JP2024055357A - 紙葉排出集積装置、及び還流式紙葉処理装置 - Google Patents

紙葉排出集積装置、及び還流式紙葉処理装置 Download PDF

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Abstract

Figure 2024055357000001
【課題】還流ユニットから払出されてきた紙葉が出金トレイ上において集積不良を起こすことを防止した紙葉排出集積装置、及び還流式紙葉処理装置を提供する。
【解決手段】還流ユニット30、40から払出されてきた紙葉を短辺を先頭にして排出トレイ700へ搬送する排出搬送経路510と、該排出搬送経路を搬送される紙葉の短辺形状が長手方向全長に渡って所定の形状となるように成形してから排出トレイ上に排出する成形機構550と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は紙葉排出集積装置、及び還流式紙葉処理装置に関する。
投入された紙幣を受け入れることによって種々の物品やサービスを提供する機能を備えた自動販売機、遊技場の遊技媒体貸出機、券売機、入出金装置、両替機等の紙幣取扱装置に装備される紙幣処理装置としては、複数金種の紙幣の取込み、収納、及び払出しが可能な還流式のタイプが知られている。
還流式の紙幣処理装置には、予め払出し用として準備した紙幣や稼働中に投入された紙幣を金種別に、或いは金種が混在した状態で保管するための紙幣収納部が装備されている。
紙幣収納部には、紙幣を収納する一方で、紙幣を釣銭とするために外部へ払出す機能を備えた還流式紙幣収納部と、終業時等において紙幣処理装置内の全ての紙幣を回収する回収用紙幣収納部(回収庫)と、がある。
還流式紙幣収納部としては特許文献1「紙幣取扱装置」のように還流ドラムの外周面に渦巻き状(螺旋状)に重ねて巻き付けられるテープ間に紙幣を収納するタイプが知られている。
また、同文献記載の装置は、一つの入出金部だけを備え、入金紙幣、及び出金紙幣(釣銭用紙幣)はこの入出金部から機内へ入金され、且つ機外へ出金される。
還流ドラムの外周面にテープを介して重ねて集積された紙幣を釣銭等として払出す場合には、還流ドラムを払出し方向へ回転させると共に各テープを払出し方向へ送り出すことにより還流ドラム外周の紙幣を1枚ずつ送り出し、紙幣保留ドラムの外周面に重ねた状態で一時保留してから入出金部に向けて払出す。
また、特許文献2(特許第6450041号公報)に記載の紙葉処理装置では、紙幣を入金したり返却する入出金口とは別に釣銭を払出すための出金口を設けて、還流式紙幣収納部から直接出金口に払出すように構成している。この構成において複数枚の紙幣を釣銭として払出す場合には、還流式紙幣収納部から紙幣を1枚ずつ出金口に排出し、利用者が当該1枚目の紙幣を取り出した後で2枚目以降の後続紙幣を順次排出するように構成していた。しかし、このタイプにあっては、全ての紙幣を出金するのに要する時間が長くなるため、利用者の負担が増大し、機器の稼働率が低下するという問題があった。
これに対して還流式紙幣収納部から1枚ずつ払出された紙幣を出金専用の出金口に設けた出金トレイ上に連続して重ねた状態で集積し、全ての紙幣の排出、集積が完了した後で出金トレイ上から一括して取出し可能とすることにより、利用者の待機時間を短縮させたタイプも存在する。しかし、還流ドラムを備えた還流式紙幣収納部にあっては、還流ドラムの外周面に紙幣を巻き付けて保持するため、各紙幣には長手方向に沿ってカール癖が形成され、出金される紙幣にもこのカール癖が残った状態となる。特に、長手方向形状が上向きに湾曲(長手方向中央部が上方に突出し、両端部が斜めに下降)したカール癖が形成された紙幣を1枚ずつ出金トレイ上に排出すると、仮に紙幣押えレバーにより先行して排出された紙幣の後端の浮き上がりを押え込んだとしても、後続紙幣の下向きに傾斜した先端が、先行して集積された紙幣と衝突してこれを出金トレイから押し出して落下させる等の集積不良が発生する。
また、出金トレイ上に排出されてくる紙幣中に1枚でもコシ(剛性)が極端に低下している所謂よれよれの紙幣が含まれている場合には、出金トレイ上における当該紙幣の姿勢は勿論、後続の紙幣の整列性を悪化させる原因となる。即ち、出金トレイ上に排出されてくる充分なコシを有した紙幣は紙幣押えレバーを押上げながら出金トレイ上に落下し、落下後は紙幣押えレバーにより押え込まれる。しかし、コシが著しく低下したよれよれの紙幣は排出される過程で紙幣押えレバーを充分に押上げることができずに、挫屈しながら出金トレイ上に排出され、最終的に紙幣押えレバーと出金トレイ上面との間の空間内に挫屈した状態で停止する等の異常な排出状態となる。この状態で後続紙幣が排出されてくると、先行して排出されたよれよれの紙幣が障害となって正常な集積位置に停止することができなくなる。
従って、釣銭用の紙幣を1枚ずつ出金トレイ上に排出して集積する場合には、出金トレイ上に整列状態で集積することが難しい。
特開2016-218965公報 特許第6450041号公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、還流式紙葉処理装置において、還流ユニットから払出されてきた紙葉が出金トレイ上において集積不良を起こすことを防止した紙葉排出集積装置、及び還流式紙葉処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は搬送されてきた紙葉を収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニットから払出されてきた紙葉をその短辺を先頭にして排出トレイ上に1枚ずつ排出して集積する紙葉排出集積装置であって、前記紙葉を前記排出トレイへ搬送する排出搬送経路と、該排出搬送経路を搬送される該紙葉の短辺形状が長手方向全長に渡って所定の形状となるように成形してから前記排出トレイ上に排出する成形機構と、を備え、前記成形機構による前記成形では、上方への突出部、及び下方への突出部を該紙葉の短辺方向に沿って交互に形成し、且つ、該紙葉の短辺の両端部を上向きに傾斜させることを特徴とする。
本発明によれば、還流式紙葉処理装置において、還流ユニットから払出されてきた紙葉が出金トレイ上において集積不良を起こすことを防止できる。
本発明の一実施形態に係る紙葉排出集積装置を備えた紙葉処理装置の縦断面図である。 第1実施形態に係る第2のユニットM2の要部の構成を示す斜視図である。 成形機構を排出側から視た正面図である。 成形機構を排出側から視た斜視図である。 (a)、及び(b)は成形機構により紙幣が所定のコシを有した形状に成形されている状態を示す正面図、及び成形後の払出し紙幣の短辺形状を示す説明図である。 (a)は成形機構から排出された直後の紙幣と既集積紙幣との位置関係、及びガイド部材を示す正面側斜視図であり、(b)は成形された紙幣の形状を示す斜視図である。 ガイド部材の構成を示す斜視図である。 出金トレイの構成を示す縦断面図である。 本発明の紙幣処理装置による釣銭払出し動作手順の概要を説明するフローチャートである。 従来の排出搬送集積部500Pの側部縦断面図である。 (a)乃至(d)は紙幣の先端が成形機構を通過した直後までの状態を順次示す排出搬送集積部の動作説明図(側部縦断面図)である。 (e)、(f)は紙幣の後端が成形機構を通過する直前の状態と、通過した直後の状態を示す排出搬送集積部の動作説明図(側部縦断面図)であり、(g)、(h)は羽根が紙幣を後方へ寄せる動作手順を説明するための図である。 (i)乃至(l)は羽根が紙幣を後方へ寄せる動作手順を説明するための図である。 (m)乃至(O)は羽根が紙幣を後方へ寄せる動作手順を説明するための図である。 著しくコシが低下した紙幣がギャップG2が過大に設定された成形機構を通過する状態を示した一部断面正面図である。 第3実施形態に係る紙幣排出集積装置M2(排出搬送集積部800)の要部正面図である。 (a)乃至(d)は同紙幣排出集積装置M2の構成、及び排出、掻き寄せ動作を説明する側部縦断面図である。 (e)乃至(h)は同紙幣排出集積装置M2による排出、掻き寄せ動作を説明する側部縦断面図である。 (i)乃至(l)は同紙幣排出集積装置M2による排出、掻き寄せ動作を説明する側部縦断面図である。 (m)乃至(o)同紙幣排出集積装置M2による排出、掻き寄せ動作を説明する側部縦断面図である。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
[紙幣処理装置]
《全体構成》
図1は本発明の一実施形態に係る紙幣(紙葉)排出集積装置を備えた紙幣(紙葉)処理装置の縦断面図である。
なお、本実施形態では紙葉の一例としての紙幣を処理する装置について説明するが、本発明の紙葉排出集積装置、及び紙葉処理装置は紙幣以外にも金券、チケット、有価証券等々の紙葉一般の処理装置にも適用することができる。また、本実施形態における紙葉の形状としては、長方形、正方形等の四辺形、つまり矩形が主であるが、矩形のシートに限定されない。
図1に示した還流式紙幣処理装置(以下、紙幣処理装置、という)1は、例えば自動販売機、券売機、遊技場の遊技媒体貸出機、入出金装置、両替機等の紙幣取扱装置に装備、或いは併設されて紙幣の受け入れ、釣銭等としての紙幣の払出し処理を行う手段である。
以下、紙幣処理装置1について詳細に説明する。
紙幣処理装置1は、外装体を構成するハウジング3と、ハウジング内に入金された紙幣をその長手方向に沿って所要のルートで機内搬送したり、機外に排出する入出金処理ユニットMと、入出金処理ユニットMから搬送されてきた紙幣を収納したり、収納した紙幣を入出金処理ユニットMへ払出す紙幣収納ユニットNと、種々のルートを経て紙幣を搬送する搬送機構と、各種制御対象を制御する制御手段(CPU、MPU、ROM、RAM等)1000と、から概略構成されている。
入出金処理ユニットMは、1枚の紙幣、或いは異金種の紙幣を含めた紙幣束を一括して受入れたり、リジェクトされた入金紙幣を返却する際の返却口となる入出金口(投入口)5と、紙幣収納入ユニットNから釣銭用に払出されてきた紙幣の払出し口(払出し口)7と、入出金口5に入金、セットされた紙幣(束)を1枚ずつに分離して入金紙幣搬送経路(導入部)9aを経由して装置本体内に導入する一括入金部(導入部)11と、入金紙幣搬送経路9aに沿った搬送経路に配置されて光学、磁気センサの併用によって入金紙幣の金種、真贋等を判定する識別部15等を備える。
入出金処理ユニットMは、第1のユニットM1と、第2のユニット(紙幣排出集積装置、一括払出しユニット)M2とから構成されている。
第1のユニットM1は、入出金口(投入口)5、入金紙幣搬送経路9a、一括入金部11、識別部15、識別部を通過した入金紙幣を所定枚数まで一時保留し、受入れが確定した時は後述する各収納部30、40、回収庫50へ繰出し、返金要求等による取消し返却時は図示しない払出し集積部へ繰出す図示しないエスクロ部(一時保留部)と、エスクロ部から搬送されてきた返却用の紙幣やリジェクト紙幣(以下、返却紙幣と称する)を集積してから入出金口5に払出す図示しない払出し集積部(返却紙幣の集積装置)等を備える。なお、第1のユニットM1の更なる詳細説明は本発明との関係が少ないため省略する。
第2のユニットM2は本発明の紙幣排出集積装置を構成しており、払出し口(排出口)7に設けられた出金トレイ(排出トレイ)700と、各収納部30、40から1枚ずつ払出されてきた払出し紙幣(払出し紙葉)を出金トレイ700に搬送、排出して集積させる排出搬送集積部500等を含む。
第1のユニットM1と紙幣収納ユニットNとの間にはユニット装着用の空所Eが設けられており、この空所E内には釣銭の一括払出し機能を有していない紙幣排出装置と、一括払出し機能を有した第2のユニットM2が交換可能に着脱できる。
即ち、装着用の空所Eには、第2のユニットM2とは異なった構成の従来の紙幣排出装置を装着可能である。この従来の紙幣排出装置は、紙幣収納ユニットNから1枚ずつ払出されて出金トレイ上に排出されてきた紙幣を利用者が取り出さない限り2枚目以降の後続紙幣を排出しないように構成されていた。
これに対して本発明の第2のユニットM2、即ち、紙幣排出集積装置では、紙幣収納ユニットNから1枚ずつ連続して出金トレイ上に排出し、所要枚数の集積が完了した後で利用者による一括取出しを可能としている。
紙幣収納ユニットNは、入金紙幣の受入れが確定した際にエスクロ部から1枚ずつ繰り出されて収納紙幣搬送経路9b上を搬送されてきた紙幣を金種毎に出入れ自在に収容する第1及び第2還流式紙幣収納部(還流式紙幣収納装置、還流ユニット)30、40と、第2還流式紙幣収納部40の下方に設けられた収容空間内に正面側から着脱自在に装着され、終業時等に各還流式紙幣収納部から全金種を回収したり、釣銭として利用されない高額紙幣や各還流式紙幣収納部に収容し切れない余剰紙幣を回収する回収庫(回収紙幣収納部)50と、を備える。
搬送機構は、各搬送経路9a、9b、その他の搬送経路に沿って紙幣を搬送する駆動力を生成、伝達するためのモータ、ソレノイド、及びプーリ、ベルト、ゲート等を備える。
制御手段1000は、入出金処理ユニットM、紙幣収納ユニットN、及び搬送機構等の制御対象を制御する。
本例の第1及び第2還流式紙幣収納部30、40は、夫々最大収納枚数30枚の還流ドラムを2個ずつ(31、35、41、45)備えている。各還流ドラム31、35、41、45は、それらの外周面に2本ずつ渦巻き状(螺旋状)に重ねて巻き付けられる長尺テープ(長尺フィルム)間に紙幣を収納する還流に適したタイプである。
<紙幣処理装置の各種動作>
次に、図1に示した紙幣処理装置1における入金動作、確定動作、出金動作、及び回収動作の概要について説明する。
まず、入金動作では、入出金口5から1枚、又は複数枚の紙幣が投入されると紙幣を検知したセンサからの信号を受けた制御手段1000が搬送機構を作動させて一括入金部11、及び入金紙幣搬送経路9aを用いて紙幣を取込む。一括入金部11は入出金口5にセットされた紙幣束中の最上部の紙幣から1枚ずつ取り出して識別部15に搬送する。識別部15により受入れ可能と判定された紙幣は図示しないエスクロ部に搬送されてエスクロドラム外周に1枚ずつ巻き付けられて一時保留され、入金の確定を待つ。エスクロ部に一時保留された紙幣の返却処理については本発明とは直接関係がないので説明を省略する。
エスクロ部に一時保留されていた入金紙幣の入金が確定した段階でエスクロ部から1枚ずつ紙幣を送り出し、釣銭として利用する紙幣は収納紙幣搬送経路9bを経由して金種別に何れかの還流式紙幣収納部30、40に収納し、釣銭として利用しない紙幣は回収庫50に収納する。
釣銭として紙幣を払出す際には、金種別に紙幣を収納する流式紙幣収納部30、40に夫々収納された紙幣を取り出して収納紙幣搬送経路9bに設けた識別部70で金種、真贋等について識別を行い、返却可能な紙幣であれば釣銭として払出し口7へ払出す。
一方、識別部15での識別により返却不可の紙幣であると判定された場合は、エスクロ部で一時貯留した後で回収庫50に移送して収納する。
回収時には、終業時等に還流式紙幣収納部30、40に収納されていた紙幣をエスクロ部で一旦集積してから回収庫50に収納する。
<還流式紙幣(紙葉)収納部>
還流式紙幣収納部(還流式紙幣収納装置=紙幣収納部)30、40は、ケーシング60内に、2つの還流ユニット(還流ドラムユニット)100、200と、紙幣の搬送経路(導入経路、払出し経路)を何れか一方の還流ユニット側に切り替える振り分け部(フラッパ)310と、を概略備えている。
還流ユニット100、200は、図示しないモータからの駆動力を受けて作動することによりケーシング60内に搬送されてくる紙幣を受け入れ、且つ収納した紙幣をケーシング外へ送り出す手段である。
還流式紙幣収納部30、40は、図示しないモータと、該モータからの駆動力を受けて作動することにより搬送されてきた紙幣を夫々受け入れて収納し、且つ収納した紙幣を送り出す第1還流ユニット(第1還流ドラムユニット)100、及び第2還流ユニット(第2還流ドラムユニット)200と、姿勢(位置)を変化させることにより搬送される紙幣を何れかの還流ユニットに振り分ける振り分け手段(フラッパ)310と、振り分け部(フラッパ)310を駆動する振り分け手段駆動機構(フラッパ駆動機構)と、を備える。
以下、還流式紙幣収納部(還流式紙幣収納装置)30、40の構成について説明する。
還流ユニット30、及び40は、正転することにより外周面に紙幣を1枚ずつ重ねて集積して収納し、逆転することにより外周面の紙幣を1枚ずつ排出する還流ドラム31、35、及び41、45を夫々備える。還流ユニット30には例えば1000円紙幣が収容され、還流ユニットには5000円紙幣が収納される。
