JP2023179828A - ハードコート樹脂組成物及びそれを用いた成形用ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】成形用途で使用可能なハードコートフィルムの生産工程において、時間当たりの生産性に優れる低粘度のバインダーを用いたハードコート樹脂組成物、及びこれを塗工した成形用ハードコートフィルムと、それを用いたプラスチック成形品を提供する。【解決手段】エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させたウレタンアクリレートオリゴマーと、光重合開始剤と、を含み、前記エチレングリコールが植物由来原料を使用したバイオマスのエチレングリコールであることを特徴とするハードコート樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は成形性に優れた光硬化型のハードコート樹脂組成物、及びそれを用いた成形用ハードコートフィルム、更にはそれを用いたプラスチック成形品に関する。
アクリル系の光硬化性樹脂は、プラスチック表面などに特別な性能を付与するために多くの分野で用いられており、例えばフィルム分野では、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行うインサート成形用フィルムが良く知られている。この成形用途では、フィルムに塗布されたハードコート樹脂層を硬くすると、立体形状に加工する際に曲面においてマイクロクラックが入りやすくなり、加工形状には制約があるという問題があった。
そのため過去に出願人は、エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させたウレタンアクリレートを含む光硬化型樹脂組成物を発明している(特許文献1)。この樹脂組成物は、耐薬品性が良好で破断伸度が高く、高い成形性を有する優れた成形用ハードコート樹脂であった。しかしながらインサート成形の用途が広がり、需要が大きくなるにつれて、低コスト化が強く求められるようになってきた。特に使用量が大きい車載分野では、従来主流であった水圧転写が、排水の問題やVOC(揮発性有機化合物)の問題で敬遠される傾向があり、その代替え工法としてインサート成形が増えつつあり、この分野で採用されるためには大幅なコストダウンが必要だった。
フィルムのコストダウン方法としては、例えば生産性の改善が挙げられる。特に精密薄膜塗工を行う光学フィルムの製造装置は非常に高額であるため、生産ラインの搬送スピード(以下ラインスピードという)を上げたり、生産を安定化させて歩留まりを上げたりすることにより、単位時間当たりの生産量を上げることで、大きなコストダウンが可能となる。
ここでフィルムのラインスピードは、主にハードコート樹脂の希釈溶剤を乾燥させる乾燥時間に律速されているため、例えば乾燥温度を高くしたり、乾燥炉内の熱風流量を上げたりする乾燥条件の向上や、乾燥しやすい溶剤を用いることは、スピードアップの有効な方法と言える。しかしながら、乾燥条件の向上は急激な溶剤揮発により外観の低下をもたらし歩留まりを下げやすく、また電力料などのユーティリティーコストをアップさせるという側面もあった。更に光学フィルムの塗工で一般的に用いられるグラビア塗工では「塗料受けパン」を使用しているため、乾燥しやすい溶剤を用いるとパンからの揮発も大きくなり、ハードコート剤中の溶剤組成が経時的に変動して塗工外観にブレが生じ、結果的に歩留まりを下げるという相反する問題があった。
こうした相反する問題を解決できる手法としては、例えばハードコート樹脂を高固形分化して、希釈溶剤の配合量自体を減らすことで乾燥時間を短縮し、ラインスピードをアップする手法が考えられる。この方法であれば、希釈溶剤が減るぶん乾燥時間を短くでき、また「塗料受けパン」からの溶剤揮発も相対的に抑えられるため、塗工外観のブレを引き起こす要因を減らすことができ、歩留まりの安定化を図ることも容易となる。しかしながら、ハードコート樹脂の高固形分化は、イコール高粘度化を引き起こすという矛盾があるため、低粘度でありながら高固形分化が可能な成形用ハードコート樹脂のバインダーが求められていた。
特開2021-66874
本発明の課題は、成形用途で使用可能なハードコートフィルムの生産工程において、時間当たりの生産性に優れる低粘度のバインダーを用いたハードコート樹脂組成物、及びこれを塗工した成形用ハードコートフィルムと、それを用いたプラスチック成形品を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、エチレングリコール(a1)とイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させたウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、光重合開始剤(B)と、を含み、前記(a1)が植物由来原料を使用したバイオマスのエチレングリコールであることを特徴とするハードコート樹脂組成物を提供する。
請求項2の発明は、更に反応性希釈剤(C)を含むことを特徴とする請求項1記載のハードコート樹脂組成物を提供する。
請求項3の発明は、プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルムを提供する。
請求項4の発明は、プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有する成形用ハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品を提供する。
本発明のハードコート(以下HCという)樹脂組成物は、固形分が高くても低粘度であるため、HCフィルム生産時のラインスピードアップが容易で、生産性向上によるコストダウンが可能であり、成形用途で用いるインサートフィルムなどのHC剤として有用である。
本発明の光硬化性樹脂組成物の構成は、植物由来原料を使用したバイオマスのエチレングリコール(a1)とイソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとを反応させたウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、光重合開始剤(B)である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
前記(A)の合成で使用する植物由来原料を使用したバイオマスのエチレングリコール(a1)は、(A)を低粘度化する目的で使用する。(a1)は、例えばサトウキビやトウモロコシ等の植物原料を糖化・発酵させてバイオエタノールを製造し、脱水してバイオマスエチレンとし、その後は既存の合成法で製造することができる。
