JP2024057995A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Hisayoshi Yoshizaki
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Abstract

【課題】前席乗員の足元のスペースを十分に確保することができる車両用空調装置を提供すること。【解決手段】車両用空調装置(20~20E)は、前席(12)と後席(13)とに向かって送風可能である。送風空気の流れる方向を基準として、加熱用熱交換器(33)の下流側には、加熱用熱交換器(33)を通過した送風空気を後席(13)に導くための後席用温風通路(RH)が設けられている。後席用温風通路(RH)は、冷却用熱交換器(32)と加熱用熱交換器(33)の間に設けられている。冷風流路(CP)からの送風空気を後席用温風通路(RH)に取入可能に開口している冷風取入開口部(41a;41Aa;41Ba;42Ca;42Da;42Ea)は、後席用送風部材(41;41A;41B;41C;41E)の後面、又は、後方に形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、後席への送風が可能な車両用空調装置に関する。
多くの車両に車室内の温度を調節するために車両用空調装置が搭載されている。一部の車両用空調装置は、後席への送付を行うことができる。このような車両用空調装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
特許文献1に開示された車両用空調装置は、ハウジングに送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器と、この冷却用熱交換器を通過した空気を加熱可能な加熱用熱交換器と、が設けられてなる。加熱用熱交換器の後方には、後席に向かって延び、後席の乗員へ送風を行なうためのダクトが設けられている。
特開2010-36738号公報
通常、車両用空調装置は、前席の前方に配置される。後席へ送風を行なうためのダクトが車両用空調装置の後方に大きく突出すると、前席の乗員の足元のスペースが狭くなる。
本発明は、前席乗員の足元のスペースを十分に確保することができる車両用空調装置の提供を課題とする。
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
本開示によれば、車両の乗員が着席可能な前席(12)とこの前席(12)の後方に配置されている後席(13)とに向かって送風可能であり、
ハウジング(50;50C)の内部空間(IS)には、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器(32)と、この冷却用熱交換器(32)を通過した空気を加熱可能な加熱用熱交換器(33)と、が設けられ、
車両の進行方向を基準として、前記加熱用熱交換器(33)は、前記冷却用熱交換器(32)よりも後方となるように設けられ、
前記内部空間(IS)には、前記冷却用熱交換器(32)のみを通過した送風空気が流れる冷風流路(CP)と、前記加熱用熱交換器(33)を通過した送風空気が流れる温風流路(HP)と、前記冷風流路(CP)を流れた送風空気と前記温風流路(HP)を流れた送風空気とが混合される混合流路(MP)と、が形成されている車両用空調装置において、
送風空気の流れる方向を基準として、前記加熱用熱交換器(33)の下流側には、前記加熱用熱交換器(33)を通過した送風空気を前記後席(13)に導くための後席用温風通路(RH)が設けられ、
前記後席用温風通路(RH)を構成するダクト状の後席用送風部材(41;41A;41B;41C;41E)は、前記冷却用熱交換器(32)と前記加熱用熱交換器(33)との間に設けられ、
前記後席用温風通路(RH)を通過した送風空気に混ぜるために、前記冷風流路(CP)からの送風空気を取入可能に開口している冷風取入開口部(41a;41Aa;41Ba;42Ca;42Da;42Ea)は、前記後席用送風部材(41;41A;41B)の後面、又は、前記後席用送風部材(41C;41E)の後方に形成されていることを特徴とする車両用空調装置が提供される。
