JP2024055122A - 積層フィルム及び包装容器 - Google Patents

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悟史 河村
Satoshi Kawamura
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Yoshimi Ito
優斗 佐藤
Yuto Sato
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Abstract

【課題】 薄層でありながら良好なヒートシール性が得られ、かつ、耐ブロッキング性に優れるとともに環境負荷が低減される積層フィルム及び包装容器を提供すること。【解決手段】 本発明の積層フィルム100は、基材層110の片側にシーラント層150を設けた積層フィルムであって、前記シーラント層の基材層の反対側の面上に、さらに耐ブロッキング層170が設けられ、前記シーラント層が、ヒートシール性強化成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、前記耐ブロッキング層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、前記耐ブロッキング層を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムを熱接着することにより袋状に形成される包装容器用の積層フィルム、及び、包装容器に関する。
現在、液体状や固体状の食品、飲料、化粧品、医薬品等の内容物を包装して収容する包装容器として、包装袋(パウチ)が用いられている。包装袋は、具体的にはシャンプーや洗剤、調理済あるいは半調理済の食品等の内容物を収容する包装容器として用いられており、基材層上にシーラント層が積層された積層フィルムを、シーラント層同士が対向するよう重畳した状態で外周を熱接着して袋状に形成し、内側の収容部に内容物を収容している(例えば特許文献1参照。)。
一方、包装容器においては、近年、省資源や環境保護など環境負荷の観点から、プラスチック使用量の低減やプラスチックのリサイクルが推進されている。
プラスチック使用量の低減に対しては、積層フィルムを薄肉化することが考えられるが、例えばシーラント層の薄肉化を図ると十分なヒートシール強度が得られず、従って密封性が低くなり内容物の漏洩などが発生してしまうおそれがある。
また、従来、シーラント層の材料としては直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)や高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、或いは無延伸ポリプロピレン(CPP)等のオレフィン系樹脂が広く利用されているが、基材層を形成する材料種によっては積層フィルムから高品質の再生ペレットを得ることができずにリサイクル性が極めて低くなるおそれもある。
特開2015-150807号公報
また、包装袋を構成するための積層フィルムには、最内層に耐ブロッキング性が求められる。これは、製袋時に積層フィルムを最内層(シーラント層)同士が対向するよう重畳した状態で熱接着により充填口を残して外周シール部が形成されて袋状に形成されるが、このとき、熱接着されない収容部に対応する部分が加圧されることにより、さらには、外周シール部の熱接着に用いるヒートシーラー等からの熱伝導や輻射熱によってある程度の温度まで不可避的に加熱されてしまうことにより、収容部が閉塞、密着されてしまうことを回避するためである。収容部が閉塞、密着されてしまうと、収容部に内容物を充填する際に充填口が開かずに包装袋として使用できない、或いは充填口が開きにくく取扱い性が悪いなどの問題が生じる。特に自動充填機を用いて内容物を充填する場合には開口性の悪いものは自動的にはじかれるので歩留まりが低くなり、生産性が低下してしまう。
本発明は、上述の問題点を解決するものであり、薄層でありながら良好なヒートシール性が得られ、かつ、耐ブロッキング性に優れるとともに環境負荷が低減される積層フィルム及び包装容器を提供することを目的とする。
本発明の積層フィルムは、基材層の片側にシーラント層を設けた積層フィルムであって、
前記シーラント層の基材層の反対側の面上に、さらに耐ブロッキング層が設けられ、
前記シーラント層が、ヒートシール性強化成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、
前記耐ブロッキング層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、
前記耐ブロッキング層を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有することにより、上記課題を解決するものである。
また、本発明の包装容器は、上記の積層フィルムを熱接着した外周シール部を形成することにより袋状に形成され、前記外周シール部よりも内側の収容部に内容物を収容する包装容器であることを特徴とする。
本発明の積層フィルムによれば、基本的に、シーラント層がヒートシール性強化成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであることにより、薄層でありながら良好なヒートシール性が得られ、その結果、環境負荷が低減されながら内容物の漏洩の発生が防止された包装容器を得ることができる。さらに、シーラント層の基材層の反対側の面上に、シーラント層を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂とは成分が異なる特定の熱可塑性ポリエステル系樹脂よりなる耐ブロッキング層が設けられていることにより、製袋時に表裏の積層フィルムを積重したときに耐ブロッキング層同士が接触された状態で所定の外周シール部が熱接着されることになるところ、外周シール部において前述の優れたヒートシール性が発揮されながら、外周シール部よりも内側の収容部において積層フィルム同士のブロッキングを抑止することができる。また、製袋後の空の包装容器を保管等のために積み重ね、保管場所の環境温度が40℃以上の高温になった場合にも、収容部における積層フィルム同士のブロッキングが抑止される。その結果、収容部が閉塞、密着されてしまうことが回避され、収容部に内容物を充填する際に容易に充填口や収容部を開くことができて優れた取扱い性が得られる。
