JP3552819B2 - 紙幣収納庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出金処理のために入金処理で既に収納した紙幣を再利用する循環式紙幣収納庫(紙幣リサイクル収納庫)を用いた循環式紙幣処理機(紙幣入出金機)に関し、特に、その紙幣収納庫の紙幣積み重ね側収容部へ紙幣繰り入れを行う紙幣繰入技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、循環式紙幣処理機としては、紙幣入金口に一括投入された重畳紙幣群(1金種以上の紙幣の積み重ね群)を引き込んで一枚ずつ分離して順次繰り出す入金紙幣分離部(一括紙幣入金部)と、分離された紙幣の真偽及び分離搬送状態の適否(紙幣の重ね送り,紙幣の連鎖送り等)の鑑別を搬送路途中で1枚ずつ行う入金紙幣鑑別部と、入金紙幣が不適正紙幣である場合はその不適正紙幣を入金紙幣返却経路に振り分けると共に、不適正紙幣が含まれない場合は紙幣入出庫経路への進入を許容する分離ゲートと、紙幣入出庫経路上で搬送される紙幣を1枚ずつ対応する金種の循環式紙幣収納庫に振り分ける振り分けゲートと、金種毎の循環式紙幣収納庫に収納された積み重ね紙幣から再利用のため紙幣入出庫経路上に一枚ずつ排出された紙幣の搬送適否(紙幣の重ね送り,紙幣の連鎖送り,斜め送り等)を鑑別する出金紙幣鑑別部と、出金紙幣が不適正紙幣である場合は当該不適正紙幣を回収する出金リジェクト庫(異常紙幣回収庫)と、上記入金時においては入金紙幣返却経路からの返却紙幣群を一時集積して入金リジェクトとして排出すると共に、出金時においては紙幣入出庫経路からの適正紙幣群を一時集積して一括排出する紙幣積み重ね排出部とを有している。
【0003】
このような循環式紙幣処理機において用いられる循環式紙幣収納庫としては、図28に示すように、収納庫筐体1内で枢軸に捩じりバネを巻装したパンタグラフ機構(図示せず)や円錐バネ2等を以て底面から上方に飛び出し付勢された紙幣弾力圧迫板3と、収容部8内に積み重ねられた最上位の紙幣4cの対向辺縁(長辺縁)を当て受ける上下昇降自在の一対の辺縁受け板(プッシャー板)5a,5bと、辺縁受け板5a,5bの中抜き開口部5cに相対的に上下に出没可能で紙幣繰入待機室6内に挿入された入庫予定の紙幣4aの長手方向の面中央部を当て受ける中央受け部7とを有している。紙幣入金処理においては、紙幣繰入待機室6内に入庫予定の紙幣4aが長手方向送りで水平方向から挿入されると、辺縁受け板5a,5bが上昇し、紙幣4aを持ち上げてこれを中央受け部7に当て付けながら、それよりも上方に往動するので、紙幣4aの対向辺縁が上方へ湾曲した後、紙幣のスプリングバックにより紙幣4aが辺縁受け板5a,5bの下面側に撥ね移り、紙幣4aは紙幣の積み重ね収容部8上に繰り入れられて最上位に積載されることになる。この後、辺縁受け板5a,5bが下降すると、紙幣4の辺縁を押さえ付けながら円錐バネ2の付勢力に抗して収容部8内の紙幣積み重ね群を沈み込ませて再び紙幣繰入待機室6の空間を確保する。
【0004】
一方、紙幣出金処理においては、辺縁受け板5a,5bが上昇すると、回転するキックローラ(図示せず)の高摩擦部位が最上位の紙幣4cに相対的に摩擦接触し、その紙幣4cが紙幣沿面方向に蹴り出されるが、その紙幣4cの先縁が阻止ローラ(図示せず)とフィードローラ(図示せず)との巻き込み域に当て付けられて紙幣間摩擦による共連れ紙幣の2重送りが防止されつつ、一対の引抜きローラ(図示せず)によって1枚ずつ庫外へ排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の上下往復動式の辺縁受け板5a,5bを備えた循環式紙幣収納庫にあっては、次のような問題点があった。
【0006】
紙幣繰入待機室6内において水平方向から挿入された入庫予定の紙幣4aが適正位置に位置決めされていない状態で、上下往復運動の辺縁受け板5a,5bが作動すると紙幣プレスとしても機能するので、紙幣積み重ね収容部8側への紙幣繰り入れ動作によって紙幣4aに皺や折れを生じさせるおそれがあるため、紙幣繰入待機室6での紙幣4aの姿勢は座屈や反り等の生じない水平姿勢であることが好ましく、従って、現状では循環式紙幣収納庫は専ら横置き(水平置き)に限られている。
【0007】
ところで、紙幣処理機の紙幣送り方式には紙幣長手方向送りと紙幣短手方向送りとがあるものの、紙幣搬送路スペースの節約や紙幣鑑別部のセンサ幅域の縮小化などを図る目的では紙幣長手方向送りの方が断然有利でまた一般的でもある。
【0008】
また、循環式紙幣処理機の機筐の幅寸法を大きく設計できない用途(券売機やガソリンスタンド等の外設機等)では、紙幣長手方向送りで横置きの循環式紙幣収納庫(1千円用,5千円用,1万円用)を縦方向に配列して幅寸法を抑制した設計を採用することができるが、紙幣入金口近傍の入金紙幣分離部や紙幣出金口近傍の紙幣積み重ね排出部とは紙幣取り扱いの利便性からして必然的に縦に隣接して収めることを余儀無くされているので、幅狭の利益は得られるものの、全体として機筐の縦長化を招く不利益がある。
【0009】
そこで上記問題点に鑑み、本発明の課題は、縦置き(垂直置き)を可能とした紙幣収納庫を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の講じた手段は、収納庫筐体内面から飛び出し、収容部内の紙幣積み重ねの片面を弾力付勢する圧迫部材と、前記圧迫部材に対峙して紙幣の面中央部を当て受ける中央受け部材と、前記紙幣積み重ねの最上位の紙幣の対向辺縁を当て受け、前記中央受け部材に対し相対的に出没する一対の相平行な辺縁受け部材とを有しており、前記収容部側に一番押し出された状態にある前記辺縁受け部材と前記中央受け部材とに挟まれた紙幣繰入待機室に挿入される入庫予定の紙幣を前記辺縁受け部材の前記相対的な出没動作により前記紙幣積み重ねの最上位に繰り入れるようになった紙幣収納庫において、前記辺縁受け部材は、前記入庫予定の紙幣の前記対向辺縁に沿う方向と前記入庫予定の紙幣の法線方向とが成す2次元平面の上を前記中央受け部材に対し相対的に出没するよう運行する2次元循環軌跡運動体として成ることを特徴とする。
