JP2024053866A - 鋼管接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】接合対象物に対して、鋼管を簡易に接合することが可能な鋼管接合構造を提案する。【解決手段】鋼管1と接合対象物2とを接合する鋼管接合構造であって、鋼管1の端部に固定されたエンドプレート4と、鋼管1に固定されたロックプレート5と、接合対象物に突設された接合ピン3とを備えている。エンドプレート4には、接合ピン3を挿通可能な貫通孔41が形成されており、ロックプレート5には、貫通孔41を挿通した接合ピン3と嵌合可能な嵌合部53が形成されている。【選択図】図5
Description
本発明は、鋼管接合構造に関する。
鋼管を基礎や他の鋼管などの接合対象物に接合する際には、突き合せ面において溶接したり、接合部に設けられた治具(例えば、複数のボルト)により接合するのが一般的である。ところが、溶接による鋼管接合は、作業に手間がかかる。また、火器を使用するため、狭隘空間に設けられる鋼管の接合においては、作業を慎重に行う必要がある。また、治具による接合は、鋼管を保持した状態で、多数のボルトを締め付ける必要があるため、作業に手間がかかる。
また、特許文献1には、端部同士を突き合せた状態で鋼管同士を接合する鋼管継手構造として、鋼管の端部に形成されたフランジ同士を重ね合わせた状態で、両フランジを貫通するボルトにナットを螺合する鋼管継手構造が開示されている。
さらに、特許文献2には、鋼管の端部から突設された応力伝達部材同士を突き合せた状態で、両応力伝達部材に跨って配設された鋼板をボルトにより応力伝達部材に固定することで応力伝達部材同士を連結する鋼管継手が開示されている。
特許文献1の鋼管継手構造は、フランジが鋼管から張り出すため、柱などに使用した場合には、居住空間を狭めてしまう。また、複数のボルトを使用する必要があり、作業に手間がかかる。
また、特許文献2の鋼管継手も、複数のボルトを使用する必要があり、作業に手間がかかる。また、応力伝達部材は、鋼管の内部において鋼管に固定するため、応力伝達部材の固定時の作業にも手間がかかる。
本発明は、接合対象物に対して、鋼管を簡易に接合することが可能な鋼管接合構造を提案することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、鋼管と接合対象物とを接合する鋼管接合構造であって、前記鋼管の端部に固定されたエンドプレートと、前記鋼管に固定されたロックプレートと、接合対象物に突設された接合ピンとを備え、前記エンドプレートには前記接合ピンを挿通可能な貫通孔が形成されており、前記ロックプレートには前記貫通孔を挿通した前記接合ピンと嵌合可能な嵌合部が形成されている。
かかる鋼管接合構造によれば、接合ピンがエンドプレートを挿通した状態で、ロックプレートに嵌合することで、鋼管と接合対象物との接合が完了するため、ボルト接合や溶接などに比べて、作業性に優れている。すなわち、鋼管の端部に形成されたエンドプレートに、他の鋼管や基礎等の接合対象物に形成された接合ピンを挿通させた状態で、鋼管を接合対象物に当接させるのみで、接合が完了する。また、鋼管や接合対象物に対して、複雑な加工を要することもない。
前記ロックプレートは、前記エンドプレートに固定されていてもよいし、前記鋼管の内部に形成されたダイヤフラムに固定されていてもよい。ロックプレートがダイヤフラムに固定されている場合には、前記ダイヤフラムに前記貫通孔と同心の接合ピンを挿通可能な孔を形成しておく。
前記嵌合部は、前記ロックプレートに形成された前記貫通孔と同心の孔と、前記孔の周囲に形成された複数のスリットとからなるものにすることができる。このとき、前記接合ピンは、前記嵌合部を挿通可能な頭部と、前記貫通孔に係止可能な係止部と、前記接合対象物に固定される固定部とを備えているのが望ましい。前記係止部が前記頭部に向かうに従って縮径するテーパー部を有していれば、テーパー部によって係止部の中心軸と貫通孔との中心軸とを一致させることが可能となり、その結果、位置決めが容易となる。また、前記頭部と前記係止部との境界における前記係止部の外径が前記嵌合部の内径以下で、前記境界における前記頭部の外径が前記嵌合部の外径以上であれば、頭部が嵌合部の挿通することで、接合ピンが嵌合部に係止される。
前記接合対象物の端部に第二エンドプレートが固定されている場合には、前記固定部は、前記第二エンドプレートを挿通したボルトとし、ナットを介して前記第二エンドプレートに固定すればよい。また、前記固定部が前記接合対象物に埋め込まれたボルトである場合には、前記頭部および前記係止部は、前記固定部に螺着された中空部材にすればよい。なお、前記固定部は、前記接合対象物に埋設された主筋に固定されていてもよい。
