JP2024054938A - ガイドワイヤー - Google Patents
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Abstract
【課題】長尺状のコアシャフトがアウターコイルで包囲されているガイドワイヤーにおいて、さらに先端の耐久性を向上させることができるガイドワイヤーを提供することを目的とする。【解決手段】本発明にかかるガイドワイヤー100は、先端コアシャフト11と、断面積が増加した後増加率が減少する剛性変化部と連結部とを有する中間コアシャフト12と、中間コアシャフト12の近位側で連通しているコアシャフト本体部13と、を有するコアシャフト10と、その外周に設けられるアウターコイル20,21と、を備え、中間コアシャフト12は、剛性変化部において断面増加率が大きく成った後、小さくなり、剛性変化部の手元側の連結部はコアシャフト本体部13の断面積と同じくなるように徐々に断面積が大きくなることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、ガイドワイヤーに関するものである。
血管や消化器官等の内腔にカテーテルを挿入する際には、ガイドワイヤーが用いられる。金属コイル製のガイドワイヤーは、一般的に線材からなるコアシャフトと、このコアシャフトの外周に巻回されているアウターコイルと、からなる。こうした金属コイル製のガイドワイヤーにおいて、先端部のコントロール、すなわち、回転させやすさを改善するために、コアシャフトの先端が細くなるようにテーパーづけされているものがある。またこのテーパー部を研磨してパラボリック(放物線状)なプロファイルが形成されているものも存在する(特許文献1)。
しかし、このような先端が細く形成されているものは、先端から3cm程度の部分が血管内でナックル形状(1回転して捻れる現象)が発生したり、血管内が石灰化によりふさがっている状態でガイドワイヤーの先端を押し込み、穴を掘る動作を行うと、先端がキンクしたりしてしまうことがある。こうした場合に、コア剛性を向上させ先端部を変形しにくくするために、直線状となるように形状記憶を施すことが行われる。
しかし、外径が細いとコア形状加工時の加工硬化の影響があり、直線記憶性は弱くなり、やはり、血管内で先端がナックル状に変形したり、キンクしたりしまうことがあった。
そこで、本発明は、長尺状のコアシャフトがアウターコイルで包囲されているガイドワイヤーにおいて、さらに先端の耐久性を向上させることができるガイドワイヤーを提供することを目的とする。
本発明にかかるガイドワイヤーは、先端から順に5mm~10mmの長さで形成される最柔軟部からなる先端コアシャフトと、前記先端コアシャフトより大きな横断面積を有し、先端コアシャフトから35mm以下の範囲に形成され断面積が増加した後、増加率が減少する剛性変化部、及び前記剛性変化部の近位側に配置される連結部を有する中間コアシャフトと、前記中間コアシャフトの近位側で連接されているコアシャフト本体部と、を有するコアシャフトと、
その外周に設けられるアウターコイルと、を備え、
前記中間コアシャフトは、剛性変化部において断面増加率が大きくなった後、小さくなり、剛性変化部の手元側の連結部はコアシャフト本体部の断面積と同じくなるように徐々に断面積が大きくなることを特徴とする。
その外周に設けられるアウターコイルと、を備え、
前記中間コアシャフトは、剛性変化部において断面増加率が大きくなった後、小さくなり、剛性変化部の手元側の連結部はコアシャフト本体部の断面積と同じくなるように徐々に断面積が大きくなることを特徴とする。
通常、ガイドワイヤー先端部は柔軟性が必要であり、先端から10cmの範囲は特に細い血管内に入れるケースがあるので、柔軟に設計する。しかし、Ni-Tiコアワイヤーを使用した場合、先端を柔軟に設計するため、コアワイヤー外径を細く、あるいは先端テーパー形状を長くすると、コアワイヤー耐久性(Durability性)が弱くなり、コアワイヤー変形、特に曲がりが発生してしまう。Ni-Tiコアワイヤーは直進性が高く、曲がりに強い特性があるが、コアワイヤーを細くするための研磨加工により、どうしても曲がりが発生してしまう。こうした問題をクリアするため、従来は、コアワイヤーの剛性をあげるため、コアワイヤー外径を太くしたり、先端テーパー長を短くしたりすることで、コアワイヤーの先端剛性をあげることが可能であった。しかし、上記の場合でも通常使用による先端部の耐久性が不十分であり、かつ先端曲げ剛性が硬くなったため、血管内で直進性が強い特性となり、曲がった血管への追従性やトルク性能が劣ってしまい、また、ガイドワイヤー先端が硬くなったため、血管損傷等が発生してしまうケースがあった。そこで、本発明にかかるガイドワイヤー設計は、コアワイヤーの変形が最も多い範囲(先端から約30mm~35mm)を特定し、その範囲のみ剛性アップさせるコアワイヤーの研磨加工を採用した。今回、採用した研磨加工により、先端約3cm以降の手元側のコアワイヤー剛性は、先端から10cm程度までは柔軟に設計することが可能となった。