【0011】
2次元循環軌跡運動体として、梃クランク機構等を用いると、法線方向の引き下げ動作,辺縁受け部材の相対向した方向の戻り動作,法線方向の押し出し動作,対向縁辺に沿う方向の送り動作から成る略矩形軌跡運動体とすることができるが、入庫処理のみならず、出庫処理も行わせるためには、2次元循環軌跡運動体としては円形軌跡運動体とし、平行クランク機構の連杆(連接リンク)であることが望ましい。かかる場合、平行クランク機構のクランクとしては偏心輪を用いることができる。
【0012】
また、補助的手段として、上記平行クランク機構と同期して回転し、上記平行クランク機構より紙幣出入口側に、前記辺縁受け部材が前記収容部側に一番押し出された状態である待機時の紙幣繰入待機室への紙幣の挿入を案内する案内輪を設けることが好ましい。ここで、その案内輪としては、待機時の直前過程で入庫済み紙幣のはみ出し域を前記紙幣挿入口側のアイドルローラとで挟み込んで紙幣積み重ね側へ引き戻す突起を有して成ることが好ましい。そして、上記アイドルローラへの接触面は上記突起の外側面とすることが好ましい。なお、案内輪としては一方の偏心輪で兼用することができる。
【0013】
〔作用〕
本発明の第1の手段においては、一対の辺縁受け部材が上記入庫予定の紙幣の前記対向辺縁に沿う方向と上記入庫予定の紙幣の法線方向とが成す2次元平面の上を運行する2次元循環軌跡運動体であるので、法線方向の引き下げ動作及び押し出し動作のみならず、入庫予定の紙幣の前記対向辺縁に沿う方向の戻り動作及び送り動作が加味されている。
【0014】
この送り動作が引き下げ動作の直前又は同時に存在しているため、紙幣繰入待機室内で中途半端な待機状態にある紙幣でも、辺縁受け部材はその紙幣の姿勢を撫で付けてソフトタッチに矯正する。従って、紙幣収納庫の姿勢は横置きに限らず、垂直置きに設定することができる。
【0015】
2次元循環軌跡運動体として平行クランク機構の連杆である場合には、機構系の構成を簡素化できる。
【0016】
また、案内輪を設けた場合は、待機室への紙幣の導入を円滑に行わしめることができる。
【0017】
更に、案内輪が紙幣引き戻し用の突起を有して成る場合は、出庫処理時に生じる共連れ紙幣のはみ出し域を収容部側へ引き戻すことができるので、入出庫処理の障害を無くすことができる。
【0018】
そして、案内輪として一方の偏心輪が兼用されて成る場合は、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕
(全体構成)
図1及び図2は本発明の実施例1に係る紙幣長手方向送りの循環式紙幣処理機の概略構成を示す側面図で、図1は入金処理の紙幣の流れを示し、図2は出金処理の紙幣の流れを示す。本例の循環式紙幣処理機(紙幣入出金機)は、機筐10内に敷設された上下のスライドレール11,11に沿って筐体奥行き方向に進退可能の紙幣処理ユニット12と、機筐上部に配した電源・制御部13とを有している。機筐10の正面パネル14の低位部には紙幣入金口14aとその上位に隣接した紙幣出金口14bが開口している。紙幣処理ユニット12は、紙幣入金口14aに一括投入された重畳紙幣群(1千円紙幣,5千円紙幣,1万円紙幣の紙幣積み重ね群)を奥方へ引き込んで一枚ずつ分離して順次繰り出す入金紙幣分離部(一括紙幣入金部)15と、分離された紙幣の真偽及び分離搬送状態(紙幣の重ね送り,紙幣の連鎖送り等)の鑑別を1枚ずつ行う入金紙幣鑑別部16と、入金紙幣が不適正紙幣である場合は搬入途中から入金紙幣返却経路Aに振り分けると共に、不適正紙幣でない場合は紙幣入出庫経路Bへの進入を許容する分離ゲート(入金紙幣送り方向切り換え手段)17と、機筐内の奥行き方向に並んで配置された金種(千円,5千円,万円)別の縦置き型循環式紙幣収納庫(紙幣リサイクル収納庫)18,19,20と、紙幣入出庫経路B上に搬送される紙幣を1枚ずつ対応する金種別の縦置き型循環式紙幣収納庫18,19,20に向け垂直下方に振り分ける金種別振り分けゲート21,22,23と、金種別の循環式紙幣収納庫18,19,20に既に収納された積み重ね紙幣から紙幣入出庫経路Bに一枚ずつ排出させた紙幣の搬送異常(紙幣の重ね送り,紙幣の連鎖送り,斜め送り等)を鑑別する出金紙幣鑑別部24と、出金紙幣鑑別部24から紙幣入出庫経路Bを経由した紙幣を出金専用路Cへ導入する案内ゲート25と、上記入金時においては入金紙幣返却経路Aからの返却紙幣群を一時保留して1枚ずつ積み重ねて重畳紙幣群として集積した後排出すると共に、出金時においては出金専用路Cからの紙幣を一時保留して1枚ずつ積み重ねて重畳紙幣群として集積した後一括排出する紙幣積み重ね排出部26と、出金時において振り分けゲート27により積み重ねられた不適正紙幣を含む一時貯留紙幣を一括して回収する縦置き型出金リジェクト庫(異常紙幣回収庫)28とを有している。なお、振り分けゲート21,22,23の上位部は動力源のモータ群やソレノイドが配列された駆動部29となっている。
【0021】
本例の循環式紙幣収納庫18,19,20及び出金リジェクト庫28は紙幣長手方向送りで縦置き型であり、それらは機筐10の奥行き方向に揃えて並んでいる。このため、機筐10の幅寸法と高さ寸法の圧縮が可能である。出金リジェクト庫28は紙幣処理ユニット12からの取替え利便性のため正面パネル14側に位置している。また千円用の循環式紙幣収納庫18は、使用頻度の点で入出庫時の処理時間を短縮するため、紙幣輸送距離を短縮するよう一番奥側に配置されている。
【0022】
