JP2024051160A - ピリミジン誘導体の医薬塩及び障害の処置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピリミジン誘導体の医薬塩及び障害の処置方法を提供すること。【解決手段】本開示は、変異体上皮成長因子受容体(EGFR)に対して阻害活性を有するピリミジン誘導体の医薬塩及び多形形態に関する。本開示はさらに、ピリミジン誘導体の調製プロセスに、ならびにピリミジン誘導体の医薬塩及び多形形態に関する。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本PCT出願は、2018年5月14日出願の米国仮特許出願第62/671,166号及び2018年5月14日出願の米国仮特許出願第62/671,182号の利益を主張する。これらの文献の各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本開示は、変異体上皮成長因子受容体(EGFR)に対して阻害活性を有するピリミジン誘導体の医薬塩及び多形形態に関する。本開示はさらに、ピリミジン誘導体の調製プロセスに、ならびにピリミジン誘導体の医薬塩及び多形形態に関する。
本開示はさらに、ピリミジン誘導体またはその薬学的に許容される形態を含む組成物及びピリミジン誘導体またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法または投薬レジメンに関する。
肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、及び神経内分泌腫瘍で構成される。米国ではNSCLCを有する患者のおよそ10%(10,000件/年)及び東アジアでは35%が、腫瘍関連上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有すると報告されている。New England J.Med.2004、350(21):2129-39。
EGFR(別名ErbB1またはHER1)は、増殖及びアポトーシスを調節するシグナル伝達経路に関与する膜貫通受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーの一部である。EGFRの阻害剤は、一部の患者にとって効果的な療法として登場し、腫瘍学における治療的介入の重要な目標である。EGFRを標的とする阻害剤の開発及び臨床応用は、新しい肺癌療法に加えて、標的がん療法のより幅広い分野に重要な洞察を提供する。Nature Review Cancer 2007、7,169-181(March 2007).
医薬化合物の製造に関する主な懸念は、活性物質の安定性である。活性物質は、理想的には安定した結晶形態を有して、一貫した処理パラメータ及び医薬の品質を保証する。不安定な活性物質は、製造プロセスの再現性に影響を及ぼし、それゆえ医薬組成物の製剤化に課せられた高品質かつ厳しい要件を満たさない最終製剤をもたらす可能性がある。
したがって、新しいEGFR阻害剤、EGFR阻害剤の追加の安定形態、及びEGFR阻害剤を調製するための製造プロセス改善が引き続き必要である。
さらに、投与量及び投薬レジメンの開発を含む、医薬組成物及び処置方法のさらなる開発が必要である。
New England J.Med.2004、350(21):2129-39 Nature Review Cancer 2007、7,169-181
一実施形態では、本開示は、式(I)
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、Rはアルキルであり、RはHまたはアルキルであり、Rは、アミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されたアルキルである、式(I)またはその薬学的に許容される塩のEGFR阻害剤を調製するためのプロセス改善を提供する。
別の実施形態では、本開示は、化合物(A)
またはその薬学的に許容される塩のEGFR阻害剤を調製するためのプロセスを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、化合物(A)の新規多形形態及びその調製のためのプロセスを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、化合物(A)の様々な薬学的に許容される塩の新規多形形態及びその調製のためのプロセスを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、化合物(A)のコハク酸塩、その新規多形形態、及びその調製のためのプロセスを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるEGFR阻害剤、その薬学的に許容される塩、またはその多形形態、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする対象に、変異体EGFRと関連するがんを処置するための治療有効量の本明細書に記載されるEGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、またはその多形形態を投与することを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載されるEGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、またはその多形形態を、がん、例えば、非小細胞
肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌(SCLC)を含む肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃の癌、膀胱癌、神経膠腫癌、または胃癌を含むが、これらに限定されないがんに罹患している対象に投与することを提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載されるEGFR阻害剤、またはその薬学的に許容される塩、またはその多形形態を、がん、例えば、これらに限定されないが、肺癌(NSCLC及びSCLCを含む)、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃の癌、膀胱癌、神経膠腫癌、または胃癌などのがんを処置するための医薬の調製を目的として使用することを提供する。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、化合物(A)の多形I型である。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、化合物(A)、または化合物(A)のコハク酸塩である。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、実質的に結晶形である化合物(A)のコハク酸塩である。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型である。
いくつかの実施形態では、本開示は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害を処置する方法に関し、本方法は、それを必要とする患者に、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を約80mg~約200mg/日の用量で投与することを含む。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約40mg~約100mgの用量で1日2回または約80mg~約200mgの用量で1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約60mg~約80mgの用量で1日2回または約120mg~約160mgの用量で1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約120mgまたは約160mg/日の用量で投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約60mgまたは約80mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約60mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約80mgの用量で1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約120mgの用量で1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、約160mgの用量で1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、経口投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、固体剤形である。
いくつかの実施形態では、固体剤形は、カプセル剤または錠剤である。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、28日サイクルで投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、21日サイクルで投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも7日間連続で1日1回以上(例えば、1日1回または1日2回)投与される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも21日間または28日間連続で1日1回以上(例えば、1日1回または1日2回)投与される。
いくつかの実施形態では、障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入変異を有する変異体EGFRと関連する。
いくつかの実施形態では、障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の欠失変異を有する変異体EGFRと関連する。
いくつかの実施形態では、障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入変異を有する変異体HER2と関連する。
いくつかの実施形態では、障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の欠失変異を有する変異体HER2と関連する。
いくつかの実施形態では、障害は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連するがんである。
いくつかの実施形態では、がんは、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、または胃癌である。
いくつかの実施形態では、がんは非小細胞肺癌である。
いくつかの実施形態では、がんは乳癌である。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置のためにコハク酸塩として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置のためにコハク酸塩の多形I型として提供される。
いくつかの実施形態では、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置中に、患者において約40ng/mL以上の化合物(A)の血漿濃度Cを達成することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、血漿濃度Cは、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置中に約50ng/mL以上である。
いくつかの実施形態では、血漿濃度Cは、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置中に、少なくとも約4時間維持される。
いくつかの実施形態では、本開示は、約40mg~約200mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mg~約160mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約120mg、または約160mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約40mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のカプセル剤または錠剤を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は1つ以上のカプセル剤を含み、1つ以上のカプセル剤は、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含有するが、賦形剤は一切含まない。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物(A)のコハク酸塩を含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型を含む。
化合物(A)の無水遊離塩基の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の無水遊離塩基の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)の無水遊離塩基の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のコハク酸塩の多形III型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の臭化水素酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の臭化水素酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)の臭化水素酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)の塩酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の塩酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)の塩酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関する、第1加熱サイクル中のDSCプロファイルである。 化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関する、第2加熱サイクル中のDSCプロファイルである。 化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するXRPDデータである。 化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するXRPDデータである。 化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するXRPDデータである。 化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するTG/DTAプロファイルである。 化合物(A)のフマル酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するXRPDデータである。 化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルである。 化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するTG/DTAプロファイルである。 NSCLC患者における、化合物(A)の1日1回の経口投与後における化合物(A)の平均血漿濃度-時間プロファイルである。 NSCLC患者における、化合物(A)の1日1回の経口投与後における化合物(A)の平均血漿濃度-時間プロファイルである。
定義
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。したがって、
以下の用語は、以下の意味を有することを意図する:
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、その文脈に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
本明細書で使用される場合、「QD」は1日1回を指し、「BID」は1日2回を指す。
本明細書で使用される場合、「薬剤」または「生物学的に活性な薬剤」または「第2活性剤」は、生物学的、医薬的、もしくは化学的化合物または他の部分を指す。非限定的な例としては、単純または複合有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、または化学療法化合物、及びその代謝産物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子及びオリゴマー(例えば、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)、ならびに様々なコア構造に基づく合成有機化合物が合成され得る。加えて、様々な天然源によって、植物または動物の抽出物などの活性化合物が提供され得る。当業者は、本開示の薬剤の構造的性質に関しては制限がないことを容易に認識することができる。
本明細書で使用される場合、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」は交換可能に使用され、それらは、標的タンパク質またはポリペプチドの活性または発現を阻害することなどによって、標的タンパク質またはポリペプチドの生物学的機能を阻害する能力を有する化合物または薬剤を指す。したがって、「アンタゴニスト」及び「阻害剤」という用語は、標的タンパク質またはポリペプチドの生物学的役割の文脈で定義される。本明細書における一部のアンタゴニストは標的と特異的に相互作用する(例えば、結合する)が、その標的タンパク質またはポリペプチドのシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することによって標的タンパク質またはポリペプチドの生物活性を阻害する化合物もまた、本定義内に特に含まれる。アンタゴニストによって阻害される生物活性の非限定的な例としては、腫瘍の発生、成長、もしくは拡散、または自己免疫疾患で現れるような望ましくない免疫応答と関連するものが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「抗がん剤」、「抗腫瘍剤」または「化学療法剤」は、腫瘍性状態の処置に有用な任意の薬剤を指す。抗がん剤の1つのクラスには、化学療法剤を含む。「化学療法」とは、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、頬側、または吸入もしくは坐剤の形態を含む、様々な方法によって1つ以上の化学療法薬及び/または他の薬剤をがん患者に投与することを意味する。
本明細書で使用される場合、「細胞増殖」は、細胞分裂の結果として細胞数が変化している現象を指す。この用語はまた、増殖シグナルと一致して細胞形態が変化している(例えば、サイズが増大している)細胞増殖を包含する。
本明細書で使用される場合、開示される化合物の「投与」は、本明細書で述べられるような任意の好適な製剤または投与経路を使用して、本明細書に記載されるような化合物、またはそのプロドラッグもしくは他の薬学的に許容される誘導体を対象に送達することを包含する。
本明細書で使用される場合、「共投与」、「と組み合わせて投与される」、及び本明細書で使用されるようなそれらの文法的等価物は、対象に2つ以上の薬剤を投与する場合、両方の薬剤及び/またはそれらの代謝産物が同時に対象中に存在するようにすることを包含する。共投与は、別個の組成物による同時投与、別個の組成物による異なる時間での投与、または単一の固定用量組成物による投与で、その場合に両方の薬剤が存在するものを
含む。
本明細書で使用される場合、生物学的に活性な薬剤に適用されるような「選択的阻害」または「選択的に阻害する」は、標的との直接的または間接的相互作用を介して、標的外シグナル伝達活性と比較した場合に標的シグナル伝達活性を選択的に低下させる薬剤の能力を指す。例えば、野生型EGFRよりもエクソン20変異体EGFRを選択的に阻害する化合物は、野生型EGFRアイソフォームに対する化合物の活性と比較して、変異型EGFRに対して少なくとも約2倍の活性を有する(例えば、少なくとも約3倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、または約100倍)。
本明細書で使用される場合、「インビボ」は、対象の体内で生じる事象を指す。インビボには、ラット、マウス、モルモットなどのげっ歯類で発生する事象も含む。
本明細書で使用される場合、「インビトロ」は、対象の体外で生じる事象を指す。例えば、インビトロアッセイは、対象の外側で実施される任意のアッセイを包含する。インビトロアッセイは、生細胞か死細胞かにかかわらず、細胞が用いられる細胞に基づくアッセイを包含する。インビトロアッセイはまた、無傷の細胞を全く用いない無細胞アッセイも包含する。
本明細書で使用される場合、「変異体EGFR媒介性障害」は、そのエクソンのいずれかに1つ以上の変異を有するEGFRと関連する異常なEGFR媒介シグナル伝達経路を含む疾患または状態を指し、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有することを含む。一実施形態では、変異体EGFRは、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体EGFR媒介性障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有するEGFRと関連し得る。
本明細書で使用される場合、「変異体HER2媒介性障害」は、そのエクソンのいずれかに1つ以上の変異を有するHER2と関連する異常なHER2媒介シグナル伝達経路を含む疾患または状態を指し、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有することを含む。一実施形態では、変異体HER2は、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体HER2媒介性障害は、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有するHER2と関連し得る。
本明細書で使用される場合、「治療効果」は、上記のような治療上の利益を包含する。「予防効果」は、疾患または状態の出現を遅延または排除すること、疾患または状態の症状の発症を遅延または排除すること、疾患または状態の進行を遅らせる、停止させる、または逆転させること、あるいはそれらの任意の組合せを含む。
本明細書で使用される場合、「有効量」または「治療有効量」は、以下に示されるように、疾患処置を含むが、これに限定されない目的の用途を達成するのに十分な、本明細書に記載される化合物または医薬組成物のその量を指す。いくつかの実施形態では、検出可能ながん細胞の死滅または成長もしくは拡散の阻害、腫瘍のサイズまたは数、あるいはがんのレベル、ステージ、進行または重症度の他の指標に効果的な量である。治療有効量は、目的の用途(インビトロもしくはインビボ)、または処置されている対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与手法などに応じて変動し得、当業者はその量を容易に決定することができる。本用語は、標的細胞中で特定の応答、例えば、細胞遊走の低下を誘導することになる用量にも適用される。特定の用量は、例えば、選択された特定の化合物、対象の種及びそれらの年齢/既存の健康状態または健康状態のリスク、従うべき投薬レジメン、用量が他の薬剤と組み合わせて投与される疾患の重症度、投与のタイミング、用量が投与される組織、ならびに用量が運ばれる物理的送達システ
ムに応じて変動することになる。
「処置」、「処置する」、「緩和する」、「管理する」及び「改善する」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。これらの用語は、治療上の利益を含むが、これに限定されない有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。「治療上の利益」という用語は、処置されている基礎障害の根絶または改善を指す。また、治療上の利益は、患者が依然として基礎障害に罹患している可能性があっても、改善がその患者で観察されるような、基礎障害と関連する生理学的症状のうち1つ以上の根絶または改善で達成される。「予防上の利益」のために、医薬化合物及び/または組成物は、特定の疾患を発症するリスクがある患者に、または疾患の生理学的症状のうち1つ以上を報告する患者に、その疾患の診断が行われていない場合であっても投与され得る。
投与が企図される「対象」という用語は、ヒト(すなわち、任意の年齢層、例えば、小児対象(例えば、乳幼児、小児、青年)もしくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人もしくは高齢成人)の男性もしくは女性)及び/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、商業的に関連のある哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、及び/またはイヌなどを含む哺乳動物、及び/または商業的に関連のある鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、及び/またはシチメンチョウなどを含む鳥類を含むが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される形態」という用語は、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、立体異性体、及び多形形態を含むが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は、薬学的に許容される塩である。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを起こさずに、対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、かつ合理的な利益/リスク比に見合っているような塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19において薬学的に許容される塩について詳細に記載している。本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩としては、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸と、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施形態では、塩が由来し得る有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-ト
ルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される塩は、コハク酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩、シュウ酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、硫酸塩、塩酸塩、または臭化水素酸塩である。
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は、「溶媒和物」(例えば、水和物)である。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、非共有結合分子間力によって結合した化学量論量または非化学量論量の溶媒をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示される化合物またはその薬学的に許容される塩のものであり得る。溶媒が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。薬学的に許容される溶媒和物及び水和物は、例えば、1~約100、または1~約10、または1~約2、約3もしくは約4の溶媒または水分子を含み得る複合体である。本明細書で使用されるような「化合物」という用語は、化合物及び化合物の溶媒和物に加えて、それらの混合物を包含すると理解されることになる。
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される形態は、プロドラッグである。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、インビボで変換されて、開示される化合物またはその化合物の薬学的に許容される形態を生じる化合物を指す。プロドラッグは、対象に投与された場合に不活性であり得るが、例えば、加水分解(例えば、血中での加水分解)によってインビボで活性化合物に変換される。ある特定の場合では、プロドラッグは、親化合物よりも物理的及び/または送達特性が改善されている。プロドラッグは、対象に投与される場合に化合物のバイオアベイラビリティを増加させ得る(例えば、経口投与後に血中への吸収増強を可能にすることによって)、または親化合物と比較して目的の生物学的区画(例えば、脳もしくはリンパ系)への送達を増強し得る。例示的なプロドラッグとしては、親化合物と比較して、水溶解度または腸膜を通る能動輸送が向上している、開示される化合物の誘導体が挙げられる。
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、あらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される担体または賦形剤は、開示される化合物の薬理活性を破壊せず、治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与される場合に非毒性である。医薬活性物質にそのような媒体及び薬剤を使用することは、当該技術分野において周知である。いずれかの従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合を除いて、それらを本明細書に開示されるような治療用組成物で使用することが企図される。薬学的に許容される担体及び賦形剤の非限定的な例としては、糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロースなど、デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなど、セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなど、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター及び坐剤ワックス、油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油など、グリコール、例えば、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールなど、エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなど、寒天、緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなど、アルギン酸、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、非毒性の相溶性滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなど、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、防腐剤、抗酸化剤、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩など、医薬剤形で使用される界面活性剤、例えば、Tween(登録商標)または他の類似したポリマー送達マトリックスなど、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンな
