JP2024047182A - 単細胞紅藻の培養方法、単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法 - Google Patents

単細胞紅藻の培養方法、単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単細胞紅藻を高密度に培養可能な、単細胞紅藻の培養方法、前記培養方法を利用した単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法を提供する。【解決手段】有機炭素源の存在下で、単細胞紅藻を培養することを含み、前記培養中の最高到達藻体濃度が、15g/L以上である、単細胞紅藻の培養方法。また、有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養し、前記単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得る工程(A)と、前記培養液から前記単細胞紅藻を回収する工程(B)と、を含む、単細胞紅藻の製造方法。また、前記の単細胞紅藻の製造方法により単細胞紅藻を製造する工程と、前記単細胞紅藻からフィコシアニンを抽出する工程とを含む、フィコシアニンの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、単細胞紅藻の培養方法、単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法に関する。
フィコシアニンは、数少ない天然の青色色素であり、食品の着色に用いられてきた。フィコシアニンは、主にスピルリナ等の藍藻を用いて生産されてきた。しかしながら、耐熱及び耐酸性が低いため、使用できる食品の範囲が限定されていた。
単細胞紅藻の中には、光合成色素としてフィコシアニンを産生するものがある。例えば、単細胞紅藻の一種であるシアニディオシゾン・メロラエ(Cyanidioschyzon merolae)は、フィコシアニンを産生することが知られている(特許文献1)。シアニディオシゾン・メロラエが産生するフィコシアニンは、耐酸性及び耐熱性が高く、用途の拡大が見込まれる(特許文献1、非特許文献1)。しかしながら、シアニディオシゾン・メロラエは、一般に、絶対独立栄養性とされているため、藻体の高密度且つ大規模な工業生産に適していなかった。
近年、シアニディオシゾン・メロラエを従属栄養培養したことが報告されている(非特許文献2、3)。しかしながら、藻密度の指標となる光学密度が最大でもOD750≒8であり、高密度化が十分とはいえない。
特許第6681065号公報
D. Y. Rahman, F. D. Sarian, A. van Wijk, M. Martinez-Garcia & M. J. E. C. van der Maarel. Thermostable phycocyanin from the red microalga Cyanidioschyzon merolae, a new natural blue food colorant. Journal of Applied Phycology (2017) 29, 1233-1239. Takashi Moriyama, Natsumi Mori, and Naoki Sato. Activation of oxidative carbon metabolism by nutritional enrichment by photosynthesis and exogenous organic compounds in the red alga Cyanidioschyzon merolae: evidence for heterotrophic growth. SpringerPlus (2015) 4:559. Takashi Moriyama, Natsumi Mori, Noriko Nagata, and Naoki Sato. Selective loss of photosystem I and formation of tubular thylakoids in heterotrophka11y grown red alga Cyanidioschyzon merolae. Photosynthesis Research (2019) 140, 275-287.
シアニディオシゾン・メロラエのような単細胞紅藻を用いて、フィコシアニン等の有用物質を工業的に生産するためには、高密度に単細胞紅藻を培養できることが望ましい。
そこで、本発明は、単細胞紅藻を高密度に培養可能な、単細胞紅藻の培養方法、前記培養方法を利用した単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]有機炭素源の存在下で、単細胞紅藻を培養することを含み、前記培養中の最高到達藻体濃度が、15g/L以上である、単細胞紅藻の培養方法。
[2]前記培養を暗所で行う、[1]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[3]前記培養を流加培養で行う、[1]又は[2]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[4]前記培養中に、培養液のOD800が所定値以上である場合、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を、0.5~1日毎に培養液に供給する、[3]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[5]前記培養中に、培養液のOD800が所定値増加する毎に、所定の成分を前記培養液に供給する、[3]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[6]前記所定の成分が、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種の成分である、[5]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[7]前記単細胞紅藻が、イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の単細胞紅藻の培養方法。
[8]前記イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻が、シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon)属に属する藻類である、[7]に記載の単細胞紅藻の培養方法。
[9]有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養し、前記単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得る工程(A)と、前記培養液から前記単細胞紅藻を回収する工程(B)と、を含む、単細胞紅藻の製造方法。
[10]前記工程(A)における培養を暗所で行う、[9]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[11]前記工程(A)における培養を流加培養で行う、[9]又は[10]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[12]前記工程(A)における培養中に、前記培養液のOD800が所定値以上である場合、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を、0.5~1日毎に前記培養液に供給する、[11]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[13]前記工程(A)における培養中に、前記培養液のOD800が所定値増加する毎に、所定の成分を前記培養液に供給する、[11]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[14]前記所定の成分が、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種の成分である、[13]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[15]前記単細胞紅藻が、イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻である、[9]~[14]のいずれか1つに記載の単細胞紅藻の製造方法。