本発明によれば、前席乗員の足元のスペースを十分に確保することができる車両用空調装置を提供することができる。
実施例1による車両用空調装置が搭載された車両の模式図である。 図1に示された車両用空調装置の斜視図である。 図2の3-3線断面図である。 図3に示された温度調節ユニットの作用について説明する図である。 実施例2による車両用空調装置に用いられる後席用送風部材を上方から見た状態の断面図である。 実施例3による車両用空調装置に用いられる後席用送風部材を上方から見た状態の断面図である。 実施例4による車両用空調装置に用いられる温度調節ユニットを側方から見た状態の断面図である。 図7の8-8線断面図である。 実施例5による車両用空調装置に用いられる後席用送風部材を上方から見た状態の断面図である。 実施例6による車両用空調装置に用いられる後席用送風部材を上方から見た状態の断面図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。説明中、前後とは車両用空調装置の搭載されている車両の進行方向を基準として前後、左右とは車両の乗員を基準として左右をいう。図中Frは車両進行方向を基準として前、Rrは車両進行方向を基準として後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
図1を参照する。図1には、車両用空調装置20(以下、「空調装置20」という。)の搭載された車両10が示されている。車両10は、例えば乗用車であり、車室VI内の前部に設けられた左右の前席12、12と、これらの前席12、12の後方に車幅方向の両端に亘って設けられた後席13と、を有する。
空調装置20は、前席12、12の前方に設けられ、前席12、12及び後席13の乗員に所定の温度に調節された空気を送風するために用いられる。前席12の前方であって車幅方向の右側端と左側端にはそれぞれ、送風空気の吹き出しの可否を切り替え可能なサイドベント切替部14、14が形成されている。前席12の前方であって車幅方向の中央側には、送風空気の吹き出しの可否を切り替え可能なセンターベント切替部15、15が形成されている。
空調装置20には後席13へ向かって延びるリヤダクト16が接続されており、リヤダクト16を介して後席13へ送風を行なうことができる。リヤダクト16の後端あるいは下流端には、後席13への送風空気の吹き出しの可否を切り替え可能な後席用送風切替部17が設けられている。
リヤダクト16は、例えば、センターコンソールの下面に沿って後方に向かって延びると共に、センターコンソールの後面に沿って上方に向かって延びるように配置することができる。又は、車室内の床下を通りBピラーに沿って立ち上げられていても良い。また、途中で分岐して後席乗員の上半身及び下半身に送風可能となるよう配置されても良い。
それぞれの切替部14、15、17は、ルーバーによって構成され乗員が操作部14a、15a、17aをスイングさせることにより、全開から全閉まで送風量を切り替えることができる。
図2を参照する。空調装置20は、車室内及び/又は車外の空気を取り入れて送風することが可能な送風ユニット21と、この送風ユニット21から送られた送風空気を所定の温度に調節可能な温度調節ユニット30と、を有する。送風ユニット21から左に向かって送られた風は、温度調節ユニット30内を後方に向かって流れる。
送風ユニット21は、周知の構成を採用することができ、例えば、ブロアファンが内蔵されている。
なお、空調装置20は、送風ユニット21が温度調節ユニット30の左側に配置される構成であっても良い。ステアリングハンドルの左右位置等により適宜選択可能である。
図3を参照する。温度調節ユニット30は、送風ユニット21(図2参照)からの送風空気が送られるハウジング50と、このハウジング50の内部空間ISに設けられ送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器32と、この冷却用熱交換器32を通過した空気を加熱可能な加熱用熱交換器33と、この加熱用熱交換器33の下流に設けられ加熱用熱交換器33を通過する送風空気の量を調節する前席用温度調整装置34と、この前席用温度調整装置34の下流に設けられ開口部51~54の開閉を切り替えるデフロスタ開閉ドア36、ベント開閉ドア37、フット開閉ドア38と、加熱用熱交換器33の前部において下方に延び加熱用熱交換器33を通過した空気を後席13(図1参照)に導く後席用送風部材41と、この後席用送風部材41に設けられ後席13(図1参照)に送られる送風空気の温度を調節するための後席用温度調節装置70と、を有している。