本発明の鋼管接合構造によれば、接合対象物に対して、鋼管の端部を突き合せるのみで、簡易に鋼管を接合できる。
<第一実施形態>
第一実施形態では、図1に示すように、接合対象物(既設の柱部材)2に鋼管(新設の柱部材)1を接合する場合について説明する。本実施形態では、複数の接合対象物2が並設されている。
第一実施形態では、図1に示すように、接合対象物(既設の柱部材)2に鋼管(新設の柱部材)1を接合する場合について説明する。本実施形態では、複数の接合対象物2が並設されている。
接合対象物(既設柱部材)2は、下階の柱部材であって、角鋼管により構成されている。図2に示すように、接合対象物2の上端には、エンドプレート(第二エンドプレート6)が固定されている。第二エンドプレート6の中央部には、貫通孔61が形成されている。接合対象物2には、第二エンドプレート6に、鋼管1側に突出する接合ピン3が固定されている。
接合ピン3は、図3(a)および(b)に示すように、頭部31と係止部32と軸部33と固定部34とを備えている。
頭部31は、先端(図3(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。頭部31には、上面において開口する平面視六角形状の凹部35が形成されていて、工具(例えば、六角レンチ)の挿入が可能である。
頭部31は、先端(図3(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。頭部31には、上面において開口する平面視六角形状の凹部35が形成されていて、工具(例えば、六角レンチ)の挿入が可能である。
係止部32は、頭部31に接続されていて、頭部31に向かうに従って縮径するテーパー部32aを有している。また、係止部32の先端部(上端部)には、頭部31の基端(係止部32側の端部)の外径よりも小さい外径の係止溝32bが形成されている。すなわち、頭部31と係止部32との境界部では、段差が形成されている。また、係止部32の下部(固定部34側の部分)には、外径が一定のストレート部分32cが形成されている。
軸部33は、係止部32と固定部34との間に形成された部分であって、外径が一定のストレート部分33aと、固定部34に近づくに従って縮径するテーパー部分33bとを備えている。
ストレート部分33aは、接合対象物2(第二エンドプレート6)に設置した際に、第二エンドプレート6の貫通孔61の内面に外面が接する外径を有しているである。
テーパー部分33bは、ストレート部分33aの固定部34側に形成されていて、図2に示すように、接合ピン3を第二エンドプレート6に設置する際に、接合ピン3の中心軸が貫通孔61の中心と一致するように、誘導する部分である。
ストレート部分33aは、接合対象物2(第二エンドプレート6)に設置した際に、第二エンドプレート6の貫通孔61の内面に外面が接する外径を有しているである。
テーパー部分33bは、ストレート部分33aの固定部34側に形成されていて、図2に示すように、接合ピン3を第二エンドプレート6に設置する際に、接合ピン3の中心軸が貫通孔61の中心と一致するように、誘導する部分である。
固定部34は、外面にネジ加工が施されたボルトである。固定部34の外径は、第二エンドプレート6の貫通孔61の内径よりも小さい。接合ピン3は、図2に示すように、固定部34が第二エンドプレート6の貫通孔61を挿通した状態で、ナット36を固定部34に螺合することで、第二エンドプレート6に固定されている。
本実施形態では、隣り合う接合対象物2同士の間に、連結用プレート7が横架されている。連結用プレート7は、必要に応じて設ければよく、省略してもよい。連結用プレート7には、第二エンドプレート6の貫通孔61の位置に応じて、貫通孔61と同等の内径の貫通孔71が形成されている。接合ピン3は、連結用プレート7を貫通して、第二エンドプレート6に固定されている。連結用プレート7は、第二エンドプレート6に接合ピン3を固定する際に、テーパー部分33bと貫通孔71とが接することで、位置修正がなされる。なお、本実施形態では、連結用プレート7と接合ピン3の係止部32との間に緩み止め用ワッシャ72を介設する。緩み止め用ワッシャ72の外径は、係止部32のストレート部分32cの外径より小さい。
