JP7316671B2 - ミリ波透過性を有する鱗片状顔料、塗料、及び塗装物 - Google Patents

ミリ波透過性を有する鱗片状顔料、塗料、及び塗装物 Download PDF

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Description

本発明は、ミリ波透過性を有する鱗片状顔料、塗料、及び塗装物に関する。
最近、事故防止及び自動運転化などにより自動車等の各種乗り物に「センサー」が多く搭載されるようになっている。このような「センサー」の一つとしてミリ波レーダーが用いられている。前記ミリ波は周波数帯が30GHz~300GHzの電波を意味する。
一方、自動車の塗装には高級感を付与する点からメタリックカラーが多く採用されている。しかし、現在のメタリックカラー塗装はミリ波透過性が低いという問題がある。これは、シルバーメタリックカラー塗装では顔料としてアルミニウム(Al)を主に用いており、Al自体においてミリ波透過性が低いからである(例えば、特許文献1参照)。そのため、シルバーメタリックカラー塗装が充分に実現できないという課題がある。
特開2004-244516号公報
そこで、ミリ波を透過しつつ、これまでのアルミニウム(Al)のようなシルバーメタリックカラー塗装を実現できる顔料の提供が望まれているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高いミリ波透過性を有し、優れたメタリックカラー塗装を実現できるミリ波透過性を有する鱗片状顔料、塗料、及び塗装物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> インジウム層と、該インジウム層における一方の表面に硫化亜鉛層とを有し、累積50%体積粒子径D50が5μm以上20μm以下であることを特徴とするミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<2> 周波数24GHz及び周波数78GHzにおけるミリ波透過率が95%以上である、前記<1>に記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<3> 前記インジウム層が海島構造を有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<4> 累積50%体積粒子径D50が8μm以上15μm以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<5> 前記インジウム層の平均厚みが10nm以上90nm以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<6> 前記硫化亜鉛層の平均厚みが10nm以上150nm以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料を含有することを特徴とする塗料である。
<8> 前記<7>に記載の塗料を用いて塗装した塗膜を有することを特徴とする塗装物である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高いミリ波透過性を有し、優れたメタリックカラー塗装を実現できるミリ波透過性を有する鱗片状顔料、塗料、及び塗装物を提供することができる。
図1は、本発明の鱗片状顔料の一例を示す概略図である。 図2は、実施例2の鱗片状顔料2を示すSEM写真である。 図3は、参考例5の成膜フィルム5のSEM写真である。 図4は、参考例6の成膜フィルム6のSEM写真である。 図5は、成膜フィルム1~4におけるインジウム層の平均厚みとグロス値の関係を示すグラフである。 図6は、成膜フィルム7について、耐熱耐湿性試験を行った結果を示すグラフである。
(ミリ波透過性を有する鱗片状顔料)
本発明のミリ波透過性を有する鱗片状顔料は、インジウム層と、該インジウム層における一方の表面に硫化亜鉛層とを有し、累積50%体積粒子径D50が5μm以上20μm以下であり、更に必要に応じてその他の層を有する。
本明細書でいう「ミリ波」とは、周波数帯が30GHz~300GHzの電波のことであり、本発明において、高いミリ波透過性を有するとは、周波数24GHz及び周波数78GHzでのミリ波透過率が95%以上であることを意味する。
ここで、周波数24GHzにおけるミリ波透過率が上記範囲内であることにより、鱗片状顔料は、例えば、自動車等に搭載される周辺監視用レーダーにおいて好適に採用されているミリ波(準ミリ波)を、より透過しやすい。
また、周波数78GHzにおけるミリ波透過率が上記範囲内であることにより、鱗片状顔料は、例えば、自動車等に搭載される、長距離を探知する前方監視用レーダーにおいて好適に採用されているミリ波を、より透過しやすい。
<インジウム層>
前記インジウム層は、インジウムは合金化することによって海島構造を有することができなくなるため、実質的にインジウムからなり、純度98%以上のインジウムを含むものが好ましく、99%以上がより好ましい。
ここで、前記インジウム層の形成は以下のように考えられる。物理的気相法の場合、蒸着源から飛来した個々のインジウム原子は、前記基材の表面に到達すると、前記基材表面で複数集まり立体的なクラスターを形成し、更に次々に基板に到達する原子がクラスターに吸収されて集まり、三次元的なインジウムの核が形成される。成膜を続けると、その数は増加しないで核は成長する。小さな核は、たとえできたとしても再蒸発又は沿面移動してより大きな核に吸込まれる。より大きな核は次第に大きさを増し成長してインジウムの島状部になる。この島状部が形成されるとともに、島状部の粒界、つまり隣接する島状部間の隙間に、インジウムが存在しない海状部が形成され、海島構造を有するインジウム層が形成される。そして、成膜を続けると大きな核、あるいは島は接触するようになる。その結果、島と島とが接ぎ合わされ網目状の連続した膜になる。更に成膜を続けると、網目は次第に小さくなり、一様に均一な膜となる。
