JP2024057637A - 光硬化性樹脂組成物、成形用ハードコートフィルム及びそれを用いた成形品 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、成形用ハードコートフィルム及びそれを用いた成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】破断伸度が高く成形性が良好であると共に、屋外での使用にも耐えうる優れた耐候性や耐引っ掻き傷性を有する成形用途に適した光硬化性樹脂組成物、及びこれを塗工した成形用ハードコートフィルムと、それを用いた成形品を提供する。【解決手段】エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させた構造を有するウレタンアクリレートと、ポリカーボネートジオール由来部を有するウレタン(メタ)アクリレートと、光安定剤と、光重合開始剤と、を含み、前記ウレタンアクリレートの重量平均分子量が2,000~12,000であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートの配合量が固形分全量に対し30~85重量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は成形性に優れた光硬化性の樹脂組成物、及びその樹脂硬化層を有する成形用ハードコートフィルム、更にはそれを用いた成形品に関する。
アクリル系の光硬化性樹脂は、プラスチックフィルムやプラスチック成形物表面に特別な性能を付与するために多くの分野で用いられており、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布して高硬度を付与したハードコートフィルムは、タッチパネル用フィルムや成形用フィルムとして大量に使用されている。
これらのなかで特に成形用としては、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行う成形用フィルムが良く知られているが、フィルムに塗布されたハードコート樹脂層を硬くすると、立体形状に加工する際に曲面においてマイクロクラックが入りやすくなり、加工形状には制約があった。そのため過去に出願人は、表面硬度と成形性を両立させるインサート成形用のハードコート樹脂として、トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーと平均一次粒子径が80~500nmの有機微粒子を含むハードコート剤を発明した(特許文献1)。このハードコート剤は膜厚が1~10μmで十分な柔軟性と表面物性が両立可能な優れるものであった。
こうした成形用途に適したハードコート剤を選定することで、加工面での制約はある程度緩和されてはきたが、インサート成形品の用途が広がるにつれて、従来から求められる成形性や耐摩耗性に加え、様々な特性が求められるようになってきている。例えば自動車の外装用途では、大きなサイズでの安定した成形性に加え、洗車機による引っ掻き傷へ耐性が求められており、こうした要求に対応できるようなハードコート層を有する成形用フィルムがなかった。そのため自動車の外装用途でも使用が可能な、十分な成形性、耐洗車傷性、耐候性、耐久性を有する成形用ハードコートフィルムが求められていた。
特許第4848200号
本発明の課題は、破断伸度が高く成形性が良好であると共に、屋外での使用にも耐えうる優れた耐候性や耐引っ掻き傷性を有する成形用途に適した光硬化性樹脂組成物、及びこれを塗工した成形用ハードコートフィルムと、それを用いた成形品を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させた構造を有するウレタンアクリレート(A)と、ポリカーボネートジオール由来部を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光安定剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、前記(A)の重量平均分子量が2,000~12,000であり、前記(B)の配合量が固形分全量に対し30~85重量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物を提供する。
請求項2の発明は、前記(B)が、ポリカーボネートジオール由来部を有するシリコーン骨格含有ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
請求項3の発明は、プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルムを提供する。
請求項4の発明は、請求項3記載の成形用ハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品を提供する。
本発明の光硬化性樹脂組成物及びこれを塗工したハードコートフィルム(以下HCフィルムという)は、破断伸度が高く成形性が良好であると共に、優れた耐候性や耐引っ掻き傷性を有するため、屋外で使用するようなインサート成形品に用いる材料として有用である。
本発明の光硬化性樹脂組成物の構成は、エチレングリコールとイソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)を反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PETAという)を更に反応させた構造を有するウレタンアクリレート(A)と、ポリカーボネートジオール由来部を有するウレタンアクリレート(B)と、光安定剤(C)と、光重合開始剤(D)である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
