JP2024051900A - ガラス板用合紙、ガラス板積層体及びガラス板梱包体 - Google Patents

ガラス板用合紙、ガラス板積層体及びガラス板梱包体 Download PDF

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Abstract

【課題】古紙を含有しながらもガラス板の傷や汚染を抑制でき、またガラス板積層体の開梱時の不具合を抑制でき、かつ使用時のハンドリング性が良好なガラス板用合紙を提供すること。【解決手段】本発明は、バージンパルプと、再生パルプと、を含むガラス板用合紙であって、前記再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプであり、前記再生パルプを10質量%以上90質量%以下含み、脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下である、ガラス板用合紙に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス板用合紙、ガラス板積層体及びガラス板梱包体に関する。
液晶ディスプレイに使用される無アルカリガラス板のように、その表面に電気回路等を組み込むガラス板は、その表面にわずかな傷や汚染があっても断線やパターニング不良が発生する場合がある。よって、このようなガラス板には、きわめて高い表面特性が要求される。そこで、ガラス板の保管中や搬送中の傷や汚染を防止する方法として、積層されるガラス板同士の間にガラス板用合紙(以下、単に「合紙」ともいう。)を挟み込み、隣接するガラス板表面を分離する方法が従来から採られている。
ガラス板間にガラス板用合紙を介在させた形態をガラス板積層体という。ガラス板積層体は、例えばガラス板積層体の側面からはみ出す合紙を側面から押圧する合紙押さえ部材(横押さえ部材)を備えるパレットに収納される。ガラス板積層体をパレットに収納した形態をガラス板梱包体という。
ガラス板梱包体からガラス板を取り出す場合、一般的にはガラス板積層体の側面からはみ出す合紙をガラス板積層体の側面に押圧することで、ガラス板と共に合紙が取り出されることが防止される。合紙をガラス板積層体の側面に押圧するために、ガラス板用合紙の端部は予めガラス板のガラス板用合紙に接する主面がなす平面より下方(ガラス板が取り出される方向と反対側)に折り曲げることが通常行われる。
このような、ガラス板用合紙に使用される原料パルプは、一般的にはバージンパルプが使用されるが、環境への配慮やコストを抑える観点から古紙パルプが使用されることもある。例えば特許文献1には、ガラス板用合紙に用いられる原料パルプは、古紙パルプであっても、バージンパルプであっても、古紙パルプとバージンパルプとの混合物であってもよいことが記載されている。
特開2021-63317号公報
しかしながら、古紙パルプを原料として含む場合、古紙パルプの種類によってはガラス板用合紙として用いた場合に、ガラス板が汚染されるといった問題が生じる場合がある。また、合紙の腰が強過ぎると、合紙が折り曲げられた際に時間の経過とともに元の状態に戻りやすく(折れ戻り)、ガラス板梱包体からガラス板を取り出す際に合紙をガラス板積層体の側面に押圧できず、合紙も一緒に取り出されてしまうといった不具合が生じる場合がある。さらに、合紙の腰が弱過ぎる場合には、使用時のハンドリング性が悪くなるといった問題が生じる場合がある。
本発明は上記に鑑み、古紙パルプを原料として含むガラス板用合紙であって、古紙を含有しながらもガラス板の傷や汚染を抑制でき、またガラス板積層体の開梱時の不具合を抑制でき、かつ使用時のハンドリング性に優れるガラス板用合紙の提供を目的とする。本発明は、複数枚のガラス板の相互間に上記ガラス板用合紙を有するガラス板積層体、及び上記ガラス板積層体を有するガラス板梱包体の提供を目的とする。
本発明者らは、ガラス板用合紙の古紙に由来する再生パルプを原料パルプとして含み、かつその含有量が特定の範囲に調整されたガラス板用合紙によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の1~8に関する。
1.バージンパルプと、再生パルプと、を含むガラス板用合紙であって、
前記再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプであり、
前記再生パルプを10質量%以上90質量%以下含み、
脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下である、ガラス板用合紙。
2.前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度が40cm/100未満である、前記1に記載のガラス板用合紙。
3.前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの繊維幅分布において、繊維幅の中央値をMeとした際に、繊維幅が(Me-0.5Me)以上、(Me+0.5Me)以下である繊維の割合が70%以上である、前記1または2に記載のガラス板用合紙。
4.前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの長さ加重平均繊維長分布を以下の(A)~(F)の階級に区分し、それぞれの前記階級に属する繊維の割合(%)を(a)~(f)と表した際に、(b)+(c)、(c)+(d)及び(d)+(e)のいずれか1つ以上が50%以上である、前記1または2に記載のガラス板用合紙。
(A)0mm超0.2mm未満
(B)0.2mm以上0.6mm未満
(C)0.6mm以上1.2mm未満
(D)1.2mm以上2.0mm未満
(E)2.0mm以上3.2mm未満
(F)3.2mm以上7.6mm以下
5.前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度を、前記抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度で除した縦横比が1.80以上2.40以下である、前記1または2に記載のガラス板用合紙。
6.前記ガラス板用合紙は、蛍光X線分析により測定されるマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素の濃度が下記(1)~(5)の条件を全て満たす、前記1または2に記載のガラス板用合紙。
(1)マグネシウム 200ppm以下
(2)ケイ素 300ppm以下
(3)チタン 0.10ppm以下
(4)鉄 0.50ppm以下
(5)クロム 1.0ppm以下
7.ガラス板が複数枚積層されたガラス板積層体であって、
前記ガラス板の相互間に前記1または2に記載のガラス板用合紙を有するガラス板積層体。
8.前記7に記載のガラス板積層体と、前記ガラス板積層体を載置するパレットとを有するガラス板梱包体。
本発明によれば、古紙を含有しながらもガラス板の傷や汚染を抑制でき、またガラス板積層体の開梱時の不具合を抑制でき、かつ使用時のハンドリング性が良好なガラス板用合紙、当該ガラス板用合紙を有するガラス板積層体、及び当該ガラス板積層体を有するガラス板梱包体を提供できる。
図1は、本発明の実施形態のガラス板用合紙を用いたガラス板積層体の一例の概略構成を示す断面図である。 図2は、ガラス板梱包体の一例の概略構成を示す側面図である。 図3は、ガラス板梱包体の別の一例の概略構成を示す側面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
(ガラス板用合紙)
本実施形態に係るガラス板用合紙は、バージンパルプと、再生パルプと、を含むガラス板用合紙であって、前記再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプであり、前記ガラス板用合紙は前記再生パルプを10質量%以上90質量%以下含み、脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下である。
ガラス板用合紙は、ガラス板間に介在させて用いられる。図1は、本実施形態に係るガラス板用合紙を有するガラス板積層体の一例を示す図である。図1に例示されるガラス板積層体10において、ガラス板用合紙1が複数のガラス板2の間に介在されている。