このような海島構造は、前記基材上にあるときは保持されている。しかし、前記海島構造を有する前記インジウム層のみを前記基材から剥離して、粉砕することによって得られる顔料はインジウム微粒子となり、ミリ波透過性を有する海島構造が崩れてしまい、インキ化して塗装しても海島構造をきれいに形成することができない。そのため、シルバーメタリックを発現できない。
本発明においては、インジウム層における一方の表面に硫化亜鉛層を有することにより、前記海島構造における個々の島状部、即ち、インジウム微粒子に分裂せず、複数の島状部を有する大粒径の鱗片状顔料を形成することができる。
前記海島構造における前記島状部の形状としては、球状、棒状、及び数珠状などのいずれの形状も有することができる。
前記インジウム層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm以上90nm以下が好ましく、10nm以上80nm以下がより好ましく、10nm以上60nm以下が特に好ましい。前記インジウム層の平均厚みが10nm未満であると、インジウム層の島状部のサイズが小さくなってしまい、成膜フィルムでは下地の基材が露出する領域が増加して、鏡面性が低下してしまうことがある。一方、前記インジウム層の平均厚みが90nmを超えると、インジウム層の島状部が多くなりミリ波透過性が阻害されてしまうことがある。
前記インジウム層の前記平均厚みとしては、例えば、物理的気相法で製造された場合には、インジウム蒸着膜に対して5~10箇所の前記厚みを測定し、平均した平均蒸着厚みと同じである。
前記平均厚みの測定方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、蛍光X線分析法(XRF)、紫外可視分光法などが挙げられる。
前記走査型電子顕微鏡(SEM)観察により前記平均厚みを求める場合、前記走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、前記インジウム蒸着膜の断面観察を行い、5~10箇所の前記インジウム蒸着膜の前記厚みを測定し、平均した前記平均蒸着厚みを前記平均厚みとすることができる。
前記蛍光X線分析法(XRF)により前記平均厚みを求める場合、定量分析により、5~10箇所の前記インジウム蒸着膜の前記厚みを測定し、平均した値を前記平均厚みとすることができる。
前記紫外可視分光法により前記平均厚みを求める場合、紫外可視分光光度計により5~10箇所の前記インジウム蒸着膜の透過率を測定し、得られた透過率のスペクトルから前記インジウム蒸着膜の前記厚みを算出し、平均した値を前記平均厚みとすることができる。
<硫化亜鉛層>
硫化亜鉛層における硫化亜鉛(ZnS)の含有量は98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上が更に好ましい。
前記硫化亜鉛層における硫化亜鉛の含有量は、例えば、蛍光X線分析法(XRF)により測定することができる。
前記硫化亜鉛層の平均厚みとしては、10nm以上150nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましく、10nm以上50nm以下が更に好ましい。前記硫化亜鉛層の平均厚みが10nm未満であると、担持機能が損なわれてしまうことがある。一方、前記硫化亜鉛層の平均厚みが150nmを超えて蒸着を行うと熱負けして成膜できないことがある。
<その他の層>
前記その他の層としては、例えば、溶解することにより基材から前記硫化亜鉛層と前記インジウム層からなる積層物を剥離するための剥離層などが挙げられる。
本発明の鱗片状顔料は、鱗片状であり、鱗片状粒子、薄片状粒子、平板状粒子、フレーク状粒子などと称されることもある。
本発明において、前記鱗片状顔料とは、略平坦な面を有し、かつ該略平坦な面に対して垂直方向の厚みが略均一である粒子を意味する。
前記略平坦な面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円形、略楕円形、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形、略七角形、略八角形等の多角形、ランダムな不定形などが挙げられる。これらの中でも、略円形であることが好ましい。
前記鱗片状顔料の累積50%体積粒子径D50としては、塗料に鱗片状顔料を分散させた際の分散性の点から、5μm以上20μm以下であり、8μm以上15μm以下が好ましく、10μm以上15μm以下がより好ましい。
累積50%体積粒子径D50が5μm以上20μm以下の範囲が自動車外装用途として好ましい範囲である。
前記累積50%体積粒子径D50は、レーザー回折法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒径であり、非球形の前記鱗片状顔料を完全な球体と仮定して測定した場合の、前記鱗片状顔料の長径及び短径を平均化した長さである。しかし、実際の前記鱗片状顔料は、球形ではなく、長辺及び短辺を有する鱗片状である。したがって、前記D50は、前記鱗片状顔料の実際の長辺方向の長さ(長径)及び短辺方向の長さ(短径)とは異なる値である。
前記レーザー回折法を用いた手段としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器などが挙げられる。
ここで、前記鱗片状顔料は、インジウム層と、該インジウム層における一方の表面に硫化亜鉛層とを有する構成を有し、具体的には、図1に示す態様を有する。図1の鱗片状顔料10は、インジウム層1と、硫化亜鉛層2とがこの順で積層された積層構造を有している。
