JP2024042257A - 接着剤組成物、接着剤フィルム、接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩水耐性に優れた接続構造体を得ることが可能な接着剤組成物、これを用いた接着剤フィルム、並びに接続構造体及びその製造方法を提供する。【解決手段】ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、含窒素芳香族複素環を有する化合物と、金属水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含む粒子と、を含有する、接着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物、接着剤フィルム、接続構造体及びその製造方法に関する。
近年、半導体、液晶ディスプレイ等の分野において、電子部品の固定、又は、回路接続を行うために各種の接着剤が使用されている。これらの用途では、ますます高密度化又は高精細化が進み、高い接着性又は信頼性が接着剤に求められている。特に、回路接続材料としては、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続、半導体シリコンチップと基板との接続、FPCとタッチパネルモジュールとの接続、FPCとFPCとの接続等において、導電粒子を含有する異方導電性接着剤が使用されている。
このような接着剤として、近年、ラジカル硬化系の接着剤(例えば、(メタ)アクリレート誘導体と、ラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用したラジカル硬化系の接着剤)が注目されている。ラジカル硬化系は、反応活性種であるラジカルが非常に反応性に富むため短時間硬化が可能であり、且つ、ラジカル重合開始剤の分解温度以下では、接着剤が安定に存在することから、低温短時間硬化と貯蔵安定性(例えば、常温付近での貯蔵安定性)とを両立した硬化系である。また、ラジカル硬化系は、カチオン-エポキシ硬化系、アニオン-エポキシ硬化系等のエポキシ硬化系のようなイオン重合を用いないため、エポキシ硬化系と比べた利点として、一般的な高温高湿試験を行った際の耐腐食性が優れるという特徴がある。一方、カチオン-エポキシ硬化系又はアニオン-エポキシ硬化系の接着剤では、金属水酸化物又は金属酸化物等を添加することで、前記腐食を抑えることがある(例えば、下記特許文献1~4参照)。
特開2006-199778号公報 特開2012-46756号公報 特開2012-46757号公報 特開2012-41544号公報 国際公開第2009/063827号
近年、ウェアラブル端末(身につける端末)、及び、高耐久性を付加価値として有するディスプレイ端末(スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等)が増えてきている。これらの端末の構成部材向けの回路接続材料に対しては、汗、海水等の塩水を想定して、回路接続材料を用いて得られた構造体が塩水に曝された場合であっても優れた接続信頼性が求められる。すなわち、このような回路接続材料においては、塩水耐性(塩水への耐性)が優れることが求められている。
本発明は、塩水耐性に優れた接続構造体を得ることが可能な接着剤組成物、これを用いた接着剤フィルム、並びに接続構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
塩水耐性(塩水への耐性)を評価する方法としては、JIS Z 2371(2000 塩水噴霧試験方法);ISO 9227(2006 Corrosion tests in artificial atmospheres-Salt spray tests.);5%の塩水につける方法;塩水につけた後に高温高湿槽に入れる方法等が行われている。本発明者らの検証の結果、接着剤組成物で接続して得られる接続構造体に対して、塩水耐性に関する前記試験を行う場合、ラジカル硬化系の接着剤組成物は、カチオン-エポキシ硬化系又はアニオン-エポキシ硬化系の接着剤組成物に比べて接続部に剥離が生じやすく、塩水耐性が低いことがわかった。
これに対し、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ラジカル硬化系の接着剤組成物に特定の金属化合物を含む粒子と含窒素芳香族複素環を有する化合物とを組み合わせて配合することにより、上記の塩水噴霧試験における接続構造体の塩水耐性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本開示は、下記の側面を含む。
[1]ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、含窒素芳香族複素環を有する化合物と、金属水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含む粒子と、を含有する、接着剤組成物。
[2]含窒素芳香族複素環が、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環及びピリミジン環からなる群より選ばれる少なくとも一種である、[1]に記載の接着剤組成物。
[3]金属化合物が、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ビスマス、カルシウム、錫、マンガン、アンチモン及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、[1]又は[2]に記載の接着剤組成物。
[4]粒子が、金属水酸化物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[5]含窒素芳香族複素環を有する化合物の含有量及び粒子の含有量の合計が、ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[6]導電粒子を更に含有する、[1]~[6]のいずれかに記載の接着剤組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の接着剤組成物を含有する接着剤層を備える、接着剤フィルム。
[8]第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、
第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備え、接続部が、[1]~[6]のいずれかに記載の接着剤組成物の硬化物を含む、接続構造体。
