたシリコーン樹脂組成物Aを配置した。その後、165℃で10分間プレスキュアした。次に、金型から成型物を取り出し、内袋の開口部となる部分にカッターで穴を空け、中からPETフィルムを取り出した。
作製した内袋の厚さは300μmであり、面積は外袋の面積に対して99%であった。
次に作製した内袋を70mm幅の開口部を有するPET製(繊度:410デニール)の外袋に開口部から折り畳みながら挿入することで、実施例1のエアーバッグ用基布を作製した。
<内圧保持性試験方法>
実施例1で作製したエアーバッグ用基布を用いて、内圧保持性試験を行った。内圧保持性試験では、作製したエアーバッグ用基布をエアコンプレッサで内圧が20kPaになるように膨張させ、30秒後の残存圧力を株式会社ミロク精機製作所製の装置で測定した。結果を表1に示す。
<リサイクル性の試験方法>
上記の内圧保持性試験後のエアーバッグ用基布についてカッターを用いて熱硬化性樹脂であるシリコーンゴムからなる内袋と外袋とを分離できたものは「〇」、できなかったものは「×」と評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同じ方法で作製したエアーバッグ用基布を、エアコンプレッサで内圧が40kPaになるように膨張させ、30秒後の残存圧力を測定した結果とリサイクル性試験をした結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、部出しするシリコーン樹脂組成物Aの厚さを300μmから100μmに変更し、枠型の厚さを厚さ0.7mmから0.3mmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のエアーバッグ用基布を作製した。なお、作製した内袋の厚さは、100μmであり、内袋の面積は外袋の面積に対して99%であった。このエアーバッグ用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の外袋をPET製の織布からPA66製(繊度:210デニール)の織布に変更したこと以外は同様にしてエアーバッグ用基布を作製した(内袋の厚さ300μm、内袋の面積比99%)。このエアーバッグ用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、部出しした2枚のシリコーン樹脂組成物Aの間に挟むPETフィルムの大きさを、外袋の内法よりも0.5mm小さいものから20mm小さいものに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5のエアーバッグ用基布を作製した。なお、作製した内袋の厚さは300μmであり、内袋の面積は外袋の面積に対して65%であった。このエアーバッグ用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表1に示す。
[調製例3]
調製例1で調製したベースコンパウンド100質量部に、硬化剤として側鎖にヒドロシリル基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度38、式(1)においてR=メチル基、a=1.6、b=0.47、ヒドロシリル基が0.00725モル/g)((C-1)成分)0.9質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.04質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)((C-2)成分)0.05質量部、制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.02質量部を二本ロールにて添加し、均一に混合して生ゴム状のシリコーン樹脂組成物B(ヒドロシリル基量/ビニル基量=3.3、切断時伸び550%)を得た。
[実施例6]
上記シリコーン樹脂組成物Bを使用して、実施例1と同じ方法で、エアーバッグ用基布を作製した(内袋の厚さ300μm、内袋の外袋に対する面積比99%)。このエアーバッグ用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表1に示す。
[比較例1]
エアーバッグ用シリコーンコーティング材料X-34-4120-1A/B(信越化学工業株式会社製)を実施例1と同じPET製(繊度:410デニール)の外袋に、塗工量100g/m(平均厚さ100μm)になるようにコーティングし、180℃で3分間加熱し、コーティング材を硬化させた。その後、裏面も同じように塗工量100g/m(平均厚さ100μm)でコーティングし、180℃/3分間で硬化させ、シリコーンゴムで被覆された比較例1のエアーバッグ用基布を作製した。すなわち、比較例1のエアーバッグ用基布は、内袋と外袋とからなる2重袋構造ではなかった。このエアーバック用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1と同じ方法で内袋を作製した。その後、外袋としてPET製(繊度:410デニール)の平織の織布の片面に接着性シリコーンコーティング材料であるKEG-2052-A/B(信越化学工業株式会社製)を塗工量40g/mでコーティングしたものを2枚準備した。これらを内袋の両面に貼り付け、180℃で3分間加熱して内袋と外袋を接着した。その後、内袋の形状に合わせて周辺部を縫製し、比較例2の2重袋構造のエアーバッグ用基布を作製した。すなわち、比較例2のエアーバック用基布は、内袋と外袋との間に空隙を有していなかった。このエアーバック用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表2に示す。
[比較例3]
上記シリコーン樹脂組成物Aを厚さ300μmで部出しし、500mm×500mmで厚さ0.3mmの枠型にセットした。その後、165℃で10分間プレスキュアにより厚さ300μmのシリコーンゴムシートを2枚作製した。その後、これら2枚のシートを接着剤(商品名:スーパーX-2、セメダイン株式会社製)で貼り合わせ、実施例1と同じ形状の内袋を作製した。すなわち、比較例3で作製した内袋は、袋状の成型体(一体成型体)ではなかった。この内袋を70mm幅の開口部を有するPET製(繊度:410デニール)の外袋に開口部から折り畳みながら挿入することで、比較例3のエアーバッグ用基布を作製した。このエアーバック用基布について実施例1と同じ方法で内圧保持性試験とリサイクル性試験をした結果を表2に示す。
Figure 2024061024000003
Figure 2024061024000004
表1に示した結果から明らかなように、本発明の例である実施例1~6のエアーバック用基布は、内圧保持性試験において、30秒後であっても、初期の圧力と同じ圧力又はほぼ同じ圧力を保つことができた。また、本発明の例である実施例1~6のエアーバック用基布は、内圧保持性試験後に、内袋と外袋とを容易に分離でき、優れたリサイクル性を示すことができた。
