JP2024052937A - グラスライニング製品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラスライニング層と金属基材の間の密着性が改善されたグラスライニング製品を提供する。【解決手段】JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRaが2~9μmの表面をもつ粗面化された金属基材を作製する工程と、前記粗面化された金属基材の前記表面上に釉薬を焼き付けることによりグラスライニング層を形成する工程とを含み、前記釉薬が、フリットと、金属繊維と、増粘剤と、分散剤とを含む、グラスライニング製品の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明はグラスライニング製品及びその製造方法に関する。
グラスライニング製品は、高耐食性や高製品純度が求められる化学工業、医薬品工業、食品工業、電子産業等の分野で用いられる。グラスライニング製品は低炭素鋼板及びステンレス鋼板等の金属基材を素地とし、この素地表面にSiO2を主成分とする所定の組成を有するグラスライニング組成物を融着させることで耐食性、不活性、耐熱性を兼備するグラスライニング層を形成することにより作製されている。
グラスライニング製品は、その外側に設置されたジャケット等により、製品の外側より鉄素材を加熱又は冷却することにより、製品内部の温度調節が行われることが多いが、従来のグラスライニング層は熱伝導性が金属基材よりも悪いため、きめ細かい温度調節をし難いとう問題点があった。更に、グラスライニング層の熱伝導性が悪いために、製造リードタイムが長期化し、更には製品品質及び収率の低下を招くこともあった。
このため、グラスライニング層の熱伝導性を向上させるために、グラスライニング用スラリー組成物を構成するフリットの粒度構成を特定の範囲とすることが提案されている(特許文献1:特許第5860713号公報)。具体的には、フリットの粒径が0.1~250μmの範囲内にあり、粒径が0.1~1μmの範囲内にあるフリット微粒子の割合が1~50質量%の範囲内にあり、且つフリットの粒度正規分布が50%表示で、1.5~20μmの範囲内にあるフリットから構成されることを特徴とするグラスライニング組成物が提案されている。
グラスライニング組成物には、金属基材と熱膨張率を合わせたり、ガラス溶融時の温度を低下させたり、複数成分の溶解性を確保するために、Na2Oが従来配合されている。即ち、Na2Oは、グラスライニングのガラス網目構造を修飾し、SiO2網目構造を切断し、(i)線熱膨張係数を大きくしたり、(ii)易溶性を大きくしたりするために作用することから、グラスライニングには必須の成分となっている。しかしながら、Na2Oが配合されたグラスライニング層からはナトリウム成分が溶出し易く、このナトリウム成分は、薬液製造過程において薬液中に混入するため、半導体やTFT型パネルの製造工程に使用される薬液の製造には、従来のグラスライニング製品を使用することはできない。
そこで、Na2Oが配合された下ぐすり層の上にNa2Oを配合しない上ぐすり層を形成することで、ナトリウム成分の溶出量の少ないグラスライニング層を得ることが提案されている(特許文献2:特許第5191384号公報)。
また、従来のグラスライニング層は体積抵抗率が1×1010~1×1012Ωmの絶縁材料であるため、導電率が低いベンゼン、ノルマルヘキサン等の有機物内容液を撹拌操業すると、内容液の発生電荷量が漏洩電荷量を大幅に上回って、静電気帯電が大きくなり、グラスライニング製品にアースを接地していてもグラスライニング層の絶縁破損を引き起こすことがあった。
そこで、グラスライニング製品の静電気帯電を抑制するため、白金等の金属繊維をグラスライニング組成物中に配合することが知られている(特許文献3:特許第3783742号公報、特許文献4:特許第3432399号公報)。
特許第5860713号公報 特許第5191384号公報 特許第3783742号公報 特許第3432399号公報
このように、種々の観点からグラスライニング製品は改良されてきている。しかしながら、グラスライニング層と金属基材の間の密着性に関しては未だ十分な検討がなされておらず、グラスライニング層と金属基材の間の密着性が改善されたグラスライニング製品が得られることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、一実施形態において、グラスライニング層と金属基材の間の密着性が改善されたグラスライニング製品を提供することを課題とする。本発明は別の一実施形態において、そのようなグラスライニング製品の製造方法を提供することを課題とする。
[1]
JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRaが2~9μmの表面をもつ粗面化された金属基材と、
前記粗面化された金属基材の前記表面上に形成されたグラスライニング層と、