前記(A)の合成で使用する脂環式ジイソシアネートのIPDIは、黄変が無く耐候安定性に優れると同時に剛性が高く、硬化物の硬度を上げることができる。炭素鎖が非常に短いエチレングリコールと反応させることで、分子内のウレタン結合濃度を高くすることが可能となり、耐薬品性に優れた剛性の高い直鎖構造の主骨格を形成できる。エチレングリコールの代わりにポリエチレングリコールを用いると、ウレタン結合の濃度が低くなり耐薬品性が低下する傾向がある。
前記(A)の合成方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。反応は無溶媒下でも良いが、(A)の分子量が大きくなるにつれて攪拌が困難となる場合があるため、MEK等のケトン類、キシレン等の芳香族不活性溶媒などを用いても良い。またエチレングリコール及びPETAの水酸基と、イソシアネート基との反応には、触媒を用いることが好ましい。その場合の例としては、ジブチルスズジラウレート等の錫系、ナフテン酸コバルト等の金属アルコキシド系が挙げられる。反応温度は適宜設定可能であるが40~120℃が好ましく、60~100℃が更に好ましい。
前記(A)の重量平均分子量(以下Mwという)は2,000~12,000であり、2,500~11,000が好ましく、3,000~10,000が更に好ましい。2,000未満では破断伸度が低くなるため十分な成形性を確保することが難しくなり、12,000超では耐摩耗性が低下し、また作業性の良い粘度に調整しにくくなる。(A)のMwは、反応させるエチレングリコールとIPDIのモル比により調整が可能で、エチレングリコールに対するIPDIのモル比を近づけると、Mwは大きくなる傾向がある。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
前記(A)の配合量は、固形分全量に対し5~60重量%が好ましく、10~55重量%が更に好ましく、20~53重量%が特に好ましく、30~50重量%がとりわけ好ましい。5重量%以上とすることで十分な硬化性を確保することができ、60重量%以下とすることで十分な耐擦傷性(耐洗車傷性)を確保することができる。
本発明に使用されるポリカーボネートジオール由来部を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)は、耐衝撃性や機械物性に優れるポリカーボネート(以下PCという)骨格と、抗張力や耐摩耗性に優れるウレタン結合を併せ持ち、洗車機などによって引き起こされる引っ掻き傷への耐性向上を目的に添加される。なお本明細書において由来部とは、ウレタン(メタ)アクリレートを形成するための原料として使用することを意味し、例えばPCジオールを主成分とするポリオールに、ポリイソシアネートを反応させた末端水酸基のウレタンプレポリマーに、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物を反応させた化合物等を挙げることができる。またポリオール成分としては、PCジオールに加え、ヒドロキシ基を2つ有するシリコーン化合物(以下シリコーンジオールという)を併用することで、自己修復性が付与され、更に引っ掻き傷への耐性を向上させることが可能となる。
前記(B)で用いるPCジオールは、ジオール化合物とエチレンカーボネートとの反応により得ることができる。ジオール化合物としては、例えば1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1、8-オクタンジオール等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では低粘度でハンドリングしやすい1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールが好ましい。
前記(B)で用いるポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIという)、IPDI、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、HDIイソシアヌレート体、IPDIイソシアヌレート体などが挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では耐候性が高く黄変しにくい脂肪族及び脂環族のジイソシアネートが好ましく、特にそれらの中では剛性が高い点でIPDIが好ましい。
前記(B)で用いるポリオールとしてシリコーンジオールを併用する場合は、(B)重量の全量に対し0.5~15重量%が好ましく、1~10重量%が更に好ましい。0.5重量%以上とすることで、十分な耐引っ掻き傷性(耐擦傷性)向上が期待でき、15重量%以下とすることで、硬化物に濁りが生じず、十分に透明な硬化物を得ることができる。
前記(B)のMwとしては3,000~150,000が好ましく、3,500~100,000が更に好ましく、4.000~80,000が特に好ましい。3,000以上とすることで十分な引っ掻き傷への耐性を得ることができ、150,000以下とすることで作業性に優れた粘度に調整しやすくできる。
前記(B)の配合量は、固形分全量に対し30~85重量%であり、33~80重量%が好ましく、35~70重量%が更に好ましく、40~55重量%が特に好ましい。30重量%未満では十分な耐擦傷性が確保しにくくなる場合があり、85重量部超では硬化性が低下する傾向が有る。
本発明に使用される光安定剤(C)は、屋外で使用した場合の紫外線暴露や、輻射熱による硬化膜の劣化防止を目的に配合する。例えば、紫外線により光劣化したポリマーから生ずるアルキルラジカルやパーオキシラジカルを効率よくトラップするラジカル補足剤(c1)や、吸収した紫外線のエネルギーを熱エネルギーなどに変換することにより、ポリマーの分解を抑制する紫外線吸収剤(c2)などが挙げられる。
