JP2023040446A - 光硬化性樹脂組成物、ハードコートフィルム及びそれを用いたプラスチック成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】破断伸度が高く成形性が良好であると共に、耐摩耗性及び耐薬品性に優れ、インサート成形などの成形用途に適した光硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた成形用ハードコートフィルム、プラスチック成形品を提供する。【解決手段】エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとグリセリン骨格を有する多官能(メタ)アクリレートとを反応させたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤と、を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。【選択図】なし
Description
本発明は光硬化性の樹脂組成物、その樹脂硬化層を有するハードコートフィルム及びそれを用いたプラスチック成形品に関する。
アクリル系の光硬化型樹脂は、プラスチックフィルムやプラスチック成形物表面に特別な性能を付与するために多くの分野で用いられており、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布して高硬度を付与したハードコートフィルムは、タッチパネル用フィルムや成形用フィルムとして大量に使用されている。
これらのなかで特に成形用としては、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行うインサートフィルムが良く知られているが、フィルムに塗布されたハードコート樹脂層を硬くすると、立体形状に加工する際に曲面においてマイクロクラックが入りやすくなり、加工形状には制約があった。そのため過去に出願人は、表面硬度と成形性を両立させるインサート成形用のハードコート樹脂として、トリアジン環含有(メタ)アクリレートプレポリマーと平均一次粒子径が80~500nmの有機微粒子を含むハードコート剤を発明している(特許文献1)。このハードコート剤は膜厚が1~10μmで十分な柔軟性と表面物性が両立可能な優れるものであった。
こうした成形用途に適したハードコート剤を選定することで、加工面での制約はある程度緩和されてはきたが、深い絞込みが必要とされる用途ではまだ伸び性が不足する場合があり、また頻繁に人手に触られる用途、例えば自動車の内装分野等では、手の表面についているハンドクリームがハードコートの表面皮膜を侵し、長期にわたる使用では表面皮膜がはがれると言う課題があった。更に近年では、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化、気候変動を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加問題から、原料を石油資源に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになっており、良好な加工特性(伸び性)と耐薬品性を両立させるという特性に加えて、ハードコート剤自体のバイオマス化についても要望が高まってきている。
本発明の課題は、破断伸度が高く成形性が良好であると共に、耐摩耗性及び耐薬品性に優れ、インサート成形などの成形用途に適した光硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた成形用ハードコートフィルム、プラスチック成形品を提供することにある。
上記の課題を達成するため請求項1の発明は、エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとグリセリン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート(a1)とを反応させたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、光重合開始剤(B)と、を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物を提供する。
請求項2の発明は、前記(a1)が、植物由来原料を使用したバイオマスの(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
請求項3の発明は、更に抗ウイルス剤(C)を含むことを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
請求項4の発明は、プラスチック基材上に請求項1~3いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルムを提供する。
請求項5の発明は、請求項4記載のハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品を提供する。
本発明の光硬化樹脂組成物は、破断伸度が高く成形性が良好であると共に、耐摩耗性及び耐薬品性に優れており、インサート成形などに用いる成形用フィルムに塗工するハードコート樹脂として有用である。
本発明の光硬化型樹脂組成物の構成は、エチレングリコールとイソホロンジイソシアネート(以下IPDIという)を反応合させたジイソシアネートに、グリセリン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート(a1)を更に反応させたウレタン(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