鋼管(上段柱部材)1は、接合対象物2と同じ断面形状の角鋼管からなる。鋼管1の下端には、図4(a)に示すように、エンドプレート4が固定されている。図4(b)に示すように、エンドプレート4の中央部には、接合ピン3の頭部31および係止部32を挿通可能な内径の貫通孔41が形成されている。貫通孔41の内径は、係止部32のストレート部分32cの外径と同等である。
また、エンドプレート4には、ロックプレート5が固定されている。ロックプレート5は、金属製で、エンドプレート4から離れるに従って縮径するように、円錐台状(すり鉢状)を呈した本体部51と、エンドプレート4に当接する接合部52とを有している。本体部51には、エンドプレート4の貫通孔41を挿通した接合ピン3と嵌合可能な嵌合部53が形成されている。接合部52は、ロックプレート5の周縁部分を構成する板状部分であって、エンドプレート4に重ねた状態で、エンドプレート4に溶接されている。
嵌合部53は、図4(a)および(b)に示すように、エンドプレート4に形成された貫通孔41と同心の孔であって、嵌合部53の周囲には、スリット54が形成されている。嵌合部53は、接合ピン3の頭部31を挿通可能で、かつ係止部32に係止可能である。嵌合部53の内径は、頭部31の基端部(係止部32との境界部)の外径よりも小さく、係止部32の係止溝32b(頭部31との境界部)の外径と同等以下である。嵌合部53は、周囲にスリット54が形成されているため、頭部31と押し込んだ際に拡径し、頭部31を挿通可能である。
接合対象物2に鋼管1を接合する際には、図5に示すように、接合対象物2の上方から鋼管1を下降させて、エンドプレート4と第二エンドプレート6とを突き合せることにより行う。
このとき、接合ピン3の頭部31をエンドプレート4の貫通孔41に挿通させる。貫通孔41を挿通した頭部31は、図5に示すように、ロックプレート5の本体部51と当接するとともに、エンドプレート4の貫通孔41の縁と係止部32の外面とが当接する。頭部31の外面に沿って、ロックプレート5の本体部51が摺動することで、鋼管1と接合対象物2の軸心とが一致する方向に、鋼管1が移動する(図1参照)。
このとき、接合ピン3の頭部31をエンドプレート4の貫通孔41に挿通させる。貫通孔41を挿通した頭部31は、図5に示すように、ロックプレート5の本体部51と当接するとともに、エンドプレート4の貫通孔41の縁と係止部32の外面とが当接する。頭部31の外面に沿って、ロックプレート5の本体部51が摺動することで、鋼管1と接合対象物2の軸心とが一致する方向に、鋼管1が移動する(図1参照)。
鋼管1の軸心と接合対象物2の軸心とが一致すると、図1に示すように、エンドプレート同士が重ね合わされる。このとき、ロックプレート5の嵌合部53を接合ピン3の頭部31が貫通して、係止部32と嵌合部53とが嵌合される。
係止部32と嵌合部53とが嵌合すると、すり鉢状の本体部51の先端が、頭部31の下面と係止部32の角部(段差部)に対して斜めに当接するとともに、係止部32のストレート部分32cの外周面が、貫通孔41の内周面に当接する。このとき、緩み止め用ワッシャ72は、貫通孔41内に配置される。
本実施形態の鋼管接合構造によれば、鋼管1と接合対象物2との端面同士を突き合せることで、接合ピン3がエンドプレート4を挿通した状態で、ロックプレート5に嵌合して、鋼管1と接合対象物2との接合が完了する。そのため、ボルト接合や溶接などに比べて、作業性に優れている。すなわち、鋼管1の端部に形成されたエンドプレート4に接合対象物2固定された接合ピン3を挿通させた状態で、鋼管1を接合対象物2に当接させるのみで、接合が完了する。
また、鋼管1や接合対象物2に対して、複雑な加工を要することもないため、経済的である。
また、鋼管1や接合対象物2に対して、複雑な加工を要することもないため、経済的である。
また、接合ピン3とロックプレート5とが嵌合されると、エンドプレート4の貫通孔41の内周面と接合ピン3の係止部32のストレート部分32cとが当接するとともに、軸部33のストレート部分33aが第二エンドプレート6の貫通孔61と当接するため、鋼管1と接合対象物2との間でのせん断力の伝達が可能となる。
また、ロックプレート5が接合ピン3に対して斜めに当接するため、鋼管1に引き抜き力(回転モーメント)が作用した際に、大きな抵抗力を発現し、接合ピン3がロックプレート5から抜け出すことがない。
また、ロックプレート5が接合ピン3に対して斜めに当接するため、鋼管1に引き抜き力(回転モーメント)が作用した際に、大きな抵抗力を発現し、接合ピン3がロックプレート5から抜け出すことがない。
<第二実施形態>
第二実施形態では、図6に示すように、接合対象物(基礎)2の上面に鋼管(柱部材)を立設する場合について説明する。