本例においては、入金紙幣分離部15が金種別の縦置き型循環式紙幣収納庫18,19,20よりも下方位置に配置された構造となっているので、機筐正面の低位部に紙幣入金口14aを設けることが可能であり、またその紙幣入金口14aに隣接させて紙幣出金口14bを設けることができる。このように、正面下部に紙幣入金口14a及び紙幣出金口14bを持つ循環式紙幣処理機は、高い位置に設置されるサービスステーション等の用途に適しており、紙幣の取り扱い性が良好となる。本例のように、紙幣積み重ね排出部26を入金紙幣分離部15と金種別の縦置き型循環式紙幣収納庫18,19,20との高さ中間位置に配置した構成では、紙幣入金口14aの隣接上位部に紙幣出金口14bを設けることができ、また出金処理時の紙幣搬送距離が短くなっているので、出金処理時間の短縮化を図ることができる。勿論、紙幣積み重ね排出部26を入金紙幣分離部15の下部位置に配置した構成では、紙幣入金口14aの隣接下位部に紙幣出金口14bを設けることができ、また入金処理時の紙幣搬送距離が短くなっているので、入金処理時間の短縮化を図ることができる。
【0023】
(入金紙幣分離部)
図3は本例の入金紙幣分離部を示す側面図である。この入金紙幣分離部15は、上下のガイド板202,203の間に仕切られた紙幣通路204の始端(搬入)側の紙幣入金口14aにて一括投入された1枚又は複数枚の紙幣1の不揃い重ね束に対し上から圧迫する押し付けローラ101を持ち、その重ね束の裏面に引き込みローラ205を摩擦接触させて紙幣を紙幣通路204の奥へ引き込む紙幣引き込み装置15aと、紙幣通路204の終端(搬出)側に輸送された紙幣の先縁を下側の圧接駆動ローラ(フィードローラ)213と上側の圧接無回転ローラ(阻止ローラ又は摩擦ローラ)216の圧接巻き込み部213aに当て受けて付随紙幣の進入を圧接無回転ローラ216で阻止しつつ一葉ずつ紙幣を圧接駆動ローラ213の摩擦接触で繰り出す圧接式2重送り防止装置(分離装置)15bと、紙幣引き込み装置15aで引き込まれた紙幣の先縁側を圧接巻き込み部213aの手前定位置で一時停止させて紙幣を重ね止める紙幣当て止め部材(ストッパ)111と、この紙幣当て止め部材111の規制位置で紙幣に対し上から圧迫する揺動式押し付け部材110を持ち、紙幣の重ね束の裏面に蹴り出しローラ(キックローラ)212を摩擦接触させて紙幣を圧接巻き込み部213aへ押し当てる紙幣差し込み補助装置15cとを有している。蹴り出しローラ212は駆動モータ208により伝動ベルト215を介して回転し、圧接駆動ローラ213は伝動ベルト214を介して蹴り出しローラ212と同期回転する。なお、圧接式2重送り防止装置15bから繰り出された紙幣は紙幣鑑別部16側のモータに同期回転する上下の引き抜きローラ221,221に引き抜かれて紙幣鑑別部6へ導入される。
【0024】
紙幣引き込み装置15aの揺動弾力式圧迫機構は、リンク機構駆動用モータ209の従動節たる回動軸109を回転中心として正逆方向に揺動可能の枢要揺動レバー104と、枢要揺動レバー104の図示右側腕部の支軸103aに回動可能に軸支された押し付けローラ101を有している。紙幣差し込み補助装置15cの揺動弾力式圧迫機構は、枢要揺動レバー104の図示左側腕部の支軸105aの周りに揺動可能で先端部に一体的に揺動式押し付け部材110を持つ第2の揺動レバー105を有している。
【0025】
引き込みローラ205の周囲は摩擦材(ゴム)で覆われており、できるだけ強い引き込み力を発揮するよう摩擦力の大きな摩擦材を用いてあり、また、蹴り出しローラ212は摩擦材(ゴム)212aを、圧接駆動ローラ213は摩擦材(ゴム)213bをそれぞれ周面に有している。なお、113はシャッタ部材である。
【0026】
(紙幣積み重ね排出部)
図4は本例の紙幣積み重ね排出部を示す側面図で、図5は図4中で右側から見た状態を示す背面図である。紙幣積み重ね排出部16においては、入金紙幣返却経路A又は出金専用路Cからの紙幣4を上側の送りベルト53と下側の押さえローラ54とにより重ね置き空間50に取り込む。送りベルト53の軸及び押さえローラ54の軸には直径がやや大きめの補助ローラ52a,52b及び51a,51bが固定されており、図5に示す如く、紙幣4を紙幣進行方向に対して直角方向(紙幣幅方向)に波形に撓ませて剛性を付与し、重ね置き空間50での紙幣積み重ね時の挫屈,カール,折れ等が生じないようにしている。押さえローラ54を通過した紙幣は叩き羽根車55a,55bにより下方に押さえ付けられる。下降傾斜の紙幣ガイド56は既に積み重ねられた紙幣が上に重なる紙幣を阻害しないように集積紙幣を下方に押さえ付けている。このようにして紙幣の集積が完了すると、ローラ56a,56b,56cに付設した紙幣受台57が電磁ソレノイド(図示せず)により上動され、送りベルト53に束状態の紙幣を押し付けるため、送りベルト53に移動に伴い図示右方向に搬送される。出金口の方向切り換えゲート58の姿勢如何により紙幣出金口14b又は出金リジェクト庫28の紙幣入口28a(図2参照)に向け一括排出される。なお、紙幣ガイド56の構成は上下に駆動するベルトにより実現可能であり、紙幣受台57の昇降はモータ駆動でも実現できる。
【0027】
(循環式紙幣収納庫)
本例の循環式紙幣収納庫18,19,20のいずれも同一構造であるので、ここでは循環式紙幣収納庫18についてその構成を以下に説明する。図6は循環式紙幣収納庫の正面図、図7は図6中のa−a′線に沿って切断した状態を示す矢視図、図8は図6中のb−b′線に沿って切断した状態を示す矢視図、図9は図6中のc−c′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【0028】