上述の通り、その表面に電気回路等を組み込むガラス板は、その表面にわずかな傷や汚染があっても断線やパターニング不良が発生する場合があるため、このようなガラス板にはきわめて高い表面特性が要求される。これに伴って、これらのガラス板の間に介在させるガラス板用合紙にも、ガラス板の表面のわずかな傷や汚染を生じさせないよう優れた品質(清浄度)が求められる。優れた品質のガラス板用合紙を得る方法の一つに、ガラス板用合紙におけるバージンパルプの含有率をより高めることが考えられる。したがって、一般的にはガラス板用合紙の原料にはバージンパルプが使用される。一方で、環境への配慮やコストを抑える観点からは、ガラス板用合紙の原料に古紙パルプを用いることも考えられる。しかしながら、例えば古紙パルプとして一般的な脱墨パルプ(Deinked Pulp、DIP)は印刷物のインク、新聞紙を止めるステープラの金属針、本の背表紙の背糊、トラック輸送時の砂、金属紛、及びベルトコンベヤ輸送時のゴムといった種々の異物や粘着物を含み得るものである。このような異物や粘着物は製紙工程において丸孔タイプやスリットタイプのスクリーンフィルターで捉えられるものの、フィルター径に比べて異物サイズが小さいことから、全てを除去しきることができないため、ガラス板用合紙表面に残留することとなる。このような合紙とガラス板を積載した場合、ガラス板表面に配線等を形成した際に断線を生じさせやすいため、このような異物はガラス板用合紙に微量含まれることも問題となり得る。
また、合紙の取り扱い性に着目すると、合紙の腰が強過ぎる場合、合紙の折れ戻りが発生しやすく、ガラス板梱包体からガラス板を取り出す際に合紙をガラス板積層体の側面に押圧できず、合紙も一緒に取り出されてしまうといった不具合が生じる場合がある。一方で、合紙の腰が弱過ぎる場合には、使用時のハンドリング性が悪くなるといった問題が生じる場合がある。
これに対し本発明者らは、本実施形態に係るガラス板用合紙によれば、古紙由来のパルプを含有しながらもガラス板の傷や汚染を抑制でき、さらにはガラス板積層体の開梱時の不具合を抑制でき、かつ使用時のハンドリング性が良好なガラス板用合紙が得られることを見出した。
この理由は次のように考えられる。まず、ガラス板用合紙は上述の通り優れた品質が求められるので、その古紙も異物等が少なく同様に品質が優れたものとなりやすい。これにより、バージンパルプと、ガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプとを含むガラス板用合紙は、古紙から回収された再生パルプを含みながらも優れた品質のガラス板用合紙となる。
また、脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下であることで、合紙において品質低下の原因となり得る異物の混入が抑制され、合紙の品質がより担保される。そして、ガラス板用合紙古紙の再離解・叩解処理が進む過程で、繊維のカッティングやフィブリル化を進めることができる。例えば、カッティングが進んだ繊維を含む合紙は引張強度が比較的低くなる傾向があり、フィブリル化が進んだ繊維を含む合紙は引張強度が比較的高くなる傾向がある。このように、ガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプを用いて適宜条件を調整して合紙を製造すると、繊維長やフィブリル化度が適切に調整されることとなるため、当該再生パルプを含み、かつその含有量が適切に調整されている本実施形態に係るガラス板用合紙では、適切な折れ戻り性と優れたハンドリング性が両立されると考えられる。
なお、再生パルプを用いずに適切な折れ戻り性と優れたハンドリング性が両立されたガラス板用合紙を得ようとする場合、合紙に切り欠きを設ける等の特殊な処理を行ったり、原料パルプの一部において極端に叩解処理を強めたり、パルプに応じて詳細な条件調整を行う必要があり、生産性の点で劣る。一方で、本実施形態に係るガラス板用合紙によれば、これらの処理を経なくとも適切な折れ戻り性と優れたハンドリング性が両立される。ただし、必要に応じ、本実施形態に係るガラス板用合紙に対し、又はその製造過程においてこれらの処理が行われることを何ら妨げるものではない。
本実施形態に係るガラス板用合紙は、バージンパルプと、再生パルプと、を含む。
(バージンパルプ)
本明細書において、バージンパルプとは抄紙された紙や古紙を原料としたパルプではなく、木材等から製造されたパルプのことをいう。
バージンパルプにおける具体的なパルプの種類は特に限定されず、ガラス板用合紙として求められる特性に応じて適宜選択できる。バージンパルプとしては、1種類のパルプを単独で用いてもよく、複数種のパルプを併用してもよい。パルプの種類として、例えばクラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプや、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ、およびその中間的な機械的・化学的パルプとしてのケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の半化学パルプ等が挙げられる。パルプは晒でも未晒であってもよく、例えばKPのうち、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)が利用できる。
ガラス板用合紙には高い清浄性が要求されることから、原料パルプとしては漂白処理が施され、リグニン等に由来する樹脂分等の成分が洗浄されることでその量が低減された晒クラフトパルプ(LBKPおよびNBKP)が特に好ましい。また、一般に広葉樹の方が針葉樹よりも繊維長が短いものが多く、紙を生産した際に針葉樹の方が剛度が高くなりやすい。したがって、本発明の効果をより効果的に得る観点からは、針葉樹パルプが特に好適である。
ガラス板用合紙におけるバージンパルプの含有量は、ハンドリング性を高める観点から10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方で、折れ戻り性を好適なものとする観点から、バージンパルプの含有量は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。バージンパルプの含有量は10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%がさらに好ましい。
(再生パルプ)
本明細書において再生パルプとは、古紙から回収されたパルプのことをいう。本実施形態において、再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプである。本明細書において、「ガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプ」を単に「再生パルプ」という場合がある。ガラス板用合紙がガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプを含むことで、古紙から回収されたパルプを含みながらも優れた品質のガラス板用合紙が得られる。
本明細書においてガラス板用合紙古紙とは、ガラス板用合紙として使用した古紙、すなわちガラス板の間に介装させた後のガラス板用合紙、並びにガラス板用合紙の製紙工程中の損紙及びガラス積載工程等において使用されなかったガラス板用合紙の損紙等のことをいう。ガラス板用合紙古紙は、これらを複数種組み合わせたものであってもよい。
再生パルプにおける具体的なパルプの種類は、バージンパルプの場合と同様、ガラス板用合紙として求められる特性に応じて適宜選択でき、好ましいものも同様であるる。再生パルプとしては、1種類のパルプを単独で用いてもよく、複数種のパルプを併用してもよい。
再生パルプにおけるパルプの種類と、バージンパルプにおけるパルプの種類とは互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。紙質や抄紙条件の安定性を向上する観点からは、合紙に含まれる繊維長や繊維幅が比較的近い繊維の割合が大きいことが好ましい。そのため、例えば、バージンパルプ及び再生パルプのパルプの種類を同じにすることも好ましく、両者をいずれも広葉樹パルプとすることや、両者をいずれも針葉樹パルプとすることも好ましい。