[9]第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材との間に、[1]~[6]のいずれかに記載の接着剤組成物を介在させ、第一の回路部材及び第二の回路部材を熱圧着して、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、接続構造体の製造方法。
本発明の一側面によれば、塩水耐性に優れた接続構造体を得ることが可能な接着剤組成物が提供される。特に、近年ではより高い次元での耐久性が求められる傾向にあり、年々、より過酷な条件での塩水耐性が求められるようになってきている。本発明の接着剤組成物によれば、従来実施されてきた試験条件よりも厳しい条件下、例えば、塩水をより長時間噴霧する条件下であっても、接続部に剥離が発生しにくい接続構造体を得ることができる。
また、本発明の一側面によれば、接続構造体が高温高湿環境下で使用された場合の回路部材と接続部との界面における剥離を抑制し、接続抵抗が小さい接続構造体を提供することも可能となる。
本発明によれば、塩水耐性に優れた接続構造体を得ることが可能な接着剤組成物、これを用いた接着剤フィルム、並びに接続構造体及びその製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る接着剤フィルムを示す模式断面図である。 他の一実施形態に係る接着剤フィルムを示す模式断面図である。 接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<接着剤組成物>
本実施形態の接着剤組成物は、ラジカル重合性化合物(ラジカル重合性物質、ラジカル反応性成分ともよばれる)と、ラジカル重合開始剤と、含窒素芳香族複素環を有する化合物と、金属水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含む粒子と、を含有する。
[ラジカル重合性化合物]
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合が可能な官能基を有する化合物である。このような化合物としては、ビニル基を有するビニル化合物、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。ラジカル重合性化合物は、モノマー又はオリゴマーの状態で用いてもよく、モノマーとオリゴマーとを併用することもできる。ラジカル重合性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合性化合物は、より優れた塩水耐性を得る観点から、好ましくは(メタ)アクリレート化合物である。(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、耐高温高湿接続信頼性を向上させる観点では、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートであってよい。(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、ラジカル重合性化合物の全質量を基準として、20質量%以上、40質量%以上、又は60質量%以上であってよく、90質量%以下、又は80質量%以下であってよい。接着剤組成物が、ラジカル重合性化合物として(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートのみを含有してもよい。
(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が1.0×10以上であってもよく、混合性の観点からは1.0×10以上1.0×10以下であってもよい。ここでの重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定される。
(メタ)アクリレート化合物は、ジシクロペンタン骨格、トリシクロデカン骨格及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくとも一つの部分構造を有するものを用いることもできる。このような部分構造を有する(メタ)アクリレート化合物をラジカル重合性化合物として用いることで、接着剤組成物の硬化物が耐熱性に優れるようになる。(メタ)アクリレート化合物は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させる観点では、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であってもよい。トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとる観点では、ラジカル重合性化合物の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよく、90質量%以下、60質量%以下又は30質量%以下であってよい。
(メタ)アクリレート化合物は、下記式(1)で表される化合物(リン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物)であってもよい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着がより優れたものとなる。
Figure 2024042257000001

式(1)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすくなる観点では、ラジカル重合性化合物の全質量を基準として、1質量%以上、又は2質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。
(メタ)アクリレート化合物以外のラジカル重合性化合物としては、例えば、特許文献5(国際公開第2009/063827号)に記載の化合物を使用することができる。
ラジカル重合性化合物は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂等のポリマーであってもよい。これらのポリマーは、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性の官能基を有する。
ラジカル重合性化合物としてポリマーを用いると、接着剤組成物の取扱い性に優れ、硬化時の応力緩和に優れる。また、ポリマーが水酸基等の官能基を有する場合、接着性にも優れる。この観点では、各ポリマーをラジカル重合性の官能基で変性させたものがより好ましい。
