JP2024044181A - 部材の電波透過率を向上させる方法 - Google Patents

部材の電波透過率を向上させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、部材の材料及び意匠を変更することなく、部材におけるミリ波の透過率を向上させる方法を提供することを目的とする。【解決手段】樹脂を含む基材を有する部材において、周波数77GHzにおける電波透過率を向上させる方法であり、部材にフィルムを積層することを含み、フィルムは、厚みが50~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmであることを特徴とする、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、部材の電波透過率を向上させる方法に関する。
自動車に自動運転機能や衝突防止機能をもたせるために搭載されるミリ波レーダーなど、近年、ミリ波領域(周波数30~300GHz)の電波を情報通信媒体として利用した通信機器の開発が拡大しており、こうしたミリ波通信機器を保護・収納する部品には高いミリ波透過性が求められている。
ミリ波通信機器を保護・収納する部品に用いられる部材のミリ波透過性を高める技術として、例えば、特許文献1には、透明樹脂基材にアルミフレークを含む塗料を塗装して得られるミリ波透過性光沢塗膜において、アルミフレークの平均粒径、塗膜に占めるアルミフレークの面積占有率等を特定の範囲とすることにより、高光沢性と高ミリ波透過性とを両立させる技術が記載されている。
また、特許文献2には、インジウム層と硫化亜鉛層とを有し、特定の範囲の累積50%体積粒子径D50を有する鱗片状顔料を用いることにより、高いミリ波透過性と、優れたメタリックカラー塗装を実現する技術が記載されている。
特許文献3には、特定の(メタ)アクリル樹脂組成物を材料とし、周波数70~90GHzにおける誘電率及び誘電正接を特定の範囲とすることで、ミリ波透過性及び耐候性を改善したミリ波レーダーカバーが記載されている。
特許第6933587号公報 特開2022-079861号公報 特開2020-147680号公報
しかしながら、上記従来技術は、基材や塗膜の材料を変更して部材の電波透過率を改良するものであるため、材料の変更に合わせて部材(を用いた部品)の意匠設計、構造設計を変更しなければならない。そのため、現行の設計を変更せずに部材(を用いた部品)の電波透過率を向上させる手段が望まれている。
そこで、本発明は、部材の材料及び意匠を変更することなく、部材におけるミリ波の透過率を向上させる方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
[1]
樹脂を含む基材を有する部材において、周波数77GHzにおける電波透過率を向上させる方法であり、
前記部材にフィルムを積層することを含み、
前記フィルムは、厚みが50~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmである
ことを特徴とする、方法。
[2]
前記部材が塗膜を有する、[1]に記載の方法。
[3]
前記塗膜がアルミニウムを含む、[2]に記載の方法。
[4]
前記塗膜が、プライマー塗膜とベース塗膜とクリヤー塗膜とを含む複層塗膜である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]
前記基材が、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)及びポリカーボネート/ABSアロイ(PC/ABSアロイ)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記基材の厚みが2~3mmである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
以下の手順(a)~(d)により、積層させる前記フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値を決定する、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
(a)部材の透過率スペクトル(縦軸:電波透過率(%)、横軸:周波数(GHz))を取得し、前記透過率スペクトルのピークトップの周波数における波長とピークバレーの周波数における波長とを求める。
(b)部材の厚みと、前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と部材のピークバレーの周波数における波長とを下記式(1)及び(2)に代入することにより、定数mの値を求める。
部材×d部材=2m×λピークトップ/4 ・・・(1)
部材×d部材=(2m-1)×λピークバレー/4 ・・・(2)
(n部材:部材の屈折率、d部材:部材の厚み(mm)、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm)、λピークバレー:部材のピークバレーの周波数における波長(mm)、m:整数の定数)
(c)前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と、前記(b)で求めた定数mの値とを下記式(3)に代入することにより、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値の関係式(4)を得る。
(nフィルム(1-(Ra/4))×dフィルム=(2m×|λピークトップ-3.896|/4)×(1±0.7) ・・・(3)
(nフィルム:フィルムの屈折率、Ra:フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)(μm)、dフィルム:フィルムの厚み(mm)、m:整数の定数、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm))