ガラス板用合紙における再生パルプの含有量は、合紙の折れ戻り性を好適なものとする観点から10質量%以上であり、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、環境配慮や生産性を向上する観点からも、再生パルプの含有量は大きいことが好ましい。古紙由来の再生パルプとして一般的に用いられる脱墨パルプ(DIP)を合紙に含有させる場合、生産性(コスト抑制)と品質(清浄性)はトレードオフの関係にあり、品質と生産性とを両立したガラス板用合紙を得ることは難しい。一方で、本実施形態においてはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプを用いることで、優れた品質を保ちつつ、かつ再生パルプの含有量が比較的多い合紙を得られる。合紙のハンドリング性を向上する観点からは、再生パルプの含有量は90質量%以下であり、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましい。再生パルプの含有量は10~90質量%であり、20~85質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、40~75質量%がさらに好ましい。
上述の通り、針葉樹パルプと比較した場合、広葉樹パルプを用いた合紙はより剛度が低くなりやすい傾向がある。したがって、用いる広葉樹パルプの叩解量が大きすぎる場合や、広葉樹パルプからなる再生パルプの配合量が多すぎる場合、合紙の剛度が低くなりすぎて合紙シートの搬送中やハンドリング中に紙が垂れて搬送を阻害するおそれがある。かかる点を考慮すると、合紙が広葉樹からなる再生パルプを含む場合、広葉樹からなる再生パルプの含有量は10質量%~70質量%がより好ましく、20質量%~60質量%がさらに好ましく、30質量%~50質量%が特に好ましい。
これに対し、針葉樹パルプは比較的繊維長が長く、これを用いた合紙は剛度が高くなりやすい傾向があると言える。かかる点を考慮すると、合紙が針葉樹からなる再生パルプを含む場合、針葉樹からなる再生パルプの含有量は20質量%~90質量%がより好ましく、30質量%~80質量%がさらに好ましく、40質量%~70質量%が特に好ましい。
(脱墨パルプ)
ガラス板用合紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量は0.1質量%以下である。本明細書において脱墨パルプ(DIP)とは、古紙を原料として除塵・脱墨処理を行い、インキを分離したパルプのことをいい、より具体的には新聞、雑誌、チラシ等の古紙に由来する再生パルプのことをいう。脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下であることにより、合紙において品質低下の原因となり得る異物量を抑制でき、合紙の品質が担保される。脱墨パルプ(DIP)の含有量は0.05質量%以下が好ましく、0.02質量%以下がより好ましい。脱墨パルプ(DIP)の含有量は少ない程好ましく、0質量%であってもよい。脱墨パルプ(DIP)の含有量は、0~0.1質量%が好ましく、0~0.05質量%がより好ましく、0~0.02質量%がさらに好ましい。
ガラス板用合紙における脱墨パルプ(DIP)の含有量は例えばISO白色度や残留インク量の評価、夾雑物量の評価により測定できる。
本実施形態に係るガラス板用合紙はバージンパルプとガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプとからなるガラス板用合紙であってもよい。例えば、JIS P 8148:2018により測定されるISO白色度が90%以上であって、JIS P 8208:1998により測定される夾雑物量が1mm/kg以下である場合、ガラス板用合紙はバージンパルプとガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプとからなると判断できる。
ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度は40cm/100未満であることが好ましい。
ガラス板用合紙が介在されたガラス板は、例えば梱包パレットに積層された状態でガラス製造工場からガラス板の加工及び組立等を行うガラス板使用工場に搬送され、ガラス板使用工場で梱包パレットから取出装置によって1枚ずつ取り出される。この際、取出装置のガラス吸着部によってガラス板を吸着するとともに、ガラス板用合紙の端部を押さえることでガラス板のみを取り出し、次にガラス板用合紙を合紙吸着部によって取り出すという動作を繰り返し行う。したがって、ガラス板用合紙の端部は予めガラス板のガラス板用合紙に接する主面がなす平面より下方(ガラス板が取り出される方向と反対側)に折り曲げておく必要がある。
ところで、合紙の腰が強いほど、合紙は時間の経過とともに元の形状(平面の状態)に戻るという特性がある。合紙の腰が強すぎる場合、ガラス板を取り出す際に、最上位に位置した合紙の端部をガラス板積層体の側面に押さえ付けられず、最上位の合紙がガラス板とともに取り出される場合や、エアーを供給した際に合紙が飛んでしまう場合がある。クラーク剛度を上記範囲とすれば、腰が強すぎず、合紙を良好に取り出すことが容易となる。
すなわち、ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度は40cm/100未満であることが好ましく、39cm/100以下がより好ましく、38.5cm/100以下がさらに好ましい。抄紙方向に対するクラーク剛度は、合紙のハンドリング性を向上する観点からは30cm/100以上が好ましく、33cm/100以上がより好ましく、35cm/100以上がさらに好ましい。クラーク剛度は30cm/100以上40cm/100未満が好ましく、33~39cm/100がより好ましく、35~38.5cm/100がさらに好ましい。
一般的に、紙を生産する工程では紙の抄紙方向(流れ方向、MD:Machine Direction)にそって繊維が並びやすいことが知られている。これにより、紙には抄紙方向に沿った筋目が生じる。縦筋目が紙の抄紙方向であり、横筋目が抄紙方向に直交する方向である。
繊維が並んでいるために縦筋目に直交する向きに折り曲げる方が、縦筋目に沿って折り曲げるよりも難しく、同じ力で折り曲げた場合に、前者の方がより折戻りやすい。したがって、特に抄紙方向に対するクラーク剛度(縦筋目のクラーク剛度)がより重要となる。
本実施形態に係るガラス板用合紙は、再生パルプの含有量が適切に調整されていることで、クラーク剛度が適切なものとなりやすい。クラーク剛度は後述の実施例に記載の方法で測定できる。
抄紙方向に対するクラーク剛度(縦筋目のクラーク剛度)を、抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度(横筋目のクラーク剛度)で除した縦横比は1.80以上2.40以下であることが好ましい。
上述の通り、一般に抄紙方向(MD:Machine Direction)の剛度と直交方向(CD:Cross Machine Direction)の剛度は抄紙方向の剛度(抄紙方向に対するクラーク剛度)の方が大きい。また、ガラス板梱包体の開梱動作を行うためには合紙が折り曲げられた状態となるが、この場合、合紙の3辺以上を折り曲げる場合がある。その場合、CD方向は比較的曲げやすいのに対して、MD方向は曲げにくく、また折戻りやすい。上記縦横比(MD/CD)が小さいほど、両方向の剛度の差が小さくなり、いずれの方向も折り曲げやすく、折戻り難くなる。また、縦横比が小さいほど紙の寸法安定性が向上し、乾燥・湿潤時の寸法収縮・膨張が小さくなるため、ガラス板用合紙として好適である。かかる観点から、縦横比は2.40以下が好ましく、2.30以下がより好ましく、2.20以下がさらに好ましい。
一方で、合紙の繊維配向が等方的に近くなりすぎると、湿気などでカールが生じた際に、MD方向のみならず、CD方向のカールも考慮する必要が生じてしまう。これを抑制する観点から、縦横比は1.80以上が好ましく、1.90以上がより好ましく、2.00以上がさらに好ましい。縦横比は1.80~2.40が好ましく、1.90~2.30がより好ましく、2.00~2.20がさらに好ましい。
本実施形態に係るガラス板用合紙は、抄紙ワイヤーへ紙料を吐出する速度Jとワイヤーの速度WのJ/W比を操作して繊維配向性を適切に調整した合紙であることで、縦横比が好適なものとなりやすい。J/W比は、例えば0.90~1.10が好ましく、0.95~1.05がより好ましく、0.98~1.02がさらに好ましい。本実施形態に係るガラス板用合紙は、バージンパルプと比べて比較的短繊維化された繊維を一定量含んでいるため地合を均一にさせやすく、したがってガラス板用合紙古紙を使用し、かつJ/W比を1に近い値に調整することで、本願実施例の縦横比を好適範囲とすることが容易となりやすい。
ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの繊維幅分布において、繊維幅の中央値をMeとした際に、繊維幅が(Me-0.5Me)以上、(Me+0.5Me)以下である繊維の割合が70%以上であることが好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。かかる割合の上限は特に限定されず、100%であってもよい。すなわち、上記割合は70~100%が好ましく、75~100%がより好ましく、80~100%がさらに好ましい。
上記割合は、Me±Me×50%の範囲に存在する繊維の割合を意味する。そして、当該割合が70%以上であることは、合紙を構成するパルプの多くが繊維幅について同等の水準にあることを意味する。典型的には、上記割合が70%以上であれば、合紙を構成するパルプの大部分(例えば、80質量%以上)が針葉樹パルプか、広葉樹パルプのいずれか1種であるといえる。この場合、合紙は水準の揃ったパルプを多く含むこととなるため、抄紙条件や紙質が安定化する。
離解パルプの繊維幅分布は後述の実施例に記載の方法で測定できる。
ガラス板用合紙は、当該ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの長さ加重平均繊維長分布(以下、単に繊維長分布ともいう。)を以下の(A)~(F)の階級に区分し、それぞれの階級に属する繊維の割合(%)を(a)~(f)と表した際に、(b)+(c)、(c)+(d)及び(d)+(e)のいずれか1つ以上が50%以上であることが好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。なお、「それぞれの階級に属する繊維の割合(%)を(a)~(f)と表す」とは、階級(N)に属する繊維の割合(%)を(n)と表すことを意味する(N=A~F、n=Nに対応する小文字アルファベット)。
(A)0mm超0.2mm未満
(B)0.2mm以上0.6mm未満
(C)0.6mm以上1.2mm未満
(D)1.2mm以上2.0mm未満
(E)2.0mm以上3.2mm未満
(F)3.2mm以上7.6mm以下
上記要件を満たすことは、合紙を構成するパルプの多くが繊維長について同等の水準にあり、かつ繊維長が適切な範囲にあることを意味する。
典型的には、上記要件を満たす場合、合紙を構成するパルプの大部分(例えば、80質量%以上)が針葉樹パルプか、広葉樹パルプのいずれか1種であるといえる。この場合、合紙は水準の揃ったパルプを多く含むこととなるため、抄紙条件や紙質が安定化する。なお、ガラス板用合紙が水準の揃ったパルプを多く含むことは、繊維長分布が比較的少ない数(例えば、2、3個程度)の正規分布でフィッティングできる形状となることを必ずしも意図しない。本実施形態に係るガラス板用合紙の原料系は2種類以上となることから、繊維長分布が比較的なだらかな形状となったり、比較的多数の正規分布の重ね合わせでフィッティングされる形状となったりしてもよく、この場合も上記要件を満たせば水準の揃ったパルプを多く含むと判断できる。
離解パルプの長さ加重平均繊維長分布は後述の実施例に記載の方法で測定できる。
なお、一般的に広葉樹パルプは繊維幅の中央値Meが10~25μmにあり、かつ、繊維長分布の最大度数が上記(C)の範囲に存在する場合が多い。また、針葉樹パルプは繊維幅の中央値Meが20~35μmにあり、かつ、繊維長分布の最大度数が上記(E)の範囲に存在する場合が多い。
ガラス板用合紙は、蛍光X線分析により測定されるマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素の濃度が下記(1)~(5)の条件を全て満たすことが好ましい。
(1)マグネシウム 200ppm以下
(2)ケイ素 300ppm以下
(3)チタン 0.10ppm以下
(4)鉄 0.50ppm以下
(5)クロム 1.0ppm以下
上記(1)~(5)の条件を全て満たす場合、ガラス板用合紙の汚染や合紙中の異物に由来して含有され得る元素の濃度が比較的低く、ガラス板用合紙が清浄度に優れ、高い品質を有すると判断できる。本実施形態に係るガラス板用合紙は、ガラス板用合紙に由来する再生パルプを含むことで、古紙に由来する再生パルプを含有しながらも品質に優れたものとなる。
すなわち、ガラス板用合紙において、蛍光X線分析により測定されるマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素の濃度はそれぞれ以下の範囲が好ましい。
マグネシウムの濃度は0~200ppmが好ましい。すなわち、マグネシウムの濃度は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。
ケイ素の濃度は0~300ppmが好ましい。すなわち、ケイ素の濃度は300ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。
チタンの濃度は0~0.10ppmが好ましい。すなわち、チタンの濃度は0.10ppm以下が好ましく、0.05ppm以下がより好ましく、0.01ppm以下がさらに好ましい。
鉄の濃度は0~0.50ppmが好ましい。すなわち、鉄の濃度は0.50ppm以下が好ましく、0.25ppm以下がより好ましく、0.01ppm以下がさらに好ましい。
クロムの濃度は0~0.10ppmが好ましい。すなわち、クロムの濃度は0.10ppm以下が好ましく、0.05ppm以下がより好ましく、0.01ppm以下がさらに好ましい。
蛍光X線分析測定は、後述の実施例に記載の方法で行える。
ガラス板用合紙中に含まれるリグニン等に由来するセルロース以外の有機物の量を表す指標として、樹脂分がある。本実施形態のガラス板用合紙の樹脂分は、0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、0.05%以下が特に好ましい。樹脂分を抑制することで、ガラス板用合紙中の有機物(樹脂成分)がガラス板に付着して、ガラスの汚染を引き起こすことを抑制できる。
樹脂分は、ISO624-1974に準拠して測定できる。
木材パルプ中には、例えば洗浄工程における消泡剤等に由来してシリコーンが含有される場合がある。ガラス板用合紙にシリコーンが含まれると、ガラス板に転写して汚染の原因となる場合がある。したがって、ガラス板用合紙のシリコーン量は0.5ppm未満が好ましく、0.25ppm以下がより好ましく、0.1ppm以下がさらに好ましい。シリコーン量が上記範囲であることで、シリコーンによるガラス板の汚染を抑制できる。シリコーン量は、例えば次の方法で測定できる。
1gの合紙を20mm×20mm以下に裁断し、ヘキサンを用いて4時間ソックスレー抽出を行った後、エバポレーターを用いて抽出物の溶媒を減量させ、これを重水素化クロロホルム約1mLに溶解させて、H-NMR測定を行う。NMR測定には例えばBruker社のAVANCEIII600を用いる。定量ではポリジメチルシロキサンの重水素化クロロホルム溶液を標準品として用いて検量線を作成し、外部標準法で定量する。
ガラス板用合紙の坪量は30~100g/mが好ましい。本実施形態のガラス板用合紙の坪量が小さいと、強度が低下して破れやすくなる恐れがある。したがって、本実施形態のガラス板用合紙の坪量は30g/m以上が好ましく、35g/m以上がより好ましく、40g/m以上がさらに好ましく、45g/m以上が特に好ましい。
一方、坪量が大きいと、重量の増加を招き、また、ガラス板用合紙とガラス板とを積層して積層体とした際の積層高さが大きくなるため、所定の高さの容器に格納できる枚数が少なくなる。したがって、本実施形態のガラス板用合紙の坪量は100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、80g/m以下がさらに好ましく、70g/m以下が特に好ましい。
坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定できる。
また、上記と同様の観点より、本実施形態のガラス板用合紙の厚さは30~150μmが好ましい。
本実施形態のガラス板用合紙とともに積層されるガラス板は通常矩形状なので、本実施形態のガラス板用合紙も矩形状であることが好ましい。また、大型のガラス板の積層にも使用できるように、本実施形態のガラス板用合紙は、矩形状の少なくとも一辺の長さが500mm以上であることが好ましく、1000mm以上であることがより好ましく、1500mm以上であることがさらに好ましく、2200mm以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば4000mm以下である。