ポリマーの重量平均分子量は1.0×10以上であってもよく、混合性の観点からは1.0×10以上1.0×10以下であってもよい。ここでの重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定される。
ラジカル重合性化合物の含有量は、接続抵抗を低減し、耐高温高湿接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすくなる観点では、接着剤組成物の樹脂成分(導電粒子及び充填材(詳細は後述)以外の成分。以下同様)の全質量を基準として、5質量%以上、20質量%以上又は40質量%以上であってよく、90質量%以下、75質量%以下又は60質量%以下であってよい。
[ラジカル重合開始剤]
ラジカル重合開始剤は、遊離ラジカルを発生する化合物であり、例えば、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生する化合物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、目的とする接続温度、接続時間等により適宜選定される。ラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ラジカル重合開始剤は、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2ーエチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1、1-(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類としては、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらのラジカル重合開始剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、保存性が延長されるために好ましい。
ラジカル重合開始剤の含有量は、ポットライフの観点から、接着剤組成物の樹脂成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。
[含窒素芳香族複素環を有する化合物]
含窒素芳香族複素環を有する化合物は、環内に1個以上の窒素原子を含む芳香族性の複素環を有する化合物である。含窒素芳香族複素環は、少なくとも炭素原子及び窒素原子の二種の原子で構成されており、炭素原子及び窒素原子に加えて、硫黄原子、酸素原子等のその他の原子を含む三種以上の原子で構成されていてもよい。含窒素芳香族複素環は、例えば1~4個の窒素原子を含み、好ましくは2~4個の窒素原子を含む。含窒素芳香族複素環に含まれる窒素原子が1個である場合、含窒素芳香族複素環は、好ましくは、炭素原子及び窒素原子に加えて上記のその他の原子を更に含む。
含窒素芳香族複素環は、好ましくは、5員環又は6員環を有する化合物であり、より好ましくは5員環を有する化合物(アゾール)である。5員環としては、例えば、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環等が挙げられる。6員環としては、例えばピリミジン環等が挙げられる。
含窒素芳香族複素環は、接続抵抗の上昇を抑制して接続信頼性をより向上させる観点から、好ましくは、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環及びピリミジン環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環及びオキサゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、更に好ましくは、トリアゾール環、テトラゾール環及びチアジアゾール環からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
含窒素芳香族複素環は、無置換であってもよく、置換基を有して(含窒素芳香族複素環を構成する原子に結合した水素原子が置換されて)いてもよい。含窒素芳香族複素環が置換基を有する場合、当該置換基は、炭化水素基であってよく、硫黄原子、酸素原子等を含む有機基であってもよい。炭化水素基は、アルキル基等であってよい。窒素原子を含む有機基は、アミノ基等であってよい。硫黄原子を含む有機基は、メルカプト基等であってよい。
含窒素芳香族複素環を有する化合物は、単環からなる含窒素芳香族複素環を有していてもよいし、例えば、炭化水素のみで構成された芳香環(例えば、置換又は無置換のベンゼン環)と上述した含窒素芳香族複素環とが縮合した多環を有していてもよい。このような多環は、例えば、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等であってよい。
含窒素芳香族複素環を有する化合物は、より具体的には、1H-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1H-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノピリミジン、2-メルカプトピリミジン、5,6-ジメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール等であってよい。
含窒素芳香族複素環を有する化合物の含有量は、更に優れた塩水耐性を得る観点から、接着剤組成物の樹脂成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.25質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
含窒素芳香族複素環を有する化合物の含有量は、更に優れた塩水耐性を得る観点から、ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、又は3質量部以上であってよく、5質量部以下、3質量部以下、又は1質量部以下であってよい。
[金属化合物を含む粒子]
接着剤組成物は、金属水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含む粒子を含有する。この粒子は、後述する導電粒子とは種類が異なる粒子である。粒子は、金属水酸化物を含んでいてもよく、金属酸化物を含んでいてもよい。