を備えたグラスライニング製品。
[2]
前記粗面化された金属基材の前記表面は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRzが15~39μmである[1]に記載のグラスライニング製品。
[3]
金属基材が低炭素鋼又はステンレス鋼である[1]又は[2]に記載のグラスライニング製品。
[4]
JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRaが2~9μmの表面をもつ粗面化された金属基材を作製する工程と、
前記粗面化された金属基材の前記表面上に釉薬を焼き付けることによりグラスライニング層を形成する工程と、
を含むグラスライニング製品の製造方法。
[5]
前記粗面化された金属基材の前記表面は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRzが15~39μmである[4]に記載のグラスライニング製品の製造方法。
[6]
前記粗面化された金属基材を作製する工程は、前記金属基材の表面をサンドブラスト処理することを含む[4]又は[5]に記載のグラスライニング製品の製造方法。
[7]
前記サンドブラスト処理は、平均粒径が0.5mm以上2mm以下の研磨材を吹き付けることを含む[6]に記載のグラスライニング製品の製造方法。
[8]
金属基材が低炭素鋼又はステンレス鋼である[4]~[7]の何れか一項に記載のグラスライニング製品の製造方法。
[9]
研磨材はアルミナ粉を含む[4]~[8]の何れか一項に記載のグラスライニング製品の製造方法。
本発明によれば、グラスライニング層と金属基材の間の密着性が改善されたグラスライニング製品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るグラスライニング製品の層構造の模式的な断面図である。
本発明の一実施形態に係るグラスライニング製品は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRaが2~9μmの表面をもつ粗面化された金属基材と、前記粗面化された金属基材の前記表面上に形成されたグラスライニング層とを備える。
グラスライニング製品としては、限定的ではないが、反応機、撹拌翼、タンク(例:撹拌槽)、熱交換器、乾燥機、蒸発機、ろ過機等が挙げられる。
(1.金属基材)
金属基材としては、限定的ではないが、低炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金が例示される。金属基材の形状にも特に制限はないが、壁状、板状、翼状及び棒状等が挙げられる。
金属基材の表面は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRa(JIS B 0601:1994)が2~9μmであることが好ましい。金属基材の表面粗さRaの下限が2μm以上であることで、金属基材とグラスライニング層の密着強度を高めることができる。金属基材の表面粗さRaは好ましくは3μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。また、金属基材の表面粗さRaの上限が9μm以下であることで、グラスライニング層の粗大気泡の発生抑制という利点が得られる。金属基材の表面粗さRaは好ましくは8μm以下であり、より好ましくは7μm以下である。
また、金属基材の前記表面は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRz(十点平均粗さ)(JIS B 0601:1994)が15~39μmであることが好ましい。金属基材の表面粗さRzの下限が15μm以上であることで、金属基材とグラスライニング層の密着強度を更に高めることができる。金属基材の表面粗さRzは好ましくは20μm以上であり、より好ましくは25μm以上である。また、金属基材の表面粗さRzの上限が39μm以下であることで、グラスライニング層の粗大気泡の発生抑制という利点が得られる。金属基材の表面粗さRzは好ましくは37μm以下であり、より好ましくは35μm以下である。
金属基材の表面粗さは粗面化処理を行うことで制御可能である。例えば、金属基材の表面に対してサンドブラスト処理を行うことで粗面化することができる。一実施形態において、サンドブラスト処理は、平均粒径が0.5mm以上2mm以下の研磨材を吹き付けることを含む。平均粒径が2mm以下、好ましくは1.5mm以下の研磨材を使用してサンドブラスト処理することで、気泡を伴うブロー欠陥が発生するのを抑制可能である。また、平均粒径が0.5mm以上、好ましくは0.6mm以上の研磨材を使用してサンドブラスト処理することで、金属基材の表面を上述した範囲に制御しやすくなり、グラスライニングと金属基材の密着性が向上しやすくなる。研磨材としては、限定的ではないが、ガラスとの過剰な反応防止の理由から、アルミナ粉、鉄グリッド粉、鉄ショット粉等を好適に使用できる。本明細書において、研磨材の平均粒径はJIS Z 8801-1:2019に規定される試験用ふるいを用いたふるい分け試験により得られる、各ふるいの公称目開きに対する積算百分率(質量%)をプロットし、各点を直線でつないだ図において、積算百分率が50質量%となる目開きの値を以て、平均粒径とする。