[16]前記イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻が、シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon)属に属する藻類である、[15]に記載の単細胞紅藻の製造方法。
[17][9]~[16]のいずれか1つに記載の単細胞紅藻の製造方法により単細胞紅藻を製造する工程と、前記単細胞紅藻からフィコシアニンを抽出する工程と、を含む、フィコシアニンの製造方法。
本発明によれば、単細胞紅藻を高密度に培養可能な、単細胞紅藻の培養方法、前記培養方法を利用した単細胞紅藻の製造方法、及びフィコシアニンの製造方法が提供される。
シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1及びCRY2の従属栄養培養における藻体乾燥重量の推移を示す。 シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1及びCRY2の従属栄養培養におけるOD800の推移を示す。 シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1及びCRY2の従属栄養培養におけるフィコシアニン含量の推移を示す。 シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1の従属栄養培養における藻体乾燥重量の推移を示す。 シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1の従属栄養培養におけるフィコシアニン含量の推移を示す。 シアニディオシゾン・メロラエ NIES-3377の独立栄養培養におけるOD800の推移を示す。
<単細胞紅藻の培養方法>
本開示の第1の態様は、単細胞紅藻の培養方法である。本態様にかかる培養方法は、有機炭素源の存在下で、単細胞紅藻を培養することを含む。
(単細胞紅藻)
「単細胞紅藻」とは、紅色植物門(Rhodophyta)に属する藻類であって、単細胞である藻類を指す。単細胞紅藻としては、イデユコゴメ綱(Cyanidiophyceae)、ベニミドロ綱(Stylonematophyceae)、チノリモ綱(Porphyridiophyceae)、及びロデラ綱(Rhodellophyceae)が挙げられる。単細胞紅藻は、フィコシアニン産生及び増殖性等の観点から、イデユコゴメ綱(Cyanidiophyceae)が好ましい。
イデユコゴメ綱としては、シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon)属、シアニジウム(Cyanidium)属、及びガルデリア(Galdieria)属が挙げられる。
シアニディオシゾン属としては、シアニディオシゾン・メロラエ(Cyanidioschyzon melorae)が挙げられる。
シアニジウム属としては、例えば、Cyanidium caldarium、Cyanidium sp.Monte Rotaro等が挙げられる。
ガルデリア属としては、例えば、Galdieria sulphuraria、Galdieria partita、Galdieria daedala、Galdieria maxima等が挙げられる。
これらの中でも、堅固な細胞壁を有さず細胞内成分の抽出が容易であることから、シアニディオシゾン属が好ましく、シアニディオシゾン・メロラエがより好ましい。
シアニディオシゾン・メロラエとしては、有機炭素資化能を有する藻株が好ましく、従属栄養増殖特性を有する藻株がより好ましい。「従属栄養増殖特性」とは、従属栄養的に増殖可能である性質を意味する。「従属栄養的に増殖可能」とは、有機炭素源を資化して増殖できることを意味する。例えば、暗所(0μE m・sec-1)で、且つ有機炭素源の存在下で増殖できる場合、当該藻株は、従属栄養増殖特性を有すると判断できる。
従属栄養増殖特性を有するシアニディオシゾン・メロラエは、例えば、シアニディオシゾン・メロラエを従属栄養培養し、増殖した細胞を単離することにより得ることができる。前記従属栄養培養に供するシアニディオシゾン・メロラエの藻株は、特に限定されない。シアニディオシゾン・メロラエの藻株としては、例えば、NIES-3377、NIES-1332、NIES-1804、NIES-1805、NIES-1806(いずれも、NIES collection;https://mcc.nies.go.jp/index.html)、10D(ATCC;https://www.atcc.org/)等が挙げられる。
従属栄養増殖特性を有するシアニディオシゾン・メロラエの具体例としては、例えば、シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1(受託番号FERM BP-22429)、シアニディオシゾン・メロラエ Cm-2(受託番号FERM BP-22430)、シアニディオシゾン・メロラエ Cm-3(受託番号FERM BP-22431)が挙げられる。
シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1(以下、「Cm-1」ともいう)は、2021年9月28日付で、受託番号FERM P-22429として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に寄託され、受託番号FERM BP-22429として、2022年6月30日付で国際寄託に移管されている。
シアニディオシゾン・メロラエ Cm-2(以下、「Cm-2」ともいう)は、2021年9月28日付で、受託番号FERM P-22430として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に寄託され、受託番号FERM BP-22430として、2022年6月30日付で国際寄託に移管されている。
シアニディオシゾン・メロラエ Cm-3(以下、「Cm-3」ともいう)は、2021年9月28日付で、受託番号FERM P-22431として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に寄託され、受託番号FERM BP-22431として、2022年6月30日付で国際寄託に移管されている。
Cm-1、Cm-2、及びCm-3の寄託者情報は、いずれも以下のとおりである。
寄託者氏名:新井 久由
寄託者住所:日本国千葉県佐倉市坂戸631
寄託者は、本出願において寄託生物について言及する権限を出願人に与えている。寄託者は、寄託生物が公衆に利用可能となる旨の同意を出願人に与えている。
Cm-1、Cm-2、及びCm-3は、シアニディオシゾン・メロラエ NIES-1804を、従属栄養条件下で継代培養して得られた単離株である。
従属栄養増殖特性を有するシアニディオシゾン・メロラエは、従属栄養増殖特性を有するように改変された遺伝子組換え体であってもよい。遺伝子組換えの方法は、シアニディオシゾン・メロラエが従属栄養増殖特性を獲得できる限り、特に限定されない。遺伝子組換えの方法としては、例えば、シアニディオシゾン・メロラエに、暗所活性型クリプトクロム遺伝子を導入する方法が挙げられる。
「暗所活性型クリプトクロム」とは、暗所で活性が維持されるクリプトクロムを意味する。クリプトクロムは、青色光受容体であり、青色光を受光して活性化する。活性化したクリプトクロムは、遺伝子発現を直接又は間接的に制御して、光応答を誘導する。暗所活性型クリプトクロムは、暗所でも、活性化が維持され、青色光受光時と同様の光応答を誘導する。暗所活性型クリプトクロムは、藻類では、暗所における従属栄養的な生育を向上させる機能を有する。
シアニディオシゾン・メロラエのクリプトクロムとしては、CMM076C(遺伝子配列:配列番号1、アミノ酸配列:配列番号2)、CMQ453C(遺伝子配列:配列番号3、アミノ酸配列:配列番号4)が挙げられる。暗所活性型クリプトクロムは、クリプトクロムのFAD結合ドメインに変異を導入することにより得ることができる。そのような変異としては、例えば、CMMO76Cの419番目のグリシン残基を塩基性アミノ酸残基(アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基等)に置換する変異、CMQ453Cの572番目のグリシン残基を塩基性アミノ酸残基(アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基等)に置換する変異が挙げられる。