例えばガラス板が矩形状であり、大きさが2200mm×2500mmである場合は、ガラス板用合紙は2280mm×2580mm程度の矩形状が好ましい。ガラス板が矩形である場合、ガラス板用合紙の各辺の長さは、それぞれ対応するガラス板の辺の長さの1.02~1.05倍程度であることが好ましい。
本実施形態のガラス板用合紙には、本発明の効果を奏する範囲において各種薬剤が内添又は外添(塗工、含浸等)されていてもよい。ガラス板用合紙に内添又は外添される薬剤としては、例えば硫酸アルミニウムや消泡剤、定着剤、紙力増強剤、歩留向上剤、凝結剤、界面活性剤、サイズ剤、帯電防止剤、スライムコントロール剤、ドライヤー剥離剤、ポリビニルアルコールやポリクリルアミド、でんぷん、CMC等のセルロース誘導体、填料(タルク、クレー、二酸化チタン、炭酸カルシウム等)等が挙げられる。
(ガラス板用合紙の製造方法)
以下に、本実施形態のガラス板用合紙の製造方法の例として、原料となるパルプを準備する準備工程、パルプからパルプスラリーを製造する調成工程、パルプスラリーからガラス板用合紙を抄紙する抄紙工程とを有する製造方法を説明する。なお、本実施形態のガラス板用合紙の製造方法は以下に説明する例に限定されない。
準備工程は、ガラス板用合紙の原料パルプを準備する工程である。
原料パルプは、バージンパルプと、ガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプとを少なくとも含む。バージンパルプ及び再生パルプの具体的な種類等は上述した通りである。
バージンパルプの準備は公知の方法で行えばよいが、パルプの洗浄・精選が不十分である場合や、洗浄時に使用する水の水質が低い場合、異物が混入したり、異物の除去が不十分となったりしてしまうことも考えられる。また、後述する抄紙工程等において適切な管理が行われない場合、環境中粉塵、設備、抄紙用具等から異物が混入してしまうことも考えられる。したがって、使用するパルプの品質管理や、各工程での品質管理は適切に行われることが好ましい。
ガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプの準備について説明する。例えば、ガラス板用合紙古紙となるガラス板用合紙の原料パルプが全てバージンパルプである場合、まず、バージンパルプを離解・叩解し、これを抄紙することでガラス板用合紙が製造される。製造されたガラス板用合紙は、ガラス板の出荷時などに、例えばガラス板積層体において複数のガラス板間に介在されて使用される。使用後に回収されたガラス板用合紙がガラス板用合紙古紙として得られる。なお、ガラス板用合紙古紙は、先述の通りガラス板用合紙の製紙工程中の損紙や、ガラス積載工程等において使用されなかったガラス板用合紙の損紙であってもよい。この場合は、これらの損紙を回収したものがガラス板用合紙古紙として得られる。
ガラス板用合紙古紙を回収する具体的な方法は特に限定されないが、各種工程中に乱雑に廃棄された合紙を用いると、床や空気中の粉塵、ガラスのカレット片などが混入するおそれがある。したがって、ガラス板用合紙はその回収時に清浄な吸着パッドや把持クランプを有し、オイルフリーポンプなどの合紙を汚染する可能性が低い部材を使用した合紙掴み取り装置で回収すると共に、合紙回収用の専用の容器に合紙のみを整然とそろえて回収されることが望ましい。
さらに合紙回収容器は密閉性が高いものが望ましい。輸送中にコンテナや路上の粉塵を混入して品質を悪化させたり、高温多湿な海上で湿気を多く含んだ結果、再利用する際に著しくハンドリング性が悪く、再利用が困難となることを防ぐためである。
また、クラス10000よりもクリーンな環境で回収された合紙を使用することがより好ましい。
ガラス板用合紙古紙は、回収されたものをそのままガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプに使用してもよいし、漂白、洗浄、除塵等の各種処理を行った上でガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプとして使用してもよい。除塵としては例えばフローテーション法により有機物を除去することや、スクリーン、サイクロン式フィルター等を用い、サイズや重量によって有機・無機物を除去することが挙げられる。これらを複数組み合わせても良いし、多段としてもよく、段数が多いほど除去性能は向上する。漂白、洗浄、除塵等の処理を行うことで、元々比較的品質が高いガラス板用合紙であったものをさらに高品質の原料とでき、バージンパルプ100%を使用して合紙を製造する場合よりも異物量が少なくなる場合があり、好適である。
上述の通り、新聞古紙などの脱墨パルプを用いて合紙を製造すると品質が著しく悪化する。一方でガラス板用合紙古紙に由来し、望ましくは上述した手法のようにして回収・保管方法が適切に管理された再生パルプは、新聞古紙等の一般的な古紙と比べて異物の混入量が極めて少なく品質に優れる。
調成工程においては、原料を水等で希釈して離解し、コニカルリファイナーやダブルディスクリファイナー等を用いて適宜叩解して原料液(パルプスラリー)を得る。
この際、前述の各種薬剤を内添してもよい。叩解においては使用するパルプの種類と目的とするガラス板用合紙、言い換えれば離解パルプの特性に応じて叩解条件を変更し、繊維の切断(カッティング)を主効果とした遊離状叩解や、繊維の膨潤とフィブリル化を主効果とした粘状叩解等を適宜行えばよい。原料パルプとして、バージンパルプと再生パルプとをまとめて離解・叩解してもよいが、種類毎に離解・叩解し、それぞれをパルプスラリーの状態としてから混合することで、パルプの種類毎に離解・叩解の条件を適切なものとできるため好ましい。
一例として、広葉樹パルプはフリーネスとして250~600mL CSF.となるように叩解することが好ましく、針葉樹パルプはフリーネスとして300~650mL CSF.となるように叩解することが好ましい。また、パルプスラリーの濃度は0.5~2質量%が好ましい。
抄紙工程においては、得られたパルプスラリーを例えば長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機、ツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙する。ウェットエンド通過後の湿潤紙を脱水し、多筒式ドライヤーやヤンキードライヤー等を用いて乾燥させる。必要に応じて前述の薬品をロールコーターやブレードコーターを用いて塗布、含浸してもよい。またソフトキャレンダー、スーパーキャレンダー等の各種キャレンダーをオンラインまたはオフラインにて使用してもよい。
以上のようにして本実施形態のガラス板用合紙を得る。
(ガラス板積層体)
本実施形態に係るガラス板積層体は、ガラス板が複数枚積層されたガラス板積層体であって、前記ガラス板の相互間に本実施形態に係るガラス板用合紙を有する。
すなわち、図1に示すように、ガラス板積層体10は、複数枚のガラス板2の間に上述のガラス板用合紙1が介在された積層体である。
図1に示すガラス板積層体10は、各5枚のガラス板用合紙1とガラス板2が交互に積層された構成である。なお、ガラス板用合紙1とガラス板2の積層枚数はこれに限定されず、ガラス板2の強度やサイズ、梱包容器のサイズ等の種々の条件に応じて適宜変更すればよい。ガラス板の積層枚数は、2枚以上であればよく、上限は例えば300枚以下である。通常、ガラス板積層体10の総質量が2000kg以下となるように積層される。
ガラス板2およびガラス板用合紙1の積層枚数は、通常、ガラス板2とガラス板用合紙1の枚数が同数となるか、ガラス板用合紙1の枚数がガラス板2の枚数よりも1枚多いかのいずれかである。
ガラス板2の用途は特には限定されないが、ガラス板2は、液晶製品や半導体製品の製造に関連して使用されるガラス板等の表面が高度に清浄に保たれることが求められるガラス板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL用ガラス基板等のフラットパネルディスプレイ、半導体パッケージ用途のガラス板、および太陽電池等の電子デバイス等に適用されるガラス板であることが好ましい。