ハウジング50は、例えば、複数のパーツによって構成される。より具体的には、上部の左右を構成するパーツ、及び、下部を構成するパーツの3つのパーツにより構成される。それぞれのパーツには、射出成形品を用いることができる。なお、ハウジング50は、2つのパーツによって構成されていても良いし、4つ以上のパーツによって構成されていても良い。
図1を併せて参照する。ハウジング50には、フロントガラスへ送られる送風空気が通過するデフロスタ開口部51と、前席12の乗員の上半身に送られる送風空気が通過するベント開口部52、53と、前席12の乗員の足元に送られる送風空気が通過するフット開口部54と、後席13の乗員に送られる送風空気が通過するリヤ開口部55と、が空けられている。
また、内部空間ISは、冷却用熱交換器32のみを通過した送風空気が流れる冷風流路CPと、加熱用熱交換器33を通過した送風空気が流れる温風流路HPと、冷風流路CPを流れた送風空気と温風流路HPを流れた送風空気とが混合される混合流路MPと、を有している。
ベント開口部52、53は、サイドベント切替部14から吹き出される送風空気が通過するサイドベント開口部52と、センターベント切替部15から吹き出される送風空気が通過するセンターベント開口部53と、からなる。
なお、ベント開口部52、53は、必ずしも車幅中央用と外側用の2カ所ずつに形成される必要はない。
図3を参照する。冷却用熱交換器32は、ハウジング50の前部において、略前後方向に送風空気が通過するよう設けられている。送風空気は、冷却用熱交換器32の内部を通過する熱媒体との熱交換により冷却される。熱媒体には、例えばフロン系の冷媒や、二酸化炭素を用いることができる。
加熱用熱交換器33は、冷却用熱交換器32の後方に設けられていると共に、略上下方向に送風空気が通過するよう設けられている。加熱用熱交換器33は、例えば、エンジンを通過し温められた温水が内部を流れる温水ヒータ33aと、通電することにより加熱される電気ヒータ33bと、からなる。
図に示される状態において、冷却用熱交換器32を通過した送風空気の一部は、後席用送風部材41の左右を通過して加熱用熱交換器33の下方に導かれ、上方に向かって流れる。この際、送風空気は、加熱用熱交換器33によって温められる。
なお、加熱用熱交換器33は、必ずしも温水ヒータ33a及び電気ヒータ33bの2つから構成される必要はなく、どちらか1つであっても良い。また、温水以外の熱媒体を用いたヒータを採用することもできる。熱媒体には、例えばフロン系の冷媒や、二酸化炭素を用いることができる。
前席用温度調整装置34は、通電することにより回転駆動力を発生する図示しない前席温度調整用アクチュエータと、ピニオンギヤ34aを有し前席温度調整用アクチュエータに連結されて回転する駆動力伝達軸と、ピニオンギヤ34aと嵌合されて駆動力伝達軸が回転することにより略前後方向にスライドするドア本体34bと、を有する。ドア本体34bは、ピニオンギヤ34aに噛み合うラックを含む。
ドア本体34bが移動することにより冷風流路CPと温風流路HPとの開放量が調節される。これにより、混合流路MPへ流れる冷風の風量と温風の風量とが調節され、混合流路MPで混合された際に所定の温度となる。
なお、前席用温度調整装置34は、スライドドアではなく、回転軸を中心に回転可能なスイングドアによって構成されていても良い。
デフロスタ開閉ドア36は、スイングドアによって構成され、スイングすることによりデフロスタ開口部51の開放量を調節可能である。
ベント開閉ドア37は、スイングドアによって構成され、スイングすることによりベント開口部52、53の開放量を調節可能である。
フット開閉ドア38は、スイングドアによって構成され、スイングすることによりフット開口部54の開放量を調節可能である。