収納紙幣搬送経路9b上には、紙幣収納ユニットNに搬送されてきた入金紙幣を還流式紙幣収納部30、又は40(回収庫50)側へ振り分ける第1振り分け部61が配置されている。第1振り分け部61には入金紙幣搬送経路9aから搬送されてきた入金紙幣を還流式紙幣収納部30(ケーシング内搬送経路9c)、又は還流式紙幣収納部40(回収庫50)へ振り分けるための振り分け片61aが配置されている。第1振り分け部61の下流側には入金紙幣を還流式紙幣収納部40、又は回収庫50へ振り分ける第2振り分け部65、及び振り分け片65aが配置されている。
なお、各還流式紙幣収納部30、40はほぼ同一構成であるため、以下では還流式紙幣収納部30を中心に説明する。
正面側の還流ユニット100は、振り分け片61a、ケーシング内搬送経路9cを順次経て搬送されてきた紙幣を何れかの還流ドラム31、又は35に振り分けるフラッパ310と、正面側の各テープ(フィルム)T1、T2の一端を固定して時計回り方向へ回転する際に両テープT1、T2を周面に重ねた状態で巻き取る正面側の還流ドラム(第1還流ドラム)31と、第1還流ドラム31の外周面に対して供給する第1テープT1を渦巻き状に(多層状に)巻付けて保持する正逆回転自在な第1ボビン105と、第1ボビンから引き出された第1テープT1を第1還流ドラム外周面にガイドする複数のガイドローラ106aと、第1還流ドラム31の外周面に対して供給する第2テープT2を渦巻き状に巻付けて保持する正逆回転自在な第2ボビン110と、第2ボビンから引き出された第2テープT2を第1還流ドラム外周面にガイドするガイドローラ111aと、を備えている。各テープT1、T2は夫々各ガイドローラ106a、各ガイドローラ111aに沿ったルートを経て第1還流ドラム外周面に巻き取られたり、第1還流ドラムから各ボビン105、110へと送り出される。各ボビン105、110の正転、逆転は図示しないモータにより行われる。
第1振り分け部61から第1還流ドラム31に向けて搬送されてきた紙幣は、最終位置にあるガイドローラ106aとガイドローラ111aとのニップ部nにおいて、両テープT1、T2が重なって走行する接触走行領域TA内に導入されて両テープ間に挟持されながら巻取り方向(反時計回り方向)へ回転する第1還流ドラムの外周面に集積されて行く。
第1還流ドラム31の外周のテープ間に集積された紙幣を1枚ずつ還流ユニット100の外部へ排出する場合には第1還流ドラム31を送り出し方向(反時計回り方向)へ回転させつつ各ボビン105、110を巻取り方向へ回転させることにより各テープT1、T2は各ボビン105、110からの送り出し時と同じルートを逆送されて各ボビンへ巻き取られて行き、各テープ間に挟まれていた紙幣はニップ部nから第1振り分け部61、ケーシング内搬送経路9c、収納紙幣搬送経路9bへと順次払出されて行く。
第1テープT1用の最終のガイドローラ106aと第2テープT2用の最終のガイドローラ111aとはニップ部nを形成しており、このニップ部以降においては両テープT1、T2は重なった状態で第1還流ドラム31の外周面に巻き取られて行く。
背面側の還流ユニット200は、正面側の還流ユニット100と同様の構成を有するため、同一部分に同一符号を付することにより詳細な説明は省略する。
なお、還流ユニット100を構成する還流ドラム31、35と、還流ユニット200を構成する還流ドラム41、45とでは、外周面に集積される紙幣に形成されるカール癖の方向が逆となる。即ち、還流ドラム31、35は時計回りする際に紙幣を巻き取り、払出時には反時計回り方向へ回転する。このため、収納紙幣搬送経路9bを経て出金トレイ700へ排出される紙幣には長手方向中央部が上向きに膨出した(長手方向両端部が下向きに傾斜した)カール癖、つまり上向きのカール癖が形成されている。一方、還流ドラム41、45の外周に集積された紙幣のカール癖は長手方向中央部が下向きに膨出した下向きとなる。
[紙幣排出集積装置:第1実施形態]
《基本構成》
図2は第1実施形態に係る第2のユニットM2の要部の構成を示す斜視図であり、図3は成形機構を排出側から視た正面図であり、図4は成形機構を排出側から視た斜視図であり、図5(a)、及び(b)は成形機構により紙幣が所定のコシを有した形状に成形されている状態を示す正面図、及び成形を受けた後の払出し紙幣の短辺形状を示す説明図である。また、図6(a)は成形機構から排出された直後の紙幣と既集積紙幣との位置関係、及びガイド部材を示す正面側斜視図であり、同図(b)は成形された紙幣の形状を示す斜視図である。図7はガイド部材の構成を示す斜視図であり、図8は出金トレイの構成を示す縦断面図である。
第2のユニット(紙幣排出集積装置、一括払出しユニット)M2は、払出し口7と、各収納部30、40から出金されてきた払出し紙幣(払出し紙葉)Bを払出し口7に搬送する排出搬送集積部500と、払出し口7に設けられて排出搬送集積部から排出されてきた紙幣を集積(積層)する出金トレイ(排出トレイ)700等を含む。
第2のユニットM2は、搬入されてきた紙幣を受入れて収納し、且つ収納した紙幣を外部へ払出す還流ユニット30、40から1枚ずつ払出されてきた紙幣を出金トレイ700上に排出して集積する手段である。
第2のユニットM2は、払出されてきた複数枚の釣銭紙幣を1枚ずつ短辺を先頭にして出金トレイ700上に連続して排出して集積させ、集積が完了した時点で利用者が集積した紙幣束を一括して取り出すことを可能にする。出金トレイ上からの紙幣の取出しは全ての紙幣が排出された後で可能になる。
図1、図11等に示すように、第2のユニットM2を構成する排出搬送集積部500は、紙幣を出金トレイに向けて排出搬送する排出搬送経路510と、排出搬送経路510上の紙幣に搬送力を付与する排出搬送機構520と、出金トレイ700上に排出される払出し紙幣B(以下、紙幣Bという)の短辺形状(短手方向形状)を長手方向全長に渡って所定に成形する(変形させる)ことによりコシ(剛性、及び保形力。stiffness)を紙幣Bの全長に渡って付与する成形機構(剛性付与手段)550と、成形機構への紙幣Bの先端部の進入と後端部の排出を検知する通紙センサ580と、を備える。排出搬送経路510内に進入した紙幣Bは排出搬送機構520を構成する搬送ローラ517等の搬送部材により成形機構550へ搬送される。
排出搬送経路510は、紙幣Bを上下方向から挟み込む上下の搬送ガイド510aと、紙幣Bをニップしながら搬送する搬送ローラ対517などを備えているため、カール癖を有した紙幣や、コシが低下した紙幣であってもストレート、且つ平坦な姿勢に補正(加圧変形)されながら搬送できる。このため、排出搬送経路内を搬送される紙幣は一定以上のコシを備えた状態となっている。但し、排出搬送経路内での姿勢の補正は一時的なものであり、カール癖が完全に矯正されることはない。つまり、カール癖を有した紙幣が成形機構を経ずにそのまま出金トレイ上に排出された場合には、出金トレイ上でカール癖が復活する。
排出搬送機構520は、各収納部30、40から出金され収納紙幣搬送経路9bに沿って上昇してきた紙幣(払出し紙幣)Bを成形機構550へ搬送するためのローラ512a、512b、512cと、第1ユニットM1から搬入されてくる紙幣(入金紙幣)を紙幣収納ユニットN側へ導く姿勢と紙幣の搬送方向を第2ユニットM2(成形機構550)側へ導く姿勢との間で姿勢を切り替えるフラッパ514と、図示しないフラッパ駆動手段(ソレノイド等)と、成形機構への排出搬送経路510と、排出搬送経路に設けられた搬送ローラ対517と、各駆動対象の駆動源としてのモータ、ソレノイド等を備える。
なお、ローラ512a、512bは第1のユニットM1から導入されてきた入金紙幣を各収納部30、40へ向けて搬送する際には正転し、紙幣Bを成形機構550へ送り込む際には逆転する。フラッパ514は図示の状態では収納紙幣搬送経路9bを上昇してきた紙幣Bを成形機構550へ搬送する姿勢にある。フラッパ514が所要角度時計回り方向へ回動することにより、収納紙幣搬送経路9bと9aとを連通させた姿勢に移行する。
<成形機構>
成形機構550は、種々のカール癖、折れ癖、皺等が形成された紙幣や、部分的に或いは全体的にコシが低下した紙幣(性状不良紙幣)の短辺形状を長手方向全長に渡って所定に成形することにより長手方向のコシを強化したり、集積に適した形状に矯正する手段である。成形機構による矯正効果(成形効果、成形後の保形効果)は一時的なものではなく、矯正を受けた形状は出金トレイ上への排出後も継続的に維持される。
以下の実施形態では、還流ドラムによって長手方向上向きのカール癖が形成された紙幣を成形機構により成形することによりコシを付与する(カール癖を矯正する)例を説明するが、成形機構はカール癖以外の各種の癖や変形を有した紙幣や、コシが低下した紙幣等、成形行程を経ずに出金トレイ上に排出した場合に着地不良、集積不良等を惹起する虞のある性状不良紙幣一般に対処することができる。
成形機構550の具体的な構成例について図2乃至図5により説明する。
なお、紙幣の短辺形状とは、図5(a)(b)に示したように紙幣の短辺を正面から見た際の端縁の形状(正面形状)を指称する。
成形機構550は、軸受部553により水平な姿勢で両端部を回転自在に支持された回転軸552と、回転軸の適所、本例では排出搬送経路510の幅方向中央部に相当する回転軸の部位により軸芯を固定された円盤状(ローラ状)の中央フランジ605と、中央フランジ605の軸方向両側に所定の間隔L1を隔てた位置において回転軸により夫々軸芯を固定された2個の駆動ローラ555、600と、各駆動ローラ555、600の軸方向外側に夫々所定の間隔L2を隔てた位置において回転軸により軸芯を固定された円盤状の外側フランジ607、609と、を概略備える。
これを言い換えれば、駆動ローラ555、600の中間位置には幅広の中央フランジ605が同一軸芯状に配置されており、各駆動ローラの軸方向外側には夫々所定の距離L2を隔てて幅狭の外側フランジ607、609が配置されている。中央フランジ605の紙幣との接触面(外周面)の幅W1(6mm)は、各外側フランジ607、609の紙幣との接触面の幅W2(2mm)よりも広く設定されている。中央フランジの幅W1が広く設定されている理由は、後述するように、中央フランジの幅が過小の場合には、中央フランジとレバー670の開放部673とのギャップG2が過大になり、このギャップ内に紙幣の一部が落ち込むことにより排出されてくる紙幣が下向きになり、レバーを押し上げるコシが低下するからである。中央フランジの幅W1と外側フランジの幅W2との比は、例えば4:1程度とする。
中央フランジ605、及び外側フランジ607、609の外径は、各駆動ローラ555、600の外径よりも大きく構成されている。各フランジは紙幣と接触する際に変形しないように十分な硬度を備えた樹脂、金属材料等から構成された円盤部材である。
各駆動ローラ555、600の直上位置には各駆動ローラに対して一対一の対応関係で従動ローラとしてのテンションローラ556、601が配置され、各駆動ローラの外周面との間でニップ部n1を形成している。各駆動ローラ555、600、及びテンションローラ556、601の外周面は紙幣との間で滑りが起きないように充分な摩擦抵抗を有した材料により構成されている。
各フランジ605、607、609の外周面の最上部の高さ位置T1、T2は、各駆動ローラと各テンションローラとの各ニップ部n1よりも上方に位置している。このため、紙幣Bが回転軸552を通過する際に、各ニップ部n1、フランジにより加圧、押圧されて変形し、各突出部P1、P2、及び上向きの斜辺S2、及び突出部P3を形成することができる(図5(a)(b)参照)。
なお、各外側フランジ607、609の最上部T2との間にギャップG1を隔てて規制部材611を配置することにより、紙幣の短辺の両端部の延びる方向を規制するようにしてもよい。規制部材611としては紙幣に対する摩擦抵抗の小さい固定部材、或いはローラ等を用いても良い。
幅の小さな紙幣を成形機構から排出する際に紙幣の短辺の両端部が垂れずに過度に立ち上がることがある。この状態で排出トレイ上に集積された紙幣の立ち上がった両端部分は、次紙幣が払出されてくる時に衝突の原因となり、排出トレイから先行紙幣を落下させる原因となる。このような不具合を解消するために規制部材611にて短辺両端部の延びる方向の規制をすることが有効である。
また、幅の大きな紙幣を成形機構から排出する際にW字状に成形されたことにより紙幣の短辺両端部が過度に立ち上がると出金トレイ上の空間の高さよりも高くなり、空間の天井(フレーム660)に干渉することがある。その際に紙幣ジャムのリスクが発生するため、成形時に予め規制部材611によって過度な立ち上がりを規制しておくことでジャムリスクを減らすことができる。
また、特にコシの強い紙幣では紙幣の短辺両端部は垂れずに立ち上がった状態を保つことがあり、立ち上がった端部が出金トレイ上への集積後に排出経路を塞ぐ可能性があるため、予め規制部材により短辺両端部が延びる方向の規制をすることが有効である。
成形機構550は、図5(a)(b)に示した例では、紙幣Bの短辺形状が略左右対称形状となるように、上方への突出部(上方へ突出した屈曲部)P1、下方への突出部(下方へ突出した屈曲部)P2、及び上方への突出部P3を紙幣の短辺方向に沿って交互に形成し、且つ、紙幣の短辺の両端辺S2、S2を上向きに傾斜(斜め上向きに突出)させる。
上方への突出部P1は、頂部P1`と、頂部P1`から夫々左右に(外側に)下向きに傾斜して延びる斜辺S1、S1と、を備える。下方への突出部P2は、頂部(底部)P2`と、頂部P2`から夫々左右に上向きに傾斜して延びる斜辺(端辺)S2、S2と、を備える。各斜辺S2、S2の終端部には上向き突出部P3、P3が形成されている。
中央の突出部P1の頂部P1`は中央フランジ605の外周面に対応した位置に形成され、左右の突出部P2の頂部P2`は駆動ローラ555、600、及びテンションローラ556、601(最終ローラ対)のニップ部n1に対応した位置に形成され、外側の突出部P3の頂部P3`は外側フランジ607、609の外周面に対応した位置に形成される。
即ち、中央の突出部P1は、左右のニップ部n1により左右位置を抑えられた状態で中央フランジ605により紙幣の中央部を上方に押圧されることにより形成される。下方への突出部P2は、駆動ローラ555とテンションローラ556とのニップ部n1、及び駆動ローラ600とテンションローラ601とのニップ部n1により下方へ押圧されることにより成形される。外側の斜辺S2、及び突出部P3は、各ニップ部n1により抑えられた状態で外側フランジ607、609と、規制部材611により形成される。
即ち、紙幣Bを通過させる際に、紙幣Bの短辺の中央部(幅方向中央部)に一つの上方への突出部P1を形成し、突出部P1の左右両側に夫々下方への突出部P2を一箇所ずつ形成し、更に各下方への突出部P2、P2の左右両側に夫々上方への突出部P3、P3を形成する。これにより、紙幣の両端辺を上向きに持ち上げた(上向きに傾斜させた)状態に矯正(癖付け)して斜辺S2、S2とすることができる。成形後の紙幣の短辺形状は、ほぼ左右対称形状となる。成形箇所としての各突出部(P1、P2、P3)、各斜辺S1、S2は、当該紙幣の長手方向全長に渡って連続して形成される。このため、出金トレイ上に排出されてくる紙幣の長手方向に沿って形成されていたカール癖(湾曲形状)が矯正されて、紙幣の長手方向形状がほぼフラット、或いはほぼストレートに近い形状になり、その形状を維持する(保形する)。即ち、紙幣Bの短辺を複数箇所屈曲(湾曲)させて上方への突出部P1、下方への突出部P2、及び上方への突出部P3を交互に形成することにより、長手方向から視た形状が湾曲している紙幣のカール癖を解消し、長手方向視の形状を略ストレート(非カール形状)にすることができる。言い換えれば、短辺に沿って上下方向への突出部を交互に設けたことにより紙幣の長手方向全長にわたるコシ(剛性)を高めてほぼフラット、或いはほぼストレートな形状に保持する力(保形力)を付与することが可能となる。
このため、成形機構550から放出されてきた時の紙幣の長手方向の姿勢を上向きにすることができ、上向きとなった姿勢の分だけ既集積紙幣の後部への衝突を防止できる。特に、既集積紙幣の後端部が癖により上向きに立ち上がっている場合に後続紙幣の先端部と衝突し易くなるが、コシが強化されてフラット、且つ上向きの姿勢となっている後続紙幣によればそのような既集積紙幣に対する衝突防止効果が高くなる。
下向きの突出部P2に相当する紙幣部分は各最終ローラ対のニップ部n1によりグリップされた状態で成形機構から排出されてくるため、排出中に垂れ下がることがない。また、排出後も各突出部P1、P2は山形(谷形)に成形されて保形された状態に有り、且つ突出部間を結ぶ各斜辺S1に強いテンションが掛けられているため、各突出部が垂れ下がることがない。