(d)前記(c)で求めた関係式(4)を満たすように、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値を決定する。
[7]
前記部材が自動車部品用である、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、部材の材料及び意匠を変更することなく、部材におけるミリ波の透過率を向上させる方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の方法は、樹脂を含む基材を有する部材において、周波数77GHzにおける電波透過率を向上させる方法(以下、単に「向上方法」ともいう。)であり、厚みが50μm~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmであるフィルムを、部材に積層することを含む。
対象となる部材は、樹脂を含む基材の他に、塗膜を有していてもよい。この場合、フィルムは、基材上及び塗膜上のいずれに積層されてもよい。すなわち、フィルム、基材、塗膜の順に積層された状態としてもよく、基材、塗膜、フィルムの順に積層された状態としてもよい。
本実施形態の向上方法は、部材に上記特性を有するフィルムを積層することにより、部材の材料及び意匠を変更することなく、部材におけるミリ波(周波数77GHz帯)の透過率を向上させることができる。また、特に、部材が塗膜を有する場合、薄膜干渉による反射によって電波の透過率が低下するが、上記フィルムが積層されることにより薄膜干渉による反射が抑制され、周波数77GHzにおける部材の電波透過率を向上させることができる。そのため、例えば、周波数77GHz帯(76~77GHz)の電波は自動車に搭載される中・長距離ミリ波レーダーの代表的な周波数帯であるが、部材がミリ波レーダーを保護・収納する自動車部品(例えば、レドーム、バンパー、エンブレム、ラジエータグリル等)用であった場合に、本実施形態の方法を適用することにより、ミリ波レーダーにより送受信可能なミリ波の透過強度を向上させることができる。
部材にフィルムを積層する手法は、特に限定されず、例えば、熱ラミネート、ドライラミネート、コールドラミネート等によりフィルムを部材に接着させればよい。なお、粘着剤や粘着シートを用いてフィルムを部材に接着(コールドラミネート)させる場合、粘着剤や粘着シートによる電波透過性への影響は全体に対してごくわずかであるため、無視できるものとする。
[フィルム]
本実施形態の向上方法に用いられるフィルムは、厚みが50~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmである。フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)を上記範囲で対象部材ごとに最適な値の組み合わせに調整することにより、種々の部材において周波数77GHzにおける電波透過率を向上させることができる。
フィルムは、厚みが50~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmであれば特に限定されず、例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ポリスチレン系樹脂フィルム(ポリスチレンフィルム、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)フィルム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)フィルム等)、ポリウレタンフィルム、ウレタンナイロンフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロン6フィルム、ナイロン66フィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アクリルフィルム(ポリメチルメタクリレートフィルム等)等であってよい。中でも、伸縮性や誘電率の観点から、ポリウレタンフィルムが好ましい。
フィルムの厚みは、50~10,000μmであり、好ましくは100~5,000μmであり、より好ましくは100~2,000μmであり、さらに好ましくは200~900μmであり、よりさらに好ましくは400~600μmである。フィルムの厚みが上記範囲であると、部材の77GHzにおけるミリ波透過率が90%以上となる傾向にある。
なお、フィルムの厚みは、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」等)を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
測定波長15mmにおけるフィルムの屈折率は、1.3~10であり、好ましくは1.3~5.0であり、より好ましくは1.4~3.0であり、さらに好ましくは1.5~1.9である。フィルムの屈折率が上記範囲であると、薄膜干渉による反射が抑制され、周波数77GHzにおける部材の電波透過率を向上できる傾向にある。
フィルムの屈折率は、例えば、誘電率の異なる材料を選択・添加する方法等により調整することができる。
なお、フィルムの屈折率は、屈折計を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
フィルムの表面の表面粗度(算術平均粗さRa)は、0.01~2.0μmであり、好ましくは0.01~1.0μmであり、より好ましくは0.01~0.5μmである。フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)が上記範囲であると、部材の77GHzにおけるミリ波透過率が90%以上となる傾向にある。