一方、比較例1のエアーバック用基布は、内圧保持性試験において、30秒後の内圧が、初期の圧力の2分の1となってしまった。比較例3に至っては、30秒後、残存圧力が0kPaであった。
また、比較例1~3のエアーバック用基布は、内圧保持性試験後に、樹脂の分別が不可能であった。
このように、本発明のエアーバック用基布は、エアーバッグを製造した際の内圧保持性に優れ、且つ、容易にリサイクル可能である。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]内袋と外袋とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布であって、前記内袋が、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体であり、前記外袋は織布で形成されており、前記内袋と外袋との間に空隙を有するものであることを特徴とするエアーバッグ用基布。
[2]前記内袋の面積が、外袋の面積に対して50~99%であることを特徴とする[1]に記載のエアーバッグ用基布。
[3]前記内袋の厚さが20~600μmであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のエアーバッグ用基布。
[4]前記熱硬化性樹脂がシリコーンゴムであって、JIS K 6251:2017記載の方法で測定した切断時伸びが300%以上であることを特徴とする[1]~[3]の何れか1つに記載のエアーバッグ用基布。
[5]前記シリコーンゴムが、(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、重合度が100~10,000のオルガノポリシロキサンであって、かつ前記アルケニル基量が、0.01~20mol%であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部と、(B)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ:5~100質量部と、(C)硬化剤:有効量とを含むものであることを特徴とする[4]記載のエアーバッグ用基布。
[6]前記(C)成分が、下記(C-1)及び(C-2):(C-1)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有する25℃で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるヒドロシリル基が、(A)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量、(C-2)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)成分の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppmとなる量を含むものであることを特徴とする[5]記載のエアーバッグ用基布。
[7]前記(C)成分が、(C-3)有機過酸化物:0.01~10質量部
であることを特徴とする[5]又は[6]記載のエアーバッグ用基布。
[8]前記外袋の織布が、ナイロン66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の糸で織られたものであり、前記糸の繊度が50~1,000デニールであることを特徴とする[1]~[7]のいずれか1つ記載のエアーバッグ用基布。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…エアーバック用基布、 2…内袋、 3…外袋、 4…開口部、 5…空隙。

Claims (8)

  1. 内袋と外袋とからなる2重袋構造のエアーバッグ用基布であって、
    前記内袋が、熱硬化性樹脂からなり、1つ以上の開口部を有する袋状の成型体であり、
    前記外袋は織布で形成されており、
    前記内袋と外袋との間に空隙を有するものであることを特徴とするエアーバッグ用基布。
  2. 前記内袋の面積が、外袋の面積に対して50~99%であることを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用基布。
  3. 前記内袋の厚さが20~600μmであることを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用基布。
  4. 前記熱硬化性樹脂がシリコーンゴムであって、JIS K 6251:2017記載の方法で測定した切断時伸びが300%以上であることを特徴とする請求項1に記載のエアーバッグ用基布。
  5. 前記シリコーンゴムが、
    (A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、重合度が100~10,000のオルガノポリシロキサンであって、かつ前記アルケニル基量が、0.01~20mol%であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部と、
    (B)比表面積が50m/g以上の補強性シリカ:5~100質量部と、
    (C)硬化剤:有効量と
    を含むシリコーン樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする請求項4記載のエアーバッグ用基布。
  6. 前記(C)成分が、下記(C-1)及び(C-2):
    (C-1)1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を含有する25℃で液状のオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中に含まれるヒドロシリル基が、(A)成分中に含まれるケイ素原子結合アルケニル基の合計1モル当たり、1~10モルとなる量と、
    (C-2)ヒドロシリル化反応用触媒:(A)~(C)成分の合計質量に対して、触媒金属元素の質量換算で1~500ppmとなる量と
    を含むものであることを特徴とする請求項5記載のエアーバッグ用基布。
  7. 前記(C)成分が、
    (C-3)有機過酸化物:0.01~10質量部
    であることを特徴とする請求項5記載のエアーバッグ用基布。
  8. 前記外袋の織布が、ナイロン66(PA66)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の糸で織られたものであり、前記糸の繊度が50~1,000デニールであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載のエアーバッグ用基布。
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