後席用送風部材41は、加熱用熱交換器33の前方において上下方向に延びているダクト状の部材である。後席用送風部材41の左右方向の幅は、加熱用熱交換器33の左右方向の幅に比べて小さく形成されている。これにより、冷却用熱交換器32通過した送風空気は、後席用送風部材41の左右を通過して加熱用熱交換器33へ流れることが可能とされている。後席用送風部材41の上端は、加熱用熱交換器33の下流側の端部に臨み、後席用送風部材41の下端は、リヤダクト16に臨んでいる。
後席用送風部材41の後面には、冷風流路CPを通過する送風空気を取り入れるための冷風取入開口部41aが開けられている。
後席用送風部材41の内部は、加熱用熱交換器33によって温められた送風空気が通過する後席用温風通路RHとされている。また、後席用送風部材41の内部のうち、冷風取入開口部41aよりも下流の部位は、後席用混合流路RMとされている。後席用混合流路RMは、後席用温風通路RHを流れた温かい送風空気と冷風取入開口部41aから取り入れられた冷たい送風空気とが混合され、所定の温度に調節された送風空気が通過する部位である。
後席用温風通路RH及び後席用混合流路RMは、加熱用熱交換器33を通過した送風空気を後席13(図1参照)に導くための流路、ということができる。後席用温風通路RH及び後席用混合流路RMは、冷却用熱交換器32と加熱用熱交換器33の間に設けられている。
後席用温風通路RHは、周囲を冷風流路CPによって囲まれるため、後席用温風通路RHを通流する温風が意図せずに冷却される懸念がある。あるいは、冷風流路CPを流れる冷風が意図せずに温められる懸念がある。この場合、例えば後席用送風部材41の周囲に発泡ウレタンなどの断熱材を貼り付けることや、後席用送風部材41自体を発泡樹脂により構成し、断熱性を向上して、意図しない熱交換を防止できる。このような断熱対策は必ずしも実施せずともよく、空調装置20から吹き出される調和空気の吹出温度やコスト等を勘案し、適宜選択される。また、後席用送風部材41に断熱材を貼り付ける場合、その場所は、後席用送風部材41のうち外表面でもよく、あるいは後席用温風通路RHに面する内表面でもよい。
なお、後席用送風部材41は、ハウジング50に一体的に形成されていても良いし、ハウジング50とは別部材によって構成されていても良い。また、後席用送風部材41は、全体が加熱用熱交換器33よりも前方に位置することが特に好ましい。
後席用温度調節装置70は、通電することにより回転駆動力を発生する後席温度調整用アクチュエータ71と、混合部ケース61の内部に設けられ後席温度調整用アクチュエータ71が作動することによりスイングし温風と冷風との混合割合を調節する後席用温度調節ドア72と、を有する。後席温度調整用アクチュエータ71には、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
後席用温度調節ドア72は、後席用温風通路RHを全閉にする位置から冷風取入開口部41aを全閉にする位置までスイング可能に設けられている。後席用温度調節ドア72の位置によって、後席13(図1参照)に送られる送風空気の温度が調節される。
なお、後席用温度調節ドア72と後席用送風部材41(後席用混合流路RM)とは、全体が加熱用熱交換器33よりも前方に位置することが特に好ましい。
リヤダクト16は、後席用送風部材41の下端から下方に延び、床面に沿って後方に延びる。
図4を参照する。送風ユニット21(図2参照)から送られた送風空気は、冷却用熱交換器32の前方から温度調節ユニット30内に送られる。温度調節ユニット30内に送られた送風空気は、冷却用熱交換器32によって冷却され、一部は加熱用熱交換器33によって温められる。
冷却用熱交換器32から加熱用熱交換器33に流れる際、送風空気は、後席用送風部材41の周縁を流れる。この、後席用送風部材41の周縁を流れる送風空気は、冷却用熱交換器32の外面に発生する水滴を含んでいる。後席用送風部材41に飛来する水滴は、後席用送風部材41に付着するとしても、前面や側面に付着する。このため、冷風取入開口部41aを、後席用送風部材41の後面に形成することにより、水滴の冷風取入開口部41aからの浸入を抑制することができる。
<実施例2>
次に、実施例2による空調装置20Aを図面に基づいて説明する。
図5には、実施例2による空調装置20Aに用いられる後席用送風部材41Aが示されている。図5は、図4に対応している。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
