JP2024047154A - 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法 - Google Patents

車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024047154A
JP2024047154A JP2022152611A JP2022152611A JP2024047154A JP 2024047154 A JP2024047154 A JP 2024047154A JP 2022152611 A JP2022152611 A JP 2022152611A JP 2022152611 A JP2022152611 A JP 2022152611A JP 2024047154 A JP2024047154 A JP 2024047154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superfinishing
wheel
large rib
grinding
rib surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022152611A
Other languages
English (en)
Inventor
良雄 神谷
達男 若林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2022152611A priority Critical patent/JP2024047154A/ja
Publication of JP2024047154A publication Critical patent/JP2024047154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】大鍔面の超仕上げ加工による加工筋目と円錐ころのころ頭部の滑り方向との交差角を小さくして摩擦抵抗を抑制し、左右輪の動トルク差を低減させて車両の操安性を向上させることができる車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法を提供する。【解決手段】ハブ輪31の外周面のうち少なくとも大鍔面34を含む範囲に、研削砥石103を用いて研削加工を施す研削工程と、回転するハブ輪31に対して、超仕上げ砥石106をハブ輪31の径方向におけるオシュレーションをさせながら大鍔面34に押圧して大鍔面34に超仕上げ加工を施す超仕上げ工程と、を備える。超仕上げ工程は、回転するハブ輪31に対して、大鍔面34に押圧された超仕上げ砥石106の径方向におけるオシュレーションを停止して、大鍔面34を加工する最終超仕上げ工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するための車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法に関する。
自動車などの車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するため、一般的に車輪支持用軸受ユニット(以下、「ハブユニット軸受」とも言う。)が広く用いられる。ハブユニット軸受では、回転輪であるハブに、車輪を構成するホイール及び制動用回転部材が回転フランジを介して支持固定されており、静止輪である外輪に対して転動体を介して回転する。
特許文献1には、図6に示すように、ハブを構成するハブ輪31の外周面のうち、リップ摺接面31aを含む範囲に研削加工が施され、また、このリップ摺接面31aには、図7に誇張して示すような軸方向に関する凹部111と凸部112とが径方向にわたり交互に配置された、対数螺旋状(渦巻き状)の研削筋目110が形成される可能性があることが記載されている。
具体的に、研削加工は、図6(上方から見た図)に示すように、回転フランジ32の軸方向外側面に磁気結合力により結合したマグネットチャック101を回転させることで、ハブ輪31を回転させる。この際、ハブ輪31の外周面を2つのシュー102の先端部により回転自在に支持し、ハブ輪31のラジアル方向の位置決めを図る。そして、ダイヤモンドホイール105で成形した総形砥石(研削砥石)103の外周面を、ハブ輪31の外周面に押し付け、ハブ輪31の外周面に研削加工を施す。
また、特許文献1では、研削筋目110が形成される理由として、以下のように記載されている。即ち、研削加工を行う際に、ハブ輪31の中心軸Oとマグネットチャック101の回転中心軸O101とを偏心させて、このハブ輪31に2つの固設されたシュー102の間に向かう押圧力を付与しており、これら2つのシュー102の先端部には摩耗が生じる。この為、ハブ輪31の中心軸Oの高さ(芯高、図6の表裏方向の高さ)と研削砥石103の中心軸O103の高さ(芯高)とが不一致になり易く、回転フランジ32のリップ摺接面31aに対する研削砥石103の研削面(研削点)の位置が上下方向に変化するためである。