前記(A)の合成で使用するグリセリン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート(a1)は、バイオマスの(メタ)アクリレートであることが好ましい。例えば植物由来の(ポリ)グリセリンと、(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が挙げられる。バイオマスではない石油由来の多官能グリセリン(メタ)アクリレートと比較して、高感度で反応性が高く、硬化皮膜は高硬度で耐摩耗性も優れる傾向がある。
前記(a1)としては、例えばグリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキサイド(以下EOという)変性物等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では入手性が容易で硬化収縮が比較的小さく、また硬化皮膜が高硬度で耐擦傷性が良好である点で、グリセリンジアクリレート(以下GDAという)であることが好ましい。
また前記(A)の合成で使用する脂環式ジイソシアネートのIPDIは、黄変が無く耐候安定性に優れると同時に剛性が高く、硬化物の硬度を上げることができる。炭素鎖が非常に短いエチレングリコールと反応させることで、分子内のウレタン結合濃度を高くすることが可能となり、耐薬品性に優れた剛性の高い直鎖構造の主骨格を形成できる。エチレングリコールの代わりにポリエチレングリコール(以下PEGという)を用いると、ウレタン結合の濃度が低くなり耐布摩耗性や耐薬品性が低下する傾向がある。
前記(A)の合成方法としては特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。反応は無溶媒下でも良いが、(A)の分子量が大きくなるにつれて攪拌が困難となる場合があるため、ブタノン等のケトン類、キシレン等の芳香族不活性溶媒などを用いても良い。またエチレングリコール及び(a1)の水酸基と、イソシアネート基との反応には、触媒を用いることが好ましい。その場合の例としては、ジブチルスズジラウレート等の錫系、ナフテン酸コバルト等の金属アルコキシド系が挙げられる。反応温度は適宜設定可能であるが40~120℃が好ましく、60~100℃が更に好ましい。
前記(A)のMw.は1,500~30,000が好ましく、2,000~15,000が更に好ましく、3,000~10,000が特に好ましい。1,500以上とすることで充分な破断伸度を確保でき、30,000以下とすることで作業性の良い粘度に調整しやすくなる。(A)のMwは、反応させるエチレングリコールとIPDIのモル比により調整が可能で、エチレングリコールに対するIPDIのモル比を近づけると、Mwは大きくなる傾向がある。なおMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、スチレンジビニルベンゼン基材の充填剤を用いたカラムでテトラハイドロフラン溶離液を用いて、標準ポリスチレン換算の分子量を測定、算出した。
前記(A)の配合量は固形分全量に対し60~99重量%が好ましく、70~98重量%が更に好ましく、75~97重量%が特に好ましい。60重量%以上とすることで十分な破断強度を確保することができ、99重量%以下とすることで十分な硬化性を確保することができる。
本発明に使用される光重合開始剤(B)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル) -2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらの中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127、184、2959(商品名:IGM Resins社製)等が挙げられる。前記(B)のラジカル重合性分100重量部に対する配合は0.5~10重量部が好ましく、1~8重量部が更に好ましい。
本発明の組成物には、更に抗ウイルス剤(C)を含んでも良い。一般に抗ウイルス特性を有する(C)としては、銅、銀、チタン、スズ、鉄、ニッケル、亜鉛などを含む無機系材料の化合物、また4級アンモニウム塩系化合物、ハイドロキシアパタイト、スルホン酸基又はその塩を有する重合体などの有機系材料等が挙げられるが、製造工程やバインダーとの組合せにより、抗ウイルス性の発現には大きな差がある。またその添加によりヘイズの上昇や着色等の外観に変化が生じる場合があるため、目的とする製品に合った抗ウイルス剤を選定する必要がある。本発明の(A)には、相溶性および良好な抗ウイルス性が得られる点で4級アンモニウム系が好ましい。
前記(C)の配合量は固形分全量に対し1.0~10.0重量%が好ましく、3.0~8.0重量%が更に好ましい。1.0重量%以上とすることで十分な抗ウイルス特性を確保することができ、10.0重量%以下とすることで十分な破断伸度を確保することができる。市販品としてはスラニモD100(商品名:大阪ガスケミカル社製)、マルカサイドV-1(商品名:大阪化成社製)等が挙げられる。
本発明の組成物には、性能を損なわない範囲で必要に応じて、反応性希釈剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、密着促進剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、顔料、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、ワックス、つや消し剤、親水剤、撥水剤、無機系フィラー、有機系微粒子等を添加してもよい。
