JP2024057470A - 熱処理装置及び金属製部材製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024057470000001
【課題】高程度で金属製部材の機械的強度を向上できる熱処理装置を提供する。
【解決手段】熱処理装置1は、加熱室20と、冷却室80と、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が金属製部材30に浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように加熱室20に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように浸炭ガスを加熱室20内から排気させる第一浸炭工程と、第一浸炭工程後に、冷却室80に収容された金属製部材30を冷却室80に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程と、冷却工程後に、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、加熱室20に浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程とを行う制御装置10とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属製部材に対して熱処理を行う熱処理装置及び金属製部材製造方法に関する。
従来から、金属製部材に対して炉及び熱処理装置を用いて浸炭処理とよばれる熱処理を行うことによって、金属製部材の表面から炭化物を浸入させて金属製部材の機械的強度を向上させる技術が知られている。
これに関し、特許文献1には、金属製部材をオーステナイト化温度以上に加熱した後に金属製部材を冷却し、減圧雰囲気下で金属製部材を浸炭処理する技術が開示されている。
特開2021-42399号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、金属製部材の表面から炭化物を浸入させる際に、金属製部材の表面近傍に炭化物が形成され過ぎることによって金属製部材の機械的強度の向上が抑制されるという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属製部材の機械的強度を向上できる熱処理装置及び金属製部材製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の熱処理装置は、加熱、ガスの流入及び排気、並びに金属製部材の収容が可能な加熱室と、前記加熱室に接続されており、ガスの流入及び排気、並びに前記金属製部材の収容が可能な冷却室と、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを前記加熱室内の圧力が前記金属製部材に前記浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように前記加熱室に流入させた後に、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力未満になるように前記浸炭ガスを前記加熱室内から排気させる第一浸炭工程と、前記第一浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程と、前記冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に前記浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程とを行う制御装置と、を備える。
また、前記制御装置は、前記第一浸炭工程において、前記金属製部材の炭素含有量が所定値である場合のA3変態点温度以上であり、かつ前記金属製部材が炭素を含有しない場合のA3変態点温度未満の温度である第一温度に前記金属製部材を加熱し、前記第二浸炭工程において、前記第一温度よりも高い温度である第二温度に前記金属製部材を加熱する。
また、前記制御装置は、前記第一浸炭工程において、1分以下の期間、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力以上になるように前記加熱室内に前記所定量の前記浸炭ガスを流入させる。
また、前記制御装置は、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱する事前加熱工程と、前記事前加熱工程後に前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に前記冷却ガスを流入及び排気させて冷却する浸炭前冷却工程とを前記第一浸炭工程の前に行う。
また、前記制御装置は、前記第二浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に前記冷却ガスを流入及び排気させて冷却する窒化前冷却工程と、前記窒化前冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に窒化ガスを流入及び排気させる窒化工程とを行う。
また、前記冷却室は、焼き入れ用の油が浸されている油槽を有し、前記制御装置は、前記窒化工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記油槽内の油に浸漬する焼入工程を行う。
また、本発明の金属製部材製造方法は、加熱、ガスの流入及び排気、並びに金属製部材の収容が可能な加熱室と、ガスの流入及び排気、並びに前記金属製部材の収容が可能な冷却室とを備える熱処理装置に収容された前記金属製部材に対して熱処理を行い、炭化された前記金属製部材を製造する金属製部材製造方法であって、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを前記加熱室内の圧力が前記金属製部材に前記浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように前記加熱室に流入させた後に、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力未満になるように前記浸炭ガスを前記加熱室から排気させる第一浸炭工程と、前記第一浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程と、前記冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に前記浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程とを含む。
本発明によれば、金属製部材の機械的強度を向上できる熱処理装置及び金属製部材製造方法を提供できる。
本実施形態に係る熱処理装置の構成を概略的に示す図である。 図1に示す制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 図1に示す制御装置における機能的構成を熱処理装置における他の構成とともに概略的に示す図である。 図1に示す制御装置の一連の処理の流れを示すフローチャートの一例である。 図1に示す制御装置による熱処理における加熱室及び冷却室内の温度及び浸炭ガス及び窒化ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの一例である。 図1に示す制御装置による熱処理における加熱室及び冷却室内の圧力及び浸炭ガス及び窒化ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの他の例である。 図1に示す制御装置による短時間パルス浸炭処理の実行時における加熱室内の圧力及び浸炭ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの一例である。 図1に示す制御装置によって金属製部材に対して熱処理を行った場合における浸炭時間及び金属製部材に形成されるセメンタイト膜厚の関係を示すグラフである。 従来手法によって熱処理を行った金属製部材の表面近傍の断面図の一例である。 図1に示す熱処理装置による熱処理を行った金属製部材の表面近傍の断面図の一例である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の複数の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して重複する説明は省略する。