接合対象物(基礎)2は、コンクリート基礎であって、図7に示すように、上面に接合ピン3が突設されている。
第二実施形態では、図6に示すように、接合対象物(基礎)2の上面に鋼管(柱部材)を立設する場合について説明する。
接合対象物(基礎)2は、コンクリート基礎であって、図7に示すように、上面に接合ピン3が突設されている。
接合ピン3は、頭部31と係止部32と固定部34とを備えている。図8(a)および(b)に示すように、頭部31および係止部32は、一体に形成された中空部材からなる。
頭部31は、先端(図8(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。頭部31の上端には、平面視六角形状の孔37が形成されていて、工具(例えば、六角レンチ)の挿入が可能である。
頭部31は、先端(図8(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。頭部31の上端には、平面視六角形状の孔37が形成されていて、工具(例えば、六角レンチ)の挿入が可能である。
係止部32は、頭部31に接続されていて、頭部31に向かうに従って縮径するテーパー部32aを有している。また、係止部32の先端部(上端部)には、頭部31の基端(係止部32側の端部)の外径よりも小さい外径の係止溝32bが形成されている。すなわち、頭部31と係止部32との境界部では、段差が形成されている。また、係止部32の下部(固定部34側の部分)には、外径が一定のストレート部分32cが形成されている。
固定部34は、図7に示すように、接合対象物2に埋め込まれたボルトである。固定部34は、所定の定着吊を確保した状態で、接合対象物2に埋設されており、また、固定部34の上端部は、接合対象物2の上面から突出している。頭部31および係止部32は、固定部34の接合対象物2から突出している部分に所定トルクで螺着されていることで、接合対象物2の上面に固定されている。
鋼管(上段柱部材)1は、角鋼管からなる(図4参照)。鋼管1の下端には、エンドプレート4が固定されている。また、エンドプレート4には、ロックプレート5が固定されている。なお、エンドプレート4およびロックプレート5の詳細は、第一実施形態のエンドプレート4と同様なため、詳細な説明は省略する。
接合対象物(基礎)2に鋼管(鋼管柱)1を接合する際には、図9に示すように、接合対象物2の上方から鋼管1を下降させて、図6に示すように、エンドプレート4を接合対象物2の上面に当接させることにより行う。このとき、接合ピン3の頭部31をエンドプレート4の貫通孔41に挿通させる。
本実施形態の接合対象物2に鋼管1を接合する際の作用および効果は、第一実施形態の鋼管接合構造と同様なため、詳細な説明は省略する。
本実施形態の接合対象物2に鋼管1を接合する際の作用および効果は、第一実施形態の鋼管接合構造と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第三実施形態>
第三実施形態では、図10に示すように、接合対象物(基礎)2の上面に鋼管(柱部材)を立設する場合について説明する。接合対象物(基礎)2は、コンクリート基礎であって、上面に接合ピン3が立設されている。
第三実施形態では、図10に示すように、接合対象物(基礎)2の上面に鋼管(柱部材)を立設する場合について説明する。接合対象物(基礎)2は、コンクリート基礎であって、上面に接合ピン3が立設されている。
接合ピン3は、図11(a)に示すように、頭部31と係止部32と軸部33と固定部34とを備えている。
頭部31は、先端(図11(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。
頭部31は、先端(図11(a)において上端)に行くに従って縮径する円錐台状を呈している。
係止部32は、頭部31に接続されていて、頭部31に向かうに従って縮径するテーパー部32aを有している。また、係止部32の先端部(上端部)には、頭部31の基端(係止部32側の端部)の外径よりも小さい外径の係止溝32bが形成されている。すなわち、頭部31と係止部32との境界部では、段差が形成されている。また、係止部32の下部(固定部34側の部分)には、外径が一定のストレート部分32cが形成されている。
軸部33は、係止部32と固定部34との間に形成された部分であって、固定部34に近づくに従って拡径するテーパー部分33bと、外径が一定のストレート部分33aとを備えている。
テーパー部分33bは、図11(a)に示すように、鋼管1を設置する際に、接合ピン3の中心軸が貫通孔41の中心と一致するように、誘導する部分である。