なお、フィルムの表面のうち、少なくとも部材に接着させる面とは反対側の面において表面粗度(算術平均粗さRa)が上記範囲であればよい。
フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)は、例えば、表面にコーティングする方法、エンボス加工処理等により調整することができる。
なお、フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)は、JIS-B0601に準拠して、表面粗さ測定機を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の向上方法により、フィルム積層後の部材の周波数77GHzにおける電波透過率は、85%以上となることが好ましく、90%以上となることがより好ましく、95%以上となることがさらに好ましい。
なお、周波数77GHzにおける電波透過率は、電波吸収測定装置を用いて得られた透過減衰量(dB)から換算して求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態の向上方法に用いるフィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値(の組み合わせ)は、対象とする部材に応じて、例えば、以下の手順(a)~(d)により決定することができる。
(a)部材の透過率スペクトル(縦軸:電波透過率(%)、横軸:周波数(GHz))を取得し、前記透過率スペクトルのピークトップの周波数における波長とピークバレーの周波数における波長とを求める。
(b)部材の厚みと、前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と部材のピークバレーの周波数における波長とを下記式(1)及び(2)に代入することにより、定数mの値を求める。
部材×d部材=2m×λピークトップ/4 ・・・(1)
部材×d部材=(2m-1)×λピークバレー/4 ・・・(2)
(n部材:部材の屈折率、d部材:部材の厚み(mm)、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm)、λピークバレー:部材のピークバレーの周波数における波長(mm)、m:整数の定数)
(c)前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と、前記(b)で求めた定数mの値とを下記式(3)に代入することにより、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値の関係式(4)を得る。
(nフィルム(1-(Ra/4))×dフィルム=(2m×|λピークトップ-3.896|/4)×(1±0.7) ・・・(3)
(nフィルム:フィルムの屈折率、Ra:フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)(μm)、dフィルム:フィルムの厚み(mm)、m:整数の定数、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm))
(d)前記(c)で求めた関係式(4)を満たすように、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値を決定する。
なお、粘着剤や粘着シートを用いてフィルムを部材に接着(コールドラミネート)させる場合、粘着剤や粘着シートによる電波透過性への影響は全体に対してごくわずかであるため、上記関係式において考慮しないものとする。
手順(a)において、部材の透過率スペクトル(縦軸:電波透過率(%)、横軸:周波数(GHz))は、77GHzを含み、部材の透過率のピークトップ及びピークバレーが得られる周波数範囲(例えば、60~90GHz)における部材の透過減衰量(dB)を電波吸収測定装置を用いて測定し、得られた透過減衰量から換算して電波透過率を求めることにより得られ、具体的には、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
なお、透過率スペクトルのピークトップとは、透過率スペクトルにおいて極大値を示す位置を意味し、透過率スペクトルのピークバレーとは、透過率スペクトルにおいて極小値を示す位置を意味する。
手順(d)において、関係式(4)を満たすフィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値の組み合わせは複数得られる。そのため、いくつかの値の組み合わせのフィルムについて、さらにフレネルの反射係数を用いて周波数77GHzにおける電波透過率(予測値)を得ることにより、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値の最適な組み合わせ(フィルムの最適な特性)を決定することができる。
以下、本実施形態の向上方法の対象となる部材について説明する。
[部材]
本実施形態の向上方法が適用される部材(向上方法の対象となる部材)は、樹脂を含む基材を有するものであれば特に限定されず、例えば、自動車部品(レドーム、バンパー、エンブレム、ラジエータグリル等)、航空機部品、インフラ部品、環境計測部品、無線通信部品等に一般に用いられる部材が挙げられる。
部材は、塗膜を有していてもよい。また、部材は、基材及び塗膜の他にその他の層(例えば、断熱層等)をさらに有していてもよいが、その他の層を含まない方が電波透過性を高めやすいため好ましい。
部材の総厚みは、電波透過性、部材としての強度の観点から、0.5~10mmであることが好ましく、より好ましくは1.0~5.0mmであり、さらに好ましくは2.0~3.0mmである。
[[基材]]
部材を構成する基材は、樹脂を含むものであれば特に限定されず、樹脂からなるものであってもよい。