また、シーラント層および耐ブロッキング層が熱可塑性ポリエステル系樹脂を主材料として含み、さらにシーラント層および耐ブロッキング層以外の基材層をポリエステル系樹脂で形成することによって、積層フィルム全体がポリエステル系樹脂を主材料として構成されることとなるので、容易に高品質のポリエステル系材料やポリエステル系製品に再生することができて高いリサイクル性が得られ、環境負荷をより低減することもできる。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの概略を示す断面図である。 実施例および比較例におけるブロッキング剪断力試験の方法を説明するための模式図である。
〔積層フィルム〕
本発明の一実施形態に係る積層フィルム100は、図1に示すように、基材層110の片側(図1において上側)にシーラント層150が設けられ、さらに、シーラント層150における基材層110と反対側の面上に、ブロッキングの発生を防止するための耐ブロッキング層170が設けられたものである。具体的には、基材層110の一面上にシーラント層150および耐ブロッキング層170がこの順に積層されて積層フィルム100が構成されている。
耐ブロッキング層170は、積層フィルム100の最内層を構成しており、その一面が最内面に露出している。従って、後述する包装容器として包装袋(パウチ)を製袋する際にこの耐ブロッキング層170同士が接触して積重された状態で所定の外周シール部が熱接着されることになる。
耐ブロッキング層170は、熱接着される外周シール部はシーラント層150と共に熱接着により溶融してヒートシール性を発揮する。外周シール部以外の非シール部は、外周シール部の熱接着に用いるヒートシーラー等からの熱伝導や輻射熱によってある程度の温度まで不可避的に加温され、フィルム搬送部で加圧されたとしても、互いに接着やブロッキングが生じることはない。従って、製袋後の空の包装容器の収容部が閉塞、密着されてしまうことを防止することができる。
〔耐ブロッキング層〕
耐ブロッキング層170は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する結晶化阻害成分に由来の構造単位(以下、単に「結晶化阻害成分」ともいう。)を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂(以下、「特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂」ともいう。)により形成されたものである。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂は、具体的には、結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有するポリエステル系共重合体(以下、「特定のIA変性ポリエステル系共重合体」ともいう。)や、結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有しないポリエステル系重合体(以下、「その他のポリエステル系重合体」ともいう。)と特定のIA変性ポリエステル系共重合体とが分散・混合された樹脂(混合樹脂)を主材料とするものである。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合が適切な範囲内にあれば高い耐ブロッキング性が得られる。さらに、特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂におけるPTMGの含有割合が小さいほど、耐ブロッキング層170の耐ブロッキング性が高くなると考えられる。従って、特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂においては、PTMGがまったく含有されておらず、かつ、結晶化阻害成分が耐ブロッキング性に有効な程度に含有されていることが好ましいが、所期の耐ブロッキング性が得られるのであれば、ある程度のPTMG(例えば特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂におけるPTMGの含有割合が35質量%以下等)が含有されていたとしても許容される。また、特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリオキシアルキレングリコールを含有しない熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであることが好ましい。
結晶化阻害成分は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する成分である。結晶化阻害成分は、特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂を構成する共重合体を重合する際に共重合する成分であり、具体的には、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、5-ヒドロキシイソフタル酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、オルソフタル酸、ジフェン酸、イタコン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソソルビド等が挙げられる。結晶化阻害成分としては、PETボトル用樹脂の材料などとして広く用いられており安価であって経済合理性が得られる観点から、イソフタル酸を用いることが特に好ましい。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合は12質量%以上であることが好ましく、より好ましくは14質量%以上、更に好ましくは16~20質量%である。