本例の循環式紙幣収納庫18の筐体構造は、板金製の細長箱状の収納庫筐体181とその底面に臨んだ中央受け部182aを持つ蓋板182から成り、蓋板182は収納庫筐体181の張出片181aで嵌め合わされている。収納庫筐体181及び蓋板182の紙幣出入口183はくちばし状に形成され、紙幣の出入りをガイドするようになっている。収納庫筐体181内には枢軸に捩じりバネを巻装したパンタグラフ機構(図示せず),円錐バネ(図示せず)又はコイルスプリング184a等を以て箱底面181bから側方に飛び出し付勢された紙幣弾力圧迫板184bが設けられている。また、紙幣繰入機構として、圧迫板184bにより押圧された紙幣積み重ね収容部(入庫空間)184cの最上位の入庫紙幣4の対向辺縁(長辺縁)を当て受け、相同期して真円軌跡の循環軌跡運動を行う一対平行のスキー板状の辺縁受け板(プッシャー板)185a,185bを連接リンク(コンロッド)として持つ平行クランク機構が設けられている。各平行クランク機構は、蓋板182の側面182b及びその内側のブラケット板186に挟まれたボールベアリングを介して回動自在のベルトプーリ187a,187bと、その回転軸Sに固定されたクランクの回転円盤Dと、回転円盤Dの偏心ピンPに回り対偶で挿し込まれた辺縁受け板185a(185b)とから成る。図8に示すように、辺縁受け板185a(185b)が収容部184c側に一番押し出された状態(以下、待機状態と言う)でそれと中央受け部182aとの間に紙幣繰入待機室Gの空隙が確保されている。
【0029】
紙幣出入口183側の回転円盤のよりも更に紙幣出入口183寄りには、ボールベアリングを介して回動自在のベルトプーリ187cと、その回転軸Sに固定された紙幣引き戻し車188とが設けられている。この紙幣引き戻し車188は、図10(a)に示す如く、円盤部188aの円周縁の一部において突片188bを有しており、この突片188bは、繰入待機時の直前過程で後述するウレタンローラ189の周面に接触する外側円弧面Oと図7に示す如くの繰り入れ待機状態で紙幣出入口183と辺縁受け板185a(185b)との隙間を一時的に覆い隠し紙幣の紙幣繰入待機室Gへの導入を案内する内側平面Iとから成る。なお、ベルトプーリ187a,187b,187cは、DCモータ(図示せず)により駆動されるベルトプーリ190,駆動軸191,ベルトプーリ192,タイミングベルト193を介して同期回転する。
【0030】
蓋板182においては、中央受け部182aのレベルより収容部184c側に周面が突出した紙幣排出用のキックローラ194が紙幣出入口183側に設けられている。更に、このキックローラ194よりも紙幣出入口183側には、紙幣出庫時の2重送りを防止するための紙幣分離装置が設けられている。この紙幣分離装置は蓋板182側に設けられたフィードローラ195と、紙幣出庫時にこれに圧接し、筐体181側に設けられた阻止ローラ196とから成る。なお、キックローラ194とフィードローラ195とはタイミングベルト199を介して同期回転するようになっている。更に、この紙幣分離装置よりも紙幣出入口183側には、紙幣出庫時に圧接して紙幣を庫外へ引き抜く引抜きローラ197,198が設けられている。阻止ローラ196の軸にはボールベアリングを介してアイドルローラのウレタンローラ189が軸支されており、待機状態の直前過程において、図10(b)に示す如く、紙幣戻し車188の突片188bの外側円弧面Oがウレタンローラ189の周面に共連れ紙幣4bを挟んで収容部184c側へ引き戻す。
【0031】
図6に示す実施例においては、紙幣繰入機構のクランクに相当する偏心ピンPを持つ回転円盤Dと紙幣引き戻し車188とは別部品にしてあるが、図11に示す変形例の如く、ベルトプーリ187b側のクランクとしての回転円盤Dに一体的に二股状突片188ba,188bbを設けると共に、連接リンクの紙幣辺縁受け板185a(185b)の端部に突片通過用の空き間G1,G2を設けた構成例でも良い。専用の紙幣引き戻し車188やプーリ187c等が不要になり、部品点数の削減に寄与する。以下、図11に示す簡易構成の変形例についての動作を説明する。
【0032】
(入庫処理)
先ず、図12に示す如く、辺縁受け板185a(185b)の繰入待機状態(辺縁受け板185a(185b)と中央受け部182aとの間の紙幣繰入待機室Gの空隙最大確保状態)では、図1に示す紙幣入出庫経路Bを介して振り分けゲート21に案内されて入庫予定の紙幣4aが紙幣繰入待機室Gに投入される。なお、紙幣弾力圧迫板184bの弾力付勢機構としては枢軸に捩じりバネを巻装したパンタグラフ機構が用いられている。この待機状態においては、紙幣出入口183側の回転円盤Dの突片188ba(188bb)の向きは辺縁受け板185a(185b)の配置方向(垂直方向)と略同じで、紙幣辺縁受け板185a(185b)の端部と収納庫筐体181の紙幣出入口183側側板との隙間を覆い隠しており、突片の内側面Iは紙幣出入口183側側から紙幣繰入待機室Gに投入される紙幣4aの紙幣辺縁のガイドとなっている。
【0033】
次に、クランクの回転円盤Dが矢印方向に回転すると、辺縁受け板185a(185b)の外面(紙幣繰入待機室Gの面)は下降しながら中央受け部182aに接近するので、入庫予定の紙幣4aの片面全域に除々に接触しつつこれを下方に撫で付ける。このため、入庫予定の紙幣4aの先端側が紙幣繰入待機室Gの下面にまで達していない中途半端な待機状態にある場合、その状態の紙幣4aに対しソフトタッチで擦り下げ力が付与されるので、繰入動作直前で紙幣の位置決めが達成される。このような紙幣4aに対する擦り下げ力の付与は図13に示す平行クランク機構の下死点まで行われるが、下死点に到る前に、辺縁受け板185a(185b)の外面が紙幣4aを側方向に押し込みつつ中央受け部182aに当て付けながら変位する。この側方変位において辺縁受け板185a(185b)の外面が中央受け部182aの面を過ぎると、紙幣4aの対向辺縁を側方へ湾曲させる。
【0034】