ど、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、及び亜鉛塩など、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリアクリレート、ワックス、ならびにポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマーが挙げられる。シクロデキストリン、例えば、α-、β-、及びγ-シクロデキストリンなど、または化学修飾誘導体、例えば、2-及び3-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなど、または他の可溶化誘導体も、本明細書に記載される化合物の送達を増強するために使用され得る。
「多形形態」または「結晶」という用語は、固体の中で構成原子、分子、またはイオンが規則的な順序で充填され、高度に規則的な化学構造を有する三次元パターンを繰り返している固体を指す。特に、結晶化合物または塩は、1つ以上の結晶形として生成される場合がある。この用途の目的で、「多形形態」、「多形体」または「結晶形」という用語は同義語である。
「溶液」という用語は、少なくとも部分的に溶解している物質(複数可)を含有する溶媒を指し、これは不溶解物質(複数可)を含有する可能性がある。
「XRPD」という用語は、X線粉末回折パターンを指す。XRPDの理論に関する考察は、Stout&Jensen,X-Ray Structure Determination;A Practical Guide,MacMillan Co.,New York,N.Y.(1968)に見出され得る。
「室温」及び「周囲温度」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。これらの用語は、周囲環境の温度を指す。
「水和物」という用語は、溶媒分子が、規定の化学量論量で存在するHOである溶媒和物を指し、これとしては、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、及び三水和物が挙げられる。
「シーディング」または「シーディング物質」という用語は、結晶化を開始させるために少量の結晶性物質を溶液または混合物に添加することを指す。
「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる直鎖または分岐鎖飽和炭化水素鎖ラジカルを指す。例としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は通常、1~10個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子、好ましくは1~3個または1~4個の炭素原子などを含有し、置換または非置換であり得る。好適な置換基としては、アミノ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、NO、CN、オキソ、アシル、F、Cl、Brなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「アミノ」は-NRR基を指し、各Rは水素及びアルキルから独立して選択される。
「ヘテロシクロアルキル」は任意の5~6員非芳香環を指し、飽和または不飽和であってよく、置換または非置換であり得、これは炭素原子(複数可)に加えて、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、リン、または硫黄などを含有する。例としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピロリジニル、1-メチルピロリジニル、テ
トラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロピロリル及びピロリル-2,5-ジオン、ピラゾリニル、ピペリジル、またはピペラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、炭素原子(複数可)に加えて、少なくとも1個の窒素を含有する。窒素含有ヘテロシクロアルキルは、場合により酸化または四級化され得る。好適な置換基としては、アミノ、アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、NO、CN、オキソ、アシル、F、Cl、Brなどが挙げられるが、これらに限定されない。
化合物(A)
化合物(A)は、以下の構造を有する:
化合物(A)の化学名は、プロパン-2-イル2-[5-(アクリロイルアミノ)-4-{[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ}-2-メトキシアニリノ]-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートである。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、遊離塩基として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、遊離塩基の多形I型として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、化合物(A)のコハク酸塩として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、化合物(A)のコハク酸塩の多形形態として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型として提供される。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、薬学的に許容される形態、例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、またはプロドラッグとして提供される。
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、またはプロドラッグは、WO2015/195228に記載される方法に従って生成されてよく、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
遊離塩基、コハク酸塩、または(遊離塩基もしくはコハク酸塩の)多形I型としての化合物(A)は、実施例1及び2に従って調製され得る。
EGFR阻害剤を調製するためのプロセス
ある特定の実施形態では、本開示は、スキームIで概説されるような式(I)のピリミジン誘導体を調製するためのプロセスを提供する。
スキームI
スキームIは、式(I)の化合物を調製するための一般的な経路を示している。本方法は以下を含む:
(i)式(I-a)の化合物と式(K)のフェニルスルホニルプロパン酸との混合物を、溶媒の存在下において約-10℃~約10℃の温度で調製すること、
(ii)ステップ(i)の反応混合物にカップリング試薬を添加して、式Int-bの化合物を形成すること、
(iii)場合により、ステップ(ii)の生成物をエタノールなどの好適な溶媒で洗浄し、濾過によって単離すること、及び
(iv)ステップ(ii)または(iii)の生成物を塩基で処理して、式(I)の化合物を生成すること。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下を含む方法に従って精製されてよい:
(a)式(I)の化合物を溶媒中に溶解または懸濁させること、
(b)場合により、ステップ(a)の溶液を濾過すること、
(c)ステップ(a)または(b)の溶液を約50℃~80℃の温度で加熱すること、
(d)場合により、ステップ(c)の溶液を濾過すること、
(e)ステップ(d)の生成物を冷却すること、及び
(f)ステップ(e)の固体を単離すること。
ある特定の実施形態では、ステップa)の溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、またはアセトニトリルを含む。
スキームIのある特定の実施形態では、Rはアルキルであり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されたアルキルであり、Yは、CH、Cl、Br、F、またはOCHであり、mは0、1、2、3、4、または5である。
スキームIのある特定の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、Rは、メ
チル、エチル、プロピル、またはブチルであり、その各々がアミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されていて、アミノは、NRであり、R及びRは、独立してHまたはアルキルであり、ヘテロシクロアルキルは、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルであり、Yは、CH、Cl、Br、F、またはOCHであり、mは0、1、2、3、4、または5である。
スキームIのある特定の実施形態では、Rはイソプロピルであり、Rは、Hまたはメチルであり、Rは、NRで置換されたエチルであり、R及びRは、独立してHまたはメチルであり、あるいはRは、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルで置換されたメチルであり、mは0である。
スキームIにおける式(I)のある特定の実施形態では、Rはイソプロピルであり、Rはメチルであり、RはNRで置換されたエチルであり、R及びRはメチルである。
スキームIにおける式(I)のある特定の実施形態では、Rはイソプロピルであり、RはHであり、RはNRで置換されたエチルであり、R及びRはメチルである。
スキームIにおける式(I)のある特定の実施形態では、Rはイソプロピルであり、Rはメチルであり、RはNRで置換されたエチルであり、RはHであり、Rはメチルである。
スキームIに示されるように、式(I-a)の化合物は、式(K)のフェニルスルホニルプロパン酸と混合される。式(K)の化合物は、市販の供給源から得られるか、または当業者に既知の方法に従って調製されてよい。ステップ(i)の好適な溶媒は、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸イソプロピル(IPAc)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、及びジオキサンであり得る。一実施形態では、好適な溶媒は無水ジクロロメタンである。ステップ(i)の混合物は、約10℃未満、例えば、約8℃、約5℃、約2℃、約0℃、約-5℃、または約-10℃などの温度に冷却される。
ステップ(ii)では、内部温度を約10℃未満に維持しながら、混合物をアミンなどの塩基で処理し、次いでカップリング試薬を混合物に添加して式Int-bの化合物を形成する。ステップ(ii)の塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリエチルアミン(TEA)、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン(DBN)、及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を含む。
好適なカップリング試薬は、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、塩化チオニル(SOCl)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ホスゲン(COCl)、または1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)であり得る。
ある特定の実施形態では、カップリング試薬は、プロピルホスホン酸無水物である。
一実施形態では、カップリング試薬は、50%w/wプロピルホスホン酸無水物及び溶媒、例えば、THF、2-MeTHF、IPAc、CPME、またはジオキサンなどを含む溶液である。
ステップ(iii)では、式Int-bの化合物を塩基で処理する。使用される塩基に応じて、ステップ(iii)の温度は、約-10℃~約90℃に変動し得る。
ある特定の実施形態では、ステップ(iii)の塩基は、カリウムトリメチルシラノレート(KOSi(CH)であり、式(I)の化合物を提供する。反応は、約-5℃~約5℃、例えば、約-5℃~約0℃、約0℃~約2℃、または約2℃~約5℃などの温度で、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル(MeCN)、アセトン、2-MeTHF、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)などの存在下で実施されてよい。
ある特定の実施形態では、ステップ(iii)の塩基は、約40℃~約90℃、例えば、約50℃~約60℃、約60℃~約70℃、約70℃~約80℃、または約80℃~約90℃などの温度で、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、MeCN、アセトン、2-MeTHF、DMSO、DMF、DMAcなどの存在下で、NaOH、DBU、KOt-Bu、NaOt-Bu、LiOt-Bu、DBN、KOH、及びLiOHから選択される。
一実施形態では、本開示は、スキームIIに記載されるような化合物(A)のピリミジン誘導体を調製するためのプロセスを提供する。
スキームII
スキームIIでは、化合物(Int-4)を式(K)のフェニルスルホニルプロパン酸と組み合わせる。混合物は、溶媒の存在下で、約-10℃~約50℃、例えば、約-10℃~約-5℃、約-5℃~約0℃、約0℃~約5℃、約5℃~約10℃、約10℃~約20℃、約20℃~約30℃、約30℃~約40℃、または約40℃~約50℃などの温度で調製される。
温度を約10℃未満に維持しながら、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、TEA、DBU、DBN、またはNMPを含むが、これらに限定されないアミンなどの塩基を混合
物に添加し、続いてカップリング試薬、例えば、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、SOCl、DIC、CDI、COClまたはEDCなどを添加して、化合物(Int-5)を形成する。化合物(Int-5)をKOSi(CHなどの塩基で処理し、化合物(A)を得る。反応は、約-5℃~約5℃、例えば、約-5℃~約0℃、約0℃~約2℃、または約2℃~約5℃などの温度で、溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、MeCN、アセトン、2-MeTHF、DMSO、DMF、DMAcなどの存在下で実施されてよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)は、約40℃~約90℃、例えば、約50℃~約60℃、約60℃~約70℃、約70℃~約80℃、または約80℃~約90℃などの温度で、好適な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、MeCN、アセトン、2-MeTHF、DMSO、DMF、DMAcなどの存在下において、NaOH、DBU、KOt-Bu、NaOt-Bu、LiOt-Bu、DBN、KOH、及び/またはLiOHから選択される塩基で(Int-5)を処理することによって調製される。
ある特定の実施形態では、化合物(A)は、以下を含む方法に従って精製されてよい:(a)式(I)の化合物を溶媒中に溶解または懸濁させること、
(b)場合により、ステップ(a)の溶液を濾過すること、
(c)ステップ(a)または(b)の溶液を約50℃~80℃の温度で加熱すること、
(d)場合により、ステップ(c)の溶液を濾過すること、
(e)ステップ(d)の生成物を冷却すること、及び
(f)ステップ(e)の固体を単離すること。
ある特定の実施形態では、精製された化合物(A)は、実質的に結晶形である。
ある特定の実施形態では、精製された化合物(A)は、結晶多形I型である。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、酢酸エチルである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、酢酸イソプロピルである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、ジオキサンである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、ジクロロメタンである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、アセトニトリルである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)または(b)の混合溶液は、約60℃~75℃の温度に加熱される。
ある特定の実施形態では、ステップ(d)の濾過は、約50℃~80℃の温度で実施される。
ある特定の実施形態では、ステップ(d)の濾過は、約60℃~75℃の温度で実施される。
ある特定の実施形態では、ステップ(e)の生成物は、約10℃~0℃の温度に冷却さ
れる。
ある特定の実施形態では、ステップ(f)の固体は、濾過によって単離され、場合によりEtOHなどの好適な溶媒で洗浄され、真空下で乾燥させて精製された化合物(A)を得る。
式(I)の化合物及び化合物(A)は、変異体EGFRタンパク質を阻害することができる。それらは、WO2015/195228に記載される方法に従って生成されてよく、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。WO2015/195228では、式(I)のピリミジン誘導体の調製にアクリル酸を利用する。アクリル酸は、式CH=CHCOOHを有する。アクリル酸は、保管中に容易に重合する。そのため、この方法では使用前に分別蒸留が必要となる。さらに、生成物はクロマトグラフィーによって精製する必要がある。したがって、この精製プロセスは大規模生成を制限する。
医薬組成物の製造は、化学者及び化学エンジニアにとって多くの課題をもたらす。多くのこれらの課題のうち1つは、大量の試薬の取扱い及び大規模な反応の制御に関するが、最終生成物の取扱いは、最終活性生成物自体の性質に関連する特別な課題をもたらす。理想的なプロセスは、生成物が高収率で調製され得、迅速に単離できるプロセスである。
本開示は、2段階のプロセス、すなわち、市販のスルホニルプロピオン酸を使用するアミドの形成及び除去を提供する。各ステップで、90%超の単離収率で固体化合物が得られる。本プロセスによって、クロマトグラフ精製が不要となる。得られた生成物は、結晶化から迅速に単離できるため、安定した結晶形が得られ、一貫した処理パラメータ及び医薬の品質を保証する。
医薬塩及び調製
式(I)の化合物または化合物(A)の遊離塩基は、変異体EGFRタンパク質を阻害するのに効果的であるが、それは医薬塩の形態で投与されてよい。好適な塩は、優れた溶解度、優れた安定性、及び非吸湿性を提供し、それらは全て、薬物調製で考慮されなければならない特性である。活性成分の安定性は、バルク保管、投与用の設計製剤、長期保管などを含む、製造プロセスの各ステップで重要である。これらの各ステップは、温度及び湿度の様々な環境条件から影響を受ける可能性がある。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物または化合物(A)の医薬塩を提供する。そのような塩の非限定な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩、コハク酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、グルタル酸塩、ケトグルタル酸塩、L-酒石酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、プロピオン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、アスコルビン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、及びマロン酸塩が挙げられる。
ある特定の実施形態では、そのような塩の非限定的な例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩、及びコハク酸塩が挙げられる。
ある特定の実施形態では、非限定的な例はコハク酸塩である。
ある特定の実施形態では、非限定的な例はフマル酸塩である。
式(I)の化合物の医薬塩は、当業者に既知の手順に従って調製されてよい。あるいは、式(I)の化合物は、最初に溶媒の存在下で酸と組み合わされ得る。混合物は、約30
℃~約100℃、例えば、約25℃~約50℃、約35℃~約55℃、約45℃~約55℃、約50℃~約75℃、約50℃~約100℃、及び約60℃~約85℃などの温度に加熱され得る。混合物を約1時間~約5時間などの十分な時間で攪拌した後、次いでそれを周囲環境の温度に、または10℃未満の温度、例えば、約0℃~およそ室温、約0℃~約10℃、及び約15℃~およそ室温などに冷却され得る。
ある特定の実施形態では、溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、またはブタノールなどであり得る。他の実施形態では、溶媒は、DCM、EtOAc、THF、ジエチルエーテル、アセトン、ヘプタン、またはアセトニトリルを含むが、これらに限定されない非アルコール性溶媒であり得る。さらなる実施形態では、溶媒は、上述した溶媒のいずれかのうち2つ以上の混合物であり得る。
ある特定の実施形態では、化合物(A)は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、馬尿酸、またはコハク酸と組み合わされて、対応する塩を形成し得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)の塩酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)の臭化水素酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)の硫酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のトシル酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のメシル酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のシュウ酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のフマル酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)の馬尿酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のコハク酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)のモノコハク酸塩である。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、化合物(A)の無水モノコハク酸塩である。
スキームIIIは、化合物(A)のモノコハク酸塩を調製する方法を概説している。
スキームIII
スキームIIIは、以下のステップを含む:
(a)溶媒の存在下で化合物(A)をコハク酸と混合すること、
(b)ステップ(a)の混合物を加熱すること、
(c)場合により、ステップ(b)の混合物を研磨濾過すること、
(d)場合により、ステップ(b)または(c)の混合物にシーディング物質を添加すること、
(e)場合により、混合物に熱サイクルを行うこと、
(f)混合物を冷却すること、
(g)固体を収集すること、及び
(h)固体を乾燥させること。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、アセトン、アセトン/水(3:1)、アセトニトリル、アニソール、メタノール、エタノール、プロパノール、1-ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノールと水(3:1)の混合物、2-メトキシエタノール、メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと水(3:1)の混合物、メチルテトラヒドロフランと水(96:4)の混合物、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、またはそれらの混合物である。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、または1-ブタノールなどである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、エタノールである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、アニソールである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、メチルエチルケトンである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、酢酸エチルである。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の溶媒は、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランである。
ステップ(b)では、ステップ(a)の混合物は、約30℃~約100℃の温度に加熱される。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の混合物は、約35℃~約55℃の温度に加熱される。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の混合物は、約45℃~約55℃の温度に加熱される。
ある特定の実施形態では、ステップ(a)の混合物は、約50℃~約75℃の温度に加熱される。
ある特定の実施形態では、ステップ(b)の混合物は、バルク溶液から不要な微粒子を除去するために、場合により研磨濾過される。
ある特定の実施形態では、少量のシーディング物質が、ステップ(b)の混合物、またはステップ(c)が利用される場合はステップ(c)の混合物に添加される。
次いで、得られた混合物を、場合により「熱サイクル」条件下に一定時間置く。
「熱サイクル」という用語は、所定の速度、例えば、1℃/分、2℃/分、3℃/分、5℃/分、10℃/分などで混合物の加熱と冷却を交互に行うことを指す。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.1~約0.5℃/分の速度で行われる。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.1~約0.3℃/分の速度で行われる。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.2~約0.3℃/分の速度で行われる。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.2~約0.4℃/分の速度で行われる。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.3~約0.5℃/分の速度で行われる。
約1時間~約5時間などの一定時間、混合物に熱サイクルを行った後、混合物を周囲環境の温度に、または10℃未満の温度に冷却し、固体コハク酸塩を濾過によって収集する。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩は、以下を含む方法に従って調製されてよい:
(i)溶媒の存在下で化合物(A)をコハク酸と混合すること、
(ii)ステップ(i)の混合物を周囲温度~約80℃、もしくは約70℃の温度で、または約40℃に加熱すること、
(iii)場合により、ステップの混合物を研磨濾過すること、
(iv)場合により、混合物にシーディング物質として少量の結晶性コハク酸塩を添加すること、
(v)場合により、40℃~80℃、または40℃~80℃、または周囲温度~40℃の温度で、混合物に熱サイクルを行うこと、
(vi)ステップ(v)の反応混合物を周囲温度以下に冷却すること、及び
(vii)固体を収集し、化合物(A)のコハク酸塩を得ること。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩は、スキームIIIに従って調製
され、多形I型として特徴付けられる実質的に結晶形である。
ある特定の実施形態では、ステップ(i)の溶媒は、アセトン、アセトン/水(3:1)、アセトニトリル、アニソール、メタノール、エタノール、プロパノール、1-ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノール及び水(3:1)、2-メトキシエタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン及び水(3:1)、メチルテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン及び水(96:4)、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、またはそれらの混合物である。
ある特定の実施形態では、溶媒は、エタノールである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、メチルテトラヒドロフランである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、アニソールである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、メチルエチルケトンである。
多形形態及び調製
ある特定の実施形態では、本開示は、実質的に結晶形の遊離塩基化合物(A)を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、実質的に結晶形の化合物(A)の塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、馬尿酸塩及びコハク酸塩を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、実質的に結晶形の化合物(A)のコハク酸塩を提供する。