次に各斜辺S1は中央フランジ605の外周面と各最終ローラ対のニップ部n1との間に充分なテンションを掛けられた状態で張設されながら形成される。各斜辺S2は各ニップ部n1と外側フランジ607、609の外周面との間に充分なテンションを掛けられた状態で張設されながら形成される。このため、各斜辺S1、S2は成形機構からの排出中、及び排出後に弛んだり垂れ下がることがない。短辺が長い紙幣の場合であっても、排出中は突出部P2がグリップされた状態にあり、且つ元々上向きに傾斜しているため、既集積紙幣との干渉が発生する程度まで各斜辺S2が垂れ下がることはない。即ち、成形機構からの排出完了後においても、各突出部P1、P2が山形(谷形)に保形された状態に有り、且つ突出部間を結ぶ各斜辺S1、及び外側の各斜辺S2に強いテンションが掛けられているため、各斜辺S2が大きく垂れ下がることがない。仮に、排出完了後に各斜辺が垂れ下がることがあったとしても垂れ下がり量はさほど多くならない。
このため、成形後の全高さh1を小さく押えることができ、成形機構を構成する各部品の上下方向寸法を小型化することができる。
次に、個々の突出部P1、P2、P3の頂部P1`、P2`、P3`は鋭角状、又は鈍角状に尖った形状には成形されず、中央フランジ605、駆動ローラ555、600、外側フランジ607、609の外周面の形状を転写した形状、つまりほぼ平坦になっている。要するに、各突出部P1、P2、P3の頂部の形状如何に関係なく、各突出部を紙幣の長手方向全長に渡って連続して形成することにより紙幣の長手方向への湾曲形状をフラット、又はストレートに近い形状に矯正できれば、成形によるコシの強化(保形力の確保)という目的を達成することができる。
なお、最も外側に位置する各端辺S2が上向きに傾斜する構成であれば、各突出部P1、P2、P3の個数はいくつであってもよい。つまり、W字形でなくてもよい。
また、本実施形態では成形後の紙幣Bの中央の突出部P1の高さ位置と、外側の突出部P3、P3の高さ位置を同等としているが、突出部P3、P3の高さ位置を突出部P1よりも高くしてもよいし、低くしてもよい。
各突出部P3の各頂部P3`の高さ位置を突出部P1の頂部P1`の高さ位置よりも高くする場合には、外側フランジ607、609の外径を、中央フランジ605の外径よりも大きく構成することになる。この場合には、外側フランジの外周面の最上部T2の方が中央フランジの最上部T1よりも高い位置となる。従って、排出されてきた紙幣の各斜辺S2、及び各頂部P3`が既集積紙幣の後部に引っ掛かる可能性をより低下させることができる。
また、下方への突出部P2、P2の高さ位置が同等であるが、これらの高さ位置を異ならせてもよい。
また、図示した実施形態では、成形後の短辺形状が左右対称形状となっているが、これは一例に過ぎず、充分なコシを付与できる形状であれば、左右対称である必要はない。
また、成形後の紙幣の各突出部間に位置する斜辺S1、S2は、紙幣のコシ(特に、短辺方向へのコシ)の強さが通常レベルであれば、図5(b)に示すように充分な張力でほぼ直線状に伸長した状態となる。
紙幣をW字状、つまり両端の斜辺S1、S2が上向きに傾斜した形状に成形することによる他のメリットは、成形後の全高さh1を必要最小としながら充分なコシを確保できることである。実験では、全高さh1を2.5mm程度に抑えることができたので、成形機構を構成する各ローラ、各フランジの直径をコンパクト化することができ、また成形された紙幣の嵩が極端に大きくなることがない。
しかし、後述するように紙幣のコシが著しく低下している場合には、突出部間の斜辺S1、S2は張力が低下して弛んだ状態となり易いため、成形機構からの排出中、及び排出された後の保形性が低下する。この問題点についての対策については第3実施形態において説明する。
なお、図5(c)に示したように紙幣Bの短辺をM字形に成形すると短辺の両端辺S3が下向きに傾斜するため、垂れ下がり易くなる。このため、出金トレイ上に排出したときに、両端辺S3が出金トレイ上に先行して集積された紙幣(特に、後端部が上向きに突出している癖を有する紙幣)に引っ掛かってこれを落下させる原因となる。M字形に成形すると、外側の端辺S3が下方への突出部P4の高さ位置を越えて下方へ大きく垂れ下がり易くなり、これが既集積紙幣との引っ掛かりを増大させる原因となる。特に、短辺が長い紙幣の場合には、外側の端辺S3が図示のものよりも長くなるため、垂れ下がり状態が悪化する。
このため、短辺両端部が下向きに傾斜する、或いは垂れ下がる成形形状は採用できない。
ところで、世界各国で発行されている紙幣は、米国、カナダ、豪州等のように短辺の最大サイズ(最大幅寸法)が72mm未満である小幅紙幣と、日本、ユーロ、マカオ等のように最大幅寸法が72mm以上、且つ86mm未満である広幅紙幣に大別される。
一方、紙幣処理装置のメーカーが、小幅紙幣が流通する国と、広幅紙幣が流通する他国向けに紙幣処理装置を製造する場合に、国毎に異なった仕様の装置を製造することは不利である。即ち、搬送路の幅の広狭差以外に構造上の差異のない紙幣処理装置を2機種用意しておき、発注に応じて製造、出荷することは製造コスト増、在庫管理費用などの点で明らかに不利である。
このような不利不便に対処するために、広幅紙幣を搬送できる広幅の搬送路を備えた一機種だけを用意して小幅紙幣にも共通使用する対策が採られている。
特に、紙幣処理装置1に第2のユニットM2を組み込む場合には、成形機構550に関して、紙幣の短辺寸法の大小に関係なく共通して充分なコシを付与することができる形状に成形するための構成が求められる。
しかし、還流ドラムを備えた還流ユニットにおいては紙幣が還流ドラムの外周面に巻き付いた状態で収納されるため、紙幣には長手方向に湾曲した癖(カール癖)が形成されている。特に、還流ユニットから搬出されて出金トレイ700上に排出されてくる紙幣に長手方向中央部が上方に膨出した上向きのカール癖が形成されている場合には、既集積紙幣の後部に新たに排出されてくる紙幣の先端部(下向きに傾斜している)が突き当たって既集積紙幣を出金トレイから押出して落下させる不具合が発生する。また、既集積紙幣が存在しない場合であっても、新たに排出されてくる上向きにカール癖を有した紙幣は、その先端が下向きに湾曲しているため出金トレイ上を滑ってその先端縁を越えて落下するか、或いは、紙幣押えレバーと出金トレイ上面との間で挫屈する。
本発明においては、成形機構550を用いて紙幣の短手方向の形状を全長に渡って所定(コシを有した形状)に成形してこのような従来の不具合を解決している。
本実施形態の成形機構550において、中央のフランジ605に対する各駆動ローラ555、600の間隔L1、及び各駆動ローラ555、600に対する各フランジ607、609の間隔L2は、最大幅寸法が72mm未満である小幅紙幣に対応できるように、L1=8mm~9mm、L2=10mm~11mmに夫々設定されている。つまり、本実施形態のように短辺形状をW字形に成形する場合には、小幅紙幣の短手方向両端辺S2が上向きに傾斜するように各駆動ローラと各フランジの位置関係が設定されている。
一方、中央のフランジ605を中心とした各駆動ローラ555、600の位置関係、及び中央のフランジを中心とした各フランジ607、609の位置関係をこのように小幅紙幣に合わせて設定しておけば、最大幅寸法が72mm以上、且つ86mm未満である広幅紙幣に対しても小幅紙幣に対するのと同様な短辺方向への癖付けが可能となる。
また、各突出部P1、P2、P3の短手方向位置は、紙幣の短辺のサイズに関係なく一定となるが、最外部の突出部P3の頂部P3`の長さl1は紙幣Bの短辺のサイズによって異なってくる。
しかし、少なくとも両サイドのフランジ607、609の軸方向位置、つまり両フランジ607、609の間隔を、最小の紙幣幅である72mm未満に対応できるように決めることにより、各駆動ローラ、及び各フランジのレイアウトが一定でありながら、幅広紙幣に対する適切な成形が可能となる。
即ち、排出搬送経路510では小幅紙幣も広幅紙幣もその短辺中心部が中央のフランジ605の幅方向中心部と概ね合致するように搬送されるため、上方への突出部P1、P3、及び下方への突出部P2が形成される箇所(短辺中心部からの距離)は同じであり、各突出部P3よりも外側へ延びる部分の長さl1が異なってくるだけである。
短辺の長さが72mm未満の紙幣であれば、最外部の突出部P3の頂部P3`の長さl1は短くなるが、短辺が85mmを越えると頂部P3の長さl1が長尺化する。しかし、成形機構からの排出中は各頂部P3`は外側のフランジ607、609によりグリップされているため、大きく垂れ下がることが防止される。また、排出後も正常なコシを有した紙幣であれば、同様に垂れ下がりが防止される。
一方、小幅紙幣の短辺寸法である72mmよりも内側に全ての駆動ローラ、及びフランジが位置するレイアウトになるので、幅広紙幣の短辺をM字に変形させると、両端辺が大きく下方に突出した形状となる。このため、出金トレイ上の既集積紙幣と新たに排出されてくる後続紙幣の先端が衝突し易くなる。その結果、既集積紙幣を押出して出金トレイから落下させたり、後続紙幣のつぶれ変形等の集積不良をもたらす。
<羽根車>
更に、排出搬送集積部500は羽根車650を備えている。即ち、各駆動ローラ555、600の軸方向外側であって各フランジ607、609の内側位置には羽根車650が夫々回転軸552により軸芯を固定されている。羽根車650は小径のベース部652の外周に周方向に所定の間隔で同じ長さの羽根654を固定して放射線状に突出させた構成を備えている。本例では、羽根654は、120度間隔で3枚配置されている。羽根654は細幅帯状で、ゴム板等のように弾性変形が容易な材料から構成されており、少なくとも全体として回転方向へ向けて湾曲した形状を有している。或いは、羽根車の回転時に遠心力により湾曲するように構成してもよい。
羽根車650は駆動ローラ555、600と同一軸芯上に配置されているため、各羽根654の周方向間隔、羽根車の回転速度の設定如何によっては、羽根が駆動ローラとテンションローラ(最終ローラ対)とのニップ部から排出されてくる紙幣と干渉して、排出を妨げる虞がある。そのような虞をなくするために、1枚の羽根と次の羽根との間の120度の周方向間隔中に、個々の紙幣が1枚ずつ排出開始され、且つ排出完了がなされるように紙幣の排出速度、及び羽根の回転速度が設定される。
紙幣が最終ローラ対を通過している間はいずれの羽根も紙幣に干渉しないが、後述するように最終ローラ対を紙幣の後端が抜け出た後ではその上方から回転してくる羽根が紙幣に干渉、接触して下方、且つ後方へ掻き寄せる動作を行うことになる。
本実施形態に係る羽根車の羽根654はゴム等の弾性材料から成る平坦な薄板の帯状体であるが、その先端面(紙幣との接触面)には小さな凸部656aと凹部656bが交互に設けられた高摩擦領域656が設けられている。高摩擦領域656を構成する凸部656aは、羽根本体の素材よりも摩擦係数の高い材料から構成する。紙幣と接触する面が全体として平坦であると、紙粉や埃の付着により摩擦抵抗が低下するが、凹凸部から成る高摩擦領域656が存在することにより、紙幣との間の滑りを防止できる。特に、紙粉を凹所内に入り込ませることにより紙粉に起因した摩擦抵抗の低下を防止すると共に、ガイド部材との接触により高摩擦領域自体が弾性変形して伸縮動作するので、凹所内の紙粉が排出され易く、自動クリーニング機能を発揮することができる。また、高摩擦領域656を設けることにより、紙幣との摺擦により損耗し易い羽根の先端部分の耐久性を向上させることができる。
本実施形態の高摩擦領域656は、凸部656aが細長く、且つ羽根の幅方向に延びる直方体であり、凹部656bは2つの凸部656a間に位置する溝であるが、これは一例に過ぎず、凸部と凹部を交互に配置した構成の高摩擦領域であればよい。
<紙幣押えレバー>
更に排出搬送集積部500は、成形機構から勢いよく放出されてきた紙幣を減速させつつ押え込んで出金トレイ700の面上の適正な位置に停止(着地)させるための紙幣押えレバー(以下、レバーと称する)670を備えている。レバー670は、レバー軸672により後端部(後部)を上下方向へ回動可能に軸支されることにより、後端部よりも前方部分、特に出金トレイ上に突出している部分を上下方向へ回動可能に構成されている。レバー670は、成形機構550による紙幣の排出動作が行われていない常時においては出金トレイ700(或いは、既集積紙幣)の上面に自重により降下していると共に、充分なコシを有した紙幣が成形機構550を通過する際には紙幣Bにより押し上げられて通過を許容する。
即ち、回転軸552の上方に位置するフレーム660にはレバー軸672が設けられ、レバー軸672によりレバー670の後部が上下方向へ回動自在に軸支され、円弧を描きながら自重で出金トレイ上(既集積紙幣上)に下降し、紙幣が排出されてきた時には紙幣により押し上げられる。
レバー軸672は回転軸552よりも後方(排出搬送経路による紙幣の搬送方向上流側)、且つ上方に位置している。レバー軸を中心としたレバー670の上下方向への回動軌跡は中央フランジ605と干渉する軸方向位置関係にある。つまり、レバーの幅寸法は、中央フランジ605と干渉する値を有するが、レバーの先端縁の幅方向中央部にフランジ605との干渉を避けるために開放部(干渉回避部)673が形成されている。つまり、レバー670の先端縁は二股に分かれた分岐端670aとなっており、分岐端間に中央フランジが入り込む開放部673が形成されている。各分岐部670aは細幅帯状の板材から成り、開放部673を間に挟んで並行に伸びている。開放部673が存在するため、レバーは中央フランジ605を回避しつつ中央フランジを越えて下方へ回動して出金トレイ700の上面側へ移動できる。
レバー670の役割は、排出搬送経路510を搬送されてくる紙幣Bが成形機構550から排出される過程で紙幣の上面に接触(摺接)し続けることにより、レバーの自重により紙幣に対して下向きの圧力を付与して出金トレイ700上に安定して着地させることと、出金トレイ上に集積される紙幣を押え付けて浮き上がりを防止することにある。
従って、下降位置にあるレバ-は、成形機構を通過してくる充分なコシを有した紙幣により応答性良く、迅速に押し上げられることにより紙幣の通過を許容する必要がある。一方、レバーは既集積紙幣を押え込む必要があるため、必要に応じて錘部材675をレバー前部の適所に固定して重量を付加する。
つまり、レバーが放出されてくる紙幣により充分に押し上げられない場合には、当該紙幣が出金トレイ上の正規の停止位置にまで達することができずに出金トレイ上の後方に挫屈した状態で停止したり、既集積紙幣の後部に衝突してこれを押し出す不具合をもたらす。このため、レバーは紙幣により充分な高さまで押し上げられるようにその重量を軽量化する必要がある一方で、下降した時には既集積紙幣の上面を加圧して浮き上がりを防止する程度の重量が必要である。
図11等により後述するように、排出搬送経路510を搬送されてきた紙幣Bの先端部は、レバー軸672と回転軸552との間の位置でレバーの下面と接して押上げを開始することができる。排出搬送経路510内では狭い間隔で上下に配置された搬送ガイド510aからの挟圧や、搬送ローラ対517のニップ力により、紙幣は平坦に姿勢を変形されて一時的に強いコシを付与されている。このため、カール癖を有していたり、コシの弱い紙幣が回転軸552の上流側でレバーを押圧したとしても、潰れたり、挫屈することなくレバーを押し上げ開始することができる。更に、成形機構550を通過した紙幣の先端部分はW字状に成形されて強いコシが付与されているため、更に強い力で迅速にレバーを押し上げながら前進し、出金トレイ上の最適な位置に着地して停止することができる。
なお、一般に錘675によりレバーの重量付加を行う理由は、紙幣処理装置1が世界各国の異なった紙幣に共通して適用できるように設計されている場合に、紙幣の重さ、材質、コシの強弱等々が異なる紙幣に対応できるようにするためと考えられている。即ち、レバーは、成形機構から排出されてきた紙幣を前方へ押し込むことにより排出(前進)を促進する機能と、排出されてくる紙幣を押え込んで着地位置を制御する機能を備える。紙幣の重量等の条件が大きく異なるにも関わらずレバーの重量を一定とした場合には、紙幣に対してレバーが軽量過ぎたり、重すぎる事態が発生してレバーの機能を適切に発揮できなくなるので錘による重量調整が必要になると考えられてきた。しかし、紙幣排出集積装置M2を用いた実験では10グラムの錘をレバーに取り付けるだけで世界各国の紙幣に対応が可能であることが確認できた。つまり、本実施形態においては一定重量の錘をレバーに取り付けておけば良く、紙幣の種類などの条件に応じて重量を調整する必要はない。
但し、紙幣の種類を問わず、コシの弱い紙幣に対しては錘の重量を調整することがレバーの作動を正常化する上で有効であることも確認されている。