後席用送風部材41Aの後面には、冷風流路CPを通過する送風空気を取り入れるための冷風取入開口部41Aaが開けられている。冷風取入開口部41Aaの左右には、後席用送風部材41Aの後端の左右から中央に向かって延びる後壁部41Ab、41Abが形成されている。後壁部41Ab、41Abの幅の分、冷風取入開口部41Aaの左右方向の幅W1は、後席用送風部材41Aの左右方向の幅W2よりも狭い。
なお、後壁部41Ab、41Abは、左右の両方に形成されていることが好ましいが、必ずしも両方に形成されている必要はない。また、後壁部41Ab、41Abの左右の長さは必ずしも同じでなくても良い。
<実施例3>
次に、実施例3による空調装置20Bを図面に基づいて説明する。
図6には、実施例3による空調装置20Bに用いられる後席用送風部材41Bが示されている。図6は、図4に対応している。実施例1又は実施例2と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
後席用送風部材41Bの側面は、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部41Bb、41Bbによって構成されている。つまり、後席用送風部材41Bは、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部41Bb、41Bbを有している。
なお、拡幅部41Bb、41Bbは、後席用送風部材41Bの左右両方に形成されている必要はなく、どちらか一方であっても良い。また、拡幅部41Bb、41Bbの前後方向に対して傾斜する角度は、左右で異なっていても良い。さらに、後席用送風部材41Bの上方から見た状態の断面形状は、前方から後方に向かって広がる略台形状に限られず、三角形状、半円形状、半楕円形状等であっても良い。
さらに、後席用送風部材41Bの後端に後壁部41Ab、41Ab(図5参照)が形成され、冷風取入開口部41Baの左右方向の幅が後席用送風部材41Bの後端の幅よりも狭くされていても良い。
<実施例4>
次に、実施例4による空調装置20Cを図面に基づいて説明する。
図7には、実施例3による空調装置20Cに用いられる温度調節ユニット30Cが示されている。図8には、温度調節ユニット30Cを上方から見た状態の断面が示されている。図7は図3に対応し、図8は図4に対応する。実施例1~3と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
温度調節ユニット30Cは、ハウジング50Cの内部空間ISに、後席用送風部材41Cの後部に沿って延び冷風を導入可能な冷風導入部42Cと、ハウジング50Cの下部に設けられ後席用送風部材41Cを通過した送風空気と冷風導入部42Cを通過した送風空気とが混ぜられる混合部60Cと、を有している。
後席用送風部材41Cの内部は、後席用温風通路RHのみによって構成されている。
冷風導入部42Cは、冷風流路CP内を流れる冷たい送風空気を混合部60Cへ導くための部位である。冷風導入部42Cは、後席用送風部材41Cの後方、且つ、加熱用熱交換器33の下方に設けられている。
冷風導入部42Cは、例えば、上面が開口したダクト状の部材によって構成されていると共に、後席用送風部材41Cの後面に一体的に形成されている。冷風導入部42Cの上端は、冷風流路CPからの送風空気を取入可能に開口している冷風取入開口部42Caとされている。冷風取入開口部42Caは、後方に向かって下がり勾配に形成されている(図7)。
なお、冷風導入部42Cは、後席用送風部材41Cとは別部材によって構成されていても良い。また、冷風取入開口部42Caは、リヤ開口部55Cによって構成することもできる。
混合部60Cは、後席用温風通路RHを通過した温かい送風空気と、冷風導入部42Cから導入された冷たい送風空気とが混合される部材である。混合部60Cは、ハウジング50Cとは別部材によって構成され、ハウジング50Cの下部に取り付けられている。換言すれば、混合部60Cは、ハウジング50Cの外部に隣接して設けられている、ということができる。