ある特定の実施形態では、本開示は、実質的に結晶形の化合物(A)のフマル酸塩を提供する。
「実質的に結晶形」という用語は、少なくとも特定の重量パーセントの化合物(A)またはその塩が結晶性であることを指す。特定の重量パーセントは、少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%及び99.9%を含む。
化合物の結晶形が、角度2θとして示される1つ以上のXRPDピークを使用して同定される場合、2θ値の各々は、別段の表記がない限り、所与の値±0.2度、例えば、所与の値±0.3を意味すると理解される。
化合物の結晶形が、DSCプロファイル(例えば、吸熱転移、融解などの開始)から1つ以上の温度を使用して同定される場合、温度値の各々は、別段の表記がない限り、所与の値±2℃を意味すると理解される。
ある特定の実施形態では、本開示は、遊離塩基化合物(A)の多形I型を提供する。
いくつかの実施形態では、遊離塩基化合物(A)の多形I型は、およそ6.1±0.20、15.4±0.20、16.0±0.20、及び22.1±0.20度の2シータ度
で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、遊離塩基化合物(A)の多形I型は、およそ約6.1±0.20、8.7±0.20、12.2±0.20、12.6±0.20、15.4±0.20、15.6±0.20、16.0±0.20、22.1±0.20、及び25.3±0.20度の2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、遊離塩基化合物(A)の多形I型は、およそ6.1±0.20、8.7±0.20、9.5±0.20、10.1±0.20、11.6±0.20、12.2±0.20、12.6±0.20、15.4±0.20、15.6±0.20、16.0±0.20、16.3±0.20、18.7±0.20、20.5±0.20、22.1±0.20、及び25.3±0.20度の2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
ある特定の実施形態では、本開示は、図1に示されるようなXRPDを有する遊離塩基化合物(A)の多形I型を提供する。
いくつかの実施形態では、遊離塩基化合物(A)の多形I型は、ジクロロメタンを含むが、これに限定されない好適な溶媒中に遊離塩基を溶解させることによって調製され得る。次いで、得られた溶液を濾過して蒸発乾固し、遊離塩基化合物(A)の多形I型を得る。
ある特定の実施形態では、本開示は、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型を提供する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.7±0.20、及び22.5±0.20度の2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.7±0.20、14.3±0.20、15.3±0.20、18.6±0.20、19.4±0.20、21.9±0.20、22.5±0.20、及び25.2±0.20度の2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.4±0.20、11.7±0.20、14.3±0.20、15.3±0.20、18.6±0.20、19.4±0.20、19.9±0.20、21.9±0.20、22.5±0.20、22.8±0.20、23.8±0.20、25.2±0.20、及び25.6±0.20度の2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、図4に示されるような2シータ度で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、以下の方法に従って調製され得る:
1)化合物(A)のコハク酸塩を溶媒または溶媒混合物と混合すること、
2)混合物を加熱すること、または混合物に熱サイクルを行うこと、
3)場合により、シーディング物質として化合物(A)のコハク酸塩の多形I型を少量添加すること、
4)混合溶液を攪拌すること、
5)混合物を冷却すること、及び
6)結晶を収集すること。
ある特定の実施形態では、ステップ(1)の溶媒は、アセトン、アセトン/水(3:1)、アセトニトリル、アニソール、メタノール、エタノール、プロパノール、1-ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノール及び水(3:1)、2-メトキシエタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン及び水(3:1)、メチルテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン及び水(96:4)、酢酸メチル、メチルエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、またはそれらの混合物である。
ある特定の実施形態では、溶媒はエタノールである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、酢酸エチルである。
ある特定の実施形態では、溶媒はアセトンである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。
ある特定の実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランである。
ある特定の実施形態では、混合物は、約30℃~約100℃、例えば、約35℃~約55℃、約45℃~約55℃、または約50℃~約75℃などの温度に加熱される。
あるいは、混合物は、約1℃/分、または2℃/分、または3℃/分の速度で、約50℃~約75℃などの約30℃~約100℃の温度である熱サイクル条件下に置かれる。約1時間~約5時間などの十分な時間の後、反応混合物を周囲環境の温度に、または10℃未満の温度に冷却し、結晶性コハク酸塩を濾過によって収集する。
ある特定の実施形態では、熱サイクルは、約0.1~約0.5℃/分、約0.1~約0.3℃/分、約0.2~約0.3℃/分、約0.2~約0.4℃/分、または約0.3~約0.5℃/分の速度である。
いくつかの実施形態では、本プロセスにおけるシーディング物質としての化合物(A)のコハク酸塩の多形I型の量は、非結晶性固体の約0.1重量%~約5重量%である。いくつかの実施形態では、シーディング物質としての多形I型の量は、非結晶性固体の約0.5重量%~約1重量%である。いくつかの実施形態では、シーディング物質としての多形I型の量は、非結晶性固体の約1重量%~約3重量%である。いくつかの実施形態では、シーディング物質としての結晶パターンBの量は、非結晶性固体の約0.1重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%、5.5重量%、6重量%、6.5重量%、7重量%、7.5重量%、8重量%、8.5重量%、9重量%、9.5重量%、10重量%、10.5重量%、11重量%、11.5重量%、12重量%、12.5重量%、13重量%、13.5重量%、14重量%、14.5重量%、15重量%、15.5重量%、16重量%、16.5重量%、17重量%、17.5重量%、18重量%、18.5重量%、
19重量%、19.5重量%、または20重量%である。
いくつかの実施形態では、結晶を収集するステップ(6)は、濾過によって、場合により続いて減圧下で乾燥させることによって達成されてよい。
いくつかの実施形態では、プロセスに対する十分な時間は、1時間~24時間である。他の実施形態では、十分な時間は、約4、6、8、10、12、14、または16時間である。
医薬組成物
ある特定の実施形態では、化合物(A)、またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩、または多形形態は、固体または液体形態で投与するために医薬組成物として製剤化され得、以下に適したものを含む:経口投与、例えば、錠剤、カプセル剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、またはペースト、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内または注入を含む非経口投与、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤として、局所適用、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくはスプレーとして、膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、ステントまたは泡として、舌下、眼、肺、カテーテルまたはステントによる局所送達、髄腔内、あるいは経鼻。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物(A)、またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩、または多形形態、ならびに場合により、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、不活性固体希釈剤及び充填剤を含む担体、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透促進剤、可溶化剤ならびにアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、追加の治療剤(例えば、化学療法薬)などの第2活性剤を含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、化合物(A)を薬学的に許容される担体と共に含み、これは、本明細書で使用される場合、あらゆる全ての溶媒、希釈剤、または他のビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などを、所望の特定の剤形に適するように含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、賦形剤を一切含まないカプセル剤に充填された化合物(A)を含む。例えば、化合物(A)、または化合物(A)のコハク酸塩、または化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、賦形剤を全く含まずに、硬ゼラチンカプセル剤中に直接充填されてよい。
いくつかの実施形態では、本組成物は、賦形剤を含まないカプセル内薬物として製剤化されてよい。
ある特定の実施形態では、カプセル内薬物組成物は、20mgの化合物(A)の遊離塩基に相当する化合物(A)のコハク酸塩を含む。
ある特定の実施形態では、カプセル内薬物組成物は、20mgの化合物(A)の遊離塩基に相当する化合物(A)のコハク酸塩の多形I型を含む。
ある特定の実施形態では、カプセル内薬物組成物は、40mgの化合物(A)の遊離塩基に相当する化合物(A)のコハク酸塩を含む。
ある特定の実施形態では、カプセル内薬物組成物は、40mgの化合物(A)の遊離塩基に相当する化合物(A)のコハク酸塩の多形I型を含む。
医薬組成物で用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブオイルなどの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合では所要の粒径の維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。
これらの組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、及び/または抗酸化剤なども含有し得る。化合物(A)に対する微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことによって確実に行われ得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物中に含むこともまた、望ましい可能性がある。加えて、注射用医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどを含むことによってもたらされ得る。
これらの製剤または組成物を調製する方法は、化合物(A)及び/または化学療法薬を担体及び場合により、1つ以上の副成分と組み合わせるステップを含む。一般に、製剤は、化合物(A)を液体担体、もしくは微粉化固体担体、またはその両方と均一かつ密接に組み合わせ、次いで、必要であれば、生成物を成形することによって調製される。
そのような医薬組成物の調製は、当該技術分野において周知である。例えば、Anderson,Philip O.、Knoben,James E.、Troutman,William G,eds.,Handbook of Clinical Drug
Data,Tenth Edition,McGraw-Hill,2002、Pratt and Taylor,eds.,Principles of Drug Action,Third Edition,Churchill Livingston,New York,1990、Katzung,ed.,Basic and Clinical Pharmacology,Ninth Edition,McGraw Hill,2003、Goodman and Gilman,eds.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth
Edition,McGraw Hill,2001、Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Ed.,Lippincott Williams&Wilkins.,2000、Martindale,The Extra Pharmacopoeia,Thirty-Second Edition(The Pharmaceutical Press,London,1999)を参照し、その全ての全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
剤形
化合物(A)、またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩、または多形形態は、治療有効量の化合物(A)及び場合により1つ以上の追加の治療剤、例えば、化学療法剤などを含む薬学的に許容される組成物の、場合により、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に製剤化された形態で送達され得る。いくつかの実施形態では、化合物(A)のみが、追加の治療剤を含むことなく剤形中に含まれてよい。いくつかの場合では、化合物(A)及び追加の治療剤は、別個の医薬組成物で投与され、(例えば、異なる物理的及び/または化学的特徴に起因して)異なる経路によって投与されてよい(例えば、ある治療薬は経口投与され得るが、他の治療薬は静脈内に投与され得る)。他の場合では、化合物(A)及び追加の治療剤は、別個ではあるが、同じ経路を介して(例えば、両方とも経口または両方とも静脈内に)投与されてよい。さらに他の場合では、化合物(A)及び追加の治療剤は、同じ医薬組成物(例えば、固定用量の組合せ)で投与され得る。
選択される投与量レベルは、例えば、状態の重症度、投与経路、投与時間、処置期間、化合物(A)と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/または物質の投与、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態及び過去の病歴、ならびに医療分野において周知の同様の要因を含む、様々な要因に依存することになる。
化合物(A)またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩の用量漸増試験は、以下の実施例に記載されている。これらの試験は、化合物(A)またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩の好適な用量を決定するために使用された。以下に記載されるように、コハク酸塩の形態で化合物(A)を用いて処置された対象の疾患安定化が、40mg(遊離塩基)QDコホートで報告された。いくつかの実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の投与量は、約40mg、80mg、120mg、または160mg/日の化合物(A)の遊離塩基に相当する。患者はまた、最大で180mg/日を投与され、この投与量で応答を得た。したがって、ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の形態で投与される化合物(A)の投与量は、約200mg/日未満である。一実施形態では、用量範囲は、約40mg~約200mg/日の化合物(A)である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、約80mg~約160mg/日の化合物(A)である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、約120mg~約160mg/日の化合物(A)である。これらの範囲内の特定用量としては、1日あたり、40mg、60mg、80mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mg及び200mgの化合物(A)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される投与量は、化合物(A)のコハク酸塩の形態で、または化合物(A)のコハク酸塩の多形I型の形態で投与される。
本明細書で使用される場合、投薬レジメンにおける化合物(A)またはその薬学的に許容される形態の用量(例えば、ミリグラム(mg))は、遊離塩基としての化合物(A)の重量を指す。同様に、本明細書に記載される医薬組成物中における化合物(A)またはその薬学的に許容される形態の重量は、遊離塩基としての化合物(A)の重量を指す。投薬レジメンまたは医薬組成物中における化合物(A)の薬学的に許容される形態(例えば、塩、水和物など)に対応する重量は、それに応じて算出されてよい。
本明細書に記載される医薬組成物中における活性成分の実際の用量レベルは、患者に対して毒性がなく、特定の患者、組成物、及び投与方法に関して所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量を得るように変更され得る。いくつかの場合では、前述した範囲の下限未満の投与量レベルが十分過ぎる可能性がある一方で他の場合では、さらに大きな用量が、例えば、そのようなより大きな用量をいくつかの小用量に分割し、1日かけて投与することによって有害な副作用を一切引き起こすことなく用いられ得る。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、毎日、隔日、1週間に3回、1週間に2回、毎週、隔週、または別の間欠的スケジュールで投与され得る。投薬スケジュールは「休薬」を含み得、すなわち、薬物が、2週間の投与、1週間の休薬、もしくは3週間の投与、1週間の休薬、もしくは4週間の投与、1週間の休薬など、または休薬することなく継続的に投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物(A)は、28日サイクルで毎日投与される。他の実施形態では、化合物(A)は、21日サイクルで毎日投与される。いくつかの実施形態では、化合物(A)は、少なくとも3日間連続で、例えば、少なくとも5日間連続で、少なくとも7日間連続で、少なくとも14日間連続で、少なくとも21日間連続で、または少なくとも28日間連続で毎日(例えば、1日1回または1日2回)投与される。化合物(A)は、経口、経直腸、非経口、静脈内、腹腔内、局所、経皮、筋肉内、皮下、大槽内、膣内、鼻腔内、舌下、頬側、または任意の他の経路によって投与されてよい。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、複数回用量で投与されてよい。投薬は、1日あたり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、または6回を超える回数であってよい。好ましい実施形態では、投薬は、1日1回または1日2回である。例えば、化合物(A)の投与量は、60mgを1日2回、80mgを1日2回、120mgを1日1回または160mgを1日1回であってよい。投薬は、1か月に約1回、2週間ごとに約1回、1週間に約1回、または隔日に約1回であり得る。いくつかの実施形態では、化合物(A)及び別の薬剤が、一緒に1日に約1回~1日に約6回投与される。例えば、化合物(A)は、無期限に、毎週(例えば、毎週月曜日)または数週間、例えば、4~10週間、1日に1回以上投与され得る。あるいは、それは数日間(例えば、2~10日間)毎日投与され、続いて数日間(例えば、1~30日間)化合物の投与が行われず、このサイクルが無期限に、または所与の繰り返し回数で、例えば、4~10サイクル繰り返され得る。一例として、化合物(A)は、5日間毎日投与され、次いで9日間中断され、次いでさらに5日間毎日投与され、次いで9日間中断される得ることなどを無期限に、または合計で4~10回のサイクルで繰り返される。いくつかの実施形態では、化合物(A)及び薬剤の投与の継続は、約7日未満である。さらにいくつかの実施形態では、投与は、約6日間、約10日間、約14日間、約28日間、約2か月間、約6か月間、または約1年間を超えて継続される。いくつかの場合には、継続的投薬が達成され、必要な限り維持され得る。
本明細書に開示されるような医薬組成物の投与は、必要な限り継続され得る。いくつかの実施形態では、化合物(A)は、約1日、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約14日間、約21日間、または約28日間を超えて投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような薬剤は、約28日、約21日、約14日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、または約1日未満で投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物(A)は、例えば、慢性効果の処置のために、継続して長期的に投与され得る。
いくつかの実施形態では、本方法は、患者において化合物(A)の血漿濃度Cを達成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、Cは、約20ng/mL以上、例えば、30ng/mL以上、約40ng/mL以上、または約50ng/mL以上である。いくつかの実施形態では、血漿濃度は、濃度C以上で、少なくとも約4時間、例えば、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、または少なくとも約24時間維持される。いくつかの実施形態では、血漿濃度は、患者において化合物(A)の血漿濃度Cを超えて上昇しない。いくつかの実施形態では、Cは、約100ng/mL以下、例えば、約80ng/mL以下、または約60ng/mL以下である。いくつかの実施形態では、化合物(A)の血漿濃度は、約20~100ng/mL、約20~80ng/mL、約20~60ng/mL、約40~100ng/mL、約40~80ng/mL、約40~60ng/mL、約50~100ng/mL、約50~80ng/mL、または約50~60ng/mLであってよく、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、または少なくとも約24時間の範囲内で維持されてよい。実施例4ならびに図2A及びBは、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型として提供される化合物(A)の薬物動態の試験を例証する。
化合物(A)は、他の処置(追加の化学療法薬、放射線または外科手術など)と組み合わせて投与される場合があるため、各薬剤または療法の用量は、単剤療法の対応する用量よりも少なくなり得る。
化合物(A)が、1つ以上の薬剤を含む医薬組成物で投与され、かつ薬剤のうち1つ以上が化合物(A)よりも短い半減期を有する場合、薬剤(複数可)及び化合物(A)の単
位用量形態は、それに応じて調整され得る。
化合物(A)は、1つ以上の単位投与量として、例えば、カプセル剤または錠剤で投与され、所望の投与量を達成し得る。例えば、化合物(A)の単位投与量は、5mg、20mg、または40mgであってよい。一例として、160mgの1日用量では、患者は8個の20mgカプセル剤または4個の40mgカプセル剤を投与される場合がある。化合物(A)を含む医薬組成物は、単一の単位投与量または複数の単位投与量であってよい。例えば、160mgの化合物(A)を含む医薬組成物は、160mgの化合物(A)を含む単一の単位投与量(例えば、カプセル剤)であってよいか、または合計で160mgの化合物(A)(例えば、4個の40mgカプセル剤)を含む複数の単位投与量(例えば、カプセル剤)であってよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)、コハク酸塩を含むその塩、及びその多形形態は、経口、非経口、吸入スプレーによって、局所、経直腸、経鼻、頬側、経膣または埋め込みリザーバを介して投与されてよい。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内注射または注入技術を含む。ある特定の実施形態では、組成物は経口投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、静脈内、または皮下に投与される。
治療方法
化合物(A)、またはコハク酸塩を含むその薬学的に許容される塩、または多形形態は、変異体EGFR及び/またはHER2タンパク質を阻害することができる。例えば、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、変異体EGFRタンパク質、例えば、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有するEGFRを阻害する場合がある。いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、野生型EGFRよりも、1つ以上のエクソン20変異を有するEGFRなどの変異体EGFRを選択的に阻害する。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、変異体EGFR、例えば、エクソン19またはエクソン21変異と共にエクソン20点変異を有するEGFRなどを選択的に阻害する。したがって、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、変異体EGFR活性と関連する疾患及び障害を改善するのに効果的な可能性がある。別の例では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、変異体HER2タンパク質、例えば、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有するHER2を阻害する場合がある。
いくつかの実施形態では、他のEGFR阻害剤またはその薬学的に許容される塩は、変異体EGFR、例えば、エクソン19またはエクソン21変異と共にエクソン20点変異を有するEGFRなどを選択的に阻害する場合がある。
いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する疾患及び障害を処置するために、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物B)及びイソプロピル2-((5-アクリルアミド-2-メトキシ-4-(メチル(2-(メチルアミノ)エチル)-アミノ)フェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物C)、またはその薬学的に許容される塩から選択されてよい。化合物(B)及び(C)またはその薬学的に許容される塩は、WO2015/195228に記載される方法に従って生成されてよく、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、野生型EGFRよりも、1つ以上のエクソン20変異を有するHER2などの変異体HER2を選択的に阻害する。したがって、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、変異体HER2活性と関連する疾患及び障害を改善するのに効果的な可能性がある。
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む組成物が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
いくつかの実施形態では、本組成物は、賦形剤を全く含まないカプセル剤に充填された化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む。
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される疾患または障害を処置する方法を提供し、本方法は、治療有効量の化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩または化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与すること含む。
いくつかの実施形態は、対象のエクソン20変異体EGFR媒介性障害を処置する方法を提供し、本方法は、治療有効量の化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩または化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与すること含む。
いくつかの実施形態は、対象のエクソン20変異体HER2媒介性障害を処置する方法を提供し、本方法は、治療有効量の化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩または化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与すること含む。
いくつかの実施形態は、対象の本明細書に記載される疾患または障害を処置するために、化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩または化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用を提供する。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、エクソン20変異体EGFRと関連する。
いくつかの実施形態では、疾患または障害は、対象のエクソン20変異体HER2障害と関連する。
いくつかの実施形態は、対象の本明細書に記載される疾患または障害を処置するための医薬の製造における、化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩または化合物(A)もしくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用を提供する。