<出金トレイ>
出金トレイ(排出トレイ)700は、成形機構550から排出(放出)されてきた紙幣を受けて集積する手段であり、図2の斜視図、図8の縦断面図等に示すようにほぼ水平で平坦なベース面(第1の上面)701と、ベース面の先端寄りの幅方向両端部から夫々前方に突設されて上面に上向きの傾斜面(第2の上面)703aを有した傾斜突部703と、各傾斜突部の内縁部に設けた細長い溝(穴)704内において後端部を軸支されることにより前部を上下方向へ回動可能に構成された出没部材(傾斜面形成部材)705と、出没部材を図2、図8に示した突出位置に付勢する弾性部材707と、を概略備えている。各出没部材705は、弾性部材により常時においては突出位置に付勢されており、上面705aは傾斜突部703の傾斜面703aよりも上向きに傾斜した傾斜面となっているため、傾斜突部703に沿って前方へ移動しようとする紙幣に対してブレーキを掛けて減速させて停止させて落下を防止することができる。出没部材の上面705aには紙幣との間の摩擦抵抗を高めるための摩擦シートを貼る。摩擦シートを設けない場合には、放出されて来た紙幣の勢いにより樹脂製の上面705aを滑って出金トレイから飛び出す虞があるが、摩擦シートを備えた傾斜面としての上面705aは効果的に紙幣を減速させることができる。
なお、2枚目以降の紙幣については、既集積紙幣との間に充分な摩擦抵抗を確保できるので、減速効果を更に発揮することができる。
出金トレイ上への所定枚数の紙幣の排出、集積が完了した後で、集積した紙幣束を一括して取り出す際には利用者が手指により出没部材705を押下げて上面705aを溝704a内に退避させることができるので、出没部材が紙幣束の取出し作業の邪魔にならずに取出しが容易となる。また、出金トレイの奧部で紙幣が挫屈する等のジャムを起こした場合にも出没部材を押し下げることにより手指を奥まで差し込むことが可能となり、ジャム紙幣の取出しが可能となる。
<ガイド部材(ガイド突部)>
各図に示すように出金トレイ700のベース面701上であって、各羽根車650の羽根654の移動軌跡と対応(干渉)する位置に突起物としてのガイド部材(ガイド突部)710が一個ずつ配置されている。ガイド部材は後述するように羽根車との協働作業により、排出されてきた紙幣Bがそのまま前進して出金トレイ上に着地完了する前に捕捉し、続いてスペース702へ向けて後退させることにより、出金トレイ先端縁から紙幣先端を過剰に突出させる集積(排出)不良状態を解消させる。
出金トレイの排出方向長を短縮化した場合、成形機構550から放出されてきた紙幣が出金トレイ上に着地する位置が前方に偏り過ぎて出金トレイから落下するケースが想定される。しかし、ガイド部材は放出されてきた紙幣を係止し、且つ羽根との協働により後退させて過剰に前方へ突出することを阻止する手段であるため、このような不具合を解消できる。
図2乃至図5、図7に示すように、各ガイド部材710は、各羽根の移動軌跡に干渉するように出金トレイ上面に配置され、下降してくる羽根と接触(干渉)してこれを弾性変形させながら回転移動(通過)することを許容する。各ガイド部材710は、成形機構550により出金トレイ上に排出されてきた紙幣後部と出金トレイ上面よりも高い位置で(出金トレイ上面に先行して)接触する第1接触部(上面716、後端縁716a)と、該第1接触部から排紙方向後方(上流側)へ下向きに湾曲して延びる湾曲ガイド面720と、を備える。
各ガイド部材は、図5等に示すように紙幣後部の幅方向両端部(近傍)と接するように、その位置、及び幅寸法を設定されている。
なお、本実施形態において紙幣の後部とは、羽根が回転移動する過程で接触可能な紙幣の後半部位を広く含む。
更に詳述すると、ガイド部材710は、図7等に示すように、四角く平坦な上面716を有した前突部715と、上面の後端縁(角縁部)716aから連続して下方へ凹状に湾曲して延びる湾曲ガイド面(ガイド面、湾曲凹所)720と、湾曲ガイド面の後端縁から略水平に延びる後部ガイド面722と、を概略備えている。後端縁716aは回転軸552の軸方向と並行に直線状に延びている角部である。湾曲ガイド面720は後端縁716aと同じ幅で下方、且つ後方へ湾曲して延びている。後部ガイド面722は湾曲ガイド面720と同じ幅で後方へ延びている。本例では後部ガイド面722は出金トレイの第1の上面701よりも若干高い位置にあるが、これは一例に過ぎず、羽根との協働による掻き寄せの効果を阻害しなければ、同等の高さとしてもよい。
上面716、及び上面の後端縁716aは回転移動してくる羽根の先端部が接触する位置にあるため、上面716の一部、及び後端縁716aに羽根の先端部が弾性変形しつつ接触しながら通過する。羽根との協働により紙幣を後方へ掻き寄せることを可能ならしめるために、湾曲ガイド面720、及び後部ガイド面722も羽根の先端部が弾性変形しつつ接触しながら移動するようにその形状、位置関係が選定されている。
湾曲ガイド面720に代えて、後端縁716aから斜め下向き後方へ傾斜する平面を連設したガイド部材を出金トレイ上に配置して実験したところ、羽根の先端部との協働により紙幣を後方へ掻き寄せる機能は発揮できたが、湾曲ガイド面ほどには掻き寄せる効率は高くなかった。
図5(a)に示すように、各ガイド部材の幅は羽根の幅の2倍以上とし、且つ紙幣Bの幅方向両端部と接触できるように各外側フランジ607、609を越えて軸方向外側に延在するように構成している。これにより幅広の紙幣の幅方向両端部と接してガイドすることが可能になる。
<釣銭払出し動作手順>
図9は本発明の紙幣処理装置1による釣銭払出し動作手順の概要を説明するフローチャートである。
入金された金銭の受入れと釣銭の払出しが確定した場合、次の手順で釣銭の払出しが行われる。
まず、制御手段1000は、各還流ユニット30、40に対して夫々が収納する金種の紙幣を所定枚数ずつ払出すべきことを指示する(ステップS1)。例えば還流ユニット30に収納された千円札を3枚、還流ユニット40に収納された五千円札を1枚、釣銭として出金トレイ上に払出すことを指示する。
すると、各還流ユニット30、40は指定された枚数の千円札と五千円札の払出しを夫々開始する(ステップS3)。例えば、還流ユニット30から千円札を3枚連続して払出してから、還流ユニット40から五千円札を1枚払出す。
各還流ユニット30、40から1枚ずつ払出された紙幣は収納紙幣搬送経路9bに設けた識別部70で金種をチェックされ、指定通りの金種であれば、排出搬送集積部500へ順次送り込み、各紙幣について排出搬送を開始する(S5、S7 Yes、S9)。
ステップS7において、返却不可と判定された場合にはエスクロ部で一時保留してから回収庫50へ搬送する(ステップS21)。
ステップS11において、排出搬送集積部500に1枚ずつ送り込まれた紙幣Bが成形機構550を通過したことが通紙センサ580により検知されると(ステップS11 Yes)、ステップS13において後続紙幣の有無が判定され、後続紙幣がある場合には排出搬送機構520により当該後続紙幣を連続して排出させる(ステップS15)。
更に、ステップS17において全ての後続紙幣が成形機構を通過したか否かがチェックされ、通過完了している場合には処理を終了する。
《従来の紙幣処理装置との対比》
次に、本発明の利点を従来例との比較により明らかにするために、図10に示した従来の排出搬送集積部500Pの側部縦断面図を用いて対比説明する。
従来の排出搬送集積部500Pは、排出搬送経路510P、排出搬送機構520P、レバー670P、出金トレイ700P、出金トレイ上に紙幣を排出するための排出機構(駆動ローラ600P、テンションローラ601P)等を備えている。なお、排出機構は紙幣の短辺形状を所定に変形させてカール癖を矯正する機能を有していない。また、従来のレバー670Pのレバー軸672Pは、駆動ローラの軸552Pよりも出金トレイ側(前方)に位置しており、レバーの全長は本発明のレバーに比して必然的に短尺となる。このため、排出搬送経路510Pを搬送されてきた紙幣Bがレバー670Pと接してこれを押上げ開始するのは、その先端部が排出機構を通過してレバーと接して以降となる。この排出機構は紙幣の短辺形状を変形させてコシを補強する機能を有していないため、紙幣のコシが弱かったり、紙幣先端が下向きに傾斜するカール癖が形成されている場合にはレバーを充分に押し上げることができずに当該紙幣が挫屈してジャムを起こす虞がある。つまり、紙幣によるレバーの押上げが不充分な場合には、紙幣が出金トレイ上を充分に前進することができず、出金トレイ上の正規の停止位置よりも大幅に奥寄り位置(図面右方向)に挫屈した状態で停止する虞がある。そのため、出金トレイ上に順次排出されてくる複数枚の紙幣を、取出し易く、且つ整列性の良い状態で集積させることは難しかった。
また、従来の排出搬送集積部500Pでは、排出機構から排出されてきた紙幣は回転軸552Pよりも前方、且つレバー軸の直近位置(接点C)においてレバー670Pの下面と接触することになる(図10参照)。その結果、レバー軸672Pと、レバーと紙幣先端との接点Cとの間の距離L3`が短くなるため、紙幣がレバーを持ち上げるのに大きな力を必要とする。このため、コシが弱い紙幣はレバーを充分に押し上げることができずに正規の停止位置よりも後方位置で挫屈し易くなる。特に、紙幣先端が接点Cに達した時には搬送ローラ517Pや、駆動ローラ552P、テンションローラ601Pによる拘束から解放されているためにコシが弱い状態に戻っており、図10に示すように紙幣先端が下向きに挫屈し易い。その後、順次各ローラからの拘束から解放されて排出されてきた同一紙幣の後方部分も連続して挫屈し易くなる。
更に、従来のレバー670Pは下降時の初期角度θ`が小さくなるため、排出機構から放出されてきた紙幣がレバーを押し上げるためには更に大きな力が必要となる。従って、コシの弱い紙幣がレバーを十分に押し上げることができずに排出後に挫屈を起こし易くなる。或いは、既集積紙幣の後部に衝突してこれを出金トレイから押し出して落下させ易くなる。
これに対して本実施形態では、レバー軸672を回転軸552よりも後方に位置させると共に、レバー670を長尺化している。レバー670の長さは、出金トレイ上に紙幣が存在しない状態において、レバー先端部が出金トレイ上面(本例では、ベース面701)の適所に下降して接触できるように設定する。レバー先端と出金トレイ上面701との間に隙間が存在すると、その隙間から紙幣が抜けて出金トレイから飛び出す虞があるからである。
また、本実施形態では、レバー軸に対するレバーと紙幣との接点Cとの距離L3(図11(a)を参照)を充分に長くすることができる。このため、紙幣がレバーを持ち上げるのに要する力が小さくて済み、レバーを押上げ易くなる。また、接点Cが排出搬送経路510内(成形機構の手前)に位置しているため、接点Cに達した時の紙幣先端は搬送ガイド510aや搬送ローラ対517により平坦化されてコシが一時的に強化されており、レバーを効果的に押し上げることができる。
また、長尺化されたレバー670の下降時にその先端が出金トレイ上面701に接触するように構成したことで、図11(a)に示したレバー下降時の初期角度θ`を大きくすることができ、紙幣突入時の押上げを容易化することができる。従って、コシの弱い紙幣であっても効率良くレバーを押し上げることが可能になる。
なお、本実施形態においては、出金トレイ上に放出されてくる紙幣がレバーを充分に押し上げできずにレバーの重さに負けて下降してしまう不具合(長手方向上方へのカール癖)を解消するために、次の3点を工夫した。
即ち、(1)成形機構550により紙幣の短辺形状を、紙幣の長手方向に沿ったコシを強化できる所定の形状(例えば、W字形状)に成形する。(2)レバーの重量を錘部材675を用いて最適値に調整する。(3)中央フランジ605の幅W1を充分に広く設定することにより紙幣によるレバー持ち上げ効果を維持する。
まず、(1)に関しては、成形機構550(駆動ローラとテンションローラとのニップ部n1、及びフランジ)を紙幣の後端が通過完了するまでの期間は、紙幣を下降させないで水平、或いは上昇姿勢を維持させ続けることが紙幣を全長に渡ってW字状に成形する上では好ましいが、成形機構によればそのような役割を充分に発揮できる。つまり、成形機構から出金トレイ700上に排出されてくる紙幣はコシを強化されているために確実にレバー670を押上げながら排出される。即ち、紙幣が成形機構を通過中の段階では各フランジや最終ローラ対によりグリップされているために、成形機構よりも前方に突出した紙幣部分はカール癖を矯正された状態(コシの強さ)を維持し続けることができる。また、紙幣が成形機構を通過完了した段階でもカール癖が矯正された状態を維持して正規の位置に落下し、最終的に紙幣はレバーにより既集積紙幣と共に押え付けられる。
次に、(2)に関しては、紙幣排出集積装置M2が世界各国の紙幣に対応できる汎用機種であることを前提とした配慮がなされている。つまり、各国の紙幣は材質、厚さ、コシ、重さ、寸法等々が異なっているが、これらの相違点に対応しながら集積性を高めるためにはレバーの重量を調整する必要がある。即ち、紙幣の重さに対してレバーが軽量過ぎると下降時に出金トレイ上の既集積紙幣を押え込む効果が低下する一方で、レバーが重すぎると放出されてくる紙幣を過剰に押下げる虞があるので、錘部材675によるレバーの重量の微調整が必要となる。
次に、(3)に関しては、レバーの分岐端670a間に形成される開放部673と中央フランジ605との間のギャップG2内に紙幣の対応部位が落ち込むことを防ぐために、中央フランジの幅W1(図3)を充分に大きく設定している。紙幣がこのギャップG2に入り込んで落ち込むと、レバーを押し上げる効果が低下して、出金トレイ上で挫屈を起こす虞があるからである。なお、この点については後述する。
従来の装置構成では、このような配慮が一切なされていない。
《排出搬送集積部による払出し紙幣の処理手順》
次に、排出搬送集積部500(成形機構、羽根車、紙幣押えレバー、及びガイド部材)による払出し紙幣の処理手順について図11乃至図14により説明する。
回転軸552には、羽根車650の中心部となるベース部562が一体化されており、各駆動ローラ555、600、各フランジ605、607、609と一体回転する。従来の羽根車は排出されてきた紙幣Bを羽根によりはたき落とすことにより出金トレイから前方へ飛び出すことを防止するために使用されていた。これに対して、本実施形態の羽根車は、従来の機能に加えて、1枚ずつ排出されてくる紙幣が落下する過程で出金トレイ上に設けられたガイド部材710との協働により紙幣を後方へ寄せる機能を発揮する。
図11(a)乃至(d)は、排出搬送経路510内を排出方向へ搬送されてきた紙幣Bの先端がレバーに接してからレバーを押し上げながら、紙幣の先端が成形機構550を通過した直後までの状態を順次示す排出搬送集積部500の動作説明図(側部縦断面図)である。
図12(e)、(f)は、紙幣Bの後端が成形機構を通過する直前の状態と、通過した直後の状態を示す排出搬送集積部500の動作説明図(側部縦断面図)であり、図12(g)、(h)、図13(i)乃至(l)、図14(m)乃至(O)は紙幣が出金トレイ上に落下するまでの過程と、羽根が紙幣を後方へ寄せる動作手順を説明するための図である。
なお、各図中に示した払出し紙幣Bの形状は、紙幣を短辺中央部で切断した端面の形状だけを示している。言い換えれば、中央フランジ605に対応する短辺中央部(突出部P1)に相当する紙幣の切断端面の状態、移動軌跡を示している。従って、各駆動ローラ555、600、及び外側フランジ607、609に対応する短辺部位(突出部P2、P3)、並びに各斜辺S1、S2の状態、移動軌跡は示していない。
成形機構550に進入する前の払出し紙幣は排出搬送経路内において搬送ローラ(搬送部材)517等により上下から加圧されることにより平坦化しているが、成形機構を通過した後では図6に示すように短辺形状が長手方向に沿ってW字形状に成形(癖付け)される。このため、成形機構から下流側に位置する紙幣の形状は実際にはW字状に立体化しているが、上述のように図11乃至図14では紙幣の短辺中央部を全長に渡って切断した断面図で表しているため、成形機構通過前と通過後の紙幣の形状(上下厚み)の差異は表現されていない。
また、レバー670はレバー軸672が回転軸552よりも後方に位置していながら、中央フランジ605と干渉せずにレバー先端部を上下動させることができるように構成されているため、以下の挙動が可能になる。