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合が上記の範囲にあることにより、耐ブロッキング層170に十分なヒートシール強度が得られる。これは、結晶化阻害成分が結晶化を阻害する結晶化阻害成分として作用し、これが高分散かつ適度に存在することによって特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂の易溶融化・柔軟化が図られることによるものと推測される。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合が5質量%未満である場合は、耐ブロッキング層170に十分なヒートシール性が得られないおそれがある。また、特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合が27質量%以上である場合は、耐ブロッキング性が得られないおそれがある。
特定のIA変性ポリエステル系共重合体としては、後述するその他のポリエステル系重合体において、結晶化阻害成分に由来の構造単位が含有されたものが挙げられる。これらの特定のIA変性ポリエステル系共重合体は、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他のポリエステル系重合体としては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)などを挙げることができ、特に、機械物性、耐熱性、流通量が多く安価であって経済合理性が得られる観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。これらの重合体は、イソフタル酸以外のジカルボン酸や1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等のジオール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能化合物等の共重合成分を含んだ共重合体であってもよい。これらのその他のポリエステル系重合体は、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂が特定のIA変性ポリエステル系共重合体を主材料とするものである場合、PTMGに由来の構造単位および結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有しない上記のその他のポリエステル系重合体がさらに混合されていてもよい。
なお、耐ブロッキング層170は、上記の特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂と、ポリエステル系以外の熱可塑性樹脂との混合樹脂から形成されたものであってもよい。但し、リサイクル性の観点から、ポリエステル系以外の熱可塑性樹脂の混合量は、添加剤レベルの微量に抑える必要がある。さらに、上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂には、必要に応じて滑材(アンチブロッキング剤)、光安定剤、相溶化剤、可塑剤、帯電防止剤、反応触媒、着色防止剤、ラジカル禁止剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、抗黴剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
耐ブロッキング層170は、単層のものであってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。ただし、耐ブロッキング層170が多層構成のものである場合には、少なくとも最内層が上記の特定のIA変性熱可塑性ポリエステル系樹脂を主材料とするものであることが好ましい。
耐ブロッキング層170の厚みは、特に制限されるものではなく薄いほど好ましいが、例えば1~20μmであることが好ましい。
耐ブロッキング層170が過度に厚いものである場合は、プラスチック使用量が多くて環境負荷を十分に軽減する効果が得られない。一方、耐ブロッキング層170が過度に薄いものである場合は、安定した製膜性が得られないおそれがある。
〔シーラント層〕
シーラント層150は、熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものである。
熱可塑性ポリエステル系樹脂はヒートシール性強化成分を含有するものである。熱可塑性ポリエステル系樹脂は、具体的には、ヒートシール性強化成分に由来の構造単位を含有するポリエステル系共重合体(以下、「特定のポリエステル系共重合体」ともいう。)や、ヒートシール性強化成分に由来の構造単位を含有しないポリエステル系重合体(以下、「その他のポリエステル系重合体」ともいう。)にヒートシール性強化成分が分散・混合された樹脂(以下、「ヒートシール性強化成分混合樹脂」ともいう。)、およびこれらの混合物を主材料とするものである。シーラント層150がヒートシール性強化成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであることにより、シーラント層150の厚みが例えば25μm以下等と薄い場合にも、積層フィルム100のヒートシール強度を30N/15mm以上とすることができる。