次に、図13に示す下死点状態と図14に示す待機位置より回転円盤Dが180°回転した状態との中間過程においては、紙幣4aの湾曲した辺縁がそのスプリングバックにより辺縁受け板185a(185b)の内面(積み重ね収容部184c側の面)側に撥ね移るので、紙幣4aは紙幣の積み重ね収容部184cに繰り入れられて最上位に積載されることになる。この後、辺縁受け板185a(185b)の円形軌跡運動により、その内面が中央受け部182aより図14の右方向に退避するので、辺縁受け板185a(185b)に代わって、紙幣の積み重ね収容部184cの紙幣4は中央受け部182aで受け止めされる。図14に示す状態から図15に示す状態(待機位置より回転円盤Dが270°回転した状態)は、辺縁受け板185a(185b)の復帰過程にある。なお、この期間を短縮するためには早戻り機構を採用しても良い。
【0035】
図15の状態は、クランクの回転円盤Dが上死点位置にあり、この後、辺縁受け板185a(185b)の内面が中央受け部182aに代わって紙幣4をその辺縁で受け止めしつつ弾力圧迫機構の付勢力に抗して収容部184内の紙幣4の積み重ね群を図示左方向に押し返しながら、最上位の紙幣4cの表面を下方に撫で付ける。その後、図16に示す如く、待機位置から約315°回転した状態では、上位側の回転円盤Dの突片188bの外側面Oがウレタンローラ189に摩擦接触する。そして回転円盤Dが更に回転して図12に示す待機状態に戻る。
【0036】
このように、待機状態で繰入待機室Gに投入された紙幣4aが下端まで達していない不完全姿勢の場合でも、円形軌跡運動を行う辺縁受け板185a(185b)の下方への撫で付け力によりソフトタッチで紙幣4aの姿勢矯正が行われると同時に、収容部184c側への紙幣繰り入れが行われる。この投入された紙幣4aが正しく決めされていない場合でも、姿勢矯正と繰入動作が達成できるので、本例のように、循環式紙幣収納庫18は縦置きに設定できる。勿論、斜め置きや横置きも可能となっている。
【0037】
また、待機状態時には、上位側の回転円盤Dの突片188ba,188bbの内側面Iが繰入待機室G内への紙幣4aの導入ガイドになっているので、円滑な紙幣の投入が実現されている。
【0038】
(出庫処理)
次に、循環式紙幣収納庫18の積み重ね収容部184cから紙幣4を紙幣出入口183へ搬出する場合、やはり図12に示す待機状態から出庫処理が開始する。図12に示す待機状態から回転円盤Dが回転して辺縁受け板185a(185b)が右方向に退避すると、図13の下死点位置の近傍で、図7に示すキックローラ194の高摩擦部位が上位の紙幣4cに摩擦接触し、これをその沿面方向に蹴り出す。その紙幣4cの上端がフィードローラ195と阻止ローラ196との圧接巻き込み域に差し出されると、共連れ紙幣の進入が排除されて最上位の紙幣4cのみが引抜きローラ197,198により紙幣入出庫経路B上に排出される。
【0039】
しかしながら、1紙幣の出庫処理(回転円盤Dの1回転)後では、図16に示す如く、最上位の紙幣4cの排出移動に伴い重ね合わせの隣接紙幣も共連れ紙幣4bとしてフィードローラ195と阻止ローラ196の圧接巻き込み域直前にまで紙幣間摩擦で随伴している。従って、図16の状態から図12の待機状態までの間に、共連れ紙幣4bが紙幣辺縁受け板185a(185b)によって収容部184c内へ押し込まれると、先端はみ出し部分に皺,折れ,損傷等が生じるおそれがある。
【0040】
そこで、本例では上位側の回転円盤Dの突片188bbの外周面Oが図16に示す状態から待機状態迄の間にアイドルローラのウレタンローラ189に圧接し、共連れ紙幣4cの先端はみ出し側を挟み込んで収容部184c内へ引き戻すようになっている。即ち、図17(a)に示す如く、回転円盤Dが上死点位置から25°回転した状態では、突片188bbの外周面Oはウレタンローラ189に接触していないが、図17(b)に示す如く、回転円盤Dが上死点位置から約45°回転した状態では、突片188bbの外周面Oがウレタンローラ189に接触し、共連れ紙幣4cの先端はみ出し域を挟み込み、図17(c)に示す如く、矢印方向に引き戻す。この際、共連れ紙幣4cの引き戻し運動には、紙幣辺縁受け板185a(185b)の接触により紙幣4cの辺縁全域に摩擦力が作用しており、先端はみ出し域のみがめくり返されてしまうことはない。
【0041】
このように、共連れ紙幣4cの損傷等を無くすことができ、円滑な入出庫処理が可能となっている。特に、本例ではクランクとしての上位側の回転円盤D自体を紙幣引き戻し車として兼用し、また、円盤Dの突片の内側面Iを入庫時の紙幣導入案内面として用いると共に、その突片の外側面Oをウレタンローラ189と協働して出庫時の共連れ紙幣4cの引き戻し圧接面として利用している。それ故、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる。
【0042】
(出金リジェクト庫)
次に、循環式紙幣処理機における出金リジェクト庫28について説明する。この出金リジェクト庫28は出金紙幣の不適正紙幣を回収するための紙幣専用収納庫で、出庫処理は行われない。この出金リジェクト庫28も紙幣長手方向送りの縦置き型であり、図2に示す如く、紙幣積み重ね排出部26の略真上位置に設置する必要性から、底面(下面)に紙幣入口28aを備えており、複数枚のリジェクト紙幣は紙幣入口28aを介して下から上に投入されるようになっている。出金リジェクト庫28の具体的な構成は、図18に示す如く、収納庫筐体281内で円錐バネ282等を以て内側面から側方に飛び出し付勢された紙幣弾力圧迫板283と、積み重ねられた最上位の紙幣4cの対向辺縁(長辺縁)を当て受ける側方左右に往復動自在の一対の辺縁受け板(プッシャー板)285a,285bと、辺縁受け板285a,285bの中抜き開口部に相対的に左右に出没可能で紙幣繰入待機室286内に挿入された紙幣の面中央部を当て受ける中央受け部287とを有している。紙幣入口28aにはくしばし状の紙幣ガイド板281a〜281dが間隔をおいて下方に突き出しており、中央の紙幣ガイド板281b,281cの間には取込みローラ288,288が接触している。紙幣ガイド板281a,281bの間と紙幣ガイド板281c,281dの間において一方の取込みローラ288の回転軸288aには弾性材の叩き羽根289aを持つ紙幣叩き上げ車289が固定されている。弾性材の叩き羽根289aの代わりに、スター状ゴム車であっても良い。叩き羽根289aは円周の略接線方向に配向している。なお、必要に応じ、他方の取込みローラ288の回転軸288aにも紙幣叩き上げ車289を固定しても良い。