図11(a)において、何れかの還流ユニットから排出され、収納紙幣搬送経路9bを上向きに搬送されてきた紙幣Bは、ローラ512aが反時計回り方向へ回転駆動されることにより図示の切替え姿勢にあるフラッパ514との協働により排出搬送経路510に案内される。同図(a)では紙幣の先端は成形機構550の直前位置、即ち各駆動ローラ555、600と各従動ローラ556、601のニップ部n1の直前位置においてレバー670の下面と接触してこれを押圧開始する。即ち、紙幣が成形機構に達していない段階では(a)に示すようにレバー670は自重により下降して、その先端を出金トレイ700の上面に接触させているが、紙幣によりレバー軸672から距離L3だけ離間した部位(接点C)を押圧されることにより(b)に示すようにレバーは押し上げられる。レバー軸672は回転軸552よりも後方にあるため、紙幣の先端部は図11(a)の位置(回転軸よりも上流側位置)においてレバーと接触して押上げを開始することができる。しかも、レバー軸と接点Cとの間には充分に長い距離L3が確保され、且つレバーの初期角度θが180度に近い程度に大きく設定されているため、軽い力でレバーを押し上げることができる。
図11(c)では紙幣Bの排出方向への移動距離が(b)よりも少し進行するため、レバーは紙幣により押圧されて更に押し上げられるが、上方に位置するフレーム660の下面には達していない。この段階では、紙幣の先端は成形機構を完全には通過していない。
なお、紙幣が成形機構を通過する際には、その短辺中央部は中央フランジ605の上部に沿って移動し、各駆動ローラ555、660に対応する短辺部位はテンションローラ556、601とのニップ部n1を通過し、各外側フランジ607、609に対応する短辺部位は各外側フランジの上部に沿って移動する。短辺各部位が対応する各部を移動するタイミングはほぼ一致する。なお、紙幣が成形機構を通過完了するとは、紙幣の短辺の各部位が、中央フランジ605、駆動ローラとテンションローラ(最終ローラ対)とのニップ部n1、及び各外側フランジを全て離脱した状態を意味する。
続く(d)の段階では紙幣は依然として成形機構を構成するフランジ、及び最終ローラ対により挟圧保持(グリップ)されている一方で、紙幣の先端は成形機構を通過して少し進行しており、通過を完了した部分の短辺形状がW字状に成形されている。このため、成形機構よりも下流側に位置する紙幣の先端部分は強いコシを付与された状態にあり、レバーは強いコシを有した紙幣先端部によりフレーム660と接する位置まで押し上げられて上昇を停止する。この時、成形機構よりも下流側に位置する紙幣部分はレバーにより押し負けていないので、当該紙幣部分の姿勢は下向きに傾斜、或いは湾曲しておらず、水平姿勢、或いは上向きに傾斜した姿勢を維持している。
図12(e)では各駆動ローラと各従動ローラのニップ部n1により挟持されている後部を除いた紙幣の前方部分は全て成形機構により強いコシを付与されているため、図示のように略ストレートな姿勢を維持しながらレバーを最上昇位置に押し上げ続ける。即ち、紙幣は最上昇位置にあるレバーの下面に沿って排出されてゆくが、この段階で紙幣の先端は出金トレイ上に下降していない。
同図(f)は紙幣Bの後端が成形機構550を抜け切った状態を示している。
もともと先端が下向きに傾斜したカール癖が形成されている紙幣であったとしても、成形機構から出金トレイに向けて排出されてきた段階ではカール癖は解消されている。従って、出金トレイ上に排出されてきた紙幣が既集積紙幣を押し出して出金トレイから脱落させることがない。即ち、(e)から(f)に至る過程において、後続紙幣の先端が既堆積紙幣の後部、その他の部位に接触して出金トレイから押し出すことがない。
また、既集積紙幣も成形機構による成形によりカール癖が除去されており、全長に渡ってストレート、且つ平坦な姿勢を維持しているので、後続紙幣との無用な干渉を起こすことがなくなる。
続く(g)、(h)の段階では紙幣の先端は出金トレイの先端から突出しており、この状態を放置すると、出金トレイから脱落する可能性がある。第2のユニットM2の前後方向長を短縮化すべき要請がある場合には、出金トレイの前後方向長を短縮化することになるため、このような現象が起きやすくなる。この場合、成形機構により成形を受けて放出された紙幣はレバーにより押え込まれつつ出金トレイ上に着地した時にその先端が短尺化された出金トレイ前端縁から大きく突出して落下し易くなる。
この不具合を解消するために本発明では、(g)、(h)に示すように紙幣が出金トレイの先端縁(本例では出没部材705)から大きく突出した状態で着地した時点で、出金トレイ700の後部に後退用のスペース702が形成されるように構成している。そして、この後退用のスペース702に対応する出金トレイの上面には、各羽根車の羽根654の移動軌跡と対応する位置に、突起物としてのガイド部材710を固定配置している。ガイド部材と羽根車との協働作業により、一旦出金トレイ上に排出された紙幣Bをスペース702へ向けて後退させることにより、出金トレイ先端縁から先端を突出させた状態を解消させる。
ガイド部材710の配置、高さは、(g)、(h)に示したように出金トレイ上に落下してきた紙幣の後部がガイド部材の上面716、或いは後端縁716aに落下する前の空中にある段階で、羽根による掻き寄せが開始されるように構成する。つまり、落下してくる紙幣と羽根とのファーストコンタクトは紙幣が空中にある時点で行われるように構成する。
なお、紙幣の挙動がばらつくことにより、紙幣後部がガイド部材の上面に落下してから、或いは落下と同時に、羽根の先端が紙幣後部と接することもあるが、その場合にも問題なく紙幣を後方へ掻き寄せることができることが確認されている。
各羽根654は回転移動する過程で必ずガイド部材710の外面と摺接するようにその長さ、位置関係を設定されている。
また、羽根車の回転速度、排出紙幣に対する羽根の回転タイミング、及び羽根の長さ(羽根先の回転軌道)は、図12(g)、(h)、図13(i)、(j)に示すように出金トレイ上に排出されてきた紙幣の後部を、上方から回転移動してくる羽根654cが捕捉してガイド部材710に向けて引き下げることができるように選定される。また、出金トレイ上におけるガイド部材の前後方向位置、上面716の前後方向長、及び後端縁716aの前後方向位置は、上記各図に示すように羽根654cにより引き下ろされてきた紙幣の後部下面がガイド部材上面、及び後端縁に接し易くなるように選定する。
このように構成することにより、排出されてきた紙幣が過剰に前方へ飛び出そうとしている場合であっても、紙幣が排出されてきた早い時期に空中において羽根654cが紙幣後端を捕捉して下方、且つ後方に掻き寄せを開始できる。更に、羽根654cがガイド部材の後端縁716aに達した時点で後端縁との間で当該紙幣の後部の下面を挟持開始し、その後は羽根の先端と湾曲ガイド面720との間で挟持しながら紙幣全体を後方へ寄せることが可能となる(図13(k)(l)、図14(m)乃至(O))。
なお、(g)以降の段階において成形機構550から後端を離脱させた紙幣はレバー670により押し下げられながら下降して行く為、レバーと羽根との協働により紙幣が下降しながら後方へ寄せられるということができる。
これを更に詳述すると、本発明では、払出し紙幣の処理速度を高めるために、成形機構550から排出されてきた紙幣が出金トレイ上面、或いはガイド部材710上へ落下完了する前、紙幣後部が空中にある段階(図12(g)、(h))で、羽根654cの先端部が当該紙幣の後部と接するように構成している。そのように各羽根と各紙幣との接触タイミング、言い換えれば各羽根の回転速度と各紙幣の放出速度を適切に選定、設定することにより、空中にある紙幣後部と羽根が接触した時点で紙幣を強制的に、下降方向、且つ後方へ引き寄せる動作を開始することができる。その後、羽根がガイド部材の上面、及び後端縁と接触する位置まで下降してきた時点では紙幣後部は羽根とガイド部材との間に挟まれた状態になるため、その後の羽根の回転動作により湾曲ガイド面720に沿って後方へ確実に寄せられる。このため、全ての紙幣は、長手方向サイズの違いに関係なく出金トレイ上において後端を揃えられた状態で集積され、出金トレイ先端縁から落下することがなくなる。
本実施形態では図12(g)乃至図14(O)に示すように出金トレイ上に排出されてきた紙幣は先端部を出金トレイ上(出没部材705上)に一旦着地させた後で、後方に引き寄せられている。この現象を返却口側から視ると、紙幣は一旦出金トレイの前端縁から突出した状態で排出されるが、その直後に後方へ引き寄せられて停止するように動作する。
なお、成形機構550によりコシを強化された紙幣の落下経路、落下タイミングは比較的安定し、一定となるが、上方へのカール癖が極度に強い紙幣や、元々のコシが著しく低下している所謂よれよれ紙幣の場合には成形機構による成形を受けた後においても落下経路、落下タイミングがばらつく虞がある。このため、羽根が常に空中において同じタイミングで紙幣後部を捕捉できるとは限らない。羽根が接する前に紙幣後部がガイド部材上に落下することも有り得る。しかし、本実施形態によれば、そのような場合にも羽根はガイド部材との間で紙幣後部を挟み込んで後方へ掻き寄せることができる。
これを更に詳細に説明すると、羽根車は放出されてきた紙幣を下方へ叩き落すようにその構成、回転タイミングなどが設定されている。特に、本実施形態では成形機構550により短辺形状をW字状に成形されて放出されてくる紙幣は成形前のカール癖が通常レベルである限り、落下する過程で、空中で羽根に接触するように設計することが可能である。しかし、紙幣の長手方向への上向きカール癖が極端に強い場合には成形機構によって紙幣の全長に渡って完全なW字状に成形できないために充分なコシを付与できないケースがあり得る。このような場合には、成形機構を紙幣が抜け出た瞬間にカール癖が復帰し、紙幣後端が羽根から逃げるような形で丸まり、羽根と接触する前に紙幣後部がガイド部材710上に落下することがあり得る。しかし、本実施形態の構成によれば、このような場合であっても、紙幣後部がガイド部材に引っ掛かって前方への移動を阻止されると共に、続いて下降してきた羽根先端により捕捉されて後方へ掻き寄せられる。この結果、紙幣が出金トレイから脱落することが防止される。
コシが著しく低下しているよれよれ紙幣についても同様に処理することができる。
次に、以上の羽根車650、レバー670、及びガイド部材710等の構成、機能を踏まえて、成形機構550から排出されてきた紙幣をレバーが下方へ押下げる過程で、羽根車が後方へ寄せる動作について更に説明する。
図12(g)、(h)中に示したように、成形機構550から出金トレイ上に排出されてきた紙幣Bの後部がまだ空中にある時に下向きに回転してきた羽根654cが紙幣後部に接触すると、高摩擦領域656が紙幣を確実に捕捉して、レバーによる押下げ動作と協働して強制的に下方、且つ後方へ掻き寄せる動作を開始する。即ち、成形機構から排出されてくる紙幣は前方へ向けて付勢されているため、空中において出金トレイ700の先端縁へ向けて移動しようとしている。これに対して図示の空中にある紙幣の後部に対して下向きに移動してくる羽根654cを接触させることにより、紙幣が前進しようとする勢いを減殺して前進方向への移動を停止させた上で、更に羽根654cが回転移動する方向(下方、且つ後方)へ導くことができる。
なお、図示した実施形態ではレバー軸672が成形機構よりも上流側の排出搬送経路510内に配置された新規なレバー670を用いた構成例を示しているが、これは一例であり、レバー軸を排出搬送経路の終端部より外側、即ち出金トレイ上方に配置した従来のレバー(図10)を用いてもよい。即ち、従来のレバーを備えた排出搬送集積部においても、羽根車とガイド部材710を適用することにより、紙幣の掻き寄せ効果を得ることができる。
図12(g)(h)において羽根654cが空中にある紙幣Bの後部を捕捉してから下方への回転を続けると、羽根654cが紙幣後部をガイド部材710の上面716、及び後端縁716aに接触するまで押下げる。この時点では高摩擦領域656と後端縁716aとの間で紙幣後部が挟圧保持された状態となっている。従って、羽根が更に回転移動を続けることにより、図13、図14に順次示すように紙幣は湾曲ガイド面720、後部ガイド面722に沿って後方へ移動してゆく。
図14(O)の時点では、羽根654cは紙幣後端からほぼ離脱しているので、紙幣の後方への移動は停止する。なお、必要に応じて後方へ掻き寄せられてくる各紙幣の後端を揃えるためのストッパを後退用のスペース702の終端部に設けてもよい。
以上のように、成形機構から排出されてきた紙幣の後部がガイド部材の上面716上に落下する(接触する)よりも早いタイミングで、羽根654cが上面716よりも前方、且つ上方位置において紙幣後部と接してこれを下方、且つ後方(紙幣の放出方向とは逆方向)へ戻すように掻き寄せ開始する。言い換えれば、羽根先端と紙幣との接触位置Cを羽根先端の回転軌跡上でより遠い位置とすることができる。このため、紙幣が出金トレイ上に着地完了する前の早い段階で紙幣を後方へ引き寄せ開始できるので、紙幣集積の処理速度の迅速化を図ることができる。
更に、ガイド部材710を設けたことにより、落下途中の紙幣の後部が出金トレイ上面701よりも上方位置にある時にガイド部材の後端縁716aと接触することができる。つまり、紙幣後部が出金トレイ上に着地する前の早いタイミングで後端縁716aにより紙幣後部を引っ掛けることができる。このため、一旦出金トレイの前端縁から飛び出した状態で出金トレイ上に着地した紙幣を迅速に後方へ引き寄せ、最適な位置で停止させることができる。
以上の構成によれば、紙幣の長手方向サイズの大小に関係なく、出金トレイ上に排出されてきた全ての紙幣の後端を順次一線に揃えることができるので、紙幣が出金トレイの先端縁から過剰に突出したり、落下することを防止しつつ、出金トレイ上に集積される複数枚の紙幣を利用者が一括して取出すための最適の状態にすることができる。
また、出金トレイは可能な限り小型化、短尺化したいという要請が強いが、排出されてくる紙幣を出金トレイの奧部を基準として後端揃えすることができるので、このような要請を満たすことが可能になる。
次に、本発明に係るガイド部材と羽根車による紙幣の後方への引き寄せ(掻き寄せsweep)のための構成、動作を、従来の羽根車の構成、動作と比較しながら更に詳細に説明する。
従来、出金トレイ上に放出されてくる紙幣を押えるために使用される羽根車は、下向きに回転する羽根により紙幣を出金トレイ上に押え付けることによる前方への飛び出し抑制だけを目的としていた。つまり、従来の羽根は、放出されてきた紙幣が浮き上がって前方へ飛び出すことを防止するために押え付ける役割だけを担っており、紙幣が出金トレイ上面に着地した後、或いは着地する直前に紙幣を押え込んでいた。更に、羽根の先端部は、紙幣を間に挟んで出金トレイ上面に接触した時点以降に弾性変形しながら後方へ向けて回転移動を開始するが、出金トレイ上面は平坦面であるため、羽根の先端部が後方へ移動しても紙幣を同方向へ移動させることはできなかった。つまり、従来の羽根車は、羽根の先端部が紙幣と接触した後では、羽根の先端部は出金トレイ上面との間に位置する紙幣の上面を滑りながら後方へ移動するに過ぎず、出金トレイ上に着地した紙幣を後方へ寄せる機能を有していなかった。
これに対して本実施形態では、紙幣が成形機構550から放出されてきた時に、紙幣が出金トレイ上面に着地するよりも充分に早いタイミング、つまり放出された直後の適切な早いタイミングで羽根先端を紙幣後部と接触させて、紙幣の減速、及び方向転換を開始する。続いて羽根先端と接触する紙幣部分の裏面がガイド部材の上面、或いは後端縁(出金トレイ上面よりも高い位置にある)と接触するまでの間も紙幣を後方へ向けて下降させ続ける。羽根先端がガイド部材の前突部715との間で紙幣を挟持し始めた時点以降では、湾曲ガイド面720に沿ってスムーズに下方、且つ後方へ向けて紙幣全体を移動させることができる。
羽根の先端は、硬質のガイド部材710との間で紙幣を挟みながら弾性変形を開始する。紙幣先端が弾性変形しながらガイド部材の後端縁716aを経て、湾曲ガイド面720、後部ガイド面722へと順次移動して行く過程で、羽根の先端はガイド部材の各部に沿った形状に弾性変形しながら紙幣面との接触面積を増やすと共に(紙幣との間で滑りを起こすことなく)、接触しながら掻き寄せる時間を長く確保することができる。つまり、羽根の先端部が紙幣と接する面積が増え、且つ圧接力が増大するために掻き寄せる力が増大することとなり、紙幣との間の滑りのない、確実な掻き寄せが可能となる。
また、従来の羽根車にあっては、放出されてくる紙幣を放出方向とは逆方向へ引き寄せるという効果を有しておらず、羽根により逆方向へ引き寄せる効果を発揮させるという発想自体が存在しなかった。これに対して、本発明にあっては出金トレイ上面よりも高い上面を有するガイド部材を、羽根と干渉する位置に設けたことにより、ガイド部材と羽根との協働により確実な引き寄せ効果を実現した。