いくつかの実施形態では、疾患または障害はがんであり、すなわち、がんは、変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する。いくつかの実施形態では、がんは、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する変異体EGFRと関連する。例えば、がんは、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入変異を有する変異体EGFRと関連するか、またはがんは、エクソン20ドメインに1つ以上の欠失変異を有する変異体EGFRと関連するか、またはがんは、1つ以上の点変異を有する変異体EGFRと関連する。いくつかの実施形態では、がんは、変異体HER2と関連する。いくつかの実施形態では、がんは、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する変異体HER2と関連する。例えば、がんは、エクソン20ドメインに1つ以上の欠失変異を有する変異体HER2と関連するか、またはがんは、1つ以上の点変異を有する変異体HER2と関連する。
いくつかの実施形態では、がんは、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌及び胃癌から選択される。例えば、がんは非小細胞肺癌であるか、またはがんは乳癌である。ある特定の実施形態では、がんは非小細胞肺癌である。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、約20mg~約200mg(例えば、約20、40、60、80、120、160または180mg)の化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。特定の一実施形態では、医薬組成物は、約40mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩である。
いくつかの実施形態では、医薬投与量は、1つ以上のカプセル剤または錠剤として投与される。
特定の実施形態は、60mg、80mg、120mg、または160mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む医薬投与レジメンである。いくつかの実施形態では、投与量は、約120mgである。いくつかの実施形態では、投与量は、約160mgである。
いくつかの実施形態では、医薬投与レジメンは、経口投与のための固体剤形、例えば、カプセル剤または錠剤(1つ以上のカプセル剤または錠剤を含む)である。いくつかの実施形態では、医薬投与量は、1日1回投与されるか、あるいは、医薬投与量は1日2回投与されてよい。
いくつかの実施形態では、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩は、液体剤形である。
特定の一実施形態は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入を有する変異体EGFRと関連する非小細胞肺癌を処置する方法であり、本方法は、それを必要とする患者に、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、60mgの用量で1日2回投与することを含む。
別の特定の実施形態は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入を有する変異体EGFRと関連する非小細胞肺癌を処置する方法であり、本方法は、それを必要とする患者に、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、80mgの用量で1日2回投与することを含む。
別の特定の実施形態は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入を有する変異体EGFRと関連する非小細胞肺癌を処置する方法であり、本方法は、それを必要とする患者に、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、120mgの用量で1日1回投与することを含む。
別の特定の実施形態は、エクソン20ドメインに1つ以上の挿入を有する変異体EGFRと関連する非小細胞肺癌を処置する方法であり、本方法は、それを必要とする患者に、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を、160mgの用量で1日1回投与することを含む。
ある特定の実施形態では、化合物(A)、コハク酸塩を含むその塩、及びその多形形態は、変異体EGFRと関連する疾患を処置するために使用されてよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩または化合物(A)のコハク酸塩
の多形I型は、変異体EGFRと関連する疾患を処置するために使用されてよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩または化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、経口投与されてよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩または化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、賦形剤を全く含まないカプセル内薬物として製剤化され、経口投与されてよい。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩は、160mgの遊離塩基に相当する用量で1日1回または80mgの遊離塩基に相当する用量で1日2回経口投与されてよく、カプセル内薬物は、40mgの化合物(A)のコハク酸塩を含む。
ある特定の実施形態では、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型は、160mgの遊離塩基に相当する用量で1日1回または80mgの遊離塩基に相当する用量で1日2回経口投与されてよい。
ある特定の実施形態では、変異体EGFRと関連する疾患はがんであり、肺癌(NSCLC及びSCLCを含む)、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、胃の癌、膀胱癌、神経膠腫癌、または胃癌を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、変異体EGFRがんは、非小細胞肺癌である。
いくつかの実施形態では、変異体EGFRを発現する細胞、組織、または臓器を化合物(A)と接触させることによって、変異体EGFR活性を阻害する方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象(ヒトなどの哺乳動物を含む)に有効量の化合物(A)を投与し、対象の変異体EGFRの活性を阻害または減少させることによって、対象の変異体EGFR活性を阻害する方法が提供される。いくつかの実施形態では、キナーゼ活性は、化合物(A)と接触させる場合、そのような接触を行わないキナーゼ活性と比較して、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%を超えて阻害(例えば、減少)され得る。いくつかの実施形態では、キナーゼは、エクソン20変異体EGFRであり得る。例えば、変異体EGFRは、エクソン20変異体EGFRであり得る。
別の実施形態では、化合物(A)は、エクソン20変異体EGFR Val769_Asp770insAlaSerVal及び/またはAsp770_Asn771insAsnProGly挿入変異に対して阻害活性を示す。いくつかの実施形態では、化合物(A)は、エクソン20変異体EGFR Asp770_Asn771insSVD、His773_Val774insNPH、及びAla763_Tyr764insFQEA挿入変異のうち1つ以上に対して阻害活性を示す。本明細書で提供される場合、変異体EGFR媒介性障害の処置方法は、表1に列挙されるようなエクソン20挿入変異を有する対象を含む。
表1
他の実施形態では、エクソン20挿入変異は、Val769_Asp770insAlaSerVal及び/またはAsp770_Asn771 insAsnProGlyから選択され得る。他の実施形態では、エクソン20挿入変異は、Asp770_Asn771insSVD、His773_Val774insNPH、及びAla763_Tyr764insFQEAから選択され得る。
いくつかの実施形態では、HER2を有効量の本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物と接触させてHER2活性を阻害することによって、変異体HER2活性を阻害する(例えば、選択的に調節する)方法が開示される。いくつかの実施形態では、変異体HER2は、1つ以上のエクソン20変異を有する。いくつかの実施形態では、キナーゼを有効量の化合物を含有する溶液と接触させてHER2を阻害することによって、キナーゼ活性を阻害する方法が提供される。いくつかの実施形態では、キナーゼを発現する細胞、組織、または臓器を化合物(A)と接触させることによって、HER2キナーゼ活性を阻害する方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象に有効量の化合物(A)を投与することによって、対象のキナーゼ活性を阻害する方法。いくつかの実施形態では、キナーゼ活性は、化合物(A)と接触させる場合、そのような接触を行わないキナーゼ活性と比較して、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%を超えて阻害(例えば、減少)され得る。いくつかの実施形態では、キナーゼは、エクソン20変異体HER2であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象(ヒトなどの哺乳動物を含む)を、対象の変異体HER2の活性を阻害または減少させるのに十分な量の化合物(A)と接触させることによって、対象の変異体HER2活性を阻害する方法である。例えば、変異体HER2は、エクソン20変異体HER2であり得る。
いくつかの実施形態では、エクソン20変異体HER2は、そのエクソン20ドメインに、HER2の少なくとも残基770~831について記録されている挿入変異を有する。(Arcila et al.Clin Cancer Res 2012、18:4910-4918、Shigematsu et.al.Cancer Res 2005、65:1642-46)。一実施形態では、化合物(A)は、表2に示されるHER2エクソン20挿入変異体のうち1つ以上に対して阻害活性を示す。
表2
別の実施形態では、化合物(A)は、Ala775_Gly776insTyrValMetAlaエクソン20変異体HER2挿入変異に対して阻害活性を示す。変異体HER2媒介性障害の開示された処置方法は、とりわけ、エクソン20挿入変異Ala775_Gly776insTyrValMetAlaまたは表2に列挙される別のエクソン20挿入変異を有するような対象に適用できる。
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、EGFR/ERBB1、HER2/ERBB2/NEU、HER3/ERBB3、及びHER4/ERBB4を含む野生型受容体チロシンキナーゼに対して阻害活性を示す。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象の変異体EGFR媒介性障害を処置
する方法であり、本方法は、治療有効量の本明細書で提供されるような化合物(A)または医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象の変異体EGFR媒介性障害を改善する方法であり、本方法は、治療有効量の本明細書で提供されるような化合物(A)または医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、変異体EGFRを阻害する方法であり、本方法は、インビトロまたはインビボで変異体EGFRを発現する細胞を、本明細書で提供される有効量の化合物(A)または組成物と接触させることを含む。これら全ての実施形態では、変異体は、例えば、エクソン20挿入変異体であり得る。いくつかの実施形態では、変異体は、場合によりエクソン19D及び/またはエクソン21Lなどの別の変異を伴う、エクソン20点変異であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、別の抗がん剤(複数可)(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、ダコミチニブ)に抵抗性を示す変異体EGFR媒介性障害、例えば、変異がエクソン20挿入であるものなどを処置する方法であり、本方法は、治療有効量の化合物(A)を、それを必要とする対象に投与することを含む。
特定の理論にも制限されることなく、1つ以上のエクソン20挿入変異を有するEGFRは、肺癌(例えば、非小細胞肺癌NSCLC、SCLC、肺腺癌)、結腸直腸癌、膵臓癌、及び頭頸部癌と関連している。エクソン20挿入変異は、NSCLCで最も高頻度に見られる:西ヨーロッパ人の15%、東アジア人の30%、及び非喫煙者の50%。(Yasuda 2012)。頭頸部癌では、変異体EGFRを標的とする現在の療法としては、キメラマウス-ヒトIgG1抗体であるセツキシマブが挙げられる。(Chong et al.Nature Med.2013、19(11):1389-1400)。エクソン20変異体EGFR結腸直腸癌は、セツキシマブ及び完全ヒト化IgG2抗体であるパニツムマブを使用して処置される。同文献。エクソン20変異体EGFR膵臓癌は、エルロチニブで処置される。同文献。場合によりエクソン19D及び/またはエクソン21L変異を伴う、T790M点変異を有するEGFRは、がんがエルロチニブ及びゲフィチニブなどの1つ以上の他のTKIに対して抵抗性を発現しているNSCLCと関連している。
特定の理論にも制限されることなく、1つ以上のエクソン20挿入変異を有するHER2は、肺癌(例えば、NSCLC)、乳癌、卵巣癌、子宮癌、及び胃癌と関連している。(Santin et al.Int J Gynaecol Obstet 2008、102:128-31)。現在の療法としては、Herceptin及びペルツズマブが挙げられる。HER2変異は、NSCLCの約2~4%に存在する:それらの患者の80~84%は、YVMAエクソン20挿入変異を有する。(Arcila 2012)。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、変異体EGFRまたは変異体HER2のうち1種以上と関連する疾患を含むが、これらに限定されない疾患状態を処置するために、本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物を使用する方法である。いくつかの実施形態では、本開示は、対象の過剰増殖性障害を処置する方法に関し、本方法は、対象に治療有効量の本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、対象のがんを処置する方法に関し、本方法は、対象に治療有効量の本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組
成物を投与することを含む。
化合物(A)及び医薬組成物は、それを必要とする対象の変異体EGFRまたは変異体HER2障害を処置するための医薬の製造を目的として本明細書で開示される。化合物(A)及び医薬組成物を必要とする対象の変異体EGFR媒介性障害または変異体HER2媒介性障害の処置を目的とした化合物(A)及び医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、変異体は、エクソン20挿入変異であり得る。いくつかの実施形態では、変異体は、場合によりエクソン19D及び/またはエクソン21Lなどの別の変異を伴う、エクソン20点変異であり得る。
本明細書で提供されるような方法に従って、本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物で処置されてよい患者としては、肺癌(NSCLC及びSCLC)、結腸直腸癌、膵臓癌及び頭頸部癌を有すると診断されている患者が挙げられるが、彼らに限定されない。他の実施形態では、患者は、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、及び胃癌と診断される場合がある。他の実施形態では、患者は、胃の癌、膀胱癌、神経膠腫、及び胃癌と診断される場合がある。
いくつかの実施形態では、化合物(A)で処置される患者は、(1)EGFRエクソン20活性化挿入を有し、活性で測定可能なCNS転移を有しないが、過去にEGFR TKIに応答した患者を除く、NSCLC患者、(2)HER2エクソン20活性化挿入または点変異を有するが、活性で測定可能なCNS転移を有しないNSCLC患者、(3)EGFRエクソン20活性化挿入もしくはHER2エクソン20活性化挿入または点変異を有し、かつ活性で測定可能なCNS転移を有するNSCLC患者、(4)活性で測定可能なCNS転移の有無にかかわらず、化合物(A)が有効な他の標的(例としては、EGFRエクソン19欠失またはエクソン21置換[T790M変異の有無にかかわらず]及び他の稀なEGFR活性化変異が挙げられる)を有するNSCLC患者、(5)活性で測定可能なCNS転移の有無にかかわらず、化合物(A)が有効な標的(例としては、EGFR/HER2活性化変異が挙げられる)を有するNSCLC以外の固形腫瘍を有する患者、及び/または(6)活性で測定可能なCNS転移の有無にかかわらず、過去にEGFR TKIに応答した患者を含む、EGFRエクソン20活性化挿入を有するNSCLC患者である。いくつかの実施形態では、化合物(A)で処置される患者は、EGFRエクソン20活性化挿入を有するNSCLC患者である。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害と関連する症状は、対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%減少し得る。対照レベルは、当該技術分野において既知のような任意の適切な対照を含む。例えば、対照レベルは、処置された試料または対象の処置前のレベルであり得るか、あるいはそれが対照集団のレベル(例えば、疾患もしくは障害を有しない対象のレベルまたは疾患もしくは障害を有しない対象に由来する試料のレベル)であり得る。いくつかの実施形態では、減少は、例えば、適切なパラメトリックまたはノンパラメトリック統計比較を使用して評価されるような、統計的に有意であり得る。
いくつかの実施形態では、変異体EGFR媒介性障害または変異体HER2媒介性障害の処置は、対象の、固形腫瘍または他の形態のがん、例えば、白血病などを含むがんの成長、発生または拡散を阻害、鈍化または逆転させるために、治療有効量の化合物(A)を、それを必要とするヒトまたは動物に(単独療法として、または1つ以上の他の抗がん剤、副作用を改善するための1つ以上の薬剤、放射線などと組み合わせて)投与することを
含む。そのような投与は、化合物(A)またはその薬学的に許容される形態によって阻害される1つ以上のキナーゼによって媒介される疾患の処置または予防方法を構成する。一実施形態では、変異体は、エクソン20挿入変異であり得る。
併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるのは、他の経路、または同じ経路の他の成分、あるいは標的酵素の重複するセットを調節することが知られている薬剤が、化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)と組み合わせて使用される併用療法の方法である。一実施形態では、そのような療法は、相乗的または相加的な治療効果を提供するために、化合物(A)と化学療法剤、治療用抗体、及び放射線治療との組合せを含むが、これらに限定されない。
組合せとして投与される場合、治療剤は、同時にもしくは異なる時間で順次投与される別個の組成物として製剤化され得るか、または治療剤は、単一組成物として投与され得る。「併用療法」という語句は、化合物(A)を別の医薬品と共に使用することを指す場合、実質的には同時の各薬剤の共投与に加えて、各薬剤の逐次投与を意味し、いずれの場合も、薬物の組合せの有益な効果を提供することになるレジメンにおける。共投与は、とりわけ、例えば、単一の錠剤、カプセル剤、注射または一定割合のこれらの活性剤を有する他の剤形で同時送達することに加えて、各薬剤についてそれぞれ複数の別個の剤形で同時送達することを含む。したがって、化合物(A)の投与は、がんの予防または処置において当業者に既知の追加療法、例えば、放射線療法または細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤、他の抗がん剤及びがんの症状もしくは薬物のいずれかの副作用を改善するための他の薬物などと組み合わせて行われ得る。
固定用量として製剤化される場合、そのような製品の組合せは、好適な投与量範囲内で化合物(A)を用いる。化合物(A)はまた、製剤の組合せが不適切である場合、他の抗がん剤または細胞傷害剤と共に順次投与され得る。本明細書で定義される通り、併用療法は投与の順序に限定されず、化合物(A)は、他の抗がん剤または細胞傷害剤の投与前、投与と同時に、または投与後に投与され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩、キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、抗体など)、免疫抑制剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、または抗血管過剰増殖化合物から選択される追加の薬剤、及び任意の薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含み得る。
本明細書に開示される代替医薬組成物は、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む。そのような組成物は、例えば、キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、抗体など)、免疫抑制剤、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、または抗血管過剰増殖化合物を含む、1つ以上の追加の治療剤を場合により含み得る。
一実施形態では、本明細書で提供されるような化合物(A)またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物は、他のキナーゼ(複数可)産生または活性を阻害する薬剤と組み合わせて投与される場合、相乗的または相加的有効性を提示し得る。そのような組合せは、そのような効果が生じる場合、本明細書に記載される化合物及び組成物の望ましくない副作用を減少させ得る。
いくつかの実施形態では、処置は1つ以上の他のがん療法と組み合わせて提供され得、その療法としては、外科手術、放射線療法(例えば、ガンマ線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、陽子線療法、小線源療法、及び全身放射性同位体など)、内分泌療法、生物学的応答調節物質(例えば、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法、凍結療法、いずれかの有害作用を減弱させる薬剤(例えば、制吐薬)、ならびに他のがん化学療法薬が挙げられる。他の薬剤(複数可)は、化合物(A)と共に使用されるものと同じまたは異なる製剤、投与経路及び投薬スケジュールを使用して投与され得る。
変異体EGFR媒介性疾患及び変異体HER2媒介性疾患の処置については、本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物が、抗がん薬(例えば、抗増殖剤、抗血管新生剤及び他の化学療法剤)を含むが、これらに限定されない一般的に処方される薬物と組み合わせて使用され得る。
本明細書で提供されるような化合物(A)、またはその薬学的に許容される形態(例えば、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、及び同位体標識誘導体)、または医薬組成物は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤、解糖阻害剤、またはオートファジー阻害剤から選択される、ある量の1つ以上の物質と組み合わせて使用され得る。
化合物(A)は、処置される状態に応じて、本明細書で提供される薬剤または他の好適な薬剤と組み合わせて使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、化合物(A)は、上記のような他の薬剤と共投与されることになる。併用療法で使用される場合、化合物(A)は、第2薬剤と同時にまたは別個に投与され得る。この組合せ投与は、同じ剤形で2つの薬剤を同時に投与すること、別個の剤形で同時に投与すること、及び個別に投与することを含み得る。すなわち、化合物(A)及び上記薬剤のいずれかは、同じ剤形で一緒に製剤化され、同時に投与され得る。あるいは、化合物(A)及び上記薬剤のいずれかは同時に投与され得、両方の薬剤が別個の製剤で存在する。別の代替案では、化合物(A)は、上記薬剤のいずれかの直後に投与され得るか、またはその逆も同様に行われ得る。個別投与のプロトコールでは、化合物(A)及び上記薬剤のいずれかは、数分間隔、または数時間間隔、または数日間隔で投与され得る。
化合物(A)の投与は、作用部位への化合物(A)の送達を可能にする任意の方法によって行われ得る。有効量の化合物(A)は、直腸、頬側、鼻腔内及び経皮経路を含む、動脈内注射による、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入剤として、または、例えば、ステント、もしくは動脈挿入円筒形ポリマーなどの浸透もしくはコーティングデバイスを介する、類似した有用性を有する薬剤の認められている投与方法のいずれかによって、単回または複数回用量のいずれかで投与され得る。
化合物(A)が、1つ以上の薬剤を含む医薬組成物で投与され、かつ薬剤が化合物(A)よりも短い半減期を有する場合、薬剤及び化合物(A)の単位用量形態は、それに応じて調整され得る。
次の略語は、以下に記載される定義を有する:
AlCl:塩化アルミニウム
2-BuOH:2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)
DCE:1,2-ジクロロエタン
DCM:ジクロロメタン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
h:時間(複数可)
IPA:イソ-プロパノール
i-PrまたはiPr:イソプロピル
IPOAc:酢酸イソプロピル
IT:内部温度
KOTMS:カリウムトリメチルシラノレート
MeCN:アセトニトリル
MeOH:メタノール
MeTHF:メチルテトラヒドロフラン
2-MeTHF:2-メチルテトラヒドロフラン
NMR:核磁気共鳴
PTSA:p-トルエンスルホン酸一水和物
RT:室温
THF:テトラヒドロフラン
T3P:プロピルホスホン酸無水物
H核磁気共鳴分光法(H NMR)
H NMR実験を、Bruker AVA500またはPRO500分光計(H周波数:500MHz)で実施した。試料を、ガラスアンプルからCDClまたはd-DMSO中で調製した。各試料を約10mM濃度に調製した。
X線粉末回折(XRPD)
試料を3~35°2θで走査した。材料を、Kaptonフィルム上に載せたウェルへと穏やかに圧縮した。次いで、試料をPANalytical X’Pert Pro回折計に載せて透過モードで実行し、以下の実験条件を使用して分析した:
生データ元 XRD測定値
開始位置[°2Th.] 3.0066
終了位置[°2Th.] 34.9866
ステップサイズ[°2Th.] 0.0130
走査ステップ時間[s] 67.9377
走査タイプ 連続
PSDモード 走査
PSD長[°29] 3.35
オフセット[°29] 0.0000
発散スリットタイプ 固定
発散スリットサイズ[°] 1.0000
検体長[mm] 10.00
測定温度[℃] 25.00
陽極物質 Cu
K-アルファ1[Å] 1.54060
K-アルファ2[Å] 1.54443
K-A2/K-A1比 0.50000
発生装置設定 40mA、40kV
ゴニオメーター半径[mm]: 240.00
焦点距離-発散スリット[mm] 91.00
入射ビームモノクロメーター なし
スピニング なし
熱重量/示差熱分析(TG/DTA)
およそ5mgの物質を、蓋を取ったアルミニウム鍋に量り取り、同時熱重量/示差熱分析装置(TG/DTA)に載せて室温で平衡化した。次いで、試料を10℃/分の速度で25℃~300℃に加熱し、その間、試料重量の変化をあらゆる示差熱事象と共に記録した(DTA)。窒素をパージガスとして300cm/分の流速で使用した。
不安定な溶媒和物を用いる場合、湿らせた物質をアルミニウム鍋に添加し、恒量が観察されるまで300cm/分の窒素流下で乾燥させた。
示差走査熱量測定(DSC)
およそ5mgの物質をアルミニウムDSC鍋に量り取り、穴の開いたアルミニウム蓋で密閉せずに封止した。次いで、試料の鍋をSeiko DSC6200(冷却器を装備)に載せた。試料及び標準物質を10℃/分の加熱速度で最大220℃(指定がない限り)まで加熱し、得られた熱流応答をモニターした。続いて、試料を10℃/分の冷却速度で20℃まで冷却し、あらゆる熱事象を記録した。次いで、最初の加熱実行と同じパラメータを使用して、2回目の加熱実行を実施した。
不安定な溶媒和物を用いる場合、湿らせた物質をアルミニウムDSC鍋に添加し、物質が目に見えて乾燥したことが分かるまで窒素流下で乾燥させた。
実施例1 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物(A))の調製手順。
ステップ1:イソプロピル2-クロロ-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの調製。
メカニカルスターラー、温度計、及び還流コンデンサーを備えた2LのRadleyリアクターに、イソプロピル2,4-ジクロロピリミジン-5-カルボキシレート(100g、42.5mmol、1.00当量)及び1,2-ジメトキシエタン(DME、1.2L、12vol)を室温で充填した。混合物を3℃に冷却し、顆粒AlCl(65.5g、49.1mmol、1.15当量)を2回に分けて添加した(IT3~12℃、ジャケット設定0℃)。白色スラリーを15~25℃で60分間攪拌した。1-メチルインドール(59g、44.9mmol、1.06当量)を一度に添加した(IT20~21℃)。DME(100mL)を使用して、1-メチルインドールの移動を促した。反応混合物を35℃で24時間エージングした。試料(1mL)を、HPLC分析用に5時間及び24時間で取り出した(TM1195)。
5時間で反応物は70%の変換を示したが、24時間後には所望の変換を達成した(≦98%)。
反応混合物を0℃~5℃まで冷却し、1時間攪拌した。固体を濾過によって収集し、DME(100mL)で洗浄した。固体(AlCl複合体)をリアクターに戻して充填し、続いて2-MeTHF(1L、10vol)、及び水(400mL、4vol)を充填した。混合物を10分間攪拌した。攪拌を停止して、層を分離させた。有機相を水(200mL、2vol)で洗浄した。組み合わせた水相を2-MeTHF(100mL、1vol)で再抽出した。
後処理中に、少量の生成表題化合物が結晶化を開始した。後処理中の温度は、約25~40℃でなければならない。