基材に含まれる樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリアミド系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;及びこれらのアロイ(ポリカーボネート/ABSアロイ(PC/ABSアロイ)等)等が挙げられる。
上記樹脂は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
上記樹脂の中でも、電波透過性、密着性の観点から、PP、ABS樹脂及びPC/ABSアロイからなる群から選択される少なくとも1種を含む基材であることが好ましい。
基材は、必要に応じて、硬化剤、顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、有機改質剤、可塑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
基材の厚みは、電波透過性、基材としての強度の観点から、1.0~5.0mmであることが好ましく、より好ましくは2.0~3.0mmである。
基材の屈折率は、電磁波透過性の観点から、1.3~10であることが好ましく、より好ましくは1.4~3.0、さらに好ましくは1.5~1.9である。
なお、基材の屈折率は、屈折計を用いて測定することができる。
基材上に塗膜が形成される場合、塗膜との密着性を向上させるために、基材は化成処理、脱脂処理(例えば、イソプロピルアルコールでのワイピング等)等の表面処理がなされていることが好ましい。
[[塗膜]]
塗膜は、特に限定されず、塗膜形成樹脂を含む従来公知の塗料組成物を用いて形成されたものであってよい。
塗膜形成樹脂としては、特に限定されず、一般に塗料用に用いられる樹脂であってよく、例えば、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。中でも、外観、密着性の観点から、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましい。
上記樹脂は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
塗膜形成樹脂の含有量は、塗膜(すなわち、塗料組成物の固形分)100質量%に対して、20~90質量%であることが好ましく、より好ましくは30~80質量%、さらに好ましくは40~70質量%である。
塗料組成物は、必要に応じて、塗料に通常添加される他の成分を含んでもよい。他の成分としては、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、有機改質剤、可塑剤等が挙げられる。
他の成分の含有量は、塗膜(すなわち、塗料組成物の固形分)100質量%に対して、10~80質量%であることが好ましく、より好ましくは20~70質量%、さらに好ましくは30~60質量%である。
硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂等のアミノ樹脂、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させたブロックイソシアネート等が挙げられる。
上記硬化剤は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
硬化剤の含有量は、塗膜(すなわち、塗料組成物の固形分)100質量%に対して、5~60質量%であることが好ましく、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム及びこれらの合金等の金属製光輝性顔料、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料等が挙げられる。中でも、入手が容易であることから、アルミニウムが好ましい。
上記光輝性顔料は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
光輝性顔料の含有量は、塗膜(すなわち、塗料組成物の固形分)100質量%に対して、1~40質量%であることが好ましく、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。
塗料組成物の塗料形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほか、有機溶剤型、非水分散型の何れであってもよい。有機溶剤型、非水分散型塗料である場合の溶剤としては、例えば、n-ブタノール、キシレン、トルエン等の従来公知のものを用いることができる。
塗料組成物は、塗料組成物を構成する各成分を、通常用いられる混合手段(例えば、ペイントシェーカー、ミキサー等の混合装置)を用いて混合することにより、調製することができる。
塗膜は、単層塗膜であっても、2層以上の複層塗膜であってもよい。複層塗膜としては、ベースとなるベース塗膜の他に、プライマー塗膜及び/又はクリヤー塗膜を含むものが挙げられる。
なお、クリヤー塗膜とは、ベース塗膜よりも上層に形成されて最上層(最表層)となる塗膜を表し、プライマー塗膜とは、被塗物(基材又はその他の層)の表面に直接設けられ、ベース塗膜よりも下層に位置する塗膜を表す。
塗膜が上述のアルミニウム等の光輝性顔料を含む複層塗膜である場合、光輝性顔料はベース塗膜に含まれていることが好ましい。
(プライマー塗膜)
プライマー塗膜は、特に限定されず、塗膜形成樹脂を含む従来公知のプライマー塗料組成物を用いて形成されたものであってよい。
プライマー塗料組成物に含まれる塗膜形成性樹脂としては、特に限定されず、上述の一般に塗料用に用いられる樹脂が挙げられる。塗膜形成性樹脂は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
塗膜形成性樹脂の含有量は、プライマー塗膜(すなわち、プライマー塗料組成物の固形分)100質量%に対して、30~95質量%であることが好ましく、より好ましくは40~80質量%、さらに好ましくは50~70質量%である。