加えて、混合部60Cは、一部が加熱用熱交換器33よりも前方に位置し、残部が加熱用熱交換器33の下方に位置している。少なくとも、混合部60Cは、加熱用熱交換器33の後端よりも前方に設けられていることが好ましい。なお、混合部60Cは、全体が加熱用熱交換器33よりも前方に設けられていることが最も好ましい。乗員の足元のスペースをより広く確保することが可能となるためである。
混合部60Cは、ハウジング50Cの下面に密着している混合部ケース61Cと、この混合部ケース61Cに設けられ送風空気の温度を調節する後席用温度調節装置70と、を有する。即ち、後席用温度調節装置70は、混合部ケース61Cの内部に設けられ、混合部60Cの一部を構成している。
図8を参照する。冷却用熱交換器32から加熱用熱交換器33に流れる際、送風空気は、後席用送風部材41Cの周縁を流れる。この、後席用送風部材41Cの周縁を流れる送風空気には、冷却用熱交換器32の外面に発生する水滴を含んでいる。後席用送風部材41Cに飛来する水滴は、後席用送風部材41Cに付着するとしても、前面や側面に付着する。このため、冷風取入開口部42Caを、後席用送風部材41の後方に形成することにより、水滴の冷風取入開口部42Caからの浸入を抑制することができる。
<実施例5>
次に、実施例5による空調装置20Dを図面に基づいて説明する。
図9には、実施例5による空調装置20Dに用いられる冷風導入部42Dが示されている。図9は、図8に対応している。実施例1~4と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
冷風導入部42Dの左右方向の幅W3は、後席用送風部材41Cの左右方向の幅W4よりも狭い。これにより、冷風導入部42Dに形成される冷風取入開口部42Daの左右方向の幅も、後席用送風部材41Cの左右方向の幅W4よりも狭い。
なお、冷風導入部42Dは、後席用送風部材41Cの幅に収まるよう配置されていれば、後席用送風部材41Cの左右方向の中央に対してオフセットされて配置されていても良い。
<実施例6>
次に、実施例6による空調装置20Eを図面に基づいて説明する。
図10には、実施例6による空調装置20Eに用いられる後席用送風部材41Eと冷風導入部42Eが示されている。図10は、図8に対応している。実施例1~実施例5と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
後席用送風部材41Eの側面は、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部41Eb、41Ebによって構成されている。つまり、後席用送風部材41Eは、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部41Eb、41Ebを有している。
なお、拡幅部41Eb、41Ebは、後席用送風部材41Eの左右両方に形成されている必要はなく、どちらか一方であっても良い。また、拡幅部41Eb、41Ebの前後方向に対して傾斜する角度は、左右別々であっても良い。さらに、後席用送風部材41Eの上方から見た状態の断面形状は、前方から後方に向かって広がる略台形状に限られず、三角形状、半円形状、半楕円形状等であっても良い。
冷風導入部42Eは、上方から見た状態の断面形状が略台形状のダクトによって構成され、前から後ろに向かって左右方向の幅が狭まっている。これにより、冷風取入開口部42Eaは、前から後ろに向かって左右方向の幅が狭まっている。
なお、冷風導入部42Eは、前方から後方に向かって狭まる略台形状に限られず、三角形状、半円形状、半楕円形状等であっても良い。さらに、冷風導入部42Eは、必ずしも左右で面対称な形状である必要はない。
また、冷風導入部42Eの後席用送風部材41Eと接する部位の幅を、後席用送風部材41Eの後端部分の幅よりも狭くなるよう形成し、さらに後方に向かって左右方向の幅を狭めることとしても良い。
<その他の実施例>
これまで、加熱用熱交換器33は、略上下方向に送風空気が通過するよう設けられているものとして説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、加熱用熱交換器33が立設され(上下方向に延びるように配置され)、送風空気が略前後方向に通過するよう設けられていてもよい。このとき、後席用送風部材41が加熱用熱交換器33の後方(すなわち加熱用熱交換器33を流出した温風が流れる温風流路HP)に開口し、加熱用熱交換器33の上面を経由して、冷却用熱交換器32と加熱用熱交換器33との間に配置されるよう構成されていてもよい。