組み合わせた有機相を、軽度の真空下で300~350mLに濃縮した(IT40~61℃)。内部温度を50℃~60℃に維持しながら、ヘプタン(550mL)を充填した。得られたスラリーを25℃で15分かけて冷却し、1時間エージングして(19~25℃)、得られた固体を濾過によって単離した。
生成物を50℃で真空下において3日間乾燥させ、108.1g(77%収率)の表題化合物を100%の純度(AUC)で黄色固体として得た。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.24 (d,
J=6.53 Hz, 6 H) 3.92 (s, 3 H) 5.19 (spt, J=6.27 Hz, 1 H) 7.25 - 7.35 (m, 2 H) 7.59 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 8.07 (s, 1 H) 8.16 (d, J=7.53 Hz, 1 H) 8.82 (s, 1 H).
ステップ2:イソプロピル2-((4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの調製。
アセトニトリル(1.4L、16.5v)中のステップ1の生成物(85.0g、258mmol、1.0当量)、4-フルオロ-2-メトキシ-5ニトロアニリン(57.0g、306mmol、1.2当量)及びPTSA一水和物(13.3g、70.0mmol、0.27当量)の混合物を、窒素下で2LのRadleyリアクター中において76~81℃に加熱した。IPCは、19時間で反応が完了したことを示した。
反応混合物を25℃に冷却し、水(80mL)を一度に充填した(充填中のITを25℃から19℃まで下げた)。反応混合物を21℃で1時間エージングし、次いで得られた固体を濾過によって単離した。生成物をEtOAc(2×150mL)で洗浄し、高真空中において50℃~60℃で44時間乾燥させて、121.5gの表題化合物(98%収率)をHPLC純度100%a/aで得て、NMRはPTSAがパージされたことを示した。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.21 (d,
J=6.02 Hz, 6 H) 3.91 (s, 3 H) 4.02 (s, 3 H) 5.09 (spt, J=6.27 Hz, 1 H) 7.10 (t,
J=7.53 Hz, 1 H) 7.26 (t, J=7.58 Hz, 1 H) 7.42 (d, J=13.05 Hz, 1 H) 7.55 (d, J=8.53 Hz, 1 H) 7.90 (br d, J=7.53 Hz, 1 H)
7.98 (s, 1 H) 8.75 (s, 1 H) 8.88 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 9.03 (s, 1 H).
ステップ3:イソプロピル2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの調製。
50Lのフラスコに、1.500kgのステップ2の生成物(3.1モル、1.0当量)、639.0gのN,N,N-トリメチルエチレンジアミン(6.3mol、2当量)、及び21LのMeCNを充填した。得られたスラリーを7時間、還流状態で混合した。反応物を一晩冷却した。水(16.5L)を添加してから、固体を単離した。固体の単離後、2.25Lの水中で2.25LのMeCNを洗浄して表題化合物を得た。固体を真空下において75℃で乾燥させた。乾燥固体のHPLC純度a/a%は99.3%であった。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.22 (d,
J=6.02 Hz, 6 H) 2.09 - 2.13 (m, 1 H) 2.19 (s, 6 H) 2.49 - 2.52 (m, 1 H) 2.89 (s, 3 H) 3.29 - 3.35 (m, 2 H) 3.89 (s, 3 H) 3.94 (s, 3 H) 5.10 (spt, J=6.19 Hz, 1 H) 6.86 (s, 1 H) 7.07 (br t, J=7.53 Hz, 1 H) 7.24 (t, J=7.28 Hz, 1 H) 7.53 (d, J=8.53 Hz, 1 H) 7.86 - 8.02 (m, 2 H) 8.36
(s, 1 H) 8.69 (s, 1 H) 8.85 (s, 1 H).
ステップ4:イソプロピル2-((5-アミノ-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)-アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの調製。
ステップ3の生成物(1.501kg、2.67mol、1.00当量)及び10%Pd/C(64%含水、125.0g、0.011当量)の混合物に、2-MeTHF(17.7L)を20Lの圧力リアクター中で添加した。IPCが完全に変換したことを示すまで(11時間、反応生成物99.0%)、混合物を6~10psi Hで、かつ40℃で水素化した。反応混合物を濾過し(Celite)、パッドをMeTHF(合計で2.5L)ですすいだ。濾液を、結晶化するまで冷蔵庫内においてN下で保存した。
IT23~34℃を維持しながら、2-MeTHFのおよそ74%を減圧下で蒸発させた(リアクター内の残留量は、およそ4.8Lであった)。混合物に、滴下漏斗によって15分かけてn-ヘプタン(6L)を添加した。得られたスラリーを室温で一晩エージングした。翌日、壁上の固体をこすり取ってスラリー中にそれらを取り込み、固体を濾過によって単離した。単離した固体を5%MeTHFを含有するn-ヘプタン(2×750mL)で洗浄し、乾燥させて(75℃、30inHg)、1287g(91%収率)の表題化合物を黄色固体として得た。HPLC純度:純度99.7%。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.20 (d, J=6.02 Hz, 6 H) 2.21 (s, 6 H) 2.37 - 2.44 (m, 2 H) 2.68 (s, 3 H) 2.93 (t, J=6.78 Hz, 2 H) 3.74 (s, 3 H) 3.90 (s, 3 H) 4.60 (s, 2 H) 5.08 (spt, J=6.19 Hz, 1 H)
6.80 (s, 1 H) 7.08 - 7.15 (m, 1 H) 7.19
- 7.26 (m, 2 H) 7.52 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 7.94 - 8.01 (m, 2 H) 8.56 (s, 1 H) 8.66 (s, 1 H).
ステップ5:イソプロピル2-((4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシ-5-(3-(フェニルスルホニル)プロパンアミド)フェニ
ル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの調製。
無水DCM(8.5L)中のステップ4の生成物(1.284kg、2.415mol、1.0当量)及び3-(フェニルスルホニル)プロピオン酸(0.5528kg、2.580mol、1.07当量)の混合物を2℃まで冷却し、DIEA(0.310kg、2.399mol、1.0当量)で処理した。内部温度を0℃~8℃に維持しながら、反応混合物に、40分かけて50%w/wのTPのMeTHF(1.756kg、2.759mol、1.14当量)溶液を充填した。混合物を0℃~5℃で15分間攪拌し、次いで30分かけて15℃に加温し、次いで15℃~30℃で60分間保持した。
反応物を水(179mL)でクエンチした。反応混合物を周囲温度で30分間攪拌し、次いでDIEA(439g)を一度に充填した。得られた混合物を15分間エージングし、次いで5%KCO水溶液(7.3L)を用いて22~25℃で処理した。有機層を分離し、水層をDCM(6.142L)で逆抽出した。組み合わせた有機抽出物をブライン(2×5.5L)で洗浄した。
有機抽出物を6.5Lに濃縮し、EtOH、200プルーフ(14.3kg)で希釈して、混合物を真空下(23~25inHg/IT40~60℃)で12.8Lの残留量まで濃縮した。
残留スラリーをEtOH、200プルーフ(28.8Kg)で処理し、69℃に加熱して希薄スラリーを得た。反応混合物を2時間かけて15℃まで冷却し、15℃で窒素下において一晩保存した。
翌日、混合物を5℃に冷却し、30分間エージングした。得られた固体を濾過によって単離し、EtOH(2×2.16kg)で洗浄して乾燥させ、1.769kg(100%収率)の表題化合物を得た。HPLC純度99.85%。
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.08 - 1.19 (m, 8 H) 2.15 (s, 6 H) 2.32 (t, J=5.77 Hz, 2 H) 2.66 - 2.76 (m, 5 H) 2.88 (br t, J=5.52 Hz, 2 H) 3.48 (qd, J=7.03, 5.02 Hz, 1 H) 3.60 - 3.69 (m, 2 H) 3.83 (s, 3 H) 3.89 (s, 3 H) 4.40 (t, J=5.02 Hz, 1 H) 5.04 (五重項, J=6.27 Hz, 1 H) 7.01 -
7.09 (m, 2 H) 7.22 (t, J=7.53 Hz, 1 H) 7.52 (d, J=8.53 Hz, 1 H) 7.67 - 7.82 (m,
4 H) 7.97 (s, 1 H) 7.98 - 8.00 (m, 1 H)
8.14 (s, 1 H) 8.61 - 8.70 (m, 3 H) 10.09 (s, 1 H).
ステップ6:イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物(A))の調製。
ステップ5の生成物(1.600kg、2.198mol、1.0当量)を無水THF(19.5kg)中に溶解し、-1℃~1℃で2M KOSi(CHのTHF(2.72L、5.44mol、2.47当量)を用いて処理した。KOSi(CHを5分かけて、リアクタージャケット設定-5℃~10℃で添加した。2M KOSi(CH溶液を、871gのKOSi(CHテクニカルグレード(90%)を3.056Lの無水THF中に溶解させることによって調製した。
反応混合物を60分間エージングした。温度を2~7℃に維持しながら、飲料水(22L)を110分かけて反応混合物に充填した。得られた懸濁液を3~7℃で60分間エージングし、生成物を濾過によって単離して(粗生成物の単離中における濾過速度を1.25L/分とした)、飲料水(2×1.6L)で洗浄し、一晩、次いで高真空中において12時間45℃で空気乾燥させて、1.186kgの粗表題化合物を得た(92%収率)。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.05 (t,
J=7.09 Hz, 2 H) 1.11 (d, J=6.36 Hz, 6 H) 2.11 (s, 6 H) 2.28 (br t, J=5.38 Hz, 3
H) 2.55 - 2.67 (m, 3 H) 2.69 (s, 3 H) 2.83 (br t, J=5.38 Hz, 3 H) 3.31 (s, 3 H)
3.36 - 3.51 (m, 2 H) 3.54 - 3.70 (m, 3 H) 3.75 - 3.82 (m, 3 H) 4.33 (t, J=5.14 Hz, 1 H) 4.99 (dt, J=12.35, 6.30 Hz, 2 H) 5.75 (s, 1 H) 6.95 - 7.07 (m, 2 H) 7.17 (br t, J=7.58 Hz, 2 H) 7.48 (d, J=8.31
Hz, 2 H) 7.62 - 7.71 (m, 3 H) 7.71 - 7.83 (m, 2 H) 7.93 (d, J=7.83 Hz, 3 H) 8.09 (s, 2 H) 8.53 - 8.67 (m, 3 H) 10.03 (s, 2 H).
ステップ7:イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの多形I型(遊離塩基化合物(A))の調製。
方法1:ステップ6の粗生成物(1.130kg)をEtOAc(30.1kg)中において75℃で溶解させ、研磨濾過し(1.2μmインラインフィルター)、続いて濾液を残留物が14Lとなるように濃縮する(濃縮中のITは58~70℃である)ことによ
って、ステップ6の粗生成物を再結晶させた。残留スラリーを70分かけて0℃まで冷却し、次いで0~2℃で30分間エージングした。単離したら生成物を恒量まで乾燥させて、1.007kg(89%の回収率)の表題化合物を多形I型として得た。純度(HPLC、a/a%、99.80%)。
あるいは、遊離塩基化合物(A)の多形I型は、以下のステップで調製または精製される。
遊離塩基化合物(A)をDCM中でスラリー状にした。懸濁液を濾過し、32gの固体遊離塩基を単離した。母液を濃縮して懸濁液を得て、これを濾過して遊離塩基化合物(A)の第2バッチ(25g)を得た。次いで、母液を、5%メタノールのDCMを使用してカラムクロマトグラフィーによって精製した。遊離塩基化合物(A)の純粋なカラム画分を組み合わせて濃縮し、遊離塩基化合物(A)の第3バッチ(28g)を得た。
遊離塩基化合物(A)の3つのバッチを組み合わせてDCM中に溶解させた。混合物を濾過して蒸発乾固させ、遊離塩基化合物(A)の多形I型を淡黄色固体として得た(82g)。
H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.05 (br d, J=5.75 Hz, 6 H) 1.28 (s, 1 H) 2.20 (s, 1 H) 2.28 (s, 8 H) 2.73 (s, 3 H) 2.90 (br s, 2 H) 3.90 (s, 3 H) 3.97 (s, 3 H) 5.02 (dt, J=12.45, 6.23 Hz, 1 H) 5.71 - 5.76 (m, 1 H) 6.36 (br dd, J=16.63, 10.09 Hz, 1 H) 6.50 (dd, J=16.95, 1.81 Hz,
1 H) 6.82 (s, 1 H) 7.13 - 7.18 (m, 1 H)
7.23 (t, J=7.62 Hz, 1 H) 7.29 (s, 1 H) 7.35 (d, J=8.20 Hz, 1 H) 7.59 (br s, 1 H) 7.92 (s, 1 H) 8.91 (s, 1 H) 9.81 (s, 1
H) 10.17 (br s, 1 H)
遊離塩基化合物(A)の多形I型に関するXRPDデータを、図1及び以下の表3に示す。
表3
遊離塩基化合物(A)の多形I型に関するDSCデータを図2に示す。プロファイルは、開始温度が約182.5℃、融解が185.8℃、関連エンタルピーが95.5mJ/mgの吸熱転移を示している。DSC実験を最大240℃で実施した。
遊離塩基化合物(A)の多形I型に関するTG/DATデータを図3に示す。プロファイルは、開始温度が約181.9℃の吸熱転移を示し、これは約250℃を超えて著しい分解が生じるまで0.6%の質量損失を伴う。急激な吸熱のエンタルピーを、75.8mJ/mgと測定した。
方法2:化合物(A)の遊離塩基を、溶液が飽和するまで溶媒中に溶解させた。溶媒は、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸イソブチル、メタノール、2-メトキシエタノール、2-MeTHF、またはメチルイソブチルケトンであり得る。溶液を室温で静置し、溶媒をゆっくりと蒸発させた。結晶化が生じた後に固体を単離すると、XRPDは、それが化合物(A)
遊離塩基の多形I型であることを示した。
方法3:およそ200mgの化合物(A)遊離塩基のジオキサン溶媒和物に、水(6mL)を添加した。混合物を室温で1週間スラリー状にした。白色懸濁液を濾過によって収集し、乾燥させた。XRPDは、それが化合物(A)遊離塩基の多形I型であることを示した。
実施例2 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートスクシネート(化合物(A)のコハク酸塩)の調製。
方法1:イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(95g、162mmol、1.00当量)を2Lのガラスリアクター中に充填し、コハク酸のエタノール溶液(19.5g、165mmol、1.02当量を、37℃でEtOH、200プルーフ、980mL中に溶解させた)で処理した。追加のEtOHを使用してフラスコ及びフィルターをすすぎ(285mL)、リンス液を反応混合物に添加した。反応混合物を75℃に加熱し、1時間エージングして、次いで5時間かけて10℃まで冷却した。生成物を濾過によって単離し、EtOH(2×90mL)で洗浄して40℃で15時間乾燥させて、109gの表題化合物(96%収率)を得た。純度(HPLC、a/a%、99.64%)。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.11 (d,
J=6.36 Hz, 6 H) 2.20 (s, 6 H) 2.30 (br t, J=5.62 Hz, 2 H) 2.72 (s, 3 H) 2.88 (br t, J=5.62 Hz, 2 H) 3.31 (s, 2 H) 3.77 - 3.85 (m, 3 H) 4.99 (dt, J=12.59, 6.17 Hz, 1 H) 5.77 (br d, J=10.76 Hz, 1 H) 6.27 (br d, J=16.63 Hz, 2 H) 6.42 (dd, J=16.87, 10.03 Hz, 1 H) 6.97 - 7.10 (m, 2 H) 7.18 (t, J=7.58 Hz, 2 H) 7.48 (d, J=8.31 Hz, 2 H) 7.61 - 7.83 (m, 2 H) 8.17 (br s, 1 H) 8.57 - 8.71 (m, 2 H) 8.84 (s, 1 H) 10.14 (s, 1 H).
方法2:イソプロピル2-メチルTHF(200mL)中の2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(10.1g、17.2mmol)及びコハク酸(2.17g、18.4mmol、1.07当量)の混合物を、0.1℃/分の速度で72時間、周囲温度~40℃
の温度でサイクルさせた。マグネチックスターラーバーを使用してスラリーを攪拌した。72時間後、スラリーを周囲温度に冷却し、焼結漏斗に通して真空濾過によって単離した。濾過を約2分間継続し、得られた固体を2-メチルTHF(200mL)で洗浄した。固体を真空オーブン中において40℃で6時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートスクシネート多形I型(11.2g、15.9mmol、92%収率)をオフホワイト固体として得た。純度:99.8%
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.13 (d, J=6.23 Hz, 6 H) 2.30 (s, 6 H) 2.41 (s,
4 H) 2.46 (br t, J=5.67 Hz, 2 H) 2.72 (s, 3 H) 2.96 (t, J=5.79 Hz, 2 H) 3.88 (s, 3 H) 5.01 (五重項, J=6.27 Hz, 1 H) 5.76 -
5.81 (m, 1 H) 6.29 (dd, J=16.95, 1.89 Hz, 1 H) 6.48 (dd, J=16.91, 10.13 Hz, 1 H) 7.05 (s, 1 H) 7.06 (d, J=7.10 Hz, 2 H)
7.20 (t, J=7.67 Hz, 1 H) 7.50 (d, J=8.28 Hz, 1 H) 7.75 (br s, 1 H) 8.18 (s, 1 H) 8.65 (s, 1 H) 8.67 (s, 1 H) 8.82 (s, 1
H) 10.05 (s, 1 H).
方法3:イソプロピル2-メチルTHF(3mL)を2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(202.8mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、コハク酸(40.8mg、1.0当量)を2-メチルTHF(1.0mL)に添加した。スラリーをコハク酸溶液に5分かけて添加し、得られた混合物を、4時間サイクルで48時間かけて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、2-メチルTHF(3mL)で洗浄して真空下において約22℃で72時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートスクシネート多形I型(177mg、73%収率)を得た。
化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図4及び以下の表4に示す。
表4
表5は、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関する単位格子寸法を示す。
表5
化合物(A)のコハク酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図5に示す。プロファイルは、開始温度が約176.1℃、融解が178.5℃、関連エンタルピーが99.5mJ/mgの吸熱転移を示している。
化合物(A)コハク酸塩のコハク酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図6に示す。プロファイルは、開始温度が約176.4℃の吸熱転移を示し、これは25℃~300℃までの10℃/分の温度変化速度で、最大150±2℃で0.1%の質量損失、続いて最大175℃で1.2%の質量損失を伴い、約176.4℃~約178.5℃で分解する。
方法4:イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(400mg)に、水飽和酢酸エチル(6mL)の溶液を添加した。得られた懸濁液に、コハク酸(89mg)のメタノール(1mL)溶液を添加した。混合物を40℃に加温し、濃い懸濁液を観察した。水(1mL)を添加して固体を溶解させた。溶液を室温まで冷却し、バイアルの蓋を緩めて溶媒をゆっくりと蒸発させた。18時間後に懸濁液を得て、これを濾過し、次いで真空下で乾燥させて400mgの固体を得て、これを化合物(A)のコハク酸塩多形III型として同定する。
方法5:イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(約200mg)を、水飽和EtOAc(3mL)中において周囲温度でスラリー状にした。スラリーにコハク酸溶液(500μLのMeOH中に41mg、1.0当量)を添加して溶解させた。水(50μL)を添加して含水量を増加させた。得られた溶液を、0.45tm PTFEシリンジフィルターを使用して濾過し、透明な溶液に少量の事前に調製したIII型物質を用いてシーディングを行い、約2℃で72時間保存した。得られた固体をXRPDによって
分析すると、コハク酸塩多形III型として示した。物質を約2℃で保存し、適宜単離のみ行った。
化合物(A)のコハク酸塩の多形III型に関するXRPDデータを、図7及び以下の表6に示す。
表6
表7は、化合物(A)のコハク酸塩の多形III型に関する単位格子寸法を示す。
表7
実施例3 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒドロブロミド(化合物(A)の臭化水素酸塩)の調製。
2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートに添加して、移動スラリーを得た。HBr水溶液(200μL、1.66M、1.0当量)を、攪拌しながら2-メチルTHFスラリーに滴下して赤色油を得て、続いて淡黄色溶液になるまで溶解させた。溶液を、4時間サイクルで24時間かけて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、2-メチルTHF(3mL)で洗浄して真空下において約22℃で6時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒドロブロミドI型(209mg、89%収率)を得た。
化合物(A)の臭化水素酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図8及び以下の表8に示す。
表8
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.14 (d,
J=6.23 Hz, 6 H) 2.64 (s, 3 H) 2.81 (s, 6 H) 3.26 - 3.37 (m, 5 H) 3.88 (d, J=1.42 Hz, 6 H) 5.02 (五重項, J=6.27 Hz, 1 H) 5.77 - 5.84 (m, 1 H) 6.33 (dd, J=16.98, 1.77 Hz, 1 H) 6.81 (dd, J=16.91, 10.21 Hz,
1 H) 7.03 (s, 1 H) 7.09 (t, J=7.53 Hz, 1 H) 7.21 (t, J=7.59 Hz, 1 H) 7.51 (d, J=8.20 Hz, 1 H) 7.74 - 7.91 (m, 1 H) 8.09
(s, 1 H) 8.56 (br s, 1 H) 8.65 (s, 1 H)
8.67 (s, 1 H) 9.37 (br s, 1 H) 9.51 (s,
1 H).
化合物(A)の臭化水素酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図9に示す。プ
ロファイルは、開始236.5℃で生じた単一の急激な吸熱を示している。試料の過度な分解を避けるために、DSC分析は最大でも260℃までとして実施した。
化合物(A)コハク酸塩の臭化水素酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図10に示す。プロファイルは、開始236.0℃で観察した単一の急激な吸熱を示し、関連エンタルピーが99.6mJ/mgである。
実施例4 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒドロクロリド(化合物(A)の塩酸塩)の調製。
2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(202.6mg)に添加して、移動スラリーを得た。HCl水溶液(200τL、1.66M、1.0当量)を、攪拌しながら2-メチルTHFスラリーに滴下して淡黄色溶液を得た。得られた溶液を、PTFEシリンジフィルターを使用して濾過し、周囲条件(約22℃)下で72時間蒸発させ、続いて24時間真空乾燥し、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒドロクロリドI型を得た。試料が完全に蒸発したため、回収率は100%と仮定した。
化合物(A)の塩酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図11及び以下の表9に示す。
表9
1H NMR: H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.14 (d, J=6.23 Hz, 6 H) 2.64 (s, 3 H) 2.81 (s, 6 H) 3.26 - 3.37 (m, 5 H) 3.88 (d, J=1.42 Hz, 6 H) 5.02 (五重項, J=6.27 Hz,
1 H) 5.77 - 5.84 (m, 1 H) 6.33 (dd, J=16.98, 1.77 Hz, 1 H) 6.81 (dd, J=16.91, 10.21 Hz, 1 H) 7.03 (s, 1 H) 7.09 (t, J=7.53 Hz, 1 H) 7.21 (t, J=7.59 Hz, 1 H) 7.51 (d, J=8.20 Hz, 1 H) 7.74 - 7.91 (m, 1
H) 8.09 (s, 1 H) 8.56 (br s, 1 H) 8.65 (s, 1 H) 8.67 (s, 1 H) 9.37 (br s, 1 H) 9.51 (s, 1 H).
化合物(A)の塩酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図12に示す。プロファイルでは、加熱の開始から大きく幅の広い吸熱を観察し(同伴溶媒の損失)、その直後に開始約186℃で急激な吸熱が示されている。
化合物(A)コハク酸塩の塩酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図13に示す。プロファイルは、加熱の開始から約1.6%の質量を徐々に損失していることを示し、これは同伴溶媒に起因すると思われる。100~150℃の間のTGA記録では急激な増加/減少を伴う異常な応答が示され、これは実行を繰り返しても存在した。このパターンの正確な理由は不明だが、物質から溶媒が急速に失われること(バブリング)に起因する可能性があり得る。最後に小さな吸熱を199.5℃の最小値で観察してから、約210℃で分解が開始された。
実施例5 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートスルフェート(化合物(A)の硫酸塩)の調製。
2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(199.2mg)に添加して、移動スラリーを得た。HSO水溶液(200μL、1.77M、1.0当量)を、攪拌しながら2-メチルTHFスラリーに滴下し、淡黄色/濁った上相及び油状で濃赤色の下相を有する二相溶液を得た。二相溶液に少量の硫酸塩I型(約1%w/w)を用いてシーディングを行い、周囲温度(約22℃)で1時間静置した。1時間後、シーディング物質は赤色油/ゴムの結晶化を引き起こし、淡黄色固体を得た。得られた固体を、2-メチルTHF水性媒体中において4時間サイクルで24時間、周囲温度~40℃の温度でサイクルさせた。温度サイクル後、物質を真空濾過によって単離し、ヘプタン(2mL)で洗浄した。その後、物質を真空下において約22℃で、MgSOの存在下で72時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートスルフェートI型(157mg、68%収率)を得た。
化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図14及び以下の表10に示す。
表10
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.12 - 1.16 (m, 7 H) 1.32 (dd, J=11.90, 8.99 Hz,
1 H) 1.75 - 1.87 (m, 1 H) 1.91 - 1.97 (m, 1 H) 2.64 (s, 3 H) 2.83 (d, J=3.78 Hz, 6 H) 3.25 - 3.36 (m, 4 H) 3.56 (td, J=7.98, 6.42 Hz, 1 H) 3.88 (d, J=1.42 Hz, 6 H) 5.03 (五重項, J=6.25 Hz, 1 H) 5.78 - 5.85 (m, 1 H) 6.34 (dd, J=16.98, 1.77 Hz,
1 H) 6.69 (dd, J=16.91, 10.21 Hz, 1 H) 7.03 (s, 1 H) 7.08 (t, J=7.56 Hz, 1 H) 7.21 (t, J=7.67 Hz, 1 H) 7.51 (d, J=8.28 Hz, 1 H) 7.77 - 7.90 (m, 1 H) 8.09 (s, 1