一方、ハブユニット軸受が転動体として円錐ころを備える場合、円錐ころ軸受の大鍔面は上述したリップ摺接面31aのように中心軸Oに対する直交面ではなく、中心軸Oに対して若干傾きを有しているが、中心軸の直交面に近い内円錐面であるため、大鍔面を研削仕上げすると、同様の理由により、大鍔面に対数螺旋状の研削筋目が不可避に発生する。
また、円錐ころを備えるハブユニット軸受では、図8に示すように、円錐ころのころ頭部41と大鍔面(大鍔部の内側面)34との接触部は、略楕円120の範囲で接触する。円錐ころが、図中、左から右に向かって公転すると仮定すると、位相PAでの接触部の中心である点Aは、位相PBでは点Bの位置に、位相PCでは点Cに移動する。
点Bの位置は点Aより反公転方向かつ若干大径の位置になり、位相PCでの点Cはさらに反公転方向かつ大径の位置になる。即ち、ころ頭部41と大鍔面34との接点は、中心軸Oに向かって凸の軌跡を描きながら滑り接触しており、比較的低速回転で使用される車輪支持用円錐ころ軸受ユニットでは、この滑り接触摩擦が円錐ころ軸受の動トルクに対して支配的になる。
なお、図8に示す符号130は内輪軌道面であり、符号131はころ頭部41と大鍔面34との接触部の中心線であり、符号132は大鍔部の外径であり、符号133はころ頭部41のピッチ円直径を示す。
ころ頭部と大鍔面とが滑り接触する場合、加工筋目が綾目でない場合は、加工筋目の大きさや輪郭で影響は異なるものの、加工筋目と接点位置軌跡の方向(以下、「滑り方向」と言う)の交差角が小さくなるに従って滑り摩擦力が小さくなり、交差角が大きくなるに従って滑り摩擦力が大きくなる傾向がある。このため、大鍔面に形成された対数螺旋状の研削筋目は、ハブユニット軸受の動トルクを増大させる虞がある。
また、円錐ころ軸受が車輪支持軸受の場合、左右輪で回転方向が異なるため、研削筋目の対数螺旋の傾きが大きくなると、左右輪で研削筋目と滑り方向の交差角の向きが異なる状態になり、左右輪で動トルクの差が発生して、車両の操安性を悪化させる虞がある。
特開2017-180599号公報
ころ頭部と大鍔面との滑り摩擦力を低減させるため、大鍔面の研削加工後に超仕上げを行い、大鍔面の対数螺旋状の研削筋目を削りとることも考えられるが、超仕上げは、通常径方向にオシュレーションする超仕上げ砥石による加工であるため、面粗さの向上(加工筋目を小さくする)により加工筋目の影響を著しく減少させることはできるが、オシュレーションする超仕上げ砥石による加工筋目と滑り方向の交差角をなくすことはできず、左右輪での動トルク差を完全に解消することはできない。
また、特許文献1に記載の転がり軸受ユニットは、対数螺旋状の加工筋目によるシール性能(シール鳴き)への影響を抑制するための対策であり、本発明の目的である滑り摩擦力を低減させて車輪支持用円錐ころ軸受の動トルクを抑制する技術とは異なる発明である。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大鍔面の加工筋目と円錐ころのころ頭部の滑り方向との交差角を小さくして摩擦抵抗を抑制し、左右輪の動トルク差を低減させて車両の操安性を向上させることができる車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
[1] 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円錐ころと、
を備え、
前記一方の内輪軌道の軸方向外側には、前記円錐ころのころ頭部が対向する大鍔面が形成される車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法であって、
前記ハブ輪の外周面のうち少なくとも大鍔面を含む範囲に、研削砥石を用いて研削加工を施す、研削工程と、
回転する前記ハブ輪に対して、超仕上げ砥石を前記ハブ輪の径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に押圧して前記大鍔面に超仕上げ加工を施す、超仕上げ工程と、
を備え、
前記超仕上げ工程は、
回転する前記ハブ輪に対して、第1のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第1の超仕上げ工程と、
前記第1のオシュレーション速度より遅い第2のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第2の超仕上げ工程と、
前記大鍔面に押圧された前記超仕上げ砥石の前記径方向におけるオシュレーションを停止して、前記大鍔面を加工する最終超仕上げ工程を含む、車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
本発明の円錐ころハブユニット軸受の製造方法によれば、大鍔面の加工筋目と円錐ころのころ頭部の滑り方向との交差角を小さくして摩擦抵抗を抑制し、左右輪の動トルク差を低減させて車両の操安性を向上させることができる。
車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの断面図である。 図2(a)は、内輪軌道を超仕上げ加工する状態を示す説明図、図2(b)は、大鍔面を超仕上げ加工する状態を示す説明図である。 第1の超仕上げ工程により大鍔面に形成される加工筋目を示す図である。 第2の超仕上げ工程により大鍔面に形成される加工筋目を示す図である。 最終超仕上げ工程により大鍔面に形成される加工筋目を示す図である。 ハブ輪を回転する研削砥石により研削加工する状態を示す断面図である。 図7(a)は研削加工により大鍔面に形成される対数螺旋状の加工筋目を示す図であり、図7(b)は図7(a)のD-D断面拡大図である。 転動するころ頭部と大鍔面との位置関係を示す側面図である。