シアニディオシゾン・メロラエの暗所活性型クリプトクロムの具体例としては、CMM076Cの419番目のグリシン残基がアルギニン残基に置換されたポリペプチド(以下、「CMM076C(G419R)」ともいう;遺伝子配列:配列番号5、アミノ酸配列:配列番号6)、CMQ453Cの572番目のグリシン残基がアルギニン残基に置換されたポリペプチド(以下、「CMQ453C(G572R)」ともいう;遺伝子配列:配列番号7、アミノ酸配列:配列番号8)が挙げられる。
シアニディオシゾン・メロラエは、暗所活性型クリプトクロムを有するものであってもよく、CMM076C(G419R)及びCMQ453C(G572R)からなる群より選択される少なくとも1種の暗所活性型クリプトクロムを有するものであってもよい。
暗所活性型クリプトクロムを有するシアニディオシゾン・メロラエは、上記のようなシアニディオシゾン・メロラエの藻株に、暗所活性型クリプトクロム遺伝子を導入することにより、得ることができる。遺伝子の導入は、公知の方法で行うことができ、例えば、相同組換え法、ゲノム編集法等を用いることができる。
暗所活性型クリプトクロムの具体例としては、さらに、以下のものが挙げられる。
(a)配列番号2に記載にアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が変異されたアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、前記変異は、419番目のグリシン残基を塩基性アミノ酸残基に置換する変異を含み、暗所活性型クリプトクロムの性質を有する、ポリペプチド。
(b)配列番号2に記載にアミノ酸配列と、70%以上の配列同一性を有するポリペプチドであって、配列番号2に記載のアミノ酸配列の419番目のグリシン残基に対応するグリシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されている、暗所活性型クリプトクロムの性質を有する、ポリペプチド。
(c)配列番号4に記載にアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が変異されたアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、前記変異は、572番目のグリシン残基を塩基性アミノ酸残基に置換する変異を含み、暗所活性型クリプトクロムの性質を有する、ポリペプチド。
(d)配列番号4に記載にアミノ酸配列と、70%以上の配列同一性を有するポリペプチドであって、配列番号4に記載のアミノ酸配列の572番目のグリシン残基に対応するグリシン残基が塩基性アミノ酸残基に置換されている、暗所活性型クリプトクロムの性質を有する、ポリペプチド。
前記(a)~(d)において、塩基性アミノ酸残基としては、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基が挙げられ、アルギニン残基が好ましい。
前記(a)及び(c)において、「数個」としては、2~20個、2~15個、2~10個、2~9個、2~8個、2~7個、2~6個、2~5個、2~4個、2~3個、又は2個が挙げられる。
前記(a)及び(c)において、「変異」は、欠失、置換、付加、及び挿入のいずれであってもよく、これらの組合せでもよい。
前記(b)及び(d)において、配列同一性は、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってもよい。
前記(a)~(d)において、「暗所活性型クリプトクロムの性質」とはシアニディオシゾン・メロラエの暗所での従属栄養的増殖を向上させる性質を意味する。例えば、対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをシアニディオシゾン・メロラエに導入したとき、ホスト細胞と比較して、遺伝子導入細胞において暗所での従属栄養的増殖が向上した場合には、当該対象のポリペプチドは、暗所活性型クリプトクロムの性質を有すると判断することができる。
(有機炭素源)
有機炭素源は、特に限定されず、微生物培養で通常用いられる有機炭素源を用いることができる。有機炭素源としては、例えば、糖アルコール、糖、アミノ酸、有機酸等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、グリセロールが挙げられる。糖としては、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン等が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸が挙げられる。有機炭素源としては、増殖性の観点から、糖アルコールが好ましく、グリセロールがより好ましい。
(最高到達藻体濃度)
本実施形態の培養方法では、培養中の単細胞紅藻の最高到達藻体濃度が、15g/L以上となるように培養を行う。「最高到達藻体濃度」は、単位培養液あたりの藻体乾燥重量に基づいて求められる。最高到達藻体濃度は、培養期間中の最も高い単位培養液あたりの藻体乾燥重量である。単位培養液あたりの藻体乾燥重量は、例えば、培養期間中に培養液をサンプリングし、培養液から藻体を遠心分離等により回収し、1%(w/v)酢酸アンモニウム水溶液等で藻体を洗浄し、-80℃で凍結乾燥して乾燥藻体を得て、当該乾燥藻体を秤量することにより求めることができる。
最高到達藻体濃度は、16g/L以上が好ましく、17g/L以上がより好ましく、18g/L以上がさらに好ましく、20g/L以上が特に好ましい。最高到達藻体濃度の上限値は特に限定されない。最高到達藻体濃度の上限値は、通常、250g/L以下であり、100g/L以下でもよく、80g/L以下でもよく、60g/L以下でもよい。最高到達藻体濃度の範囲としては、例えば、15~250g/L、15~100g/L、15~80g/L、15~60g/L、20~250g/L、20~100g/L、20~80g/L、又は20~60g/L等が挙げられる。
最高到達藻体濃度は、培養期間中の任意の時点で到達した藻体濃度であればよく、最高到達藻体濃度が維持される必要はない。
(培養)
培養は、有機炭素源の存在下で行えばよく、従属栄養培養でもよく、混合栄養培養もよい。「従属栄養培養」とは、有機炭素源の資化により藻体が増殖する条件下で培養することを意味する。従属栄養培養は、通常、暗所で、有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養する。「混合栄養培養」とは、有機炭素源の資化、及び二酸化炭素の資化により藻体が増殖する条件下で培養することを意味する。混合栄養培養は、通常、明所で、有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養する。
≪培地≫
「培地」とは、単細胞紅藻の培養に用いられる組成物を指す。培地は、単細胞紅藻の生育及び/又は維持に必要な栄養成分を含む。「培養液」とは、培地に単細胞紅藻を接種して培養した液体を指す。培養液は、培地及び単細胞紅藻を含む。
本実施形態の培養に用いる培地は、少なくとも1種の有機炭素源を含む。有機炭素源としては、上記と同様のものが挙げられる。培地中の有機炭素源の濃度は、特に限定されないが、単細胞紅藻の増殖の観点から、例えば、炭素濃度として、1~100g-C/Lが挙げられ、2~50g-C/Lが好ましく、3~30g-C/Lがより好ましく、3~20g-C/Lがさらに好ましい。有機炭素源の濃度の下限値としては、炭素濃度として、1g-C/L以上、2g-C/L以上、3g-C/L以上が挙げられる。有機炭素源の濃度の上限値としては、特に限定されないが、炭素濃度として、80g-C/L以下、70g-C/L以下、60g-C/L以下、50g-C/L以下、40g-C/L以下、30g-C/L、20g-C/L以下が挙げられる。有機炭素源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機炭素源としてグリセロールを使用する場合、培地中のグリセロールの濃度としては、例えば、1~100g/Lが挙げられ、5~50g/Lが好ましく、10~30g/Lがより好ましい。グリセロールの濃度の下限値としては、1g/L以上、5g/L以上、10g/L以上、15g/L以上、20g/L以上、又は30g/L以上が挙げられる。グリセロールの濃度の上限値としては、80g/L以下、70g/L以下、60g/L以下、50g/L以下、40g/L以下、又は30g/L以下が挙げられる。