ガラス板2の材質も特に限定されず用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、ソーダライムガラス、アルミノ珪酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリアルミノ珪酸塩ガラス、石英ガラス等が挙げられる。また、紫外線や赤外線を吸収するガラスや強化ガラスからなるガラス板を用いることも可能である。
ガラス板2の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されず、2枚以上積層して保管、運搬できる形状、大きさ、厚さ等であればよい。
ガラス板2の形状としては、例えば図2に示されるガラス板のように平板状であってもよく、また、全面または一部が曲率を有する曲面状であってもよい。
ガラス板2の厚さは、用途により適宜調整すればよいが、例えば0.01~10mmである。
ガラス板の大きさは、例えば、近年開発された第8世代(2200mm×2500mm)程度の大きさを有するものであってよい。この場合、ガラス板の厚さは、0.2~0.8mmであることが強度確保の点で好ましく、さらに好ましくは0.3~0.7mm程度である。
また、ガラス板2は、複数枚のガラス板が中間膜を挟んで接着された合わせガラスであってもよい。
ガラス板2の製造方法も特に限定されないが、例えばプレス法、ダウンドロー法、フロート法などの方法により所定の板厚に成形し、徐冷後、研削、研磨などの加工を行い、所定のサイズ、形状のガラス板とすればよい。
また、ガラス板2は、表面に機能性薄膜を有するものであってもよい。機能性薄膜とは、具体的には、導電膜(スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、Ag、Cr/Cu/Cr構造を有する膜等)や熱線遮蔽膜(酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO等)/Ag/酸化物の構造を有する層等)等である。ここで、酸化亜鉛には、Al、Gaまたは水素等がドープされていてもよい。また、酸化スズにはFまたはSbがドープされていてもよい。さらに、AgにはPdまたはAuがドープされていてもよい。
(ガラス板梱包体)
本実施形態のガラス板梱包体は、本実施形態に係るガラス板積層体と、前記ガラス板積層体を載置するパレットとを有する。
ガラス板の輸送や保管の際には、ガラス板とガラス板用合紙とを交互に積層して積層体とし、これをパレットに載置し収容してから梱包して梱包体(ガラス板梱包体)とする。ガラス板梱包体には、ガラス板を水平に積層する横置き型とガラス板を傾斜させて立てた状態で積層する縦積型とがあり、本発明はいずれの型にも適用できる。図2に縦積型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。また、図3に横置き型のガラス板梱包体の一例の概略構成を示す。
図2に示すガラス板梱包体30は、パレット31に、複数枚のガラス板2を、間にガラス板用合紙1を介在させて積層したガラス板積層体10が載置され、梱包されたものである。なお、ガラス板用合紙1はパレット31とガラス板2の間にも配置されることが好ましい。パレット31は、公知の縦積型のガラス板梱包用のパレットであり、基台33と、基台33の上面に立設された傾斜台32と、基台33の上面に載置された載置台34とを有する。
傾斜台32の鉛直方向の一面(ガラス板積層体10との接触面。以下「傾斜面」ともいう。)は、鉛直方向に対して傾斜している。この傾斜面の角度(図2中、αで示す。)は、積層されたガラス板積層体10が安定して積載、保管および搬送できる角度であればよく、通常、水平方向に対して85°以下であり、例えば、85°~70°である。
また、載置台34の上面は、水平方向に対して傾斜台32に向かって下降するように傾斜する。図示例においては、一例として、載置台34の上面は、傾斜台32の傾斜面に対して90°となるように構成されている。
パレット31において、ガラス板2は、載置台34の上面に載置され、かつ、傾斜台32の傾斜面に立て掛けられた状態で積層される。また、各ガラス板の間には、ガラス板用合紙1が介在される。また、最前面のガラス板の表面をガラス板用合紙で覆ってもよい。
図3に示すガラス板梱包体50は、パレット51に、複数枚のガラス板2を間にガラス板用合紙1を介在させて積層したガラス板積層体10が載置され、梱包されたものである。なお、ガラス板用合紙1はパレット51とガラス板2の間にも配置されることが好ましい。パレット51は、公知の横置き型ガラス板梱包用のパレットであり、基台53と、基台53の上面に載置された載置台54とを有する。また、基台53の上面の隅(例えば、基台53の上面が矩形であれば少なくとも4隅)に、パレット51を積層するための支柱52を有する。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。例1~4は実施例であり、例5~10は比較例である。以下、特に断りのない限り、含有割合を示す%およびppmは質量%及び質量ppmを表す。
(評価)
各例のガラス板用合紙について、以下の評価を行った。
なお、各評価には、JIS P8111:1998 「紙、板紙及びパルプ-調湿及び試験のための標準状態」に準拠して標準状態(23±1℃、50±2RH%)の空気中で静置し、調湿が完了して試料の水分と標準状態にある試験室内の水蒸気が平衡となったものを用いた。ただし、折れ戻り性、ハンドリング性、ガラス汚染性・傷入り性評価の際は、ガラス板用合紙を温度23±3℃、湿度50±10RH%の環境内で静置し、調湿後のものを用いた。
(坪量)
JIS P8124:2011「紙及び板紙-坪量の測定方法」に準拠して各例のガラス板用合紙の坪量[g/m]を測定した。
(厚さ)
JIS P 8188:2014「紙及び板紙-厚さ,密度及び比容積の試験方法」に準拠して各例のガラス板用合紙の厚さ[μm]の値を測定した。
(繊維長分布、繊維幅分布)
Valmet社のFS5を用いて、JIS P8226-2:2011パルプ-光学的自動分析法による繊維長測定に準拠し測定を行った。
JIS P8220-1:2012「パルプ-離解方法-第1部:化学パルプの離解」に規定する方法によって、25℃における電気伝導度を0.25mS/m以下に精製した水を用いて、パルプの解離を行った。
20±5℃、2000±25mLの水に約25mm×25mmのサイズに引き裂いたガラス板用合紙を加え、標準離解機に加え、繊維が完全に分散するまで離解を行い、離解パルプを得た。
得られた離解パルプに対し、繊維画像分析装置(Valmet社製、Valmet FS5)を用いて離解パルプの繊維長区分・加重平均繊維長分布、並びに繊維幅分布を測定した。なお測定ではISOの繊維長範囲(0.20~7.0mm)を採用しており、1試料につき5回測定した値の平均値を使用した。
(繊維幅中央値)
繊維幅の度数ヒストグラムから、下記計算で中央値を算出した。
度数分布の下方から累積度数をとって、総度数の半分以上でそれに最も近い累積値に当たる階級を中央値の存在する階級とする。中央値のある階級の、下端をX、度数をf、幅をC、Xより下の度数をF、総度数をFtとすると、中央値Meは次式であらわされる。
Me=X+Cx(Ft/2-Ft)/f
(クラーク剛度)
JIS P8143:2009紙-こわさ試験方法-クラークこわさ試験機法に準拠してクラーク剛度を測定した。抄紙方向に対するクラーク剛度を縦筋目のクラーク剛度、抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度を横筋目のクラーク剛度とした。各方向の測定値から、抄紙方向に対するクラーク剛度(縦筋目のクラーク剛度)を抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度(横筋目のクラーク剛度)で除した縦横比を求めた。
(蛍光X線分析)
RIGAKU社の波長分散小型蛍光X線分析装置Supermini200を用いてマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素濃度を測定した。なお、近接する箇所から採取した5枚の合紙を重ねて測定した。
(シリコーン量)
絶乾で1gの合紙を20mm×20mm以下に裁断し、ヘキサンを用いて4時間ソックスレー抽出を行った後、エバポレーターを用いて抽出物の溶媒を減量させ、これを重水素化クロロホルム約1mLに溶解させて、H-NMR測定を行った。NMR測定にはBruker社のAVANCEIII600を用いた。定量ではポリジメチルシロキサンの重水素化クロロホルム溶液を標準品として用いて検量線を作成し、外部標準法で定量した。
(折れ戻り性)