(2.グラスライニング層)
グラスライニング層は、前記粗面化された金属基材の前記表面上に釉薬(以下、「グラスライニング用スラリー組成物」ともいう。)を焼き付けることにより形成可能である。グラスライニング層を形成するための施釉操作、焼成温度等の条件は特に限定されるものではなく、グラスライニングにおける慣用、公知の操作を使用することができる。但し、施釉操作は、厚みを制御しやすい理由から、スプレー施工することが好ましい。また、焼成温度は、金属基材の変形抑制の理由から、800~900℃が好ましい。グラスライニング層は一層又は複数層で構成することができる。
グラスライニング層としては、例えば、グランドコート層(グラスライニング層のうち、最内層)、カバーコート層(グラスライニング層のうち、最外層)、及び中間層(グランドコート層及びカバーコート層に挟まれた層)が挙げられる。
図1には、本発明の一実施形態に係るグラスライニング製品10の層構造例が模式的に示されている。グラスライニング製品10は、金属基材11の表面に、グランドコート層12、中間層13、及びカバーコート層14が順に積層された表面構造を有する。
一実施形態において、グラスライニング層の合計厚みは0.6~1.8mmである。この合計厚みが1.8mm以下、好ましくは1.4mm以下であることで、熱伝導性向上効果が得られる。この合計厚みが0.6mm以上、好ましくは0.8mm以上であることで、製品として安全な耐食性が得られる。
釉薬(グラスライニング用スラリー組成物)は用途に応じて公知のものを適宜選択することができ、特に制限はないが、以下に例示する。
<2-1 フリット>
本発明の一実施形態に係るグラスライニング用スラリー組成物はフリットを含有する。フリットの平均粒径は例えば1.5~20μmとすることができる。フリットの平均粒径の上限が20μm以下であることで、非常に薄い厚さでの施釉が可能となり、得られるグラスライニング層を著しく薄膜化することができ、また、フリット粒子間の隙間が小さくなるのでグラスライニング層中の内在気泡径を小さくすることができる。フリットの平均粒径は好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。また、フリットの平均粒径の下限が1.5μm以上であることで、粒子の凝集が起りにくくなり薄膜化したときの膜厚の均一性を高めることができるという利点が得られる。フリットの平均粒径は好ましくは3μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。本明細書において、フリットの平均粒径はレーザー回折法により体積基準の累積粒度分布を測定したときの、メジアン径(D50)を指す。
上述のような粉体特性を有するフリットは、所定の組成を有するガラス溶融物を急冷・粗粉砕した後、アルミナボールを使用するボールミルにて乾式粉砕し、更に、分級及び粉砕を適宜実施することで得ることができる。
フリットは一実施形態において、SiO2、TiO2、及びZrO2を合計で41~72質量%含有する。フリットは好ましい実施形態において、SiO2を41~72質量%、TiO2を0~16質量%、ZrO2を0~10質量%含有する。
また、フリットはNa2O、K2O、及びLi2Oの少なくとも一種を含有してもよい。フリットがNa2O、K2O、及びLi2Oの少なくとも一種を含有することにより、グラスライニング層と金属基材の熱膨張率を近づけることができ、両者の密着性を高めることができる。従って、グラスライニング用スラリー組成物を使用してグランドコート層(グラスライニング層のうち、最内層)を形成する場合には、フリットがNa2O、K2O、及びLi2Oの少なくとも一種を含有することが好ましい。フリットは一実施形態において、Na2O、K2O、及びLi2Oを合計で8~22質量%含有する。フリットは好ましい実施形態において、Na2Oを8~22質量%、K2Oを0~16質量%、Li2Oを0~10質量%含有する。一方、グラスライニング用スラリー組成物を使用してカバーコート層(グラスライニング層のうち、最外層)を形成する場合には、グラスライニング用スラリー組成物がNa2Oを含有しないことでナトリウム成分の溶出を抑制可能である。ナトリウム成分の溶出を抑制することは、半導体やTFT型パネルのようにナトリウムを嫌う製品の製造工程に使用される薬液の製造を、グラスライニング製品を用いて実施するような場合に有利である。