【0043】
図2に示す紙幣積み重ね排出部26の振り分けゲート27により上方に向けて一括排出された複数枚のリジェクト紙幣4は、図19に示す如く、その先端が紙幣ガイド板281a〜281dに差し込まれると、図20に示す如く、取込みローラ288,288が挟み込んで紙幣4を紙幣繰り入れ待機室286内に取り込む。図19の状態から図20の状態までの間では、叩き上げ車289の叩き羽根289aが紙幣4を取込み方向に撫で付けているので、ある程度の引き上げ補助に役立っている。図20の状態では、紙幣4の後端が取込みローラ288,288間から離れる瞬間で、取込みローラ288,288による挟み込み送りの上昇力が消失するものの、紙幣叩き上げ車289の叩き羽根289aによって紙幣4の後端が間欠的に叩き上げられる。このため、図21に示す如く、紙幣4の後端も紙幣繰入待機室286内に送り込まれることになる。また、一旦取り込まれた紙幣4が紙幣入口28aに落下しても再び叩き羽根289aによって叩き上げられるので、束状態の紙幣の前後方向のずれがあっても、複数枚の紙幣4は紙幣繰入待機室286内に貯留し続けることになる。この後、図22に示す如く、辺縁受け板285a,2855bが図示右方向に往動した後、図示左方向に復動すると、複数枚の紙幣4が積み重ね収容部290側に一括的に繰り入れられて入庫が完了する。このように、紙幣入口28aにおいて紙幣叩き上げ車289を設けてあるので、束状態の紙幣を紙幣繰入待機室286内に貯留させることができ、下面に紙幣入口28aがあっても一括入庫が可能となっており、また一括入庫により入庫処理時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
なお、本例の出金リジェクト庫28は、循環式紙幣収納庫18に用いた円形循環軌跡運動の185a,185bを装備していない。紙幣繰り入れ待機室286の紙幣の姿勢は厳格ではないが、元来、リジェクトするための紙幣を取り扱いものであるから、若干の紙幣の皺や折れ等は問題とはならない。
【0045】
(循環式一括紙幣収納庫)
上記の循環式紙幣収納庫18は基本的には1枚の紙幣を紙幣繰入待機室Gに取り込んだ後、積み重ね収容部184c側へ繰り入れる枚挙型であるが、循環式紙幣処理機が一括紙幣を取り扱うことを主眼としているため、高速入庫処理を実現するには、複数枚の束紙幣を一括的に繰り入れる循環式一括紙幣収納庫が要望される。
【0046】
図23は縦型の循環式一括紙幣収納庫を示す側面図、図24は図23中のa−a′線に沿って切断した状態を示す矢視図、図25は図24中のb−b′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。なお、図23乃至図25において図6乃至図9に示す循環式紙幣収納庫18の部分と同一部分には同一参照符号を付し、その説明は省略する。
【0047】
本例の循環式一括紙幣収納庫38においては、DCモータMの出力軸からの回転力は傘歯歯車g1,g2を介して収納庫筐体181の下面側に横架した回転軸38aに伝達され、更にその端部の傘歯歯車g3,g4とg5,g6との噛み合いにより左右の蝶番軸39a,39bに伝達される。この蝶番軸39a,39bにはそれに沿って辺縁受け板385a,385bが固着しており、図25に示すように、両者は中央受け部182a側に観音開き可能となっている。
【0048】
また、紙幣出入口183側の阻止ローラ196の回転軸196aに紙幣叩き羽根車196bが固着されている。これらの紙幣叩き羽根車196bはフィードローラ195に同期して回転する。更に、中央受け部182a側から紙幣繰入待機室Gに突出した送りゴム羽根車40,41が設けられている。
【0049】
入庫処理時には、紙幣繰入待機室Gに投入された先行紙幣の後端に後続紙幣の先端が当たり立て込み投入し難くなるものの、紙幣叩き羽根車196bが先行紙幣の後端を叩いて奥方へ押し込むと共に、後続紙幣を撫で付けながら先行紙幣の真下に滑り込ませるように紙幣繰入待機室Gへ押し込む。また、紙幣繰入待機室G内では送りゴム羽根車40,41によって紙幣が引き込まれるようになっている。いずれの送り動作も瞬間的な撫で付けになっているので、紙幣の挫屈を無くすことができる。それ故、紙幣繰入待機室G内には複数枚の紙幣の積み重ね状態が得られる。なお、出庫処理時では紙幣叩き羽根車196bは逆回転するが、羽根が筐体181の一部や紙幣出入口183のガイドに沿って変形しながら排出紙幣の上を滑るようになっているため、出庫動作の障害になることはない。その後、DCモータMを駆動して蝶番軸39a,39bを図25の矢印方向に回転させると、辺縁受け板385a,385bが観音開きになるので、紙幣繰入待機室G内の重畳紙幣は中央受け部182aで受け止めされる。辺縁受け板385a,385bの先端は紙幣から逃げる方向に退避するので、紙幣辺縁の湾曲は小さく、比較的少ない力で済む。このため、多数枚の一括繰り入れが可能となっている。
【0050】
その後、辺縁受け板385a,385bが図25の矢印方向とは反対方向に戻ることにより、多数枚の紙幣が積み重ね収容部184c側に一挙に組入れられる。
【0051】
このように、待機室G内で複数枚の紙幣を積み重ねて準備してから一括に収容部184c側へ繰り入れるようになっているので、紙幣の積み重ね束の脹らみも手伝って一括繰り入れの際に皺や折れ等が発生するおそれが少ない。それ故、循環紙幣収納庫38は縦置き型とすることが可能である。