ところで、従来のラジカル硬化系の接着剤組成物によって接続された接続構造体が、塩水噴霧試験において接続部の剥離が生じやすい原因の一つとして、接続部となる接着剤組成物の硬化物の極性が低いことが挙げられる。例えば、ラジカル重合性化合物の重合体が主骨格として炭素-炭素結合(C-C)を有する場合には、極性が低い傾向がある。その場合、被着体(基板等)と接着剤組成物の硬化物との界面の密着性が不十分となり、塩水中のイオン性成分が前記界面に容易に侵入し、接着阻害が起こると考えられる。特に、被着体が、SiO、SiN等の絶縁材料を含む絶縁材料部を有する場合、当該絶縁材料部は、表面に水酸基を多数有し、水(塩水等)に対して濡れやすいのに対し、ラジカル硬化系の接着剤組成物に対して濡れにくいため、接着阻害が起こりやすくなると考えられる。これに対し、本実施形態の接着剤組成物においては、金属酸化物及び/又は金属水酸化物が含まれることにより、接着剤組成物自体の極性が上がり、更に、接着阻害を招くイオン性成分が金属酸化物及び/又は金属水酸化物に捕捉されて接着阻害が抑制されることにより、接続構造体の塩水耐性を高めることができると考えられる。また、本実施形態の接着剤組成物においては、このような特定の金属化合物に加えて、含窒素芳香族複素環を有する化合物を併用することで、塩水をより長時間噴霧する条件下でも接続部の剥離を抑制できる。
金属化合物は、金属水酸化物又は金属酸化物を構成する金属元素として、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ビスマス、カルシウム、錫、マンガン、アンチモン、チタン及びケイ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。金属化合物は、3価又は4価の金属を含む金属化合物であってもよい。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、マグネシウムアルミニウムハイドロタルサイト等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素等が挙げられる。金属化合物を含む粒子は、これらの化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。金属水酸化物を含む粒子と、金属酸化物を含む粒子とが併用されてもよい。
金属化合物を含む粒子の平均一次粒径は、接着剤組成物中の優れた分散性、及び、被着体への高い接着性を得る観点、被着体の腐食を防止する観点、イオン成分の捕捉能を得る観点、並びに、大粒子による短絡(金属化合物を含む粒子が異物となる場合の短絡)を抑制する観点から、10μm以下、5μm以下、又は1μm以下であってよい。金属化合物を含む粒子の平均一次粒径が小さくなることで接着剤組成物中の当該粒子全体の比表面積が増えることにより、被着体への高い接着性を得る効果、被着体の腐食を防止する効果、及び、イオン成分の捕捉能を得る効果が得られると考えられる。金属化合物を含む粒子の平均一次粒径は、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよい。金属化合物を含む粒子の平均一次粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
金属化合物を含む粒子の含有量は、接着剤組成物の樹脂成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.25質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。
金属化合物を含む粒子の含有量は、ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であってよく、7質量部以下、5質量部以下、3質量部以下、又は1質量部以下であってよい。
上述した含窒素芳香族複素環を有する化合物の含有量、及び金属化合物を含む粒子の含有量の合計は、更に優れた塩水耐性を得る観点から、ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、又は3質量部以上であってよく、5質量部以下、3質量部以下、又は1質量部以下であってよい。
[熱可塑性樹脂]
接着剤組成物は、熱可塑性樹脂を含有してもよい。接着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有すると、接着剤組成物をフィルム状に成形する場合に、取扱いを容易にすることが可能となる。
熱可塑性樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が使用できる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、接着剤組成物の製膜性を優れたものとする観点から1.0×10以上であってもよく、混合性の観点から1.0×10以上1.0×10未満であってもよい。ここでの重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定される。
また、熱可塑性樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が40℃以上であり、重量平均分子量が1.0×10以上である水酸基含有樹脂(例えばフェノキシ樹脂)を使用することができる。水酸基含有樹脂は、エポキシ基含有エラストマーによって変性されていてもよい。
フェノキシ樹脂は、二官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応させることにより得ることができる。
熱可塑性樹脂として、ポリエステルウレタン樹脂を用いてもよい。
なお、本明細書において、ラジカル重合性の官能基を有する熱可塑性樹脂は、上述したラジカル重合性化合物として配合されるものとする。
熱可塑性樹脂の含有量は、接着剤組成物の樹脂成分の全質量を基準として、5質量%以上又は30質量%以上であってよく、80質量%以下又は60質量%以下であってよい。
[導電粒子]
接着剤組成物は、導電粒子を含有してもよい。導電粒子は、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。導電粒子は、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。充分なポットライフを得る観点から、表層がAu、Ag、白金族の貴金属類とすることができ、Auであってもよい。導電粒子は、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性粒子の表面を上述した導電性物質で被覆する等の方法により、非導電性粒子表面に導通層を形成し、さらに最外層を貴金属類で構成した被覆導電粒子であってもよい。このような粒子、又は熱溶融金属粒子を用いる場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性を向上させることができる。