培地は、有機炭素源に加えて、窒素源、リン源、微量元素(亜鉛、ホウ素、コバルト、銅、マンガン、モリブデン、鉄、カルシウムなど)等を含むことが好ましい。
窒素源としては、アンモニウム塩、硝酸塩、亜硝酸塩等の無機窒素、尿素、アミノ酸、ペプトン等有機窒素が挙げられる。無機窒素の具体例としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等が挙げられ、硫酸アンモニウムが好ましい。培地中の窒素源の濃度は、特に限定されないが、窒素濃度として、例えば、1~5000mg-N/Lが挙げられ、100~4000mg-N/Lが好ましく、500~3000mg-N/Lがより好ましく、1000~2500mg-N/Lがさらに好ましい。窒素源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素源としてアンモニウム塩を使用する場合、培地中のアンモニウムイオン濃度として、例えば、1~5000mg-NH /Lが挙げられ、100~4000mg-NH /Lが好ましく、1000~3000mg-NH /Lがより好ましい。
窒素源として硫酸アンモニウムを使用する場合、培地中の硫酸アンモニウム濃度としては、100~10000mg/Lが挙げられ、1000~8000mg/Lが好ましく、2000~7000mg/Lがより好ましく、3000~6000mg/Lがさらに好ましい。
リン源としては、無機リン酸塩等が挙げられる。無機リン酸塩の具体例としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素ニカリウム等が挙げられ、リン酸二水素カリウムが好ましい。培地中のリン源の濃度は、特に限定されないが、リン濃度として、例えば、1~2000mg-P/Lが挙げられ、10~1000mg-P/Lが好ましく、50~500mg-P/Lがより好ましく、100~300mg-P/Lがさらに好ましい。リン源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン源としてリン酸二水素カリウムを使用する場合、培地中のリン酸二水素カリウム濃度としては、例えば、1~5000mg/Lが挙げられ、100~4000mg/Lが好ましく、500~3000mg/Lがより好ましく、1000~2000mg/Lがさらに好ましい。
マグネシウム源としては、無機マグネシウム塩が挙げられる。無機マグネシウム塩の具体例としては、硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム水和物(硫酸マグネシウム七水和物等)、塩化マグネシウム等が挙げられる。培地中のマグネシウム源の濃度は、特に限定されないが、マグネシウム濃度として、例えば、1~1000mg-Mg/Lが挙げられ、10~800mg-Mg/Lが好ましく、50~500mg-Mg/Lがより好ましく、100~300mg-Mg/Lがさらに好ましい。マグネシウム源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マグネシウム源として硫酸マグネシウム七水和物を使用する場合、培地中の硫酸マグネシウム七水和物濃度としては、例えば、1~6000mg/Lが挙げられ、100~5000mg/Lが好ましく、500~4000mg/Lがより好ましく、1000~3000mg/Lがさらに好ましい。
鉄源としては、無機鉄塩が挙げられる。無機鉄塩の具体例としては、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)等が挙げられる。培地中の鉄源の濃度は、特に限定されないが、鉄濃度として、例えば、0.1~100mg-Fe/Lが挙げられ、0.5~50mg-Fe/Lが好ましく、1~20mg-Fe/Lがより好ましく、2~10mg-Fe/Lがさらに好ましい。鉄源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
鉄源として塩化鉄(III)を使用する場合、培地中の塩化鉄濃度としては、例えば、0.1~100mg/Lが挙げられ、1~50mg/Lが好ましく、5~30mg/Lがより好ましく、10~20mg/Lがさらに好ましい。
カルシウム源としては、無機カルシウム塩が挙げられる。無機カルシウム塩の具体例としては、塩化カルシウム、塩化カルシウム水和物(塩化カルシウム二水和物等)、硫酸カルシウム等が挙げられる。培地中のカルシウム源の濃度は、特に限定されないが、カルシウム濃度として、例えば、0.1~200mg-Ca/Lが挙げられ、1~100mg-Ca/Lが好ましく、10~80mg-Ca/Lがより好ましく、20~70mg-Ca/Lがさらに好ましい。カルシウム源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルシウム源として塩化カルシウム二水和物を使用する場合、培地中の塩化カルシウム二水和物濃度としては、例えば、1~1000mg/Lが挙げられ、10~500mg/Lが好ましく、50~300mg/Lがより好ましく、100~200mg/Lがさらに好ましい。
ホウ素源としては、ホウ酸、無機ホウ酸塩が挙げられる。無機ホウ酸塩の具体例としては、メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。培地中のホウ素源の濃度は、特に限定されないが、ホウ素濃度として、例えば、0.1~100mg-B/Lが挙げられ、1~80mg-B/Lが好ましく、10~50mg-B/Lがより好ましく、10~30mg-B/Lがさらに好ましい。ホウ素源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホウ素源としてホウ酸を使用する場合、培地中のホウ酸濃度としては、例えば、1~1000mg/Lが挙げられ、10~500mg/Lが好ましく、50~300mg/Lがより好ましく、100~200mg/Lがさらに好ましい。
マンガン源としては、無機マンガン塩が挙げられる。無機マンガン塩の具体例としては、塩化マンガン(II)、塩化マンガン(II)水和物(塩化マンガン(II)四水和物等)、硫酸マンガン(II)、硫酸マンガン(II)水和物(硫酸マンガン(II)五水和物等)等が挙げられる。培地中のマンガン源の濃度は、特に限定されないが、マンガン濃度として、例えば、0.1~100mg-Mn/Lが挙げられ、1~80mg-Mn/Lが好ましく、10~50mg-Mn/Lがより好ましく、10~30mg-Mn/Lがさらに好ましい。マンガン源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マンガン源として塩化マンガン(II)四水和物を使用する場合、培地中の塩化マンガン(II)四水和物濃度としては、例えば、1~500mg/Lが挙げられ、10~300mg/Lが好ましく、30~200mg/Lがより好ましく、50~100mg/Lがさらに好ましい。
コバルト源としては、無機コバルト塩が挙げられる。無機コバルト塩の具体例としては、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)水和物(塩化コバルト(II)六水和物等)、硫酸コバルト(II)、硫酸コバルト水和物(硫酸コバルト(II)七水和物等)等が挙げられる。培地中のコバルト源の濃度は、特に限定されないが、コバルト濃度として、例えば、0.01~10mg-Co/Lが挙げられ、0.05~5mg-Co/Lが好ましく、0.1~3mg-Co/Lがより好ましく、0.2~1mg-Co/Lがさらに好ましい。コバルト源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
コバルト源として塩化コバルト(II)六水和物を使用する場合、培地中の塩化コバルト(II)六水和物濃度としては、例えば、0.1~30mg/Lが挙げられ、0.5~20mg/Lが好ましく、0.5~10mg/Lがより好ましく、1~5mg/Lがさらに好ましい。