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る熱処理装置1の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、熱処理装置1は、制御装置10と、加熱室20と、冷却室80と、浸炭ガス容器40と、窒化ガス容器42と、冷却ガス容器45と、ガス制御弁41、43及び46と、ポンプ51、52及び54と、排気制御弁53及び55と、圧力測定部60と、ヒータ電源70と、吸気制御弁92とを含んで主要部が構成される。なお、熱処理装置1としては、例えば真空浸炭装置が挙げられる。
制御装置10は、金属製部材30に対して行う熱処理の制御を行う。制御装置10は、加熱室20の温度測定部23から加熱室20内の温度の測定結果を取得する。また、制御装置10は、圧力測定部60から加熱室20及び冷却室80の内部の圧力の測定結果を取得する。また、制御装置10は、ヒータ22の加熱の実行及び停止に関する制御命令をヒータ電源70に伝達する。また、制御装置10は、冷却室80におけるファン84を駆動するための制御命令をモータ83に伝達する。また、制御装置10は、冷却室80における前扉82の開閉、加熱室20における中扉26の開閉、及び金属製部材30を搬送するための搬送台90の移動を制御するための制御命令を前扉82、中扉26及び搬送台90に伝達する。
また、制御装置10は、ガス制御弁41及び43の開弁及び閉弁を制御することによって、浸炭ガス容器40及び窒化ガス容器42から加熱室20内へのガスの流入、流入の停止及び流入させる場合の流量を制御する。また、制御装置10は、ガス制御弁46及び吸気制御弁92の開弁及び閉弁を制御することによって、冷却ガス容器45から冷却室80内への冷却ガスの流入、冷却室80の外部から冷却室80内への大気の流入、冷却ガス及び大気の流入の停止及び流入させる場合の流量を制御する。また、制御装置10は、排気制御弁53の開弁及び閉弁を制御することによって、加熱室20内から加熱室20外へのガスの排気及び排気の停止を制御する。また、制御装置10は、排気制御弁55の開弁及び閉弁を制御することによって、冷却室80内から冷却室80外へのガスの排気及び排気の停止を制御する。
また、本実施形態では、制御装置10は、制御装置10が予め記憶しているプログラムや制御装置10の操作者からの入力、制御装置10とは異なる外部の装置から伝達される制御信号に基づく制御命令に従って、上述したヒータ電源70、ガス制御弁41、43及び46、排気制御弁53及び55、吸気制御弁92、モータ83、前扉82、中扉26、並びに搬送台90に対する制御を行う。これによって、制御装置10は、加熱室20又は冷却室80に収容された金属製部材30に対して炭素を添加する処理である浸炭処理、及び窒素を添加する処理である窒化処理の制御を行う。
加熱室20は、金属製部材30の収容及び取り出しが可能であり、収容された金属製部材30を加熱する炉である。加熱室20は、例えば、炉壁21と、ヒータ22と、温度測定部23と、ガスを加熱室20内に流入させるための流入口24と、ガスを加熱室20内から排気させるための排気口25と、中扉26とを含んで主要部が構成される。加熱室20は、中扉26を介して冷却室80に接続される。具体的には、中扉26が開放している場合、加熱室20の内部及び冷却室80の内部は、開放している中扉26を介して一つの空間となる。また、加熱室20は、制御装置10によって加熱室20内の温度及び圧力が制御される。また、加熱室20は、温度測定部23によって加熱室20内の温度を測定し、当該温度測定結果を制御装置10に伝達する。
炉壁21は、加熱室20内及び加熱室20炉外を仕切る真空容器であり、金属製部材30を収容するための空間を囲うように加熱室20に設けられている。加熱室20の炉壁21及び冷却室80の炉壁81の接続箇所には、金属製部材30を収容及び取り出しするための中扉26が設けられている。また、炉壁21及び中扉26の内側に、例えばセラミック製の断熱材27が設けられている。断熱材27は、所定の値以下の熱伝導率を有しており、セラミックに限定されず、加熱室20内と外部との間で熱が伝動しにくい素材で形成されている。
ヒータ22は、ヒータ電源70の温度制御に従って加熱室20内を加熱する。ヒータ22は、例えば、円柱状の形状であり、炉壁21の上面から炉壁21の下面に向かって垂直方向に延在するように、加熱室20内に複数設けられる。また、ヒータ22は、基部が炉壁21の上面に接続されており、ヒータ電源70の制御命令を受信できるように形成されている。
ヒータ電源70は、ヒータ22の加熱の実行及び停止を行うための電源である。ヒータ電源70は、制御装置10による動作制御に従って、各ヒータ22における加熱の実行及び停止を制御する。
温度測定部23は、例えば、一端に測定端子を有し、他端に出力端子を有する柱状の熱電対である。温度測定部23は、測定端子によって加熱室20内の温度を測定し、出力端子から当該測定結果を制御装置10に伝達する。温度測定部23は、炉壁21の上面から炉壁21の下面に向かって垂直方向に延在するように加熱室20内に設けられる。
流入口24は、加熱室20外からガスを加熱室20内に流入させるための口であり、炉壁21に設けられる。具体的には、流入口24は、浸炭ガス容器40からガス制御弁41を介して送られる浸炭ガス、又は窒化ガス容器42からガス制御弁43を介して送られる窒化ガスを加熱室20外から加熱室20内に流入させる。なお、本実施形態では、加熱室20は、浸炭ガス及び窒化ガスを兼用する一つの流入口24を有するが、これに限られるものではない。加熱室20は、浸炭ガス及び窒化ガスのそれぞれに対応する複数の流入口24を有していても良い。
浸炭ガス容器40は、浸炭ガスを保存するためのボンベである。浸炭ガス容器40は、ガス制御弁41が開弁している間、ガス制御弁41を介して保存している浸炭ガスを加熱室20の流入口24に送る。また、浸炭ガス容器40は、ガス制御弁41が閉弁している間、浸炭ガスが外部に漏れないように保存する。浸炭ガスは、炭化水素系のガスであり、例えば、エチレンガス(C2H4)やアセチレンガス(C2H2)などである。
窒化ガス容器42は、窒化ガスを保存するためのボンベである。窒化ガス容器42は、ガス制御弁43が開弁している間、ガス制御弁43を介して保存している窒化ガスを加熱室20の流入口24に送る。また、窒化ガス容器42は、ガス制御弁43が閉弁している間、窒化ガスが外部に漏れないように保存する。窒化ガスは、窒素系のガスであり、例えば、アンモニアガスなどである。
ガス制御弁41及び43は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量のガスを加熱室20の流入口24に流入させるためのバルブである。ガス制御弁41は、一端が配管を通じて浸炭ガス容器40に接続され、他端が配管を通じて加熱室20の流入口24に接続されている。すなわち、ガス制御弁41は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量の浸炭ガスを加熱室20の流入口24に流入させる。また、ガス制御弁43は、一端が配管を通じて窒化ガス容器42に接続され、他端が配管を通じて加熱室20の流入口24に接続されている。すなわち、ガス制御弁43は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量の窒化ガスを加熱室20の流入口24に流入させる。
排気口25は、加熱室20内からガスを加熱室20外に排気させるための口であり、炉壁21に設けられる。具体的には、排気口25は、ポンプ51及びポンプ52によって、排気制御弁53を介して加熱室20内のガスを加熱室20外に排気させる。排気口25は、加熱室20内から所定量の流量のガスを加熱室20外に排気できるだけの太さを有している。
中扉26は、金属製部材30の冷却室80からの取り出し及び加熱室20への収容、並びに金属製部材30の加熱室20からの取り出し及び冷却室80への収容を行うための扉である。中扉26は、炉壁21における冷却室80との接続箇所に設けられる。また、中扉26は、制御装置10の動作制御に従って、開閉動作を行う。