このように、本発明にかかるガイドワイヤーは、コアシャフトの形態として最先端の5mm以上10mm以下のごく短い部分は柔軟な最柔軟部を形成し、血管等へ接触した場合の柔軟性を確保しつつ、この最柔軟部よりも近位側であって、最柔軟部から35mm以下の範囲は、最柔軟部より大きな断面積を有し、断面積が増加していく剛性変化部とすることによって、先端から10mmより近位において太く剛性の高い部分を形成してある。そのため、最先端が柔軟であり、先端5mmから35mmの範囲ではコアシャフトの剛性が高くなるため先端部の耐久性(Durability)を向上させたガイドワイヤーとすることができる。この際に、断面増加率が徐々に大きく成った後、小さくなり、さらに大きくなっていくように形成することで、断面の外形形状がS字状に変化した形態になっており、先端近傍の剛性を高くした影響を断面増加率を一旦小さくさせた範囲で柔軟性を確保して全体としての影響を小さくすることができる。
また、本発明にかかるガイドワイヤーにおいて、前記中間コアシャフトは、縦断面の輪郭がS字形状になるように形成されていることを特徴とするものであってもよい。
さらに、本発明にかかるガイドワイヤーにおいて、前記中間コアシャフトは、先端コアシャフトからコアシャフト本体部の連接部まで一定の増加率で太くなるテーパー状とした仮想縦断面と比較した場合、一旦仮想縦断面よりも外周側に位置した後、一旦内周側に位置してなることを特徴とするものであってもよい。
本発明にかかるガイドワイヤーは、直線状のテーパー状に形成されたガイドワイヤーと比較して、急激に太くなり、一旦細くなることによって、先端5mmから35mmの範囲ではコアシャフトの剛性が高くして先端部の耐久性を向上させるとともに、先端近傍の剛性を高くした影響をテーパー状に形成されたものよりも外径が細い位置を設けることによって、この範囲で柔軟性を確保することができる。
さらに、本発明にかかるガイドワイヤーにおいて、前記中間コアシャフトは、略中位部が膨らむように形成されていることを特徴とするものであってもよい。
同様に、中間コアシャフトの略中位部が膨らむように形成することによって、先端5mmから35mmの範囲ではコアシャフトの剛性を高くして先端部の耐久性を向上させるとともに、先端近傍の剛性を高くした影響を膨らみが終わった位置で柔軟性を確保することがで、相殺している。
さらに、本発明にかかるガイドワイヤーにおいて、前記先端コアシャフトが最も剛性が低く、前記剛性変化部は前記先端コアシャフトよりも剛性が高く、かつ剛性変化部の範囲で剛性が高くなった後、剛性が低くなることを特徴とするものであってもよい。
かかる構成を採用することによって、前述したように、先端5mmから35mmの範囲ではコアシャフトの剛性が高くして先端部の耐久性を向上させるとともに、先端近傍の剛性が低くなった範囲で柔軟性を確保することができる。
さらに、本発明にかかるガイドワイヤーにおいて、前記先端コアシャフト及び中間コアシャフトは、ニッケル-チタン合金からなり、前記コアシャフト本体部はステンレスであることを特徴とするものであってもよい。
コアシャフト先端は、ニッケル-チタン合金材料を使用して、曲げに関する耐久性を向上させ、手元部側のコアシャフト本体部は剛性の高いステンレス材料を使用してプッシャビリティの高いガイドワイヤーとすることができる。この際に、ニッケル-チタン合金材料とステンレスの異種金属を溶接する位置を剛性変化部とコアシャフト本体部との間で溶接することで、可能な限り先端側に溶接されるので、よりプッシャンビリティ及び回転性能の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において縦断面とは、ガイドワイヤー100を長手方向に切断した断面であり、横断面とは、ガイドワイヤー100の長手方向に対して垂直方向に切断した断面のことを指す。
図1は、本発明にかかるガイドワイヤー100の先端部近傍を模式的に示した縦断面図である。ガイドワイヤー100は、コアシャフト10と、このコアシャフト10の外周を包囲するアウターコイル20,21と、コアシャフト10の先端及びアウターコイルの先端21を接合する先端接合部50と、中間固定部40からなる。なお、図1及び図2は、視認性向上のため、断面線は省略してある。
ガイドワイヤー100の全長は、特には限定されないが、一般的には1500~3000mmで程度であり、好ましくは1900mm~3000mmである。また、ガイドワイヤー100の外径は、特には限定されないが、一般的には0.3mm~0.5mm程度に形成される。