銅源としては、無機銅塩が挙げられる。無機銅塩の具体例としては、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、硫酸銅(II)水和物(硫酸銅(II)五水和物等)等が挙げられる。培地中の銅源の濃度は、特に限定されないが、銅濃度として、例えば、0.01~10mg-Cu/Lが挙げられ、0.05~5mg-Cu/Lが好ましく、0.1~3mg-Cu/Lがより好ましく、0.2~1mg-Cu/Lがさらに好ましい。銅源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
銅源として塩化銅(II)を使用する場合、培地中の塩化銅(II)濃度としては、例えば、0.1~30mg/Lが挙げられ、0.5~20mg/Lが好ましく、0.5~10mg/Lがより好ましく、1~5mg/Lがさらに好ましい。
亜鉛源としては、無機亜鉛塩が挙げられる。無機亜鉛塩の具体例としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物(硫酸亜鉛七水和物)等が挙げられる。培地中の亜鉛源の濃度は、特に限定されないが、亜鉛濃度として、例えば、0.05~20mg-Zn/Lが挙げられ、0.1~10mg-Zn/Lが好ましく、0.5~5mg-Zn/Lがより好ましく、1~3mg-Zn/Lがさらに好ましい。亜鉛源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
亜鉛源として塩化亜鉛を使用する場合、培地中の塩化亜鉛濃度としては、例えば、0.1~30mg/Lが挙げられ、0.5~20mg/Lが好ましく、0.5~10mg/Lがより好ましく、1~5mg/Lがさらに好ましい。
モリブデン源としては、無機モリブデン酸塩が挙げられる。無機モリブデン酸塩の具体例としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム水和物(モリブデン酸ナトリウム二水和物)、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム水和物(モリブデン酸アンモニウム四水和物等)等が挙げられる。培地中のモリブデン源の濃度は、特に限定されないが、モリブデン濃度として、例えば、0.1~30mg-Mo/Lが挙げられ、0.5~20mg-Mo/Lが好ましく、1~15mg-Mo/Lがより好ましく、5~10mg-Mo/Lがさらに好ましい。モリブデン源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モリブデン源としてモリブデン酸ナトリウム二水和物を使用する場合、培地中のモリブデン酸ナトリウム二水和物濃度としては、例えば、0.1~50mg/Lが挙げられ、1~30mg/Lが好ましく、5~20mg/Lがより好ましく、10~20mg/Lがさらに好ましい。
上述の培地中の各成分の濃度は、培地調製時(培養開始時)の初期濃度である。以下、培養開始時の培地を「初期培地」ともいう。初期培地における培地成分の濃度を、「初期培地濃度」ともいう。
培地は、例えば、単細胞紅藻の培養に通常用いられる無機塩培地に、有機炭素源を添加した培地であってもよい。無機塩培地としては、例えば、2×Allen培地(Allen MB. Arch. Microbiol. 1959 32: 270-277.)、M-Allen培地(Minoda A et al. Plant Cell Physiol. 2004 45: 667-71.)、MA2培地(Ohnuma M et al. Plant Cell Physiol. 2008 Jan;49(1):117-20.)、改変MA2培地(表1参照)、Gross培地(表4、Ford TW Biochim. Biophys. Acta 1979 569: 239-248.)等が挙げられるが、これらに限定されない。培地は、改変MA2培地に有機炭素源を添加した培地が好ましく、改変MA2培地に10~50g/Lのグリセロールを添加した培地がより好ましく、改変MA2培地に10~30g/Lのグリセロールを添加した培地がより好ましい。培地は、液体培地を用いる。
培地のpHは、培養対象の単細胞紅藻が生育可能なpHであれば、特に限定されない。例えば、単細胞紅藻が、イデユコゴメ綱(例えば、シアニディオシゾン・メロラエ)である場合、pHとしては、pH1~6が挙げられる。培地のpHは、例えば、pH5以下が好ましく、pH4以下がより好ましく、pH3以下がさらに好ましい。pHは、1.2以上が好ましく、1.5以上でもよく、2以上でもよい。pHは、1.2~3が好ましい。前記pHは、培地調製時(培養開始時)の初期pHである。培養期間中、培養液のpHが上記の範囲となるように、適宜pHを調整してもよい。
≪培養条件≫
培養は、適量の藻体を培地に接種することにより、開始することができる。培地に接種する藻体は、固体培地で継代していたものを用いてもよく、液体培地で前培養したものを用いてもよい。前培養は、例えば、本培養と同じ培養条件で、本培養よりも小スケールでの培養とすることができる。
培養開始時の藻体の接種量は、特に限定されない。例えば、培養液のOD800が0.01~5程度、好ましくは0.05~3程度、より好ましくは0.1~1程度となるような接種量とすることができる。
「OD800」は、波長800nmにおける培養液の光学密度(Optical Density)を意味する。OD800は、分光光度計を用いて、波長800nmにおける培養液の光学密度を測定することにより求めることができる。
培養条件は、培養対象の単細胞紅藻が生育可能な条件であれば、特に限定されない。
光条件は、暗所(0μE m-2・sec-1)でもよく、明所でもよい。光強度としては、0~100μE m-2・sec-1が挙げられる。光強度としては、0~50μE m-2・sec-1が好ましく、0~30μE m-2・sec-1がより好ましく、0~10μE m-2・sec-1がさらに好ましく、0~5μE m-2・sec-1が特に好ましい。明所で培養する場合、連続光としてもよく、明暗周期(10L:14Dなど)を設けてもよい。光条件は、制御が容易であることから、暗所が好ましい。
培養温度は、培養対象の単細胞紅藻が生育可能な温度であれば、特に限定されない。培養温度としては、15~50℃が挙げられる。培養温度は、30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。培養温度は、47℃以下であってもよく、45℃以下であってもよい。培養温度としては、40~50℃が好ましい。
培養は、静置培養でもよく、通気培養でもよく、振盪培養でもよい。酸素不足を防ぐ観点から、培養中に、通気及び振盪または攪拌の少なくとも一方を行うことが好ましく、両方を行うことがより好ましい。通気及び振盪または攪拌の条件は、培地中の溶存酸素が枯渇しない程度で、且つ培養対象の単細胞紅藻が生育可能な条件であればよい。
攪拌の回転数としては、例えば、100~500rpmが挙げられ、150~400rpmが好ましく、200~350rpmがより好ましい。
通気量は可能な限り多い方が好ましく、通気量の上限値は特に定めるものではないが、現実的には12vvm以下とすることができる。通気量の下限値としては、例えば、0.5vvm以上、又は1.0vvm以上が挙げられる。vvm(volume per volume per minute)は、培養液の単位体積あたりの1分間の通気量を表す単位である。振盪若しくは撹拌の回転数及び/又は通気量は、培養期間中の培地の溶存酸素濃度に応じて、変更してもよい。培養期間中、藻体の増加に伴い、酸素消費量が増加し、培地の溶存酸素濃度が低下する。そのため、培地の溶存酸素濃度が所定量低下した場合に、振盪若しくは撹拌の回転数及び/又は通気量を増加させてもよい。例えば、初期培地の溶存酸素濃度に対して溶存酸素濃度が10~30%(例えば20%)低下した場合に、振盪若しくは撹拌の回転数及び/通気量を増加させてもよい。振盪若しくは撹拌の回転数は、培地の溶存酸素濃度の所定量の低下に伴い、例えば、30~60rpm(例えば、50rpm)ずつ増加させてもよい。通気量は、培地の溶存酸素濃度の所定量の低下に伴い、例えば、0.5~1.0vvm(例えば、0.7vvm)ずつ増加させてもよい。培地の溶存酸素濃度は、溶存酸素計で測定することができる。