特定のポリエステル系共重合体としては、後述するその他のポリエステル系重合体において、ヒートシール性強化成分としてポリオキシアルキレングリコールに由来の構造単位が含有されたものが挙げられる。ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)やポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。特定のポリエステル系共重合体としては、PTMGに由来の構造単位を含有するポリブチレンテレフタレート共重合体(PTMG含有PBT共重合体)を用いることが好ましい。これらの特定のポリエステル系共重合体は、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他のポリエステル系重合体としては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)などを挙げることができ、特に、機械物性、耐熱性、流通量が多く安価であって経済合理性が得られる観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。これらの樹脂は、イソフタル酸等のジカルボン酸や1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等のジオール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等の多官能化合物等の共重合成分を含んだ共重合体であってもよい。これらのその他のポリエステル系重合体は、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒートシール性強化成分混合樹脂は、上記のその他のポリエステル系樹脂を主材料とするものである。
熱可塑性ポリエステル系樹脂が特定のポリエステル系共重合体を主材料とするものである場合、ヒートシール性強化成分が混合されていない上記のその他のポリエステル系重合体がさらに混合されていてもよい。この場合、熱可塑性ポリエステル系樹脂における特定のポリエステル系共重合体の混合割合は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは100質量%である。熱可塑性ポリエステル系樹脂における特定のポリエステル系共重合体の混合割合が過少である場合には、特定のポリエステル系共重合体の含有量が十分に確保されず、薄層化されたシーラント層150に十分なヒートシール性が得られないおそれがある。
なお、シーラント層150は、上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂と、ポリエステル系以外の熱可塑性樹脂との混合樹脂から形成されたものであってもよい。但し、リサイクル性の観点から、ポリエステル系以外の熱可塑性樹脂の混合量は、添加剤レベルの微量に抑える必要がある。さらに、上記の熱可塑性ポリエステル系樹脂には、必要に応じて滑材(アンチブロッキング剤)、光安定剤、相溶化剤、可塑剤、帯電防止剤、反応触媒、着色防止剤、ラジカル禁止剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、抗黴剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
〔ヒートシール性強化成分〕
熱可塑性ポリエステル系樹脂に含有されるヒートシール性強化成分は、熱可塑性ポリエステル系樹脂に高分散され、それ自体が脂肪族化合物からなり柔軟性が高く低融点である低融点成分と、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する結晶化阻害成分からなる樹脂組成の成分とをいう。
低融点成分は、短時間の熱接着で高いヒートシール強度を得る観点から、それ単体の融点が170℃以下のものであることが好ましい。なお、シーラント層の材料として通常よく用いられるポリエチレン(LDPE:融点105~115℃、LLDPE:融点115~125℃)、ポリプロピレン(融点160~170℃)は、0.1秒間~数秒間という短時間での熱接着で高いヒートシール強度を示す。また、低融点成分は、熱可塑性ポリエステル系樹脂中に高分散されていることが、安定した物性発現に必要である。熱可塑性ポリエステル系樹脂中への低融点成分の高分散は、熱可塑性ポリエステル系樹脂(特定のポリエステル系共重合体)を重合する際に低融点成分を共重合する方法や、その他のポリエステル系重合体と低融点成分とを溶融混練する方法などによって実現することができる。以上の融点及び高分散の観点から、低融点成分としては、特定のポリエステル系共重合体として共重合することもできるポリエーテルポリオール類である、ポリアセタール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、メトキシポリエチレングリコール等を好ましく挙げられる。これらの中でも、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)は、ポリエステルの一種であるポリブチレンテレフタレートを製造する際に副生成物として生じるテトラヒドロフラン(THF)を原料とすることができるため、低融点成分としてPTMGを用いることが経済合理性に優れ、より好ましい。
結晶化阻害成分は、特定のポリエステル系共重合体を重合する際に共重合する成分であり、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、5-ヒドロキシイソフタル酸、コハク酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、オルソフタル酸、ジフェン酸、イタコン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソソルビド等が挙げられる。結晶化阻害成分としては、PETボトル用樹脂の材料などとして広く用いられており安価であって経済合理性が得られる観点から、イソフタル酸を用いることが特に好ましい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂における低融点成分の含有割合は5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40~80質量%、更に好ましくは51~80質量%、更に好ましくは51~60質量%、特に好ましくは53~56質量%である。熱可塑性ポリエステル系樹脂における低融点成分の含有割合とは、当該熱可塑性ポリエステル系樹脂における、特定のポリエステル系共重合体中の低融点成分に由来の構造単位の含有割合と、ヒートシール性強化成分混合樹脂中の低融点成分の含有割合との合計をいう。