以下、本発明に係る車輪支持用円錐ころ軸受ユニット(ハブユニット軸受)の製造方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明のハブユニット軸受の製造方法が適用される第三世代のハブユニット軸受について、図1を用いて説明する。本実施形態の加工対象となるハブユニット軸受10は、転動体として円錐ころ40を使用し、大型SUV車や商用車などの自動車の車輪を回転自在に支持するために使用される。
ハブユニット軸受10は、使用状態で回転しない外輪20と、使用状態で車輪及びディスク、ドラムなどの制動用回転体とともに回転するハブ30と、複列の円錐ころ40と、保持器50と、密封部材15とを備えている。
なお、ハブユニット軸受10に関して、軸方向外側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる図1の左側であり、軸方向内側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる図1の右側である。
外輪20の外周面の軸方向中間部には、懸架装置のナックルに結合される静止フランジ21が設けられており、外輪20の内周面には、複列の外輪軌道20a、20bが設けられている。複列の外輪軌道20a、20bは、それぞれ円錐面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の外輪軌道20aは、軸方向外側に向かうほど内径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の外輪軌道20bは、軸方向内側に向かうほど内径が大きくなる。
ハブ30は、外輪20の内径側に外輪20と同軸に配置されており、外周面には複列の内輪軌道30a、30bを有している。複列の内輪軌道30a、30bは、それぞれ円錐面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の内輪軌道30aは、軸方向外側に向かうほど外径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の内輪軌道30bは、軸方向内側に向かうほど外径が大きくなる。
ハブ輪31は、内輪45を外嵌保持する軸部材であり、軸方向外側から順に、回転フランジ32と、大鍔部33と、外側列の内輪軌道30aと、小径段部35とを有している。
回転フランジ32は、車輪及び制動用回転体を取り付けるためのもので、ハブ輪31の軸方向外側部に、径方向外方に突出するように設けられており、略円輪形状を有している。大鍔部33は、外側列の円錐ころ40の軸方向位置を規制するとともに、外側列の円錐ころ40に作用するアキシャル荷重を支承するためのもので、外側列の内輪軌道30aの軸方向外側に隣接して設けられている。
大鍔部33の軸方向内側面である大鍔面34は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜しており、外側列の円錐ころ40のころ頭部(大径側端部)41と接触対向している。外側列の内輪軌道30aは、ハブ輪31の外周面の軸方向中間部に形成されている。
小径段部35は、ハブ輪31の軸方向内側部に設けられており、外側列の内輪軌道30aよりも小径に形成される。小径段部35には、内輪45が締り嵌めで外嵌されており、内輪45の軸方向外端面が、小径段部35の軸方向外側に形成された段差面36に当接している。
また、ハブ輪31の径方向中央部には、駆動軸部材であるスプライン軸を係合させるためのスプライン孔37が軸方向に貫通して形成されている。
内輪45は、外周面の軸方向中間部に、内側列の内輪軌道30bを有し、内輪軌道30bの軸方向内側には、径方向外方に突出した大鍔部46を有している。大鍔部46は、内側列の円錐ころ40が軸方向に脱落するのを防止するとともに、内側列の円錐ころ40に作用するアキシャル荷重を支承する。
円錐ころ40は、複列に配置されており、軸方向外側に位置する外側列の円錐ころ40は、外側列の外輪軌道20aと外側列の内輪軌道30aとの間に配置され、軸方向内側に位置する内側列の円錐ころ40は、内側列の外輪軌道20bと内側列の内輪軌道30bとの間に配置されている。外側列及び内側列の円錐ころ40間には、背面組み合わせ型の接触角とともに予圧が付与されている。
保持器50は、合成樹脂製であり、全体が部分円すい筒状に構成されている。外側列及び内側列の保持器50は、それぞれ外側列及び内側列の円錐ころ40を転動自在に保持している。
密封部材15は、外輪20の軸方向外側の内周面とハブ30の外周面との間、及び外輪20の軸方向内側の内周面と内輪45の外周面との間に配置されて、外輪20の内周面とハブ30の外周面との間に存在する空間22に封入したグリースが、漏れ出すことを防止するとともに、外部からの泥水や塵埃が空間22に侵入することを防止している。