<鱗片状顔料の製造方法>
本発明の鱗片状顔料の製造方法は、基材上に剥離層を形成し、前記剥離層上に気相法によりインジウム層を形成し、前記インジウム層上に気相法により硫化亜鉛層を形成して積層物を得た後、前記基材から前記積層物を剥離し、前記積層物を粉砕するものであり、これにより、図1に示すような鱗片状顔料10を効率良く製造することができる。
本発明の鱗片状顔料の製造方法は、より具体的には、剥離層形成工程と、インジウム層形成工程と、硫化亜鉛層形成工程と、剥離工程と、粉砕工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
<剥離層形成工程>
前記剥離層形成工程は、前記基材上に前記剥離層を設ける工程である。
-基材-
前記基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。これらの中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルム、金属、金属と樹脂フィルムの複合フィルムを適宜使用できる。
前記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。また、前記金属としては、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、鉄箔、合金箔などが挙げられる。また前記金属と樹脂フィルムの複合フィルムとしては、前記樹脂フィルムと前記金属をラミネートしたものが挙げられる。
-剥離層-
前記剥離層としては、後の剥離工程で溶解可能な各種の有機物や水などの溶媒を用いることができる。また、前記剥離層を構成する有機物材料を適切に選択すれば、前記インジウム層又は前記硫化亜鉛層に付着又は残留した有機物を、前記鱗片状顔料の保護層として機能させることができるので、好適である。
前記保護層とは、前記鱗片状顔料の凝集、酸化、溶媒への溶出等を抑制する機能を有する。特に、前記剥離層に用いた前記有機物を前記保護層として利用することにより、表面処理工程を別途設ける必要がなくなるので好ましい。
前記保護層として利用可能な前記剥離層を構成する前記有機物としては、例えば、セルロースアセテートブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記保護層としての機能の高さから、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。
前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<インジウム層形成工程>
前記インジウム層形成工程は、前記剥離層上に気相法によりインジウム層を形成する工程である。
前記気相法としては、物理的気相法(Physical Vapor Deposition、PVD)と総称される蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
<硫化亜鉛層形成工程>
前記硫化亜鉛層形成工程は、前記インジウム層上に気相法により硫化亜鉛層を形成する工程である。
以上により、基材の剥離層上に、インジウム層と硫化亜鉛層とがこの順で積層された積層物が形成される。
前記気相法としては、物理的気相法(Physical Vapor Deposition、PVD)と総称される蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
<剥離工程>
前記剥離工程は、前記剥離層を溶解することにより前記積層物を剥離する工程である。
前記剥離層を溶解可能な溶媒としては、前記剥離層を溶解可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記剥離層を溶解可能な溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメシン、ニトロベンゼン、アニリン、メトキシベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族塩化炭化水素;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素化合物、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<粉砕工程>
前記粉砕工程は、前記剥離工程で基材から剥離された前記積層物を粉砕する工程である。
前記粉砕工程に用いる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、超音波ホモジナイザーなどが挙げられる。
更に必要に応じて、前記鱗片状顔料の回収や物性の調整のために種々の処理を行ってもよい。例えば、分級によって前記鱗片状顔料の粒度を調整してもよいし、遠心分離、吸引ろ過などの方法で前記鱗片状顔料を回収することや、分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整などを行ってもよい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、粉砕した前記鱗片状顔料を分散液として取り出す工程、前記分散液から前記鱗片状顔料を回収する工程などが挙げられる。
(塗料)
本発明の塗料は、本発明の鱗片状顔料を含有し、有機溶剤及びバインダーを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
-鱗片状顔料-
本発明の塗料は、必要に応じて、前記鱗片状顔料以外の光輝性顔料を含んでいてもよい。他の光輝性顔料としては、天然マイカから得られる顔料(例えば、パール顔料)や、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。