本発明について以下に纏める。
図1を参照する。第1に、空調装置20、20A~20Eは、車両の乗員が着席可能な前席12とこの前席12の後方に配置されている後席13とに向かって送風可能である。
図3、図7を参照する。ハウジング50、50Cの内部空間ISには、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器32と、この冷却用熱交換器32を通過した空気を加熱可能な加熱用熱交換器33と、が設けられている。車両の進行方向を基準として、加熱用熱交換器33は、冷却用熱交換器32よりも後方となるように設けられている。内部空間ISには、冷却用熱交換器32のみを通過した送風空気が流れる冷風流路CPと、加熱用熱交換器33を通過した送風空気が流れる温風流路HPと、冷風流路CPを流れた送風空気と温風流路HPを流れた送風空気とが混合される混合流路MPと、が形成されている。送風空気の流れる方向を基準として、加熱用熱交換器33の下流側には、加熱用熱交換器33を通過した送風空気を後席13(図1参照)に導くための後席用温風通路RHが設けられている。後席用温風通路RHを構成するダクト状の後席用送風部材41、41A~41Eは、冷却用熱交換器32と加熱用熱交換器33との間に設けられている。
図5、図6、図9、図10を併せて参照する。後席用温風通路RHを通過した送風空気に混ぜるために、冷風流路CPからの送風空気を取入可能に開口している冷風取入開口部41a、41Aa、41Baは、後席用送風部材41、41A、41Bの後面に形成され、冷風取入開口部42Ca~42Eaは、後席用送風部材41C、41Eの後方に形成されている。
図3、図7を参照する。後席用温風通路RHは、冷却用熱交換器32と加熱用熱交換器33の間に設けられている。これにより、ハウジング50、50Cの後方下部を避けてリヤダクト16等を接続することができる。前席12(図1参照)乗員の足元のスペースを十分に確保することができる。
図4~図6を参照する。さらに、冷風取入開口部41a、41Aa、41Baは、後席用送風部材41、41A、41Bの後面に形成されている。冷却用熱交換器32の外面に発生する水滴は、冷風流路CP内を、送風空気によって下流側に飛散する。具体的には、後席用送風部材41、41A、41Bの周囲における送風空気および水滴は、後席用送風部材41、41A、41Bの前Frから後Rrへと流れる。後席用送風部材41、41A、41Bに飛来する水滴は、後席用送風部材41、41A、41Bに付着するとしても、前面や側面に付着する。このため、冷風取入開口部41a、41Aa、41Baを、後席用送風部材41、41A、41Bの後面に形成することにより、水滴の冷風取入開口部41a、41Aa、41Baからの浸入を抑制することができる。
図8~図10を参照する。後席用送風部材41C、41Eの後方に形成された冷風取入開口部42Ca~42Eaについても同様のことがいえる。冷却用熱交換器32の外面に発生する水滴は、冷風流路CP内を、送風空気によって下流側に飛散する。具体的には、後席用送風部材41C、41Eの周囲における送風空気および水滴は、後席用送風部材41C、41Eの前Frから後Rrへと流れる。後席用送風部材41C、41Eに飛来する水滴は、後席用送風部材41C、41Eに付着するとしても、前面や側面に付着する。このため、冷風取入開口部42Ca~42Eaを、後席用送風部材41C、41Eの後方に形成することにより、水滴の冷風取入開口部42Ca~42Eaからの浸入を抑制することができる。
図5、図9を参照する。第2に、第1の空調装置20A、20Dであって、冷風取入開口部41Aa、42Daの左右方向の幅W1、W3は、後席用送風部材41A、41Cの左右端部の幅W2、W4よりも狭い。後席用送風部材41A、41Cによって、冷風取入開口部41Aa、42Daへの水滴の浸入をより確実に抑制することができる。
図6及び図10を参照する。第3に、第1又は第2の空調装置20B、20Eであって、後席用送風部材41B、41Eは、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部41Bb、41Ebを有している。飛散した水滴は、拡幅部41Bb、41Ebに沿って飛散する。これにより、水滴が冷風取入開口部41Ba、42Eaへ回り込むことを抑制することができる。冷風取入開口部41Ba、42Eaへの水滴の浸入をより確実に抑制することができる。