培養方法は、特に限定されないが、流加培養が好ましい。流加培養は、培養液に、所定の成分を、任意のタイミングで培養液に供給しながら培養する培養方法である。
流加培養とする場合、流加する成分としては、有機炭素源、窒素源、リン源、マグネシウム源、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、モリブデン源が挙げられる。例えば、培養期間中、上述の各成分の濃度が維持されるように、各成分を培養液に供給してもよい。
例えば、培養液のOD800が所定値以上である場合に、所定の間隔で、所定の成分を培養液に供給してもよい。供給する成分としては、例えば、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。所定の間隔としては、例えば、0.5~1日が挙げられる。
例えば、培養液のOD800が10以上である場合に、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を、0.5~1日毎に培養液に供給してもよい。供給する成分は、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される2種以上が好ましく、3種以上がより好ましく、4種全てがさらに好ましい。供給量は、その時点での、初期培地濃度からの減少分とすることができる。例えば、0.5~1日毎に、培養液をサンプリングして、各成分(有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源等)の濃度を測定し、初期培地濃度と同程度になるように培養液に各成分を添加してもよい。有機炭素源、窒素源、リン源、及び/又はマグネシウム源を培養液に供給する場合、初期培地の調製に用いたものと同じ化合物を用いてもよく、異なる化合物を用いてもよい。例えば、初期培地が有機炭素源としてグリセロールを含む場合、流加する有機炭素源は、グリセロールでもよく、他の有機炭素源(例えば、グルコース)でもよい。窒素源、リン源、及びマグネシウム源についても同様である。
各成分は、比色法等の公知の方法により、測定することができる。
例えば、培養中に、培養液のOD800が所定値増加する毎に、所定の成分を培養液に供給してもよい。供給する成分としては、例えば、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。成分の供給の指標となるOD800の増加量としては、例えば、5~80が挙げられ、10~70が好ましい。各成分の供給量としては、初期培地における含有量と同程度の量が挙げられる。
例えば、培養液のOD800が20~40、好ましくは25~35、より好ましくは30増加する毎に、鉄源を培養液に供給してもよい。鉄源の供給量は、初期培地における鉄の含有量に相当する量とすることができる。鉄源の供給に用いる化合物は、初期培地の調製に用いたものと同じでもよく、異なってもよい。例えば、初期培地が塩化鉄(III)を含む場合、流加する鉄源は、塩化鉄(III)でもよく、他の鉄源(例えば、硫酸鉄(III))でもよい。
例えば、培養液のOD800が60~80、好ましくは65~75、より好ましくは70増加する毎に、カルシウム源を培養液に供給してもよい。カルシウム源の供給量は、初期培地におけるカルシウムの含有量に相当する量とすることができる。カルシウム源の供給に用いる化合物は、初期培地の調製に用いたものと同じでもよく、異なってもよい。例えば、初期培地が塩化カルシウム二水和物を含む場合、流加するカルシウム源は、塩化カルシウム二水和物でもよく、他のカルシウム源(例えば、硫酸カルシウム)でもよい。
例えば、培養液のOD800が5~20、好ましくは7~15、より好ましくは10増加する毎に、ホウ素源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を培養液に供給してもよい。供給する成分は、ホウ素源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される2種以上が好ましく、3種以上がより好ましく、4種以上がさらに好ましく、5種以上が特に好ましく、6種全てが特に好ましい。これらの成分の供給量は、初期培地におけるこれらの元素(ホウ素、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、又はモリブデン)の含有量に相当する量とすることができる。これらの成分の供給に用いる化合物は、初期培地の調製に用いたものと同じでもよく、異なってもよい。例えば、初期培地がホウ素源としてホウ酸を含む場合、流加するホウ素源は、ホウ酸でもよく、他のホウ素源(例えば、メタホウ酸ナトリウム)でもよい。マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源についても同様である。
上記のような流加方法では、OD800を指標として初期培地濃度に相当する量の流加を行うため、各成分の濃度を測定することなく、簡易に流加を行うことができる。上記のように、培養中に、適宜、各成分の流加を行うことにより、単細胞紅藻をより高密度に培養することができる。
本実施形態の培養方法では、培養中に、任意の量の培養液を回収してもよい。回収する培養液の量は、特に限定されないが、例えば、培養液の体積全体の10~90体積%、20~80体積%、30~70体積%、又は40~60体積%等が挙げられる。
培養液を回収する時期は、特に限定されないが、最高到達藻体濃度に近い藻体濃度である時期に回収することが好ましい。例えば、藻体濃度が15g/L以上となった時期に、培養液を回収してもよい。そのような時期に回収することにより、高い藻体濃度の培養液を得ることができる。培養液の回収時期は、OD800を指標として決定してもよい。例えば、OD800が20以上となったときに、培養液を回収してもよい。培養液を回収する時期のOD800は、25以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、又は100以上であってもよい。OD800の上限値は、特に限定されないが、例えば、140以下、130以下、又は120以下が挙げられる。
培養液回収後は、そのまま培養を継続してもよく、回収した培養液と同程度の量の培地を培養液に添加して、培養を継続してもよい。添加する培地は、初期培地と同じ培地でもよく、異なる培地でもよい。添加する培地は、当該培地を添加後の培養液おいて、各成分の濃度が初期培地と同程度となるように、各成分の濃度を調整した培地であってもよい。
培養液回収後の培養は、上記と同様の培養条件で行うことができる。
回収した培養液からは、単細胞紅藻を回収してもよい。培養液からの単細胞紅藻の回収方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、遠心分離、濾過等により、培養液から単細胞紅藻を回収することができる。回収した単細胞紅藻は、乾燥粉体等にして食品、飼料、サプリメント等に利用してもよく、フィコシアニン等の有用成分を抽出してもよい。
本実施形態の培養方法によれば、単細胞紅藻を、高密度で培養することができる。単細胞紅藻を高密度で培養することにより、単細胞紅藻を用いて、フィコシアニン等の有用物質を効率よく製造することができる。
<単細胞紅藻の製造方法>
本開示の第2の態様は、単細胞紅藻の製造方法である。本態様にかかる製造方法は、有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養し、前記単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得る工程(A)と、前記培養液から前記単細胞紅藻を回収する工程(B)と、を含む。
(工程(A))
工程(A)では、有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養し、前記単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得る。
工程(A)における単細胞紅藻の培養は、上記第1の態様にかかる単細胞紅藻の培養方法と同様に行うことができる。培養は、従属栄養培養で、流加培養とすることが好ましい。第1の態様と同様の方法で単細胞紅藻を培養することにより、単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得ることができる。