前記鱗片状顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗料の全量に対して、0.1質量%以上20.0質量%以下が好ましい。
-バインダー-
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、アクリル-シリコーン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルピロリドン、セルロースなどが挙げられる。
前記塗料が前記バインダーを含むと、定着性及び分散性に優れた塗料が得られる。
前記バインダーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗料の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
-有機溶剤-
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋剤、老化防止剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
本発明の塗料は、インクジェット法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、スプレー塗装法、スピンコート法、ブレードコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などの塗工方法に用いることができる。これらの中でも、バーコート法、スプレー塗装法が好ましい。
(塗膜)
本発明の塗膜は、本発明の鱗片状顔料、及びバインダーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記塗膜は、塗膜単独で使用することもできるが、基体上に本発明の塗料を用い、上述した塗工方法で形成した塗工物としてもよい。
前記基体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自動車等の車両の車体、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。
<用途>
本発明の鱗片状顔料は、高いミリ波透過性を有し、優れたメタリックカラー塗装を実現できるので、自動車等の車両の塗装などに好適に用いられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(参考例1)
-成膜フィルム1の作製-
まず、平均厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法により0.06g/m±0.01g/mの塗工量で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。
次に、前記剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが10nmのインジウム層を形成した。以上により、成膜フィルム1を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、蛍光X線分析法(XRF)を用いた定量分析により、5箇所の前記インジウム層の厚みを測定し、平均した値である。
(参考例2)
-成膜フィルム2の作製-
まず、平均厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法により0.06g/m±0.01g/mの塗工量で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。
次に、前記剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmのインジウム層を形成した。以上により、成膜フィルム2を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、参考例1と同様にして測定し、平均した値である。
(参考例3)
-成膜フィルム3の作製-
まず、平均厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法により0.06g/m±0.01g/mの塗工量で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。
次に、前記剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが30nmのインジウム層を形成した。以上により、成膜フィルム3を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、参考例1と同様にして測定し、平均した値である。
(参考例4)
-成膜フィルム4の作製-
まず、平均厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法により0.06g/m±0.01g/mの塗工量で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。
次に、前記剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが40nmのインジウム層を形成した。以上により、成膜フィルム4を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、参考例1と同様にして測定し、平均した値である。
(参考例5)
-成膜フィルム5の作製-