石油由来のエチレングリコールを(a1)に置き換えることで、(A)の粘度を低粘度化できる理由は明らかではないが、(a1)の生成過程では光合成や微生物等が複雑に絡み合い、且つ様々な反応が関与しているものと考えられる。そのため、成分の大部分は石油由来品とほぼ同じと予想されるものの、非常に多くの同定が難しいごく微量成分は異なるものであり、これらの微量成分が粘度へ影響を与えていると推察できるが、これに限られるものではない。
前記(A)の合成で使用するイソホロンジイソシアネート(以下IPDI)は、黄変が無く耐候安定性に優れると同時に脂環式構造で剛性が高く、硬化物の硬度を上げることができる。炭素鎖が非常に短いエチレングリコールと反応させることで、分子内のウレタン結合濃度を高くすることが可能となり、耐薬品性と延性に優れると共に剛性の高い直鎖構造の主骨格を形成できる。エチレングリコールの代わりにポリエチレングリコールを用いると、ウレタン結合の濃度が低くなり耐薬品性が低下する傾向がある。
前記(A)の合成で使用するペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PETAという)は、硬化反応性に優れた、水酸基を有する3官能のアクリレート化合物である。(a1)とIPDIを反応させて合成したウレタンプレポリマーに、この水酸基を反応させることで、硬化反応性、耐薬品性、延性に優れる6官能のウレタンアクリレート(以下ウレアクという)とすることができる。
前記(A)の合成方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。反応は無溶媒下でも良いが、(A)の分子量が大きくなるにつれて攪拌が困難となる場合があるため、メチルエチルケトン(以下MEKという)等のケトン類、キシレン等の芳香族不活性溶媒などを用いても良い。また(a1)及びPETAが有する水酸基と、イソシアネート基との反応には、触媒を用いることが好ましい。その場合の例としては、ジブチルスズジラウレート等の錫系、ナフテン酸コバルト等の金属アルコキシド系が挙げられる。反応温度は適宜設定可能であるが40~120℃が好ましく、60~100℃が更に好ましい。
前記(A)の重量平均分子量(以下Mwという)は2,000~20,000が好ましく、3,000~15,000が更に好ましく、4,000~12,000が特に好ましい。2,000以上とすることで破断伸度が高くなり十分な成形性を確保することができ、20,000以下とすることで十分な破断伸度を確保できると同時に、作業性に優れた粘度に調整しやすくなる。(A)のMwは、反応させるエチレングリコールとIPDIのモル比により調整が可能で、エチレングリコールに対するIPDIのモル比を近づけると、Mwは大きくなる傾向がある。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
前記(A)の配合量は、固形分全量に対し60~99重量%が好ましく、75~98重量%が更に好ましく、85~97重量%が特に好ましく、90~96重量%がとりわけ好ましい。60重量%以上とすることで十分な破断伸度と耐薬品性を確保することができ、99重量%以下とすることで十分な硬化性を確保することができる。
本発明に使用される光重合開始剤(B)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127D、184及び2959(商品名:IGM Resins社製)などがある。前記(D)のラジカル重合性分100重量部に対する配合は1~12重量部が好ましく、3~10重量部が更に好ましい。
本発明の組成物には、更に反応性希釈剤(C)を配合しても良い。低粘度で(A)との相溶性に優れる点で、多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。例えば2官能では(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレートが、3官能ではトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが、4官能でジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートが、5官能ではジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが、6官能ではジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、反応性が良好で成形性を低下させにくい点でジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下DPHAという)が好ましい。
前記(C)の配合量としては、(A)100重量部に対し30重量部以下が好ましく、20重量部以下が更に好ましい。30重量部以下とすることで、十分な成形性を確保しつつ反応性を向上させることが出来る。また固形分全量に対する配合比率としては20重量%以下が好ましく、10重量%以下が更に好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下本組成物という)には、性能を損なわない範囲で必要に応じて、レベリング剤、光安定剤、密着促進剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、顔料、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、ワックス、つや消し剤、親水剤、撥水剤、無機フィラー、有機微粒子等を添加してもよい。
上記レベリング剤は、塗膜表面を均一化して外観を向上させる目的で配合する。塗膜表面に生ずる表面張力の不均一に対し、レベリング剤自身が塗膜表面に薄い膜状に広がることで表面張力の均一化を図り、欠陥を修復させる効果がある。シリコーン系、フッ素系、シリコーンーフッ素系、アクリル系などを挙げられ、また反応性官能基を有するものと有さないものがある。配合量は、光硬化樹脂成分100重量部に対し、5重量部以下が好ましく、3重量部以下が更に好ましい。
上記光安定剤は、屋外で使用した場合の紫外線暴露や、輻射熱による硬化膜の劣化防止を目的に配合し、具体的には、紫外線により光劣化したポリマーから生ずるアルキルラジカルやパーオキシラジカルを効率よくトラップするラジカル補足剤や、吸収した紫外線のエネルギーを熱エネルギーなどに変換することにより、ポリマーの分解を抑制する紫外線吸収剤などが挙げられる。
上記ラジカル補足剤としては、例えばヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系、芳香族アミン系等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、低濃度でもラジカル補足効率が高いHALS系が好ましい。配合量は、固形分全量に対し10重量%以下が好ましく、5重量%以下が更に好ましい。