また、フリットはCaO、BaO、ZnO及びMgOの少なくとも一種を含有してもよい。フリットがCaO、BaO、ZnO及びMgOの少なくとも一種を含有することにより、フリットの耐アルカリ性能向上の利点が得られる。フリットは一実施形態において、CaO、BaO、ZnO及びMgOを合計で1~7質量%含有する。また、フリットは好ましい実施形態において、CaOを1~7質量%、BaOを0~6質量%、ZnOを0~6質量%、MgOを0~5質量%含有する。
また、フリットはB23及びAl23の少なくとも一種を含有してもよい。フリットがB23及びAl23の少なくとも一種を含有することにより、フリットの溶融性向上や失透防止の利点が得られる。フリットは一実施形態において、B23及びAl23を合計で1~18質量%含有する。また、フリットは好ましい実施形態において、B23を1~18質量%、Al23を0~6質量%含有する。
また、フリットはCoO、NiO、MnO2、及びCeO2の少なくとも一種を含有してもよい。フリットがCoO、NiO、MnO2、及びCeO2の少なくとも一種を含有することにより、グラスライニング層と金属基材の密着性向上、フリットの発色性向上の利点が得られる。一実施形態において、フリットは、CoO、NiO、MnO2、及びCeO2を合計で0~6質量%含有する。また、好ましい実施形態において、フリットはCoOを0~6質量%、NiOを0~5質量%、MnO2を0~5質量%、CeO2を0~5質量%含有する。
フリットは、上記以外の成分として、Sb23、Cr23、Fe23、SnO2等の酸化物を適宜含有することができる。
特に、視認性という観点からは、フリットには、CoO、Sb23、Cr23、Fe23、SnO2及びCeO2からなる群から選択される一種又は二種以上の着色成分をフリット100質量%に対してFe23換算量で3質量%までの量で配合することができる。着色成分としては視認性の観点から青色成分であるCoOが好ましい。これにより、グラスライニング層の腐食状態等の表面状態が認識しやすくなるという利点が得られる。ここで、着色成分の配合量がFe23換算量で3質量%を超えると、耐酸性が低下し、また、焼成時に発泡現象が起こりやすくなる。なお、特許第5156277号公報の全文を本明細書に参照により組み込む。
フリットの溶融を促進するために、上記SiO2、Al23及びCaO成分のうちの5モル%までをフッ化物の形態で使用することもできる。なお、フッ化物としては、例えばK2SiF6、K3AlF6、CaF2等を用いることができる。
<2-2 金属繊維>
本発明の一実施形態に係るグラスライニング用スラリー組成物は金属繊維を含有する。グラスライニング用スラリー組成物が金属繊維を含有することで、グラスライニング層の電気抵抗が低下し、グラスライニング製品の静電気帯電を抑制することが可能となり、
熱伝導性を向上させることが可能となる。
金属繊維としては、限定的ではないが、ステンレス系金属繊維、貴金属系金属繊維、及び白金と白金族金属との合金繊維からなる群から選択される一種又は二種以上を含むことが好ましい。貴金属系金属繊維としては、例えばAg繊維(体積抵抗率:1.6×10-8Ωm)、Au繊維(体積抵抗率:2.4×10-8Ωm)、Pt繊維(体積抵抗率:10.6×10-8Ωm)等を使用することができる。白金と白金族金属との合金繊維としては、例えばPtと、Pd、Ir、Rh、Os及びRuよりなる群から選択される一種又は二種以上との合金を使用することができる。
金属繊維のフリットへの添加量は、フリット100質量部に対して0.01~5質量部とすることが好ましい。金属繊維の添加量がフリット100質量部に対して0.01質量部以上であることで、導電性を有意に向上させることができる。金属繊維の添加量はフリット100質量部に対して0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることが更により好ましい。また、金属繊維の添加量がフリット100質量部に対して5質量部以下であることで、スプレー施工性が向上する。金属繊維の添加量はフリット100質量部に対して2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更により好ましい。
金属繊維の直径は0.1~2μmであることが好ましく、0.3~1μmであることがより好ましい。金属繊維の直径が0.1μm以上であることで、金属繊維を低コストで加工可能である。また、金属繊維の直径が2μm以下であることで、スプレー施工性が向上する。本明細書において、金属繊維の直径は、金属繊維の延びる方向に直交する断面の面積に等しい円の直径を指す。
金属繊維の長さは50~1000μmであることが好ましく、100~800μmであることがより好ましい。金属繊維の長さが50μm以上であることで、金属繊維を添加したことによる効果が有意に発揮されやすくなる。また、該長さが1000μm以下であることで、スプレー施工性が向上する。
また、金属繊維の長さ/直径の平均アスペクト比は50以上であることが好ましい。金属繊維の長さ/直径の平均アスペクト比が50以上であると、金属繊維を多量に配合しなくてもグラスライニング層の電気抵抗を低下させることができるようになる。
<2-3 増粘剤>