ストレート部分33aは、テーパー部分33bの固定部34側に形成されていて、鋼管1を設置した際に、エンドプレート4の貫通孔41の内面に外面が接する外径を有している。
テーパー部分33bは、図11(a)に示すように、鋼管1を設置する際に、接合ピン3の中心軸が貫通孔41の中心と一致するように、誘導する部分である。
ストレート部分33aは、テーパー部分33bの固定部34側に形成されていて、鋼管1を設置した際に、エンドプレート4の貫通孔41の内面に外面が接する外径を有している。
固定部34は、接合対象物2に埋設された主筋21に固定されている。本実施形態では、図11(b)に示すように、4本の主筋が固定部34に固定(溶接)されている。なお、固定部34と主筋21との固定方法は限定されるものではない。また、固定部34に固定する主筋21の本数及び配置は限定されるものではない。
鋼管(上段柱部材)1は、角鋼管からなる。図10に示すように、鋼管1の下端には、エンドプレート4が固定されている。エンドプレート4の中央部には、接合ピン3の固定部34の突出部を挿通可能な内径の貫通孔41が形成されている。貫通孔41の内径は、接合ピン3の突出部の下側のストレート部の外径と同等である。
また、鋼管1の内部には、エンドプレート4の上方に所定の間隔をあけてダイヤフラム8が固定されている。ダイヤフラム8の中央部には、エンドプレート4の貫通孔41と同心の貫通孔81が形成されている。貫通孔81の内径は、接合ピンの突出部の上側のストレート部の外径と同等のである。
ダイヤフラム8には、ロックプレート5が固定されている。ロックプレート5は、金属製で、ダイヤフラム8から離れるに従って縮径するように、円錐台状(すり鉢状)を呈した本体部51と、ダイヤフラム8に当接する接合部52とを有している。この他のロックプレート5の詳細は、第一実施形態のロックプレート5と同様なため、詳細な説明は省略する。
接合対象物(基礎)2に鋼管(鋼管柱)1を接合する際には、図12に示すように、接合対象物2の上方から鋼管1を下降させて、エンドプレート4を接合対象物2の上面に当接させることにより行う(図10参照)。このとき、接合ピン3の突出部(頭部31、係止部32および軸部33)をエンドプレート4の貫通孔41に挿通させる。
貫通孔41に突出部を挿通させると、貫通孔41の内面がテーパー部分33bに沿って摺動し、接合ピン3の頭部31がダイヤフラム8の貫通孔81に挿入されるように、鋼管1が所定の位置に誘導される。
さらに、鋼管1を下降させると、頭部31がダイヤフラム8の貫通孔81に挿入される。貫通孔81を挿通した頭部31は、ロックプレート5の本体部51と当接するとともに、エンドプレート4の貫通孔41の縁と係止部32の外面とが当接する。頭部31の外面に沿って、ロックプレート5の本体部51が摺動することで、鋼管1と接合対象物2の軸心とが一致する方向に、鋼管1が移動する。
鋼管1の軸心と接合対象物2の軸心とが一致した状態で鋼管1が下降させると、ロックプレート5の嵌合部53を接合ピン3の頭部31が貫通して、係止部32と嵌合部53とが嵌合される。
係止部32と嵌合部53とが嵌合すると、すり鉢状の嵌合部53の先端が、頭部31の下面と係止部32の角部に対して斜めに当接する。また、係止部32のストレート部分33cの外面と、軸部33のストレート部分33aの外面が、それぞれダイヤフラム8の貫通孔81の内周面およびエンドプレート4の貫通孔41の内周面に当接する。
本実施形態の鋼管接合構造によれば、鋼管1を接合対象物2の上面で立設させることで、接合ピン3がエンドプレート4を挿通した状態で、ロックプレート5に嵌合して、鋼管1と接合対象物2との接合が完了する。そのため、ボルト接合や溶接などに比べて、作業性に優れている。すなわち、鋼管1の端部に形成されたエンドプレート4に接合対象物2固定された接合ピン3を挿通させた状態で、鋼管1を接合対象物2に当接させるのみで、接合が完了する。
接合ピン3をエンドプレート4の貫通孔41に挿通させた状態で、鋼管1の接合対象物2に近づけるのみで、鋼管1の位置決めと固定が完了するため、作業性に優れている。
また、鋼管1や接合対象物2に対して、複雑な加工を要することもないため、経済的である。
また、鋼管1や接合対象物2に対して、複雑な加工を要することもないため、経済的である。
ロックプレート5が接合ピン3に対して斜めに当接するため、鋼管1に引き抜き力が作用した際に、大きな抵抗力を発現し、接合ピン3がロックプレート5から抜け出すことがない。
圧縮力に対しては、エンドプレート4を介して接合対象物(基礎)2に支圧伝達される。