また、駆動ローラとテンションローラのニップ部n1から出金トレイ上に放出されてくる紙幣の落下位置は紙幣のカール癖の強弱等の条件によっては前後方向にばらつくことがあるが、本発明では、羽根車の羽根により、より遠方に落下しようとする紙幣を空中で捕捉してから、その後ガイド部材と協働により放出方向とは逆方向へ掻き寄せることができる。ガイド部材がない場合には平坦な出金トレイの上面で紙幣を羽根が押えるので、紙幣を下方へ押し付ける力(停止させる力)は発揮できても、後方へ引き寄せる力は発生しない。
特に、本実施形態に係るガイド部材は、上面の後端縁から連設されて、前方上方から後方下方へ向けて湾曲して下降する湾曲ガイド面720を有しており、この湾曲面は羽根の回転軌跡とほぼ一致しているので、余裕をもって紙幣を後方へスライドさせつつ、掻き寄せることができる。
湾曲ガイド面720の湾曲形状は、回転軸552を中心として描かれる羽根の先端部の円形の軌跡とオーバーラップするように構成される。また、羽根の先端部が描く円形の曲率半径よりも、湾曲ガイド面の曲率半径は小さく構成する。ただ、湾曲ガイド面は円弧形状でなくてもよく、羽根の先端部との間で紙幣後部を挟持しながら後方へスムーズにガイドできる湾曲形状であればよい。
なお、ガイド部材710が紙幣と接する面の摩擦抵抗を小さく(出金トレイ上面との間の摩擦抵抗よりも小さく)設定することにより、紙幣とガイド部材との間の滑りを良好にして後方への移動を更にスムーズにすることができる。
なお、成形機構550を備えた第2のユニット(紙幣排出集積装置、一括払出しユニット)M2においては、出金トレイ上に放出されてくる紙幣のコシを強化し、且つ短辺の左右端部を上向きに傾斜させるように成形が行われるため、ガイド部材710が存在しなくても後続の湾曲紙幣が既集積紙幣を落下させたり、湾曲紙幣自体が出金トレイから落下することを防止できる。従って、成形機構を設けた場合にはガイド部材は湾曲紙幣が出金トレイから落下することを防止する為の必須の構成要件とはならない。
ただ、出金トレイ上における紙幣の整列性を高めたり、落下防止を確実化する上で、ガイド部材と羽根との協働による紙幣への作用は有用である。
なお、間断なく回転移動してくる羽根車の羽根がガイド部材との間で既集積紙幣の後部を押えていることも、後続紙幣が既集積紙幣を押し出す不具合を解消する要因ともなっている。
また、上記実施形態に係る成形機構550の利点として上向きにカール癖を有した紙幣を矯正することについて述べたが、成形機構が紙幣の下向きカール癖を矯正する機能をも同時に有していることは言うまでもない。
《コシが低下した紙幣対策》
次に、排出搬送集積部500に成形機構550を設けない場合、つまりフランジ605、607、609を設けない場合には、コシの弱い紙幣は最終ローラ対(駆動ローラ555、600とテンションローラ556、601)のニップ部n1から出金トレイ上に排出されることになる。このように構成した場合、排出後のコシの弱い紙幣は、本来の自分のコシの力だけで進み、且つレバー670をコシの力で持ち上げつつ出金トレイ上に落ちる必要がある。コシの力が所定以下の紙幣はレバーにより潰されてレバーを超えて前進できない。
即ち、コシが所定以下の紙幣はカール癖の有無に関係なく、それが排出搬送経路510を搬送されてきた場合、フランジ605、607、609が存在しないとすれば、この紙幣は出金トレイ700上に排出される過程でレバー670を充分に押し上げながら出金トレイ上の適正な位置に着地することができない。言い換えれば、排出の最中にレバーが上がりきらずに低姿勢を保つために紙幣がレバーを越えて前方へ進出できず、レバーにより潰された状態となる。このため、コシが弱い紙幣は、下降したままのレバーの下面と出金トレイ上面との間の狭い空間内に挫屈した状態となり易い。釣銭として複数枚の紙幣を排出する際に、コシが低下した紙幣が1枚でも含まれていると、後続紙幣の排出不良、整列不良をもたらす原因となる。
本実施形態においては成形機構550によってコシが所定以下に低下した紙幣のコシを強化することができるので、上記の如き不具合を解消できる。
更に、既に説明したように、レバー軸672を最終ローラ対の駆動軸(回転軸)552よりも上流側に配置し、且つ搬送ローラ517により進行方向へ強い力で搬送するようにしたため、コシが著しく弱い紙幣であっても強い力でレバーを押し上げることができる。
なお、レバー670の重量や、レバーの初期角度(最下降時の傾斜角度)についてもコシが所定以下に低下した紙幣が持ち上げることができるように設定している。一例を挙げれば、錘675を含めないレバーの重量は約10gであり、初期角度θは約21°程度である。
[紙幣排出搬送装置:第2実施形態]
第2実施形態に係る紙幣排出集積装置M2によれば、劣化が著しい紙幣(よれよれ紙幣)であっても成形機構550により当該紙幣を所要形状に成形してコシを強化しつつ出金トレイ上に正常な状態で排出し、集積することができる。
払出し紙幣Bのコシの低下の程度が著しい場合、つまり紙幣がよれよれの場合には、成形機構550によって当該紙幣の短辺形状を所定に成形しようとしても、充分に強いコシを有している正常な紙幣ほどにはコシを十分に強化することができない。
図15は紙幣排出集積装置のギャップG2を拡大した構成例を示す比較例であり、著しくコシが低下した紙幣が、ギャップG2が過大に設定された成形機構を通過する状態を示した一部断面正面図である。
コシが著しく低下した紙幣が成形機構550を通過する際に、レバー先端の分岐端670a間の開放部673と中央フランジ605との間の間隔(ギャップG2)が過大であると、言い換えれば、開放部673の幅W3に対してフランジ幅W1が過小であるとギャップG2が大きくなるので、図示のようにこのギャップG2内に紙幣の一部が落ち込んで(食い込んで)レバーを押し上げることが困難となる。即ち、コシが著しく低下している紙幣は、レバーを押し上げる以前にギャップG2に対応する先端縁部分が潰れてギャップ内に入り込む傾向がある。更に、当該紙幣は前進に伴って後続部分も先端に続いて潰れてギャップG2に入り込む。そのため、ギャップG2に入り込んだ部分のコシが低下してレバーを押し上げる力(強度)が低下する。
具体的な数値としては、よれよれの紙幣はギャップG2内に2.5mm前後の深さまで落ち込むことが想定されるが、当該落ち込み部の発生により回転軸552上でのレバーの高さ位置が2.5mm低下する。すると、その分だけレバーの角度が約7.5度下向きになる。言い換えれば、ギャップ内への2.5mmの入り込みがなければレバーの角度は7.5度上向きの本来の姿勢となる。このように紙幣がレバーを充分に押し上げることができずにレバーの角度が低下すると、出金トレイの上面に紙幣が接触する際に挫屈を起こしてジャムするリスクが高まる。
これを図15中に示した中央フランジ605と駆動ローラ555との関係で説明すると、中央フランジの上部の角部605aと駆動ローラの上部の角部555aとの間の距離が短いほど各角部間に位置する紙幣部分を保持する力(コシ)が強くなる。図3に示した第1実施形態に係る中央フランジ605の角部605aと駆動ローラ555の角部555aとの間の距離に比して、図15中の対応部分の距離は著しく長い。このため、図15の構成例では、紙幣がギャップG2内に入り込み易くなる。紙幣がギャップG2内に入り込むと紙幣はたわんだ形状となり、ギャップに入り込んだ紙幣の分だけレバーの角度が低下する。このことは、中央フランジ605と他方の駆動ローラ600との間の関係についても当てはまる。
<排出搬送集積部>
排出搬送集積部500では、このような不具合に対処するために、レバー先端の開放部673と中央フランジ605との関係性について最適化を行っている。
以下、排出搬送集積部500の他の特徴的な構成について図3乃至図5により説明する。
成形機構550では、レバーの開放部673の両内側縁と中央フランジ605の両外側面との間に形成されるギャップG2内に、コシが著しく劣化した紙幣の一部が落ち込むことを阻止するように中央フランジの幅W1と開放部の幅W3の比率を設定している。
成形機構550によるW字形状への成形と併せて、中央フランジを幅広に構成してギャップG2を適度に狭くすることにより、よれよれの紙幣であってもレバーを充分に押上げて集積性を改善できる程度にコシの強さを高めて、上向き姿勢で排出させることができる。
実際の装置の構成例として、中央フランジの幅寸法W1を6.0mmとし、レバーの開放部673の幅寸法W3を9.2mmとした時に、よれよれ紙幣の落ち込みを確実に防止して紙幣の挫屈防止効果を充分に発揮することができた。実験によれば、開放部の幅寸法W3に対する中央フランジの幅寸法W1との比率の最適値は、約0.65であった。上記の寸法例では、左右のギャップG2の値は、夫々1.6mmとなる。
このように本発明では、レバーの開放部の幅W3を一定にしつつ、中央フランジの幅W1を外側フランジの幅より大きくしてギャップG2を適度に小さくすることにより紙幣の落ち込みを防止した。このため、コシが著しく低下したよれよれの紙幣であっても中央フランジの外周面により押し上げられることにより保形性(コシ)を高めて、レバーを持ち上げることを可能にしている。言い換えれば、前記ギャップの寸法調整を行うことにより、中央フランジの幅広の外周面によるバックアップ機能を高めて、レバーの重量に対してよれよれ紙幣のコシの方が勝る状態にすることができる。
なお、レバーの先端に20グラムの錘675を固定した場合、紙幣はこの重量を含めたレバーを持ち上げる必要があるが、レバー軸672が回転軸552の後方に位置しているため、中央フランジによるバックアップよりレバーを持ち上げることが可能になる。
なお、以上のことから、コシが著しく低下している紙幣、即ち、よれよれの紙幣とは、レバー先端の開放部の幅W3に対する中央フランジの幅W1の比率が所定値(例えば、約0.65)を下回る程度に小さい場合に、両者のギャップG2に紙幣の一部が落ち込みを起こす程度に脆弱化している紙幣、と定義することができる。つまり、紙幣の脆弱性(コシの低下)が進行していたとしても、過大なギャップG2内に一部が落ち込むことがない程度の脆弱性であれば、W字状に成形することによりコシを充分に強化できるので、仮にギャップG2が大きかったとしても紙幣の一部が落ち込むことはない。また、過大なギャップG2内に一部が落ち込む程度に脆弱化している紙幣であっても、ギャップG2が適正値となるようにレバー先端の開放部の幅W3に対する中央フランジの幅W1の比率を設定すれば(例えば、約0、65以上)、W字状に成形することによるコシの強化と、中央フランジによる紙幣のバックアップ効果によりレバーを押上げながら紙幣を排出することが可能となる。
なお、M字状に成形した場合、幅広紙幣の両端は下向きに傾斜しているために垂れ下がり易く、既集積紙幣と衝突し易い。特に、短辺が長尺な紙幣にあっては中央フランジやローラ対により中央部と両外側部位がグリップされていたとしても、両端部は重量により垂れ下がり易いことは明かである。
紙幣をW字状に成形した場合には短辺の両端辺S2は上向きに傾斜しており、しかも頂部P3`が外側フランジによりグリップされているために垂れにくい。ただ、現実には天井(フレーム660)があるので両端辺S2は天井に当たって少し下げられ、天井に沿いながら搬送される。しかし、既集積紙幣と干渉する程度にまで大きく垂れ下がることはない。
[紙幣排出集積装置:第3実施形態]
図16は第3実施形態に係る紙幣排出集積装置M2(排出搬送集積部800)の要部正面図である。
図17乃至図20は、同紙幣排出集積装置M2の構成、及び排出、掻き寄せ動作を説明する側部縦断面図である。なお、第1実施形態に係る排出搬送集積部と同一部分には同一符号を付して説明する。
第3実施形態に係る紙幣排出集積装置M2は、第1実施形態における成形機構を有していない構成でありながら、カール癖を有した状態で出金トレイ上に排出されてくる紙幣を羽根車650とガイド部材(ガイド突部)710との協働により、整列性よく着地させることを可能とする。
本実施形態では、カール癖を有した紙幣は出金トレイ上に排出される際にカール癖が復帰した状態で排出されるが、当該紙幣が出金トレイから脱落したり、既集積紙幣を紙幣間摩擦により押し出して落下させる不具合を解消できる。
《基本構成》
紙幣排出集積装置M2は、次の基本構成を備えている。
即ち、紙幣排出集積装置M2を構成する排出搬送集積部800は、紙幣を受入れて収納し、且つ収納した紙幣を外部へ払出す還流ユニット30、40から1枚ずつ払出されてきた紙幣を出金トレイ上に1枚ずつ排出して集積する手段であって、払出し紙幣を排出搬送する排出搬送経路510と、該排出搬送経路上の払出し紙幣B(以下、紙幣B、と称する)に搬送力を付与する排出搬送機構520と、排出搬送経路の下流部に位置し、出金トレイ上に払出し紙幣を排出する最終排出機構(以下、排出機構、と称する)810と、排出機構から排出されてきた紙幣を集積する出金トレイ700と、を備える。
排出機構810は、払出し紙幣Bの搬送方向と直交して配置されて排出方向へ回転駆動される回転軸(駆動軸)552と、該回転軸に軸芯を固定された駆動ローラ555、600、及び各駆動ローラとの間に夫々紙幣搬送用のニップ部n1を形成する従動ローラ556、601から成る最終ローラ対と、を備える。
回転軸552よりも排出方向上流側に配置されたレバー軸(回転軸と並行)672には紙幣押えレバー670がその後部を上下方向へ回動自在に軸支されており、該紙幣押えレバーは最下降位置にある時に自重により出金トレイ上面(或いは、既堆積紙幣上面)に前部を接触可能に構成されている。
紙幣Bが排出機構560を通過する過程で紙幣押えレバー670はその下面側と接触しながら通過する紙幣からの作用により上下へ回動する。
各駆動ローラ555、600の軸方向両外側には回転軸552に夫々軸芯を固定された羽根車650が配置されている。
羽根654の移動軌跡に干渉する出金トレイ上面には羽根と接触してこれを弾性変形させながら回転移動(通過)することを許容する上向きの突部としてのガイド部材(ガイド突部)710が設けられている。
羽根車、及びガイド部材の構成は第1実施形態のものと変わりが無いため、これらについての重複した説明は省略する。
<排出搬送集積部>
以下、排出搬送集積部800について詳細に説明する。
第1実施形態に係る排出搬送集積部500は、駆動ローラ555、600、テンションローラ556、601、フランジ605、607、609を備えた成形機構550を有している。つまり、出金トレイ上に排出されてくる紙幣は全て成形機構により長手方向へのカール癖が解消、減少された状態にある。
これに対して第3実施形態に係る排出搬送集積部800は、各駆動ローラ555、660、及び各テンションローラ556、601から成る排出機構810を備えているのみである。排出機構810は、フランジ605、607、609を有しないために紙幣の短辺を所定形状に成形してコシを強化する機能を有していない。各駆動ローラの回転軸552には羽根車650が軸芯を固定され、駆動ローラの軸方向両側に配置されている。
排出機構810から上方へのカール癖を有した紙幣が排出される場合には、図18に示した如く出金トレイ上にカールした状態で放出される。
駆動ローラ555、600とテンションローラ556、601(最終ローラ対)により出金トレイ上に紙幣を排出する場合、上方へのカール癖を備えた紙幣はレバー670により押圧されながら出金トレイ上に着地する際に、下向きに湾曲した先端部が既集積紙幣の後端部と干渉してこれを押し出したり、自重により出金トレイ先端から落下する虞がある。
これに対して本実施形態では、出金トレイ上に突設したガイド部材と羽根車との協働により、放出直後の紙幣の適所、本例では紙幣の後部を捕捉して過剰な前進を阻止する(後退させる)ので、自重での出金トレイからの落下を防止できる。また、一旦集積した紙幣はその後部を連続して回転移動して来る羽根によりガイド部材上に押え込まれて前進できなくなっているため、後続紙幣により押し出されることが防止される。
本実施形態によれば、紙幣の短辺形状を成形することによるカール癖の矯正を行わずに出金トレイに排出するだけの機能を有した排出機構810を備えた排出搬送集積部800において、排出されてきた紙幣が出金トレイから飛び出して落下したり、既集積紙幣を押し出すという不具合を解消するために、ガイド部材を備えた出金トレイを、ガイド部材を備えない既存のものと交換するだけで対処することができる。
<排出搬送集積部による寄せ動作>
以下、図17乃至図20により第3実施形態に係る排出搬送集積部800による紙幣の寄せ動作について説明する。
図17(a)乃至(d)は、排出搬送経路内を排出搬送されてきた上向きのカール癖を有した紙幣Bの先端がレバーに当接してからレバーを押し上げながら、紙幣の先端が排出機構810を通過した直後までの状態を示す排出搬送集積部800の動作説明図(側部縦断面図)である。