まず、平均厚み75μmのPMMAフィルム上に平均厚み1μmのアンカーコート層(AC層)を形成した。AC層は、アクリルポリオールに硬化剤として、イソシアネートを混合したものである。
次に、前記AC層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが80nmのインジウム層を形成した。以上により、成膜フィルム5を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、参考例1と同様にして測定し、平均した値である。
(参考例6)
-成膜フィルム6の作製-
参考例5において、前記AC層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、インジウムを蒸着レート3nm/sec.で蒸着して、平均厚みが152nmのインジウム層を形成した以外は、参考例5と同様にして、成膜フィルム6を作製した。前記インジウム層の平均厚みは、参考例1と同様にして測定し、平均した値である。
(実施例1)
-成膜フィルム7の作製-
参考例1において、平均厚み10nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例1と同様にして、成膜フィルム7を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、蛍光X線分析法(XRF)を用いた定量分析により、5箇所の前記硫化亜鉛層の厚みを測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料1の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料1を回収した。
(実施例2)
-成膜フィルム8の作製-
参考例2において、平均厚み20nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例2と同様にして、成膜フィルム8を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料2の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料2を回収した。実施例2の鱗片状顔料2のSEM写真を図2に示した。図2のSEM写真から、実施例2の顔料は鱗片状を呈していることがわかった。
(実施例3)
-成膜フィルム9の作製-
参考例3において、平均厚み30nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例3と同様にして、成膜フィルム9を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料3の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料3を回収した。
(実施例4)
-成膜フィルム10の作製-
参考例4において、平均厚み40nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例4と同様にして、成膜フィルム10を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料4の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料4を回収した。
(実施例5)
-成膜フィルム11の作製-
参考例1において、平均厚み10nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが60nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例1と同様にして、成膜フィルム11を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料5の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料5を回収した。
(実施例6)
-成膜フィルム12の作製-
参考例2において、平均厚み20nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが80nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例2と同様にして、成膜フィルム12を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料6の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料6を回収した。
(実施例7)
-成膜フィルム13の作製-
参考例3において、平均厚み30nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが100nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例3と同様にして、成膜フィルム13を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料7の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料7を回収した。
(実施例8)
-成膜フィルム14の作製-
参考例4において、平均厚み40nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、硫化亜鉛を蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが150nmの硫化亜鉛層を形成した以外は、参考例4と同様にして、成膜フィルム14を作製した。硫化亜鉛層の平均厚みは、実施例1と同様にして測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料8の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層と硫化亜鉛層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料8を回収した。