導電粒子は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。導電粒子が絶縁被覆導電粒子であると、導電粒子の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、導電粒子同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。
導電粒子は、上述した各種導電粒子を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
導電粒子の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。導電粒子の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上、2.0μm以上又は2.5μm以上であってよい。導電粒子の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下、30μm以下又は20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を導電粒子の最大粒径とする。なお、導電粒子が突起を有するなどの球形ではない場合、導電粒子の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
導電粒子の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上、2.0μm以上又は2.5μm以上であってよい。導電粒子の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下、30μm以下又は20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
導電粒子の含有量は、安定した接続抵抗が得られやすくなる点で、接着剤組成物の樹脂成分100体積部に対して0.1~30体積部の範囲であってもよい。導電粒子の含有量は、過剰な導電粒子による隣接回路の短絡等を防止する観点から、0.1~10体積部であってもよい。
導電粒子の含有量は、安定した接続抵抗が得られやすくなる点で、接着剤組成物のラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、含窒素芳香族複素環を有する化合物、金属化合物を含む粒子、及び熱可塑性樹脂の質量の合計を基準として、0.5~60質量%、3~45質量%又は6~30質量%であってよい。
[その他の成分]
接着剤組成物は、上述した成分以外にその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、チオール化合物、カップリング剤、充填材等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
チオール化合物は、チオール基を1つ有するチオール化合物(単官能チオール化合物)であってよく、チオール基を複数有するチオール化合物(多官能チオール化合物)であってもよい。
チオール化合物が有するチオール基は、一級チオール基であってよく、二級チオール基であってもよく、三級チオール基であってもよい。
単官能チオール化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メチル-4,5-ジヒドロフラン-3-チオール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、メルカプトメチルブタノール、3-メルカプト-2-メチルペンタノール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エトキシ-2-メチル―2-ブタンチオール、ヘキサンチオール、イソブチルチオール、1,1-ジメチルへプタンチオール、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
多官能チオール化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、エタンジチオール、1,3-プロパンチオール、1,4-ブタンチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
チオール化合物の含有量は、硬化後の接着剤組成物と回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、接着剤組成物の樹脂成分の全質量を基準として、0.05質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上又は1.5質量%以上であってよく、硬化後の接着剤組成物と回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、5.0質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下又は2.0質量%以下であってよい。
カップリング剤としては、接着性の向上の点から、ビニル基、アクリロイル基、アミノ基、エポキシ基又はイソシアネート基の少なくとも1種を有する化合物を用いることができる。
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の最大径は、導電粒子の最小粒径未満であってよい。
充填材の含有量は、接着剤組成物の全体積基準で、4~60体積%であってもよく、5~50体積%であってもよく、6~30体積%であってもよい。充填材の含有量は、接続信頼性向上の観点から、接着剤組成物のラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、含窒素芳香族複素環を有する化合物、金属化合物を含む粒子、及び熱可塑性樹脂の質量の合計を基準として、3~60質量%、4~40質量%又は5~20質量%であってもよい。