H) 8.55 (br s, 1 H) 8.66 (s, 1 H) 8.68 (s, 1 H) 9.21 (br s, 1 H) 9.47 (s, 1 H).
化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図15A及び15Bに示す。DSC法を、100℃付近での急激な質量損失の性質を検査するために改変した。用いたDSC法は、以下の温度プロファイルを含んだ:20℃~180℃(第1加熱サイクル)、180℃~20℃(第1冷却サイクル)、20℃~240℃(第2加熱サイクル)、240℃~20℃(第2冷却サイクル)、20℃~240℃(第3加熱サイクル)。
第1DSC加熱サイクルでは、単一の幅広い吸熱を88.2℃の最小値で観察し、これは同伴/結合溶媒の損失に起因すると思われた。第2加熱サイクルでは、121.9℃でのガラス転移の可能性、続いて開始197.6℃で大きな吸熱、関連エンタルピーが36.5mJ/mgであることが強調された。
化合物(A)の硫酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図16に示す。プロファイルは、加熱の開始から約1.0%の質量を徐々に損失していることを示し、これは同伴溶媒に起因すると思われる。その後、約5.0%の急激な質量損失を開始約100℃で示し、2回の関連する幅広い吸熱を伴った(118.0℃及び145.6℃の最小値)。融解している可能性が高い最後の大きな吸熱は、開始192.4℃で発生し、関連エンタルピーは40.4mJ/mgである。
実施例6 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートトシレート(化合物(A)のトシル酸塩)の調製。
2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(198.8mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、p-TsOH.HO(67.4mg、1.0当量)を2-メチルTHF(1mL)中に溶解させ、得られた溶液をAPIスラリーに5分かけて滴加した。ゴム状の赤色固体がすぐに沈殿したのを観察し、これを周囲温度(約22℃)で振盪しながらゆっくりと再溶解させた。溶液を、4時間サイクルで24時間かけて周囲温度~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体を真空濾過によって単離し、ヘプタン(2mL)で洗浄した。その後、物質を真空下において約22℃で、MgSOの存在下で72時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートトシレートI型(129mg、50%収率)を得た。
化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図17及び以下の表11に示す。
表11
H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.06 (br d, J=6.15 Hz, 6 H) 1.25 (d, J=6.15 Hz,
1 H) 1.64 - 1.95 (m, 1 H) 2.00 (br dd, J=11.63, 6.27 Hz, 1 H) 2.34 (s, 3 H) 2.63 (s, 3 H) 2.79 (s, 6 H) 3.07 (br t, J=5.40 Hz, 2 H) 3.20 (t, J=5.60 Hz, 2 H) 3.86 - 3.98 (m, 6 H) 5.02 (dt, J=12.45, 6.23 Hz, 1 H) 5.59 - 5.64 (m, 1 H) 6.41 (dd, J=16.79, 1.97 Hz, 1 H) 6.65 (s, 1 H) 6.86 (dd, J=16.75, 10.21 Hz, 1 H) 7.13 -
7.25 (m, 4 H) 7.34 (d, J=8.20 Hz, 1 H) 7.49 - 7.67 (m, 1 H) 7.76 (d, J=8.20 Hz,
2 H) 7.91 (br s, 1 H) 8.42 - 8.64 (m, 1
H) 8.89 (s, 1 H) 9.05 (s, 1 H) 9.67 (s,
1 H) 10.58 - 10.80 (m, 1 H).
化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図18に示す。プロファイルは、開始166.8℃で単一の急激な吸熱を示し、関連エンタルピーが63.1mJ/mgである。
化合物(A)のトシル酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図19に示す。プロファイルは、約100℃から約0.4%の質量を徐々に損失していることを示し、これは126.4℃の最小値での非常に浅い吸熱と関連している。その後、約0.4%のより急激な質量損失を観察し、開始165.5℃で関連する幅広い吸熱(融解)を伴い、関連エンタルピーは54.8mJ/mgであった。
実施例7 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートメシレート(化合物(A)のメシル酸塩)の調製。
アニソール(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(200.4mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、MsOH(アニソール中で1.71M)のストック溶液を調製し、その200μL(1.0当量)を5分かけてAPIスラリーに添加した。ゴム状の赤色固体がすぐに沈殿したのを観察し、これを周囲温度(約22℃)で振盪しながらゆっくりと再溶解させた。溶液を、4時間サイクルで96時間かけて周囲温度~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体を真空濾過によって単離し、真空下において約22℃で、MgSOの存在下で24時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートメシレートIII型(176mg、75%収率)を得た。
化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するXRPDデータを、図20及び以下の表12に示す。
表12
H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.06 (br d, J=6.07 Hz, 6 H) 2.77 (s, 3 H) 2.85
- 2.89 (m, 9 H) 3.13 (br s, 2 H) 3.31 (br t, J=5.56 Hz, 2 H) 3.83 (s, 2 H) 3.89
- 3.95 (m, 6 H) 5.03 (dt, J=12.45, 6.15
Hz, 1 H) 5.78 - 5.83 (m, 1 H) 6.53 (dd,
J=16.79, 1.89 Hz, 1 H) 6.71 (s, 1 H) 6.91 - 7.05 (m, 3 H) 7.16 (t, J=7.56 Hz, 1
H) 7.22 - 7.37 (m, 4 H) 7.60 (br s, 1 H) 8.49 - 8.70 (m, 1 H) 8.88 (br s, 1 H)
9.08 (br s, 1 H) 9.73 (br s, 1 H) 11.09 - 11.27 (m, 1 H).
化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するDSCプロファイルを図21に示す。プロファイルは、最初の幅広い吸熱を開始95.4℃で示し、続いてより大きな吸熱を開始165.0℃で示す。
化合物(A)のメシル酸塩の多形III型に関するTG/DATプロファイルを図22に示す。プロファイルは、加熱の開始から約1.4%の質量を徐々に損失していることを示し、これは同伴溶媒に起因すると思われる。その後、約8.5%のより急激な質量損失を観察し、開始92.4℃で関連する幅広い吸熱を伴った。0.5当量のアニソールが、7.4%の質量損失に相当することになるという点に留意すべきである。小さな吸熱が続き(開始165.4℃)、続いてより急激な吸熱(184.8℃の最小値)が発生し、関連する質量損失は約1.65%である。
実施例8 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートオキサレート(化合物(A)のシュウ酸塩)の調製。
2-メチルTHF(2.4mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(160.9mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、シュウ酸(25.2mg、1.0当量)を2-メチルTHF(0.8mL)中に溶解させ、得られた溶液をAPIスラリーに5分かけて滴加した。ゴム状の黄色固体がすぐに沈殿したのを観察した。混合物を、4時間サイクルで24時間かけて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、ヘプタン(2mL)で洗浄した。その後、物質を真空下において約22℃で、MgSOの存在下で72時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートオキサレートIII型(146mg、79%収率)を得た。
化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するXRPDデータを、図23及び以下の表13に示す。
表13
H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.86 -
0.96 (m, 4 H) 1.05 (br d, J=5.91 Hz, 6 H) 1.23 - 1.36 (m, 7 H) 2.25 - 2.49 (m, 4 H) 2.65 (s, 4 H) 2.82 (s, 6 H) 3.16 (br t, J=5.87 Hz, 2 H) 3.31 (t, J=5.95 Hz,
2 H) 3.91 (s, 3 H) 3.94 (s, 3 H) 4.98 -
5.06 (m, 1 H) 5.83 (br d, J=11.03 Hz, 1
H) 6.53 (dd, J=16.75, 1.62 Hz, 1 H) 6.72 (s, 1 H) 6.98 - 7.09 (m, 1 H) 7.16 (t,
J=7.52 Hz, 1 H) 7.21 - 7.28 (m, 1 H) 7.35 (d, J=8.20 Hz, 1 H) 7.91 (s, 1 H) 8.9
1 (s, 1 H) 8.99 (br s, 1 H) 9.83 (s, 1 H).
化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するDSCプロファイルを図24に示す。プロファイルは、加熱の開始から最初の幅広い吸熱を80.6℃の最小値で示す。その後の大きな吸熱は、開始146.9℃で発生し、関連エンタルピーは74.7mJ/mgである。試料の過度な分解を避けるために、DSC分析は最大でも180℃までとして実施した。
化合物(A)のシュウ酸塩の多形III型に関するTG/DATプロファイルを図25に示す。プロファイルは、開始144.8℃で発生する関連する幅広い吸熱と共に観察した3.8%の急激な質量損失を示し、関連エンタルピーは73.5mJ/mgである。
実施例9 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートフマレート(化合物(A)のフマル酸塩)の調製。
方法1:2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(208.0mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、フマル酸(40.0mg、1.0当量)を2-メチルTHF(1.0mL)に添加した。APIスラリーをフマル酸スラリーに5分かけて添加し、得られた混合物を、4時間サイクルで24時間かけて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、2-メチルTHF(3mL)で洗浄して真空下において約22℃で24時間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートフマレートII型(233mg、94%収率)を得た。
化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するXRPDデータを、図26及び以下の表14に示す。ある特定の実施形態では、化合物(A)のフマル酸塩の多形II型は、およそ8.1±0.20、10.2±0.20、12.5±0.20、15.5±0.20、及び21.6±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを有する。
別の実施形態では、化合物(A)のフマル酸塩の多形II型は、およそ8.1±0.20、10.2±0.20、12.5±0.20、15.5±0.20、18.9±0.20、19.7±0.20、21.6±0.20、及び15.5±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを有する。
別の実施形態では、化合物(A)のフマル酸塩の多形II型は、およそ8.1±0.20、10.2±0.20、10.9±0.20、12.5±0.20、13.8±0.20、15.1±0.20、15.5±0.20、18.9±0.20、19.7±0.20、21.6±0.20、22.2±0.20、23.2±0.20、及び24.7±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを有する。
表14
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.11 - 1.16 (m, 6 H) 2.44 (s, 6 H) 2.65 - 2.73 (m, 5 H) 3.06 (br t, J=5.79 Hz, 2 H) 3.81 - 3.87 (m, 3 H) 5.01 (五重項, J=6.25 Hz, 1 H) 5.74 - 5.79 (m, 1 H) 6.29 (dd, J=16.95, 1.89 Hz, 1 H) 6.58 - 6.67 (m, 3 H) 7.02 - 7.07 (m, 2 H) 7.20 (t, J=7.64 Hz,
1 H) 7.49 (d, J=8.28 Hz, 1 H) 7.76 (br s, 1 H) 8.17 (s, 1 H) 8.66 (s, 1 H) 8.67
(s, 1 H) 8.82 (s, 1 H) 9.93 (s, 1 H).
化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するDSCプロファイルを図27に示す。
プロファイルは、開始210.8℃で単一の大きな吸熱を示し、関連エンタルピーが96.6mJ/mgである。試料の過度な分解を避けるために、DSC分析は最大でも250℃までとして実施した。
化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するTG/DATプロファイルを図28に示す。プロファイルは、200℃を超えて分解が開始するまで質量損失の徴候は全く見られなかったことを示す。単一の急激な吸熱が開始211.3℃で発生し、関連エンタルピーは91.1mJ/mgである。
方法2:アニソールをイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートに添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、フマル酸をアニソールに添加した。APIスラリーをフマル酸溶液に5分かけて添加し、得られた混合物を、4時間サイクルで24時間かけて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、アニソールで洗浄して真空下で乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートフマレートI型(233mg、94%収率)を得た。
化合物(A)のフマル酸塩の多形II型に関するXRPDデータを、図29及び以下の表15に示す。
表15
実施例10 イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒップレート(化合物(A)の馬尿酸塩)の調製。
2-メチルTHF(3mL)をイソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(210.4mg)に添加して、移動スラリーを得た。別のバイアル中で、馬尿酸(66.6mg、1.07当量)を2-メチルTHF(1.0mL)に添加した。APIスラリーを馬尿酸スラリーに5分かけて添加し、得られた混合物を、4時間サイクルで24時間か
けて周囲温度(約22℃)~40℃の温度でサイクルさせた。得られた固体物質を真空濾過によって単離し、2-メチルTHF(3mL)で洗浄して真空下において約22℃で4日間乾燥させて、イソプロピル2-((5-アクリルアミド-4-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)-2-メトキシフェニル)アミノ)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートヒップレートI型(196mg、71%収率)を得た。
化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するXRPDデータを、図30及び以下の表16に示す。
表16
H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 1.13 (d, J=6.31 Hz, 6 H) 2.30 (s, 6 H) 2.43 - 2.50 (m, 2 H) 2.69 - 2.73 (m, 3 H) 2.96 (t, J=5.75 Hz, 2 H) 3.73 (s, 1 H) 3.87 - 3.93 (m, 5 H) 5.01 (五重項, J=6.27 Hz, 1 H)
5.75 - 5.80 (m, 1 H) 6.29 (dd, J=16.98,
1.93 Hz, 1 H) 6.50 (dd, J=16.91, 10.13 Hz, 1 H) 7.02 - 7.08 (m, 2 H) 7.20 (t, J=7.73 Hz, 1 H) 7.47 - 7.57 (m, 4 H) 7.75
(br s, 1 H) 7.88 (d, J=7.42 Hz, 2 H) 8.18 (s, 1 H) 8.65 (s, 1 H) 8.67 (s, 1 H) 8.76 (t, J=5.79 Hz, 1 H) 8.83 (s, 1 H) 10.07 (s, 1 H).
化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するDSCプロファイルを図31に示す。プロファイルは、開始201.2℃で単一の大きな吸熱を示し、関連エンタルピーが111mJ/mgである。試料の過度な分解を避けるために、DSC分析は最大でも240℃までとして実施した。
化合物(A)の馬尿酸塩の多形I型に関するTG/DATプロファイルを図32に示す。プロファイルは、約200℃で分解が開始するまで質量損失の徴候は全く見られなかったことを示す。単一の急激な吸熱が開始201.7℃で発生し、関連エンタルピーは88.6mJ/mgである。
実施例11 試料の特性分析
1.蒸気吸着分析(GVS、吸湿性)
およそ10mgの試料をメッシュ蒸気吸着天秤皿に置き、Hiden Analytical製のIGASorp Moisture Sorption Analyzerの
天秤に載せた。試料を、40~90%の相対湿度(RH)から10%の増分で90%RHまでの傾斜プロファイルに供し、安定した重量が達成されるまで(98%のステップ完了)各ステップで試料を維持した。吸着サイクルの完了後、同じ手順を使用して試料を乾燥させた(最初に90%RHから0%RHまで、最後に40%RHの出発点に戻した)。次いで、吸着/脱着プロファイルを繰り返し、二重サイクルプロットを得た。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、試料の吸湿性の決定を可能にした。表17は、化合物(A)のいくつかの塩及び化合物(A)の遊離塩基に関するある特定の特性を示す。
表17
*GVSパーセンテージは、90%RHでの%取込みを指す。
2.安定性ストレス試験
およそ5mgの適切な試料を2mLの透明ガラスバイアル中に入れ、バイアルを全て周囲光、40℃/75%RH、及び80℃の条件下でそれぞれ7日間蓋をしない状態で保存した。周囲光試料は、蓋をしない状態でベンチ上に室温でそのままにした。80℃試料は、蓋をしない状態で80℃のオーブン中に入れた。表18に示す通り、試料を各ストレス条件下での純度についてXRPD及びHPLCによって分析した。
表18
3.熱力学的水溶解度試験
脱イオン水(500μL、pH6.97)を約30mgの適切な試料に添加し、スラリーを周囲温度で24時間振盪した。得られた固体物質を遠心分離によって単離し、XRPDによって分析した一方で、濾液を濃度決定のためにHPLCによって分析した。得られた濾液のpHも決定した。
表19は、塩及び遊離塩基の形態におけるそれぞれの化合物(A)の溶解度を提供する。
表19
実施例12 第1相/第2相の最初の結果
化合物(A)は、エクソン20の挿入を含む、EGFR及びHER2変異の活性化に対して強力で選択的な前臨床活性を有する、治験中のチロシンキナーゼ阻害剤である。化合物(A)の第1相/第2相のファースト・イン・ヒューマン、非盲検、多施設共同試験を実施し、最初の結果を得た。標準治療に抵抗性を示す進行性NSCLCの患者に、用量漸増フェーズで経口用量(5~120mg)の化合物(A)を毎日施した。化合物(A)を、化合物(A)のコハク酸塩の多形I型として提供した。化合物(A)を、賦形剤を全く含まないカプセル内薬物として製剤化して経口投与した。予備的な抗腫瘍活性(RECIST v1.1による)、安全性及び薬物動態が、少なくとも1回の用量を受けた患者について報告されている。
結果:初期期間中、34名の患者(年齢中央値60歳、女性65%、2回以上の過去の抗がん療法88%、表20を参照のこと)を処置し、データカットオフ時に化合物(A)を続けていたのは10名であった。AUC0-24,ssは、有効t1/2が約16(範囲6~26)時間の用量範囲にわたって、用量に比例して増加した。最も一般的な処置下で発現した有害事象(TEAE、患者の20%以上)は、下痢(47%)、悪心(26%)、及び倦怠感(21%)であった。2名以上の患者におけるグレード3以上のTEAE(疾患の進行を除く):呼吸困難肺炎(各n=2、6%)。2つの用量制限毒性では、両方とも肺炎が報告された(80mg、グレード3、120mg、グレード5)。14名の評価可能な患者のうち、3名は部分奏効(PR)を示し(80mg、n=2、両者とも確認、120mg、単独、PRの確認待ち)、6名は安定疾患(SD)を示し(40mg、n=3、80mg、n=2、120mg、n=1)、5名は最良効果として進行性疾患(PD)を示した(40mg、n=3、80mg、n=1、120mg、n=1)。PRまたはSDの全ての患者は、EGFRエクソン20の挿入を有した。
表20:ベースライン特性
1名の患者(20mg)は、EGFR及びHER2変異の両方を有し、1名の患者(80mg)は、EGFRエクソン20挿入+T790Mを有した。
実施例13:第1相試験/第2相試験/用量漸増試験
実施例12に記載したものと同じ第1相/第2相試験の一部として、用量漸増試験を実施した。2018年1月30日時点で52名の患者を登録した。以下の人数の患者を、用量漸増で評価した7つの用量レベルの各々で処置した:5mg QD(n=4)、10mg QD(n=5)、20mg QD(n=5)、40mg QD(n=6)、80mg
QD(n=7)、120mg QD(n=11)、160mg QD(n=6)、180mg QD(n=4)及び40mg BID(n=4)。160mg(QD)を、最大耐量(MTD)として同定した。有効性、安全性、及びPKデータに基づいて、160mg QDを、推奨される第2相用量(RP2D)の最終選択を通知するために進行中の拡大フェーズにおいて160mg及び120mg QD用量で複数回サイクルの安全性/忍容性及び臨床活性をさらに評価するまで、RP2Dとして暫定的に同定した。160mg
QDを選択する理論的根拠は、以下の考察に基づいた:(1)EGFRエクソン20挿入は、EGFRエクソン20領域中に異種バリアントを含み、160mg QDが、全てではないにしろ、EGFRエクソン20挿入変異の大部分を阻害するのに十分な曝露を達成する可能性があること、及び(2)より高度なCNS曝露の可能性があるため、160mg QD用量も脳転移に対して活性を示す可能性があること。全身作用を最適化し、CNS疾患を制御するために、化合物(A)の最も安全性の高い用量を使用することについて強い理論的根拠がある。
拡大フェーズ
用量漸増フェーズを拡大フェーズまで継続した。データカット日現在において、患者の38.4%(52名中20名)が治験処置を継続した。中止の主な理由は、RECISTバージョン1.1に従って進行性疾患(PD)(26.9%)及び有害事象(AE)(15.4%)と記録している。
52名の患者のうち、46名(88.5%)の患者が少なくとも1つのTEAEを経験し、41名(78.8%)の患者が少なくとも1つの処置関連有害事象(TRAE)を経験し、20名(38.5%)の患者が、少なくとも1つの処置下で発現した重篤な有害事
象(SAE)を経験し、5名(9.6%)の患者が少なくとも1つの処置関連SAEを経験した。グレード3のTEAEは、患者全体のうち51.9%(52名中27名)で発生した。
疾患安定化が、40mg QDコホートで報告され始めた。化合物(A)による処置後に少なくとも1回の疾患評価を受けた患者の疾患評価を、表21に示す。応答した全ての患者は、EGFRエクソン20挿入変異を有し、過去に白金系化学療法、EGFR TKI、またはPD-1阻害剤による処置を受けていた。
表21:疾患評価
略語:CR、完全奏効、PR、部分奏効、QD、1日1回、SD、安定疾患。
未確認。
40mg QDコホートでは、3名の患者が安定疾患(SD)を有していると報告された。80mg QD以上のコホートでは、合計で5名の患者が客観的奏効(データカットオフ時に80mg QDでは2名で部分奏効[PR]を確認、120mg QDでは1名で完全奏効を確認、160mg QDでは2名でPRの確認待ち)を有すると報告され、さらに180mg QDでの1名を含む6名の患者がSDを有した。
実施例14:拡大及び延長フェーズ
試験中に合計で101名の患者を、化合物(A)のコハク酸塩に曝露した。試験に参加した全ての患者が以前に処置を受け、過去に少なくとも1回の全身的な抗がんレジメンを受けている。合計で99名(98.0%)の患者が少なくとも1つの処置下で発現した有害事象(TEAE)を経験し、59名(58.4%)が少なくとも1つのグレード3以上のTEAEを経験し、92名(91.1%)が少なくとも1つの処置関連有害事象(TRAE)を経験し、30名(29.7%)が少なくとも1つのグレード3以上のTRAEを経験し、36名(35.6%)が少なくとも1つの処置下で発現した重篤な有害事象(SAE)を経験し、11名(10.9%)が少なくとも1つの処置関連SAEを経験し、19名(18.8%)が処置の中止につながるいずれかのTEAEを経験した。160mg
QD用量で処置した46名の患者(漸増及び拡大コホート1~4)のうち、45名(97.8%)が少なくとも1つのTEAEを経験し、26名(56.5%)が少なくとも1つのグレード3以上のTEAEを経験し、43名(93.5%)が少なくとも1つのTRAEを経験し、19名(41.3%)が少なくとも1つのグレード3以上のTRAEを経験し、9名(19.6%)が少なくとも1つのSAEを経験し、6名(13.0%)が少なくとも1つの処置関連SAEを経験し、5名(10.9%)が処置の中止につながるいずれかのTEAEを経験した。漸増及び拡大コホート1の28名の患者を160mg QDで処置し、彼らの全てがEGFRエクソン20挿入変異を有した。28名の患者のうち
、26名の患者がベースライン後の疾患評価を少なくとも1回受けていたか、またはその予定であって、有効性分析に含まれていた。全奏効率(ORR)(最良効果)及び病勢コントロール率(DCR)は、それぞれ53.8%(95%CI:33.37%、73.41%)及び88.5%(95%CI:69.85%、97.55%)であって、7名で部分奏効(PR)を確認、6名でPR確認待ちの未確認、及び10名が安定疾患(SD)であったことを含んだ。化合物(A)に対する奏効(PR、CR)を、EGFR TKI及びがん免疫療法剤を含むこれまでの処置療法にかかわらず、患者で観察した。
本試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照単回漸増用量試験(パート1)、続いて化合物(A)の薬物動態(PK)に対する低脂肪食の効果に関する非盲検クロスオーバー評価(パート2)、及び健康な対象中における化合物(A)カプセル内薬物(DiC)(試験)対DiC(参照)の相対的バイオアベイラビリティのクロスオーバー評価(パート3)である。化合物(A)は、最大で160mgの単回経口用量まで健康な対象中において安全かつ十分に忍容された。健康な対象ではSAEは一切報告されなかった。表22は、第1相/第2相試験設計を示す。
表22
実施例15:臨床薬理学及び薬物動態
実施例13及び14における試験の用量漸増部分は、EGFRもしくはHER20エクソン20変異または他のEGFRの稀な変異を有するNSCLC患者において160mg
QDで決定した最大耐量を用いて完了させた。試験の第2相部分を開始し、2つの160mg QDコホート(脳転移が有りまたは無しの、EGFRエクソン20変異体NSCLC患者)で試験を拡大し、120mgコホートにさらに多くの患者を引き続き登録した。
臨床PKデータは、試験の用量漸増部分からのデータを含む。化合物(A)を、5、1
0、20、40、80、120、160及び180mgの用量レベルで、28日間の処置サイクルで1日1回経口投与した。上述の通り、化合物(A)を化合物(A)のコハク酸塩の多形I型として提供した。化合物(A)を、賦形剤を全く含まないカプセル内薬物として製剤化して経口投与した。ミリグラム(mg)で同定した投与量は、化合物(A)の遊離塩基の重量に基づいている。図33、34は、NSCLC患者における、化合物(A)の1日1回の経口投与後における化合物(A)の平均血漿濃度-時間プロファイルを示す。
図33及び34:NSCLC患者における、化合物(A)の1日1回の経口投与後における化合物(A)の平均血漿濃度-時間プロファイル
化合物(A)を、空腹時に1日1回継続して経口投与する。化合物(A)は経口投与後に体循環に吸収され、化合物(A)のCmaxを1日用量の4~6時間後に観察した。複数回用量投与後における1日目のサイクル2の化合物(A)AUC24は、5~180mg QDの用量範囲にわたって、ほぼ用量に比例して増加した。化合物(A)のQD経口投与は、AUC24でおよそ1.5倍の蓄積をもたらした。蓄積に基づく実効半減期の幾何平均(範囲)は、およそ15時間(6~27時間)であった。化合物(A)の蓄積、化合物(A)のピーク/トラフ比、及び化合物(A)の2つの活性代謝物に関するモル代謝産物/親Cav比は、5~180mg QD範囲において化合物(A)用量に依存せず、これは時間依存的阻害(TDI)または自己誘導の明らかな傾向がないことを示唆していた。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
化合物(A)