本発明に使用されるラジカル補足剤(c1)としては、例えばヒンダードアミン系(以下HALS系と言う)やヒンダードフェノール系、芳香族アミン系等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、低濃度でもラジカル補足効率が高いHALS系が好ましい。
前記(c1)の配合量は、固形分全量に対し1~10重量%が好ましく、2~8重量%が更に好ましく、3~6重量%が特に好ましい。この範囲とすることで、十分な光安定性を確保することが出来る。HALS系の市販品としてはTinuvin123及びTinuvin249(商品名:BASFジャパン社製)等が挙げられる。
本発明に使用される紫外線吸収剤(c2)は、エネルギーが高い有害な紫外線領域に吸収帯域を持つラジカル連鎖開始阻止剤であり、前記(c1)との併用により、耐候性をより向上及び安定させることが可能となる。例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では紫外線の長波長部を強く吸収することが可能なヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましい。
前記(c2)の配合量は、固形分全量に対し0.5~5重量%が好ましく、0.8~3.0重量%が更に好ましく、1.0~2.0重量%が特に好ましい。この範囲とすることで、十分な紫外線吸収特性を確保することが出来る。市販品としてはTinuvin460及び477(商品名:BASFジャパン社製)等が挙げられる。また前記(c1)と(c2)を合計した(C)の配合量は、固形分全量に対し1.0~12重量%が好ましく、1.5~10重量%が更に好ましく、4.0~8.0重量%が特に好ましい。1.0重量%以上とすることで耐候性の向上が期待でき、12重量%以下とすることで過剰配合とならず、基材との十分な密着性を確保できる。
本発明に使用される光重合開始剤(D)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127D、184及び2959(商品名:IGM Resins社製)などがある。前記(D)のラジカル重合性分100重量部に対する配合は2~12重量部が好ましく、3~10重量部が更に好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下本組成物という)には、性能を損なわない範囲で必要に応じて、架橋剤、密着促進剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、ワックス、つや消し剤、親水剤、撥水剤、無機フィラー、有機微粒子等を添加してもよい。
上記架橋剤としては、低粘度で(A)及び(B)との相溶性に優れる点で、多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。例えば2官能では(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレートが、3官能ではトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが、4官能でジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートが、5官能ではジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが、6官能ではジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、反応性が良好で成形性を低下させにくい点でジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
前記架橋剤の配合量としては、(A)100重量部に対し30重量部以下が好ましく、25重量部以下が更に好ましい。30重量部以下とすることで、十分な成形性を確保しつつ反応性を向上させることが出来る。また固形分全量に対する配合比率としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
本組成物をプラスチック基材に塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤で希釈してもよい。例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKという)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMという),ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等があげられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。希釈する場合の固形分としては10~70%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
本組成物が塗布されるプラスチック基材としては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリル(以下PMMAという)フィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。更に自動車内装加飾用ではPMMAフィルムやPCフィルムが好ましく用いられ、またそれらの積層フィルムでも良い。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