接着剤組成物は、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、重合禁止剤等のその他の添加剤を更に含有していてもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類が挙げられる。
以上説明した接着剤組成物は、電極を有する回路部材同士を、電極同士を対向配置させた状態で接続するための回路接続用接着剤組成物として好適に用いられ、回路部材同士を接続するための異方導電性接着剤組成物として特に好適に用いられる。
<接着剤フィルム>
上述した接着剤組成物は、取扱い性の観点から、フィルム状に成形された接着剤フィルムとして用いられてもよい。図1は、一実施形態に係る接着剤フィルムを示す模式断面図である。図1に示す接着剤フィルム1Aは、上述した接着剤組成物を含有する接着剤層2を備える。接着剤層2は、接着剤成分(接着剤組成物における導電粒子以外の成分)3と、接着剤成分3中に分散した導電粒子4とを含有する。接着剤フィルム1Aの厚さは、10μm以上であってよく、50μm以下であってよい。
他の実施形態において、接着剤フィルムは接着剤層を複数備えていてもよい。接着剤層を複数備える接着剤フィルムを回路部材の接続に用いると、安定した接続抵抗が得られやすくなる。図2は、他の一実施形態に係る接着剤フィルムの模式断面図である。図2に示す接着剤フィルム1Bは、第一の接着剤層5と、第一の接着剤層5上に積層された第二の接着剤層6とを備える。
第一の接着剤層5は、上述した接着剤組成物を含有する。すなわち、第一の接着剤層5は、接着剤成分3と、接着剤成分3中に分散した導電粒子4とを含有する。
第二の接着剤層6は、例えば、ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤とを含有する。ラジカル重合開始剤及びラジカル重合開始剤としては、上述した接着剤組成物に用いられるものを用いることができる。第二の接着剤層6は、上述した熱可塑性樹脂、及び接着剤組成物におけるその他の成分として例示した成分を更に含有してもよい。第二の接着剤層6は、導電粒子を含有しなくてもよい。
第一の接着剤層5及び第二の接着剤層6の厚さは、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第一の接着剤層5の厚さは、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよい。第二の接着剤層6の厚さは、例えば、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。接着剤フィルム1Bの厚さ(第一の接着剤層5の厚さ及び第二の接着剤層6の厚さの合計)は、例えば、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
接着剤フィルムは、上記の実施形態に限定されず、例えば、導電粒子を含有しない接着剤層を一層備える接着剤フィルムであってもよい。接着剤フィルムは、導電粒子を含む接着剤層と、その両面上にそれぞれ設けられた導電粒子を含まない接着剤層とから構成される三層構成のフィルムであってもよい。
上述した接着剤フィルムは、電極を有する回路部材同士を、電極同士を対向配置させた状態で接続するための回路接続用接着剤フィルムとして好適に用いることができる。
本実施形態の接着剤フィルムは、以下の方法によって作製することができる。具体的には、まず、接着剤層に含まれる各成分(例えば、接着剤成分及び導電粒子)を、有機溶媒等の溶剤中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物(ワニス状の接着剤組成物)を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて、基材上に接着剤フィルムを形成することができる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有する溶剤を用いてよい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等から形成されるフィルムを用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件は、溶剤が充分に揮発する条件としてよい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
本実施形態の接着剤フィルムは、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。本実施形態の回路接続用接着剤フィルムにおける溶剤の含有量は、例えば、接着剤フィルムの全質量を基準として、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってもよい。
<回路接続構造体及びその製造方法>
次に、回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
本実施形態の接続構造体は、第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材と、第一の回路部材及び第二の回路部材の間に配置され、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する接続部とを備え、接続部が、本実施形態の接着剤組成物の硬化物を含む。
図3は、接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示す接続構造体10は、第一の基板11及びこれの主面11a上に形成された第一の電極(第一の接続端子)12を有する第一の回路部材13と、第二の基板14及びこれの主面14a上に形成された第二の電極(第二の接続端子)15を有する第二の回路部材16と、第一の回路部材13と第二の回路部材16との間に介在してこれらを接着している接続部17とを備える。第二の回路部材16は、第二の電極15が第一の電極12と対向するように第一の回路部材13と対向配置されている。
接続部17は、接着剤組成物の硬化物を含み、接着剤成分の硬化物18と、この硬化物18中に分散された導電粒子4とから構成される。対向する第一の電極12及び第二の電極15は、導電粒子4を介して電気的に接続されている。一方、同一の基板上に形成された第一の電極12同士、及び第二の電極15同士は絶縁されている。