次に、ハブユニット軸受の製造方法、特にハブ輪31の内輪軌道30a、及び大鍔面34の製造方法について図2~図5を参照して詳細に説明する。
先ず、ハブ輪31は、鍛造加工などにより形成された素材に対して旋盤加工が施されて内輪軌道30a及び大鍔面34が所定の形状に加工される。次いで、内輪軌道30a及び大鍔面34を含む近傍が熱処理された後、図6で説明した研削加工方法と同様の方法により、内輪軌道30a及び大鍔面34の表面が回転する研削砥石103により研削されて所定の寸法精度に研削加工される。
その際、内輪軌道30a及び大鍔面34には、研削筋目が形成される。特に、大鍔面34には、図6及び図7ですでに説明した理由により対数螺旋状の研削筋目110が形成される。この対数螺旋状の研削筋目110は、ころ頭部41と大鍔面34との滑り摩擦力増大の要因であるため好ましくなく、以下で説明する超仕上げ加工により削除される。
超仕上げ加工は、超仕上げ砥石106が、オシュレーションを行いつつ加圧をする機能を持つ超仕上げユニットの砥石ホルダに取付けられて行われる。内輪軌道30aと大鍔面34の超仕上げ加工は、超仕上げ砥石のオシュレーション方向が異なるため、別々に行われる。即ち、内輪軌道30aの超仕上げ加工は、図2(a)に示すように、、ホーニング油を掛けながら超仕上げ砥石106を内輪軌道30aに沿って矢印E-F方向にオシュレーションしながら、矢印Pで示すように内輪軌道30aを押圧し、軸受方向(矢印E-F方向)にトラバースして行う。なお、内輪軌道30aの軸方向幅と、超仕上げ砥石106の軸方向幅が近い場合にはトラバースは行わなくてもよい。また、内輪軌道30aの超仕上げ加工は、2つのステップ(後述する大鍔面34における第1の超仕上げ加工と第2の超仕上げ加工)によって行われる。
超仕上げ砥石106は、加工当初は直方体形状であるが、加工しているうちに加工面の砥粒が脱落して、被加工面(内輪軌道)に倣った形状になる。
また、大鍔面34の超仕上げ加工は、図2(b)に示すように、超仕上げ砥石106を径方向(矢印G-H方向)にオシュレーションしながら、矢印Pで示すように大鍔面34を押圧する。
超仕上げ加工は、超仕上げ砥石106のオシュレーション速度が速い程、超仕上げ砥石106の切れ味が良くなり、目こぼれ傾向となり、被加工面の削り量が多くなって被加工面の粗さが粗くなる。一方、超仕上げ砥石106のオシュレーション速度が遅くなる程、目詰まり傾向となり、被加工面の削り量が減り、被加工面の粗さが良くなる。
従って、超仕上げ加工は、最初にオシュレーション速度を上げて、研削筋目を除去した後、オシュレーション速度を下げて、被加工面の粗さを良くする。なお、超仕上げ加工は、研削筋目と直角の方向に超仕上げ砥石106のオシュレーションを行うので、超仕上げの加工筋目は周方向に対してサインカーブ状に形成される。
上記した理由により、大鍔面34の超仕上げ加工は、以下の3段階の超仕上げ加工により対数螺旋状の研削筋目110を削り取る。即ち、第1の超仕上げ工程において、例えば、2000fpm(feet per minutes)の第1のオシュレーション速度で、超仕上げ砥石106を径方向にオシュレーションをさせ、超仕上げ砥石106を目こぼれ傾向にして切り刃を立たせながら大鍔面34に押圧し、対数螺旋状の研削筋目110を削り取って第1の超仕上げ加工(通常の超仕上げの粗工程)を施す。これにより、大鍔面34には、図3に示すよう、周期の短いサインカーブ状の加工筋目113が形成される。
次いで、第2の超仕上げ工程において、第1のオシュレーション速度より遅い、例えば、100fpmの第2のオシュレーション速度で、超仕上げ砥石106を径方向におけるオシュレーションをさせ、超仕上げ砥石106を目詰まり傾向にして切り刃を潰して大鍔面34に押圧し、加工筋目を円周方向に近付けると共に、表面粗さを整える第2の超仕上げ加工(通常の超仕上げの仕上げ工程)を施す。これにより、大鍔面34には、図4に示すよう、周期の長いサインカーブ状(円弧状)の加工筋目114が形成される。
そして、最終超仕上げ工程(第3の超仕上げ加工)において、超仕上げ砥石106の径方向におけるオシュレーションを停止し、超仕上げ砥石106をさらに目詰まりさせた状態で大鍔面34に押圧して最終超仕上げ加工を施す。これにより、大鍔面34には、図5に示すように、同心円状の加工筋目115が形成される。なお、最終超仕上げ工程では、超仕上げ砥石106を周方向にゆっくり、例えば、100fpmでオシュレーションさせてもよい。
最終超仕上げ工程におけるハブ輪31の中心軸Oと超仕上げ砥石106の中心軸(直方体形状の幅方向中間部)との高さ(図2(b)の紙面表裏方向の高さ)の差である芯高誤差は、研削工程におけるハブ輪31の中心軸Oと研削砥石103の中心軸O103との高さ(図6の紙面表裏方向(貫通する方向)の高さ)の差である芯高誤差より小さくすることが好ましい(図6参照)。これにより、対数螺旋状の研削筋目110が発生し難くなる。
上記した3段階の超仕上げ加工により、オシュレーションによる筋目ところ頭部41の滑り方向の交差角を、内輪軌道30aの超仕上げ加工の筋目(図4と同様の筋目)と転がり方向との交差角より小さくできる。