上記反応性希釈剤は、粘度を低減させると共に反応性を向上させる目的で配合し、(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、中でも多官能(メタ)アクリレートが更に好ましい。単官能(メタ)アクリレートだけを多く配合すると、硬化物の分子量が大きくならず破断伸度や耐薬品性が低下する傾向かある。配合量は固形分全量に対し25重量%以下が好ましく、15重量%以下が更に好ましい。配合量を25重量%以下とすることで、硬化が進みすぎることなく十分な破断伸度を確保することができる。特に少量添加でも反応性が向上する3官能以上が好ましく、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PET3Aという)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下DPHAという)等が挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記表面調整剤は、硬化物表面の外観及び滑り性を向上させる目的で添加され、その影響により摩擦係数が低下し、結果として耐布摩耗性を向上させることができる。例えばポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、変性ポリエーテル、フッ素系ポリマーなどが挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、前記(A)との相溶性が良好で少量の添加で効果が高い、側鎖にポリエーテル基を導入したポリジメチルシロキサンコポリマーやフッ素系ポリマー好ましい。
前記表面調整剤の配合量は、固形分全量に対し0~3.0重量%が好ましく、0.3~2.0重量%が更に好ましい。0.3%以上とすることで十分な外観と耐布摩耗性を確保することができ、3.0重量%以下とすることで過剰添加とならず十分な破断伸度を確保することができる。市販品としてはBYK-UV3500(商品名:BYK社製、シリコーン系)、KY-1203(商品名:信越化学工業社製、フッ素シリコーン系)等が挙げられる。
上記無機系フィラーは、硬化被膜の硬度アップを目的に配合される。例えばシリカ、アルミナ等が挙げられ、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。平均粒子径は1~200nmが好ましく、5~100nmが更に好ましく、10~80nmが特に好ましい。この範囲内とすることで、光学特性に大きな影響を与えることなく、硬化被膜の硬度を向上させることが期待できる。表面処理はバインダーとなる(A)との分散性から有るほうが好ましく、特にシリカの場合は、(A)のアクリロイル基と強固に結合できる点でアクリロイル基被覆されたナノシリカであることが好ましい。
上記無機系フィラーの配合量は、固形分全量に対し30重量%以下が好ましく、20重量%以下が更に好ましく、10重量%以下が特に好ましい。30重量%以下とすることで十分な破断伸度を確保することができる。なお平均粒子径は、JISZ8825-1に準拠したレーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d=50)とする。
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下本樹脂組成物という)をプラスチック基材に塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤にて希釈してもよい。使用される溶剤としては、例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEK)、メチルイソブチルケトン(以下MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMと表記),ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。希釈する場合の固形分としては10~60%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
光樹脂組成物が塗布されるプラスチック基材としては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネート(以下PCという)フィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。更に自動車内装加飾用ではPMMAフィルムやPCフィルムが好ましく用いられ、またそれらの積層フィルムでも良い。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
前記プラスチック基材は、本樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。また逆に転写用途で用いるため剥離性を向上させる目的で、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤によるプライマー処理を行っても良い。
本樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。塗工する膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。