また、せん断力に対しては、接合ピン3の下側のストレート部分33aとエンドプレート4の貫通孔41との支圧で伝達される。
さらに、曲げ力に対しては、接合ピン先端側のストレート部分32cからダイヤフラム8に、接合ピン基端側のストレート部分33aからエンドプレート4にそれぞれ偶力が伝達され、接合ピン3を介して主筋21に曲げ力が伝達される。
圧縮力に対しては、エンドプレート4を介して接合対象物(基礎)2に支圧伝達される。
また、せん断力に対しては、接合ピン3の下側のストレート部分33aとエンドプレート4の貫通孔41との支圧で伝達される。
さらに、曲げ力に対しては、接合ピン先端側のストレート部分32cからダイヤフラム8に、接合ピン基端側のストレート部分33aからエンドプレート4にそれぞれ偶力が伝達され、接合ピン3を介して主筋21に曲げ力が伝達される。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、鋼管1が柱の場合について説明したが、鋼管1の用途は限定されるものではない。
前記実施形態では、鋼管1が柱の場合について説明したが、鋼管1の用途は限定されるものではない。
1 鋼管
2 接合対象物
21 主筋
3 接合ピン
31 頭部
32 係止部
34 固定部
36 ナット
4 エンドプレート
41 貫通孔
5 ロックプレート
53 嵌合部
54 スリット
6 第二エンドプレート
8 ダイヤフラム
81 貫通孔(孔)
2 接合対象物
21 主筋
3 接合ピン
31 頭部
32 係止部
34 固定部
36 ナット
4 エンドプレート
41 貫通孔
5 ロックプレート
53 嵌合部
54 スリット
6 第二エンドプレート
8 ダイヤフラム
81 貫通孔(孔)
Claims (9)
- 鋼管と接合対象物とを接合する鋼管接合構造であって、
前記鋼管の端部に固定されたエンドプレートと、
前記鋼管に固定されたロックプレートと、
接合対象物に突設された接合ピンと、を備え、
前記エンドプレートには、前記接合ピンを挿通可能な貫通孔が形成されており、
前記ロックプレートには、前記貫通孔を挿通した前記接合ピンと嵌合可能な嵌合部が形成されていることを特徴とする、鋼管接合構造。 - 前記ロックプレートは、前記エンドプレートに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管接合構造。
- 前記ロックプレートは、前記鋼管の内部に形成されたダイヤフラムに固定されており、
前記ダイヤフラムには、前記貫通孔と同心の孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼管接合構造。 - 前記嵌合部は、前記ロックプレートに形成された前記貫通孔と同心の孔と、前記孔の周囲に形成された複数のスリットと、からなることを特徴とする、請求項請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鋼管接合構造。
- 前記ロックプレートは、エンドプレートから離れるに従って縮径するように円錐台状を呈した本体部を有し、
前記孔および前記スリットは、前記本体部に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の鋼管接合構造。 - 前記接合ピンは、前記嵌合部を挿通可能な頭部と、前記貫通孔に係止可能な係止部と、前記接合対象物に固定される固定部と、を備えており、
前記係止部は、前記頭部に向かうに従って縮径するテーパー部を有し、
前記頭部と前記係止部との境界における前記係止部の外径は、前記嵌合部の内径以下で、前記境界における前記頭部の外径は、前記嵌合部の外径以上であることを特徴とする、請求項4に記載の鋼管接合構造。 - 前記接合対象物の端部に第二エンドプレートが固定されており、
前記固定部は、前記第二エンドプレートを挿通したボルトであって、ナットを介して前記第二エンドプレートに固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の鋼管接合構造。 - 前記固定部は、前記接合対象物に埋め込まれたボルトであり、
前記頭部および前記係止部は、前記固定部に螺着された中空部材であることを特徴とする、請求項6に記載の鋼管接合構造。 - 前記固定部は、前記接合対象物に埋設された主筋に固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の鋼管接合構造。
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