プライマー塗料組成物は、必要に応じて、プライマー塗料に通常添加される他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、有機改質剤、可塑剤等が挙げられる。
他の成分の含有量は、プライマー塗膜(すなわち、プライマー塗料組成物の固形分)100質量%に対して、5~70質量%であることが好ましく、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%である。
プライマー塗料組成物の塗料形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほか、有機溶剤型、非水分散型の何れであってもよい。有機溶剤型、非水分散型塗料である場合の溶剤としては、例えば、n-ブタノール、キシレン、トルエン等の従来公知のものを用いることができる。
プライマー塗料組成物は、プライマー塗料組成物を構成する各成分を、通常用いられる混合手段(例えば、ペイントシェーカー、ミキサー等の混合装置)を用いて混合することにより、調製することができる。
プライマー塗膜の厚みは、平滑性や密着性の観点から、乾燥膜厚で5~20μmであることが好ましく、より好ましくは6~18μmであり、さらに好ましくは7~15μmである。
なお、プライマー塗膜の乾燥膜厚は、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」等)を用いて測定することができる。
(ベース塗膜)
ベース塗膜は、特に限定されず、塗膜形成樹脂を含む従来公知のベース塗料組成物を用いて形成されたものであってよい。
ベース塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂としては、特に限定されず、上述の一般に塗料用に用いられる樹脂が挙げられる。塗膜形成樹脂は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
塗膜形成樹脂の含有量は、ベース塗膜(すなわち、ベース塗料組成物の固形分)100質量%に対して、40~90質量%であることが好ましく、より好ましくは50~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%である。
ベース塗料組成物は、必要に応じて、ベース塗料に通常添加される他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、有機改質剤、可塑剤等が挙げられる。
他の成分の含有量は、ベース塗膜(すなわち、ベース塗料組成物の固形分)100質量%に対して、10~60質量%であることが好ましく、より好ましくは15~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。
ベース塗料組成物の塗料形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほか、有機溶剤型、非水分散型の何れであってもよい。有機溶剤型、非水分散型塗料である場合の溶剤としては、例えば、n-ブタノール、キシレン、トルエン等の従来公知のものを用いることができる。
ベース塗料組成物は、ベース塗料組成物を構成する各成分を、通常用いられる混合手段(例えば、ペイントシェーカー、ミキサー等の混合装置)を用いて混合することにより、調製することができる。
ベース塗膜の厚みは、乾燥膜厚で10~30μmであることが好ましく、より好ましくは12~27μmであり、さらに好ましくは15~25μmである。ベース塗膜の厚みが10μm以上であると、十分な隠蔽性が得られる傾向にあり、30μm以下であると、タレ、ワキ等の不具合が発生しにくい。
ベース塗膜の乾燥膜厚は、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」等)を用いて測定することができる。
(クリヤー塗膜)
クリヤー塗膜は、特に限定されず、塗膜形成樹脂を含む従来公知のクリヤー塗料組成物を用いて形成されたものであってよい。
クリヤー塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂としては、特に限定されず、上述の一般に塗料用に用いられる樹脂が挙げられる。塗膜形成樹脂は、1種単独でも複数種の組み合わせであってもよい。
塗膜形成樹脂の含有量は、クリヤー塗膜(すなわち、クリヤー塗料組成物の固形分)100質量%に対して、50~85質量%であることが好ましく、より好ましくは55~80質量%である。
クリヤー塗料組成物は、必要に応じて、クリヤー塗料に通常添加される他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料、界面活性剤、中和剤、安定剤、増粘剤、消泡剤、表面調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリカ等の無機充填剤、導電性カーボン、導電性フィラー、有機改質剤、可塑剤等が挙げられる。
他の成分の含有量は、クリヤー塗膜(すなわち、クリヤー塗料組成物の固形分)100質量%に対して、15~50質量%であることが好ましく、より好ましくは20~45質量%である。
クリヤー塗料組成物の塗料形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションからなる水性型のほか、有機溶剤型、非水分散型の何れであってもよい。有機溶剤型、非水分散型塗料である場合の溶剤としては、例えば、n-ブタノール、キシレン、トルエン等の従来公知のものを用いることができる。
クリヤー塗料組成物は、クリヤー塗料組成物を構成する各成分を、通常用いられる混合手段(例えば、ペイントシェーカー、ミキサー等の混合装置)を用いて混合することにより、調製することができる。