本樹脂組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm2~3000mW/cm2、露光量50~400mJ/cm2が例示されるが、これに限定されるものではない。
本樹脂組成物をプラスチック基材に塗工し硬化させたハードコートフィルムは、130℃雰囲気下での破断伸度が50%以上であることが好ましく、100%以上が更に好ましく、150%以上が特に好ましい。破断伸度を50%以上とすることで、深絞りのある用途でも、成形時にひび割れ発生を防止することが期待できる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合表の単位は固形分換算の重量(部とする。
ウレタンアクリレート(以下ウレアクという)1の調製
エチレングリコール(以下EG)200重量部とIPDI(NCO基37.5%)786重量部とを、触媒と共にMEK溶剤中(固形分50%)に加え90℃で120分攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次に(a1)としてM-920(商品名:東亞合成社製、水酸基価240mgKOH/g、バイオマスグリセリンジ/トリアクリレート)136重量部を70℃以下にて60分で滴下して攪拌・反応させた後、80℃で300分攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、冷却後にMEKにより固形分を50%に調整して、Mw.4,000のウレアク1(GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA)を得た。
エチレングリコール(以下EG)200重量部とIPDI(NCO基37.5%)786重量部とを、触媒と共にMEK溶剤中(固形分50%)に加え90℃で120分攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基のピークが所定の量になった時点で反応を終了させた。次に(a1)としてM-920(商品名:東亞合成社製、水酸基価240mgKOH/g、バイオマスグリセリンジ/トリアクリレート)136重量部を70℃以下にて60分で滴下して攪拌・反応させた後、80℃で300分攪拌・反応させ、赤外吸収分析でイソシアネート基の消滅したことを確認し、冷却後にMEKにより固形分を50%に調整して、Mw.4,000のウレアク1(GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA)を得た。
上記に加え、下記構成のウレアク2~7を調製した。
ウレアク2:GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA、Mw8,000
ウレアク3:GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA、Mw2,000
ウレアク4:PET3A-(IPDI-EG)n-IPDI-PET3A,Mw4,000
ウレアク5:GDA-IPDI-PEG-IPDI-GDA、Mw5,000
ウレアク6:GDA-IPDI-GDA、
ウレアク7:GDA-HDI-GDA、
ウレアク2:GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA、Mw8,000
ウレアク3:GDA-(IPDI-EG)n-IPDI-GDA、Mw2,000
ウレアク4:PET3A-(IPDI-EG)n-IPDI-PET3A,Mw4,000
ウレアク5:GDA-IPDI-PEG-IPDI-GDA、Mw5,000
ウレアク6:GDA-IPDI-GDA、
ウレアク7:GDA-HDI-GDA、
実施例1
前記(A)としてウレアク1を、(B)としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製)を、反応性希釈剤としてDPHAを表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例1の光硬化性樹脂組成物を得た。
前記(A)としてウレアク1を、(B)としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製)を、反応性希釈剤としてDPHAを表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例1の光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例2~10
実施例1で用いた材料の他、前記(A)としてウレアク2~3を、(C)としてスラニモD100(商品名:大阪ガスケミカル社製、4級アンモニウム塩系)及びマルカサイドV-1(商品名:大阪化成社製、4級アンモニウム塩系)を、表面調整剤としてBYK-UV3500(商品名:BYK社製、シリコーン系レベリング剤)及びKY-1203(商品名:信越化学工業社製、フッ素シリコーン系レベリング剤)を、無機系フィラーとしてALMIBK30WT%-M47(商品名:CIKナノテック社製、アルミナ粒子、平均粒子径30nm、表面処理有り)及びPGM-AC-2140Y(商品名:日産化学社製、平均粒子径10~15nm、アクリロイル基表面処理)を用い、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例2~10の光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1で用いた材料の他、前記(A)としてウレアク2~3を、(C)としてスラニモD100(商品名:大阪ガスケミカル社製、4級アンモニウム塩系)及びマルカサイドV-1(商品名:大阪化成社製、4級アンモニウム塩系)を、表面調整剤としてBYK-UV3500(商品名:BYK社製、シリコーン系レベリング剤)及びKY-1203(商品名:信越化学工業社製、フッ素シリコーン系レベリング剤)を、無機系フィラーとしてALMIBK30WT%-M47(商品名:CIKナノテック社製、アルミナ粒子、平均粒子径30nm、表面処理有り)及びPGM-AC-2140Y(商品名:日産化学社製、平均粒子径10~15nm、アクリロイル基表面処理)を用い、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、実施例2~10の光硬化性樹脂組成物を得た。