前記プラスチック基材は、本組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
本組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。塗工する膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。
本組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。
本組成物をプラスチック基材に塗工し硬化させたHCフィルム(以下本HCフィルムという)は、130℃雰囲気下での破断伸度が50%以上であることが好ましく、100%以上であることが更に好ましく、200%以上が特に好ましい。破断伸度を50%以上とすることで、十分な成形性が期待できる。
本HCフィルムには、必要に応じ加飾層を設けることができる。加飾する方法としては、例えば印刷や金属蒸着等が挙げられ、またこれら両方を用いて加飾しても良い。また更に射出成形樹脂との密着性を向上させるため、接着層やプライマー層を設けても良い。
本HCフィルムには本組成物が塗布された面の保護のため、保護フィルムを貼り合わせても良い。保護フィルムを用いることで、インサート成形やアウトモールド成形プロセスでの傷つき防止ができ、歩留まり向上が期待できる。
本HCフィルムをインサート成形で用いる方法としては、例えば本組成物が塗布された面を金型の内壁面に向かうよう(本組成物硬化層の反対面が成形樹脂と接するよう)に配置し、必要に応じて本HCフィルムを金型形状に追従させ予備成形し、次に金型を閉じてキャビティ―内に溶融状態の成形樹脂を射出させ、樹脂を固化させることにより樹脂成形品を形成することができる。
上記予備成形を行う方法としては、本HCフィルムを軟化点以上に予備加熱して金型に配置し、金型に設けられた吸引孔を通じて真空吸引する方法や、射出成形用金型とは別の成形用金型を用い、真空成形や圧空成形、プレス成形等の公知の成形方法を用いることができる。またこれらの予備成形を行わず、成形樹脂による射出圧により、成形と射出樹脂との一体成形を同時に行うことも可能である。
上記射出成形する樹脂としては、射出成形が可能な公知の樹脂を用いることが可能である。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。自動車のボディーのようにサイズが大きい場合や、サイズが小さくても肉厚が薄い場合には、成形後の収縮率をHCフィルムのそれと近似させることで、反り等の不具合を回避することができる。
更に本HCフィルムは、アウトモールド成形にも用いることができる。例えば、TOM(Three-Dimensional Overlay Method)成形に用いても良い。TOM成形は、気密ボックス内にて予め成形された基材に、真空・圧空成形にて3次元表面加飾を行うフィルム成形方法であり、本HCフィルムを用いることで基材の材質を問わず、3次元の大型製品にも対応可能である。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は固形分換算とし重量部を示す。
ウレアク1の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)825重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)438重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を50%に調整して、Mw6,200で6官能のウレアク1を得た。
ウレアク2の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)930重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)886重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を50%に調整して、Mw3,200で6官能のウレアク2を得た。
ウレアク3の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)895重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)743重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を50%に調整して、Mw3,800で6官能のウレアク3を得た。
上記製法に準じて、ウレアク1~5と同骨格でMw違いのウレアクA及びBを得た。
ウレアクA:PETA-IPDI-(エチレングリコール-IPDI)n-PETA骨格、
6官能、固形分50%、Mw 1,800
ウレアクB:PETA-IPDI-(エチレングリコール-IPDI)n-PETA骨格、
6官能、固形分50%、Mw 13,000
2-ヒドロキシエチルアクリレートとIPDIとの反応物調整
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、IPDIを222gと触媒と重合禁止剤を仕込み、撹拌しながら70℃に加温した。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(以下2HEAという)116gを5時間かけて滴下し、更に70℃で5時間反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。