470mm×370mm×0.5mmのガラス板に、合紙の縦筋目の出代が40mmとなるように合紙を積載し、これらを交互に30枚積載してガラス板積層体を得た。
積層体の出代を、ガラス板平面からなす角として60°折り曲げた後、24時間静置した。そののち、最上部の合紙の出代が60°から折れ戻っている角度、すなわち静置後に出代がガラス板平面となす角の角度を用いて、以下の式を用いて折れ戻り性を定量し、3つのガラス板積層体の平均値で評価した。
折れ戻り性[%]={(60-静置後角度)/60}×100
折れ戻り性の値が大きいほど、折り曲げた合紙が水平近くまで戻っており、採紙不良を引き起こしやすい。例えば、折れ戻り性が40%以下の場合良好であり、40%超60%以下の場合は採紙不良が生じる場合がある程度であり、60%超の場合は採紙不良が生じ問題となる程度であると判断できる。
(ハンドリング性)
ロール状の合紙から2580mm×2260mmに断裁した後、合紙をコンベアで送り、ガラス上に載せて、ガラス板および合紙を、移載機を用いてパレットへ移載して収納する試験を600枚分行い、採板・採紙不良が生じた回数で評価した。なお、採板・採紙不良としては、合紙送り時に合紙がコンベアローラー間に潜り込む不具合や、ガラス板と合紙をパレットに載置した後に合紙がパレットから落下したり、動くことでガラス板を保護できなくなったり、合紙を押さえられなくなる不具合が生じるなどが挙げられる。
○:採板・採紙不良が1回も発生しなかった。
△:採板・採紙不良が1回から2回発生した。
×:採板・採紙不良が3回以上発生した。
(ガラス汚染性、ガラス傷入り性)
作成した合紙とCeO研磨及び洗浄後のガラス板(AN100)とを平積みパレットへ交互に積載し、ガラス板200枚からなる、ガラス板梱包体を得た。
作製したガラス板梱包体を、振動試験機を用いてJIS Z0232:2004に準拠したランダム振動試験にて、1時間加振した。なお振動条件は同規定の附属書表A.1に記載の、一般的な輸送環境(主して道路)を模擬する加速度パワースペクトル密度の条件にて、加速度5.9m/s(rms)で実施した。
梱包体から取り出したガラス板を、配管圧1MPa、流量20L/minの純水配管から流れるシャワーパイプ2列からなる洗浄機に通過させ、クリーンドライエアーを噴射するエアーナイフで乾燥させ、洗浄済み基板を得た。
洗浄済み基板の配線等を形成する面をFPD用異物検査機(東レエンジニアリング社製、HS-830e)を用いてNormal(1.0μm)モードで測定し、異物個数の計測値と異物の顕微鏡画像を得た。
(ガラス汚染性・傷入り性)
ガラス汚染性および傷入り性については、FPD用異物検査機で紙粉以外の異物および傷について観察し、以下の評価基準で評価した。
○:汚染または傷が全く発生しておらず、全く問題ないレベルである。
△:若干の汚染または傷が発生しており、問題となる場合があるレベルである。
×:汚染または傷が多く、問題となるレベルである。
(例1)
天然バージンパルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーにて叩解して、フリーネス550mL CSF.として、0.6%のパルプスラリーを調成した。これを長網式抄紙機で抄紙し、ガラス板用合紙を得た。
ガラス板用合紙と研磨洗浄後のガラス板AN100(AGC株式会社製)を、ガラス製造工程にてクリーンルーム内でガラス板用パレットへ交互に積載し、梱包体を得た。これを輸送後、LCD製造工程にてクリーンルーム内で開梱し、ガラス板をラインへと流動し、合紙は合紙把持装置を用いて採紙し、合紙保管用容器に収める形でガラス板用合紙古紙を得た。合紙保管容器を輸送し、製紙工程にて開梱し、パルパーに投入した。パルプスラリーをスクリーン、サイクロンを通過することで精選処理し、二酸化塩素および過酸化水素で漂白処理した後、洗浄し、さらにサイクロン処理してガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプのパルプスラリーを得た。
再生パルプのパルプスラリーの固形分として55%を第1の原料とし、天然バージンパルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーにて叩解してフリーネス550mL CSF.としたパルプスラリーの固形分として45%を第2の原料としてこれらを混合した後、0.7質量%のパルプスラリーを調成した。これを長網式抄紙機で抄紙し、坪量52g/m、紙厚さ65μmのガラス板用合紙を得た。
例1のガラス板用合紙の折れ戻り性は良好であった。また、原料として用いたLBKPにはタルクや微量の硬質異物が含まれていたが、再生パルプの使用時に十分な洗浄・精選を行ったため、例5と比べて異物量が低下し、その結果、ガラス汚染性やガラス傷入り性について優れた評価結果となった。
(例2)
天然バージンパルプとして市販のNBKPを用い、フリーネス520mL CSF.としてパルプスラリーを調成したものを抄紙し、ガラス板用合紙としたものを用い、例1と同様にガラス板用合紙古紙として得た。また、再生パルプのパルプスラリーの固形分として60%を第1の原料とし、天然バージンパルプとして市販のNBKPをフリーネス520mL CSF.としたパルプスラリーの固形分として40%を第2の原料として混合したこと以外は実施例1と同様にしてガラス板用合紙を得た。
得られた合紙は坪量51g/m、紙厚さ69μmであった。例2のガラス板用合紙の折れ戻り性は良好であった。原料がNBKP由来であったため、例1と比べるとやや折れ戻りが大きかった。原料として用いたNBKPには微量の硬質異物が含まれていたが、再生パルプの使用時に十分な洗浄・精選を行ったため、例6と比べて異物量が低下し、より品質に優れる結果となった。
(例3)
例1と同様の方法で得た再生パルプ(再生パルプL材)のパルプスラリーの、固形分として20%を第1の原料とし、例2と同様の方法で得たバージンパルプ(天然バージンパルプN材)のパルプスラリーの固形分として40%を第2の原料とし、例2と同様の方法で得た再生パルプ(再生パルプN材)のパルプスラリーの固形分として40%を第3の原料とした以外は例1と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量55g/m、紙厚さ70μmであった。例3のガラス板用合紙の折れ戻り性は良好であった。また、ハンドリング性、ガラス汚染性やガラス傷入り性について優れた評価結果となった。
(例4)
例1と同様の方法で得たバージンパルプ(天然バージンパルプL材)のパルプスラリーの固形分として15%を第1の原料とし、例1と同様の方法で得た再生パルプ(再生パルプL材)のパルプスラリーの固形分として35%を第2の原料とし、例2と同様の方法で得たバージンパルプ(天然バージンパルプN材)のパルプスラリーの固形分として15%を第3の原料とし、例2と同様の方法で得た再生パルプ(再生パルプN材)のパルプスラリーの固形分として35%を第4の原料とした以外は例1と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量48g/m、紙厚さ63μmであった。例4のガラス板用合紙の折れ戻り性は良好であった。また、ハンドリング性、ガラス汚染性やガラス傷入り性について優れた評価結果となった。例4のガラス板用合紙では、広葉樹パルプと針葉樹パルプのうち針葉樹パルプの割合の方が大きいものの、広葉樹パルプの混合割合が比較的大きいことから、(b)+(c)、(c)+(d)及び(d)+(e)がいずれも50%未満となっている。このため、ガラス板用合紙の製造時に条件を調整しにくい場合がある。
(例5)
再生パルプの固形分として5%を第1の原料とし、天然バージンパルプの固形分として95%を第2の原料として混合した以外は例1と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量54g/m、紙厚さ80μmであった。例5のガラス板用合紙の折れ戻り性は例1と比較して劣っていた。また、前述のように、例1と比べてガラス汚染性やガラス傷入り性の点で劣っていた。
(例6)
再生パルプの固形分として5%を第1の原料とし、天然バージンパルプの固形分として95%を第2の原料として混合した以外は例2と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量49g/m、紙厚さ75μmであった。例6のガラス板用合紙の折れ戻り性は実施例1、2と比べて大幅に劣っていた。
(例7)