熱可塑性ポリエステル系樹脂における低融点成分の含有割合が5質量%未満である場合は、シーラント層150の柔軟化の効果が不十分となり、包装袋等の軟包装材料として用いることが難しくなるおそれがある。
結晶化阻害成分は、低融点成分と共に用いることで、低融点成分の含有割合を抑制しても短時間の熱接着で高いヒートシール強度を得ることができる、という性質を有するものである。熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分の含有割合は、その種類や低融点成分の含有割合により好適な範囲は異なるが、熱可塑性ポリエステル系樹脂を非晶化させないために一般に30質量%未満であることが好ましい。また、熱可塑性ポリエステル系樹脂が低融点成分を充分に含有している場合には、結晶化阻害成分が含有されなくてもよい。
熱可塑性ポリエステル系樹脂におけるヒートシール性強化成分の含有割合、すなわち熱可塑性ポリエステル系樹脂における低融点成分および結晶化阻害成分の合計の含有割合は、21質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30~80質量%、更に好ましくは40~80質量%、更に好ましくは51~60質量%、特に好ましくは53~56質量%である。
熱可塑性ポリエステル系樹脂におけるヒートシール性強化成分に由来の構造単位の含有割合が上記の範囲にあることにより、シーラント層150に十分なヒートシール強度が得られる。これは、それ自体が低融点である低融点成分や結晶化を阻害する結晶化阻害成分が高分散かつ適度に存在することによって熱可塑性ポリエステル系樹脂の易溶融化・柔軟化が図られることによるものと推測される。
以下、PTMG含有PBT共重合体について説明する。
PTMG含有PBT共重合体は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,4-ブタンジオール及びPTMGを含むジオール成分、更に必要に応じて用いられるその他の成分とをエステル化反応及び/又はエステル交換反応させた後、重縮合反応することにより得られるものであり、ジカルボン酸成分に由来の構造単位及びジオール成分に由来の構造単位を有する。
PTMG含有PBT共重合体を形成するためのジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分として含有し、全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、適正な耐熱性及び経済合理性を得る観点から、70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましい。
その他のジカルボン酸成分としては、安価にシーラント層150の耐熱性を低く抑制する観点から、イソフタル酸を含有することが好ましい。
テレフタル酸及びイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族鎖式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体;フタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、2,5-フランジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらのジカルボン酸成分の中でも、テレフタル酸、2,5-フランジカルボン酸は植物原料から合成することができ、環境配慮の観点から積極的に用いることが好ましい。
PTMG含有PBT共重合体を形成するためのジオール成分は、1,4-ブタンジオール及びPTMGを含む。ジオール成分においては、1,4-ブタンジオールに由来の構造単位及びPTMGに由来の構造単位が全体として主成分を構成することが好ましい。具体的には、全ジオール成分中の1,4-ブタンジオール及びPTMGの含有量の合計が、70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
ジオール成分におけるPTMGの分子量は例えば500~3,000とされる。通常、PTMG含有PBT共重合体中のPTMGに由来の構造単位の分子量は、原料として用いるPTMGの分子量に基づいて維持される。
1,4-ブタンジオール及びPTMG以外のジオール成分としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオールなどの直鎖式脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,1-シクロヘキサンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジメチロールなどの環式脂肪族ジオール;キシリレングリコール、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどの芳香族ジオール;イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、エリトリタンなどの植物原料由来のジオール等を挙げることができる。これらのジオール成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらのジオール成分の中でも、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、PTMGも植物原料から合成及び重合することができ、環境配慮の観点から積極的に用いることが好ましい。
PTMG含有PBT共重合体を形成する際に更に必要に応じて用いられるその他の成分としては、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸や、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の三官能以上の多官能カルボン酸;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能アルコール等が挙げられる。これらのその他の成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリエステル系共重合体は、マレイン酸変性されたものであってもよい。ポリエステル系共重合体がマレイン酸変性されたものである場合、当該ポリエステル系共重合体におけるマレイン酸に由来の構造単位の含有割合は3.0質量%以下とされることが好ましい。