コアシャフト10は、可撓性を有する金属製の長尺部材であり、ガイドワイヤー100の長さ及び外径に応じた長さ及び外径を有している。コアシャフト10は、遠位端から基端側に向かって順に、最柔軟部である先端コアシャフト11と、先端コアシャフト11より大きな横断面積を有し、横断面積の増加率が徐々に変化していく剛性変化部12a及剛性変化部12aとコアシャフト本体部13とを繋ぐ連結部12bとを有する中間コアシャフト12と、中間コアシャフト12から手元側まで設けられるコアシャフト本体部13と、を有する。
先端コアシャフト11は、コアシャフト10の先端部に一定の外径を有する略円柱形状に形成され、コアシャフト10の中での外径が最小の部分であり、コアシャフト10で最も柔軟な部位である。先端コアシャフト11の先端部には、先端接合部50が形成されている。この先端コアシャフト11は、先端から5mm~10mm程度の長さで形成される。好ましくは5mm~6mmである。
中間コアシャフト12は、剛性変化部12aと剛性変化部12aからコアシャフト本体部13との間に配置される連結部12bとを有する。剛性変化部12aは、図1に示すように、断面増加率が徐々に大きく成った後、小さくなっていくように略中位部が膨らむように形成されており、中間コアシャフト12は全体的に縦断面の輪郭が略S字状を描くように形成される。そのため、先端コアシャフト11が最も剛性が低く、中間コアシャフト12の剛性変化部12aで剛性が高くなった後、また低くなるように形成されることが好ましい。剛性変化部12aは、先端コアシャフト11から35mm以下の範囲に形成される。さらに、好ましくは、剛性変化部12aは、図2に示すように、先端コアシャフト11からコアシャフト本体部13まで一定の増加率で太くなるテーパー状の仮想縦断面Aと比較した場合、一旦仮想縦断面Aよりも外周側に位置した後、一旦内周側に位置してなるように形成するとよい。中間コアシャフト12は、25cm~55cmの長さに作製するとよい。
コアシャフト本体部13は、中間コアシャフト12に連結され、手元側まで延びているシャフトであり、手元側まで緩やかに太くなるような外径変化を有し、プッシュ性の向上を図ってある。
先端コアシャフト11は、ニッケル-チタン合金かで作製されることが好ましい。中間コアシャフト12の先端側はニッケル-チタン合金で作製し、手元側をステンレスで作製することが好ましい。このような構成を採用することによって、先端コアシャフト11及び中間コアシャフトの先端側は、ニッケル-チタン合金材料を使用して、曲げに関する耐久性を向上させ、手元部側のコアシャフト本体部13は剛性の高いステンレス材料を使用してプッシャビリティの高いガイドワイヤー100とすることができる。この際に、ニッケル-チタン合金材料とステンレスの異種金属を溶接する位置を中間コアシャフト12の間で溶接することで、可能な限り先端側に溶接されるので、よりプッシャンビリティ及び回転性能の向上を図ることができる。
アウターコイル20、21は、コアシャフト10の外周全体を包囲するように設けられている。アウターコイル20、21は、素線を螺旋状に巻回してなる柔軟体である。素線を構成する材料としては、先端20は、X線不透過性をもつ材料、例えばPt合金コイル等が使用され、先端以外の部分21は、弾性合金であるSUSコイル、Ni-Ti合金等が使用される。アウターコイル20、21を形成する素線は、1本の素線からなる単線でもよいし、複数の素線を撚り合せた撚線でもよい。
アウターコイルの先端20は、先端接合部50によって、コアシャフト10に固定されている。先端接合部50は、アウターコイルの先端20と、コアシャフト10の先端コアシャフト11の先端部とを接合する部材である。先端接合部50は、銀ロウ、金ロウ、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだによって形成され、この金属はんだによりアウターコイルの先端20と先端コアシャフト11の先端とが接合されている。
中間固定部40は、アウターコイル20、21と、コアシャフト10の中間コアシャフト12とを固定する部材である。中間固定部40は、先端接合部51と同じ材料によって形成されてもよいし、異なる材料によって形成されてもよい。
このように構成された実施形態にかかるガイドワイヤー100は、コアシャフト10の形態を最先端の5mm~10mmのごく短い部分は柔軟な最柔軟部を形成し、血管等へ接触した場合の柔軟性を確保してある。この最柔軟部の先端コアシャフト11よりも近位側であって、先端コアシャフト11から35mm以下の範囲は、最柔軟部より大きな断面積を有し、断面積が急激に増加した後、徐々に増加又は減少していくS字状の剛性変化部12aを設けることによって、最先端が柔軟であり、先端コアシャフト11から35mm以下の範囲ではコアシャフト10の剛性が高くなるため先端部の耐久性(Durability)を向上させたガイドワイヤー100とすることができる。この際に、断面増加率が徐々に大きくなった後、小さくなり、さらに大きくなっていくように形成することで、断面の外形形状がS字状に変化した形態になっており、先端近傍の剛性を高くした影響が断面増加率を一旦小さくさせた範囲で柔軟性を確保することができる。