PC由来部位を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオールからなるポリカーボネートジオール(デュラノールT5650E:旭化成ケミカルズ社製、水酸基価;112mgKOH/g)190.0g、シリコーンジオール(SF-8427:東レダウコーニング社製、水酸基価;56.1mgKOH/g)10.0g、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)74.8gと触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、75℃にて4時間攪拌・反応させた。このときの反応比は、ポリカーボネートジオール/シリコーンジオール/IPDI=69.1/3.7/27.2(質量比)である。
その後、上記で調製した2HEAとIPDIとの反応物65.6gを投入し、更に75℃にて3時間攪拌・反応させ、MEKにより固形分を40%に調整し、Mw71,000の(B)を得た。
実施例1~7
前記(A)として上記で調整したウレアク1~3を、(B)としてPCジオール由来部位を有するウレアクを、(c1)としてTinuvin249(商品名:BASFジャパン社製)を、(c2)としてTinuvin477(商品名:BASFジャパン社製)を、(D)としてOmnirad2959及び127D(商品名:IGM Resins社製)を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例1~7の光硬化性樹脂組成物を得た。
比較例1~5
実施例で用いた材料の他、オリゴマーとして上記ウレアクA及びBを、表2記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、比較例1~5の光硬化性樹脂組成物を得た。
表1
表2
評価方法は以下の通りとした。
HCフィルムの調製
実施例及び比較例で作成した光硬化性樹脂組成物を、ユーピロンフィルム(商品名:DF02PUL、三菱ガス化学社製、厚み125μm、PMMA/PC積層フィルム)を用い、PMMA面側に乾燥膜厚で5μmとなるように光硬化性樹脂を塗布し、恒温槽で80℃×1分乾燥後、高圧水銀ランプで出力1300mW/cm2、積算光量が200mJとなる様に紫外線照射し、評価用フィルムを調製した。
硬化性:HCフィルムを用い、塗膜表面の指触でもタック感を確認し、タック無しの場合を〇、タック有りの場合を×とした。
密着性:JIS K 5600-5-6のクロスカット法に準拠し、塗工面に1mm間隔で10×10にマス目を作成し、セロハンテープCT-24(商品名:ニチバン社製)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認し、剥離無しの場合を〇、剥離有りの場合を×とした。
剥離無し:100/100、剥離有り:0/100~99/100
ヘイズ:JIS K7361-1に準拠し、東洋精機製作所製のHaze-GARD2を用いて測定し、1.0%以下の場合を○、1.0%超の場合を×とした。
耐擦傷性(耐洗車傷性):耐洗車摩耗試験機(Amtec Kistler GmbH社製)を用い、DIN EN ISO20566に準拠した試験を実施した。試験前後の塗膜のグロス(測定角度20°)をmicro-tri-gross(BYK社製)にて測定し、グロス保持率を下記式より算出した。グロス保持率が40%以上の場合を〇、40%未満の場合を×とした。
グロス保持率(%)=試験後グロス/試験前グロス
耐候性:HCフィルムを用い、SAE規格J2527に準拠し、500kJ照射した際の外観を目視で確認し、外観変化なしの場合を〇、外観変化あり(白化・ワレ・黄変)の場合を×とした。
破断伸度:HCフィルムを横25mm×縦50mmにカットし、Minebia製TechnoGraph TGI-1KNを用い、雰囲気温度130℃、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行い、目視で割れを確認し、伸び率が50%以上の場合を○、200%以上の場合を◎とした。
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
伸びた長さ(mm)/50mm×100=伸び率%
実施例評価結果
表3
比較例評価結果
表4
実施例は硬化性、密着性、ヘイズ、耐擦傷性、耐候性、破断伸度全ての面で問題はなく良好であった。
一方、(C)を配合していない比較例1は耐候性が劣り、(B)の配合量が下限未満の比較例2は耐擦傷性が劣っていた。またMwが小さい比較例3は破断伸度が小さく、逆に大きい比較例4はヘイズが高いと同時に耐擦傷性が劣り、(A)を含まない比較例5は硬化性が劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。



Claims (4)

  1. エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させた構造を有するウレタンアクリレート(A)と、ポリカーボネートジオール由来部を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光安定剤(C)と、光重合開始剤(D)と、を含み、前記(A)の重量平均分子量が2,000~12,000であり、前記(B)の配合量が固形分全量に対し30~85重量部であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(B)が、ポリカーボネートジオール由来部を有するシリコーン骨格含有ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルム。
  4. 請求項3記載の成形用ハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品。

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