本発明の一実施形態に係るグラスライニング用スラリー組成物は増粘剤を含有する。増粘剤は、グラスライニング用スラリー組成物中で金属繊維が沈降して下方に偏在するのを防止することができる。これにより、グラスライニング層の導電性向上効果及び熱伝導性向上効果を得ることができる。増粘剤はフリット100質量部に対して35~65質量部添加することが好ましく、40~60質量部添加することがより好ましく、45~55質量部添加することが更により好ましい。増粘剤の添加量がフリット100質量部に対して45質量部以上であることで、金属繊維の沈降防止効果を高めることができる。また、増粘剤の添加量がフリット100質量部に対して65質量部以下であることで、スプレー施工性向上の効果を得ることができる。
増粘剤としては、限定的ではないが、セルロース誘導体を好適に使用することができる。セルロース誘導体としては、CMC(カルボキシメチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)等が挙げられる。これらの中でも、焼成時の気泡発生の抑制の理由により、CMC(カルボキシメチルセルロース)が好ましい。増粘剤は一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
<2-4 分散剤>
本発明の一実施形態に係るグラスライニング用スラリー組成物は分散剤を含有する。分散剤は、増粘剤による金属繊維の均一分散性を向上することができ、これにより、導電性向上効果及び熱伝導性向上効果を高めることができる。また、溶媒としてアルコールを使用しなくてもスプレー施工に適したグラスライニング用スラリー組成物を得ることができるという効果も得られる。
分散剤はフリット100質量部に対して0.01~0.2質量部添加することが好ましく、0.02~0.1質量部添加することがより好ましく、0.03~0.08質量部添加することが更により好ましい。分散剤の添加量がフリット100質量部に対して0.01質量部以上であることで、金属繊維の分散性を高めることができる。また、分散剤の添加量がフリット100質量部に対して0.2質量部以下であることで、臭気抑制の効果を得ることができる。
分散剤としては、限定的ではないが、焼成時の気泡発生抑制の理由により、ポリカルボン酸系分散剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤を好適に使用することができる。ポリカルボン酸系分散剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム塩を好適に使用可能である。分散剤は一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
<2-5 その他の成分>
グラスライニング用スラリー組成物は更に、珪石、アルミナ及び窒化アルミニウムからなる群から選択される一種又は二種以上の無機質耐火性粉体を含有してもよい。これにより、グラスライニング用スラリー組成物を施釉する際の焼成温度を上昇(調節)することができ、また、グランドコート層を更に薄膜化することができると共に、耐火性及び熱伝導性を更に向上させることができる。無機質耐火性粉体の含有量は、フリット100質量部に対し20~120質量部とすることができ、好ましくは40~100質量部とすることができる。無機質耐火性粉体の含有量がフリット100質量部に対し20質量部以上であることで、その含有効果が有意に発揮される。また、無機質耐火性粉体の含有量がフリット100質量部に対し120質量部以下であることで、焼成不良を起こしにくくなる。
その他、グラスライニングに慣用の添加剤(例えば粘土、塩化バリウム、亜硝酸ナトリウム等)、及び所定量の溶媒を添加することができる。粘土は、限定的ではないが、フリット100質量部に対して3~8質量部、好ましくは5~7質量部添加することができる。塩化バリウムは、限定的ではないが、フリット100質量部に対して0.05~0.3質量%、好ましくは0.1~0.2質量%添加することができる。亜硝酸ナトリウムは、限定的ではないが、フリット100質量部に対して0.1~0.6質量部、好ましくは0.2~0.5質量部添加することができる。使用される溶媒としては、限定的ではないが、水及びアルコール等の水溶性溶媒が挙げられ、臭気がなく作業環境が改善するという理由により水が好ましい。アルコールとしては、例えば、エタノールが挙げられる。溶媒は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。溶媒は、限定的ではないが、フリット100質量部に対して0~40質量部、好ましくは5~30質量部添加することができる。グラスライニング用スラリー組成物中のアルコール濃度は好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更により好ましくは0質量%である。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