図18(e)、(f)は、紙幣Bの後端が排出機構を通過する直前の状態と、通過した直後の状態を示す排出搬送集積部500の動作説明図(側部縦断面図)であり、図18(g)、(h)、図19(i)乃至(l)、図20(m)乃至(O)は紙幣が出金トレイ上に落下するまでの過程と、羽根が紙幣を後方へ寄せる動作手順を説明するための図である。
図17(a)乃至(d)、及び図18(e)、(f)の処理手順は、図11(a)乃至(d)、及び図12(e)、(f)の手順と変わりがないため、説明を簡略化する。
また、図18(g)、(h)、図19(i)乃至(l)、図20(m)乃至(o)の処理手順は、排出されてきた紙幣が上向きにカールしていることにより前部、及び後部が下向きに湾曲している点を除けば、第1実施形態中の図12(g)、(h)、図13(i)乃至(l)、図14(m)乃至(o)の手順と変わるところがないので重複した説明を減らし、相違点を中心として説明する。従って、説明を省略した重複部分については、第1実施形態中の該当する記載を参照しつつ理解されたい。
図17(a)において排出搬送経路510を搬送される紙幣Bは、最終ローラ対のニップ部n1の直前位置においてレバー670の下面と接触してこれを押圧開始する。レバー軸672は回転軸552よりも後方にあるため、紙幣の先端部は回転軸よりも上流側位置においてレバーと接触して押上げを開始する。しかも、レバー軸と接点Cとの間には充分に長い距離L3が確保され、且つレバーの初期角度θが180度に近い程度に大きく設定されているため、軽い力でレバーを押し上げ開始することができる((b)、(c))。下向きの湾曲癖を有した紙幣先端は、第1の実施形態の場合と同様に排出搬送経路510内において強いコシを付与され、カール癖が一時的に矯正されているため、紙幣を押し上げることができる。
紙幣が排出機構810を通過する際には、各駆動ローラ555、600と各テンションローラ556、601とのニップ部n1を通過する。
図17(d)では、紙幣の先端がニップ部n1から突出し始めており、レバーは紙幣により押圧されて更に押し上げられる。ニップ部n1を排出されてきた直後の紙幣の先端部は下向きの湾曲癖が復元しているが、上記の理由によりレバーは軽い力で押し上げることが可能であるために、レバーに負けずに軽い力でこれを押し上げることができる。
図18(e)では各駆動ローラと各従動ローラとのニップ部n1により挟持されている後部を除いた紙幣の前方部分は下向へカールしているが、レバー670は軽い力で押し上げることができるように構成されている。このため、図示のように紙幣はレバーを押し上げ続けることができる。この時のレバーの高さ位置はレバーの可動域の最大高さではないが、可能な限り最大限まで押し上げている。即ち、紙幣は図示の高さ位置まで押し上げられたレバーの下面に沿って排出されてゆき、紙幣の先端は出金トレイ上面(出没部材の上面705a)に接触している。
同図(f)は紙幣Bの後端が排出機構810を抜け切った状態を示している。フリーになった紙幣は第1実施形態の様にストレート形状に成形されていないため、図示のようにこの段階でレバー670の先端部との接触部が下向きに押圧されて凹状に変形する。この紙幣には排出方向へ放出されてきた勢いがあるため、羽根車とガイド部材710が存在しない場合にはレバーの下面に沿って排出されようとする。このため、既集積紙幣と接してこれを押し出して落下させたり、自ら出金トレイ先端から落下し易くなる。
次に、図18(g)、(h)の段階では最終ローラ対のニップ部n1を離脱した紙幣の後部は下向きにカールした原形に復帰している。また、紙幣の先端は下向きに湾曲した状態で出金トレイの先端から突出しようとしており、この状態を放置すると、出金トレイの先端から脱落する可能性がある。特に、出金トレイの前後方向長の短縮化が進められている場合には、放出されてきた紙幣はレバーにより押え込まれつつ出金トレイ上に着地した時にその先端が短尺化された出金トレイ前端縁から大きく突出して落下し易くなる。
この不具合を解消するために本発明では、(g)、(h)に示すように紙幣の後端部がニップ部n1を離脱した時点以降に、羽根車の各羽根654とガイド部材710との協働により紙幣の前進を阻止しつつ、後方へ掻き寄せるように構成している。
即ち、出金トレイ700の後部に設けた後退用のスペース702に対応する出金トレイの上面であって、各羽根車の羽根654の移動軌跡と対応する位置に、突起物としてのガイド部材710を固定配置している。ガイド部材と羽根車との協働作業により、一旦出金トレイ上に排出された紙幣Bをスペース702へ向けて後退させることにより、出金トレイ先端縁から先端を突出させた状態を解消させる。
ガイド部材710の配置、高さは、(g)、(h)に示したように出金トレイ上に落下してきた紙幣の後部がガイド部材の上面716、或いは後端縁716aに落下する前の空中にある段階で、羽根による掻き寄せが開始されるように構成する。つまり、落下してくる紙幣と羽根とのファーストコンタクトは紙幣が空中にある時点で行われるように構成する((f)、或いは(g)の時点)。
なお、紙幣の挙動がばらつくことにより、紙幣後部がガイド部材の上面に落下してから、或いは落下と同時に、羽根の先端が紙幣後部と接することもあるが、その場合にも問題なく紙幣を後方へ掻き寄せることができることが確認されている。
各羽根654は回転移動する過程で必ずガイド部材710の外面と摺接するようにその長さ、位置関係を設定されている。
また、羽根車の回転速度、排出紙幣に対する羽根の回転タイミング、及び羽根の長さ(羽根先の回転軌道)は、図18(g)、(h)、図19(i)、(j)に示すように出金トレイ上に排出されてきた紙幣の湾曲した後部を、上方から回転移動してくる羽根654cが捕捉してガイド部材710に向けて引き下げることができるように選定される。
このように構成することにより、排出されてきた紙幣が過剰に前方へ飛び出そうとしている場合であっても、紙幣後部が排出されてきた早い時期に空中において羽根654cが紙幣後端を捕捉して下方、且つ後方に掻き寄せを開始できる。更に、羽根654cがガイド部材の後端縁716aに達した時点で該後端縁との間で当該紙幣の後部を挟持開始し、その後は羽根の先端と湾曲ガイド面720との間で挟持しながら紙幣全体を後方へ寄せることが可能となる(図19(k)(l)、図20(m)乃至(O))。
また、第1実施形態の場合と同様に、各羽根と各紙幣との接触タイミング、言い換えれば各羽根の回転速度と各紙幣の放出速度を適切に選定、設定することにより、空中にある紙幣後部と羽根が接触した時点で紙幣を強制的に、下降方向、且つ後方へ引き寄せる動作を開始することができる。その後、羽根がガイド部材の上面、及び後端縁と接触する位置まで下降してきた時点では紙幣後部は羽根とガイド部材との間に挟まれた状態になるため、その後の羽根の回転動作により湾曲ガイド面720に沿って後方へ確実に寄せられる。このため、全ての紙幣は、長手方向サイズの違いに関係なく出金トレイ上において後端を揃えられた状態で集積され、出金トレイ先端縁から落下することがなくなる。
本実施形態では図18(g)乃至図20(O)に示すように出金トレイ上に排出されてきた紙幣は先端部を出金トレイ上(出没部材705上)に一旦着地させた後で、後方に引き寄せられている。この現象を返却口側から視ると、紙幣は一旦出金トレイの前端縁から突出した状態で排出されるが、その直後に後方へ引き寄せられて停止するように動作する。
なお、排出機構810から排出されてきた紙幣はカール癖が復帰しているため、落下経路、落下タイミングがばらつく虞がある。このため、羽根が常に空中において同じタイミングで紙幣後部を捕捉できるとは限らない。羽根が接する前に紙幣後部がガイド部材上に落下することも有り得る。しかし、本実施形態によれば、そのような場合にも羽根はガイド部材との間で紙幣後部を挟み込んで後方へ掻き寄せることができる。
これを更に詳細に説明すると、排出機構810から排出されてきた紙幣はカール癖を有しているため、排出機構を紙幣が抜け出た瞬間にカール癖が復帰し、紙幣後端が羽根から逃げるような形で丸まり、羽根と接触する前に紙幣後部がガイド部材710上に落下することがあり得る。しかし、本実施形態の構成によれば、このような場合であっても、紙幣後部がガイド部材に引っ掛かって前方への移動を阻止されると共に、続いて下降してきた羽根先端により捕捉されて後方へ掻き寄せられる。この結果、紙幣が出金トレイから脱落することが防止される。
次に、以上の羽根車650、レバー670、及びガイド部材710等の構成、機能を踏まえて、排出機構810から排出されてきた紙幣をレバーが下方へ押下げる過程で、羽根車が後方へ寄せる動作について更に説明する。
図18(g)、(h)中に示したように、排出機構810から出金トレイ上に排出されてきた紙幣Bの後部がまだ空中にある時に下向きに回転してきた羽根654cが紙幣後部に接触すると、羽根が紙幣を確実に捕捉して、レバーによる押下げ動作と協働して強制的に下方、且つ後方へ掻き寄せる動作を開始する。即ち、排出機構810から排出されてくる紙幣は前方へ向けて付勢されているため、空中において出金トレイ700の先端縁へ向けて移動しようとしている。これに対して図示の空中にある紙幣の後部に対して下向きに移動してくる羽根654cを接触させることにより、紙幣が前進しようとする勢いを減殺して前進方向への移動を停止させた上で、更に羽根654cが回転移動する方向(下方、且つ後方)へ導くことができる。
図18(g)(h)において羽根654cが空中にある紙幣Bの後部を捕捉してから下方への回転を続けると、図19(i)(j)に示すように羽根654cが紙幣後部をガイド部材710の上面716、及び後端縁716aに接触するまで押下げる。この時点では羽根654cの下面(高摩領域656)と後端縁716aとの間で紙幣後部が挟圧保持された状態となっている。従って、羽根が更に回転移動を続けることにより、紙幣は湾曲ガイド面720、後部ガイド面722に沿って後方へ移動してゆく。
図20(O)の時点では、羽根654cは紙幣後端からほぼ離脱しているので、紙幣の後方への移動は停止する。なお、必要に応じて後方へ掻き寄せられてくる各紙幣の後端を揃えるためのストッパを後退用のスペース702の終端部に設けてもよい。
以上のように、排出機構810から排出されてきた紙幣の後部が後端縁716a上に落下する(接触する)よりも早いタイミングで、羽根654cが後端縁716aよりも前方、且つ上方位置において紙幣後部と接してこれを下方、且つ後方(紙幣の放出方向とは逆方向)へ戻すように掻き寄せ開始する。言い換えれば、羽根と紙幣との接触位置(ファーストコンタクト位置)C1を羽根の回転軌跡上でより遠い位置とすることができる。このため、紙幣が出金トレイ上に着地完了する前の早い段階で紙幣を後方へ引き寄せ開始できるので、紙幣集積の処理速度の迅速化を図ることができる。
更に、ガイド部材710を設けたことにより、落下途中の紙幣の後部が出金トレイ上面701よりも上方位置にある時にガイド部材の後端縁716aと接触することができる。つまり、紙幣後部が出金トレイ上に着地する前の早いタイミングで後端縁716aにより紙幣後部を引っ掛けることができる。このため、一旦出金トレイの前端縁から飛び出した状態で出金トレイ上に着地した紙幣を迅速に後方へ引き寄せ、最適な位置で停止させることができる。特に、よれよれ紙幣の場合には、出金トレイ上に排出されてきた時に羽根で押えるだけでは後方への引き寄せが十分に実施できないことがある。そこで、羽根が紙幣に接するポイントを上空にし、且つガイド部材との協働により引き寄せることにより、よれよれ紙幣の寄せ処理が確実となる。
以上の構成によれば、紙幣の長手方向サイズの大小に関係なく、出金トレイ上に排出されてきた全ての紙幣の後端を順次一線に揃えることができるので、紙幣が出金トレイの先端縁から過剰に突出したり、落下することを防止しつつ、出金トレイ上に集積される複数枚の紙幣を利用者が一括して取出すための最適の状態にすることができる。
また、出金トレイは可能な限り小型化、短尺化したいという要請が強いが、排出されてくる紙幣を出金トレイの奧部を基準として後端揃えすることができるので、このような要請を満たすことが可能になる。
以上のように本実施形態によれば、排出機構550から放出される際の勢いにより紙幣先端が出金トレイの前端縁を乗り越えて自重により滑り落ちやすくなるという不具合を解消できる。また、間断なく回転移動してくる羽根車の羽根がガイド部材との間で既集積紙幣の後部を押えるため、後続紙幣が既集積紙幣を押し出すという不具合もなくなる。
[本発明の構成、作用、効果のまとめ]
《第1の本発明(第1、及び第2実施形態)》
第1の本発明における第1の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、搬送されてきた紙葉を収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニット30、40から払出されてきた紙葉をその短辺を先頭にして排出トレイ700上に1枚ずつ連続して排出して集積する手段であり、紙葉を排出トレイへ搬送する排出搬送経路510と、該排出搬送経路を搬送される紙葉の短辺形状(搬送方向と交差する方向へ延びる辺の形状)が長手方向全長に渡って所定の形状(コシを補強する形状)となるように成形してから排出トレイ上に排出する成形機構550と、を備える。
成形機構550による成形作業では、上方への突出部(上方へ突出した屈曲部)、及び下方への突出部(下方へ突出した屈曲部)を該紙葉の短辺方向に沿って交互に形成し、且つ、該紙葉の短辺の両端部S2を上向きに傾斜(斜め上向きに突出)させる。
紙幣等の紙葉処理装置においては還流機の需要が増えている。複数枚の紙幣を払い出す場合、排出トレイ上に1枚ずつ連続して払出して全紙幣の集積が完了してから利用者が紙幣束を取り出せるように構成することが処理速度を高める上では望ましい。
1枚ずつ払出しを行うタイプの従来機器では、利用者が払出された紙幣を取り出さない限り、次の紙幣が払い出されてこないため、全数が払出されるまでに時間がかかるが、払出されてくる紙幣がカールしていても既集積紙幣と衝突する問題は起きなかった。従来機器では、10枚中の1枚当たりの払い出しに要する時間は、利用者が紙幣を取り出すのに要する作業時間にもよるが、通常2秒はかかっている。
一方、排出トレイ上に紙幣を連続して1枚ずつ排出して集積させることにより一括して取り出す場合には、紙幣の排出速度は従来機器と同じでありながら、10枚中の1枚あたりの払出しに要する時間を1.5秒に短縮することができた。
但し、連続して集積する場合には、既存紙幣との衝突の問題が新たに発生するが、簡単な仕様により既存紙幣との衝突の問題を解決する。
即ち、本発明では、紙幣に形成されたカール癖に起因して排出トレイ上で排出不良、集積不良(先行紙幣の押出し、集積状態の不揃い、自らの停止位置のバラツキ、落下、等々)を起こすことを防止できる。また、カール癖以外にも、紙幣に形成された折れ癖、皺等の変形や、コシが低下していることに起因して発生する排出不良、集積不良を解消できる。
紙幣の短辺の両端部S2、P3は、下向きの突出部P2よりも上方に位置しており、既集積紙幣との衝突を回避できる。両端部の上向きの突出部P3の高さを、中央の上向きの突出部P1と同等か、それよりも高い位置に維持することにより、前記衝突の可能性を更に低減できる。
第2の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、成形機構550が紙葉を成形した後の短辺形状は、略左右対称形状であることを特徴とする。
成形機構による成形後の紙葉の短辺形状は、両端部が上向きに退避していれば良いが、排出トレイ上に排出される過程、及び排出後の着座安定性、利用者の取扱性などを考慮すると、左右対称形状であることが好ましい。
第3の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、成形機構550が紙葉を成形した後の短辺形状は、略W字形であることを特徴とする。
成形機構による成形後の紙葉の短辺形状は、両端部が上向きに退避していれば良いが、中央に上向きの突部P1を備え、且つその左右両側に下向きの突部P2を夫々備えた略W字形は、成形機構の部品点数を低減し、コンパクト化できるので実用性が高い。
第4の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、成形機構550は、紙葉の搬送方向と直交して配置されて排出方向へ回転駆動される回転軸552と、該回転軸に軸芯を固定された中央フランジ605と、該中央フランジの軸方向両側に所定の間隔を隔てて夫々配置され且つ該回転軸により軸芯を固定された2つの駆動ローラ555、600、及び該各駆動ローラとの間に夫々紙葉搬送用のニップn1を形成する従動ローラ556、601から成る2つのローラ対と、該2つの駆動ローラの軸方向外側に夫々配置されて該回転軸に軸芯を固定された外側フランジ607、609と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