【0052】
〔実施例2〕
図26及び図27は本発明の実施例2に係る紙幣長手方向送りの循環式紙幣処理機の概略構成を示す側面図で、図26は入金処理の紙幣の流れを示し、図27は出金処理の紙幣の流れを示す。なお、図26及び図27において図1及び図2に示す部分と同一部分には同一参照符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
本例においては、循環式紙幣収納庫18,19,20及び出金リジェクト庫28は紙幣長手方向送りで縦置き型であり、それらは機筐10の奥行き方向に揃えて並んでいる。このため、機筐10の幅寸法と高さ寸法の圧縮が可能である。出金リジェクト庫28は紙幣処理ユニット12からの取替え利便性のため正面パネル14側に位置している。また千円用の循環式紙幣収納庫18は、使用頻度の点で入出庫時の処理時間を短縮するため、紙幣輸送距離を短縮するよう一番奥側に配置されている。なお、本例の出金リジェクト庫28は垂直下方に紙幣を投入するようになっている。
【0054】
本例では、入金紙幣分離部15が金種別の縦置き型循環式紙幣収納庫18,19,20よりも上方位置に配置された構造となっている。機筐正面の高位部に紙幣入金口14aを設けることが可能であり、またその紙幣入金口14aに隣接させて紙幣出金口14bを設けることができる。このように、正面上部に紙幣入金口14a及び紙幣出金口14bを持つ循環式紙幣処理機は、低い位置に設置されるスーパー等の用途に適しており、紙幣の取り扱い性が良好となる。本例のように、紙幣積み重ね排出部26を入金紙幣分離部15と金種別の縦置き型循環式紙幣収納庫18,19,20との高さ中間位置に配置した構成では、紙幣入金口14aの隣接下位部に紙幣出金口14bを設けることができ、また出金処理時の紙幣搬送距離が短くなっているので、出金処理時間の短縮化を図ることができる。
【0055】
勿論、紙幣積み重ね排出部26を入金紙幣分離部15の上部位置に配置した構成では、紙幣入金口14aの隣接上位部に紙幣出金口14bを設けることができ、また入金処理時の紙幣搬送距離が短くなっているので、入金処理時間の短縮化を図ることができる。
【0056】
なお、上記実施例において、循環式一括紙幣収納庫38は、入庫と出庫を行う紙幣リサイクル収納庫に限らず、リジェクト収納庫にも適用できることは言う迄もない。更に、図6に示す循環紙幣収納庫18に、送りゴム羽根車40,41や紙幣叩き羽根車196bを設けても良い。
【0057】
なお、上記は紙幣処理機について説明したが、本発明は、紙幣に限らず、商品券などの紙葉類,可撓性のシート,フィルム等について上記の紙幣収納庫を用いることが可能であるので、本発明における「紙幣」には紙葉類,可撓性のシート,薄板材,フィルム等の概念をも内包するものである。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る紙幣収納庫は、中央受け部材に対して相対的に動作する一対の辺縁受け部材の運動形態を改善した点に特徴を有するものであるから、次のような効果を奏する。
【0059】
(1)辺縁受け部材が2次元循環軌跡運動体である場合、送り動作が引き下げ動作の直前又は同時に存在しているため、紙幣繰入待機室内で中途半端な待機状態にある紙幣でも、辺縁受け部材はその紙幣の姿勢を撫で付けてソフトタッチに矯正する。これにより、紙幣収納において皺や折れ等の不適正収納が発生し難くなる。従って、紙幣収納庫の姿勢は横置きに限らず、垂直置きに設定することが可能となる。
【0060】
(2)特に、辺縁受け部材が平行クランク機構の連杆である場合、機構系の構成を簡素化できる。
【0061】
(3)案内輪を設けた場合、紙幣繰入待機室への紙幣の導入を円滑に行わしめることができる。
【0062】
(4)案内輪が紙幣引き戻し用の突起を有して成る場合は、出庫処理時に紙幣のはみ出し域を収容部側へ引き戻すことができ、入出庫処理の障害を無くすことができる。
【0063】
(5)案内輪として一方の偏心輪が兼用されて成る場合は、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る循環式紙幣処理機において入金処理の紙幣の流れを示す側面図である。
【図2】同実施例に係る循環式紙幣処理機において出金処理の紙幣の流れを示す側面図である。
【図3】同実施例に係る循環式紙幣処理機における入金紙幣分離部を示す側面図である。
【図4】同実施例に係る循環式紙幣処理機における紙幣積み重ね排出部を示す側面図である。
【図5】同紙幣積み重ね排出部を示す背面図である。
【図6】同実施例における循環式紙幣収納庫を示す正面図である。
【図7】図6中のa−a′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【図8】図6中のb−b′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【図9】図6中のc−c′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【図10】(a)は同循環式紙幣収納庫における紙幣引き戻し車を示す斜視図で、(b)は同紙幣引き戻し車とウレタンローラによる紙幣の引き戻し状態を示す斜視図である。
【図11】同循環式紙幣収納庫において回転円盤及び紙幣辺縁受け板の別の態様を示す平面図である。
【図12】(a)は同循環式紙幣収納庫の待機状態を示す側面図、(b)はその状態の正面図、(c)はその状態の平面図である。
【図13】(a)は同循環式紙幣収納庫の待機状態から90°回転した状態を示す側面図、(b)はその状態の正面図、(c)はその状態の平面図である。
【図14】(a)は同循環式紙幣収納庫の待機状態から180°回転した状態を示す側面図、(b)はその状態の正面図、(c)はその状態の平面図である。