上記紫外線吸収剤は、エネルギーが高い有害な紫外線領域に吸収帯域を持つラジカル連鎖開始阻止剤であり、光安定剤との併用により、耐候性をより向上及び安定させることが可能となる。例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では紫外線の長波長部を強く吸収することが可能なヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましい。配合量は、固形分全量に対し10重量%以下が好ましく、5重量%以下が更に好ましい。
本組成物をプラスチック基材に塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤で希釈してもよい。例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKという)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMという),ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒等があげられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。生産性向上のため、ラインスピードをより速める観点からは、乾燥しやすい溶剤を選定し、希釈溶剤をできる限り少なくすることが有効であり、たとえばMEKのようなケトン系を含むことが好ましい。
本組成物が塗布されるプラスチック基材としては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネート(以下PCという)フィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリル(以下PMMAという)フィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル(以下PVCという)フィルム、ポリビニルアルコール(以下PVAという)フィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルム(以下PETフィルムという)が好ましく用いられる。更に自動車内装加飾用ではPMMAフィルムやPCフィルムが好ましく用いられ、またそれらの積層フィルムでも良い。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
本組成物は高固形分でも低粘度であるため、希釈溶剤の使用量を減らすことができ、結果として乾燥工程で揮発させる溶剤(VOC)を少なくできるため、環境対応という面でも有利であり、更にラインスピードを速くしない場合は、乾燥条件を弱くできるというメリットも有する。具体的には乾燥炉の温度を低くしたり、乾燥炉内の熱風流量を小さくしたりできるため、耐熱性が非常に低いプラスチック基材への塗工が安定してできるというメリットがあり、例えばPVCフィルムや、PVAフィルム、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルムで、特に厚みが100μm未満の場合では、乾燥炉の温度や熱風流量の低減で、生産をより安定化することが可能となる。
前記プラスチック基材は、本組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施してもよい。
本組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。塗工する膜厚は乾燥時で1μm~20μmが例示できるが、これに限定されるものではない。特に本組成物は高固形分でも低粘度であるため、10μm以上の厚膜塗工が容易である。
本組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。
本組成物をプラスチック基材に塗工し硬化させたHCフィルム(以下本HCフィルムという)は、130℃雰囲気下での破断伸度が80%以上であることが好ましく、100%以上であることが更に好ましく、150%以上が特に好ましい。破断伸度を80%以上とすることで、十分な成形性が期待できる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は希釈溶剤を含み重量部を示す。
ウレアク1の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、MONO ETHYLENE GLYCOL(商品名:INDIA GLYCOLS社製、植物由来のバイオマスエチレングリコール)200重量部とIPDI(NCO基37.5%)786重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)268重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を40%に調整して、Mw10,600で6官能のウレアク1を得た。
ウレアク2の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、MONO ETHYLENE GLYCOL(商品名:INDIA GLYCOLS社製、植物由来のバイオマスエチレングリコール)200重量部とIPDI(NCO基37.5%)801重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)331重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を50%に調整して、Mw8,300で6官能のウレアク2を得た。
ウレアク3の調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、MONO ETHYLENE GLYCOL(商品名:INDIA GLYCOLS社製、植物由来のバイオマスエチレングリコール)200重量部とIPDI(NCO基37.5%)815重量部と触媒とMEKとを固形分60%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)389重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を60%に調整して、Mw6,620で6官能のウレアク3を得た。
ウレアクAの調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)790重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)285重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を40%に調整して、Mw9,800で6官能のウレアクAを得た。