出金トレイ上に紙葉を払い出す従来の排出機構は、駆動ローラと従動ローラから成るローラ対から構成されているが、本発明では従来の排出機構に対して3つのフランジを追加したのみの構成である。部品点数を必要最小限に抑えたことによる構成の簡潔化、小型化を実現できる。また、収納のための空所Eのスペースには限界があるが、この構成であれば、余裕をもった設計が可能となる。
第5の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、回転軸552よりも紙葉の搬送方向上流側で、且つ排出搬送経路510よりも上方に配置されたレバー軸672により後部を上下方向へ回動自在に軸支され、前方部分(レバー軸よりも前方部分)を回転軸を越えて排出トレイ上に突出させた紙葉押えレバー670を備え、紙葉が成形機構を通過する過程で紙葉押えレバーはその下側を通過する該紙葉からの作用により上下へ回動する構成を備え、紙葉押えレバーは中央フランジ605と干渉する軸方向位置に配置されると共に、該中央フランジと干渉する該紙葉押えレバーの部位には、該中央フランジを回避して上下方向へ回動することを許容する開放部673を備えていることを特徴とする。
レバー軸が回転軸552よりも上流側にあり、レバー前方部分が回転軸を越えて前方へ突出している。このため、レバーは長尺となり、且つ下降時の初期角度θが大きくなり、紙葉突入時におけるレバーの押上げが容易となる。
第6の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、紙葉押えレバー670が下降している時には、該紙葉押えレバーの一部が排出搬送経路内に干渉していることを特徴とする。
紙葉がレバーと接してこれを押上げ開始するのは、成形機構550よりも上流側の排出搬送経路510内となる。レバー軸に対する、レバーと紙葉先端との接触部Cとの距離を短くできるので、紙葉によるレバーの押上げが容易となる。
第7の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、紙葉押えレバー670の開放部673の両内側縁と中央フランジ605の両外側面との間に紙葉の一部が落ち込むことを阻止するように構成されていることを特徴とすることを特徴とする。
これを言い換えれば、中央フランジの幅は、開放部の両内側縁と中央フランジの両外側面との間に形成されるギャップG2内に紙葉の一部が落ち込むことを阻止するように構成されている。
コシが極度に低下した紙葉(よれよれの紙葉)は、成形機構からの排出後に紙葉押えレバーを充分に押し上げることができずに挫屈などを起こすことがある。その原因は、中央フランジと紙葉押えレバーの開放部との間のギャップが過大であるために、ギャップ内に紙葉の一部が落ち込んでコシが低下し、紙葉押えレバーを押し上げる力が低下することにある。
本発明では、中央フランジの幅を充分に大きくしてギャップを無くし、或いはギャップを減少させることにより、よれよれの紙葉の一部がギャップ内へ落ち込むことを防止し、且つ中央フランジの外周面により紙葉をサポートして上向きの姿勢を維持し、紙葉押えレバーに押し負けないようにできる。
第8の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、排出トレイ700は、ベース面701と、該ベース面の幅方向両端部から夫々前方に突設されて上面に上向きの傾斜面703aを有した突出部703と、各突出部の内縁部に設けた溝、又は穴704内において後部を夫々軸支されることにより前部を上下方向へ回動可能に構成された出没部材(傾斜面形成部材)705と、該出没部材を上方への突出位置に付勢する弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
出没部材は常時においては突出した状態にあるため、排出されてくる紙葉に対してブレーキを掛ける機能を有する一方で、排出トレイ上に集積された紙葉を利用者が取り出す際には突出した出没部材が若干の障害となる。このため、利用者が押し下げることにより出没部材を退避可能に構成した。
第9の形態例に係る還流式紙葉処理装置1は、紙葉の投入口(入出金口)5と、投入口から投入された該紙葉を該紙葉の長手方向に沿って受入れ搬送(搬入)する導入部11と、紙葉を受入れて収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニット30、40と、上記何れかの紙葉排出集積装置M2と、を備え、還流ユニットは、正転することにより外周面に紙葉を1枚ずつ集積して収納し、逆転することにより外周面の紙葉を1枚ずつ払出す還流ドラムを備えたことを特徴とする。
この還流式紙葉処理装置は、前記した各紙葉排出集積装置M2が発揮する機能。メリットを全て備えている。
《第2の本発明(第3実施形態)》
第2の本発明における第1の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、搬送されてきた紙葉を収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニット30、40から払出されてきた紙葉をその短辺を先頭にして排出トレイ700上に1枚ずつ排出して集積する手段であり、紙葉を排出トレイへ搬送する排出搬送経路510と、該排出搬送経路の下流に位置する最終排出機構810と、該最終排出機構から排出されてきた紙幣を集積する排出トレイ700と、最終排出機構から排出されてきた紙葉を押え込むために、後部を上下方向へ回動自在に軸支され、その前方部分を排出トレイ上に突出させた紙葉押えレバー670と、を備える。
最終排出機構810は、紙葉の搬送方向と直交して配置されて排出方向へ回転駆動される回転軸552と、該回転軸に軸芯を固定された少なくとも2つの駆動ローラ555、600、及び該各駆動ローラとの間に紙葉搬送用のニップ部n1を夫々形成する従動ローラ601、605から成る最終ローラ対と、を備える。
各駆動ローラの軸方向外側には回転軸に夫々軸芯を固定された羽根車650を備える。各羽根車を構成する羽根は、排出トレイ上面に向けて下向きに回転する過程で最終排出機構から排出されてきた紙幣と接してこれを押し下げる移動軌跡を備え、羽根の移動軌跡に干渉する排出トレイ上面には羽根と干渉してこれを弾性変形させながら回転移動(通過)することを許容するガイド突部(ガイド部材)710が設けられる。該ガイド突部は最終排出機構(最終ローラ対)により排出トレイ上に排出されてきた紙葉の後部と排出トレイ上面よりも高い位置で(該排出トレイ上面に先行して)接触する第1接触部716、716aと、該第1接触部から排出方向後方(上流側)へ下向きに(湾曲して)延びる(湾曲)ガイド面720と、を備えている。
第1接触部は回転移動してくる羽根の先端部が接触する位置にあるため、羽根の先端部が弾性変形しつつ接触しながら通過する。羽根との協働により紙葉を後方へ掻き寄せることを可能ならしめるために、湾曲ガイド面720、及び後部ガイド面722も羽根の先端部が弾性変形しつつ接触しながら移動するようにその形状、位置関係が選定されている。
第2の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、羽根と紙葉とのファーストコンタクトが、該紙葉の後部が空中にある時点となるように羽根の移動軌跡を設定し、且つ紙葉の排タイミングとの整合性を確保したことを特徴とする。
紙葉後端が最終排出機構を離脱した後の早い時期に、つまり紙葉後端が空中にある期間中に、羽根が紙葉を捕捉して後方への掻き寄せを開始することにより紙葉が排出トレイ先端から飛び出して落下することを確実に防止することが可能となる。
第3の形態例に係る紙葉排出集積装置M2は、羽根654が第1接触部よりも上方位置において紙葉の後部と接してから下方、且つ後方へ回転移動する過程で、羽根と接している紙葉部分が該羽根と共に第1接触部を経て、湾曲ガイド面720へと順次移動して行くように構成したことを特徴とする。
第1接触部よりも上方位置、即ち空中において羽根が紙葉後部と接するように、紙葉の排出タイミングと羽根の移動タイミングを整合させることにより、早期に後方への掻き寄せ動作を開始することができる。また、その結果、早期に紙葉後部をガイド部材の第1接触部に接触させて迅速な後方への掻き寄せを継続することができる。
第4の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、紙葉押えレバー670は、回転軸552よりも紙葉の搬送方向上流側で、且つ排出搬送経路510よりも上方に配置されたレバー軸672によりその後部を上下方向へ回動自在に軸支され、且つその前方部分を回転軸を越えて排出トレイ上に突出させていることを特徴とする。
紙葉押えレバーは、基端部に設けたレバー軸が最終排出機構よりも上流側に配置されているため、排出搬送経路内を搬送されるカール癖等を有した紙葉のコシが一時的に強化されており、弱い力でも紙葉押えレバーを押し上げることができる。羽根車とガイド突部は、紙葉押えレバーとの協働により、紙幣の落下経路のコントロール、及び後方への掻き寄せを実現することができる。
第5の形態例に係る紙葉排出集積装置M2では、排出トレイ700は、ベース面701と、該ベース面の幅方向両端部から夫々前方に突設されて上面に上向きの傾斜面703aを有した突出部703と、各突出部の内縁部に設けた溝、又は穴704内において後部を夫々軸支されることにより前部を上下方向へ回動可能に構成された出没部材(傾斜面形成部材)705と、該出没部材を上方への突出位置に付勢する弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
出没部材は常時においては突出した状態にあるため、排出されてくる紙葉に対してブレーキを掛ける機能を有する一方で、排出トレイ上に集積された紙葉を利用者が取り出す際には突出した出没部材が若干の障害となる。このため、利用者が押し下げることにより出没部材を退避可能に構成した。
第6の形態例に係る還流式紙葉処理装置は、紙葉の投入口(入出金口)5と、投入口から投入された該紙葉を該紙葉の長手方向に沿って受入れ搬送(搬入)する導入部11と、紙葉を受入れて収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニット30、40と、上記何れかの紙葉排出集積装置M2と、を備え、還流ユニットは、正転することにより外周面に紙葉を1枚ずつ集積して収納し、逆転することにより外周面の紙葉を1枚ずつ払出す還流ドラムを備えたことを特徴とする。
この還流式紙葉処理装置は、前記した各紙葉排出集積装置M2が発揮する機能。メリットを全て備えている。
1…紙幣処理装置、3…ハウジング、M…入出金処理ユニット、M1…第1のユニット、M2…第2のユニット(紙葉排出集積装置、一括払出しユニット)、5…入出金口(投入口)、7…払出し口(排出口)、B…払出し紙幣、P1、P2、P3…突出部、9a…入金紙幣搬送経路、9b…収納紙幣搬送経路、9c…ケーシング内搬送経路、11…一括入金部(導入部)、15…識別部、30、40…還流式紙幣収納部(還流ユニット)、31、35、41、45…還流ドラム、50…回収庫、60…ケーシング、61…第1振り分け部、65…第2振り分け部、65a…振り分け片、100…還流ユニット、105、110…ボビン、106a…ガイドローラ、111a…ガイドローラ、200…還流ユニット、310…フラッパ、500…排出搬送集積部、510…排出搬送経路、510a…搬送ガイド、512a…ローラ、514…フラッパ、517…搬送ローラ、520…排出搬送機構、550…成形機構、552…回転軸、555、600…駆動ローラ、556、601…テンションローラ、562…ベース部、580…通紙センサ、605…中央フランジ、607、609…外側フランジ、650…羽根車、652…ベース部、654…羽根、656…高摩擦領域、656a…凸部、656b…凹部、660…フレーム、670…レバー、670a…分岐部、672…レバー軸、673…開放部、675…錘部材、700…出金トレイ(排出トレイ)、701…ベース面(第1の上面)、702…スペース、703…突出部、703a…傾斜面(第2の上面)、704…溝(穴)、705…出没部材(傾斜面形成部材)、705a…上面、710…ガイド部材(ガイド突部)、715…前突部、716…上面、716a…後端縁、720…湾曲ガイド面、722…後部ガイド面、800…排出搬送集積部、810…最終排出機構、1000…制御手段。

Claims (9)

  1. 搬送されてきた紙葉を収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニットから払出されてきた紙葉をその短辺を先頭にして排出トレイ上に1枚ずつ排出して集積する紙葉排出集積装置であって、
    前記紙葉を前記排出トレイへ搬送する排出搬送経路と、該排出搬送経路を搬送される該紙葉の短辺形状が長手方向全長に渡って所定の形状となるように成形してから前記排出トレイ上に排出する成形機構と、を備え、
    前記成形機構による前記成形では、上方への突出部、及び下方への突出部を該紙葉の短辺方向に沿って交互に形成し、且つ、該紙葉の短辺の両端部を上向きに傾斜させることを特徴とする紙葉排出集積装置。
  2. 前記成形機構が前記紙葉を成形した後の前記短辺形状は、略左右対称形状であることを特徴とする請求項1に記載の紙葉排出集積装置。
  3. 前記成形機構が前記紙葉を成形した後の前記短辺形状は、略W字形であることを特徴とする請求項1に記載の紙葉排出集積装置。
  4. 前記成形機構は、前記紙葉の搬送方向と直交して配置されて排出方向へ回転駆動される回転軸と、該回転軸に軸芯を固定された中央フランジと、該中央フランジの軸方向両側に所定の間隔を隔てて夫々配置され且つ該回転軸により軸芯を固定された2つの駆動ローラ、及び該各駆動ローラとの間に夫々紙葉搬送用のニップを形成する従動ローラから成る2つのローラ対と、該2つの駆動ローラの軸方向外側に夫々配置されて該回転軸に軸芯を固定された外側フランジと、を少なくとも備えていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉排出集積装置。
  5. 前記回転軸よりも前記紙葉の搬送方向上流側で、且つ前記排出搬送経路よりも上方に配置されたレバー軸により後部を上下方向へ回動自在に軸支され、前方部分を前記回転軸を越えて前記排出トレイ上に突出させた紙葉押えレバーを備え、
    前記紙葉が前記成形機構を通過する過程で前記紙葉押えレバーはその下側を通過する該紙葉からの作用により上下へ回動する構成を備え、
    前記紙葉押えレバーは前記中央フランジと干渉する軸方向位置に配置されると共に、該中央フランジと干渉する該紙葉押えレバーの部位には、該中央フランジを回避して上下方向へ回動することを許容する開放部を備えていることを特徴とする請求項4に記載の紙葉排出集積装置。
  6. 前記紙葉押えレバーが下降している時には、該紙葉押えレバーの一部が前記排出搬送経路内に干渉していることを特徴とする請求項5に記載の紙葉排出集積装置。
  7. 前記紙葉押えレバーの前記開放部の両内側縁と前記中央フランジの両外側面との間に紙葉の一部が落ち込むことを阻止するように構成されていることを特徴とする請求項5、又は6に記載の紙葉排出集積装置。
  8. 前記排出トレイは、ベース面と、該ベース面の幅方向両端部から夫々前方に突設されて上面に上向きの傾斜面を有した傾斜突部と、前記各傾斜突部の内縁部に設けた溝、又は穴内において後部を夫々軸支されることにより前部を上下方向へ回動可能に構成された出没部材と、該出没部材を上方への突出位置に付勢する弾性部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の紙葉排出集積装置。
  9. 紙葉の投入口と、
    前記投入口から投入された該紙葉を該紙葉の長手方向に沿って受入れ搬送する導入部と、
    前記紙葉を受入れて収納し、且つ収納した紙葉を外部へ払出す還流ユニットと、
    請求項1に記載の紙葉排出集積装置と、
    を備え、
    前記還流ユニットは、正転することにより外周面に紙葉を1枚ずつ集積して収納し、逆転することにより外周面の紙葉を1枚ずつ払出す還流ドラムを備えたことを特徴とする還流式紙葉処理装置。
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