(参考例7)
-成膜フィルム15の作製-
参考例4において、平均厚み40nmのインジウム層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、SiOを蒸着レート4nm/sec.で蒸着して、平均厚みが10nmのSiO(ただし、1≦X<2)層を形成した以外は、参考例4と同様にして、成膜フィルム15を作製した。SiOx層の平均厚みは、蛍光X線分析法(XRF)を用いた定量分析により、5箇所の前記SiOx層の厚みを測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料9の作製-
次に、前記剥離層上にインジウム層とSiOx層の積層物を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記積層物をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られた積層物と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料9を回収した。
(比較例1)
-成膜フィルム16の作製-
まず、平均厚みが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法により0.06g/m±0.01g/mの塗工量で塗工し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。
次に、前記剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、アルミニウムを蒸着レート2nm/sec.で蒸着して、平均厚みが20nmのアルミニウム層を形成した。以上により、成膜フィルム16を作製した。前記アルミニウム層の平均厚みは、蛍光X線分析法(XRF)を用いた定量分析により、5箇所の前記アルミニウム層の厚みを測定し、平均した値である。
-鱗片状顔料10の作製-
次に、前記剥離層及びアルミニウム層を形成したPETフィルム面に酢酸ブチルをスプレーして前記剥離層を溶解し、前記アルミニウム層をドクターブレードで掻き落とした。
次に、得られたアルミニウム層と酢酸ブチルの混合物に対して、超音波を用いて狙いの粒子径になるまで粉砕した後、遠心分離器を用いて鱗片状顔料10を回収した。
次に、以上で得られた成膜フィルム1~16について、以下のようにして、全光線透過率、グロス値(20°、60°)、及びミリ波透過率(24GHz、78GHz)を測定した。結果を表1に示した。
<全光線透過率>
各成膜フィルムについて、ヘイズメーター(NDH4000、日本電色株式会社製)を用い、全光線透過率を測定し、波長550nm近傍(450nm~550nm)での透過率を求めた。
<グロス値>
各成膜フィルムについて、グロス値を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG-7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度-測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°(Gs20°)及び入射角60°(Gs60°)で測定した。
ここで、図5は成膜フィルム1~4におけるインジウム層の平均厚みとグロス値の関係を示すグラフである。インジウム層がシルバーメタリックを発現する光沢発現層となっていることから、インジウム層の光沢度が得られないと、硫化亜鉛をインジウム層の上に積層しても光沢度が得られにくいため、インジウム層のみで分析を行った。図5の結果から、60°グロス値が200以上必要であるため、インジウム層の平均厚みの下限値は10nmであることがわかる。
<ミリ波透過率の測定>
ベクトルネットワークアナライザ(ME7838A、アンリツ社製)を用い、室温において、周波数18~26.5GHz又は周波数60~90GHzの電磁波を発信器から入射角0°にて入射させ、「基材のみのフィルムを設置した時の減衰率」及び「成膜フィルム1~16を設置した時の減衰率」をそれぞれ測定し、下記数式1から減衰率を求めた。
減衰率(dB)=(基材のみのフィルムを設置した時の減衰率)-(成膜フィルム1~16を設置した時の減衰率)・・・数式1
ここで、基材とは、PETやPMMA等のことを指す。
得られた減衰率から、下記数式2によりミリ波透過率を求めた。
なお、成膜フィルム5のSEM写真を図3に示した。この図3では海島構造を呈しており、ミリ波透過性を有している。インジウムの島と島との間の海の部分にインジウムが存在しない隙間が存在するので、ミリ波が透過しやすい。
また、成膜フィルム6のSEM写真を図4に示した。この図4では海島構造が少なくなり、連続膜に近くなるため、ミリ波透過性が低下する。
Figure 0007316671000002
*表1中、No.5、6のグロス値の「n/a」は未測定を意味する。
次に、得られた鱗片状顔料1~10について、以下のようにして、累積50%体積粒子径D50を求めた。結果を表2に示した。
<粒度分布の測定>
得られた各鱗片状顔料について、粒度分布をレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(LSM-2000、セイシン企業株式会社製)を用いて測定し、累積50%体積粒子径D50を求めた。