シーラント層150は、単層のものであってもよく、2層以上の多層構成であってもよい。
シーラント層150の厚みは、例えば40μm以下とされ、好ましくは5~35μmであり、より好ましくは5~30μm、特に好ましくは5~25μmである。
シーラント層150が過度に厚いものである場合は、プラスチック使用量が多くて環境負荷を十分に軽減する効果が得られない。一方、シーラント層150が過度に薄いものである場合は、包装容器の密封に必要とされるヒートシール強度が確保できないおそれがある。
〔基材層〕
耐ブロッキング層170およびシーラント層150とともに積層フィルム100を構成する基材層110は、単層フィルムとして構成されていてもよく、複数層によって構成されていてもよい。図1の例の積層フィルム100においては、表層111と、この表層111及びシーラント層150の間に介在された中間層112とから構成されている。基材層110が単層フィルムとして構成される場合には、例えば下記に詳述する表層111のみからなるものとすることができる。
基材層110を構成する各層のうち少なくとも表層111は、ヒートシールしたときに溶融しないよう、例えば200℃以上の融点を有する材料よりなることが好ましい。
また、基材層110を構成する各層は、ポリエステル系樹脂を主成分とする材料よりなることが好ましい。ポリエステル系樹脂を主成分とするとは、当該層を形成する全材料中の80質量%以上がポリエステル系樹脂であることをいい、当該層を形成する全材料(100質量%)がポリエステル系樹脂であることが好ましい。基材層110を構成する各層がポリエステル系樹脂を主成分とする材料よりなることにより、シーラント層150を含めて積層フィルム100全体がポリエステル系樹脂を主材料として構成されることとなるので、リサイクル時の加熱・混練(再ペレット化)におけるエステル交換による相溶化成分の生成などによって高品質の再生ペレットを得ることができ、従って、高いリサイクル性が得られ、環境負荷を低減することができる。
表層111としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、PTMGに由来の構造単位を含有しないポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート等からなるものとすることができ、特に、積層フィルム100の突刺し耐性などの機械的強度の向上の観点から、PTMGに由来の構造単位を含有しないポリブチレンテレフタレート、特にホモポリマーのポリブチレンテレフタレートなどのポリブチレンテレフタレート系樹脂からなるものであることが好ましい。表層111を形成する材料は、機械物性や耐熱性の観点から、延伸処理(一軸延伸、二軸延伸)が施されたホモポリマーであることが好ましいが、無延伸品や共重合品であってもよい。また、これらは、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることもできる。例えば延伸ポリエチレンテレフタレートおよび無延伸ポリブチレンテレフタレートの組み合わせのものとすることができる。
表層111の厚みは、例えば10~50μm程度とすることができ、25~50μmであることが好ましく、特に好ましくは40~50μmである。
中間層112としては、例えばガスバリア性や水分バリア性が付与されたバリア層とすることができる。バリア層としては、表層111上に形成されたアルミナや酸化珪素などの金属酸化物による蒸着膜や、ポリエステルとの成形加工条件が近しく高いバリア性を有するMXD6ナイロン層等とすることができる。また、中間層112は表層111に接する部分であれば、様々な位置に設けることができる。例えば表層111の片面、両面、複数の表層111の間に設けることができる。
中間層112の厚みは、対象用途にもよるが、例えば0.05~100μm程度とすることができる。
〔積層フィルムの作製方法〕
本発明の積層フィルム100は、その層構成に応じて、ドライラミネート法や押出しラミネート法、共押出し法などの公知の方法を採用して製造することができる。
例えば、共押出し法を利用して隣接する2層以上を積層する場合には、各層の材料を共押出しして積層することにより共押出しフィルム部分を得ることができる。例えば積層フィルム100の基材層110が単層フィルム(表層111)として構成される場合には、共押出しフィルム部分が耐ブロッキング層170、シーラント層150および基材層110のみよりなる3層構成の積層フィルム100を一つの工程で得ることができる。また、共押出しによって得られた共押出しフィルム部分に対して、例えばドライラミネート用接着剤などを用いてさらに適宜の層を積層させてもよい。
また例えば、ドライラミネート法を利用して隣接する層を積層する場合には、ウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤などのドライラミネート用接着剤を用いて隣接する2層を積層することができる。この場合、ドライラミネート用接着剤を用いて積層された隣接する2層間には、接着剤層が介在することとなる。接着剤層の厚みは、100μm以下である。
また例えば、押出しラミネート法を利用して隣接する層を積層する場合には、必要に応じてアンカーコート層を介して隣接する層を積層することができる。アンカーコート層の厚みは、接着剤層よりも薄く、10μm以下である。