図10を参照する。第4に、第1~第3のいずれかの空調装置20Eであって、冷風取入開口部42Eaは、前から後ろに向かって左右方向の幅が狭まる。後席用送風部材41Eから離れるほど左右の幅が狭まる。後席用送風部材41Eよりも後方に飛散した水滴が冷風取入開口部42Eaに回り込むことを抑制することができる。これにより、冷風取入開口部42Eaへの水滴の浸入をより確実に抑制することができる。
尚、各実施例は適宜組み合わせることも可能である。例えば、後方に向かって拡幅する後席用送風部材41B、41Eの後面又は後方に、後席用送風部材41B、41Eの後端の幅よりも狭い幅の冷風取入開口部41Aa、42Dを形成することも可能である。さらに、冷風取入開口部は、前から後に向かって左右方向の幅が狭まっていても良い。
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
本発明の空調装置は、乗用車に搭載する空調装置に好適である。
12…前席
13…後席
20、20A、20B、20C、20D、20E…車両用空調装置
32…冷却用熱交換器
33…加熱用熱交換器
41、41A、41B、41C、41E…後席用送風部材
41a、41Aa、41Ba、42Ca、42Da、42Ea…冷風取入開口部
50、50C…ハウジング
IS…内部空間
CP…冷風流路
HP…温風流路
MP…混合流路
RH…後席用温風通路

Claims (4)

  1. 車両の乗員が着席可能な前席(12)とこの前席(12)の後方に配置されている後席(13)とに向かって送風可能であり、
    ハウジング(50;50C)の内部空間(IS)には、送風空気を冷却可能な冷却用熱交換器(32)と、この冷却用熱交換器(32)を通過した空気を加熱可能な加熱用熱交換器(33)と、が設けられ、
    車両の進行方向を基準として、前記加熱用熱交換器(33)は、前記冷却用熱交換器(32)よりも後方となるように設けられ、
    前記内部空間(IS)には、前記冷却用熱交換器(32)のみを通過した送風空気が流れる冷風流路(CP)と、前記加熱用熱交換器(33)を通過した送風空気が流れる温風流路(HP)と、前記冷風流路(CP)を流れた送風空気と前記温風流路(HP)を流れた送風空気とが混合される混合流路(MP)と、が形成されている車両用空調装置において、
    送風空気の流れる方向を基準として、前記加熱用熱交換器(33)の下流側には、前記加熱用熱交換器(33)を通過した送風空気を前記後席(13)に導くための後席用温風通路(RH)が設けられ、
    前記後席用温風通路(RH)を構成するダクト状の後席用送風部材(41;41A;41B;41C;41E)は、前記冷却用熱交換器(32)と前記加熱用熱交換器(33)との間に設けられ、
    前記後席用温風通路(RH)を通過した送風空気に混ぜるために、前記冷風流路(CP)からの送風空気を取入可能に開口している冷風取入開口部(41a;41Aa;41Ba;42Ca;42Da;42Ea)は、前記後席用送風部材(41;41A;41B;41C;41E)の後面、又は、前記後席用送風部材(41;41A;41B;41C;41E)の後方に形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記冷風取入開口部(41Aa;42Da)の左右方向の幅は、前記後席用送風部材(41A;41C)の左右端部の幅よりも狭い、請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記後席用送風部材(41B;41E)は、前から後ろに向かって左右方向の幅が広がる拡幅部(41Bb;41Eb)を有している、請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記冷風取入開口部(42Ea)は、前から後ろに向かって左右方向の幅が狭まる、請求項1に記載の車両用空調装置。
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