比較例1~4
実施例で用いた材料の他、オリゴマーとして上記ウレアク4~7を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、比較例1~4の光硬化性樹脂組成物を得た。
実施例で用いた材料の他、オリゴマーとして上記ウレアク4~7を、表1記載の配合で均一に溶解・分散するまで撹拌し、更に固形分が30%となるようにPGMを加えて希釈撹拌し、比較例1~4の光硬化性樹脂組成物を得た。
評価方法は以下の通りとした。
評価用フィルムの作成
実施例及び比較例で作成した光硬化性樹脂組成物を、DKW#200KK(商品名:恵和社製、三菱ケミカル社製デュラビオを原料とする厚さ200μmのバイオマスPCフィルム)に乾燥膜厚が3μmとなるように塗工し、恒温槽で80℃×1分乾燥後、高圧水銀ランプで出力1300mW/cm2、積算光量が200mJとなる様に紫外線照射し、評価用フィルムを調製した。
実施例及び比較例で作成した光硬化性樹脂組成物を、DKW#200KK(商品名:恵和社製、三菱ケミカル社製デュラビオを原料とする厚さ200μmのバイオマスPCフィルム)に乾燥膜厚が3μmとなるように塗工し、恒温槽で80℃×1分乾燥後、高圧水銀ランプで出力1300mW/cm2、積算光量が200mJとなる様に紫外線照射し、評価用フィルムを調製した。
密着性:JIS K 5600-5-6のクロスカット法に準拠し、塗工面に1mm間隔で10×10にマス目を作成し、セロハンテープCT-24(商品名:ニチバン社製)を貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認した。剥離せず:100/100を〇、剥離あり:0/100~99/100を×とした。
破断伸度:ハードコートフィルムを横25mm×縦50mmにカットし、Minebia製TechnoGraph TGI-1KNを用い、雰囲気温度130℃、引っ張り速度300mm/分で引っ張り試験を行い、目視で割れを確認し、伸び率が50%未満を×、50~100%を○、100%超を◎とした。
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
(伸びた長さ(mm)/50mm)×100=伸び率%
計算式:50mmを基準として何mm伸びたかで計算。
(伸びた長さ(mm)/50mm)×100=伸び率%
耐布摩耗性:100%綿布による表面摩擦試験(荷重200gf/cm2、ストローク幅50mm、10往復)後に傷の有無を目視観察により評価した。傷なしを○、傷ありを×とし、○を合格とした。
耐薬品性:硬化皮膜にハンドクリーム、ニュートロジーナSPF45(商品名:ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)を塗布し、80℃24時間放置させ、その後室温に戻し、拭き取ったのち表面を観察した。塗布の跡なしを○、跡ありを×とした。
抗ウイルス活性値:ISO 21702:2019のプラーク測定法によって測定した。試験ウイルスとしてはA型インフルエンザウイルスとネコカリシウイルスを用い24時間後のウイルス感染価を測定した。ブランクフィルムとのウイルス感染価の差を抗ウイルス活性値とし2.0超を○、2.0以下を×とした。なおこの評価は、(C)を配合した実施例3及び4のみで実施した。
実施例は密着性、破断伸度、耐布摩耗性、耐薬品性全ての面で問題はなく良好であり、(C)を配合した実施例3及び4は良好な抗ウイルス活性値を示した。
一方、(a1)の代りにPET3Aを用いた比較例1は密着性が劣り、EOの代りにPEGを用いた比較例2は耐布摩耗性と耐薬品性が劣り、ポリイソシアネートにGDAを直接反応させた比較例3及び4は破断伸度が低く、いずれも本願発明に適さないものであった。
Claims (5)
- エチレングリコールとイソホロンジイソシアネートとグリセリン骨格を有する多官能(メタ)アクリレート(a1)とを反応させたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、光重合開始剤(B)と、を含むことを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
- 前記(a1)が、植物由来原料を使用したバイオマスの(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
- 更に抗ウイルス剤(C)を含むことを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物。
- プラスチック基材上に請求項1~3いずれか記載の光硬化性樹脂組成物の硬化層を有することを特徴とする成形用ハードコートフィルム。
- 請求項4記載のハードコートフィルムを用いたプラスチック成形品。
Priority Applications (1)
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