Figure 0007316671000003
なお、参考例1~6の成膜フィルム1~6を実施例1に記載のようにして鱗片状顔料化すると、累積50%体積粒子径D50は、1μm未満となる。このことは、成膜フィルムにおいて海島構造を呈しているインジウムの島自体の粒子サイズがおおよそ1μm未満であることを示している。
これに対し、実施例1~8における鱗片状顔料1~8の累積50%体積粒子径D50は、5μm以上であるため、硫化亜鉛層で担持したことによって、インジウムの海島構造を維持した状態で鱗片状顔料化されていると考えられる。そのため、1個1個の鱗片状顔料においても、インジウムの海島構造の海の部分が存在するため、ミリ波が透過しやすいと考えられる。
一方、比較例1における鱗片状顔料10は、アルミニウムを鱗片状顔料化したものである。アルミニウムは、メタリック顔料として実使用上可能な膜厚では海島構造を呈しておらず、連続膜に近い状態となっているため、アルミニウムを鱗片状顔料化した顔料は、ミリ波が透過しにくい。
更に、参考例7における鱗片状顔料9は、インジウムの海島構造をSiO(ただし、1≦X<2)層で担持した鱗片状顔料である。硫化亜鉛は、SiOのような酸化物と異なり、非酸化物である。非酸化物では、層構成の光学設計時に、酸化物層の酸化度のような不確定要素が少ないために設計がよりし易いというメリットがある。また、インジウムの海島構造を維持するための担持層は、顔料のメタリック性の観点から、高屈折率であることが好ましい。非酸化物であり、かつ高屈折率である材料という観点で、硫化亜鉛が好適であると考えられる。
(実施例9~16、参考例8、及び比較例2)
-塗工フィルムの作製-
表2に示す各顔料の10質量%酢酸ブチル分散液を調製した。
ブチラール樹脂(エスレック、積水化学株式会社製)を20質量%になるようにターピネオールに溶解させたバインダー液を用意した。
次に、各顔料分散液を25.0g、及びバインダー液20.4gを撹拌機で混合し、希釈溶剤としてシクロヘキサノンを26.0g添加し、更に撹拌機(自転・公転ミキサー、練太郎、シンキー社製)で撹拌し、各塗料を調製した。
次に、平均厚み50μmのPETフィルム上に、各塗料を平均厚みが100μmとなるようにアプリケーターで塗工し、乾燥機を用いて120℃で10分間乾燥した。以上により、塗工フィルム1~10を作製した。
次に、得られた各塗工フィルムについて、上記成膜フィルム1~16と同様にして、全光線透過率及びミリ波透過率を測定した。結果を表3に示した。
Figure 0007316671000004
表3の結果から分かるように、インジウムの海島構造を硫化亜鉛層で担持した鱗片状顔料を用いた塗料で塗工した、実施例9~16の塗工フィルム1~8は、周波数24GHz及び周波数78GHzにおけるミリ波透過率が高く、例えば、ミリ波レーダー搭載の自動車用の塗装等に好適に用いることができる。
一方、アルミニウムの鱗片状顔料を用いた塗料で塗工した比較例2の塗工フィルム10は、周波数24GHz及び周波数78GHzにおけるミリ波透過率が低く、例えば、ミリ波レーダー搭載の自動車用の塗装等に好適に用いることができにくい。
<耐熱耐湿性試験>
上記で得られた成膜フィルム7について、以下のようにして、耐熱耐湿性試験を行った。
条件(1):成膜フィルム7を、乾燥機を用いて90℃で30分間処理する耐熱耐湿性試験の前後の成膜フィルムを、分光光度計(SolidSpec-3700、株式会社島津製作所製)を用いて波長300nm以上2500nm以下の透過率を測定した。結果を図6に示した。
条件(2):成膜フィルム7を、恒温恒湿機(60℃で90%RH)を用いて30分間処理する耐熱耐湿性試験の前後の成膜フィルムについて、上記条件(1)と同様にして、波長300nm以上2500nm以下の透過率を測定した。結果を図6に示した。
図6の結果から、上記条件(1)及び条件(2)において、透過率の変化はほとんど見られず、成膜フィルム7は耐熱耐湿性に優れていることがわかった。
なお、成膜フィルム8~14及び塗工フィルム1~8においても成膜フィルム7と同様の優れた耐熱耐湿性の結果が得られた。
1 インジウム層
2 硫化亜鉛層
10 鱗片状顔料

Claims (8)

  1. インジウム層と、該インジウム層における一方の表面に硫化亜鉛層とを有し、累積50%体積粒子径D50が5μm以上20μm以下であることを特徴とするミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  2. 周波数24GHz及び周波数78GHzにおけるミリ波透過率が95%以上である、請求項1に記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  3. 前記インジウム層が海島構造を有する、請求項1から2のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  4. 累積50%体積粒子径D50が8μm以上15μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  5. 前記インジウム層の平均厚みが10nm以上90nm以下である、請求項1から4のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  6. 前記硫化亜鉛層の平均厚みが10nm以上150nm以下である、請求項1から5のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のミリ波透過性を有する鱗片状顔料を含有することを特徴とする塗料。
  8. 請求項7に記載の塗料を用いて塗装した塗膜を有することを特徴とする塗装物。

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