クリヤー塗膜の厚みは、乾燥膜厚で15~50μmであることが好ましく、より好ましくは20~30μmである。クリヤー塗膜の厚みが20μm以上であると、良好な外観や十分な塗膜強度が得られる傾向にあり、50μm以下であると、タレ、ワキ等の不具合が発生しにくい。
クリヤー塗膜の乾燥膜厚は、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」等)を用いて測定することができる。
塗膜の厚み(塗膜が複層塗膜である場合は各塗膜の厚みの合計)は、電波透過性、塗膜外観の観点から、乾燥膜厚で50~120μmであることが好ましく、より好ましくは55~100μmであり、さらに好ましくは60~80μmである。
塗膜の乾燥膜厚は、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」等)を用いて測定することができる。
塗膜の屈折率は、電磁波透過性の観点から、1.0~10であることが好ましく、より好ましくは1.4~3、さらに好ましくは1.5~1.9である。
なお、塗膜の屈折率は、屈折計を用いて測定することができる。
[[塗膜の形成方法]]
塗膜が単層塗膜である場合、被塗物(基材又はその他の層)に塗料組成物を塗布した後、乾燥させることにより塗膜を形成することができる。
塗料組成物を被塗物に塗布する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができ、例えば、エアスプレーやエアレススプレー等のスプレー塗装、エアー静電スプレー塗装、ベル塗装、ディスク塗装、ローラ塗装、刷毛塗装、カーテンコート、シャワーコート等が挙げられる。
塗料組成物の吐出量等の条件は、所望する膜厚等に応じて適宜設定することができる。
塗料組成物が硬化剤を含む場合は、塗料組成物を塗布した後、未硬化の塗膜を加熱硬化させて乾燥させることが好ましい。加熱硬化温度は、例えば、80~140℃とすることができる。また、加熱硬化時間は、例えば、10~60分とすることができる。
なお、本開示で、加熱硬化時間とは、目的の加熱硬化温度に達するまでの時間は考慮せず、目的の加熱硬化温度に達してから該温度を保持しつづけているときの時間を意味する。
加熱硬化に用いる装置としては、特に限定されず、従来公知の加熱硬化装置を使用することができ、例えば、熱風、電気、ガス、赤外線等の加熱源を利用した乾燥炉などが挙げられる。また、これら加熱源を2種以上併用した乾燥炉を用いると、乾燥時間が短縮されるため好ましい。
塗膜が複層塗膜である場合は、積層順に各塗膜を形成すればよい。例えば、塗膜がプライマー塗膜とベース塗膜とクリヤー塗膜とからなる複層塗膜である場合は、プライマー塗料組成物を被塗物に塗布してプライマー塗膜を形成する工程と、プライマー塗膜の上にベース塗料組成物を塗布してベース塗膜を形成する工程と、ベース塗膜の上にクリヤー塗料組成物を塗布してクリヤー塗膜を形成する工程とを含む。
各塗料組成物の塗布方法は、特に限定されず、上述の従来公知の方法を使用することができる。
各塗料組成物の吐出量等の条件は、所望する各塗膜の膜厚等に応じて適宜設定することができる。
各塗料組成物が硬化剤を含む場合は、塗布された未硬化の各塗膜を各工程で加熱硬化させて乾燥させることにより、各塗膜を形成してもよいし、すべての塗料組成物を塗布した後ですべての未硬化の塗膜を同時にまとめて加熱硬化させて乾燥させてもよい。
加熱硬化温度は、例えば、80~120℃とすることができる。また、加熱硬化時間は、各工程で加熱硬化する場合は、例えば、各工程で10~60分とすることができ、最後にまとめて加熱硬化する場合は、例えば、30~60分とすることができる。
加熱硬化装置は、特に限定されず、上述の従来公知の装置を使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例、比較例で用いた部材及びフィルム等は以下のとおりである。
[基材]
・基材A:PP基材(350mm×100mm×厚み3mm)
・基材B:着色PP基材(350mm×100mm×厚み3mm)
[各塗膜の塗料組成物]
・クリヤー塗膜用:O-1800(日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製「マックフローO-1800クリヤー」)
・ベース塗膜A及びC用:AR-3020SM(日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製「アクアレックスAR-3020シルバーメタリック」)
・ベース塗膜B用:AR―3020日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製「アクアレックスAR―3020」)
・プライマー塗膜用:WB-1200(日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製「Be-Aqua WB-1200」)
[フィルム]
表1に示す厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)を有するポリウレタンフィルムをシーダム株式会社から購入した。
実施例、比較例で用いた測定・評価方法について以下に説明する。
[フィルム及び塗膜の厚み]
フィルム及び塗膜について、膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製「SDM-miniR」)を用いて、それぞれの乾燥膜厚(μm)を測定した。
なお、塗膜については、基材から剥がして測定した。
[フィルムの屈折率]
フィルムについて、屈折計(京都府中小企業技術センター製)を用い、測定波長15mmでの屈折率を測定した。
なお、塗膜については、基材から剥がして測定した。
[フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)]