ポンプ51は、加熱室20内を真空にするための真空ポンプであり、加熱室20の排気口25から排気制御弁53及びポンプ52を介して送られてくるガスを熱処理装置1の外部に排気する。ポンプ51は、一端が配管を通じてポンプ52の他端に接続され、他端が配管を通じて熱処理装置1の外部に通じる。
ポンプ52は、加熱室20内を真空にするための真空ポンプであり、ポンプ51による加熱室20からガスの外部への排気を補助する。ポンプ52は、加熱室20の排気口25から排気制御弁53を介して送られてくるガスをポンプ51に送る。ポンプ52は、一端が配管を通じて加熱室20の排気制御弁53に接続され、他端が配管を通じてポンプ51の一端に接続される。
排気制御弁53は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量のガスを加熱室20の排気口25から排気させるためのバルブである。排気制御弁53は、一端が配管を通じて加熱室20の排気口25に接続され、他端が配管を通じてポンプ52の一端に接続される。
圧力測定部60は、加熱室20及び冷却室80内の圧力を測定し、当該測定結果を制御装置10に伝達する。圧力測定部60は、加熱室20及び冷却室80の外部に設けられ、加熱室20の炉壁21と冷却室80の炉壁81とに設けられた圧力測定のための孔部64と配管を通じ接続されている。
冷却室80は、金属製部材30の収容及び取り出しが可能であり、収容された金属製部材30を冷却ガス又は焼入れ油により冷却する真空容器である。冷却室80は、例えば、炉壁81と、前扉82と、ガス冷空間85と、油槽86と、冷却ガスを冷却室80内に流入させるための流入口44と、冷却ガスを攪拌するためのファン84と、ファン84を駆動するためのモータ83と、ガスを冷却室80内から排気させるための排気口87と、熱処理装置1外から大気を冷却室80内に流入させるための吸気口91と、金属製部材30の冷却室80及び加熱室20への収容及び取り出し並びに油槽86への浸漬を行うための搬送台90とを含んで主要部が構成される。
炉壁81は、冷却室80内及び冷却室80外を仕切る壁であり、ガス冷空間85及び油槽86を囲うように冷却室80に設けられている。炉壁81は、真空に耐えられる強度を所有する金属素材で形成されている。また、炉壁81は、金属製部材30の収容及び外部への取り出しを行うための前扉82を有する。また、上述したように、炉壁21及び炉壁81の接続箇所には、中扉26が設けられている。
ガス冷空間85は、金属製部材30を冷却ガスによって冷却するための空間であり、冷却室80における上部側に設けられる。ガス冷空間85は、下部が油槽86に連通されている。また、ガス冷空間85は、炉壁81の前扉82を介して熱処理装置1の外部に接続され、中扉26を介して加熱室20に接続される。また、ガス冷空間85は、流入口44を介してガス制御弁46に接続され、吸気口91を介して吸気制御弁92に接続され、排気口87を介して排気制御弁55に接続される。また、ガス冷空間85は、孔部64を介して圧力測定部60に接続される。
油槽86は、金属製部材30を焼き入れ油によって焼き入れ工程を行うための空間であり、焼き入れ用の油が浸されている。
前扉82は、金属製部材30の熱処理装置1の外部から冷却室80への収容、及び金属製部材30の冷却室80から熱処理装置1の外部への取り出しを行うための扉であり、ガス冷空間85を囲う炉壁81に設けられる。前扉82は、制御装置10の動作制御に従って、開閉動作を行う。
流入口44は、冷却室80外からガスを冷却室80内に流入させるための口であり、ガス冷空間85を囲う炉壁81に設けられる。具体的には、流入口44は、冷却ガス容器45からガス制御弁46を介して送られる冷却ガスを冷却室80外から冷却室80のガス冷空間85に流入させる。
冷却ガス容器45は、冷却ガスを保存するためのボンベである。冷却ガス容器45は、ガス制御弁46が開弁している間、ガス制御弁46を介して保存している冷却ガスを冷却室80の流入口44に送る。また、冷却ガス容器45は、ガス制御弁46が閉弁している間、冷却ガスが外部に漏れないように保存する。冷却ガスは、例えば、窒素ガスやアルゴンなどの不活性ガスが望ましい。
モータ83は、ファン84の送風の実行及び停止を行うための電源である。モータ83は、制御装置10による動作制御に従って、ファン84による送風の実行及び停止を制御する。
ファン84は、冷却室80内の空気を対流させるためのファンであり、冷却室80のガス冷空間85に設けられる。ファン84は、モータ83の動作制御に従って送風を実行し、冷却室80内の空気を対流させる。
吸気口91は、冷却室80外から大気を冷却室80内に流入させるための口であり、ガス冷空間85を囲う炉壁81に設けられる。具体的には、吸気口91は、冷却室80外から吸気制御弁92を介して送られる大気を冷却室80のガス冷空間85に流入させる。
吸気制御弁92は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量の大気を吸気口91から冷却室80内に吸気させるためのバルブである。吸気制御弁92は、一端が配管を通じて冷却室80の吸気口91に接続され、他端が配管を通じて熱処理装置1の外部に通じる。
排気口87は、冷却室80内からガスを冷却室80外に排気させるための口であり、ガス冷空間85を囲う炉壁81に設けられる。具体的には、排気口87は、ポンプ54によって、排気制御弁55を介して冷却室80のガスを冷却室80外に排気させる。
ポンプ54は、冷却室80内を真空にするための真空ポンプであり、冷却室80の排気口87から排気制御弁55を介して送られてくるガスを熱処理装置1の外部に排気する。ポンプ54は、一端が配管を通じて排気制御弁55に接続され、他端が配管を通じて熱処理装置1の外部に通じる。
排気制御弁55は、制御装置10の動作制御に従って、所定の流量のガスを冷却室80の排気口87から排気させるためのバルブである。排気制御弁55は、一端が配管を通じて冷却室80の排気口87に接続され、他端が配管を通じてポンプ54の一端に接続される。
搬送台90は、ガス冷空間85と油槽86と加熱室20との間で、搬送台90に載置された金属製部材30を移動させるための機構である。搬送台90は、制御装置10による動作制御に従って、ガス冷空間85と油槽86との間を移動する。また、搬送台90は、制御装置10による動作制御に従って、開放状態の中扉26を介してガス冷空間85と加熱室20との間を移動する。
<ハードウェア構成>
図2は、図1に示す制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、制御装置10は、例えば、記憶装置11と、CPU(Central Processing Unit)12と、メモリ13と、通信装置14と、入出力装置15とを含んで主要部が構成される。
記憶装置11は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置11は、CPU12における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
CPU12は、メモリ13或いは記憶装置11等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能手段として機能する。この機能手段の詳細については後述する。
メモリ13は、所定のプログラムや、CPU12が所定のプログラムを実行する際に必要なデータなどを一時的に記憶する。
通信装置14は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置14は、例えば、ガス制御弁41、43及び46、排気制御弁53及び55、吸気制御弁92、ヒータ電源70、モータ83、前扉82、中扉26、並びに搬送台90に制御信号を送信する。また、通信装置14は、例えば、温度測定部23及び圧力測定部60から対応する測定結果を含む信号を受信する。また、通信装置14は、例えば、熱処理装置1の制御装置10とは異なる装置の間で各種の情報を送受信する。
入出力装置15は、制御装置10の操作者が制御装置10に対して操作を行うための入力を受け付けるとともに、制御装置10に関する情報を操作者に対して表示する。具体的には、入出力装置15は、操作者による制御装置10に対する各種命令(金属製部材30に対する浸炭処理及び窒化処理の実行や実行中の処理の状況の表示など)を受け付ける。また、入出力装置15は、金属製部材30に対する浸炭処理及び窒化処理など実行中の処理の状況を操作者に対して表示する。