のコハク酸塩。
(項目2)
モノコハク酸塩である、項目1に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目3)
無水モノコハク酸塩である、項目1に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目4)
実質的に結晶形である、項目1、2、または3に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目5)
前記結晶形が、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.7±0.20、及び22.5±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを含む、項目4に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目6)
前記結晶形が、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.7±0.20、14.3±0.20、15.3±0.20、18.6±0.20、19.4±0.20、21.9±0.20、22.5±0.20、25.2±0.20、及び25.6±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを含む、項目4に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目7)
前記結晶形が、およそ8.3±0.20、9.9±0.20、11.4±0.20、11.7±0.20、14.3±0.20、15.3±0.20、18.6±0.20、19.4±0.20、19.9±0.20、21.9±0.20、22.5±0.20、23.8±0.20、25.2±0.20、及び25.6±0.20度の2シータで表されるX線粉末回折パターンを含む、項目4に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目8)
前記結晶形が、およそ

の2シータで表されるX線粉末回折パターンを含む、項目4に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目9)
前記結晶形が、実質的に図4に示されるようなX線粉末回折パターンを有する多形I型である、項目4に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目10)
前記結晶形が、開始温度が約176.1±3℃の吸熱転移を特徴とするDSCプロファイルを有する、項目5~9のいずれか1項に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目11)
前記結晶形が、約175.1℃~約181.0℃の温度の吸熱転移を特徴とするDSCプロファイルを有する、項目5~9のいずれか1項に記載の化合物(A)のコハク酸塩。(項目12)
前記結晶形が、実質的に図6に示されるようなTG/DTAプロファイルを有する、項目5~9のいずれか1項に記載の化合物(A)のコハク酸塩。
(項目13)
項目1~12のいずれか1項に記載の化合物(A)の前記コハク酸塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
(項目14)
式(I)