JIS-B0601に準拠し、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ製「SURFTEST SJ-201P」)を用いて、フィルム表面(部材に接着させる面とは反対側の面)の表面粗度(算術平均粗さRa)を測定した。2.5mm幅カットオフ(区画数5)を入れたサンプルを用いて7回測定し、上下消去平均によりRa値(μm)を得た。
[77GHzにおける電波透過率]
各部材(実施例についてはフィルムを積層した部材)の77GHzにおける電波透過率を、以下の方法に従って測定した。
各部材からサンプル(100mm×100mm×各厚み)を準備した。25℃/50%RHの環境下で、電波吸収測定装置(京都府中小企業技術センター製)を用いて、周波数77GHzにおけるサンプルの透過減衰量(dB)を測定した。透過減衰量の測定結果から、下記式により電波透過率(%)を求めた。
(式中、Tは、透過減衰量(dB)を表す。)
(実施例1)
イソプロピルアルコールでワイピングした基材Aの片側表面に、25℃/70%RHの環境下でスプレー塗装機(アネスト磐田株式会社製「ワイダ―71」)を用いてAR-3020SMをスプレー塗装し、120℃で30分間乾燥させてベース塗膜A(厚み20μm)を形成し、部材を得た。
フィルムに粘着シートを貼り付けた後、上記で得られた部材の基材Aの表面(塗膜が形成されていない側の部材表面)に、粘着シートを介してフィルムを貼り付けることにより、表1に示す特性を有するフィルムを積層(接着)した。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
(実施例2、3、7、8、13)
部材及びフィルムを表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、部材にフィルムを積層した。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
(実施例4~6)
以下の手順式によりフィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の各値を決定したフィルムを部材に積層させたシミュレーションモデルについて、フレネルの反射係数を用いて周波数77GHzにおける電波透過率(%)を求めた。対象部材は、実施例1~3で用いた基材A(厚み3mm)とベース塗膜A(厚み20μm)とを有する部材とした。
部材について、上記[77GHzにおける電波透過率]に記載の方法と同様にして、周波数60~90GHzにおける電波透過率(%)を求め、部材の透過率スペクトル(縦軸:電波透過率(%)、横軸:周波数(GHz))を得た。透過率スペクトルのピークトップの周波数(87GHz)における波長は3.45mm、ピークバレーの周波数(73GHz)における波長は4.11mmであった。
次に、部材の厚み、得られたピークトップの周波数における波長、ピークバレーの周波数における波長の値を下記式(1)及び(2)に代入することにより、部材の屈折率と定数mの値とを求めたところ、部材の屈折率は1.72、定数mは3と算出された。
部材×d部材=2m×λピークトップ/4 ・・・(1)
部材×d部材=(2m-1)×λピークバレー/4 ・・・(2)
(n部材:部材の屈折率、d部材:部材の厚み(mm)、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm)、λピークバレー:部材のピークバレーの周波数における波長(mm)、m:整数の定数)
続いて、上記で得られたピークトップの周波数における波長と定数mの値とを下記式(3)に代入することにより、関係式(4)を得た。
(nフィルム(1-(Ra/4))×dフィルム=(2m×|λピークトップ-3.896|/4)×(1±0.7) ・・・(3)
(nフィルム:フィルムの屈折率、Raフィルム:フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)(μm)、dフィルム:フィルムの厚み(mm)、m:整数の定数、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm))
(nフィルム(1-(Ra/4))×dフィルム=(0.669)×(1±0.7)・・・(4)
実施例1~3で用いたフィルムと同様に、フィルムの屈折率を1.75、表面粗度(算術平均粗さRa)を0.2μmとして、関係式(4)よりフィルムの厚み範囲を求めたところ、0.12~0.67mmと算出された。得られたフィルムの厚み範囲を基に、厚みをそれぞれ200μm(実施例4)、350μm(実施例5)、500μm(実施例6)としたフィルムを部材に積層させたシミュレーションモデルについて、上記シミュレーションソフトを用いて周波数77GHzにおける電波透過率(%)を求めた。
77GHzにおける電波透過率のシミュレーション結果を表1に示す。実施例4~6の電波透過率は、実施例1~3の電波透過率と同等の値であった。
(実施例9)
イソプロピルアルコールでワイピングした基材Aの片側表面に、25℃/70%RHの環境下でスプレー塗装機(アネスト磐田株式会社製「ワイダ―71」)を用いてWB-1200をスプレー塗装し、120℃で20分間乾燥させてプライマー塗膜を形成した。
続いて、プライマー塗膜上に、同じ環境下でスプレー塗装機(ABB社製「新カートリッジベル」)を用いてAR-3020SMをスプレー塗装し(塗装条件:ガン距離:200mm、ガン速度:900mm/s、回転数:35000rpm、シェーピングエアー圧:0.15MPa)、120℃で30分間乾燥させてベース塗膜Aを形成した。
続いて、ベース塗膜A上に、同じ環境下でスプレー塗装機(ABB社製「ロボベル951」)を用いてO-1800をスプレー塗装した(塗装条件:ガン距離:200mm、ガン速度:700mm/s、回転数:25000rpm、シェーピングエアー圧:0.07MPa)。