ウレアクBの調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)808重量部と触媒とMEKとを固形分50%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)360重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を50%に調整して、Mw7,800で6官能のウレアクBを得た。
ウレアクCの調製
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた四つ口フラスコに、エチレングリコール200重量部とIPDI(NCO基37.5%)825重量部と触媒とMEKとを固形分60%になるように仕込み、80℃で6時間攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次にPETA(水酸基価120mgKOH/g)431重量部を添加し、70℃で6時間攪拌・反応させた後、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、MEKにより固形分を60%に調整して、Mw6,200で6官能のウレアクCを得た。
上記で調製したウレアク1~3単体と、(A)と同じ骨格で(a1)が石油由来のエチレングリコールを用いたウレアクA~C単体を以下の方法で評価した。
粘度:東機産業製のE型粘度計RE-215Rを用い、コーン角3°R17.65で25±1℃、回転数は粘度範囲500~2000mPa・sは20rpm、2000~5000mPa・sは10rpm、5000~10000mPa・sは5rpmで測定した。
希釈溶剤量:調整したウレアク1~3及びウレアクA~Cの粘度を20mPa・sに希釈するために必要なPGMの配合量を測定した。
乾燥時間:上記で希釈したウレアク1~3及びウレアクA~Cを用い、アクリルフィルム上にバーコーターで乾燥後の厚みが3μmとなるようにHC樹脂組成物を塗布し、60℃の恒温乾燥機に入れた時に希釈溶剤が乾燥するのに必要な時間を測定した。
ラインスピード:上記で希釈したウレアク1~3及びウレアクA~Cを用い、乾燥炉長が30Mの薄膜塗工ラインにおいて、アクリルフィルム上に乾燥後の厚みが3μmとなるようにHC樹脂組成物を塗布し、乾燥温度を60℃に設定した際に、希釈溶剤が乾燥できる最速のラインスピードを測定した。
評価結果
表1
(a1)がバイオマスのエチレングリコールを用いて合成したウレアク1~3は、固形分とMwが同等のウレアクA~C(石油由来品)と比較して粘度が低く、またその度合いはMwが大きくなるほど顕著だった。そのため、塗工に適した粘度(20mPa・s)に希釈するために必要となる溶剤量が少なくてすみ、結果として乾燥時間は短くなり、またラインスピードも速くすることが可能だった。
次にウレアク1~3及びウレアクA~Cを用い、以下の組成物を調製した。
実施例1~4
前記(A)としてウレアク1~3を、(B)としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製、α-ヒドロキシアセトフェノン系)を、(C)としてDPHA(商品名:日本化薬社製)を用い、表2記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例1~4のHC樹脂組成物を調製した。
比較例1~4
実施例で用いた材料の他、バインダーとしてウレアクA~Cを用い、表2記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、比較例1~4のHC樹脂組成物を調製した。
表2 ウレアク1~3及びウレアクA~Cは固形分換算で100部
評価方法は以下の通りとした。
HCフィルムの調製
実施例及び比較例で調整したHC樹脂組成物を、アクリルフィルム(商品名:アクリプレンHBA-007P、三菱ケミカル社製、厚み125μm)を用い、乾燥膜厚で3μmとなるように塗布し、恒温槽で80℃×1分乾燥後、高圧水銀ランプで出力1300mW/cm2、積算光量が200mJとなる様に紫外線照射し、評価用フィルムを調製した。
外観:アクリルフィルム上にバーコーターで乾燥後の厚みが3μmとなるようにHC樹脂組成物を塗布し、5秒放置後に恒温槽で80℃×1分乾燥し、上記HCフィルムと同条件で紫外線硬化し、目視により外観を確認した。きれいにレベリングされている場合を〇、バーコーターの筋が残っている場合を×とした。
破断伸度:HCフィルムを横25mm×縦50mmにカットし、Minebia製TechnoGraph TGI-1KNを用い、雰囲気温度130℃、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行い、目視で割れを確認し、伸び率が80%以上を○、150%以上を◎とした。
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
伸びた長さ(mm)/50mm×100=伸び率%
耐薬品性:硬化皮膜にハンドクリーム、ニュートロジーナSPF45(商品名:ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)を塗布し、80℃6時間放置させ、その後室温に戻し、拭き取ったのち表面を観察した。塗布の跡なしを○、跡ありを×とした。
評価結果
表3
実施例の配合は、外観、破断伸度、耐薬品性、全ての面で問題はなく良好であった。一方、比較例の配合はスジが残りレベリング性が劣っていた。



Claims (4)

  1. エチレングリコール(a1)とイソホロンジイソシアネートを反応させたジイソシアネートに、ペンタエリスリトールトリアクリレートを更に反応させたウレタンアクリレートオリゴマー(A)と、光重合開始剤(B)と、を含み、前記(a1)が植物由来原料を使用したバイオマスのエチレングリコールであることを特徴とするハードコート樹脂組成物。
  2. 更に反応性希釈剤(C)を含むことを特徴とする請求項1記載のハードコート樹脂組成物。
  3. プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルム。
  4. プラスチック基材上に請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有する成形用ハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品。
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