(実施例)
実施例として、コアシャフトが図3のグラフで示された断面積の変化を有するガイドワイヤーを用意し、比較例として、図3のグラフで示された断面積の変化を有するガイドワイヤーを用意し、剛性試験を行った。なお、図3の横軸は、先端からの距離(mm)、縦軸は、横断面の直径である(mm)。剛性試験の結果を図4に示す。なお、図4の横軸は、先端からの距離(mm)、縦軸が剛性(N)である。試験の結果、図4に示すように、実施例のガイドワイヤーは、先端10mm~30mmまでの間は比較例と比較して剛性が高い状態となり、先端30mm~45mmまでの間は、比較例より剛性が低いものとなり、先端側の耐久性が向上したガイドワイヤーとなったことが証明できた。これにより、先端10mmから30mmまでの間だけ固く曲がりづらく耐久性(Durability)を向上させることができ、それ以外の部分は操作性向上のため柔らかくしなやかなガイドワイヤーであることがわかる。
実施例として、コアシャフトが図3のグラフで示された断面積の変化を有するガイドワイヤーを用意し、比較例として、図3のグラフで示された断面積の変化を有するガイドワイヤーを用意し、剛性試験を行った。なお、図3の横軸は、先端からの距離(mm)、縦軸は、横断面の直径である(mm)。剛性試験の結果を図4に示す。なお、図4の横軸は、先端からの距離(mm)、縦軸が剛性(N)である。試験の結果、図4に示すように、実施例のガイドワイヤーは、先端10mm~30mmまでの間は比較例と比較して剛性が高い状態となり、先端30mm~45mmまでの間は、比較例より剛性が低いものとなり、先端側の耐久性が向上したガイドワイヤーとなったことが証明できた。これにより、先端10mmから30mmまでの間だけ固く曲がりづらく耐久性(Durability)を向上させることができ、それ以外の部分は操作性向上のため柔らかくしなやかなガイドワイヤーであることがわかる。
10…コアシャフト、11…先端コアシャフト、12…中間コアシャフト、12a…剛性変化部、12b…連結部、13…コアシャフト本体部、20,21…アウターコイル、40…中間固定部、50…先端接合部、51…先端接合部、100…ガイドワイヤー
Claims (6)
- 先端から順に5mm~10mmの長さで形成される最柔軟部からなる先端コアシャフトと、前記先端コアシャフトより大きな横断面積を有し、先端コアシャフトから35mm以下の範囲に形成され断面積が増加した後、増加率が減少する剛性変化部、及び前記剛性変化部の近位側に配置される連結部を有する中間コアシャフトと、前記中間コアシャフトの近位側で連接されているコアシャフト本体部と、を有するコアシャフトと、
その外周に設けられるアウターコイルと、を備え、
前記中間コアシャフトは、剛性変化部において断面増加率が大きくなった後、小さくなり、剛性変化部の手元側の連結部はコアシャフト本体部の断面積と同じくなるように徐々に断面積が大きくなることを特徴とするガイドワイヤー。 - 前記中間コアシャフトは、縦断面の輪郭がS字形状になるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
- 前記中間コアシャフトは、先端コアシャフトからコアシャフト本体部の連接部まで一定の増加率で太くなるテーパー状とした仮想縦断面と比較した場合、一旦仮想縦断面よりも外周側に位置した後、一旦内周側に位置してなることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
- 前記中間コアシャフトは、略中位部が膨らむように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
- 前記先端コアシャフトが最も剛性が低く、前記剛性変化部は前記先端コアシャフトよりも剛性が高く、かつ剛性変化部の範囲で剛性が高くなった後、剛性が低くなることを特徴とする請求項1に記載のガイドワイヤー。
- 前記先端コアシャフト及び中間コアシャフトは、ニッケル-チタン合金からなり、前記コアシャフト本体部はステンレスであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のガイドワイヤー。
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