通常、転がり接触面では、超仕上げの筋目の回転方向との交差角が大きい程油膜が形成されやすく、好ましいとされているが、トルクの増加や音響性能の低下が発生し易くなる。一方、滑り接触である大鍔面34では、油膜ができる条件においては、超仕上げの筋目と滑り方向の交差角が小さい程、油膜ができ易く、低トルクとなる。従って、左右輪の動トルク差が抑制または解消することができ、車両の操安性が向上する。
以上説明したように、本実施形態の車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法によれば、研削加工により生じる大鍔面の対数螺旋状の研削筋目を確実に削り取り、面粗さを向上させると共に、大鍔面の超仕上げによる加工筋目と円錐ころのころ頭部の滑り方向との交差角を小さくして摩擦抵抗を抑制することができ、左右輪の動トルク差を低減させて車両の操安性が向上する。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記の説明では、駆動輪用のハブユニット軸受について説明したが、従動輪用のハブユニット軸受にも同様に適用可能である。その場合、ハブ輪はスプライン孔を備えず、中実に構成される。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円錐ころと、
を備え、
前記一方の内輪軌道の軸方向外側には、前記円錐ころのころ頭部が対向する大鍔面が形成される車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法であって、
前記ハブ輪の外周面のうち少なくとも大鍔面を含む範囲に、研削砥石を用いて研削加工を施す、研削工程と、
回転する前記ハブ輪に対して、超仕上げ砥石を前記ハブ輪の径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に押圧して前記大鍔面に超仕上げ加工を施す、超仕上げ工程と、
を備え、
前記超仕上げ工程は、
回転する前記ハブ輪に対して、第1のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第1の超仕上げ工程と、
前記第1のオシュレーション速度より遅い第2のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第2の超仕上げ工程と、
前記大鍔面に押圧された前記超仕上げ砥石の前記径方向におけるオシュレーションを停止して、前記大鍔面を加工する最終超仕上げ工程を含む、車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
この構成によれば、研削加工により生じる大鍔面の対数螺旋状の研削筋目を確実に削り取り、面粗さを向上させると共に、大鍔面の加工筋目と円錐ころのころ頭部の滑り方向との交差角を小さくして摩擦抵抗を抑制し、左右輪の動トルク差を低減させて車両の操安性を向上させることができる。
(2) 前記最終超仕上げ工程における前記ハブ輪の中心軸と前記超仕上げ砥石の中心軸との高さの差である芯高誤差は、前記研削工程における前記ハブ輪の中心軸と前記研削砥石の中心軸との高さの差である芯高誤差より小さい、(1)に記載の車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
この構成によれば、最終超仕上げ工程において、オシュレーションによる大鍔面の加工筋目と滑り方向の交差角を小さくできる。
(3) 前記最終超仕上げ工程は、前記超仕上げ砥石を前記ハブ輪の周方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面を押圧して加工する、(1)又は(2)に記載の車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
この構成によれば、オシュレーションによる大鍔面の加工筋目と滑り方向の交差角を小さくできる。
10 ハブユニット軸受(車輪支持用円錐ころ軸受ユニット)
20 外輪
20a、20b 外輪軌道
30 ハブ
30a、30b 内輪軌道
31 ハブ輪
32 回転フランジ
33 大鍔部
34 大鍔面
35 小径段部
40 円錐ころ
41 ころ頭部
45 内輪
103 研削砥石
106 超仕上げ砥石
O103 研削砥石の中心軸
O ハブ輪の中心軸

Claims (3)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
    軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円錐ころと、
    を備え、
    前記一方の内輪軌道の軸方向外側には、前記円錐ころのころ頭部が対向する大鍔面が形成される車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法であって、
    前記ハブ輪の外周面のうち少なくとも大鍔面を含む範囲に、研削砥石を用いて研削加工を施す、研削工程と、
    回転する前記ハブ輪に対して、超仕上げ砥石を前記ハブ輪の径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に押圧して前記大鍔面に超仕上げ加工を施す、超仕上げ工程と、