再生パルプの固形分として95%を第1の原料とし、天然バージンパルプの固形分として5%を第2の原料として混合した以外は例1と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量43g/m、紙厚さ64μmであった。例7のガラス板用合紙は、抄紙時に断紙が多発した。また、例7のガラス板用合紙は使用時のハンドリング性にも劣っていた。
(例8)
再生パルプの固形分として95%を第1の原料とし、天然バージンパルプの固形分として5%を第2の原料として混合した以外は例2と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量44g/m、紙厚さ59μmであった。原料としてNBKPを用いていたが、再生パルプの配合量が過剰であったことから、紙厚とクラーク剛度が低下した。これにより、ガラス板用合紙として使用時に紙がめくれて脱落するなどのハンドリング不良が発生し、満足いく使用ができなかった。
(例9)
再生パルプの固形分として45%を第1の原料とし、天然バージンパルプの固形分として45%を第2の原料とし、新聞残紙を主とする脱墨パルプ(DIP)スラリーの固形分として10%を第3の原料とし、混合した以外は例2と同様にしてガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量45g/m、紙厚さ63μmであった。
例9のガラス板用合紙は、折れ戻り性は比較的良好であったが、品質の悪いDIPの配合量が多かったため、ガラス汚染性やガラス傷入り性について劣っていた。
(例10)
新聞残紙を主とする脱墨パルプ(DIP)スラリーの固形分として50%を第1の原料とし、天然バージンパルプとして市販のNBKPをダブルディスクリファイナーにて叩解して550mL CSF.としたパルプスラリーの固形分として50%を第2の原料として混合したものを長網式抄紙機で抄紙し、ガラス板用合紙を得た。得られた合紙は坪量43g/m、紙厚さ62μmであった。
例10のガラス板用合紙は、折れ戻り性は比較的良好であったが、品質の悪いDIPの配合量が多かったため、ガラス汚染性やガラス傷入り性について劣っていた。
各例のガラス板用合紙について、評価結果を表1に示す。表中、「天然バージンパルプL材」はLBKPをバージンパルプとして原料に用いたことを意味し、「再生パルプL材」はLBKPを原料に用いたガラス板用合紙の古紙に由来する再生パルプを原料に用いたことを意味する。「天然バージンパルプN材」はNBKPをバージンパルプとして原料に用いたことを意味し、「再生パルプN材」はNBKPを原料に用いたガラス板用合紙の古紙に由来する再生パルプを原料に用いたことを意味する。
Figure 2024051900000001
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
1.バージンパルプと、再生パルプと、を含むガラス板用合紙であって、
前記再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプであり、
前記再生パルプを10質量%以上90質量%以下含み、
脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下である、ガラス板用合紙。
2.前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度が40cm/100未満である、前記1に記載のガラス板用合紙。
3.前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの繊維幅分布において、繊維幅の中央値をMeとした際に、繊維幅が(Me-0.5Me)以上、(Me+0.5Me)以下である繊維の割合が70%以上である、前記1または2に記載のガラス板用合紙。
4.前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの長さ加重平均繊維長分布を以下の(A)~(F)の階級に区分し、それぞれの前記階級に属する繊維の割合(%)を(a)~(f)と表した際に、(b)+(c)、(c)+(d)及び(d)+(e)のいずれか1つ以上が50%以上である、前記1~3のいずれか1に記載のガラス板用合紙。
(A)0mm超0.2mm未満
(B)0.2mm以上0.6mm未満
(C)0.6mm以上1.2mm未満
(D)1.2mm以上2.0mm未満
(E)2.0mm以上3.2mm未満
(F)3.2mm以上7.6mm以下
5.前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度を、前記抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度で除した縦横比が1.80以上2.40以下である、前記1~4のいずれか1に記載のガラス板用合紙。
6.前記ガラス板用合紙は、蛍光X線分析により測定されるマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素の濃度が下記(1)~(5)の条件を全て満たす、前記1~5のいずれか1に記載のガラス板用合紙。
(1)マグネシウム 200ppm以下
(2)ケイ素 300ppm以下
(3)チタン 0.10ppm以下
(4)鉄 0.50ppm以下
(5)クロム 1.0ppm以下
7.ガラス板が複数枚積層されたガラス板積層体であって、
前記ガラス板の相互間に前記1~6のいずれか1に記載のガラス板用合紙を有するガラス板積層体。
8.前記7に記載のガラス板積層体と、前記ガラス板積層体を載置するパレットとを有するガラス板梱包体。
1 ガラス板用合紙
2 ガラス板
10 ガラス板積層体
30 ガラス板梱包体
31 パレット
32 傾斜台
33 基台
34 載置台
50 ガラス板梱包体
51 パレット
52 支柱
53 基台
54 載置台

Claims (8)

  1. バージンパルプと、再生パルプと、を含むガラス板用合紙であって、
    前記再生パルプはガラス板用合紙古紙に由来する再生パルプであり、
    前記再生パルプを10質量%以上90質量%以下含み、
    脱墨パルプ(DIP)の含有量が0.1質量%以下である、ガラス板用合紙。
  2. 前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度が40cm/100未満である、請求項1に記載のガラス板用合紙。
  3. 前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの繊維幅分布において、繊維幅の中央値をMeとした際に、繊維幅が(Me-0.5Me)以上、(Me+0.5Me)以下である繊維の割合が70%以上である、請求項1または2に記載のガラス板用合紙。
  4. 前記ガラス板用合紙を離解して得られる離解パルプの長さ加重平均繊維長分布を以下の(A)~(F)の階級に区分し、それぞれの前記階級に属する繊維の割合(%)を(a)~(f)と表した際に、(b)+(c)、(c)+(d)及び(d)+(e)のいずれか1つ以上が50%以上である、請求項1または2に記載のガラス板用合紙。
    (A)0mm超0.2mm未満
    (B)0.2mm以上0.6mm未満
    (C)0.6mm以上1.2mm未満
    (D)1.2mm以上2.0mm未満
    (E)2.0mm以上3.2mm未満
    (F)3.2mm以上7.6mm以下
  5. 前記ガラス板用合紙の抄紙方向に対するクラーク剛度を、前記抄紙方向に直交する方向に対するクラーク剛度で除した縦横比が1.80以上2.40以下である、請求項1または2に記載のガラス板用合紙。
  6. 前記ガラス板用合紙は、蛍光X線分析により測定されるマグネシウム、ケイ素、チタン、鉄及びクロムの各元素の濃度が下記(1)~(5)の条件を全て満たす、請求項1または2に記載のガラス板用合紙。
    (1)マグネシウム 200ppm以下
    (2)ケイ素 300ppm以下
    (3)チタン 0.10ppm以下
    (4)鉄 0.50ppm以下
    (5)クロム 1.0ppm以下
  7. ガラス板が複数枚積層されたガラス板積層体であって、
    前記ガラス板の相互間に請求項1または2に記載のガラス板用合紙を有するガラス板積層体。
  8. 請求項7に記載のガラス板積層体と、前記ガラス板積層体を載置するパレットとを有するガラス板梱包体。
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