上記の方法の中でも、溶剤や接着剤を必要とせず、フィルムを貼り合わせる工程も不要な共押出しによる方法が、環境負荷が少なく生産効率も高い観点から、特に好ましい。さらに、共押出による方法を用いる場合、基材層を形成する材料としてポリブチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする材料を用いると、シーラント層や耐ブロッキング層を形成するためのそれぞれの熱可塑性ポリエステル系樹脂と共押出しした後、そのまま冷却、巻き取ることで、基材層が結晶化し、耐熱性および機械強度に優れるフィルムとなることから、更に好ましい。
本発明の積層フィルム100のヒートシール強度は、耐ブロッキング層170、シーラント層150および基材層110のそれぞれの材料や層構成、厚み等によっても異なるが、例えば40N/15mm以上であることが好ましく、より好ましくは60N/15mm以上である。特に、積層フィルム100のシーラント層150の厚みが25μm以下である場合に、この積層フィルム100のヒートシール強度が30N/15mm以上であることが好ましい。
〔包装容器〕
本発明の包装容器は、上記の積層フィルム100を用いた密封性を有する容器であって、例えば包装袋(パウチ)などが挙げられる。
包装袋(パウチ)は、最内層である耐ブロッキング層170同士が対向するよう積重配置された表裏の積層フィルム100を、周囲に熱接着で充填口を残して外周シール部を形成することにより袋状に形成され、外周シール部よりも内側の収容部に内容物を収容するものである。
外周シール部の熱接着の際は、外周シール部の温度は例えば130~240℃とされ、外周シール部以外の非シール部は不可避的に加温されるが、その温度は例えば50℃以下程度とされる。
本発明の包装容器の外周シール部において、表裏の積層フィルム100における耐ブロッキング層170は互いに溶融してその界面は消失した状態とされてヒートシール性が発揮される。また、耐ブロッキング層170とシーラント層150との界面は消失していてもよく、残存していてもよい。例えば熱接着後の包装容器の表裏の積層フィルム100に剥離方向の力をかけると、表裏の溶融した耐ブロッキング層170の内側エッジ部で耐ブロッキング層のみ破断し、シーラント層150での凝集剥離および/または耐ブロッキング層170とシーラント層150での層間剥離が生じる。
包装袋は、例えば平面視にて外形形状が矩形形状をなし、四方が熱接着された平パウチに限定されず、スタンディングパウチ、三方シールタイプ、ピロータイプ、ガセットタイプ等の種々のタイプのパウチに適用することができる。また、包装袋の形状は、平面視で矩形形状をなす以外の、例えば台形や、一部に凹凸のある異形形状等、如何なる形状としてもよい。
また、本発明の積層フィルム100は、蓋材としても用いることもできる。積層フィルム100を蓋材として用いた密封容器は、内容物を収容する容器本体の縁フランジ上に、積層フィルム100をシーラント層150がこの縁フランジに接触する状態で配置して熱接着することにより、積層フィルム100が接着されて密封された構成とされる。このような密封容器の容器本体は、リサイクル性の観点から、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等よりなるものであることが好ましい。なお、密封容器の容器本体は、カップ状やトレー状等、如何なる形状としてもよい。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
耐ブロッキング層を形成するための材料として、熱可塑性ポリエステル系樹脂Cを二軸押出機Aのホッパーから供給し、240~245℃で溶融した。また、シーラント層を形成するための材料として、熱可塑性ポリエステル系樹脂Aとポリブチレンテレフタレート(PBT)に親水性シリカを5質量%混合した樹脂組成物(表中「MB」と示す。)とを、表2に示す質量%となるよう混合して二軸押出機Bのホッパーから供給し、240~245℃で溶融した。さらに、基材層を形成するための材料として、PTMGに由来の構造単位を含有しないポリブチレンテレフタレート(PBT)(熱可塑性ポリエステル系樹脂F)を二軸押出機Cのホッパーから供給し、260~270℃で溶融混練した。これらの二軸押出機A、B、Cから押出された樹脂をマルチマニフォールドTダイに供給し、膜状に押出してキャストロール(50℃)で冷却固化することにより、積層フィルムGを製造した。使用した熱可塑性ポリエステル系樹脂A,C,Fの樹脂組成を表1に示す。また、積層フィルムGの、耐ブロッキング層の厚み、シーラント層の厚み、およびPBTによる基材層の厚みは表2に示す通りであった。また、表2において、最下層とは、耐ブロッキング層をいう。
〔実施例2~6、比較例1~3〕
各層を形成するための材料を表2に従って変更したことの他は実施例1と同様にして、それぞれ積層フィルムH~Oを製造した。使用した熱可塑性ポリエステル系樹脂A~Fの樹脂組成を表1に示す。また、積層フィルムH~Oの、耐ブロッキング層の厚み、シーラント層の厚み、およびPBTによる基材層の厚みは表2に示す通りであった。また、表2において、最下層とは、2層構成の積層フィルムにおいてはシーラント層をいい、3層構成の積層フィルムにおいては耐ブロッキング層をいう。
この積層フィルムG~Oについて、下記方法に従ってブロッキング剪断力試験を行い、ブロッキングについて評価した。また、上記積層フィルムG~Oのヒートシール強度について評価するために、それぞれ評価用の積層フィルムG’~O’を別途作製し、これを用いて下記方法に従ってヒートシール強度試験を行い、ヒートシール強度について評価した。評価用の積層フィルムG’~O’は、厚み38μmの二軸延伸PET層(基材層)上に接着層を介してそれぞれ積層フィルムG~Oに係るシーラント層を単層として形成したフィルムが常法のドライラミネート法で積層されたものである。結果を表2に示す。
<ヒートシール強度試験>
積層フィルムG’~O’について、各積層フィルムをシーラント層同士が対向するよう重ね、ヒートシール試験装置(テスター産業株式会社製)を使用し、シール幅10mm、シール温度210℃(片面)、シール圧0.3MPa、シール時間1.0秒間の条件で熱接着を行い、長さ80mm(シール幅10mm含む)、幅15mmの試験片G~Oをそれぞれ作製した。そして、試験片G~Oについて、テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて、JIS-Z1707に準じ、23℃、50%RH環境下で引張試験を実施した。引張試験では、ヒートシール部を中心にして試験片を180°開いて、その両端を万能試験機に取り付け、300mm/minの速度で引っ張った最大荷重(N)を求めた。試験片の幅に対する最大荷重がヒートシール強度(N/15mm)として測定される。