の化合物の調製プロセスであって、
(i)式(I-a)の化合物を式(K)の化合物と混合させること、

(式中、
がアルキルであり、
がHまたはアルキルであり、
が、アミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されたアルキルであり、
YがCH、Cl、Br、F、またはOCHであり、mが0、1、2、3、4、または5である)、
(ii)ステップ(i)の前記混合物にカップリング試薬を添加して、式(Int-b)

の化合物を形成すること、及び
(iii)式(Int-b)の前記化合物を塩基で処理して、式(I)の化合物を生成することを含む、前記プロセス。
(項目15)
が、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、
が、H、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、
が、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、その各々がアミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されていて、ここでアミノが、NRであり、R及びRが、独立してHまたはアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルである、項目14に記載のプロセス。
(項目16)
がイソプロピルであり、
がHまたはメチルであり、
が、NRで置換されたエチルであり、ここでR及びRが、独立してHまたはメチルであり、あるいは
が、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルで置換されたメチルであり、mが0である、項目14に記載のプロセス。
(項目17)
がイソプロピルであり、
がメチルであり、
が、-CHCHNRであり、ここでR及びRがメチルであり、mが0である、項目14に記載のプロセス。
(項目18)
がイソプロピルであり、
がメチルであり、
が、NRで置換されたエチルであり、ここでRがHであり、Rがメチルであり、mが0である、項目14に記載のプロセス。
(項目19)
ステップ(i)が、溶媒の存在下において約-10℃~約50℃の温度で実施される、項目14に記載のプロセス。
(項目20)
ステップ(i)が、溶媒の存在下において約2℃~約10℃の温度で実施される、項目19に記載のプロセス。
(項目21)
前記溶媒が、無水ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸イソプロピル(IPAc)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、及びジオキサンから選択される、項目19に記載のプロセス。(項目22)
前記溶媒が無水ジクロロメタンである、項目21に記載のプロセス。
(項目23)
ステップ(i)の前記混合物が、塩基で処理される、項目14に記載のプロセス。
(項目24)
前記塩基がアミンである、項目23に記載のプロセス。
(項目25)
前記塩基が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ(4.3.0)ノナ-5-エン(DBN)及びN-メチル-2-ピロリドン(NMP)から選択される、項目24に記載のプロセス。
(項目26)
前記カップリング試薬が、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、塩化チオニル(SOCl)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ホスゲン(COCl2)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)から選択される、項目14に記載のプロセス。
(項目27)
前記カップリング試薬が、50%w/wプロピルホスホン酸無水物ならびにテトラヒドロフラン(THF)または2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸イソプロピル(IPAc)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、及びジオキサンから選択される溶媒を含む溶液である、項目26に記載のプロセス。
(項目28)
前記カップリング試薬が、2-メチルテトラヒドロフランから選択される、項目27に記載のプロセス。
(項目29)
前記カップリング試薬が、約-10℃~約10℃の温度で添加される、項目26に記載のプロセス。
(項目30)
前記温度が約0℃~約8℃である、項目29に記載のプロセス。
(項目31)
ステップ(iii)の前記塩基が、カリウムトリメチルシラノレートである、項目14に記載のプロセス。
(項目32)
ステップ(iii)が、溶媒の存在下において約-10℃~約10℃の温度で実施される、項目31に記載のプロセス。
(項目33)
ステップ(iii)が、約-1℃~約1℃の温度で実施される、項目32に記載のプロセス。
(項目34)
ステップ(iii)の前記塩基が、NaOH、DBU、KOt-Bu、NaOt-Bu、LiOt-Bu、DBN、KOH、及びLiOHから選択される、項目14に記載のプロセス。
(項目35)
ステップ(iii)が、溶媒の存在下において約40℃~約90℃の温度で実施される、項目34に記載のプロセス。
(項目36)
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、MeCN、アセトン、2-MeTHF、DMSO、DMF、及びDMAcから選択される、項目31または34に記載のプロセス。
(項目37)
化合物(A)

の調製プロセスであって、
(i)式(Int-4)の化合物を式(K)の化合物と混合させること


(ii)ステップ(i)の前記混合物にカップリング試薬を添加して、式(Int-5)

の化合物を形成すること、及び
(iii)式(Int-5)の前記化合物を塩基で処理して、化合物(A)を生成させること、
(式中、YがCH、Cl、Br、F、またはOCHであり、mが0、1、2、3、4、または5である)を含む、前記プロセス。
(項目38)
式(Int-3)の化合物を式(Int-4)の前記化合物に変換することをさらに含む、項目37に記載のプロセス

(項目39)
式(Int-2)の化合物をN,N,N-トリメチルエチレンジアミンと反応させて、式(Int-3)の前記化合物を形成することをさらに含む、項目37に記載のプロセス

(項目40)
式(Int-1)の化合物を4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロアニリンと反応させて、(Int-2)の前記化合物を形成することをさらに含む、項目39に記載のプロセス

(項目41)
イソプロピル2,4-ジクロロピリミジン-5-カルボキシレートを1-メチルインドールと反応させて、(Int-1)の前記化合物を形成することをさらに含む、項目40に記載のプロセス
(項目42)
mが0である、項目37に記載のプロセス。
(項目43)
ステップ(i)が、溶媒の存在下において約-10℃~約10℃の温度で実施される、項目37に記載のプロセス。
(項目44)
前記温度が約2℃である、項目43に記載のプロセス。
(項目45)
ステップ(i)の前記溶媒が、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸イソプロピル(IPAc)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、及びジオキサンから選択される、項目37に記載のプロセス。
(項目46)
ステップ(i)の前記混合物が、塩基で処理される、項目37に記載のプロセス。
(項目47)
前記塩基がアミンである、項目46に記載のプロセス。
(項目48)
前記アミンが、アミンN,N-ジイソプロピルエチルアミン、TEA、DBU、DBN、及びNMPから選択される、項目47に記載のプロセス。
(項目49)
ステップ(ii)の前記カップリング試薬が、プロピルホスホン酸無水物、SOCl、DIC、CDI、COCl及びEDCから選択される、項目37に記載のプロセス。(項目50)
前記カップリング試薬が、50%w/wプロピルホスホン酸無水物ならびにTHF、2-MeTHF、IPAc、CPME、及びジオキサンから選択される溶媒を含む溶液である、項目49に記載のプロセス。
(項目51)
前記カップリング試薬が、約-10℃~約10℃の温度で添加される、項目50に記載のプロセス。
(項目52)
前記温度が約0℃~約8℃である、項目51に記載のプロセス。
(項目53)
ステップ(iii)の前記塩基が、カリウムトリメチルシラノレートである、項目37に記載のプロセス。
(項目54)
ステップ(iii)が、溶媒の存在下において約-10℃~約10℃の温度で実施される、項目53に記載のプロセス。
(項目55)
ステップ(iii)が、約-1℃~約1℃の温度で実施される、項目53に記載のプロセス。
(項目56)
ステップ(iii)の前記塩基が、NaOH、DBU、KOt-Bu、NaOt-Bu、LiOt-Bu、DBN、KOH、及びLiOHから選択される、項目37に記載のプロセス。
(項目57)
ステップ(iii)が、溶媒の存在下において約40℃~約90℃の温度で実施される、項目56に記載のプロセス。
(項目58)
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、MeCN、アセトン、2-MeTHF、DMSO、DMF、及びDMAcから選択される、項目53または56に記載のプロセス。
(項目59)
Int-3からInt-4への前記変換が、溶媒及び触媒の存在下で実施される、項目58に記載のプロセス。
(項目60)
Int-3からInt-4への前記変換中に存在する前記溶媒が、メチルテトラヒドロフランである、項目59に記載のプロセス。
(項目61)
前記触媒が10%Pd/Cである、項目59に記載のプロセス。
(項目62)
Int-3を形成する前記反応が、溶媒の存在下において約80℃の温度で実施される、項目59に記載のプロセス。
(項目63)
Int-3を形成する前記反応中に存在する前記溶媒が、アセトニトリル、P-トルエンスルホン酸、及びtert-ブチルアルコール、またはそれらの混合物から選択され、前記温度が約70℃~約85℃である、項目62に記載のプロセス。
(項目64)
Int-1を形成する前記反応が、溶媒及びルイス酸の存在下で実施される、項目41に記載のプロセス。
(項目65)
Int-1を形成する前記反応中に存在する前記溶媒が、1,2-ジメトキシエタンであり、前記ルイス酸が塩化アルミニウムである、項目64に記載のプロセス。
(項目66)
式Int-b

の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
がアルキルであり、
がHまたはアルキルであり、
が、アミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されたアルキルであり、
YがCH、Cl、Br、F、またはOCHであり、
mが0、1、2、3、4、または5である、前記化合物。
(項目67)
が、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、
が、H、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、Rが、メチル、エチル、プロピル、またはブチルであり、その各々がアミノまたはヘテロシクロアルキルで置換されていて、
アミノがNRであり、ここでR及びRが、独立してHまたはアルキルであり、ヘテロシクロアルキルが、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルであり、
YがCH、Cl、Br、F、またはOCHであり、
mが0、1、2、3、4、または5である、項目66に記載の化合物。
(項目68)
がイソプロピルであり、
がHまたはメチルであり、
が、NRで置換されたエチルであり、
及びRが、独立してHまたはメチルであり、あるいはRが、ピロリジン-2-イルまたは1-メチルピロリジン-2-イルで置換されたメチルであり、mが0である、項目66に記載の化合物。
(項目69)
がイソプロピルであり、
がメチルであり、
が、NRで置換されたエチルであり、
及びRがメチルであり、mが0である、項目66に記載の化合物。
(項目70)
がイソプロピルであり、
がメチルであり、
が、NRで置換されたエチルであり、
がHであり、Rがメチルであり、
mが0である、項目66に記載の化合物。
(項目71)
変異体EGFRまたは変異体HER2と関連する障害の処置方法であって、それを必要とする患者に、化合物(A)

またはその薬学的に許容される塩を、約120mgまたは約160mg/日の用量で投与することを含む、前記方法。
(項目72)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、約60mgの用量で1日2回投与される、項目71に記載の方法。
(項目73)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、約80mgの用量で1日2回投与される、項目71に記載の方法。
(項目74)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、約120mgの用量で1日1回投与される、項目71に記載の方法。
(項目75)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、約160mgの用量で1日1回投与される、項目71に記載の方法。
(項目76)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が経口投与される、項目71~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、固体剤形である、項目76に記載の
方法。
(項目78)
前記固体剤形が、カプセル剤または錠剤である、項目77に記載の方法。
(項目79)
化合物(A)またはその薬学的に許容される塩が、28日サイクルで投与される、項目71~78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記障害が、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する変異体EGFRと関連する、項目71~79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
前記障害が、エクソン20ドメインに1つ以上の変異を有する変異体HER2と関連する、項目71~79のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記障害ががんである、項目71~81のいずれか1項に記載の方法。
(項目83)
前記がんが、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、または胃癌である、項目82に記載の方法。
(項目84)
前記がんが非小細胞肺癌である、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記がんが乳癌である、項目84に記載の方法。
(項目86)
化合物(A)が、化合物(A)のコハク酸塩として提供される、項目71~85のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
化合物(A)が、化合物(A)の前記コハク酸塩の多形I型として提供される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記患者において、約40ng/mL以上の化合物(A)の血漿濃度Cを達成することをさらに含む、項目71~87のいずれか1項に記載の方法。
(項目89)
前記患者において、約50ng/mL以上の化合物(A)の血漿濃度Cを達成することをさらに含む、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記血漿濃度Cが、少なくとも約4時間維持される、項目88または89に記載の方法。
(項目91)
約20mg~約200mgの化合物(A)

またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
(項目92)
約20mg、約40mg、約80mg、約120mg、または約160mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む、項目91に記載の医薬組成物。
(項目93)
約40mgの化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含む、項目92に記載の医薬組成物。
(項目94)
1つ以上のカプセル剤または錠剤を含む、項目91~93のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目95)
1つ以上のカプセル剤を含み、前記1つ以上のカプセル剤が、化合物(A)またはその薬学的に許容される塩を含有するが、賦形剤は一切含まない、項目24に記載の医薬組成物。
(項目96)
化合物(A)のコハク酸塩を含む、項目91~95のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目97)
化合物(A)の前記コハク酸塩の多形I型を含む、項目96に記載の医薬組成物。
(項目98)
項目91~97のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、項目71~90のいずれか1項に記載の方法。

Claims (1)

  1. 明細書中に記載の発明。
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