第一の基板11及び第二の基板14としては、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が挙げられる。通常、回路部材には多数の接続端子が設けられているが、接続端子は場合によっては単数でもよい。より具体的には、半導体、ガラス及びセラミック等の無機材料の基板、プラスチック基板、又はガラス/エポキシ基板が用いられる。プラスチック基板としては、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム及びポリエステルフィルムが挙げられる。
第一の電極12及び第二の電極15は、銅等の金属から形成される。より良好な電気的接続を得るためには、第一の電極12及び第二の電極15の少なくとも一方に、金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属を含む表面層を形成させることが好ましい。表面層は金、銀、白金族、又は錫のいずれかから選択され、これらを組み合わせて用いてもよい。また、銅/ニッケル/金のように複数の金属を組み合わせて多層構成としてもよい。
第一の回路部材13及び第二の回路部材16のうち一方は、ガラス基板又はプラスチック基板を回路基板として有し、ITO等から形成された接続端子を有する液晶ディスプレイパネルであってもよい。また、第一の回路部材13及び第二の回路部材16のうち一方は、ポリイミドフィルムを回路基板として有するフレキシブルプリント配線板(FPC)、テープキュリアパッケージ(TCP)若しくはチップオンフィルム(COF)、又は半導体基板を回路基板として有する半導体シリコンチップであってもよい。これらの各種の回路部材を、必要により適宜組み合わせて接続構造体が構成される。
なお、電極を設けた基板は接続時の加熱による揮発成分による接続への影響を排除するために、接着剤組成物による接続の前に予め加熱処理されていることが好ましい。
本実施形態に係る接続構造体の製造方法は、第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材との間に、本実施形態の接着剤組成物を介在させ、第一の回路部材及び第二の回路部材を熱圧着して、第一の電極及び第二の電極を互いに電気的に接続する工程を備える。
具体的には、まず、第一の基板11及びこれの主面11a上に形成された第一の電極(第一の接続端子)12を有する第一の回路部材13と、第二の基板14及びこれの主面14a上に形成された第二の電極(第二の接続端子)15を有する第二の回路部材16とを用意する。そして、第一の回路部材13と第二の回路部材16とを、第一の電極12と第二の電極15とが対向するように配置し、第一の回路部材13と第二の回路部材16との間に接着剤組成物を配置する。
第一の回路部材13と第二の回路部材16との間に配置する接着剤組成物は、上述した接着剤フィルム1A又は1Bを配置してもよく、ワニス組成物(ワニス状の接着剤組成物)を、第一の回路部材13又は第二の回路部材16上に、又はその両方に塗布してもよい。
二層の接着剤層を有する接着剤フィルム1Bを用いる場合には、導電粒子を含有する第一の接着剤層5側が第一の回路部材13と対向し、導電粒子を含有しない第二の接着剤層6側が第二の回路部材16と対向するように接着剤フィルム1Bを配置してもよく、第一の接着剤層5側が第二の回路部材16と対向し、第二の接着剤層6側が第一の回路部材13と対向するように接着剤フィルム1Bを配置してもよい。
続いて、第一の回路部材13、接着剤フィルム1A及び第二の回路部材16を加熱しながら、第一の回路部材13と第二の回路部材16とを厚み方向に加圧することで、第一の回路部材13と第二の回路部材16とを互いに熱圧着する。加熱により接着剤組成物の接着剤成分が硬化し、その結果、第一の回路部材13と第二の回路部材16とが、接着剤組成物の硬化物を介して圧着される。
加圧の際の圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限は受けないが、一般的には0.1~10MPaが好ましい。加熱温度は、特に制限は受けないが、100~200℃が好ましい。これらの加圧及び加熱は、0.5秒~100秒間の範囲で行うことが好ましく、130~180℃、3MPa、10秒の加熱でも接着させることが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<重合性化合物(ポリウレタンアクリレート(UA1))の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
使用機器:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
<接着剤フィルムの作製(実施例1~6、比較例1~12)>
以下に示す成分を表1~3に示す配合量(単位:質量部)で混合し、ワニス組成物(ワニス状の接着剤組成物)をそれぞれ調製した。
[熱可塑性樹脂]
A1:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、ユニオンカーバイド社製)40gをメチルエチルケトン60gに溶解して調製した40質量%の溶液(表中の配合量はビスフェノールA型フェノキシ樹脂の配合量を示す。)
[ラジカル重合性化合物]
B1:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
B2:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(ジシクロペンタジエン型ジアクリレート)(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
B3:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
[ラジカル重合開始剤]
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
[含窒素芳香族複素環を有する化合物]
D1:5-メチル-1H-テトラゾール
D2:3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール
D3:ベンゾトリアゾール
[導電粒子以外の金属化合物]
E1:酸化ジルコニウム(ZrO
E2:水酸化アルミニウム(Al(OH)
[その他の成分]
F1:上述のとおり作製した導電粒子
G1:チオール化合物(ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、商品名:カレンズMT PE-1(「カレンズMT」は登録商標)、昭和電工株式会社製)、粘度(@25℃):1Pa・s、分子量:544.8)