1種の積層フィルムについて5回測定し、最小値・最大値を除いた3回分の測定値の平均値を積層フィルムのヒートシール強度とした。
<ブロッキング剪断力試験>
積層フィルムG’~O’について、それぞれ、図2に示されるように、横30mm、縦15mmの2枚の同種の積層フィルム(100A,100B)をずらしてその一部が重なり、かつ、耐ブロッキング層同士が対向するように積重させ、積重部分にヒートシール試験装置(テスター産業株式会社製)を使用し、シール面積150mm2 (横10mm、縦15mm)シール温度50℃(片面)、シール圧0.3MPa、シール時間15分間の条件で加温・加圧して試験片を作製した。図2においてシールした部分を斜線で示す。そして、試験片について積重した2枚のフィルムの互いに逆の端部(積重したものを1枚の試験片として見た時の両端)を万能試験機に取り付け、23℃、50%RH環境下で、300mm/minの速度で互いに逆方向(図2において矢印で示す方向)に引っ張った最大荷重(N)を求めた。試験片の幅に対する最大荷重がブロッキング剪断力(N/150mm2 )として測定される。
1種の積層フィルムについて5回測定し、最小値・最大値を除いた3回分の測定値の平均値を積層フィルムのブロッキング剪断力とした。
Figure 2024055122000002


Figure 2024055122000003
表2の結果から、PTMGを含有せず結晶化阻害成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂によって形成された耐ブロッキング層およびPTMGを含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂によって形成されたシーラント層が設けられた実施例1~6に係る積層フィルムG,H,I,J,N,Oにおいては、高いヒートシール強度が得られるとともに高い耐ブロッキング性が得られることが確認された。
一方、PTMGを含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂によって形成されたシーラント層は設けられているものの耐ブロッキング層が設けられていない比較例1,2に係る積層フィルムK,Lにおいては、高いヒートシール強度が得られるものの、耐ブロッキング性に劣ることが確認された。また、耐ブロッキング層が結晶化阻害成分を含有しない、単なるPBTによって形成されている比較例3に係る積層フィルムMにおいては、耐ブロッキング性は得られるものの、十分なヒートシール強度が得られないことが確認された。
100 ・・・ 積層フィルム
110 ・・・ 基材層
111 ・・・ 表層
112 ・・・ 中間層
150 ・・・ シーラント層
170 ・・・ 耐ブロッキング層

Claims (9)

  1. 基材層の片側にシーラント層を設けた積層フィルムであって、
    前記シーラント層の基材層の反対側の面上に、さらに耐ブロッキング層が設けられ、
    前記シーラント層が、ヒートシール性強化成分を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、
    前記耐ブロッキング層が、熱可塑性ポリエステル系樹脂により形成されたものであり、
    前記耐ブロッキング層を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化を阻害する結晶化阻害成分に由来の構造単位を含有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記耐ブロッキング層を構成する前記熱可塑性ポリエステル系樹脂における結晶化阻害成分に由来の構造単位に由来の構造単位の含有割合が12質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記結晶化阻害成分がイソフタル酸であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記耐ブロッキング層が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  5. 前記シーラント層を構成する前記熱可塑性ポリエステル系樹脂における前記ヒートシール性強化成分の含有割合が21質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  6. 前記シーラント層の厚みが25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  7. 前記基材層を構成する層のうちの少なくとも1層が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする材料により形成されることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  8. 前記ヒートシール性強化成分の少なくとも1つがポリオキシアルキレングリコールであり、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂における当該ポリオキシアルキレングリコールの含有割合が、5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  9. フィルムを熱接着した外周シール部を形成することにより袋状に形成され、前記外周シール部よりも内側の収容部に内容物を収容する包装容器であって、
    前記フィルムが、請求項1に記載の積層フィルムであることを特徴とする包装容器。


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