【図15】(a)は同循環式紙幣収納庫の待機状態から270°回転した状態を示す側面図、(b)はその状態の正面図、(c)はその状態の平面図である。
【図16】(a)は同循環式紙幣収納庫の待機状態から315°回転した状態を示す側面図、(b)はその状態の正面図、(c)はその状態の平面図である。
【図17】(a)〜(d)は回転円盤の突片による紙幣引き戻し状態を説明する部分側面図である。
【図18】(a)は同循環式紙幣処理機における出金リジェクト庫を示す正面図で、(b)はその底面図である。
【図19】同出金リジェクト庫において紙幣繰り入れ待機室への紙幣取込み直前の状態を示す正面図である。
【図20】同出金リジェクト庫において紙幣繰り入れ待機室への紙幣取込み過程の状態を示す正面図である。
【図21】同出金リジェクト庫において紙幣繰り入れ待機室への紙幣取込み後の状態を示す正面図である。
【図22】同出金リジェクト庫において紙幣入庫状態を示す正面図である。
【図23】縦型の循環式一括紙幣収納庫を示す側面図である。
【図24】図23中のa−a′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【図25】図24中のb−b′線に沿って切断した状態を示す矢視図である。
【図26】本発明の実施例2に係る循環式紙幣処理機において入金処理の紙幣の流れを示す側面図である。
【図27】同実施例に係る循環式紙幣処理機において出金処理の紙幣の流れを示す側面図である。
【図28】従来の循環式紙幣収納庫を示す縦断面図である。
【符号の説明】
4…入庫済み紙幣4a…入庫予定の紙幣4b…共連れ紙幣4c…最上位の紙幣10…循環式紙幣処理機の機筐11…ガイドレール12…紙幣処理ユニット13…電源・制御部14…正面パネル14a…紙幣入金口14b…紙幣出金口15…入金紙幣分離部16…入金紙幣鑑別部17…分離ゲート18,19,20…縦置き型循環式紙幣収納庫(紙幣リサイクル収納庫)21,22,23,27…振り分けゲート24…出金紙幣鑑別部25…案内ゲート26…紙幣積み重ね排出部28…縦置き型出金リジェクト庫(異常紙幣回収庫)28a…紙幣入口29…駆動部38…循環式一括紙幣収納庫38a…回転軸39a,39b…蝶番軸40,41…送りゴム羽根車181…収納庫筐体181a…張出片181b…箱底面182…蓋板182a…中央受け部182b…側面183…紙幣出入口184a…コイルスプリング184b…紙幣弾力圧迫板184c…紙幣積み重ね収容部(入庫空間)185a,185b…円形循環軌跡運動の辺縁受け板186…ブラケット板187a,187b,187c,190,192…ベルトプーリ188…紙幣引き戻し車188a…円盤部188b…突片188ba,188bb…二股状突片O…外側円弧面
I…内側平面189…ウレタンローラ191…駆動軸193,199…タイミングベルト
194…キックローラ195…フィードローラ196…阻止ローラ197,198…引抜きローラG1,G2…突片通過用の空き間S…回転軸D…回転円盤P…偏心ピンG…紙幣繰入待機室281…収納庫筐体282…円錐バネ283…紙幣弾力圧迫板285a,285b…往復動自在の紙幣辺縁受け板(プッシャー板)286…紙幣繰入待機室287…中央受け部281a〜281d…紙幣ガイド板288…取込みローラ288289…紙幣叩き上げ車289a…叩き羽根290…積み重ね収容部M…DCモータg1〜g6…傘歯歯車196a…回転軸196b…紙幣叩き羽根車。
Claims (7)
- 収納庫筐体内面から飛び出し、収容部内の紙幣積み重ねの片面を弾力付勢する圧迫部材と、前記圧迫部材に対峙して紙幣の面中央部を当て受ける中央受け部材と、前記紙幣積み重ねの最上位の紙幣の対向辺縁を当て受け、前記中央受け部材に対し相対的に出没する一対の相平行な辺縁受け部材とを有しており、前記収容部側に一番押し出された状態にある前記辺縁受け部材と前記中央受け部材とに挟まれた紙幣繰入待機室に挿入される入庫予定の紙幣を前記辺縁受け部材の前記相対的な出没動作により前記紙幣積み重ねの最上位に繰り入れるようになった紙幣収納庫において、前記辺縁受け部材は、前記入庫予定の紙幣の前記対向辺縁に沿う方向と前記入庫予定の紙幣の法線方向とが成す2次元平面の上を前記中央受け部材に対し相対的に出没するよう運行する2次元循環軌跡運動体として成ることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項1において、前記2次元循環軌跡運動体は、平行クランク機構の連杆であることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項2において、前記平行クランク機構のクランクは偏心輪であることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項3において、前記平行クランク機構と同期して回転し、前記平行クランク機構より紙幣出入口側にて、前記辺縁受け部材が前記収容部側に一番押し出された状態である待機時の前記紙幣繰入待機室への紙幣の挿入を案内する案内輪を備えて成ることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項4において、前記案内輪は、前記待機時の直前過程で入庫済み紙幣のはみ出し域を前記紙幣挿入口側のアイドルローラとで挟み込んで前記紙幣積み重ね側へ引き戻す突起を有して成ることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項5において、前記アイドルローラへの接触面は前記突起の外側面にあることを特徴とする紙幣収納庫。
- 請求項4乃至請求項6のいずれか一項において、前記案内輪として一方の前記偏心輪が兼用されて成ることを特徴とする紙幣収納庫。
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