なお、制御装置10は、専用又は汎用のコンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。また、制御装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。また、図2は、制御装置10が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、制御装置10は、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えても良い。
<機能的構成>
図3は、図1に示す制御装置10の機能的構成の一例を、熱処理装置1における他の構成とともに示す図である。図3に示すように、制御装置10は、機能的構成として、温度取得部110と、圧力取得部120と、ヒータ調整部130と、浸炭ガス調整部132と、排気調整部134と、窒化ガス調整部136と、搬送調整部140と、冷却ガス調整部150と、ファン調整部152と、吸気調整部154と、制御部170と、入出力部180と、記憶部190とを含んで構成される。記憶部190以外の機能的構成は、CPU12がプログラムをメモリ13上に展開して実行することにより実現される。記憶部190は、記憶装置11又は/及びメモリ13により実現される。
温度取得部110は、加熱室20の温度測定部23から送信される加熱室20内の温度の測定結果を取得する。温度取得部110は、取得した加熱室20内の温度の測定結果を制御部170及びヒータ調整部130に伝達する。
圧力取得部120は、圧力測定部60から送信される加熱室20及び冷却室80内の圧力の測定結果を取得する。圧力取得部120は、取得した加熱室20及び冷却室80内の圧力の測定結果を制御部170に伝達する。
ヒータ調整部130は、制御部170から伝達される制御命令に従って、温度取得部110から伝達される加熱室20内の温度の測定結果、及び制御部170から伝達される加熱室20内に対する設定温度を参照し、加熱室20内の温度が設定温度になるように、ヒータ電源70による加熱室20内の加熱及び当該加熱の停止の動作を調整する。
浸炭ガス調整部132は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ制御部170から伝達される流量の浸炭ガスを浸炭ガス容器40から流入口24を介して加熱室20内に流入させるように、ガス制御弁41の開弁及び閉弁の動作を調整する。
窒化ガス調整部136は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ制御部170から伝達される流量の窒化ガスを窒化ガス容器42から流入口24を介して加熱室20内に流入させるように、ガス制御弁43の開弁及び閉弁の動作を調整する。
冷却ガス調整部150は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ制御部170から伝達される流量の冷却ガスを冷却ガス容器45から冷却室80内に流入させるように、ガス制御弁46の開弁及び閉弁の動作を調整する。
吸気調整部154は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ制御部170から伝達される流量の大気を熱処理装置1の外部から冷却室80内に流入させるように、吸気制御弁92の開弁及び閉弁の動作を調整する。
ファン調整部152は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ制御部170から伝達される回転速度で回転するように、モータ83の送風、及び送風の停止の動作を調整する。
排気調整部134は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ加熱室20内のガスを排気口25から加熱室20外に排気させるように、排気制御弁53の開弁及び閉弁の動作を調整する。また、排気調整部134は、制御部170から伝達される制御命令に従って、制御部170から伝達される時間だけ冷却室80内のガスを排気口87から冷却室80外に排気させるように、排気制御弁55の開弁及び閉弁の動作を調整する。
搬送調整部140は、制御部170から伝達される制御命令に従って、前扉82及び中扉26の開閉動作、搬送台90のガス冷空間85及び油槽86の間の移動の動作、並びに搬送台90のガス冷空間85及び加熱室20の間の移動の動作を調整する。
制御部170は、温度取得部110から加熱室20内の温度の測定結果、圧力取得部120から加熱室20及び冷却室80内の圧力の測定結果、及び入出力部180からの制御命令を受け付ける。制御部170は、記憶部190に記憶されているプログラム又は入出力部180から受け付けた制御命令に従って、加熱室20及び冷却室80に収容された金属製部材30に対して浸炭処理及び窒化処理を行うために、ヒータ調整部130、浸炭ガス調整部132、窒化ガス調整部136、冷却ガス調整部150、排気調整部134、ファン調整部152及び搬送調整部140に制御命令及び制御に必要な各種情報を伝達する。
また、制御部170は、浸炭処理として、事前加熱工程、浸炭前冷却工程、第一浸炭工程、冷却工程、第二浸炭工程、窒化前冷却工程、窒化工程、焼入工程の順に各工程を実行する。なお、窒化前冷却工程及び窒化工程については、省略されてもよい。また、事前加熱工程に関しては、他の装置で実施しても構わない。制御部170は、浸炭処理及び窒化処理における各工程を行うための機能的構成として、第一浸炭工程を行うための第一浸炭工程部171と、冷却工程を行うための冷却工程部172と、第二浸炭工程を行うための第二浸炭工程部173と、事前加熱工程を行うための事前加熱工程部174と、浸炭前冷却工程を行うための浸炭前冷却工程部175と、窒化前冷却工程を行うための窒化前冷却工程部176と、窒化工程を行うための窒化工程部177と、焼入工程を行うための焼入工程部178とを含んで構成される。なお、第一浸炭工程、冷却工程、第二浸炭工程、事前加熱工程、浸炭前冷却工程、窒化前冷却工程、窒化工程及び焼入工程の詳細については、追って図4~図8を参照しつつ説明するため、ここではその説明を省略する。
事前加熱工程部174は、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱する事前加熱工程を行う。事前加熱工程部174は、事前加熱工程を実行するために、適宜、ヒータ調整部130、吸気調整部154、排気調整部134及び搬送調整部140を制御する。また、事前加熱工程部174は、事前加熱工程の実行後に、事前加熱工程が完了したことを浸炭前冷却工程部175に伝達する。
浸炭前冷却工程部175は、事前加熱工程後に、冷却室80に収容された金属製部材30を冷却室80に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する浸炭前冷却工程を行う。浸炭前冷却工程部175は、浸炭前冷却工程を実行するために、適宜、冷却ガス調整部150、ファン調整部152、排気調整部134、吸気調整部154及び搬送調整部140を制御する。また、浸炭前冷却工程部175は、浸炭前冷却工程の実行後に、浸炭前冷却工程が完了したことを第一浸炭工程部171に伝達する。
第一浸炭工程部171は、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が金属製部材30に浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように加熱室20内に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように浸炭ガスを加熱室20内から排気させる第一浸炭工程を行う。第一浸炭工程部171は、第一浸炭工程を実行するために、適宜、ヒータ調整部130、浸炭ガス調整部132、排気調整部134及び搬送調整部140を制御する。