    を備え、
    前記超仕上げ工程は、
    回転する前記ハブ輪に対して、第1のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第1の超仕上げ工程と、
    前記第1のオシュレーション速度より遅い第2のオシュレーション速度で、前記径方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に超仕上げ加工を施す第2の超仕上げ工程と、
    前記大鍔面に押圧された前記超仕上げ砥石の前記径方向におけるオシュレーションを停止して、前記大鍔面を加工する最終超仕上げ工程を含む、車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
  2. 前記最終超仕上げ工程における前記ハブ輪の中心軸と前記超仕上げ砥石の中心軸との高さの差である芯高誤差は、前記研削工程における前記ハブ輪の中心軸と前記研削砥石の中心軸との高さの差である芯高誤差より小さい、請求項1に記載の車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
  3. 前記最終超仕上げ工程は、前記超仕上げ砥石を前記ハブ輪の周方向におけるオシュレーションをさせながら前記大鍔面に押圧して加工する、請求項1に記載の車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法。
JP2022152611A 2022-09-26 2022-09-26 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法 Pending JP2024047154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152611A JP2024047154A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022152611A JP2024047154A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024047154A true JP2024047154A (ja) 2024-04-05

Family

ID=90527191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022152611A Pending JP2024047154A (ja) 2022-09-26 2022-09-26 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024047154A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006305715A (ja) 車輪支持用軸受ユニット及びその製造方法
JP2004092830A (ja) 車輪用軸受ユニットの製造方法
JP2003120687A (ja) 円すいころ軸受およびその加工方法
CN102639270A (zh) 密封面的加工方法
JP2013061048A (ja) シール付車輪支持用軸受ユニット
JP2024047154A (ja) 車輪支持用円錐ころ軸受ユニットの製造方法
JP4110396B2 (ja) 軸受軌道面の超仕上げ方法及び超仕上げ装置
JPH09177795A (ja) 玉軸受
JP5549218B2 (ja) 車輪用軸受装置における内輪の製造方法
JP7140208B2 (ja) 軌道輪部材の製造方法、転がり軸受の製造方法、ハブユニット軸受の製造方法および車両の製造方法
JP4064440B1 (ja) 車輪軸受装置の製造方法
JP2015028372A (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット
KR100774237B1 (ko) 자동 조심 구름 베어링 및 그 가공 방법
JP3773025B2 (ja) 車軸用軸受装置
JP3539770B2 (ja) 自動調心ころ軸受用ころ及びその加工方法
JP4991233B2 (ja) 車輪軸受装置における軌道溝の研削方法
WO2021235397A1 (ja) 密封装置
JP2006312371A (ja) 車輪支持用軸受ユニットとその製造方法
KR20200089192A (ko) 차량용 휠베어링
JP3972869B2 (ja) 車輪用転がり軸受の加工方法
US20020126930A1 (en) Method of finishing the land of the outer ring of a bearing and a bearing
JP2002323052A (ja) ころ軸受およびその製造方法
JP2006021605A (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法
JP2008062336A (ja) 車輪軸受装置の製造方法
JP2023131280A (ja) ハブユニット軸受用外輪およびその製造方法