培養に用いる単細胞紅藻としては、上記第1の態様にかかる単細胞紅藻の培養方法の説明で挙げたものと同様のものを用いることができる。単細胞紅藻としては、イデユコゴメ綱に属する藻類が好ましく、シアニディオシゾン・メロラエがより好ましく、有機炭素資化能を有するシアニディオシゾン・メロラエがさらに好ましく、従属栄養増殖特性を有するシアニディオシゾン・メロラエが特に好ましい。
単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得るために、OD800を藻体濃度の指標としてもよい。例えば、OD800が20以上、好ましくは25以上、より好ましくは30以上である場合、培養液における単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上となっている可能性が高い。
培養液は、培養液全体を回収してもよく、培養液の一部を回収してもよい。培養液の一部を回収した場合、残りの培養液で培養を継続してもよく、培地を残りの培養液に添加して培養を継続してもよい。
(工程(B))
工程(B)では、前記回収した培養液から単細胞紅藻を回収する。
培養液からの単細胞紅藻の回収は、公知の方法で行うことができ、例えば、遠心分離、又は濾過等を用いることができる。
本実施形態の単細胞紅藻の製造方法によれば、単細胞紅藻の培養により、高い藻体濃度の培養液を得て、当該培養液から単細胞紅藻を回収するため、効率よく単細胞紅藻を製造することができる。
<フィコシアニンの製造方法>
本開示の第3の態様は、フィコシアニンの製造方法である。本実施形態の製造方法は、前記第2の態様の単細胞紅藻の製造方法により、単細胞紅藻を製造する工程と、前記単細胞紅藻からフィコシアニンを抽出する工程と、を含む。
単細胞紅藻を製造する工程は、上記第2の態様の製造方法で説明した通りである。
(フィコシアニンを抽出する工程)
単細胞紅藻からのフィコシアニンの抽出方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、破砕処理、抽出処理、圧搾処理、遠心分離処理、超臨界抽出処理等の公知の方法を、単独又は組み合わせて使用して、単細胞紅藻からフィコシアニンの抽出を行うことができる。また、特開2003-342489号公報又は特許4677250号公報に記載の方法を用いてもよい。
フィコシアニンを抽出するために用いる抽出溶媒としては、水及び有機溶媒が挙げられる。抽出溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール類;ヘキサン、ペンタン等の炭化水素類等が挙げられる。抽出溶媒としては、水、エタノール及びこれらの混合溶媒が好ましい。また、抽出効率を上げる等の目的で、各種添加剤を用いてもよい。
藻類細胞に対して使用する抽出溶媒の量は、特に限定されない。抽出溶媒の量は、例えば、藻類細胞に対して、1~1000倍量程度(好ましくは5~200倍量程度)とすることができる。抽出操作は、通常、常圧下、常温~溶媒の沸点の範囲で行うことができる。抽出操作は、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。例えば、1度抽出操作を行った細胞残渣に再度新鮮な抽出溶媒を添加しても再度抽出操作を行ってもよい。抽出操作後、必要に応じて、遠心分離、ろ過、限外ろ過等により細胞残渣を除去してもよい。また、加熱、エバポレーター等を用いた減圧蒸留により、抽出溶媒を除去してもよい。さらに、各種精製処理を行い、フィコシアニンを精製してもよい。精製処理としては、例えば、塩析、透析、再結晶、再沈殿、溶媒抽出、吸着、濃縮、ろ過、ゲルろ過、限外ろ過、各種クロマトグラフィ(薄層クロマトグラフィ、カラムクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、吸着クロマトグラフィなど)等が挙げられるが、これらに限定されない。
フィコシアニンは、青色天然色素、機能性関与成分、有効成分等として使用することができる。また、フィコシアニンは、食品、飼料、餌料、又は化粧料等の添加剤等として、使用することができる。
本実施形態の方法では、上記第2の態様の製造方法で単細胞紅藻を製造するため、効率よく単細胞紅藻を得ることができる。そのため、効率的に、フィコシアニンを製造することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
(OD800による藻密度の測定)
培養液をサンプリングし、PMMAセミマイクロキュベット中で、UV/Vis分光光度計(NanoDrop,Thermo Scientific)により、波長800nmにおける光学密度を測定した。
(藻体乾燥重量(DCW)の測定)
任意の容積の培養液を、5000g、4°Cで5分間遠心分離し、沈殿を得た。これを1%(w/v)酢酸アンモニウム水溶液で穏やかに洗浄し、再度遠心分離する工程を2度行った。沈殿を少量の酢酸アンモニウム水溶液に再懸濁し、予め秤量した樹脂チューブに移した。-80°Cで凍結後、凍結乾燥を行い、乾燥藻体を得た。藻体を含む樹脂チューブを再度秤量し、培養液の容積当たりの藻体乾燥重量を得た。
(フィコシアニン(PC)含有量の測定)
5~10mgの凍結乾燥藻体をスパテルでこそぎ取り、0.5mLのジルコニアボール(Φ0.6mm;YTZ(登録商標)-0.6、株式会社ニッカトー)が入った2mLスクリューキャップチューブに入れた。ここに、0.8mLのTris-HCl(10mM,pH7.5)を添加し、細胞破砕装置MS-100(トミー精工)にて、冷却下、2000rpmで90秒間破砕した。この破砕を、1分間のインターバルで、5回繰り返した。破砕液0.5mLを回収し、-20°Cで凍結した。凍結サンプルを融解し、20630g,4℃で、30分間遠心した。遠心上清を、Tris-HCl(10mM,pH7.5)で、620nmにおける吸光度が1未満となるように希釈した。この希釈サンプルについて、分光光度計U-3900(日立ハイテクサイエンス)により、280nm、560nm、620nm、650nm、及び750nmの吸光度を測定した。280nmにおける吸光度は、可溶物が抽出されていることの指標として用いた。750nmにおける吸光度は、細胞片が除去されていることの指標として用いた。他の波長における吸光度は、下記式によるPC含有量の算出に用いた。
下記の計算式(財団法人日本健康・栄養食品「スピルリナ食品品質規格基準」(平成21年3月6日改定))により、C-フィコシアニン(CPC)及びアロフィコシアニン(APC)の量を計算し、その合計をPC含有量[g/100g-DCW]とした。下記式中、A560nm、A620nm、及びA650nmは、上記希釈サンプルの560nm、620nm、及び650nmにおける吸光度をそれぞれ示す。
CPC (g/L) = 0.198*A620nm-0.0019*A560nm-0.133*A650nm
APC (g/L) = 0.204*A650nm-0.0519*A620nm-0.0019*A560nm
(培地成分の測定)
培養液をサンプリングし、各培地成分を以下の方法により測定した。
グリセロールは、K-GCROL(Megazyme)を用いて測定した。
アンモニア、リン、及びマグネシウムは、それぞれ、WAK-NH4(C)-4、WAK-PO4、及びWAK-Mg(いずれも(株)共立理化学研究所)を用いて測定した。
<実施例1>
藻株として、シアニディオシゾン・メロラエ Cm-1(以下、「Cm-1」)及びシアニディオシゾン・メロラエ CRY2(以下、「CRY2」)を用いた。Cm-1は、従属栄養培養に馴化させた藻株である。CRY2は、シアニディオシゾン・メロラエ NIES-1804に、CMQ453C(G572R)遺伝子を導入した形質転換株である。CMQ453Cは、シアニディオシゾン・メロラエのクリプトクロムとして同定されたタンパク質である。CMQ453C(G572R)は、暗所活性型に改変されたクリプトクロムである。
(前培養)
Cm-1またはCRY2を、改変MA2+3%グリセロール培地(表1)を100mL入れた250mLカルチャーフラスコ2本に接種し、40℃、20μE m-2・sec-1(連続光)にて、100rpmで振盪することにより、前培養した。
(本培養)