冷却工程部172は、第一浸炭工程後に、冷却室80のガス冷空間85に収容された金属製部材30を冷却室80に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程を行う。冷却工程部172は、冷却工程を実行するために、適宜、冷却ガス調整部150、ファン調整部152、排気調整部134、吸気調整部154及び搬送調整部140を制御する。また、冷却工程部172は、冷却工程の実行後に、冷却工程が完了したことを第二浸炭工程部173に伝達する。
第二浸炭工程部173は、冷却工程後に、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、加熱室20に浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程を行う。第二浸炭工程部173は、第二浸炭工程を実行するために、適宜、ヒータ調整部130、浸炭ガス調整部132、排気調整部134及び搬送調整部140を制御する。また、第二浸炭工程部173は、第二浸炭工程の実行後に第二浸炭工程が完了したことを窒化前冷却工程部176に伝達する。
窒化前冷却工程部176は、第二浸炭工程後に、冷却室80に収容された金属製部材30を冷却室80に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する窒化前冷却工程を行う。窒化前冷却工程部176は、窒化前冷却工程を実行するために、適宜、冷却ガス調整部150、ファン調整部152、排気調整部134、吸気調整部154及び搬送調整部140を制御する。また、窒化前冷却工程部176は、窒化前冷却工程の実行後に、窒化前冷却工程が完了したことを窒化工程部177に伝達する。
窒化工程部177は、窒化前冷却工程後に、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、加熱室20に窒化ガスを流入及び排気させる加熱する窒化工程を行う。窒化工程部177は、窒化工程を実行するために、適宜、ヒータ調整部130、窒化ガス調整部136、排気調整部134及び搬送調整部140を制御する。また、窒化工程部177は、窒化工程の実行後に窒化工程が完了したことを焼入工程部178に伝達する。
焼入工程部178は、窒化工程後に、冷却室80の油槽86に金属製部材30を浸すことによって油焼き入れを行う焼入工程を行う。焼入工程部178は、焼入工程において、適宜、冷却ガス調整部150、ファン調整部152、排気調整部134、吸気調整部154及び搬送調整部140を制御する。
入出力部180は、制御装置10の操作者による制御装置10に対する各種命令を受け付け、受け付けた命令を制御部170に伝達する。また、入出力部180は、制御部170から伝達される情報を画面表示や音などによって操作者に対して出力する。
記憶部190は、制御部170から伝達される加熱室20及び冷却室80内の温度や圧力の時間遷移など金属製部材30に対する浸炭処理及び窒化処理における加熱室20及び冷却室80内の各種情報を記憶する。
<一連の処理の流れの一例>
以上、制御装置10の機能的構成について説明した。次に、制御装置10の一連の処理の流れについて、図4及び図5Aを参照しつつ説明する。図4は、図1に示す制御装置10の一連の処理の流れを示すフローチャートの一例である。図5Aは、図1に示す制御装置10による熱処理における加熱室20及び冷却室80内の温度及び浸炭ガス及び窒化ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの一例である。また、以下の処理の順番及び内容は適宜変更することができる。なお、本例においては、制御装置10において浸炭処理を行う前の金属製部材30は、高合金鋼で形成されているものと仮定する。また、本例においては、浸炭ガスには、アセチレンガスを使用するものと仮定する。
(ステップSP10)
制御装置10は、事前加熱工程部174によって事前加熱工程を実行する。具体的には、制御装置10は、事前加熱工程部174によって、排気制御弁55を閉弁した後、吸気制御弁92を開弁して冷却室80内の圧力を大気と略同圧にした後に、前扉82を開放する。また、制御装置10は、冷却室80内に前扉82を介して金属製部材30が収容された後に、事前加熱工程部174によって、吸気制御弁92を閉弁し、前扉82を閉止して、排気制御弁55を開弁し、冷却室80内の圧力が加熱室20と略同圧になるまで排気する。さらに、制御装置10は、冷却室80内の圧力が加熱室20と略同圧に達した後に、事前加熱工程部174によって、中扉26を開放し、金属製部材30が載置された搬送台90をガス冷空間85から加熱室20に移動させることによって加熱室20に収容し、中扉26を閉止する。続いて、制御装置10は、事前加熱工程部174によって排気制御弁55を閉弁し、ガス制御弁43を開弁することで、冷却室80内を冷却ガスで充填し、加熱室20と冷却室80の間に差圧を生じせしめ、中扉26を圧力差によって封止する。
続いて、制御装置10は、中扉26の封止後、加熱室20内の温度が第一温度になるようにヒータ電源70を制御して、加熱室20内及び加熱室20内に収容された金属製部材30を加熱する。ここで、第一温度は、金属製部材30の炭素含有量が所定値(本例では0.2%)である場合のA3変態点温度(850℃)以上であり、かつ金属製部材30が炭素を含有しない場合のA3変態点温度(即ち910℃)未満の温度である。第一温度は、上記条件を満たす範囲で可能な限り低い温度であることが望ましく、本例では、850℃である。図5Aを参照して、図5Aにおいて、事前加熱工程は、事前加熱工程部174によって、時刻0分から時刻80分頃まで実行される。図5Aに示す通り、加熱室20内及び金属製部材30は、制御装置10の制御のもとヒータ電源70によって第一温度である850℃まで加熱された後、60分ほど第一温度である850℃に維持される。図4に戻って、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
(ステップSP12)
制御装置10は、浸炭前冷却工程部175によって浸炭前冷却工程を実行する。具体的には、制御装置10は、浸炭前冷却工程部175によって、ヒータ調整部130を制御してヒータ電源70による加熱を停止させる。また、制御装置10は、浸炭前冷却工程部175によって、排気制御弁53を開弁させて、冷却室80内の圧力が加熱室20内の同圧になるまで冷却ガスを冷却室80外に排気させる。制御装置10は、冷却室80内の圧力が加熱室20内の圧力と同圧になった後、浸炭前冷却工程部175によって、中扉26を開放し、金属製部材30が載置された搬送台90を加熱室20から冷却室80に移動させることによって、金属製部材30を冷却室80に収容し、中扉26を閉じる。
続いて、制御装置10は、金属製部材30を冷却室80のガス冷空間85に収容した後、浸炭前冷却工程部175によって、ガス制御弁43及び排気制御弁55を制御して冷却室80内を大気圧以下の圧力まで冷却ガスで満たす。続いて、制御装置10は、冷却室80が冷却ガスで満たされた後、浸炭前冷却工程部175によって、ファン84を駆動し、冷却室80内を冷却ガスで攪拌し、冷却室80内及び金属製部材30を冷却する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、浸炭前冷却工程は、浸炭前冷却工程部175によって、時刻80分頃から時刻110分頃まで実行される。図5Aに示す通り、冷却室80内及び金属製部材30は、時刻80分頃から時刻110分頃にかけて、冷却ガスの冷却室80内への流入及び冷却室80外への排気によって500℃以下に冷却される。図4に戻って、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
(ステップSP14)
制御装置10は、第一浸炭工程部171によって第一浸炭工程を開始する。具体的には、まず制御装置10は、事前加熱工程における前扉82を閉止した後の動作と同様の動作で、金属製部材30を冷却室80から取り出して、加熱室20内に収容し、中扉26を封止する。続いて、制御装置10は、中扉26を封止した後、加熱室20内の温度が第一温度になるようにヒータ電源70を制御して、加熱室20内及び加熱室20内に収容された金属製部材30を第一温度に加熱する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻120分で、第一浸炭工程部171によって第一浸炭工程が開始される。図5Aに示す通り、加熱室20内及び金属製部材30は、制御装置10の制御のもとヒータ電源70によって第一温度である850℃まで加熱された後、850℃で温度が維持される。図4に戻って、処理は、ステップSP16の処理に移行する。