その後、10分間セッティングした後、120℃で35分間乾燥して複層塗膜(総厚み60μm:プライマー塗膜の厚み10μm、ベース塗膜Aの厚み20μm、クリヤー塗膜の厚み30μm)を形成し、部材を得た。
フィルムに粘着シートを貼り付けた後、上記で得られた部材の基材Aの表面(塗膜が形成されていない側の部材表面)に、粘着シートを介してフィルムを貼り付けることにより、表1に示す特性を有するフィルムを積層(接着)した。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
(実施例10、11)
表1に示すように部材を塗膜のないもの(基材のみ)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、部材にフィルムを積層した。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
(実施例12)
イソプロピルアルコールでワイピングした基材Aの片側表面に、25℃/70%RHの環境下でスプレー塗装機(アネスト磐田株式会社製「ワイダ―71」)を用いてWB-1200をスプレー塗装し、120℃で20分間乾燥させてプライマー塗膜(厚み10μm)を形成し、部材を得た。
フィルムに粘着シートを貼り付けた後、上記で得られた部材の基材Aの表面(塗膜が形成されていない側の部材表面)に、粘着シートを介してフィルムを貼り付けることにより、表1に示す特性を有するフィルムを積層(接着)した。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
(比較例1~7)
フィルムを積層せず、表2に示す部材のみとした。
77GHzにおける電波透過率の測定結果を表1に示す。
Figure 2024044181000002
Figure 2024044181000003
本発明の方法は、部材の材料及び意匠を変更することなく周波数77GHzにおける電波透過率を向上させることができるため、特に、ミリ波レーダーを保護する自動車部品、航空機部品、インフラ部品、環境計測部品、無線通信部品等に用いられる部材に好適に適用することができる。

Claims (7)

  1. 樹脂を含む基材を有する部材において、周波数77GHzにおける電波透過率を向上させる方法であり、
    前記部材にフィルムを積層することを含み、
    前記フィルムは、厚みが50~10,000μmであり、屈折率が1.3~10であり、かつ表面粗度(算術平均粗さRa)が0.01~2.0μmである
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記部材が塗膜を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塗膜がアルミニウムを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記塗膜が、プライマー塗膜とベース塗膜とクリヤー塗膜とを含む複層塗膜である、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記基材が、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)及びポリカーボネート/ABSアロイ(PC/ABSアロイ)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記基材の厚みが2~3mmである、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 以下の手順(a)~(d)により、積層させる前記フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値を決定する、請求項1又は2に記載の方法。
    (a)部材の透過率スペクトル(縦軸:電波透過率(%)、横軸:周波数(GHz))を取得し、前記透過率スペクトルのピークトップの周波数における波長とピークバレーの周波数における波長とを求める。
    (b)部材の厚みと、前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と部材のピークバレーの周波数における波長とを下記式(1)及び(2)に代入することにより、定数mの値を求める。
    部材×d部材=2m×λピークトップ/4 ・・・(1)
    部材×d部材=(2m-1)×λピークバレー/4 ・・・(2)
    (n部材:部材の屈折率、d部材:部材の厚み(mm)、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm)、λピークバレー:部材のピークバレーの周波数における波長(mm)、m:整数の定数)
    (c)前記(a)で求めた部材のピークトップの周波数における波長と、前記(b)で求めた定数mの値とを下記式(3)に代入することにより、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値の関係式(4)を得る。
    (nフィルム(1-(Ra/4))×dフィルム=(2m×|λピークトップ-3.896|/4)×(1±0.7) ・・・(3)
    (nフィルム:フィルムの屈折率、Ra:フィルムの表面粗度(算術平均粗さRa)(μm)、dフィルム:フィルムの厚み(mm)、m:整数の定数、λピークトップ:部材のピークトップの周波数における波長(mm))
    (d)前記(c)で求めた関係式(4)を満たすように、フィルムの厚み、屈折率及び表面粗度(算術平均粗さRa)の値を決定する。
  7. 前記部材が自動車部品用である、請求項1又は2に記載の方法。
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