H1:カップリング剤(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製))
I1:充填材(シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm))
上記のワニス組成物を、厚さ50μmの基材(PET製フィルム)上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、基材上に接着剤層を形成させ、接着剤フィルムを作製した。なお、接着剤層の厚さ(乾燥後の厚さ)は10μmとした。
<接続構造体の作製>
作製した接着剤フィルムを介して、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)と、ガラス基板上に窒化ケイ素(SiNx)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、180℃、4.5MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続した。これにより、COFと薄膜電極付きガラス基板とが上記の接着剤組成物の硬化物によって接続された接続構造体(回路接続構造体)を得た。
<塩水耐性の評価>
接続構造体に対して、塩水噴霧試験機(スガ試験機株式会社製)を用いて、JIS Z 2371に準じて塩水噴霧試験を24時間及び96時間行った。試験前後の接続構造体における接続部(接着剤組成物の硬化物)の外観を光学顕微鏡により観察した。薄膜電極付きガラス基板側から該ガラス基板と接続部との界面において剥離が発生しているか否かを目視にて確認し、剥離が発生している場合は剥離面積を算出し、下記の基準により5段階で評価した。結果を表1~3に示す。
S:剥離面積の割合が5%未満
A:剥離面積の割合が5%以上10%未満
B:剥離面積の割合が10%以上30%未満
C:剥離面積の割合が30%以上60%未満
D:剥離面積の割合が60%以上
Figure 2024042257000002
Figure 2024042257000003
Figure 2024042257000004
<接続直後及び高温高湿試験後の接続構造体の評価>
実施例に係る接続構造体について、接続直後、及び高温高湿試験後の接続抵抗、接着力、及び剥離面積を以下の方法により評価した。高温高湿試験は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に接続構造体を100時間放置することにより行った。結果を表4に示す。
[接続抵抗]
接続構造体における対向する電極間の接続抵抗値を、マルチメーターにより測定した。接続抵抗値は、対向する電極間の抵抗16点の平均値として求め、下記の基準により4段階で接続抵抗を評価した。
A:3.0Ω以下
B:3.0Ωを超え6.0Ω以下
C:6.0Ωを超え10.0Ω以下
D:10.0Ωを超える
[接着力]
接続構造体における室温時の接着力(N/cm)を、万能引張試験機(テンシロンUTM-4、東洋ボールドウィン株式会社製、剥離強度50mm/min)を用いて測定した。接着力は下記の基準により4段階で評価した。
A:10.0N/cm以上
B:8.0N/cm以上10.0N/cm未満
C:6.0N/cm以上8.0N/cm未満
D:6.0N/cm未満
[剥離面積]
塩水耐性の評価において実施した方法と同様の方法及び基準により、接続部の剥離の程度を評価した。
Figure 2024042257000005
1A,1B…接着剤フィルム、2…接着剤層、3…接着剤成分、4…導電粒子、5…第一の接着剤層、6…第二の接着剤層、10…接続構造体、11…第一の基板、12…第一の電極、13…第一の回路部材、14…第二の基板、15…第二の電極、16…第二の回路部材、17…接続部。

Claims (9)

  1. ラジカル重合性化合物と、ラジカル重合開始剤と、含窒素芳香族複素環を有する化合物と、金属水酸化物及び金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属化合物を含む粒子と、を含有する、接着剤組成物。
  2. 前記含窒素芳香族複素環が、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環及びピリミジン環からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記金属化合物が、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ビスマス、カルシウム、錫、マンガン、アンチモン及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記粒子が、前記金属水酸化物を含む、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  5. 前記含窒素芳香族複素環を有する化合物の含有量及び前記粒子の含有量の合計が、前記ラジカル重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  6. 導電粒子を更に含有する、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  7. 請求項1又は2に記載の接着剤組成物を含有する接着剤層を備える、接着剤フィルム。
  8. 第一の電極を有する第一の回路部材と、
    第二の電極を有する第二の回路部材と、
    前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材の間に配置され、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する接続部と、を備え、
    前記接続部が、請求項1又は2に記載の接着剤組成物の硬化物を含む、接続構造体。
  9. 第一の電極を有する第一の回路部材と、第二の電極を有する第二の回路部材との間に、請求項1又は2に記載の接着剤組成物を介在させ、前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材を熱圧着して、前記第一の電極及び前記第二の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、接続構造体の製造方法。
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