(ステップSP16)
制御装置10は、第一浸炭工程部171によって、第一浸炭工程において、短時間パルス浸炭処理を実行する。具体的には、制御装置10は、第一浸炭工程部171によって、所定周期で、所定量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が金属製部材30に浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように加熱室20内に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように浸炭ガスを加熱室20内から排気させる。所定圧力は、浸炭ガスがアセチレンガスである場合、100Paであり、浸炭ガスがエチレンガスである場合、1000Paである。本例では、浸炭ガスがアセチレンガスであるため、所定圧力は、100Paである。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻210分頃から時刻300分まで、第一浸炭工程部171によって短時間パルス浸炭処理が実行される。なお、短時間パルス浸炭処理において、平均25l/分の流量の浸炭ガスが加熱室20内に流入され加熱室20内から加熱室20外に排気される。
ここで、図6を参照しつつ、短時間パルス浸炭処理の詳細について説明する。図6は、図1に示す制御装置10による短時間パルス浸炭処理の実行時における加熱室20内の圧力及び浸炭ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの一例である。図6に示すように、制御装置10は、短時間パルス浸炭処理において、所定周期(本例では40秒)で、所定量(本例では100l/分)の量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が所定圧力(本例では100Pa)以上になるように加熱室20内に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように加熱室20内から排気させる。
具体的には、時刻t1で、制御装置10は、排気調整部134によって加熱室20内のガスを排気させて、加熱室20内の圧力をより真空度が高い状態(本例では14Pa)にする。
時刻t2で、制御装置10は、排気調整部134による加熱室20内からの排気を停止するとともに、浸炭ガス調整部132によって、浸炭ガス容器40から所定量(本例では100l/分)の浸炭ガスを10秒間加熱室20内に流入させる。時刻t2で、加熱室20内の圧力は、浸炭ガスの流入により上昇し始める。
時刻t3で、加熱室20内の圧力は、200Paに到達する。時刻t3で、制御装置10は、浸炭ガス調整部132による浸炭ガスの加熱室20内への流入を停止させるとともに、排気調整部134によって、加熱室20内の圧力が所定圧力(100Pa)未満になるように、加熱室20内から浸炭ガスを加熱室20外に30秒間排気させる。
時刻t3から時刻t4にかけて、加熱室20内の圧力は、一旦230Pa付近まで上昇したのちに、29Pa付近まで下降する。
時刻t4で、加熱室20内の圧力は、29Paに到達する。時刻t4及びt5では、制御装置10は、それぞれ時刻t2及びt3と同様の処理を行い、短時間パルス浸炭処理を終了する。
なお、本例では、制御装置10は、短時間パルス浸炭処理を行う際、40秒の周期で、100l/分の流量の浸炭ガスを10秒間加熱室20内に流入させた後に浸炭ガスを30秒間加熱室20内から加熱室20外に排気することによって、平均25l/分の流量の浸炭ガスを加熱室20内に対して流入させ加熱室20内から排気させるがこれに限られるものではない。制御装置10は、短時間パルス浸炭処理を行う際、5秒以上かつ1分以下の期間、加熱室20内の圧力が所定圧力以上になるように加熱室20内に所定量の浸炭ガスを流入させても良い。なお、短時間パルス浸炭処理における浸炭ガスの浸炭時間は、望ましくは30秒である。なお、加熱室20内の圧力を所定圧力以上にするためには、浸炭時間が短いほど多くの量のガスを流入させる必要があり、浸炭時間が長い少量のガスの流入で足りる。一度に流入可能なガスの量などを加味すると、短時間パルス浸炭処理において、短時間パルス浸炭時間の下限は、5秒が望ましい。
また、第一浸炭工程において、短時間パルス浸炭間の拡散時間、及び短時間パルス浸炭の総処理時間は、第一浸炭工程後における金属製部材30の表面炭素濃度が鋼の共析点(0.67%)になるように調整されることが望ましい。第一浸炭工程終了後の炭素濃度が共析点を上回る場合、金属製部材30の表面にセメンタイト層が形成され易くなり、セメンタイト層の下地の金属部分が引張による塑性変形を生じる可能性がある一方で。金属製部材30の表面炭素濃度が低い場合、結晶粒成長に対するピン止め効果が得にくいためである。
さらに、短時間パルス浸炭処理を行う際の浸炭ガスを流入させる時間である浸炭時間について、図7を参照しつつ説明する。図7は、図1に示す制御装置10によって金属製部材30に対して熱処理を行った場合における浸炭時間及び金属製部材30に形成されるセメンタイト膜厚の関係を示すグラフである。
金属製部材30に対して浸炭処理を行うと、金属製部材30の表面にセメンタイト膜厚が形成される。図7には、金属製部材30の温度が930℃、980℃、1040℃の場合における浸炭時間に対して形成されるセメンタイト膜厚の厚さが示されている。図7に示すように、浸炭時間が長くなるほど、金属製部材30に形成されるセメンタイト膜厚の厚さは、厚くなる。炭素の侵入により膨張したセメンタイト層の下部に引張応力が生じ、セメンタイト膜厚が、0.4um以上の厚さになると、セメンタイト層の下地の金属部分が引張による塑性変形を生じ始める。図7に示すように、浸炭時間が1分の場合、金属製部材30に形成されるセメンタイト膜厚は、およそ0.3um~0.7umの厚さとなる。したがって、短時間パルス浸炭処理において、パルス浸炭時間の上限は、1分が望ましい。
図4に戻って、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
(ステップSP18)
制御装置10は、第一浸炭工程の後に、冷却工程部172によって、冷却工程を開始する。具体的には、制御装置10は、冷却工程部172によって、浸炭前冷却工程と同様の動作で、第一浸炭工程を終えた金属製部材30を加熱室20から取り出して冷却室80のガス冷空間85に収容する。続いて、制御装置10は、冷却工程部172によって、浸炭前冷却工程と同様の動作で金属製部材30を冷却する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、冷却工程は、冷却工程部172によって、時刻300分頃から時刻330分頃まで実行される。図5Aに示す通り、冷却室80内及び金属製部材30は、時刻300分頃から時刻330分頃にかけて、冷却ガスの冷却室80内への流入及び冷却室80外への排気によって500℃以下に冷却される。図4に戻って、処理は、ステップSP20の処理に移行する。
(ステップSP20)
制御装置10は、第二浸炭工程部173によって第二浸炭工程を開始する。具体的には、まず制御装置10は、事前加熱工程における前扉82を閉止した後の動作と同様の動作で、金属製部材30を冷却室80のガス冷空間85から取り出して、加熱室20内に収容し、中扉26を封止する。続いて、制御装置10は、中扉26を封止した後、第二浸炭工程部173によって、加熱室20内を第一温度より高い第二温度になるようにヒータ電源70を制御して、加熱室20内に収容された金属製部材30を第二温度に加熱する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻340分頃で、第二浸炭工程部173によって第二浸炭工程が開始される。図5Aに示す通り、加熱室20内及び金属製部材30は、制御装置10の制御のもとヒータ電源70によって第三温度である1030℃まで加熱された後、1030℃で温度が維持される。図4に戻って、処理は、ステップSP22の処理に移行する。
(ステップSP22)