前培養したCm-1の培養液(OD800:14.7)82mLまたは前培養したCRY2の培養液(OD800:8.1)141mLを、改変MA2+3%グリセロール培地(表1)を3L入れた5Lジャーに接種し、42℃、暗所で、200rpmで攪拌しながら、通気培養(1vvm air)した。培養中は、藻体の増加に伴い酸素消費量が増加する。そのため、溶存酸素計で測定される培養液中の溶存酸素(DO)が、培養前における培地の飽和濃度に対して20%を下回る毎に、攪拌数を250rpm、次いで300rpmへと上昇させ、さらに通気量を1.7vvmへと上昇させた。培養期間中、下記の条件で培地成分を流加した。
培養中、定期的に、藻体乾燥重量(DCW)、OD800、及びPC含量を測定した。
≪流加条件≫
(1)OD800が10を超えた時点以降、培養液中のグリセロール、アンモニア、リン、及びマグネシウムを1日又は半日毎に測定し、初期濃度からの減少分を流加した。アンモニアは(NHSO、リンはKHPO、マグネシウムはMgSO・7HOをそれぞれ流加に用いた。
(2)OD800が30増加する毎に、初期培地濃度に相当する量の鉄(Fe)を流下した。鉄の流加にはFeClを用いた。
(3)OD800が70増加する毎に、初期濃度に相当する量のカルシウム(Ca)を流下した。カルシウムの流加にはCaCl・2HOを用いた。
(4)OD800が10増加する毎に、初期濃度に相当する量のホウ素(B)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、及びモリブデン(Mo)をそれぞれ流下した。ホウ素はHBO、マンガンはMnCl・4HO、コバルトはCoCl・6HO、亜鉛はZnCl、モリブデンはNaMoO・HOをそれぞれ流加に用いた。
Figure 2024047182000001
各成分の初期培地濃度を表2に示す。
Figure 2024047182000002
(結果)
結果を図1~3に示す。図1は、培養中の藻体乾燥重量(DCW)の推移を示す。図2は、培養中のOD800の推移を示す。図3は、培養中のフィコシアニン(PC)含有量の推移を示す。
図1及び図2に示すように、Cm-1及びCRY2は、良好に増殖した。Cm-1及びCRY2のいずれも、最高到達藻体濃度が15g/L以上となった。図3に示すように、PC含量は、一定範囲内に維持された。
<実施例2>
藻株として、Cm-1を用いて、実施例1と同様に、前培養及び本培養を行った。培養中、定期的に、藻体乾燥重量(DCW)、及びPC含量を測定した。
(結果)
結果を図4及び図5に示す。図4は、培養中のDCWの推移を示す。図5は、培養中のPC含量の推移を示す。
図4に示すように、Cm-1は、良好に増殖し、最高到達藻体濃度が15g/L以上となった。図5に示すように、PC含量は、一定範囲内に維持された。
実施例1及び実施例2の結果を表3にまとめた。
Figure 2024047182000003
<参考例>
藻株として、シアニディオシゾン・メロラエ NIES-3377(以下、「NIES-3377」)を用いた。
(前培養)
NIES-3377を、改変Gross+3%グリセロール培地(表4の組成からCA-123(antifoam)を除き、3%グリセロールを加えたもの)を100mL入れた250mLカルチャーフラスコに接種し、40℃、20μE m-2・sec-1(連続光)にて、150rpmで振盪することにより、前培養を得た。
(本培養)
前培養したNIES-3377の培養液(OD800:6.9)20mLを、改変Gross+0.04% CA123(antifoam)培地(表4)を2L入れた3Lジャーに接種し、40℃、30μE・m-2・sec-1(白色LED、連続光)で、100rpmで攪拌しながら、通気培養(1vvm air+1% CO)した。
培養中、定期的に、OD800を測定した。
Figure 2024047182000004
(結果)
結果を図6に示す。図6に示すように、独立栄養条件下では、NIES-3377は、OD800が1程度までしか増殖しなかった。

Claims (17)

  1. 有機炭素源の存在下で、単細胞紅藻を培養することを含み、
    前記培養中の最高到達藻体濃度が、15g/L以上である、
    単細胞紅藻の培養方法。
  2. 前記培養を暗所で行う、請求項1に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  3. 前記培養を流加培養で行う、請求項1に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  4. 前記培養中に、培養液のOD800が所定値以上である場合、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を、0.5~1日毎に培養液に供給する、請求項3に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  5. 前記培養中に、培養液のOD800が所定値増加する毎に、所定の成分を前記培養液に供給する、請求項3に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  6. 前記所定の成分が、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種の成分である、請求項5に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  7. 前記単細胞紅藻が、イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻である、請求項1に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  8. 前記イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻が、シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon)属に属する藻類である、請求項7に記載の単細胞紅藻の培養方法。
  9. 有機炭素源の存在下で単細胞紅藻を培養し、前記単細胞紅藻の藻体濃度が15g/L以上である培養液を得る工程(A)と、
    前記培養液から前記単細胞紅藻を回収する工程(B)と、
    を含む、単細胞紅藻の製造方法。
  10. 前記工程(A)における培養を暗所で行う、請求項9に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  11. 前記工程(A)における培養を流加培養で行う、請求項9に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  12. 前記工程(A)における培養中に、前記培養液のOD800が所定値以上である場合、有機炭素源、窒素源、リン源、及びマグネシウム源からなる群より選択される少なくとも1種の成分を、0.5~1日毎に前記培養液に供給する、請求項11に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  13. 前記工程(A)における培養中に、前記培養液のOD800が所定値増加する毎に、所定の成分を前記培養液に供給する、請求項11に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  14. 前記所定の成分が、鉄源、カルシウム源、マンガン源、コバルト源、銅源、亜鉛源、及びモリブデン源からなる群より選択される少なくとも1種の成分である、請求項13に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  15. 前記単細胞紅藻が、イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻である、請求項9に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  16. 前記イデユコゴメ綱に属する単細胞紅藻が、シアニディオシゾン(Cyanidioschyzon)属に属する藻類である、請求項15に記載の単細胞紅藻の製造方法。
  17. 請求項9~16のいずれか一項に記載の単細胞紅藻の製造方法により単細胞紅藻を製造する工程と、
    前記単細胞紅藻からフィコシアニンを抽出する工程と
    を含む、フィコシアニンの製造方法。
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