<1.フリットの作製>
表1に記載する組成の原料配合物を1260℃で4時間加熱することにより溶融し、次いで、急冷することにより粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を慣用のアルミナボールを用いたボールミルにて乾式粉砕し、得られた粉砕物を分級することにより、表1に記載の平均粒径をもつ各種のフリットを得た。平均粒径は、(株)セイシン企業製のレーザー回折粒度分布装置(型式:LMS-30)により測定される体積基準の累積粒度分布に基づいて求めた。
<2.グラスライニング用スラリー組成物の調製>
水30質量部、白金繊維(長さ100μm、直径1μm)0.3質量部、CMC1.5質量%水溶液50質量部(固形分換算)、及びポリカルボン酸アンモニウム塩0.05質量部を混合機に投入し、10分間撹拌した。その後、上記で作製した第一釉薬用フリット100質量部、珪石50質量部を混合機に投入し、更に20分間撹拌して、スラリー状の第一釉薬を得た。
水30質量部、白金繊維0.3質量部、CMC1.5質量%水溶液50質量部(固形分換算)、及びポリカルボン酸アンモニウム塩0.05質量部を混合機に投入し、10分間撹拌した。その後、上記で作製した第二釉薬用フリット100質量部を混合機に投入し、更に20分間撹拌して、スラリー状の第二釉薬を得た。
水30質量部、白金繊維0.3質量部、CMC1.5質量%水溶液50質量部(固形分換算)、及びポリカルボン酸アンモニウム塩0.05質量部を混合機に投入し、10分間撹拌した。その後、上記で作製した第三釉薬用フリット100質量部を混合機に投入し、更に20分間撹拌して、スラリー状の第三釉薬を得た。
<3.機械衝撃性試験>
1辺が100mmの正方形状で厚みが5mmの低炭素鋼板の一方の主表面に対して、サンドブラスト処理を行った。この際、サンドブラスト処理するときの研磨材(ブラウンアルミナ)の平均粒径を変化させることで種々の表面粗さをもつ実施例及び比較例のステンレス鋼板を得た。サンドブラスト処理後の各低炭素鋼板の表面粗さRa(JIS B 0601:1994)及びRz(JIS B 0601:1994)を接触式ポータブル粗さ計(MITECHINSTRUMENT製/MDT310)でJIS B 0633:2001に準拠して測定した。結果を表2に示す。
次いで、このようにして得られた種々の表面粗さを有する低炭素鋼板の表面に、第一釉薬をスプレー塗布により施釉して860℃で15分間焼成する工程を1回行うことにより、厚み200μmのグランドコート層を得た。次いで、第二釉薬をグランドコート層の上にスプレー塗布により施釉して800℃で15分間焼成する工程を3回実施することにより、厚み500μmの中間層を得た。次いで、第三釉薬を中間層の上にスプレー塗布により施釉して800℃で15分間焼成する工程を1~3回実施することにより、厚み300μmのカバーコート層を得た。
このようにして得られたグラスライニング層付き鋼板について、DIN-51155規格の機械衝撃性試験により、グラスライニング層と鋼板の機械衝撃性(剥離荷重)を測定し、及び気泡を伴うブロー欠陥の有無を目視で確認した。ブロー欠陥が確認された場合は、その程度を「少」及び「多」で分類わけした。「少」はブロー欠陥が1m2あたり5個未満であることを意味する。「多」はブロー欠陥が1m2あたり5個以上であることを意味する。結果を表2に示す。
10 グラスライニング製品
11 金属基材
12 グランドコート層
13 中間層
14 カバーコート層

Claims (6)

  1. JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRaが2~9μmの表面をもつ粗面化された金属基材を作製する工程と、
    前記粗面化された金属基材の前記表面上に釉薬を焼き付けることによりグラスライニング層を形成する工程と、
    を含み、
    前記釉薬が、フリットと、金属繊維と、増粘剤と、分散剤とを含む、グラスライニング製品の製造方法。
  2. 前記粗面化された金属基材の前記表面は、JIS B 0633:2001で測定される表面粗さRzが15~39μmである請求項1に記載のグラスライニング製品の製造方法。
  3. 前記粗面化された金属基材を作製する工程は、前記金属基材の表面をサンドブラスト処理することを含む請求項1又は2に記載のグラスライニング製品の製造方法。
  4. 前記サンドブラスト処理は、平均粒径が0.5mm以上2mm以下の研磨材を吹き付けることを含む請求項3に記載のグラスライニング製品の製造方法。
  5. 金属基材が低炭素鋼又はステンレス鋼である請求項1~4の何れか一項に記載のグラスライニング製品の製造方法。
  6. 研磨材はアルミナ粉を含む請求項1~5の何れか一項に記載のグラスライニング製品の製造方法。
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