制御装置10は、第二浸炭工程部173によって、第二浸炭工程において、パルス浸炭処理を実行する。具体的には、制御装置10は、第二浸炭工程部173によって、加熱室20内に流入させる浸炭ガスの流量が時間経過とともに徐々に減るように、所定周期で、浸炭ガスの加熱室20内への流入及び浸炭ガスの加熱室20内から加熱室20外への排気を行う。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻480分頃から時刻680分頃まで、第二浸炭工程部173によってパルス浸炭処理が実行される。時刻480分頃で、第二浸炭工程部173によって加熱室20内に流入される浸炭ガスの流量は、約20l/分である。時刻680分頃で、第二浸炭工程部173によって加熱室20内に流入される浸炭ガスの流量は、約5l/分である。図4に戻って、処理は、ステップSP24の処理に移行する。
(ステップSP24)
制御装置10は、第二浸炭工程の後に、窒化前冷却工程部176によって、窒化前冷却工程を開始する。具体的には、制御装置10は、窒化前冷却工程部176によって、浸炭前冷却工程と同様の動作で、第二浸炭工程を終えた金属製部材30を加熱室20から取り出して冷却室80のガス冷空間85に収容する。続いて、制御装置10は、窒化前冷却工程部176によって、浸炭前冷却工程と同様の動作で金属製部材30を冷却する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、冷却工程は、窒化前冷却工程部176によって、時刻700分頃から時刻720分頃まで実行される。図5Aに示す通り、冷却室80内及び金属製部材30は、時刻700分頃から時刻7230分頃にかけて、冷却ガスの冷却室80内への流入及び冷却室80外への排気によって500℃以下に冷却される。図4に戻って、処理は、ステップSP26の処理に移行する。
(ステップSP26)
制御装置10は、窒化工程部177によって窒化工程を開始する。具体的には、まず制御装置10は、事前加熱工程における前扉82を閉止した後の動作と同様の動作で、金属製部材30を冷却室80のガス冷空間85から取り出して、加熱室20内に収容し、中扉26を封止する。続いて、制御装置10は、中扉26を封止した後、窒化工程部177によって、加熱室20内を第一温度より高い第三温度になるようにヒータ電源70を制御して、加熱室20内に収容された金属製部材30を第三温度に加熱する。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻730分頃で、窒化工程部177によって窒化工程が開始される。図5Aに示す通り、加熱室20内及び金属製部材30は、制御装置10の制御のもとヒータ電源70によって第三温度である880℃まで加熱された後、880℃で温度が維持される。図4に戻って、処理は、ステップSP28の処理に移行する。
(ステップSP28)
制御装置10は、窒化工程部177によって、窒化工程において、窒化処理を実行する。具体的には、制御装置10は、窒化工程部177によって、加熱室20内に対して所定の流量の窒化ガスを流入及び排気させる。図5Aを参照して、図5Aにおいて、時刻1010分頃から時刻1090分頃まで、窒化工程部177によって窒化処理が実行される。窒化工程部177によって加熱室20内に流入される窒化ガスの流量は、約25l/分である。なお、窒化工程部177は、窒化工程において、窒化ガスをパルス浸炭のようにパルスによって所定の周期で加熱室20内に流入及び排気させても良い。図4に戻って、処理は、ステップSP30の処理に移行する。
(ステップSP30)
制御装置10は、窒化工程後に、焼入工程部178によって、焼入工程を実行する。具体的には、制御装置10は、焼入工程部178によって、冷却室80内に対する圧力を焼入工程用の圧力に設定することを除いて、浸炭前冷却工程と同様の動作で、窒化工程を終えた金属製部材30を加熱室20から取り出して冷却室80のガス冷空間85に収容する。ここで、焼入工程における設定圧力は、大気圧と充填圧力の差が少ない場合に焼入工程に用いる油槽86内の油の沸騰により前扉82の封止が破れることを抑制するために、大気圧-20kPa程度が望ましい。続いて、制御装置10は、焼入工程部178によって、金属製部材30が載置された搬送台90をガス冷空間85から油槽86の中に移動させることによって、金属製部材30を油槽86内の油に浸漬し、油焼入れを行う。図5Aを参照して、図5Aにおいて、制御部170によって、時刻1180分頃から焼入工程が開始される。図5Aに示す通り、加熱室20内及び金属製部材30は、時刻1080分頃から時刻1200分頃にかけて、油焼入れによって油の設定温度まで冷却される。図4に戻って、図4に示す一連の処理は、終了する。
図8Aは、従来手法によって熱処理を行った金属製部材30の表面近傍の断面図の一例である。また、図8Bは、図1に示す制御装置10による熱処理を行った金属製部材30の表面近傍の断面図の一例である。図8Aに示すように、従来手法によって熱処理を行った金属製部材30の断面810には、表面にあたる左辺に炭化物であるセメンタイトが形成されており、それに伴って形成された積層欠陥に沿って炭化物が析出している。これに対して、図8Bに示すように、制御装置10による熱処理を行った金属製部材30の断面820には、表面にあたる左辺に炭化物であるセメンタイトの形成が抑制されており、それに伴って積層欠陥も形成されず、炭化物の析出も粒界近傍のみに抑制されている。
<効果>
以上、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、第二浸炭工程を行う前に、金属製部材30を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が金属製部材30に浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように加熱室20内に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように浸炭ガスを加熱室20内から排気させる第一浸炭工程を行う。また、熱処理装置1は、制御装置10によって、第一浸炭工程の後に、冷却室80で金属製部材30を冷却させる冷却工程を行い、冷却工程の後に浸炭ガスを加熱室20内に流入及び排気させる第二浸炭工程を行う。したがって、熱処理装置1は、高程度で金属製部材30の機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、金属製部材30の炭素含有量が所定値である場合のA3変態点温度以上であり、かつ金属製部材30が炭素を含有しない場合のA3変態点温度未満の温度である第一温度に金属製部材30を加熱する。また、熱処理装置1は、制御装置10によって、第一温度よりも高い温度である第二温度に金属製部材30を加熱する。したがって、熱処理装置1は、さらに高程度で金属製部材30の機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、1分以下の期間、加熱室20内の圧力が所定圧力以上になるように加熱室20内に所定量の浸炭ガスを流入させる。したがって、熱処理装置1は、さらに高程度で金属製部材30の機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱する事前加熱工程を行い、冷却室80に収容された金属製部材30を冷却する浸炭前冷却工程を行い、浸炭前冷却工程後に第一浸炭工程を行う。したがって、熱処理装置1は、別の処理装置を用いずとも事前加熱工程及び浸炭前冷却工程及を含む熱処理工程を行うことができ、高温の金属製部材30を大気にさらすことがないため、金属製部材30の酸化劣化を生じることなく機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、第二浸炭工程後に、冷却室80に収容された金属製部材30を冷却する窒化前冷却工程を行い、窒化前冷却工程後に、加熱室20に収容された金属製部材30を加熱し、加熱室20に窒化ガスを流入及び排気させる窒化工程を行う。したがって、熱処理装置1は、別の処理装置を用いずとも窒化処理を含む熱処理工程を行うことができ、高温の金属製部材30を大気にさらすことがないため、金属製部材30の酸化劣化を生じることなく機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、冷却室80は、焼き入れ用の油が浸されている油槽86を有する。また、熱処理装置1は、制御装置10によって、窒化工程後に、冷却室80に収容された金属製部材30を油槽86内の油に浸漬する焼入工程を行う。したがって、熱処理装置1は、別の処理装置を用いずとも焼入工程を含む熱処理工程を行うことができ、高温の金属製部材30を大気にさらすことがないため、金属製部材30の酸化劣化を生じることなく機械的強度を向上できる。
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
例えば、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、第二浸炭工程において第二浸炭工程部173によって金属製部材30に対してパルス浸炭処理を行うが、これに限られるものではない。熱処理装置1は、制御装置10によって、第二浸炭工程において第二浸炭工程部173によって金属製部材30に対して短時間パルス浸炭処理を行っても良い。
図5Bは、図1に示す制御装置10による熱処理における加熱室20及び冷却室80内の圧力及び浸炭ガス及び窒化ガスの流量の遷移を示すタイミングチャートの他の例である。図5Bに示すように、本例では、制御装置10は、第二浸炭工程部173によって、所定周期で、所定量の浸炭ガスを加熱室20内の圧力が金属製部材30に浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように加熱室20内に流入させた後に、加熱室20内の圧力が所定圧力未満になるように浸炭ガスを加熱室20内から排気させる。本例では、浸炭ガスがアセチレンガスであるため、所定圧力は、100Paである。図5Bにおいて、時刻490分頃から時刻740分まで、第二浸炭工程部173によって短時間パルス浸炭処理が実行される。なお、短時間パルス浸炭処理において、平均25l/分の流量の浸炭ガスが加熱室20内に流入され加熱室20内から加熱室20外に排気される。
この構成によれば、熱処理装置1は、第二浸炭工程において短時間パルス浸炭処理を実行するたえ、さらに高程度で金属製部材30の機械的強度を向上できる。
また、本実施形態では、熱処理装置1は、制御装置10によって、ポンプ51及びポンプ52によって、加熱室20内のガスを排気口25から排気制御弁53を介して加熱室20外に排気するが、これに限られるものではない。熱処理装置1は、制御装置10によって、ポンプ51及びポンプ52による排気速度以上の排気速度でガスを排気できる単一のポンプで加熱室20内のガスを排気口25から排気制御弁53を介して加熱室20外に排気しても良い。
この構成によれば、熱処理装置1は、制御装置10によって、単一のポンプで加熱室20内のガスを加熱室20外に排気するため、簡易な構成及び制御によって、高程度で金属製部材30の機械的強度を向上できる。
また、熱処理装置1は、制御装置10によって、第一浸炭工程又は事前加熱工程の前に窒化工程と冷却工程と同じ動作を行う窒化後冷却工程を行っても良い。この構成によれば、熱処理装置1は、第一浸炭工程又は事前加熱工程の前に窒化工程が行われることによって、浸炭開始直前の温度に強く依存する結晶粒粗大化に対するAlNのピン止め効果が最大限に発揮されるため、金属製部材30に形成される結晶粒の粗大化を抑制できる。
1…熱処理装置、10…制御装置、20…加熱室、30…金属製部材、80…冷却室


Claims (7)

  1. 加熱、ガスの流入及び排気、並びに金属製部材の収容が可能な加熱室と、
    前記加熱室に接続されており、ガスの流入及び排気、並びに前記金属製部材の収容が可能な冷却室と、
    前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを前記加熱室内の圧力が前記金属製部材に前記浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように前記加熱室に流入させた後に、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力未満になるように前記浸炭ガスを前記加熱室内から排気させる第一浸炭工程と、前記第一浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程と、前記冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に前記浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程とを行う制御装置と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記制御装置は、前記第一浸炭工程において、前記金属製部材の炭素含有量が所定値である場合のA3変態点温度以上であり、かつ前記金属製部材が炭素を含有しない場合のA3変態点温度未満の温度である第一温度に前記金属製部材を加熱し、前記第二浸炭工程において、前記第一温度よりも高い温度である第二温度に前記金属製部材を加熱することを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記制御装置は、前記第一浸炭工程において、1分以下の期間、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力以上になるように前記加熱室内に前記所定量の前記浸炭ガスを流入させることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  4. 前記制御装置は、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱する事前加熱工程と、前記事前加熱工程後に前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に前記冷却ガスを流入及び排気させて冷却する浸炭前冷却工程とを前記第一浸炭工程の前に行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の熱処理装置。
  5. 前記制御装置は、前記第二浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に前記冷却ガスを流入及び排気させて冷却する窒化前冷却工程と、前記窒化前冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に窒化ガスを流入及び排気させる窒化工程とを行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の熱処理装置。
  6. 前記冷却室は、焼き入れ用の油が浸されている油槽を有し、
    前記制御装置は、前記窒化工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記油槽内の油に浸漬する焼入工程を行うことを特徴とする請求項5に記載の熱処理装置。
  7. 加熱、ガスの流入及び排気、並びに金属製部材の収容が可能な加熱室と、ガスの流入及び排気、並びに前記金属製部材の収容が可能な冷却室とを備える熱処理装置に収容された前記金属製部材に対して熱処理を行い、炭化された前記金属製部材を製造する金属製部材製造方法であって、
    前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、所定周期で、所定量の浸炭ガスを前記加熱室内の圧力が前記金属製部材に前記浸炭ガスが浸炭する所定圧力以上になるように前記加熱室に流入させた後に、前記加熱室内の圧力が前記所定圧力未満になるように前記浸炭ガスを前記加熱室から排気させる第一浸炭工程と、
    前記第一浸炭工程後に、前記冷却室に収容された前記金属製部材を前記冷却室に冷却ガスを流入及び排気させて冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程後に、前記加熱室に収容された前記金属製部材を加熱し、前記加熱室に前記浸炭ガスを流入及び排気させる第二浸炭工程と、
    を含むことを特徴とする金属製部材製造方法。


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